>>>「家を安く建てる7つの基本」はこちら

リビングとダイニングは一緒にする?吹き抜けがいいの?3つの間取りの悩みをズバッと解決!

注文住宅で家を建てると決めたとき、どうせなら憧れの間取りに挑戦したい。誰もがそう思います。

ただ家づくりのプロから言わせてもらうと人気の高い間取り(空間のとり方)には必ずメリットがあればデメリットがあり、それぞれの家族のライフスタイルに合わせて悩み、進め、慎重に決めていく必要があるように思います。

理想とする間取りと住み心地の良さは必ずしも一致しないからです。

何も考えずに「憧れだったから」、「住み心地が良さそうだったから」という理由で安易に間取りを決めてしまうと、実際にそこに住み生活を始めてみてから「住み心地が悪い」と感じたり、「収納が少なくてモノが溢れているな」と思ったり、「何かどうもしっくりこない・・・不便だな」と感じてしまったりと数々の問題を抱えてしまう家になります。

これは言い換えればあなたの家族の生活スタイルにその間取りが適していないことから生まれてしまう間取りプランの失敗と言ってもいいでしょう。

そして、そうした間取りの失敗をなくすためには必ず事前に家族での話し合いの場をもうけ、設計士にも家族のライフスタイルを伝えた上で話し合い、何度も何度も打ち合わせを重ね、充分すぎるほど充分な時間をかけてプランを作成していく必要があります。

そこで今回は、注文住宅で人気の高い間取りの中からリビングダイニングで良くみられる間取りの悩みをあげ、それぞれの間取りのメリットとデメリットを提示しつつ、どちらの間取りを選べばいいのかプロとして個人的な見解について述べさせていただきます。

また単に人気の高い間取りのメリットやデメリットを提示するだけではなく、どうすればより住み心地の良い間取りにできるのか、そのテクニックについても触れていきます。

もちろん家は、それを建てる場所やご家族のライフスタイルに応じて適する間取りと適さない間取りがあります。

ですからあくまでここでの話は一般論になります

ですが、一般的なご家庭で考えた場合、その間取りを選んだ際どのような問題が生じがちなのか、なかでも今回はリビングとダイニングの関係をどう扱えばいいのかについてお答えしていこうと思います。

【いい家を安く建てるために知っておきたいこと】

注文住宅を予算内で建てるために、住宅会社に依頼する前に知っておいて欲しいことが3つあります。

依頼前に家の価格を抑えるための基本やコツを知っておくことで、いい家を安く建てることができるようになりますので参考にしてください。

1:家を安く建てるための基本とコツ

注文住宅を予算内で建てるにはコツがいります。それには家の価格の決まり方や、どのように対処すれば家の価格を抑えることができるのかを把握しておかなければなりません。

予算内でいい家を建てるための7つの基本は下記リンク先の記事をご覧ください。

>>>家を安く建てる方法とコストダウンの7つの基本

2:家の形と家の価格の大きな関係

家にはお金のかかる形の家と、お金がかからない形の家があります。

家の形は家の価格を大きく左右する要素の1つですので、家の形と家の価格の関係はしっかりと抑えておくべきです。

どのような家の形はお金がかかり、どのような形にすればお金がかからないのか、またそれぞれの家の形の特徴については下記リンク先の記事をご覧ください。

>>>家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い

3:無料でカタログを請求し理想の家を建てる方法

注文住宅は依頼先で決まります。だからこそ、依頼先は慎重に検討したいところですが、検討するにはまずはどんな家を建てたいのかを知らなくてはなりません。

無料で住宅会社から請求できる住宅カタログを請求して、理想の家を建てる方法については下記リンク先の記事を参考にしてください。

>>>無料で貰える住宅カタログを使いこなし賢く家を建てる6つのステップ




Contents

注文住宅の間取りプラン作成時に迷いがちなリビングダイニングの3つの悩み

それではここからはリビングの計画をたてる際に悩みがちな間取りのメリットとデメリット、それによりリビングダイニングで快適に過ごしていくための間取り上のプランの工夫やテクニックについてお話ししていこうと思います。

一概には言えませんが、むしろこれからはじめて家づくりをされる方が理想とする間取りは日本の住環境においては悪さをしてしまうケースが多く、だからこそ本当にその間取りはあなたの家族がこれから住むのに適しているのかを慎重に考えて充分に検討し決断する必要があるように思います。

リビングとダイニングの間取りでよく聞く悩みは、下記の悩みが代表的です。

【注文住宅で良く聞くリビングダイニングの3つの悩み】

1:リビングダイニングは一緒にした方がいいのか?
2:リビングイン階段は必要か?
3:リビングを吹き抜けにした方がいいのか?

下記からそれぞれの間取りのメリットとデメリットについてお話ししていきますので、よく考えた上で慎重に検討しそれぞれの間取りを選ぶようにしてください。

それぞれの間取りを選ぶなら検討したい間取りの工夫や間取りのテクニックについてもお伝えしていきますのでこれから家づくりのプランを検討される方は参考にしてください。

1:リビングダイニングは一緒にした方がいいのか?

