>>>「家を安く建てる7つの基本」はこちら

注文住宅に使われる11種類の切妻屋根の特徴とメリットデメリット

住宅の外観シルエットに大きな影響を与える要素の1つは「屋根の形」です。

そして、屋根の形には、切妻屋根、片流れ屋根、寄棟屋根、方形屋根などの様々な屋根があり、それぞれの屋根の形によって、屋根が持つ特徴や機能性も大きく変わってきます。

さらには、屋根の形は内部空間にも影響を与え、間取り(空間の取り方)にも多大なる影響を及ぼします。

つまり、屋根は間取りを含む「住宅の個性」をつくるといっても過言ではありません。

今回の記事では、そんな個性豊かな様々な屋根の形の中でも「切妻屋根」について、掘り下げて解説していきます。

注文住宅の現場でよく見られる切妻系の屋根は、合計で11種類ありますが、それぞれの切妻系屋根の特徴や、それぞれの屋根にするメリット、デメリットなどをお話ししていきます。

「切妻屋根ってどんな屋根?」という、屋根のことが全くわからない屋根初心者の方から、「切妻屋根の特徴」や、「切妻屋根にすることでどんなメリットやデメリットがあるのか」ということまで、切妻屋根について網羅した内容となっていると自負しておりますので、注文住宅を建てる際の参考にしていただけると幸いです。

【いい家を安く建てるために知っておいて欲しいこと】

注文住宅を予算内で建てるために、知っておいて欲しいことが3つあります。

1:注文住宅を安く建てるための基本

注文住宅では予算通りにいかないことがほとんどです。

ですが、プランを依頼する前に、予算内で家を建てる基本やコツをしっかりと押さえておくことで、あなたの暮らしにあったいい家を安く建てられるようになります。

予算内でいい家を建てるための7つの基本は下記リンク先の記事をご覧ください。

>>>家を安く建てる方法とコストダウンの7つの基本

2:「家の形」と「家の価格」の関係

家には「お金のかかる形の家」と、「お金がかからない形の家」があります。

家の形による価格の違いを、注文住宅のプランを依頼する前に押さえておくと、注文住宅の価格で大きくコストダウンをはかることができます。

お金がかかる家とお金がかからない家の違いや、それぞれの家の形の特徴については下記リンク先にまとめておきましたので、必ず依頼前にご覧ください。

>>>家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い

3:無料でカタログを請求し理想の家を建てる方法

注文住宅は依頼先で決まります。だからこそ、依頼先は慎重に検討したいところですが、検討するにはまずはどんな家を建てたいのかを知らなくてはなりません。

無料で住宅会社から請求できる住宅カタログを請求して理想の家を建てる方法については下記リンク先の記事をご覧ください。

>>>無料で貰える住宅カタログを使いこなし賢く家を建てる6つのステップ




Contents

屋根の形状は大きく分けると3つの形態に分けられる

屋根は、家の外観を大きく左右する要素の一つです。

屋根の高さ、大きさ、角度などによってもそれぞれの屋根の形は変わり、それに伴い住宅の外観シルエットに大きな影響を与えます。

しかし、屋根の形は、家の外観の印象を左右するだけではありません。屋根には雨風や強い日差しなどから家を守る役割や機能があり、それが屋根本来の目的だからです。

そこで、まずは、簡単に注文住宅の屋根に使われる「3種類の屋根の形」をお話ししてから、屋根の役割と機能について知っていただき、さらに、その後に「切妻系屋根の特徴」についてお話ししていきます。

注文住宅の屋根の形は3系統

主な屋根の形:左から切妻屋根、片流れ屋根、寄棟屋根、方形屋根

注文住宅に使われる屋根の種類は、大きく言って3種類あります。

【注文住宅で使われる屋根の種類】

1:切妻系
2:片流れ系
3:寄棟・方形系

片流れ系の屋根の特徴や、メリット、デメリットについては下記リンク先の記事を参考にしてください。

>>>片流れ系の屋根6種のメリットやデメリットについての解説と屋根選びの注意点

寄棟・方形系の屋根の特徴や、メリット、デメリットについては下記リンク先の記事にまとめてあります。必要に応じて参考にしてください。

>>>もう、屋根の形で悩まない!寄棟・方形屋根の特徴と押さえておきたい5種の形

そして、切妻屋根に限定していうと、注文住宅で用いられる「切妻系の屋根」には、ざっくりといって下記11種の屋根があります。

【切妻屋根の基本の形】

1:切妻屋根
2:大屋根

【切妻系屋根を組み合わせた形】

1:半切妻屋根

《切妻屋根+入母屋屋根》

2:錣(しころ)屋根

《切妻屋根+寄棟屋根》

3:駒形屋根(腰折屋根)
4:母屋下がり屋根

《切妻屋根+片流れ屋根》

5:さしかけ屋根

【切妻系屋根の応用パターンの屋根の形】

6:バタフライ屋根
7:無落石屋根(スノーダクト方式)
8:シェル屋根
9:ヴォールト屋根

今回の記事では上記11種の切妻屋根に焦点を当てて、切妻屋根の特徴とメリットやデメリットについて掘り下げて解説していきます。

切妻系、片流れ系、寄棟・方形系などに限定せずに屋根全般について広く知りたい方は下記リンク先の記事を参考にしてください。

大まかな屋根の役割と機能についてまとめさせていただいております。

>>>家づくりで知らないと損する8種類の屋根の形とそれぞれの特徴

【屋根の基本】屋根の役割と機能について

切妻系屋根の話をする前に、まず大前提として屋根をかける目的や、屋根の役割と機能についてお話ししてきます。

屋根の形を選ぶ際は、外観上のシルエット(見た目)だけではなく、屋根の役割と機能をしっかりと理解することが大切だからです。

屋根の役割と機能は3つある

屋根の役割と機能は大きく分けて3つあります。

【屋根の主な役割と機能】

1:防水性
2:断熱性
3:通気性

屋根の役割と機能1:防水性とは

1つ目の、屋根の役割と機能は「防水性」です。

防水性とは、雨風から建物を守るための機能のことです。

屋根には、雨の侵入箇所を防ぎ、雨仕舞いをよくすることで、雨から建物を守り、建物の耐久性を高める役割があります。

屋根の役割と機能2:断熱性とは

屋根には断熱の役割がある

2つ目の、屋根の役割と機能は「断熱性」です。

断熱性とは、太陽の熱や日差しから建物を守り、内部空間を快適な環境にするための機能のことです。

屋根には、強い日差しから建物を守り、外壁などを保護することで、建物を守り、建物の耐久性を高める役割があります。

屋根の役割と機能3:通気性とは

屋根には通気性をよくし室内環境を快適にする役割がある イラスト:kamisei

3つ目の、屋根の役割と機能は「通気性」です。

通気性とは、建物内部に熱がこもらないように「軒先」から空気を取り入れ、「棟」で抜き換気を行うなど、屋根裏の通気を良くすることで、内部結露を防ぐ役割も担っています。

建物の天敵は結露ですが、通気性が悪いと見えないところで「内部結露」を起こしてしまいます。

「内部結露」を引き起こしてしまうと、建物を腐らせたり、錆びさせたりし傷みを与え、建物の寿命を大きく縮めてしまいます。

特に、軒天の際(きわ)から、水が侵入しないような工夫も必要で、熱や湿気がこもらないように通気をよくしながらも、風に煽られた時に、雨が建物内部に侵入しないように防水をしっかりと施すといった、抜かりない施工が必要になります。

切妻屋根(きりづまやね)とは

切妻屋根は「山形」の屋根

続いて、切妻屋根(きりづまやね)についてお話しします。

切妻屋根(きりづまやね)とは、「家型屋根」の中で、最もシンプルで、ごく一般的な屋根形状の屋根で、屋根の頂部(てっぺん)から2つに折れ曲がった形をした、「山形の屋根」のことを言います。

つまり、「平板」を真ん中から「山折り」にした屋根が切妻屋根です。

「妻(つま)」とは、建築で「三角形の壁の部分」のことを言いますが、切妻屋根は「屋根の山形」を「直角」に切断して「妻」を出した屋根のため「切妻屋根(きりづまやね)」と呼ばれています。

「妻」とは イラスト:石川商店

「屋根」と聞いて、誰もが真っ先に連想する屋根の形が「切妻屋根」といっていいでしょう。切妻屋根は、それだけ私たちの生活に馴染みのある一般的な屋根の形です。

切妻屋根は、あらゆる屋根の形の中で最も簡便で、その上雨や雪に強く、実用性に優れたバランスのとれた屋根で、「内部空間の利用効率が高い」上に、「雨仕舞いにも優れている」特徴を持つ屋根です。

また、切妻屋根は、日本だけではなく、世界中の住宅でよく見られることからわかるように、屋根の本質的な役割と機能において、普遍的な要素を兼ね備えた、最もシンプルで、かつスタンダードな家の屋根の形として、世界各国の人々に愛されている屋根の形といっていいと思います。

