勾配天井にすると空間に広がりを持たせることができるため、自然と空間に開放感が生まれ広々と感じられるメリットがあります。
一方で勾配天井にすると一般的な平らな天井と違い、天井が斜めになることで照明計画が難しくなる・・・と言ったようなデメリットが生まれます。
このように実は勾配天井にはメリットもあればデメリットもあります。
家づくりで勾配天井を検討される方は多いかと思いますが、事前にメリットとデメリットそれに勾配天井を選ぶ上での注意点などを抑えておかないと家を建ててから取り返しのつかない失敗をしてしまうこともありますので注意してください。
今回の記事では勾配天井にするメリットやデメリットをはじめ、合わせて勾配天井にするならおさえておきたい大事なポイントについても解説していこうと思います。
Contents
勾配天井(こうばいてんじょう)って何?
勾配天井(こうばいてんじょう)とは、室内の天井が屋根の傾斜にあわせて斜めになっている天井のことを言います。
つまり、三角形の形をした切妻屋根では室内側の勾配天井も三角形になり、片流れ屋根のような1方向に傾斜した屋根であれば片側に斜めになった勾配天井になります。
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勾配天井の特徴は?
勾配天井の一番の特徴は開放感にあります。
勾配天井は本来屋根裏として使う空間を部屋の空間に割り当てた天井の形になりますから、屋根裏の空間を部屋の空間面積として割り当てることで、天井高が高くなり、天井の高さに奥行きが生まれる特徴があります。
また天井の高さだけではなく、家の構造材(梁)が見えるなど「あらわし仕上げ」になりますので部屋の雰囲気も平らな天井と比べて大きく変わってくる特徴もあります。
勾配天井にすると無機質な空間に「表情」が生まれるのです。
また室内天井の高さが場所によって大きく変わり、空間に動きをつけたり高さの違う空間を演出できるのも勾配天井の魅力であり特徴であると言えます。
※あらわし仕上げとは
あらわし仕上げとは柱や梁などの構造材を隠さずに見える状態で仕上げることを言います。
勾配天井の高さはどれくらい?
一般的な一戸建て住宅の、通常の平らな天井ですと床面から天井までの高さは大体2,200〜2,400mm程度ですが、勾配天井では高いところでは4,000mm(4m)程度の程よい高さはもちろん、2倍の5,000mm(5m)の高さを確保することもできます。
勾配天井はどんな時に作られるの?
屋根の形状を活かして開放感や部屋を明るくしたい時に勾配天井が採用されることが多いです。
特に平屋の天井高をあげて開放感を出したり、2階リビングを採用した際で天井高を上げる時、さらには1階を吹き抜けとした場合などに採用されることが多い天井の取り方です。
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また住宅密集地などで斜線規制がかかっていたり、建物周囲の影響から日照を確保することが難しい地域で勾配天井にして高い位置に窓を設け、室内を明るくする目的で勾配天井が選択されることもあります。
さらには見た目の雰囲気がおしゃれだから勾配天井にしたいと言った方もいたり、勾配天井を選ぶ理由は人によって様々です。
勾配天井にするメリットと魅力
ここからは勾配天井にするメリットや魅力について解説していきます。
【勾配天井にするメリット】
1:開放感がうまれる
2:縦の空間に吹き抜けのような奥行きがうまれる
3:部屋を明るくできる
4:視線が抜ける
5:おしゃれに見える
6:通気が良くなる
勾配天井にするメリット1:開放感がうまれる
勾配天井にすると空間に開放感がうまれます。
この空間に開放感を取り入れられることが、勾配天井にする一番のメリットだ思いますし勾配天井の魅力だと思います。
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勾配天井にするメリット2:縦の空間に吹き抜けのような奥行きがうまれる
勾配天井にすると縦の空間に奥行きが生まれます。
そして、縦に空間を広げることで実際の床面積よりも広く感じられるようになります。
敷地に制限があって天井の高さが取れない場合や、2階リビングであっても縦に空間を伸ばすことができるため吹き抜けのような開放感を感じられる住まいになります。
>>>2階リビングにする14のメリット・デメリットと注意点、1階リビングとの違いや特徴
勾配天井にするメリット3:部屋を明るくできる
勾配天井にすると部屋が明るくなります。
特に部屋の高い位置にハイサイドライトなどの高窓をつけると、吹き抜けほど生活スペースを削らずに部屋を明るくできるメリットがあります。