リビングとダイニングを壁などの間仕切りで分けた間取りにするべきか、それともリビングとダイニングを一緒にして一続きの間取りとするべきか、この悩みはこれから注文住宅を建てようとする方から本当によく聞く悩みです。

リビングとダイニングを一緒にした方がいいのか。

この悩みについては結論から言うと、どちらでもいいと思いますし、それぞれのライフスタイルに応じていずれかの間取りを選択していけばいいと思います。

ただ、個人的な意見を言わせて貰えば、多くの家づくりをされる方を見てきた中で思うことは、リビングとダイニングは一緒にしてしまった方が家を建てて住み始めてからの満足感は高くなると思います。

リビングとダイニングを別々の間取りにするよりも人の流動性はもちろん利便性も高まると思いますし、リビングとダイニングの問題はあまり深く考えずに一緒にしてしまった方がいいのではないかと思います。

実際、打ち合わせの際に間取りづくりで悩むものの、メリットとデメリットを家族の生活スタイルにあてはめ、時間をかけてなぜこのプランがご家族に適しているのかをきちんとお話しすると最終的にはリビングとダイニングを一続きにしてリビングダイニングにするご家族の方が圧倒的に多い印象を受けます。

つまり、リビングとダイニングを一続きにしても、デメリットよりもメリットの方が大きくまさり、そこまでデメリットが際立つケースは少ないのです。

逆にどうしても別々の間取りにしたいとおっしゃり、リビングとダイニングを別にしたご家族に後から話を伺うと、「やっぱりリビングとダイニングは一緒にした方がよかった」と後悔される方が多い印象を受けます。

リビングとダイニングを一緒にするメリット

リビングとダイニングを一緒の間取りにする最大のメリットとしては、ひとえにリビングが広くなることにあります。

リビングとダイニングを一続きの間取りにすることでリビングから眺めてもダイニングから眺めても、どちらから眺めても視線が抜けるため、広く開放的な雰囲気になります。

ひと部屋あたりの面積が広がるわけですから、家にお客さんをよんでパーティーをするときなどにも便利になりますし、それぞれの間取りを分けるための間仕切りがないため広く伸び伸びとした空間でゆったりと過ごすことができるようになります。

また、本来なら別々の役割を持つリビングとダイニングが一続きになるので、家族間でのコミュニケーションも自然と増えることでしょう。

・コストがおさえられ、狭小地や都市部の住宅にも向いている

比較的土地が狭い都市部の家や住宅街に建てられる家は、リビングにゆったりとした広がりを持たせるためまず間違いなくリビングダイニングをつなげたプランになります。

リビングダイニングにすると部屋と部屋の間を隔てる壁などの間仕切りがなくなるので非常にすっきりとした空間にすることができますし、一般的な家では建築コストをおさえることも期待できます。

注文住宅を建てるときの建築コストを大きく左右する要素として「間仕切りの数」があり、間仕切りの数を減らす事で建築コストをおさえることができるのです。

【リビング階段の家にすると高くなるの?それとも安くなるの?】

リビング階段の間取り(空間の取り方)にしたことによって、家の価格(総費用)が高くなるのか、それとも安く建てられるようになるのかはケースによって異なります。

家の価格を大きく決定づけるのは、基本的に「7つの要素」の組み合わせであり、もしもコストをおさえたいのであれば、依頼前に「7つの要素」をしっかりとおさえておく必要があります。

注文住宅を安く建てるコツについては下記リンク先の記事にまとめてありますので参考にしてください。

>>>家を安く建てる方法とコストダウンの7つの基本

・「引き戸」を使えばリビングとダイニングを分けることが可能

急な来客時に部屋が散らかっていると困ると言う理由でリビングダイニングを一続きにすることを躊躇される方もいらっしゃいます。

ケースに応じて部屋を2つに分けることができないかといった相談を受けることもありますが、これは対応可能です。

ようは間取りプラン作成時に、部屋と部屋の間に「引き戸」などの間仕切りを隠し扉として仕込んでおけば良いのです。

収納可能な間仕切りとして「引き戸」にすることで、普段はリビングダイニングを一続きにして開放的な空間にしておきながらも、急な来客があった時にだけ「引き戸」を閉め、リビングとダイニングを2つの部屋に分けられるようにすればいいのです。

・リビングとダイニングを一続きにすることで空間稼働率が上がる

またリビングとダイニングの境界線が曖昧になることで、それぞれの空間に行き来しやすくなるため間違いなく空間稼働率が上がります。

それぞれの部屋を行き来するのに「壁」や「ドア」「扉」などがあるとそれが障害となり移動するのが面倒になりますが「間仕切り」がないことで人の往来が活発になるからです。

子育て中の場合は、リビングで家事をしながらダイニングテーブルで勉強している子供の様子を見守ることもできますし、広い空間でのびのびと子育てができたり、家族間の会話が増えたりするなど家族で過ごす時間をふやすことも期待できます。

リビングとダイニングを一緒にするデメリット

では逆にリビングとダイニングを一緒にすることで生まれるデメリットは何か。

それはダイニングにいてもリビングの音が聞こえてきてしまうことで、逆にリビングにいてもダイニングの音がそのままダイレクトに聞こえてくる間取りになってしまいます。

本来であれば必要となる壁を取っ払ってしまうのですから音やニオイの問題は隠しようがありません。

さらに言えば、リビングからもダイニングからもお互いの部屋の状況が見えるためリビングにモノが散乱していると、空間全体が汚らしく見えたり、食事に集中できないといった声もききます。

・生活リズムが違うとリビングの機能に支障をきたすこともある

繰り返しになりますが、リビングとダイニングを一緒にすると、食事中の匂いや音などもリビングまでダイレクトに届いてしまうようになります。

これは家族の「あり方」によっては大きな問題を抱えてしまうケースもあります。

特に生活リズムが違う家族間が同居するケースや、夜遅い時間帯に帰宅し、子供がリビングでテレビを見ている時などはお互いが気を使うようになりどちらにいても落ち着かない空間になってしまうこともあります。

そこにキッチンを合わせてリビングダイニングキッチンとすると、音やニオイの問題はさらに大きなものとなり食器を洗う音でテレビの音が聞こえなかったり、家事をしている際はカチャカチャとうるさくてリビングでリラックスできないといった問題も生じてきます。

いずれにせよ、リビングとダイニングを一続きにすると音やニオイの問題が付き纏うと言うことはプランに組み込む前に覚えておかなければなりません。

・清潔感を保つのが難しくなる

また、先ほども少しだけ触れましたがリビングとダイニングが一続きの空間になるため、リビングの生活感はダイニングにまでそのまま持ち込まれるようになります。

つまり、リビングの生活感はダイニングにも影響してくるため、リビングに子供のおもちゃが散らかっていたり、掃除が行き届いてなかったりして、リビングが荒れてきてしまうとダイニングまで汚く見えてしまうようになります。