切妻屋根とは・・・てっぺんから2つに折れ曲がった形をした山形の屋根

「切妻屋根」には様々な屋根がある

繰り返しになりますが、一般的な住宅に使われる屋根の形は、大きく分類すると「3つの形」に分けることができます。

【住宅で用いられる3つの基本的な屋根の形】

1:切妻系
2:片流れ系
3:寄棟・方形系

一般住宅に使われる基本的な屋根の形態(形状)は、以上の3つに整理することができます。

そして、上記に挙げた3つの基本的な屋根の形から派生して、様々なバリエーションの屋根が存在します。

片側が途中で折れた母屋下がり屋根
建物全体を覆う屋根の大屋根

例えば、今回お話しする切妻系の屋根には「大屋根※」と呼ばれる、2階から1階までまたがって「建物全体を覆うような形で屋根がかかる屋根の形」がありますし、「母屋下がり※」と呼ばれるような切妻屋根の「片側だけが途中から折れた形状にした屋根の形」もあります。

(※「大屋根」「母屋下がり」については、切妻系の屋根としてこの後解説していきます)

また、屋根の形状が変わればそれに伴い、冒頭でもお話ししたように屋根の「機能面」をはじめとした性質や特徴も大きく変わってきます。

切妻屋根の特徴

切妻屋根の家 OUCHI-02(建築家:石川淳) 写真:SUVACO

切妻屋根の主な特徴は、概ね下記の通りです。

【切妻屋根の主な特徴】

1:雨仕舞いに優れている
2:経済性に優れている
3:換気性能に優れている
4:木造住宅との相性が良い
5:外観に安定感を持たせられる
6:洋風の家と和風の家、どちらにも相性が良い

切妻屋根の特徴1:雨仕舞いに優れている

屋根の弱点となる箇所

屋根の形は単純な形であるほど、雨仕舞いに優れた機能を発揮します。

例えば屋根を組み合わせていくと「谷」ができてしまう箇所がうまれることがありますが、「谷」となる部分は、水が流れて溜まっていきますから、傷みやすく、雨水が綺麗に流れる「雨の出口」をうまくつくってあげるなどの工夫を加える必要があります。

切妻屋根は、山形の単純な形をしているため、雨が自然な流れで地面に流れていくので、雨仕舞いに優れている特徴があります。

※屋根は上部と横の部分(屋根と壁の間)が、防水上の弱点となります。

屋根の弱点となる箇所  イラスト:kamisei

切妻屋根の特徴2:経済性に優れている

屋根の形は複雑になればなるほど、設置コストはもちろん、屋根の機能を維持するためのメンテナンスにかかる費用が高くなります。

切妻屋根は、屋根の形の中で、最も屋根を架けるためのコストがかからず、さらにメンテナンスにかかる費用も低く抑えられる特徴があります。

※片流れ屋根は、一方向だけに勾配がある屋根のため、屋根の形としては単純な形ではありますが、他の屋根の形に比べて「壁面量」が広くなる上に、「軒天井」の雨仕舞いのための処理に、工夫を要するため、切妻屋根よりもコストがかかります。

詳しくは、片流れ系の屋根の記事にまとめてありますので、下記リンク先の記事を参考にしてください。

>>>片流れ系の屋根6種のメリットやデメリットについての解説と屋根選びの注意点

切妻屋根の特徴3:換気性能に優れている

切妻屋根は換気性能に優れている イラスト:kamisei

切妻屋根は、小屋裏換気のためのスペースを広く確保できます。

また、構造的に空気の流れを遮らない仕様になっており、軒天換気をはじめ、棟換気、妻側の壁から換気する「ガラリ換気」といった形で、建物全体の換気を効率よく促すことが出来ます。

そのため、内部結露による腐食や、サビのような建物に著しくダメージを与えるトラブルを防止することが出来ます。

また、建物内の換気をよくすることで、建物に滞留しやすい湿気を逃し、快適な住環境を維持することが出来ます。

切妻屋根の特徴4:木造住宅との相性が良い

切妻屋根は木造住宅との相性が良い

切妻屋根は、木造住宅との相性が非常に良い屋根の形です。

例えば、小屋根の天井を省略し、屋根の構造を見せる(梁を見せる)ことで、内部空間を広く美しく見せることができたり、小屋根空間を利用した屋根裏部屋などをつくることが検討できます。

切妻屋根の特徴5:外観に安定感を持たせられる

ピエンツァ大聖堂

切妻屋根は、外観に安定感を持たせられます。

それを証明するように、ヨーロッパの教会では、ほとんどのケースで切妻屋根がもちいられていますし、桁行方向に拡張できるので、長屋のような京都の町家でも広く一般的に使用されています。

また、構造的にも非常に安定した屋根の形となるので、内部空間の利用効率を高めることができたりと、切妻屋根は非常に合理的な屋根の形といっていいと思います。

切妻屋根の特徴6:洋風の家と和風の家、どちらの様式とも相性が良い

白い壁にスペイン瓦、スペインのカサレス村

切妻屋根は、和風の家でも洋風の家でもどちらの家にも合います。

屋根材を変えることで、表情に変化を加えることもできるので、非常に汎用性の高い屋根と言えます。

例えば、白い壁に、オレンジ色の「半円筒形」の「スペイン瓦」を屋根材に使用すると、スペイン地方の民家に見られる「優しい雰囲気の外観」にすることもできます。

切妻屋根の種類

切妻屋根の、基本となる屋根の形は2種類です。

【切妻屋根の基本的な屋根の形】

1:切妻屋根
2:大屋根

まずは、下記から基本となる「1:切妻屋根」と「2:大屋根」の特徴と、それぞれの屋根にするメリットやデメリットなどを解説していきます。

切妻系屋根の基本形1:切妻屋根

本を伏せたような形の切妻屋根

繰り返しになりますが、切妻屋根は、住宅に使用される屋根の中でも最も一般的な「三角屋根」です。

頂部(てっぺん)から本を伏せたような形をしており、構造的にも非常に安定した屋根の形になります。

切妻屋根は、設置コストが低い上に実用性も高く、雨漏りなどの心配も少ない屋根の形になります。

「切妻屋根」と、「招き屋根(まねきやね)」の違い

招き屋根
切妻屋根

「切妻屋根」と、似たような屋根の形に「招き屋根(まねきやね)」があります。

この2つの屋根の違いを分けるものは、「片側の面の曲げ部分」の「大きさ」の違いにあります。

片側の屋根の曲げの部分が大きいものが「切妻屋根」、そして片側の屋根の曲げの部分が小さいものが「招き屋根」となります。

また、ややこしいようですが、「切妻屋根」は「切妻系の屋根」に属していますが、「招き屋根」は「片流れ系の屋根」に属している屋根の形となります。

【切妻屋根と招き屋根の違い】

「切妻屋根」と「招き屋根」の違いは、「片側部分の屋根の曲げ」の「大きさ」の違いにある

・片側部分の曲げが「大きい」:切妻屋根
・片側部分の曲げが「小さい」:招き屋根

屋根の形を切妻屋根にするメリット

切妻屋根の家 画像:アメックスホーム

屋根の形を切妻屋根にするメリットは下記の通りです

【切妻屋根のメリット】

1:屋根の形がシンプルで施工もしやすい
2:屋根にかかるコストを抑えられる
3:高さを抑えられる
4:コンパクトなボリュームに抑えられる
5:雪が積もりにくく落下場所を予測できる
6:太陽光発電を屋根に積みやすい

メリット1:屋根の形がシンプルで施工もしやすい(加工が簡単なためコストを抑えられる)

切妻屋根は、屋根の形がシンプルです。

そのため「施工」もしやすく、「工期」も短く済み、屋根を架けるのに必要となる「材料」も少なく済むため、「屋根工事にかかるコスト」を抑えることができます。

メリット2:屋根にかかるコストを抑えられる

切妻屋根は、初期費用はもちろん、将来的にかかるメンテナンスコストも低く抑えることが出来ます。

理由としては、メリット1でもお話ししましたが、工期が短くなること、比較的施工が簡単なこと、使用材料のロスを抑えられること、汎用的で使用できる屋根材が多いことなどが主な理由になります。

メリット3:高さを抑えられる

切妻屋根のメリット:軒高を抑えられる

切妻屋根は、片流れ系の屋根と比較して、屋根の高さを低く抑えられる特徴があります。

低層地域など軒高の指定がある地域では、「軒高」を抑える必要がありますが、切妻屋根では「軒高」を抑えなければならないケースで屋根の形が有利に働きます。

北側斜線制限(北側を低くしなければならない)や道路斜線制限、または狭小敷地に建てる場合、切妻屋根にすることで高さを抑えられ、斜線に対しての影響を抑えられるメリットがあります。

例えば、片流れ系の屋根は、屋根の勾配(傾斜)を強くとったときに、建物の高さが高くなってしまったり、「軒高」が高くなってしまう問題が生じてしまいます。

※軒高の制約がある場合、「片流れ系の屋根」の場合、「登り梁形式」ではなく「和小屋形式」を選ぶことで軒高を抑えられ軒高の指定をクリアできる場合もあります。

「登り梁形式」と「和小屋形式」の小屋組(屋根の組み方)について、詳しくは「片流れ系の屋根6種のメリットやデメリットについての解説と屋根選びの注意点」に書かれていますので参考にしてください。