本来なら窓がつけられなかった高い場所に窓をつけられるようになるので部屋を明るくすることができるのです。
高窓を設置すれば年間を通して日中は照明が入らないほど自然光を室内に取り込むことができるようになり部屋が明るくなります(土地や間取りにもよります)。
つまり勾配天井にすることで天井に沿ってたっぷりと光が差し込み、部屋の高い位置から光を取り込め部屋の奥の方まで満遍なく光が届く明るい雰囲気の室内にすることができるのです。
>>>注文住宅の窓で失敗しないために抑えておきたい21種類の窓と配置のコツ
またこの時、壁や天井の色も白に統一するとより広く明るく感じられるようになります。
勾配天井にするメリット4:視線が抜ける
勾配天井にすると視線の抜けが生まれます。
そして視線が抜けることで、実際の床面積よりも部屋が広く見える効果が生まれます。
特に視線が外に抜けるような窓を設置すると効果的で、視線を外に抜けるようにすることで、より空間に奥行きが生まれ、天井が斜めになった勾配天井と相まって、開放感のある部屋を生み出すことができます。
勾配天井では高い位置に窓をつけられるので、視線の先に空が見えるような工夫をするとより明るく開放的な空間にすることができます。
勾配天井にするメリット5:おしゃれに見える
これは勾配天井の魅力だと思いますが、勾配天井にすると特に何もしなくても空間がおしゃれに見えます。
空間に縦の奥行きが生まれると空間に広がりが感じられる上に、斜めになった勾配天井が普通の部屋との視覚的に違う雰囲気をもたらし、部屋が明るくなることでおしゃれに見えるようになるのです。
また梁などの構造材が「あらわし仕上げ」になるので、空間デザインの一部として見せることができたり、梁から照明を垂らしたりして、好みに合わせて空間を自由にアレンジすることもできるようになります。
さらにペンダントライトや間接照明を効果的に使うなど照明計画を工夫すれば、夜間は照明のメリハリのきいたおしゃれな印象の部屋にすることができます。
勾配天井にするメリット6:通気が良くなる
家の高い位置に窓を設けると、通気が良くなります。
暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下降する性質を持っているからです。
この空気の性質を活かして家の一番高い位置に開閉可能な窓を設け、家の中の暑い空気を外に排出できるように上下の位置に窓を配置すると空気の通り道ができるので通気性が良くなるメリットがあります。
勾配天井と相性の良い間取り
勾配天井にするときは合わせて下記の間取りや家のタイプを検討していただくと住み心地の良い家にすることができると思います。
【勾配天井と相性の良い間取り】
1:ロフトと相性が良い
2:2階リビングと相性が良い
3:吹き抜けと相性が良い
4:平屋と相性が良い
1:勾配天井はロフトと相性が良い
勾配天井を検討するならロフトを検討してみてください。
まるで秘密基地のような空間をつくることができます。
ただし諸室にロフトをつくると、あまり使わないロフトになってしまう可能性があるので、ロフトをつくるのであればリビングを勾配天井にし、デッドスペースとなる空間にロフトを設置するといいと思います。
リビングとロフトが繋がることで奥行きが生まれ魅力的な空間に仕上げることができます。
また、リビングにロフトをつくることで、物置として使うことはもちろん、子供の遊び場としたり、簡易的な書斎にするなどロフトの使い方に広がりが生まれ、様々な用途で使うことを検討できるようになります。
リビングとロフト、それに勾配天井は非常に相性が良い組み合わせになります。
>>>ロフトは必要?家づくりでロフトを設置するメリットとデメリット
2:勾配天井は2階リビングと相性が良い
また2階リビングの場合は、平屋のようにリビングの空間に屋根の形をそのまま持ってくることができるのでお勧めです。
特に斜線制限などの各種制限がかかる土地においては、勾配天井にすると天井高を確保することができるので法規を交わす意味でも有効な間取りになります。
>>>2階リビングにする14のメリット・デメリットと注意点、1階リビングとの違いや特徴
ただし、2階リビングに勾配天井を設けると、夏場は暑くなりすぎる傾向にあるので外断熱にするなど暑さ対策は必須になると思ってください。
3:勾配天井は吹き抜けと相性が良い
間取り(空間のとり方)に吹き抜けを取り入れる場合も勾配天井を検討してみてください。
高さと相まってまるで高級リゾート地にあるホテルのような雰囲気の天井にすることができます。
通気性も良くなりますし、勾配天井のリビングから風が入り、家の中を風が通り抜ける気持ちの良い住まいにすることができます。
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4:勾配天井は平屋と相性が良い