またリビングとダイニングの境界線がなくなることで、どんなに気を付けていてもダイニングにまでリビングのものを持ち込むようにもなります。

きちんと整理整頓されていないと物で溢れてきますし、片付けるのも面倒で、リビングとダイニングで清潔感を保つのが難しくなるデメリットもあります。

・急な来客時に対応できないこともある

さらに急な来客時などにはモノを片付けるのに慌ててしまうなどデメリットとなることもあります。

もちろん、この問題に対しては「引き戸」を使うことで、対応することはできます。

ただしダイニングにまでリビングのものが溢れ、ダイニングの機能に悪影響を及ぼしていた場合は片付けが必要になりますので注意してください。

※昨今はほとんどの家庭で家に他人をあげるという機会も少なくなっており、案外急な来客時に部屋を2つに分ける機会は少なく、あまり問題とならないケースも多いです。

居心地の良いリビングダイニングにするための間取りのテクニック

ここからは居心地の良いリビングダイニングにするための間取りの工夫についてお話ししていきます。

【居心地の良いリビングダイニングにするための5つの間取りのテクニック】

1:リビングとダイニングを分けるための引き戸をつくる
2:リビング側に隠せる収納を増やす
3:リビングとダイニングの段差をなくす
4:リビングとダイニングをつなぐ回誘動線にする
5:コンセントを抜き差しせずに掃除をかけられるような配置にする

それぞれの項目の詳細については下記に記していきます。

1:リビングとダイニングを分けるための引き戸をつくる

リビングとダイニングを一緒にするなら是非検討していただきたいのが壁に収納できるタイプの「引き戸」です。

壁に収納できるタイプの「引き戸」があると何かと便利で、普段はリビングとダイニング2つの部屋を一続きにしておいて、必要に応じて部屋を分けるといったような使い分けができるため、非常に使い勝手が良いリビングダイニングになると思います。

ただし引き戸は床に溝があるタイプのものを選ぶと溝にホコリが溜まり掃除が面倒になったりしますので、引き戸をつくる場合は、天井からぶら下げるタイプの引き戸を選ぶと良いと思います。

2:リビング側に隠せる収納を増やす

リビングダイニングにするデメリットとしてリビングのものがダイニングにまで影響することをあげましたが、これらはリビング側に隠せる収納をつくることで解決できるケースも多いです。

2つの間取りをつなげるときに壁の中に隠せるタイプの造作収納をつくると、モノで溢れがちなリビング周りのモノを手間なく簡単に収納することができますし、何よりもモノを隠せるように収納を造作することで見た目がスッキリします。

また、隠せるタイプの収納スペースをリビングにつくると毎日の掃除が楽になりますので、リビングとダイニングを一続きの空間にしようと検討している方はリビング側に隠せるタイプの造作収納をつくることを検討してみてください。

3:リビングとダイニングの段差をなくす

段差をなくすと掃除が楽になります。

段差や隙間には埃が溜まりやすいからです。

そして段差をつくらないことから生じるメリットは案外多く、安全面を考慮した場合はできるだけ家の中には段差はつくらない方がいいのです。

人間の感覚は非常に優れているので、それがほんの数ミリのちょっとした段差でもつまづく時は派手につまづきます。

また、昨今はロボット型の掃除機も流行っていますし、現在のところ多くのロボット型掃除機は段差が多い家に対応していません(もちろん長い目で見れば対応する可能性もあります)。

そして何よりも実際に段差をなくすと掃除機をかける際などに一気に隅々までかけられるので段差がないことの快適さを実感していただけると思います。

さらに、段差がないと空間がスマートに見え実際の面積よりも広く感じられるメリットもあります。

・スキップフロアは積極的にはお勧めしない

もちろん壁をつくる代わりにそれぞれの間取りを段差で分けて区切るスキップフロアのテクニックがあることは知っています。

そしてスキップフロアにもメリットがありプランによってはそれが有効に働くこともあります。

ですが、あくまでもスキップフロアは特殊な間取りのためそこで生活をすることを考えた場合、積極的に取り入れることはあまりお勧めしません。

スキップフロアは間仕切りをなくし、間仕切りの代わりに段差をつくることで空間に動きをつけて人の流れを活発化させる間取りにできますが、同時に段差があるとつまづきやすくなったり家の中で些細なことで怪我をしやすくなるからです。

そしてスキップフロアが多いほどまるで迷路のようなつくりになり、見ているぶんには楽しいのですが、実際にそこで暮らすとなると話は別で、ある種の「住まいとしての面倒さ」を受け入れる器が必要になります。

スキップフロアの間取りは遊びがあって、建築家心はもちろん、はじめて家を建てる方にも魅力的にうつるのは知っていますが、実際にそこで生活する「住まいの場」にスキップフロアを取り入れるとなると、それなりの工夫と住む人の覚悟が必要になると思います。

※勘違いなさらないで欲しいのは、私はスキップフロアを否定しているわけではありません。

そして、ケースによってはスキップフロアは有効になることもあります。

スキップフロアのメリットやデメリットなどについては下記にリンクを貼っておきますので参考にしてください。

>>>スキップフロアの間取り27のメリットとデメリットと7つの活用実例

4:リビングとダイニングをつなぐ回誘動線にする

回誘動線とは部屋と部屋の間を一方通行にするのではなく、2つ以上の方向からぐるりと回れる動線にすることを言いますが、リビングダイニングにする場合は、回遊動線も合わせて検討してみてください。