メリット4:コンパクトなボリュームに抑えられる

切妻屋根は、家の真ん中の頂部から折り返した「山形の屋根」になるため、屋根全体のボリュームを抑え、コンパクトな仕上がりに抑えることができます。

メリット5:雪が積もりにくく落下場所を予測できる

切妻屋根は、屋根の上に雪が積もりにくい形をしているため、雪の重量によって建物が倒壊するリスクを低くすることが出来ます。

また、屋根の傾斜が2方向に限定されているので、雪が落下する場所を予測できるというメリットもあります。

メリット6:太陽光発電を屋根に積みやすい

切妻屋根は、片流れ屋根に続いて太陽光発電に向いた屋根の形状です。

ソーラーパネルを積みやすいため、必要十分な発電量を確保しやすくなります。

ちなみに、ソーラーパネルの設置は、南向きが理想とされていますが、東西向きでもある程度の発電量を確保できます。

※片流れ屋根は、太陽光を浴びやすい側を屋根面にすることで太陽光発電の効率が良くなります。

屋根の形を切妻屋根にするデメリット

屋根の形を切妻屋根にする、主なデメリットは下記の通りです。

【切妻屋根の主なデメリット】

1:屋根のデザインが単調になりがちで個性に欠ける
2:軒の出を深くすると室内への採光が難しくなる
3:妻側の壁面劣化リスクが高い
4:内部に暗がりができやすい
5:通風計画に支障をきたしやすい
6:雪が落ちる場所が集中する
7:上昇した熱気が小屋裏にたまりやすい

デメリット1:屋根のデザインが単調になりがちで個性に欠ける

切妻屋根は、デザインが単調な屋根の形なので、屋根で個性を出すことが難しくなります。

せっかく注文住宅を建てるのであれば、外観にもこだわり美しい佇まいにしたいといった方が多いと思いますが、切妻屋根はどこでも見かける屋根のため個性を感じづらいデメリットがあります。

もちろん、色や素材、傾斜(屋根の勾配)、屋根の組み合わせ(例えば切妻屋根と寄棟屋根を組み合わせるなど)によって個性的な印象の外観に仕上げることもできますが、今度は、屋根の形が複雑になるのでその分コストは高くなります。

また、「軒の出」を深くすると、どこか野暮ったさが残る屋根になってしまいますが、「軒の出」を浅くしモダンでスタイリッシュな佇まいにすると、今度は屋根本来の性能である「防水性」や「断熱性」、それに「通気性」が失われることになるなど、デザイン面とトレードオフの関係にあります。

デメリット2:軒の出を深くすると室内への採光が難しくなる

軒の出による季節による日の当たり方の違い

切妻屋根は、雨仕舞いのために軒の出を深くすることが一般的ですが、軒の出を深くすると、外観の印象が野暮ったくなる上に、室内への採光が難しくなります。

また、逆に軒の出を浅くすると、外観にシャープな印象を持たせることが出来、モダンな建て構えとなりますが、今度は雨仕舞いが悪くなり、壁面に太陽光や雨水が当たりやすくなってしまいます。

すると、雨が壁に当たることで壁面の耐久性が悪くなったり、雨仕舞いの面で問題を引き起こしてしまい、建物を維持するための点検や、メンテナンスにかかる費用も高くなります。

デメリット3:妻側の壁面劣化リスクが高い

ケラバを出すなどの工夫が必要 画像:家づくりを応援するサイト

切妻屋根の弱点は、「妻面」にあります。

切妻屋根では、三角屋根の「妻側の壁面」がむき出しになっているからです。

壁面むき出しの「妻側の壁」は、太陽光の紫外線や、雨天時に壁に雨水が当たりやすく、壁面の劣化リスクが高くなります。

壁面が劣化すると、壁にひび割れなどが起こり、壁面が傷んだ箇所から雨水が建物の中に入り込み、やがては建物本体に深刻なダメージを与えることがあります。

切妻屋根の特徴の一つに「経済性」をあげましたが、たとえ屋根面のコストが安く済んでも、外壁面でコストがかかってしまうケースもありますので、「ケラバ」や「軒」をしっかり出すなど、外壁を傷めないようなしっかりとした対策を施す必要があります。

デメリット4:内部に暗がりができやすい

差し掛け屋根で暗がりを解消

切妻屋根は、外壁から内部までの距離が遠くなってしまうので、他の屋根の形に比べて内部空間に暗がりができやすくなってしまうデメリットがあります。

特に軒の出を深くすると、内部空間への採光が難しくなってしまいます。

ただし、こうした問題は、切妻系屋根の一つである「差し掛け屋根」にすることで、内部空間の暗がりを解消できる選択肢もあります。

デメリット5:通風計画に支障をきたしやすい

また、切妻屋根は、「外壁」から「内部」までの距離が遠くなってしまうので、「内部」に暗がりができやすい上に、「内部」までしっかりと風を通しづらいデメリットがあります。

差し掛け屋根の窓から採光を取り風を取り入れる

つまり、切妻屋根では、内部空間の風通しが悪く、通風計画にも難が出やすくなります。

ただし、先ほどお話しした、暗がりができやすい問題を解消する方法と同様に、切妻系屋根の派生系である「差し掛け屋根」にすることで、風通しの良い空間を検討することはできます。

デメリット6:雪が落ちる場所が集中する

切妻屋根は、雪が落ちる場所を予測しやすいメリットがありますが、逆に雪が落ちる場所が、軒先側に集中してしまうデメリットがあります。

デメリット7:上昇した熱気が小屋裏にたまりやすい

小屋裏に熱気がたまりやすい

切妻屋根は、上昇した熱気が小屋裏の空間にたまりやすいデメリットがあります。

これを解消するために「越屋根(こしやね)」を設け、煙突効果により小屋裏に溜まった熱を逃がすなどの工夫が必要となります。

▼「越屋根(こしやね)」ってなに?

越屋根

越屋根とは、屋根の一部を持ち上げて、「換気」や「採光」を取る屋根の仕組みのことを言います。

越屋根を設けることで、夏場の室温上昇において、小屋裏に溜まった熱を外に逃し、冷暖房の稼働率を削減することが出来ます。

切妻系屋根の基本形2:大屋根

建物全体を覆う大きさの大屋根

続いて、切妻系の屋根で「大屋根(おおやね)」という形式もあります。

屋根の基本的な形としては、先述した「切妻屋根」と変わらないことが多いですが、「大屋根」の場合は、2階から1階にかけて、「建物全体を覆うほどの大きさの切妻屋根」のことを言います。

1つの屋根を複数階にかけるため、「屋根面積」が「大きくなる」ため「大屋根」と呼ばれています。

大屋根の特徴と注意点

大屋根では、2階から1階にかけて大きな屋根をかけるため、2階部分は屋根の形状がそのまま内部空間にあらわれ「傾斜のある天井」、つまり「勾配天井」となります。

大屋根にすることで、内部空間に「傾斜のある天井面」がうまれるため、内部空間にあらわれた傾斜を利用して、「天井が斜めの吹き抜けの空間」を検討することができたり、内部空間に「遊び」と「変化」を生み出すことができます。

ただし、一方で、斜めになる「壁の形状に合う家具」がなかったり、変則的な壁の形状に「圧迫感」や「居心地の悪さ」を感じる方もいますので、斜めとなる壁や天井が住まう人の暮らしに合うのかを、十分に検討する必要があります。

特に、屋根の形がそのまま室内にダイレクトにあらわれる2階部分では、斜めとなる「勾配天井」に頭をぶつけやすくなったり、「証明計画」が難しくなってしまうといったデメリットも生まれるので注意が必要です。

屋根の形を大屋根にするメリット

屋根の形を大屋根にする、大きなメリットとしては3つあります。

【大屋根の主なメリット】

1:外観が綺麗に見える(意匠性)
2:勾配天井による安心感が生まれる(意匠性)
3:屋根裏部屋を作れる(実用性)

メリット1:大屋根にすることで外観が綺麗に見える

存在感のある大屋根の家 写真:空間建築ー傳

大屋根にする、まず一つ目のメリットは、外観が整って綺麗に見えることです。

大屋根にすることで、存在感と風格のある力強い佇まいの外観になります。

メリット2:大屋根にすることで勾配天井による安心感が生まれる

大屋根の勾配天井はどことなく室内空間に安心感が生まれる

屋根の形を大屋根にする2つ目のメリットは、勾配天井により「包み込まれるような安心感」が生まれることです。

大屋根にすることで、2階から1階にかけて大きな勾配天井となり、内部空間にも意匠として現れます。

すると、単調となりがちな内部空間に、動きと変化が生まれます。

特に大屋根は、ドーマーとの相性が良く外観に表情が生まれたり、ドーマーを設けることで内部空間に動きが生まれ落ち着いた空間に仕上げることができます。

※ドーマーってなに?