立地条件にもよりますが、平屋では建物に高さがないため側面から採光するのが難しいケースがあります。
また平屋は建物の背が低いため、風通しにも不利になります。
そこで平屋では勾配天井にして天井の高い位置にある高窓「ハイサイドライト」を設けるプランを取り入れると日当たりを確保しやすくさらに空気の性質を利用して、家の中を風が通り抜ける風通しの良い平屋にすることができます。
開放感も生まれますので平屋を検討している方は勾配天井や吹き抜けと合わせて間取りを検討してみていただくといいと思います。
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勾配天井にするデメリットや注意点
続いて勾配天井にするデメリットについて解説していきます。
【勾配天井にするデメリット】
1:照明計画が難しくなる
2:メンテナンスに手間がかかる
3:コストがかかる
4:冷暖房効率が悪くなる
5:光熱費が高くなる
6:音が響きやすくなる
7:圧迫感を感じることもある
勾配天井は魅力的な点も多いですが、勾配天井にすることで生まれるデメリットや、注意したい点も多々あります。
これから勾配天井のデメリットや注意点を解説していきますので、プランニングの参考にしてください。
勾配天井のデメリット1:照明計画が難しくなる
勾配天井では空間の広がりが生まれるため一般的な高さの部屋のように照明計画をしていると暗く、明るさが中途半端な部屋になってしまいます。
天井に高さが生まれた分、床との間に距離が生まれ光の反射率が変わったり、天井が斜めになっているため光の当たる角度が変わってくるからです。
雰囲気の良い部屋にするために、部屋のどこをどのように照らすのかなどの、照明の配置計画は普通の部屋よりも難しくなると思ってください。
勾配天井のデメリット2:メンテナンスに手間がかかる
勾配天井にすると照明の交換、それに掃除も大変になりメンテナンスに手間がかかると思ってください。
まず、勾配天井は普通の住宅と比べて天井に高さが生まれるため、照明を取り付ける位置も自然と高くなります。
高い位置に照明が取り付けられると掃除はもちろん、照明が切れた際に取り換えるのがかなり大変になります。
普通の高さの天井であれば、家族に任せて交換できる電球も勾配天井だと床から天井までの間に「高さ」が生まれるため、踏み台や脚立を持ってきて交換するしか方法がありません。
それでも届かない場合は、依頼先の住宅会社(ハウスメーカー)か工務店などの専門の業者に頼んで交換をしてもらわなければならず、なかには即日対応が難しいケースもあり、メンテナンスが非常に面倒になります。
もちろん現在主流のLED電球は持ちが良いので、昔ほど頻繁に取り換える必要性は出てこないかもしれませんが、大事な時に照明が切れてしまい、業者を呼ばなければ対応できないと言ったことも当然起こりうるので切れる前に交換しておくなどの配慮が必要になります。
また掃除の際も大変で、電球周りのホコリとりはもちろん、梁の上にも埃はたまりますので、ホコリが溜まる前に定期的に掃除をする必要があります。
高い位置に設置した窓の掃除も難しく掃除の手間がかかります。
壁紙の張り替え時も一般的なタイプの平らな天井よりも手間とコストがかかると思ってください。
勾配天井のデメリット3:コストがかかる
勾配天井にすると工事費用は高くなります。
勾配天井にすると屋根裏の施工が必要なくなるためコストをかけずに施工できると考えている方も少なくありませんが、実は勾配天井にすると工事費用が高くなりますので注意してください。
勾配天井にすると壁の面積が増えること、天井が高くなると高所での作業になるため仕上げ作業として壁紙を貼る際に家の中に足場を設置する必要があること、工期が長くなり人件費がかかるなどの理由から勾配天井にするとコストアップしてしまうのです。
【勾配天井のコストが高くなる理由】
・壁の面積が増え内装の工程が複雑になり作業効率が下がる
・高所での作業は足場を設置する必要がある
・工期が長くなり人件費がかかる
特に勾配天井が選ばれることの多い、リビングなどの広い部屋では施工面積も広くなるため、勾配天井にするとかなりコストがかかります。
勾配天井にすると一般的な天井と比べて施工費用はもちろんメンテナンスに必要となるコストも上がるものだと思ってください。
※もちろん工夫次第ではコストをおさえることもできます。例えば他の部屋の天井の高さを低くして施工面積を減らしたりする方法が代表的です。ただし設計に慣れていない家で、この方法を使うと高さにチグハグ感が生まれ、統一感のない間取りになってしまうこともあるので注意してください。
勾配天井のデメリット4:冷暖房効率が悪くなる