リビングとダイニングをつなぐ回遊動線にすれば家事の際などにも無駄なく移動できるようになるので、想像以上に快適になると思います。

5:コンセントを抜き差しせずに掃除をかけられるような配置にする

リビングダイニングで意外と盲点なのはコンセントの位置です。

最近はコードレス型の掃除機もありますが、コンセントに差し込むタイプの掃除機は、まだまだ根強い人気をほこっています。

だからこそコンセントの位置にも気を配る必要があり、無駄なく動ける中間ポイントにコンセントを配置する必要があります。

部屋を跨いで掃除機をかける際に、コンセントの抜き差しをせず掃除機がかけられるようなプランで設計すると掃除の際にも便利になり、非常に使い勝手が良いリビングダイニングになります。

リビングとダイニングをつなげたプランにする場合は、必ずコンセントの位置はどこが適切かを十分に検討してください。

こうした細かいところに気を配ることができるかがどうかが、家を建てた後の生活のしやすさを左右しますし、家づくりが成功するのかそれとも失敗に終わるのかの分かれ目になってきます。

注文住宅の家づくりの現場では、それぞれの家庭に合わせてそこで生活をすることを考えた細かい気配りこそが大事なのです。

注文住宅を建てる際にコンセントの位置に悩んだら下記の2つの記事を参考にしてください。

コンセント配置のコツについては下記リンク先の記事を・・・

>>>注文住宅のコンセントの位置で失敗しないコツと8つのポイント

あると便利なコンセントの配置の仕方については下記リンク先の記事を参考にしてください。

>>>注文住宅で使いやすいコンセントの配置の仕方と、あると便利な22ヶ所のコンセント

2:リビング階段(リビングイン階段)は必要か?

リビングとダイニングの問題で次に多い悩みが、リビング階段(リビングイン階段)にするべきかどうかと言う悩みです。

実際、リビング階段にした方がいいのか、率直に言います。

結論から言うと、リビングダイニングの間取りと同じように、どちらでもいいと思いますが、家族の「あり方」やライフスタイルによってはリビング階段は好ましくないケースもあるように思います。

例えば来客が頻繁にある家や、普段から家族間でのコミュニケーションが希薄なご家庭などではリビング階段にするとデメリットの方が際立つような気がします。

リビング階段のメリットとデメリットをまとめた記事にも書きましたが、リビング階段は空間全体を広く見せる効果があったり、リビングをデザイン的におしゃれに見せる効果がありますが、その代わりにニオイや音が2階に伝わりやすくなってしまったり来客者と必ず顔を合わせる間取りになってしまいます。

頻繁に来客があるご家庭では、部屋着で外部の人と接触することになってしまったり、化粧気のない家での顔など家の外の人に見せたくない姿を見せることになる可能性もあるため、リビング階段にするかどうかは慎重に検討する必要があるかと思います。

また、トイレを一階にしかつくらないプランの場合は、リビング階段を通らないと用が足せなかったり、家族間のコミュニケーションを活発にしようとリビング階段にしても、ご家庭によってはうまくいかず、むしろ逆効果となるケースもありますので慎重に検討するようにしてください。

※リビング階段のメリットやデメリットについては下記リンク先の記事にまとめてありますので参考にしてください。

>>>リビング階段のある家の10のメリットとデメリット

リビング階段にするメリット

リビング階段のメリットは、まず第一に部屋が広く見えることです。

写真のように同じ広さのリビングでもリビング階段とすることで視界が開け開放感のある空間になるのです。

リビング階段の違い 写真:株式会社ポラリス・ハウジングサービス

また、リビング階段は特に吹き抜けの間取りとも相性が良く、リビング階段と吹き抜けの間取りを上手に組み合わせると空間デザイン上家がおしゃれな間取りになる効果をもたらします。

独立型の階段にすると暗くなりがちな階段も、リビング階段にすれば自然の光が降り注ぐ明るい階段になり印象も爽やかです。

家族が2階の部屋に移動する時も、必ずリビングを通ることになるため一般的にはリビングにいる家族間のコミュニケーションがとりやすくなるメリットもあります(先ほども言いましたが、そうでない場合もあります)。

独立型の階段で必要となる壁や扉がなくなるので、建築コスト(総費用)もおさえる事ができますし、上下階に移動する際の動線もスムーズになり、空間の動きが活気付きます。

リビング階段という「抜け」をつくることで上下階のコミュニケーションも活発になりますし、家族の接点が増えたりリビングに自然と集まりやすくなる効果がもたらされるため家族の息遣いがより感じられる間取りになると思います。

また、余談ですが子育て世代の方は2階で赤ちゃんを寝かしつけておいても子供が泣くと声が聞こえるので安心してリビングにいれると言う声もあります。

・階段下スペースは階段下収納として利用する

リビング階段にすると階段下のスペースは無駄なスペースになってしまいがちですが、リビングの収納場所として考えて「見せる収納」もしくは「隠す収納」にして階段下のスペースを有効活用するとより空間を有効に活用できるようになります。

リビング階段にするデメリット

一方でリビング階段にすると、家族間のプライバシーを保つことが難しくなります。

リビング階段にすると上下階がリビングを通してつながり家の間取りに一体感が生まれるため、それぞれの間取りが緩やかにつながるようになるからです。

そのため音も匂いも上下階で筒抜けになりますし、何も対策をせずにそのまま適当にプランに組み込んでしまうとリビングで観ているテレビの音は2階の部屋の中まで丸聞こえというなんとも言えない家になってしまったりします。