ドーマーとは、あかり取りとして、「屋根から突き出した小さな屋根によって構成されている窓」のことを言います。

ドーマーのもともとの役割は、屋根裏部屋に明かりを取るためのものですが、日本では「飾り窓」として設置されることがあります。

ドーマーの特徴やメリット、デメリットについては下記リンク先の記事に詳しく書いてありますので、参考にしてください。

>>>注文住宅の間取りとマイホームプランで知っておきたい建物の各部名称と役割

メリット3:大屋根にすることで屋根裏部屋を作れる

勾配天井を利用した屋根裏部屋

屋根の形を大屋根にする3つ目のメリットは、天井をつくることで「勾配天井を利用した屋根裏部屋(ロフト)をつくれる」ことです。

つまり、勾配天井を利用して、秘密の部屋のような「小屋根スペース」を確保することができるので、「収納部屋」として利用したり、一息つきたい時の「リラックススペース」や「趣味部屋」として利用するなどを検討できます。

ただし、夏場は暑くなり利用できないケースも多いので注意が必要です。

※小屋根収納(ロフト)の場合、法規により高さは1.4m以下に抑える必要があります。

ロフトについては、下記リンク先の記事にメリットやデメリット、さらには活用しやすいロフトの設置方法についてまとめさせていただいていおりますので、ロフトの設置を検討中の方は参考にしてください。

>>>ロフトは必要?家づくりでロフトを設置するメリットとデメリット

屋根の形を大屋根にするデメリット

屋根の形を大屋根にするデメリット

屋根の形を大屋根にする主なデメリットは下記の通りです。

【大屋根の主なデメリット】

1:2階の間取りが制限される
2:家具が制限される
3:人によっては圧迫感を感じる

大屋根はメリットもありますが、「内部空間性」において「致命的なデメリット」も存在するので、注意が必要です。

デメリット1:2階の間取りが制限される

1つ目の大屋根にするデメリットは、「2階の間取りが制限される」ことです。

「間取り」とは「空間の取り方」のことを言いますが、大屋根にすることで、2階の部屋は屋根の形がそのまま意匠として内部空間にあらわれますので、間取りが制限されることになります。

一般的な勾配天井は2階リビングとの相性がいいことがほとんどですが、大屋根の場合は少し毛色が違うので注意が必要になります。

ただし、屋根のかけ方や、屋根勾配によってはそれほど気にならないこともありますので、その辺りは設計士と相談の上進めていくことをお勧めします。

2階リビングの特徴や、注意点、2階リビングのメリットやデメリットなどについては下記リンク先の記事を参考にしてください。

>>>2階リビングにする14のメリット・デメリットと注意点、1階リビングとの違いや特徴

デメリット2:家具が制限される

大屋根の傾斜を利用して収納庫として活用した例 写真:ダイワハウスリフォーム

2つ目の大屋根にするデメリットは、「置き家具」や「家具の配置場所」が制限されるということです。

ほとんどの家具は、勾配天井を利用した「傾斜のある壁に対応していない」ため、家具などを置く場所がかなり制限されます。

傾斜のある箇所に家具などを置きたい場合は注意が必要で、室内の空間の使い方をしっかりと検討しなくてはなりません。

デメリット3:人によっては圧迫感を感じる

人によっては圧迫感を感じることも

3つ目の大屋根にするデメリットは、人やケースによっては圧迫感を感じやすいということです。

勾配天井のような斜めの傾斜があらわれる空間に慣れていない方は、特に圧迫感を感じることが多く、どこか居心地の悪さを感じてしまうこともあります。

特に、壁際の勾配が目立つ場所では、天井に頭をぶつけやすくなってしまいがちで不便さや生活しにくさを感じる人も多いです。

そうした場所にはベッドを置くことが一般的ですが、天井との距離が近く、天井に圧迫感を感じるため、慣れていない方はリラックスしづらいスペースになってしまいます。

切妻屋根を基本とした9種類の「切妻系屋根」

画像:積水ハウス ザ・グラヴィス

切妻屋根は、ずらしたり、複数に分けたり、形を変えたり、軒の出をなくすことによって、切妻屋根をベースとした様々な屋根を架けることが出来ます。

【切妻屋根の応用パターン】

1:屋根をずらす
2:屋根を複数に連ねる
3:屋根の形をかける
4:屋根の軒の出をなくす

ここからは、切妻屋根を基本の形にした9種類の切妻系屋根についてお話ししていきます。

【切妻屋根を基本の形にした9種類の切妻系屋根】

1:半切妻屋根
2:錣(しころ)屋根
3:駒形屋根(腰折屋根)
4:母屋下がり屋根
5:さしかけ屋根
6:バタフライ屋根
7:無落石屋根(スノーダクト方式)
8:シェル屋根
9:ヴォールト屋根

1:半切妻屋根(はんきりづまやね)

切妻屋根の端を切った形の半切妻屋根

半切妻屋根(はんきりづまやね)とは、出来るだけ切妻屋根の形を保ちながら、切妻屋根の「妻部分」を、寄棟屋根(よせむねやね)の形にした屋根のことを言います。

似たような形状をしている寄棟屋根(よせむねやね)と混同してしまいがちですが、半切妻屋根は「妻」部分を「少しだけ寄棟屋根に寄せた屋根」の形状をしており、切妻屋根の「妻」部分の頂部の「棟の両端」を「斜めに切り落とした」ような形の屋根を、半切妻屋根と言います。

※寄棟屋根って何?どんな形の屋根のことを言うの?

寄棟屋根については下記リンク先の記事にまとめてありますので参考にしてください。

>>>もう、屋根の形で悩まない!寄棟・方形屋根の特徴と押さえておきたい5種の形

※「妻」側とは

切妻屋根で、壁の三角形が見える側のことを「妻側」といい、軒がある側を「平(ひら)」側といいます。

半切妻屋根には様々な別名がある

ドイツ破風屋根や袴腰屋根と呼ばれることも

半切妻屋根は、ドイツの古い建築様式にも見られる屋根の形のため「ドイツ破風屋根(ドイツはふやね)」や、屋根の形が袴(はかま)のように見えることから「袴腰屋根(はかまこしやね)」とも呼ばれることがあります。

さらに、屋根の端の妻部分の隅を切った形状をしている屋根のため「隅切り屋根(すみきりやね)」と呼ばれることがあったりと様々な別称があります。

人によって様々な名前で呼ばれる屋根ですが、全て同じ半切妻屋根のことを指します。

半切妻屋根の特徴とメリット、デメリット

建築基準法により様々な制限がある

建築基準法では、道路の日照、採光、通風を確保し、周囲の環境に圧迫感を与えないための規制がありますが、半切妻屋根は、そうした規制を回避する屋根として有効な屋根です。

特に、妻方向からの「斜線制限」や「日陰制限」など「各種斜線制限」をかわす場合に有効な屋根で、屋根先端の高さを低く抑えて、制限を回避する際に用いられます。

切妻屋根でそうした法規にかかってしまった場合、対処方法としては「道路斜線」に合わせて「建物を後退」させたり、「部屋数を少なくする」など、2階の間取りに変化を加えることが必要となりますが、半切妻屋根にすることで「居住空間を広く確保」することが出来ます。

つまり、「切妻屋根」だと、建築基準法上の建てる土地における「各種制限」にかかってしまう場合でも、妻部分の隅を切る「半切妻屋根」にすることで、法規による制限をかわすことが出来るというわけです。

半切妻屋根のメリット

半切妻屋根のメリットは、地域によって異なる法令などの各種制限をクリアできるため、住居における間取り(空間の取り方)の自由度を損なうことなく、法規を回避できる点にあります。

建築基準法上の制約がある土地において、屋根の形に半切妻屋根を用いることで「各種斜線制限」をかわすことができ、地域の規制によって「建物の高さを低く」したり、制限にかからないように「建物をセットバックする(後退させる)」必要がなくなり、「内部空間の利用効率(間取りの自由度)」をあげることが出来ます。

半切妻屋根のデメリット

半切妻屋根の家

半切妻屋根のデメリットとしては、切妻屋根よりも雨仕舞いが悪くなり、屋根や壁が傷みやすく建物の耐久性が悪くなることがあげられます。

屋根上部を流れた雨が、「軒天井」や「破風(はふ)」に流れたり、切妻屋根よりも雨漏りがしやすくなるからです。

また、屋根は複雑な形になるほど、つなぎ目が多くなり、工事が難しくなりコストも高くつきますが、半切妻屋根も切妻屋根よりも複雑な形になるので、つなぎ目が多くなりイニシャルコストやメンテナンスにかかる費用が高くつきます。

(半切妻屋根は、法規などの規制により、妻方向からの斜線制限や日影制限など「各種斜線制限」をかわす場合に有効な屋根で、屋根先端の高さを低く抑える際に用いられます。)

《切妻屋根+入母屋屋根》

「切妻屋根」と寄棟・方形系屋根(よせむね・ほうぎょうけいやね)に分類される「入母屋屋根(いりもややね)」をミックスした切妻系の屋根に「しころ(錣)屋根」があります。

2:しころ(錣)屋根

切妻屋根と寄棟屋根を組み合わせた形のしころ屋根

しころ(錣)屋根とは、切妻屋根と寄棟屋根(よせむねやね)をミックスした屋根の形のことで、切妻屋根の四周に庇(ひさし)がついた屋根のことを言います。

つまり屋根の「上半分」が「切妻屋根」、「下半分」が「寄棟屋根」になっている屋根のことです。

一般的な切妻屋根は、本を伏せたような山形の形状をしていますが、しころ屋根は、上部が切妻部分で、途中から寄棟屋根に切り替わり、四周に庇(ひさし)がついている屋根となります。

※寄棟屋根(よせむねやね)は、都市部に多い屋根で、棟からの広がりが切妻屋根が「左右2面」に対し、寄棟屋根では、「建物を囲うように4面」で屋根が架けられています。

そして、上部が「切妻屋根」、下部が「寄棟屋根」というバランスをとった形状の屋根のことを「しころ(錣)屋根」と言います。

寄棟屋根については下記リンク先の記事をご覧ください。

>>>もう、屋根の形で悩まない!寄棟・方形屋根の特徴と押さえておきたい5種の形

しころ屋根の錣(しころ)って何?