勾配天井にすると空間が広くなり、屋根裏もなくなりますから、冷暖房効率は悪くなります。
まず空間が広くなると、冷暖房にかかる効率が下がってしまいます。例えば、4畳半の部屋と10畳の部屋では4畳半の方がすぐに暖まりますし、すぐに冷やすことができます。
一方で、部屋の面積が広い10畳の部屋では4畳半の部屋とくらべると暖めるのにも時間がかかりますし、部屋を冷やすのにも時間がかかってしまいます。
冷暖房効率を上げようとすると容量の大きいエアコンを選択する必要がありますが(勾配天井など空間を広く使う間取りの場合、エアコンは容量の大きいものの方がいいです)、そうなると、設備機器の設置に際してのコストアップはもちろんランニングコストもかかってきてしまいます。
また屋根裏は直射日光から室内の温度の上昇を守る役割も果たしますから、そうした屋根裏の機能が期待できなくなります。
>>>家づくりで知らないと損する8種類の屋根の形とそれぞれの特徴
特に先にあげた勾配天井と相性の良い間取りを選んだ場合は、相性は良いのですが、屋根裏としての機能性がなくなるため、性能の良い家を建てないと、夏場は直射日光が降り注ぎとても暑い家になってしまうのです。
これを防ぐためには、外断熱にするなど家の性能(断熱性能)を高める必要があり、家の性能を高めるとコストもアップしてしまうのです。
勾配天井のデメリット5:光熱費が高くなる
勾配天井にすると冷暖房効率が悪くなるので光熱費が高くなります。
光熱費が高くなるということは、案外見落としがちなデメリットでもあるので、あえてここで触れさせていただきました。
勾配天井のデメリット6:音が響きやすくなる
勾配天井にすると音が反響しやすくなります。
これは吹き抜けの際にも言えるデメリットです。
細かい内容については「吹き抜けのリビングにすると後悔する?後悔しがちな間取りの7つのポイントを解説」にまとめてありますので参考にしてください。
勾配天井のデメリット7:圧迫感を感じることもある
あまり言われていませんが、勾配天井は人によっては圧迫感を感じることもあります。
平らな天井に比べて空間全体に高さや開放感がうまれおしゃれに見えますが、案外クセが強く、向き不向きがはっきりと分かれてくる天井になると思います。
特に狭い部屋を広く見せようと勾配天井にした場合は注意が必要で、間取りによっては圧迫感を感じてしまい、居心地が悪くなり、部屋にいられなくなってしまうことも出てきてしまいます。
普段から斜めの天井に接しているわけではありませんから、勾配天井の間取りの取り方によっては、圧迫感が生まれてしまい居心地の悪い部屋となってしまうこともありますので注意してください。
勾配天井で失敗しないための注意点
つづいて勾配天井で失敗しないために注意したい点についても触れていきます。
【勾配天井で失敗しないために注意したい点】
1:勾配天井の範囲を広くする
2:屋根勾配に角度をつける
3:諸室は勾配天井にしない
4:家の性能を上げる
これらのポイントを抑えていただくと、勾配天井にしても快適にお過ごしいただくことができると思います。
勾配天井で失敗しないための注意点1:勾配天井の範囲を広くする
勾配天井にする場合はできれば広範囲で部屋全体で天井の勾配をかけ凹凸をなくしてください。
一部分だけが凹んでいたり、空間の一部分だけを勾配天井にすると言った方法もありますが、空間全体で綺麗に天井に勾配をかけていただいた方が美しく見え雰囲気の良い仕上がりにできます。
家の構造的に難しかったり、予算の関係で一部分を勾配天井にするなどのケースもありますが、勾配天井にするなら、思い切ってできるだけ広範囲を勾配をかけた天井にしてください。
この辺りは見た目や雰囲気、居心地の良さが大きく変わってきますので、徹底していただくと良いと思います。
勾配天井で失敗しないための注意点2:屋根勾配に角度をつける
勾配天井は屋根の勾配に合わせて天井をつくります。
屋根の勾配次第で、どれくらいの勾配になるのか、またどれだけの高さが取れるのかが決まり、屋根に角度をつけ、奥に伸びるほど勾配天井に広がりが生まれ、勾配天井らしさがうまれます。
逆に、屋根の勾配に角度がないと勾配天井らしさが失われ雰囲気が出なくなります。
また勾配天井は屋根の形に大きく影響を受けるので注意してください。
屋根の形が片流れ屋根であれば1方向に高い勾配天井になり、切妻屋根のような中央から折れ曲がった屋根の形をしていれば勾配天井も三角屋根の形になります。
>>>家づくりで知らないと損する8種類の屋根の形とそれぞれの特徴
勾配天井で失敗しないための注意点3:諸室は勾配天井にしない
勾配天井はリビングなどの広い部屋の方が雰囲気が出ますし、おしゃれに見えます。
逆に寝室、子供部屋、書斎などの比較的狭いスペースの諸室は勾配天井には向いていません。