そしてこれはポジティブに働くケースもあれば、逆にネガティブに働いてしまうケースもあります。

・生活リズムが違う2世帯住宅には向いていない

例えば、生活リズムの違う二世帯が一つ屋根の下に暮らす二世帯住宅など、それぞれの家庭のプライバシーを保ちたい際はリビング階段はやめておいた方がいいでしょう。

現役で働いている世代は夜遅くに帰宅することが多く夜型の生活になるでしょうし、現役を退いた世代は夜早く寝て朝早く起きると言う朝方の生活になります。

そうなると生活リズムがバラバラになり、お互いの世帯間の生活リズムの違いからストレスに感じてしまう機会が多くなってしまうからです。

>>>二世帯住宅で気をつけたい失敗しがちな間取りの話と税金などのお金の話

※二世帯住宅を建てる前に知っておきたい4つの間取りについては下記リンク先の記事にまとめてありますので参考にしてください。

>>>二世帯住宅を建てる前に知っておきたい4つの間取りと38のメリットとデメリット

もちろんそうしたケースでもデメリットを知った上でリビング階段を取り入れるのかは自由です。

実際、家族間で仲が良いのであればリビング階段にすることでより2世帯間のコミュニケーションは活発になることだろうと思います。

・来客時の対応は難しい

また来客があった際はプライバシーの確保が問題になることが多くパーテーションなどで目隠しをしたとしても、リビングの音は聞こえてしまいます。

ですから対応は難しくなります。

・冷暖房効率は悪くなる

さらに言うとリビング階段にすると冷暖房効率は悪くなります。

現在の家は断熱性や気密性などの性能に優れているため、よっぽどの寒冷地に住んでいない限りあまり冷暖房効率は気にする必要はないかと思いますが、やはりリビング階段を取り入れた間取りとそうでない間取りを比較すると冷暖房効率は悪くなるので注意してください。

リビング階段にするなら検討したい間取りのテクニック

続いてリビング階段にするなら検討したい間取りのテクニックについてお話ししていきます。

【リビング階段にするなら検討したい4つの間取りのテクニック】

1:リビングを吹き抜けにする
2:階段下収納として活用する
3:カーテンまたはパーテーションを取り入れる
4:階段下に引き戸を設置する

1:リビングを吹き抜けにする

実は、リビング階段と吹き抜けは非常に相性の良い間取りです。

吹き抜けにするとリビング階段だけの間取りよりも音や匂いが家の中に伝わりやすくなる問題も生じてきますが、吹き抜けの間取りをリビング階段と組み合わせるとリビングが開放的で明るい空間になり、家族が生活する中心となる「場」がより華やかなものとなります。

ただ吹き抜けにした場合はエアコンを通常使うものより大きくしたり床暖房を取り入れるなどをして寒さ、暑さ対策をすることを忘れないでください。

2:階段下収納として活用する

リビング階段の下のスペースはデッドスペースとなりがちですが、リビング側に向けて階段下収納として活用すればリビング周りの物を収納する場所として有効的に活用することができます。

実際、リビングは収納スペースが特に不足しがちなのでリビング階段にしてしまい、階段下のデッドスペースをリビング周りのモノを収納するスペースとして活用するのは非常にいいアイデアになると思います。

それにリビング階段はつくりによってはそのままデッドスペースのままにしておくと、階段の隅に頭をぶつけてしまうなどの危険性が生まれますが収納スペースにすることで事故を防ぐ効果もあります。

・階段下収納内にコンセントを配置するとより快適になる

階段下収納は大きな収納をつくりやすく掃除用具などの比較的大きな家電製品はもちろん、Wi-Fiルーター、ルンバなどのロボット型掃除機の待機場所などに主に使うことが多いように思います。

ですから、家電類の収納を想定して、収納スペースの内外部の適切な位置にコンセントを設置しておくとより賢い用途で収納できるようになります。

収納内部のコンセントの数はそこに暮らす家族のライフスタイルによって違うかと思いますが、ギリギリの数より気持ち多めに設置しておくと良いでしょう。

もちろん別の使い方として、ストック物をしまっておいたり書庫として使うことも検討できますので、何を収納するのかその具体的な使い方はそれぞれのライフスタイルに応じて自由に決めていくといいと思います(なかには小さな書斎スペースとしている人もいます)。

※Wi-Fiルーターは部屋の中で見える場所に置くと部屋全体の統一感が失われ違和感が生まれてしまう代表的なもので、何かと置き場所に困ることが多いものです。だから、そうした違和感を生むものは階段下収納に隠してしまうのです。

・収納には「隠す収納」と「見せる収納」がある

収納にはモノを「隠す収納」とモノをあえて「見せる収納」がありますが、リビング階段下を「隠す収納」にした場合は階段下の天井高の違いに注意してください。

階段下収納では天井高が段になり、場所によって高いところと低いところに高低差が生まれますので、収納場所によってそこに収納できるモノが大きく変わってきます。

ポイントとしては事前に「何を」「どこに」収納するのかまで、決めておくことです。

そうすると使い勝手の良い階段下収納が出来上がります。

また「隠す収納」の場合はドア(扉)をつけて隠せるようにするのか、階段下の高さを活かして一段一段に引き出しをつけて「隠せる収納」にするのかが問題になります。

この時、もしも、階段の高さに合わせて一段一段引き出しをつくった場合は見た目のデザインは良くなりますが、同時に収納にの問題を抱えてしまったり出し入れの際にかえって面倒となることもあるので慎重に検討してください。

・収納力だけではなく、収納した物の取り出しやすさにも注意が必要

ドアをつけて「扉付きの階段下収納」とした場合も扉一つあるだけで出し入れが面倒となることもあります。

ですから、如何にしてモノの出し入れをしやすくするのか設計上の工夫を凝らす必要があります。

例えば、扉付きの階段下収納でよくある問題としては、空間を無駄なく使用できる一方で、収納スペースの奥の方に置いた物が取り出しにくくなることがあります。

これは置き場所を決めずに何でもかんでも収納してしまうことから生じる問題ですから、事前にどこに何をおくのかまで決めておくことで解決できます。

また、収納スペースに奥行きがある場合は、奥のものを効率よく取り出せるように通路となるスペースには、極力モノは置かないようにするなどの配慮が必要になります。

・階段下収納には必ず照明を設置しておく

また意外と階段下収納内に照明があると便利ですので設置をお勧めします。

階段下収納を検討する際に照明を設置するかどうか検討することは少ないように思いますが、階段下収納の天井には照明を設置しておくと使い勝手が格段に上がります。

特に収納スペースに奥行きがある場合、奥に収納したモノは暗い場所となり見つけにくく取り出しにくくなりがちになってしまいますので、照明があることで、物の出し入れがしやすくなります。