錣(しころ)とは、兜(かぶと)や頭巾(ずきん)などをかぶる際の、左右下部や後方に、布や札(さね)で出来た縅(おどし)などを垂らして、首から襟を防御するもののことを言います。

屋根の形が、切妻屋根に札(さね)をつけた錣(しころ)のように見えることから「しころ(錣)屋根」と呼ばれます。

※建築用語で錣(しころ)とは

建築用語では羽板(はいた)や鎧板(よろいいた)のことを言い、板に段差をつけて並べたもののことを指すことがあります。

しころ屋根と入母屋屋根(いりもややね)の違い

入母屋屋根
しころ屋根

しころ屋根は、よく入母屋屋根(いりもややね)に似ていると言われます。

確かに形は似ていますが、上部の「切妻部分」と下部の「寄棟部分」の「納まり方」に違いがあります。

入母屋屋根は、屋根上部の「切妻部分」と下部の「寄棟部分」が、緩やかに繋がり完全に一体化しています。

つまり、入母屋屋根は、上部が「切妻屋根」のように傾斜し、下部の途中から「寄棟屋根」のように四方向に流れる形状となっています。

しころ屋根は一旦、区切られている

対して、しころ屋根は、上部の「切妻部分」と、下部の「寄棟部分」において一旦区切りをつけられ、段差を設けて、切り離された形で、屋根が架けられている屋根の形式になります。

段の下に当たる寄棟部分は、そのまま軒まで葺かれた形となります。

外観上で言うと「四天王寺」が「しころ屋根」、「法隆寺」が「入母屋屋根」です。

ただし「法隆寺」は、解体修理時に「しころ屋根」の名残が見られたことから、時系列で見た場合「しころ屋根」が派生して「入母屋屋根」となったと考えられ、「しころ屋根」が改良されて「入母屋屋根」へ発展したのではないかと言われています。

【しころ屋根が発展して入母屋屋根へ】

切妻屋根 → しころ屋根(四天王寺の屋根) → 入母屋屋根(法隆寺の屋根)

しころ屋根の四天王寺と入母屋屋根の法隆寺

ちなみに、入母屋屋根は「寄棟系の屋根」に分類され、「切妻系の屋根」よりも「寄棟系の屋根」に近い形態になります。

【しころ屋根は切妻系、入母屋屋根は寄棟系】

切妻に寄せた屋根:しころ屋根
寄棟に寄せた屋根:入母屋屋根

しころ屋根と越屋根(こしやね)の違い

越屋根
しころ屋根

越屋根(こしやね)とは、換気や採光を取るために用いられる屋根のことで、屋根の一部が持ち上がったような形式で、比較的小規模な屋根と屋舎を設けた小屋根のことをいいます。

一般的な越屋根の形は、切妻屋根のような本を伏せたタイプの形が多いですが、片流れ屋根のような形をした「片流れ越屋根」を採用することで、一方向からのあかりとり(一般的には南側方向にせり出す越屋根を設ける)などを行うこともあります。

・越屋根の役割と機能について

屋根裏に溜まった熱を逃がす イラスト:kamisei

切妻系の屋根や寄棟系の屋根は、上昇した熱が小屋裏にたまりやすいデメリットがあります。

これを解消するために、母屋の切妻に「越屋根(こしやね)」を架け、建物全体に空気の流れをつくる事で小屋裏に溜まった熱を外に逃がすことができます。

つまり、越屋根(こしやね)は、住宅密集地において、越屋根の開口部を利用して、採光窓や換気口として機能します。

・「しころ屋根」と「越屋根」は「目的」と「役割」が違う

越屋根 写真:pinterest

切妻屋根の上に、良好な内部環境を築くために「採光」や「換気」を目的として「屋根の一部を盛り上げる形」で付け加えられる屋根を「越屋根(こしやね)」と言います。

つまり、「しころ(錣)屋根」と「越屋根(こしやね)」では、そもそもの屋根をかける「目的」と屋根に求める「役割」が違います。

【しころ屋根と越屋根の役割の違い】

・しころ屋根:重厚感のある「外観デザイン」が主な目的
・越屋根:「採光」や「換気」が主な目的

しころ屋根のメリット

しころ屋根の最大のメリットは、重厚感のある格式の高い佇まいの外観をつくれることにあります。

しころ(錣)屋根は、厳かな雰囲気や、格式ある佇まいの外観と相性が良く、古い形式の寺院建築に用いられ、神社や仏閣などの昔ながらの和風建築の外観によく使われています。

※しころ屋根は、大阪、和歌山で見かけられる屋根の形ですが、その他の地域で、一般住宅で採用されることはほとんどありません。

しころ屋根のデメリット

しころ屋根の最大のデメリットは、施工にかかるコストが非常に高い事だと思います。

一般的に屋根の形は複雑になるほど、それに準じて施工コストは高くなりますが、複雑な屋根の形をした、しころ屋根は、やはり他の屋根と比べてコストがかかります。

また、部材をつなぐ接合部分の複雑さゆえに、雨漏りのリスクが高く、メンテナンス費用も高くつきます。

《切妻屋根+寄棟屋根》

切妻屋根を寄棟屋根(よせむねやね)に近づけた屋根の形に「3:駒形屋根」と「4:母屋下がり」があります。

【切妻系の屋根】

3:駒形屋根(腰折屋根)
4:母屋下がり

寄棟屋根(よせむねやね)ってどんな屋根?

寄棟屋根

寄棟屋根(よせむねやね)とは、切妻の頂部の棟を短くして4面の屋根を張った形の屋根のことで、寄棟造(よせむねづくり)とも呼ばれる屋根です。

寄棟屋根は、日本では切妻屋根に次いでよく見られる屋根の形状になります。

寄棟屋根について詳しくは下記リンク先の記事にまとめてありますので参考にしてください。

>>>もう、屋根の形で悩まない!寄棟・方形屋根の特徴と押さえておきたい5種の形

3:駒形屋根(腰折屋根)

切妻屋根を途中から二段階勾配にした、駒形屋根(腰折屋根)

駒形屋根(こまがたやね)とは、切妻屋根の途中から屋根の腰が折れて、「勾配が二段階に変化している屋根」のことで、切妻屋根の勾配が途中から急勾配になった屋根のことを言います。

つまり、簡単にいえば、駒形屋根とは、切妻屋根の両面を二段階勾配に途中から折り曲げた形状の屋根のことです。

ちなみに、駒形屋根の名前の由来は、将棋の駒に似た形状をしていることからで、「駒形屋根」と呼ばれています。

※駒形屋根は、北海道の牧場やログハウス、岩手県下などでよく見られる屋根の形です。

駒形屋根はギャンブレル屋根や腰折屋根と呼ばれることも

駒形屋根は、別名「ギャンブレル屋根」とも呼ばれます。

また、他にも「駒形切妻屋根(こまがたきりづまやね)」や、屋根面が折れ曲がった形状をしていることから、「腰折屋根(こしおれやね)」と呼ばれることもあります。

マンサード屋根と呼ばれることもありますが、厳密にはマンサード屋根とギャンブレル屋根は別物となりますので注意してください。

※駒形屋根とマンサード屋根の違いってなに?

マンサード屋根
駒形屋根(ギャンブレル屋根)

駒形屋根は「切妻屋根」をベースとした「二段階勾配の折屋根」のことを言いますが、マンサード屋根は「寄棟屋根」をベースとした「二段階勾配の折屋根」のことを言います。

【駒形屋根とマンサード屋根の違い】

切妻屋根 + 腰折屋根 = 駒形屋根
寄棟屋根 + 腰折屋根 = マンサード屋根

駒形屋根(腰折屋根)のメリット

ギャンブレル屋根の家 写真:くまもとの家づくり・空楽

駒形屋根の主なメリットは下記の通りです。

【駒形屋根の主なメリット】

1:屋根裏空間を有効に利用できる
2:斜線制限をかわすことができる
3:屋根の水はけが良くなる
4:積雪の滑りが良くなる

駒形屋根(腰折屋根)のメリット1:屋根裏空間を有効に利用できる

駒形屋根では、屋根裏空間を広く取ることができるので、屋根裏の空間を有効活用できます。

また、構造計算をきちんと行えば、極力「柱」を立てる事なく屋根を支えられるような構造にすることもできるので、天井高が上がり、空間を広く感じやすい特徴があります。

駒形屋根(腰折屋根)のメリット2:斜線制限をかわすことができる

駒形屋根は、斜線制限(高度斜線や北側斜線、道路斜線制限など)をかわす際にも有効な屋根の形となります。

また、途中から屋根が折れることにより、屋根が敷地内から飛び出さなくなるので、住宅が密集した場所でも敷地の外にはみ出さずに、敷地内におさめることができます。

駒形屋根などの折れ屋根は、特に都市部において、法規をかわす上で有効な屋根の形です。

駒形屋根(腰折屋根)のメリット3:屋根の水はけが良くなる

駒形屋根は屋根勾配が途中で急になるので水はけが良い

屋根は、傾斜(勾配)をきつくするほど水はけがよくなりますが、駒形屋根は屋根の途中から勾配がきつくなるので、屋根を伝って雨水がよく流れ、水はけが良い屋根になります。