諸室などの狭い空間を勾配天井にしてしまうと、おしゃれに見えることもありますが、空間に圧迫感が生まれ居心地の悪い空間になってしまうのです。
特に寝室は間取りの取り方や勾配天井のつくりかたによっては、安心して眠れない落ち着かない空間になってしまうこともあるので注意してください。
諸室のスペースが広ければ圧迫感は生まれづらくなりますが、あまり広くない部屋を勾配天井にしてしまうと妙に落ち着かない部屋になってしまうのです。
この辺りは感覚として味わってみないとわからないと思いますので、勾配天井のある諸室を体験するために、住宅展示場などへ足を運んで肌感覚として味わってみてください。
勾配天井で失敗しないための注意点4:家の性能を上げる
勾配天井のデメリットでもお話ししましたが、勾配天井にすると部屋が広くなり容積が増え、空間が広くなると冷暖房効率は下がってしまいます。
だから勾配天井で失敗しないためには、家の断熱性能や気密性能を上げることは必須だと思ってください。これはもうマストだと思ってください。
できるだけ断熱性能が高い建材を使う
特に家の断熱は「内断熱」ではなく「外断熱」とし天井裏の断熱性を高めることが必要です。そしてできるだけ断熱性能の良いものを使ってください。
なぜなら夏の直射日光は通常の断熱方法を取った場合、家の中まで屋根の温度が伝わってきてしまい、夏場は暑くていられない空間になってしまうからです。
断熱性能や気密性能が悪い家で勾配天井をつくってしまうと部屋の冷暖房効率が下がり、せっかく冷やしたり暖めたりしても冷気や暖気がすぐに逃げてしまい、ランニングコストばかりがかかってしまう家になってしまいます。
シーリングファンで上下の空気を循環させる
また勾配天井にした場合は、吹き抜けの間取りと同じように高い位置にシーリングファンを導入して、上下の空気の循環を促してください。
暖かい空気は上に集まるのでファンを回し暖かい空気を下に落としてあげることで、室内の空気が循環し冷暖房効率が上がります。
勾配天井にシーリングファンをつける際のポイント
シーリングファンは勾配天井に対応していないものも多いですが、下地材の補強をすれば取り付けることができます。
コストはかかりますが、冷暖房効率が違ってきますので勾配天井にもシーリングファンを取り付けていただくことをお勧めします。
ただし必ず勾配天井に対応したものを選んでください。
シーリングファンは天井近くの高い位置につけた方がいいの?
シーリングファンをつける高さによってそこまで冷暖房効率に差は生まれません。
だから高い位置に暖気が溜まりやすいからと、天井に近い位置だったり、高い位置に付ければいいというわけではありません。
ただし天井から高い位置に設置した方がファンが回る際にかかる天井への負担は少なくなるメリットはあります。
シーリングファンの高さは床面から3m程度がお勧め
勾配天助の場合、シーリングファンの設置の高さは床面から3m程度の位置ならメンテナンスがしやすくなります。
3m程度でしたら掃除も楽になりますし、また故障したり交換したりする場合も室内に足場を設置することなく、修理や交換をすることができるのでメンテナンスにかかるコストを下げることもできます。
勾配天井では照明付きのシーリングファンを選んだ方がいいの?
勾配天井に照明付きのシーリングファンはあまりお勧めしません。
シーリングファンは部屋の中央に配置することが多いため、ファンに照明をつけてしまうと均一に照らしてしまうのでせっかくの勾配天井のよさが活きてこないことが多く、おしゃれな空間になりづらいのです。
照明計画はどんな時でも一室多灯で考えることが基本です。
照明はきちんと計画して、床や天井、壁を効果的に照らすことで雰囲気の良い心地いい空間を作ることができるのです。
部屋の大きさとシーリングファンの大きさはバランスを見る
シーリングファンのサイズは、部屋の大きさを考えてバランスを見て設置するようにしてください。
床面からの高さはもちろんですが、部屋の大きさとシーリングファンの大きさがアンバランスだとデザイン的にあまり好ましくありません。
またシーリングファンを配置する場所も十分に検討して配置するようにしてください。
部屋のバランスと配置位置が合っていないとそれだけで雰囲気が崩れどこかギクシャクした空間になってしまいます。
まとめ
今回は勾配天井のメリットやデメリットをはじめ勾配天井の注意点について解説してきました。
勾配天井にはメリットもあれば、あまり気がつかないデメリットもあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
今回の記事では勾配天井で失敗しないためのコツやポイントについても合わせて解説してありますので、ぜひ参考にしていただいてあなたの家づくりに活かしていただけたらと思っています。