夜間に探し物をするときにも便利ですし、昼間でも収納内部を明るく照らしてくれるので使い勝手が本当に良くなります。

・「見せる収納」はギャラリーを意識する

一方で見せる収納にした場合は階段の段差による高さの違いを活かし「ギャラリーのような収納」にするとすっきりと収まります。

ただ、「ギャラリーのような見せる収納」は、好きなものをあえて見せることで空間全体に彩りを与え、リビングを華やかなものとしてくれる一方で、地震などが起きると飾り棚の物が一気に崩れ落ちてしまうリスクもあるので、安全性の問題を抱えることもあるので注意してください。

当然のことながら「見せる収納」を選んだ場合は、置くものは「見せられるもの」や「映えるもの」に限定されるため一般的な収納力を期待してはいけません。

なかには「見せる収納」にしたことで一つの部屋としての統一感が失われ、かえってごちゃごちゃとした雑多な印象を与えてしまうこともあるので注意してください。

見せる「オープン型の収納」にした場合は壁や扉をつくる必要がなくなる分、「隠す収納」よりも建築コストも削減できるケースも多いです。
※「見せる収納」は収納できる物がかなり限定されるため、延べ床面積が取れない家など収納が不足しがちな家には向いていません。

3:カーテンまたはパーテーションを取り入れる

リビング階段の間取りは寒さが問題点としてあげられるケースが多いですが、寒さ対策であればカーテンを設置したりカーテンロールなどでパーテーションをつくってあげることである程度寒さを緩和できます。

またカーテンやパーテーションは目隠し効果もありますので、リビング階段の空間のとりかたによっては来客時に顔を合わせることなく2階スペースと1階を行き来できるようにもなります。

4:階段下に引き戸を設置する

3階建ての狭小住宅などで良く見られますが、階段下に「引き戸」を設けると寒さ対策になりますし防音効果もあがります。

階段下に引き戸を設ける場合のコツとしては下の段にある程度のスペースを設けておくと、階段を昇る時も降りる時も引き戸を引きやすくなりますのでリビング階段に引き戸をつくる際のテクニックとして覚えておくといいと思います。

ただし階段下の引き戸は開け閉めが面倒となることが多いので、普段は開けっぱなしになっている場面が多くなると思います。

3:リビングを吹き抜けにした方がいいのか?

リビングとダイニングの問題で多い悩みの一つが、リビングを吹き抜けにするかどうかと言う悩みです。

実際、リビングは吹き抜けにした方がいいのか。

結論から言うと、一般的なご家庭では吹き抜けは必要ないと思います。吹き抜けを積極的にお勧めしない理由としてはメリットよりもデメリットの方が際立つからです。

吹き抜けはデザイン的には魅力的に思えますが、感覚としては7:3くらいの割合で吹き抜けにすることで生じるデメリットの方が際立つと思っておいてください。

吹き抜けにすると採光しやすく部屋が明るくなったり、風通しもよくなりますが、同時に新たな問題として音は響くし食べ物の匂いも家中に充満するようになります。そして冷暖房効率は悪くなります。

もちろん絶対解ではなくケースによって選択すべきで吹き抜けが有効的に働く場合もあります。

ですから、私が吹き抜けはデメリットが際立つからやめておいた方がいいと言ったからといって吹き抜けにすることを避けるのではなく、敷地の状況やご家族のライフスタイルなどによって吹き抜けとするかは慎重に議論し使い分けるようにしてください。

例えばリビングの日当たりが悪くなってしまうことが想定される場合や、そのままのプランでは風通しが悪くなってしまうケース、部屋の広さが足りずリビングが狭くなりすぎて圧迫感を感じてしまうケースなどは吹き抜けを検討する必要が出てくるように思います。

ただ、一般的な広さの家庭の場合はあまり積極的にお勧めはしません。

※吹き抜けのメリットとデメリットについては下記リンク先の記事にまとめてありますので合わせて読んでいただくとより一層理解が深まると思います。

吹き抜けにすることで生じるメリットやデメリットについてわかりやすくまとめてあります。

>>>吹き抜けの家にする12のメリットとデメリット

リビングを吹き抜けにするメリット

リビングを吹き抜けにする最大のメリットは、天井高をあげることでゆったりと開放感のある明るいリビングにできることにあります。

吹き抜けは高い場所に窓をつくることで採光もしやすく、加えて風通しも良くなりやすい間取りの特徴があります。

また狭小地などでリビングの床面積を確保できない場合に、空間を縦に広げることで程よい抜け感が生まれ、狭さを感じさせず開放的で心地よいリビングにすることができます。

都市部などの狭小地に家を建てる場合は、それぞれの空間が限られたスペースを取り合ってしまい住み心地が悪くなってしまいがちですが、吹き抜けの間取りを採用することで懐が深くなりほどよくゆとりのある空間を印象付けることができるのです。

また空間を縦につなげることで、上下階にいる家族の気配を感じやすくなるのも吹き抜けの間取りの大きなメリットだと思います。

その他、デザイン的な観点で言えば、吹き抜けにはリビングをおしゃれに見せる効果もあり、リビングを吹き抜けにすることで実際の面積よりも内部空間が広く見える効果がうまれます。

リビングを吹き抜けにするデメリット

リビングを吹き抜けにするデメリットは、まず第一に2階のスペースが削られることにあります。

吹き抜けにした分だけ部屋数が少なくなるため必ず収納スペースの問題など、様々な問題が浮上してきます。

・吹き抜けにするとコストがかかる

そしてリビングを吹き抜けにすると様々な面でコストがかかることは覚えておいてください。

例えば天井付近の照明が切れてしまった場合は照明を取り替えるのに高さのある足場を組む必要がありますし、それができない場合は専門の業者を呼ぶ必要があります。

そして電球一個切れただけなのに業者に頼まないと交換できないとなると、非常にお金がかかりますし、毎回専門の業者にやってもらうのは思っていたよりも大変なことだったと言う感想を持つことは吹き抜けのリビングでは良くある話です。