駒形屋根(腰折屋根)のメリット4:積雪の滑りが良くなる

駒形屋根では、屋根の傾斜が二段階になっています。

屋根の傾斜を二段階にすることで、屋根に雪が積もるのを抑える効果が期待できるため、雪の多い東北地方に適している屋根の形といえます。

駒形屋根(腰折屋根)のデメリット

駒形屋根の主なデメリットは下記の通りです。

【駒形屋根の主なデメリット】

1:勾配が変わる部分で雨漏りのリスクが高い
2:屋根の強度が弱くなり傷みやすい
3:太陽光発電を設置しづらい
4:天井が低くなる部分ができる

駒形屋根(腰折屋根)のデメリット1:勾配が変わる部分で雨漏りのリスクが高い

駒形屋根の腰折部は雨漏りのリスクが高い 写真:kamisei

駒形屋根の一番のデメリットは、切妻屋根よりも雨漏りがしやすくなる部分にあります。

屋根の傾斜が急になる部分(屋根が折れる部分)の境目は、雨仕舞いを徹底する必要があり、処理が甘いと、雨漏れの原因になるので注意する必要があります。

駒形屋根(腰折屋根)のデメリット2:屋根の強度が弱くなり傷みやすい

駒形屋根は、形式上、屋根を支えるための垂木(たるき)を、屋根勾配が変わる境目で一度カットしています。

勾配が変わる境目において、屋根の強度が弱くなる上に、雨や風などの影響を受けるため、傷みやすく、屋根の耐久性が心配な面があります。

駒形屋根(腰折屋根)のデメリット3:太陽光発電を設置しづらい

駒形屋根は、途中で屋根の傾斜が変わるため、太陽光発電を載せられる面積は少なくなります。

※太陽光パネルは形や大きさ(規格)が決まっているため、複雑な屋根に載せるのは難しくなります。

駒形屋根(腰折屋根)のデメリット4:天井が低くなる部分ができる

駒形屋根の傾斜がかかる「軒の部分」の内部空間においては、どうしても天井が低くなり、人によっては圧迫感を感じてしまうこともあります。

4:母屋下がり屋根

切妻屋根の片側だけ二段階勾配になっている母屋下がり屋根

母屋下がり(もやさがり)屋根とは、「切妻屋根」の「片側の屋根面だけが途中から折れ曲がった形の屋根」のことを言います。

駒形屋根(腰折屋根)は、切妻屋根の「両方の面の腰が折れる屋根」の形状ですが、母屋下がり屋根では、切妻屋根の「片側の面だけ腰が折れる屋根」の形状になります。

母屋下がり屋根は、切妻屋根の平面に「斜線制限がかかるケース」で使用され、片側の屋根の腰を折ることで、斜線制限にかかりそうな「片側の屋根の軒高を抑える」ために、斜線制限を交わす目的で使用される屋根です。

※それぞれの土地の上には、見えない建築許可ラインが存在します。

また、「母屋下がり」とは、広義では、天井が斜めになっていることを言います。

「招き屋根」に似たような屋根の形も「母屋下がり屋根」と呼ぶことも

招き屋根
母屋下がり屋根

ややこしいようですが、片流れ系の屋根である「招き屋根」に、似たような屋根の形を「母屋下がり屋根」と呼ぶこともあります。

つまり、片側の屋根の腰が折れておらず、形状としては「招き屋根」に似ているのにも関わらず「母屋下がり屋根」と呼ばれることもあります。

この場合、母屋下がりとは、天井が斜めになっていることを言い、「招き屋根」に似たような形をしていても「母屋下がり屋根」と呼ばれます。

ただし、見た目が「招き屋根」に似ているのに「母屋下がり屋根」という場合は、「へ」の字型の屋根の形をしていることがほとんどで、片側の屋根の「軒の長さが深く」切妻屋根に近い形をしています。

形としては「招き屋根」のように見えますが、「へ」の字の片側の屋根が「招き屋根」が短いのに対して、「母屋下がり屋根」では切妻屋根のように長くなっていることから、切妻系の「母屋下がり屋根」に分類されています。

※片流れ系の屋根について、詳しくは下記リンク先の記事にまとめさせていただいています。

片流れ系の屋根についてより詳しく知りたい方は下記リンク先の記事を読んでいただくと、屋根について深く理解していただけると思います。

>>>片流れ系の屋根6種のメリットやデメリットについての解説と屋根選びの注意点

切妻屋根の棟の位置を、中心からずらして「へ」の字にした母屋下がり屋根も

先ほども少し触れましたが、プランによっては、切妻屋根の棟の位置を中心からずらして、「へ」の字に変形した形の母屋下がり屋根もあります。

こうした「母屋下がり屋根」は、切妻の平面に斜線制限がかかる場合に見られる屋根の形状で、棟を中心からずらすことで「軒高」を必要以上に「下げることなく内部空間を確保する」ことができます。

しかし「へ」の字型の「母屋下がり屋根」の場合、中心となる棟の位置がずれる分アシメトリー(左右非対称)となり、屋根の端の部屋では、天井高が確保できなくなることもあります。

そのため、採用には、注意が必要となります。

そうした、「天井高が低い端の部分の部屋」は、「間取りが制限される」ことから、天井高が低くなる一部分を吹き抜けにしたり、納戸として利用するなどで空間を有効的に活用する方法が考えられます。

※吹き抜けの間取りの特徴や、吹き抜けにすることによるメリット、デメリットは下記リンク先の記事を参考にしてください。

>>>吹き抜けの家にする12のメリットとデメリット

母屋下がり屋根のメリット

母屋下がり屋根の主なメリットは下記の通りです。

【母屋下がり屋根にする主なメリット】

1:法規をかわすことができる
2:軒を出さずに敷地内を有効活用できる

母屋下がり屋根のメリット1:法規をかわすことができる

母屋下がり屋根は、片側を折れ屋根とすることで、斜線制限がかかる地域においても、各種制限をクリアしやすくなるメリットがあります。

北側屋根を母屋下がり屋根にするケースが多いですが、片側だけ腰折屋根にすることで、斜線制限内の高さに納めることができます。

母屋下がり屋根のメリット2:軒を出さずに敷地内を有効活用できる

イメージ:軒を出さずに敷地内を有効活用できる

母屋下がり屋根のメリットとして、敷地内を有効活用できるメリットがあります。

母屋下がり屋根では、片側の屋根の勾配が途中から急になり折れ屋根となるため、屋根頂点の高さを抑えた上で、敷地内にきちんと建物と屋根を納められるメリットが生まれます。

母屋下がり屋根のデメリット

母屋下がり屋根にする主なデメリットは下記の通りです。

【母屋下がり屋根の主なデメリット】

1:天井が低くなる
2:空間利用効率が下がる(家具が置けない)

母屋下がり屋根のデメリット1:天井が低くなる

母屋下がりの部分は、天井が「斜め勾配」になるため、天井が「低くなる」デメリットがあります。

敷地によっては、屋根の勾配を急にせざるを得ないケースもあり、母屋下がり屋根の直下の部屋は、納戸にするか、吹き抜けにするかにしなければならない場合もあります。

母屋下がり屋根のデメリット2:空間利用効率が下がる(家具が置けない)

空間利用効率が下がる

各種家具は、母屋下がりに見られる「斜め形状の天井」に沿うように計算されてつくられていません。

そのため、母屋下がりの部分には、家具を配置できなくなる可能性があり、空間利用効率が下がってしまうデメリットがあります。

《切妻屋根+片流れ屋根》

切妻屋根と片流れ屋根(かたながれやね)をミックスした屋根の形に「5:差し掛け屋根」があります。

片流れ屋根(かたながれやね)ってどんな屋根?

1方向にのみ傾斜がある片流れ屋根

片流れ屋根とは一方向のみに勾配がある屋根のことを言います。

片流れ屋根について詳しくは下記リンク先の記事にまとめてありますので詳細について知りたい方は下記リンク先の記事をお読みください。

>>>片流れ系の屋根6種のメリットやデメリットについての解説と屋根選びの注意点

5:差し掛け屋根

2枚の屋根の高さを、ずらしてかけた差し掛け屋根

差し掛け屋根とは、2枚の屋根を頂部からずらし、「左右の屋根」を「違う高さ」で「段違い」にかけた形状の屋根のことを言います。

高さをずらすことで、高低差を設け、高さをずらした部分にハイサイドライトなどの開口部を設けて、採光や通風を内部空間に促すことが可能になります。

差し掛け屋根の特徴

通風と採光に優れる

差し掛け屋根は、切妻屋根では取りにくい「内部への採光」や「通風」を促すことを目的に採用されます。

差し掛け屋根にすることで、北側に対しても高さを低く抑えることが出来、南側に対しても採光を取ることが出来る、「片流れ屋根」と「切妻屋根」の両方のメリットを効率よく取ることが出来る屋根となります。

外観上のシルエットもよく、デザイン面でも優れているため、近年は、建築家が建てる家によく見られる屋根の形になります。

「差し掛け屋根」と「招き屋根」の違い

招き屋根
差し掛け屋根

「差し掛け屋根」と「招き屋根」は混同されることが多い屋根です。

ややこしいようですが、「差し掛け屋根」のことを「招き屋根」と呼ぶこともあり、それが広く一般的な使われ方をしています。

ただし厳密にいうと、「差し掛け屋根」と「招き屋根」は違います。

「差し掛け屋根」は2枚の屋根をかける形になりますが、厳密には屋根の上部が「招き屋根」の形状をしており、建物に差し掛けられている下側の屋根を「差し掛け屋根」といいます。