元気なうちは良くても、歳をとると自分で照明ひとつ変えるのが大変になりますから、照明ひとつ変えるのが命がけになったりしますのでこの辺りは特に注意が必要となります(冗談ではありません)。

吹き抜けにしてしまうと高い場所の掃除も大変で、間取り次第ではこれまた専門の業者を呼ばないと特定の場所の掃除ができないこともありますし、掃除をするのにもいちいち費用がかかってしまったり、ケースによっては大掛かりなものとなってしまう場合もあります(もちろん、キャットウォークのようなものを間取りに取り入れるなど、工夫をすれば掃除をしやすくすることもできます)。

・吹き抜けにすると冷暖房効率が悪くなる

当然、空間が広くなりますので冷暖房効率も悪くなり光熱費も一般的な家庭よりも高くつきます(ただし現在の家は性能が良いのでびっくりするくらいの大きな差はつきません)。

夏はリビングが暑くなりすぎてしまってなかなか冷えなかったり、冬は朝晩が寒くなりすぎてなかなか暖まらないといった問題も生まれてきます。

ただし、夏場の日差しにはシェードを取り付けたり、冬場の寒さは床暖房で下から暖めた空気をシーリングファンによって天井から下とすなど室内の空気を循環させればある程度和らげることはできます。

そうした対策を講じることで暑さや寒さは緩和することができますが、それでもやはり、限界があることは覚えておいて損はないと思います(ただし設計次第(材料含む)では、まるで魔法瓶のように夏場も冬場も快適にすることはできます)。

・匂いや音はどうしようもない

またリビング階段の項目でも触れましたが、吹き抜けにすると同時に音やニオイの問題も生まれてきます。

一般的な広さの家だとリビング階段以上に音やニオイは家全体に広がりやすいので、プライバシーを保つことも難しくなります。

もしも開放的な空間が欲しいからと言う理由腕吹き抜けを検討しているのであれば、わざわざ吹き抜けにしなくても一般的な家庭よりも天井高を高くとったり間取りに工夫を加えることでリビングを開放的な空間にすることはできますので設計士とよく相談の上決めていかれるといいと思います。

>>>天井や床の高さを利用してLDKに開放感を持たせる間取りづくりの22のコツ

以上のような生活に影響を及ぼしかねない吹き抜けの致命的なデメリットはプランに組み込む前にしっかりとおさえておきたいところです。

リビングを吹き抜けにするならぜひ検討したい間取りのテクニック

続いてリビングを吹き抜けにするなら検討したい間取りのテクニックについてお話ししていきます。

リビングを吹き抜けにする際は下記の点も合わせて検討するとより良い吹き抜けの間取りになると思います。

【吹き抜けにするなら検討したい6つの間取りのテクニック】

1:思い切って大開口の窓にする
2:床暖房とシーリングファンを備え付ける
3:リビング階段をつくる
4:リビング脇にウッドデッキスペースをつくる
5:リビングのすぐ横に中庭をつくる
6:風通しを良くするために上下対面に窓を設ける

1:思い切って大開口の窓にする

吹き抜けのデメリットはどうしてもぬぐいようのないものなので、リビングに吹き抜けを採用するなら思い切って広々とした大開口の窓にしてしまうのもありだと思います。

大きな窓にすることでより開放感を演出できますし、壁を白系や自然な色(ナチュラルカラー)にすることで自然光が壁に反射し、より明るく心地よい空間にすることができます。

ただ、大開口の窓をつくる場合の注意点としては夏場の日差し対策を忘れず徹底してください。

リビングの位置や建物の方角、つまりは敷地内での間取りによっては夏場の日差しが一定の場所に降り注いでしまうことでリビングにいられないほど熱を帯びてしまう場所が生まれてしまうケースもありますので、敷地内のどの位置(方角)に吹き抜けを持ってくるかは慎重に検討しなければなりません。

2:床暖房とシーリングファンを備え付ける

リビングを吹き抜けにした際にはぜひ床暖房、それにシーリングファンを備え付けることをお勧めします。

暖められた空気は上へ上へと上昇していきますので、床暖房にすればリビング全体が下から暖められ冬場の寒さを緩和することができます。

そして吹き抜けの天井についたシーリングファンを回すことで、暖かい空気を下に落とし、より効率的にリビング全体を暖めることができます。

これに加えてエアコンを併用していただくと、吹き抜けであっても寒い冬場をより快適に過ごす事ができるようになることでしょう。

(もちろん暖められた熱を外に逃さないためにも断熱性と気密性を高めることも大事です)

吹き抜けのリビングを検討する際は是非とも床暖房にしてみてください。

※ただし床材として無垢材を検討している場合は注意してください。無垢材は基本的には床暖房には適しておらず、乾燥収縮により狂いが生じやすいからです。無垢材の特徴などについては下記リンク先の記事にまとめてありますので向くフローリングを検討されている方は参考にしてください。

(無垢材でもヒノキを使用したフローリングは施工後の乾燥収縮が比較的起こりづらいため床暖房設備に対応する事ができます)

>>>新築の注文住宅で失敗しない無垢フローリングの選び方と16の特徴

フローリングに使われる無垢材の素材の特徴などについては下記リンク先の記事を参考にしてください。

>>>新築の注文住宅で知らないと損する15種の無垢フローリングの特徴とメリット、デメリット

3:リビング階段をつくる

リビング階段の項目でもお話ししましたが「吹き抜け」と「リビング階段」は非常に相性がいい間取りです。

吹き抜けのリビング階段にすることで視線の抜けが良くなり、より部屋が広く見えたり、インテリアとしてリビング階段がいいアクセントとなり見た目のデザイン的におしゃれな家にすることができます。