※「差し掛け屋根」と「招き屋根」について

「差し掛け屋根」と「招き屋根」は、同一の屋根として扱われることが多く、混同されやすい屋根ですが厳密には違います。

「差し掛け屋根」とは、言葉通り「差し掛けられた屋根」なので、建物に「差し掛ける形の屋根」のことを言います。

つまり「差し掛け屋根」は、厳密には2枚の屋根を違う高さでかけていった際に「下側に差し掛けられた屋根」のことを言い、「招き屋根」はその「上部にかけられた屋根」のことを言います。

差し掛け屋根と招き屋根は厳密には違う 画像:イエコマ

しかし、現在では「差し掛け屋根」も含めて「招き屋根」と呼ばれることの方が多く、2つの屋根を一緒くたにして「招き屋根」や「差し掛け屋根」として呼ぶことが多いです。

【「差し掛け屋根」と「招き屋根」どちらも「招き屋根」】

「差し掛け屋根」と「招き屋根」、特別に区別することなく、どちらの屋根も「招き屋根」と呼ぶ場合もあります。

《厳密に言うと「差し掛け屋根」と「招き屋根」は違う》

・招き屋根:「へ」の字型の屋根のこと
・招き屋根:2枚の屋根を違う高さ出かけていった屋根のこと。

差し掛け屋根のメリット

差し掛け屋根にする主なメリットは下記の通りです。

【差し掛け屋根の主なメリット】

1:採光や換気を取ることができる
2:吹き抜けと相性が良く視線の抜けを確保できる
3:ハイサイドライトと相性が良い
4:内部空間を広く見せることができる
5:外観がシャープな印象になる
6:耐風性に優れる

差し掛け屋根のメリット1:採光や換気を取ることができる

切妻屋根のデメリットとして、内部に暗がりができやすく、通風計画に支障を来たしやすい問題がありますが、差し掛け屋根にすることで、屋根と屋根の間の壁に窓や通気口が設けられ、内部空間への採光や風通しをよくすることができます。

差し掛け屋根のメリット2:吹き抜けと相性が良く視線の抜けを確保できる

差し掛け屋根と吹き抜けは相性がいい

差し掛け屋根にすることで、天井高を確保でき、内部空間の視線の抜けが確保できるため、視線の抜けが良くなるメリットがあります。

また、差し掛け屋根は、屋根に動きをつけることができるため、開放的な空間にすることができ、特に吹き抜けの間取りとは相性が良い屋根の形となります。

【吹き抜けってどんな間取り?】

吹き抜けの特徴や、メリット、デメリットなどについては下記リンク先の記事を参考にしてください。

>>>吹き抜けの家にする12のメリットとデメリット

差し掛け屋根のメリット3:ハイサイドライトと相性が良い

差し掛け屋根はハイサイドライトと相性が良い

差し掛け屋根は、高い位置に設ける窓、ハイサイドライトと非常に相性が良いです。

段差にハイサイドライトなどを利用すると、より多くの採光を確保することができます。

【注文住宅の窓について詳しく教えて】

注文住宅の「窓」については、下記リンク先の記事にまとめられていますので参考にしてください。

>>>注文住宅の窓で失敗しないために抑えておきたい21種類の窓と配置のコツ

差し掛け屋根のメリット4:内部空間を広く見せることができる

「登り梁形式」と「和小屋形式」

屋根の架構形式を、和小屋形式ではなく、登り梁形式の合わせ梁にすると、柱をなくすことも検討できるため、内部空間を広く高く見せることができます。

差し掛け屋根のメリット5:外観がシャープな印象になる

差し掛け屋根は外観がシャープになる 写真:アキュラホーム

差し掛け屋根は、特徴を持ちにくい切妻系の屋根の中でも、外観が非常にシャープな印象になるなど、魅力的なメリットも多いため、建築家が建てる家でも多く採用されています。

差し掛け屋根のメリット6:耐風性に優れる

差し掛け屋根は、耐風性にも優れた屋根の形です。

差し掛け屋根のデメリット

差し掛け屋根にする主なデメリットは下記の通りです。

【差し掛け屋根の主なデメリット】

1:雨漏れのリスクが高い
2:多少コストがかかる

差し掛け屋根のデメリット1:雨漏れのリスクが高い

差し掛け屋根の立ち上がり部分などの接合部分は、やはり雨漏れのリスクが高くなってしまいます。

そのため、雨仕舞いをしっかりと処理しないと、雨漏れにより建物の耐久性が著しく低下してしまうこともあるので注意が必要です。

差し掛け屋根のデメリット2:多少コストがかかる

屋根の形状は、複雑になるほどコストがかかります。

差し掛け屋根は、形がシンプルな切妻系の屋根の流れを引き継いではいるものの、切妻屋根よりも形が複雑になる分、屋根をかけるためのコストがかかります。

【家を安く建てるためのコツを教えて!?】

依頼前に、家を安く建てるための基本を抑えることで、注文住宅を安く建てることができます。

下記リンク先の記事では、家を安く建てるための基本についてお話しさせていただいておりますので、これから注文住宅で家づくりを検討している方は、参考にしてください。

>>>家を安く建てる方法とコストダウンの7つの基本

変わった形の切妻系屋根(切妻屋根の応用パターン)

切妻系の屋根にはいろんな種類がある

続いて、切妻屋根をベースにしながらも、様々な屋根の形をミックスした屋根を紹介していきます。

【切妻屋根の応用系の屋根】

《内勾配の屋根》

6:バタフライ屋根
7:無落雪屋根(スノーダクト方式)

《アーチ型(シェル構造)の屋根》

8:シェル屋根
9:ヴォールト屋根

《内勾配の屋根》

切妻系の屋根で、内勾配の屋根は「6:バタフライ屋根」と、スノーダクト方式の「7:無落雪屋根」が代表的です。

下記から2つの屋根の特徴、それにメリットやデメリットなどについてお話ししていきます。

6:バタフライ屋根

蝶が羽ばたいているような形のバタフライ屋根

切妻屋根の勾配を、内側に向けてV字上に合わせた(谷で合わせた)構造の屋根のことをバタフライ屋根と言います。

2枚の屋根が、蝶が羽ばたいているように見えることからバタフライ屋根と呼ばれています。

バタフライ屋根は、2枚の屋根の棟が谷になっているため、谷部に雨がたまりやすく、雨仕舞いには特に注意する必要があります。

そのため、住宅の屋根としては向かず、ほとんど見かけることはありませんが、美術館などで、個性的なデザインの外観を演出したいときに使用されます。

ただし、積雪が多い地域では落雪を防ぐという意味で採用されることもあります。

※雪国以外の地域では、雨仕舞いの観点から、屋根は原則として内勾配にすることはありません。

もちろん、バタフライ屋根を使用した海外の建築には、名作と呼ばれるものもあります。

エラズリス邸模型図

例えば、実際に建築されず図面だけが残されている「ル・コルビュジエ エラズリス邸計画案(チリ 1930年)」などがそれに当たります。

オマージュを受けて建てられた作品が軽井沢にもあり、軽井沢タリアセンに移築され「ペイネ美術館(旧:夏の家)」として現存していますが、雨の多い日本の環境にバタフライ屋根が適しているのかというと、疑問に思うことは少なくありません。

内勾配の屋根の最大の弱点は雨漏れ

バタフライ屋根は谷部が弱点

屋根の傾斜は、雨仕舞いを良くするために必要になります。

点検やメンテナンスを考慮すると「7寸勾配」以上は行き過ぎで、「6寸勾配」程度が現実的ですが、傾斜が急なほど雨仕舞いが良くなるメリットがあります。

バタフライ屋根は、中央に雪を集めるためにある程度の屋根の傾斜が必要となりますが、バタフライ屋根などの内勾配の屋根は、「谷」となる「V字形」の部分に水が溜まりやすく、雨漏れしやすい仕様になってしまいます。

新築時は問題なくても、屋根材が傷みやすくなるため、劣化からくる損傷が進みやすく、雨漏れに注意が必要な屋根となります。

無落雪屋根(スノーダクト方式)ってなに?