吹き抜けにするならリビング階段を是非検討してみてください。

>>>リビング階段のある家の10のメリットとデメリット

4:リビング脇にウッドデッキスペースをつくる

出典:テラスデッキと一体の開放的なリビング ダイワハウス

より開放感を感じられるようにリビング脇にウッドデッキスペースをつくると、また空間に動きが生まれ面白くなります。

このとき、屋外のウッドデッキスペースと床の高さを揃えれば間取りに一体感が生まれより一層広さを感じられるリビングになります。

ウッドデッキスペースにテーブルやガーデンチェア、それに屋外用のソファやハンモックなどを設置すれば「第二のリビング」として使用することも検討でき、天気の良い日には気分を変えて外で食事をしたり、風が気持ちの良い夜に夫婦でお酒を嗜む場所として活用したり、お友達をよんでちょっとしたパーティーなどを催すことも検討できます。

ただし床の高さを揃えると、雨が室内に侵入しやすくなってしまったりチリや埃が室内に流れ込みやすくなりますので、しっかりと対策を練った上でデザイン(設計)していく必要があります。

ウッドデッキスペースは、照明はもちろん、屋外用のコンセントなどを設置しておくと夜間に利用する際も便利になります。

雨対策としては、雨が進入しないように屋根がかかったウッドデッキスペースにするといいでしょう。

こうしたようにちょっとした工夫を積み重ねることでさらに利便性が良くなる上に雰囲気も良くなります。

快適なウッドデッキスペースをつくるコツについては、「注文住宅で人気の高い11の間取りと間取りづくりのポイント」内の「人気の間取り3:ウッドデッキ」にまとめてありますので参考にしてください。

>>>注文住宅で人気の高い11の間取りと間取りづくりのポイント

5:リビングのすぐ横に中庭をつくる

もしも予算に余裕があるのであれば、吹き抜けのリビング横に中庭をつくりプライベートな空間をつくるとさらに快適なリビングになります。

特に住宅密集地の場合は外側に向けて吹き抜けをつくると、開放的で気持ちよくはあるものの常に誰かに見られているような気がするなんとも居心地の悪い空間になってしまいがちです。

ですが、中庭をつくって、中庭に向くようにして吹き抜けのリビングを設置すると、プライベート感が増し、周りの家からの視線が気にならなくなります。

特にロの字型の家はプライベートな中庭をつくる上で相性がいいので吹き抜けにするなら是非検討していただきたい間取りだと思います。

>>>家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い

・中庭を作ると風通しも良くなる

リビングのすぐ横に中庭をつくると、中庭から採光ができたり風通しを良くする効果もうまれます。

つまり中庭をつくることで住宅密集地に家を建てる際に問題となりがちな日当たりの悪さや風通しの悪さの問題を一気に克服できる上に、無駄のない間取りになります。

また、住宅密集地であっても天気の良い日には周囲の家の目を気にすることなく屋外に洗濯物を干せるようになります。

理想としてはある程度広さのある中庭をつくることですが、もしも敷地の関係で広い中庭を作れそうにない場合は、シンボルツリーを植栽すれば一段と華やかな印象となるので、中庭をつくる際の一つのテクニックとして覚えておくと良いと思います。

ただし、植栽を中庭に植える際は落葉樹を選んでしまうと枯れ葉が落ちて排水管をつまらせる原因ともなりますので、その辺りは慎重に検討するようにしてください。

中庭をつくることで生じるメリットやデメリットについては下記リンク先の記事にまとめてありますので一読していただき慎重に検討してみてください。

>>>家づくりで中庭のある家「コートハウス」にする15のメリットとデメリット

6:風通しを良くするために上下対面に窓を設ける

リビングを吹き抜けにしたら、風通しを良くするために上下対面に窓を設けることをお勧めします。

風の通り道を考えずにただ窓をつくるだけでは、風が室内に滞留してしまい、風通しの良い家にすることができないからです。

ですから、必ず風の通り道をつくってあげる事が必要になります。

窓をつくるときは必ず風の流れをよんだ上で、上下対面に窓を設置してあげるとスーッと風が家の中を通り抜けていく気持ちの良い家になります。

窓については下記リンク先の記事にまとめてありますので参考にしてください。

>>>注文住宅の窓で失敗しないために抑えておきたい21種類の窓と配置のコツ

「窓の配置で失敗しがちな特に注意すべき点と場所」の項目に窓を配置する上でのポイントをまとめてあります。

まとめ

今回は、リビングの間取りで良く聞く悩みとそれを解決する方法、間取りのテクニックなどについてお話ししてきました。

しかしここでお話ししたのはあくまで一般論に過ぎません。

つまり土地によっては、一般的にネガティブに働く間取りが、ポジティブに働く可能性もあり、全てのケースで「これが良い」「これが悪い」と言うことはできません。

家づくりで難しいのは同じ土地は2つとしていない事であり、それぞれの土地に適した形で家づくりのプランをたてる必要があると言う事です。

それもそれぞれの家庭のライフスタイルにも合わせていくわけですから、家づくりは本当に難しいのです。

この辺りは商業用のビルや施設の設計と違うところです(あまり知られていませんが、設計は商業施設よりも家づくりの方が難易度は高いのです)。

多分、家づくりをするときはものすごく悩むかと思います。

でもそれで良いんです。じっくりと時間をかけて納得のいくまで悩んでください。

焦らずにじっくりともうこれ以上考えたくないと思えるまで時間をかけて悩んでください。悩めば悩むほど間取りは良くなることが多いです。

結果として「やっぱりはじめに検討していたことが正解だった」と最初考えた地点に戻ってきてしまったとしても、十分に悩んだかどうかで納得感は違います。

もしかしたら家を建ててからやっぱりこうすれば良かったと思うかもしれませんが、家を建てる前に悩む時間を設けたかどうかで気持ちが違います。

充分悩んだ末に結論を出したのだからこれはこれでいいと言う納得感を得ることができるのです。

そしてその納得感こそが注文住宅では大事で、どれだけそうした悩んだ末の結論としての納得感を出せるかが勝負になってくるかと思います。




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