陸屋根の中にバタフライ屋根が隠れている無落雪屋根

外観上は勾配のない陸屋根(「ろくやね」、または「りくやね」)の内側に、バタフライ屋根が隠れている屋根の形を、無落雪屋根と言います。

屋根の名前の通り、積雪地帯で見られる屋根で、屋根の「谷間部分に雪を貯める」ために用いられる屋根となります。

無落雪屋根では、屋根の中心のスノーダクトを利用して雪を溶かし、排水を行います。

バタフライ屋根のメリット

アントニン・レーモンド「夏の家」 現:軽井沢のペイネ美術館

バタフライ屋根にする主なメリットは下記の通りです。

【バタフライ屋根にするメリット】

1:デザインが個性的
2:窓の面積が広く取れ風通しも良くできる

バタフライ屋根のメリット1:デザインが個性的

美術館などで、建物の外観を際立たせ、個性的な建物を演出したいときにバタフライ屋根は用いられます。

バタフライ屋根のメリット2:窓の面積が広く取れ風通しも良くできる

バタフライ屋根は、屋根がV字形状になる分、壁面の面積が広くなります。

この構造を利用して、南から北側に風が抜ける窓を設けて、南風に対しての風通しを良くすることができます。

バタフライ屋根のデメリット

バタフライ屋根にする主なデメリットは下記の通りです。

【バタフライ屋根にするデメリット】

1:雨漏れのリスクがある
2:コストがかかる
3:修理が大変
4:谷部に深く幅が広い樋(とい)が必要

バタフライ屋根のデメリット1:雨漏れのリスクがある

バタフライ屋根は、建物の中央部の「谷」となる部分に「雨水を集めて流す構造」をしているため、V字形の谷部分で雨漏れのリスクが非常に高くなります。

屋根の構造上、屋根や建物が傷みやすく、しっかりとした雨仕舞いをしないと、建物の耐久性を著しく損なってしまう恐れがあります。

また、バタフライ屋根は、水がたまりやすく、雨漏れしやすいということを十分に理解した上で、採用するべきだと思います。

バタフライ屋根のデメリット2:コストがかかる

バタフライ屋根は、初期費用はもちろん、構造上、雨漏れのリスクが高いため、定期的な点検やメンテナンスが必要となります。

そのため、結果として屋根にかかるトータルコストは高くなります。

特に、排水口(ドレイン)が詰まらないように定期的に点検を施す必要があり、排水口が詰まると水の逃げ道がなくなり、水の流れを制御できず水が溢れ出したりするなど、雨仕舞いが悪くなるので建物の耐久性を著しく損なってしまう恐れがあります。

バタフライ屋根のデメリット3:修理が大変

バタフライ屋根は、屋根が内勾配のV字形になっているため、修理が非常に大変です。

雨仕舞いが悪いため、屋根の谷部分が弱点となりますが、谷部分から水漏れが起こると、一般的な外勾配の屋根よりも、修理が大変になることは覚えておいたほうがいいかもしれません。

バタフライ屋根のデメリット4:谷部に深く幅が広い樋(とい)が必要

バタフライ屋根は大きな樋が必要

バタフライ屋根の最大の弱点は「谷部」です。

V字形の谷部の雨仕舞いには、かなりの注意が必要になります。

具体的には、内勾配の屋根の谷部には「幅」が広く「深さ」があり、さらに「厚み」のある「雨樋」を設置する必要があります。

「厚み」がなく「薄い」と、劣化して穴が開いてしまう恐れがあるため、出来るだけ「厚み」のある「樋(とい)」が必要になります。

7:無落雪屋根(スノーダクト方式)

陸屋根の中にバタフライ屋根が隠れている無落雪屋根

スノーダクト方式の無落雪屋根とは、外観上は「陸屋根(ろくやね、または『フラットルーフ』とも)」に見えるものの、建物の内側に「バタフライ屋根」が隠れている形状をした屋根のことを言います。

無落雪屋根とは

無落雪屋根の仕組み

無落雪屋根とは、雪下ろしの必要のない屋根のことを言います。

降雪量の多い地域に見られ、雪を落とさずに屋根の上に乗せたままの状態で、自然に雪を溶かすなどの処理をすることを目指した屋根のことです。

無落雪屋根の種類

無落雪屋根の種類 イラスト:住宅クレーム110番

無落雪屋根には、いくつかの種類があります。

・《スノーダクト方式》

スノーダクト方式では、屋根の中央にダクトを設けて、ダクトに向けて勾配をつけていきます。

屋根に積もった雪は、V字形の屋根のダクト付近で受け止められ、「屋内の暖房」による熱で雪を溶かしていき排水していく仕様となります。

・《ルーフフラット方式》

名前の通り、屋根に勾配をつけずに、平らに設置した無落雪屋根のことです。

・《勾配屋根方式》

一般的な屋根に「横桟(よこざん)」とよばれる「雪のすべり止め」をつけた、無落雪屋根の方式です。

完全に落雪を受け止められるわけではありませんが、通常の屋根に比べると雪が屋根から滑りにくく、雪が自然に溶けて落ちるまで、屋根に載せておくことができます。

無落雪屋根(スノーダクト方式)のメリット

無落雪屋根(スノーダクト方式)にする主なメリットは下記の通りです。

【無落雪屋根にするメリット】

1:屋根に溜まった雪を下ろす必要がない
2:土地を有効活用できる
3:外観上は陸屋根に見える

無落雪屋根のメリット1:屋根に溜まった雪を下ろす必要がない

無落雪屋根の仕組み

積雪の多い地域では、定期的に雪下ろしをする必要がありますが、スノーダクト方式の無落雪屋根では、屋根のダクト付近で雪が止められます。

暖房により雪を溶かしていく方式のため、屋根に溜まった雪をおろす必要がありません。

無落雪屋根のメリット2:土地を有効活用できる

敷地内において、雪が落下する場所を確保しておく必要がありますが、無落雪屋根では、そうした場所を用意する必要がなくなるので、土地を有効的に活用できるようになります。

無落雪屋根のメリット3:外観上は陸屋根に見える

スノーダクト方式の無落雪屋根は、外周にパラペットを立ち上げているため、外観上は陸屋根(フラットルーフ)に見えます。

そのため、外観上とてもスッキリとしたシルエットに見せることができます。

無落雪屋根(スノーダクト方式)のデメリット

無落雪屋根(スノーダクト方式)にする主なデメリットは下記の通りです。

【無落雪屋根のメリット】

1:雨漏れがしやすい
2:耐久性が悪い
3:コストがかかる
4:太陽光パネルが積めない

無落雪屋根のデメリット1:雨漏れがしやすい

無落雪屋根(スノーダクト方式)の最大のデメリットは、屋根の構造上、どうしても雨漏りがしやすいことにあります。

特に、V字形の谷部分からの雨漏れのリスクを抱えざるを得ません。

※スノーダクト式の無落雪屋根は中央に集水しますが、屋根に積もった雪が溶けた際、毛細管現象を引き起こし屋根の内側に水が入り込むことで雨漏れを引き起こすことがあります(すが漏れ)。

無落雪屋根のデメリット2:耐久性が悪い

無落雪屋根では、屋根に流れる水を効率的に排水するための工夫が必要になりますが、落ち葉や泥などにより、溜まった水をうまく排水できず、行き場を失ってしまうリスクを抱える構造となります。

そのまま放っておくことにより、屋根材などが傷み、そこから劣化が進行し、雨漏りがしやすい構造になります。

無落雪屋根のデメリット3:コストがかかる

スノーダクト式の無落雪屋根は、イニシャルコスト(初期費用)はもちろん、屋根の機能を維持するための維持コストがかかります。

特に、屋根の谷となる部分は、「水」や「落ち葉」などがたまりやすい構造のため、「落ち葉」や「泥」などからくる詰まりを解消するために、定期的に点検やメンテナンスを行う必要があります。

もしも、傷んだ箇所に気がつかず、そのまま放っておくと、建物内部に水が侵入し、建物に甚大なる損傷を与えることもあります。

無落雪屋根のデメリット4:太陽光パネルが積めない

スノーダクト方式の無落雪屋根は太陽光パネルの設置には向いていません。

《アーチ型(シェル構造)の屋根》

切妻系の屋根でアーチ型(シェル構造)の屋根は、「8:シェル屋根」と、「9:ヴォールト屋根」が代表的です。

下記から、それぞれの屋根の特徴、ならびにメリットやデメリットなどについてお話ししていきます。

8:シェル屋根(HPシェル)

シェル屋根とは、薄い曲面状の板をはって、「面にかかる力」を適切に流すことで「交差する2つの曲線」に基づいて、構成される屋根のことを言います。

シェル屋根は、独特の「シェル構造」により、「立体的な屋根の形」をつくり出すことができます。

身近なシェル構造の例:薄い紙でも面内軸力による伝達で力が流れる

ここでいう、シェル屋根(HPシェル)とは、シェル(外殻)構造の屋根の一種で、馬具の鞍(くら)のような曲線形をした屋根のことで、起伏のついた「なだらなかな形の屋根」のことを言います。

シェル構造ってなに?

シェル構造の種類

シェル構造とは、「薄い曲面状の板」を構造材として使用している「曲面構造」のことを言います。

シェル構造には、今回話す「HPシェル」の他に鞍形シェル、双曲回転シェル、円筒シェル、タワーなどに使用される双曲回転シェルなどがあります

例えば、シェル構造を利用した建物で代表的な建築物は、シドニーのオペラハウスなどです。

シドニーのオペラハウス

HPシェルってなに?

HPシェルとは「hyperbolic Paraboloid Shell(双曲放物面シェル)」(ハイパーボリック・パラボロイド)の曲面構造のことで、双曲線外殻構造とも呼ばれ、放物線を描いたような「立体的な形の構造」のことを言います。

HPシェルは、大きな断面の梁材を使わずに、小さい部材で架構できる特徴があります。

HPシェルは面構造の屋根 イラスト:日本工学院北海道専門学校

その構造を屋根に応用し、曲線的にかかる「面の力」を適切に流すことで、軽くて強度の高い構造物を作った屋根の形が、HPシェルの屋根になります。

国内の木質のHPシェルは、東京大学本郷キャンパスにある「弥生講堂アネックス」が有名です。

弥生講堂アネックス

シェル屋根(HPシェル)の特徴

シェル屋根の特徴は下記の通りです。

【シェル屋根の特徴】

1:無柱の大空間ができる
2:シェル屋根が柱の役割を兼ねている
3:外と内が有機的につながる空間が生まれる

シェル屋根(HPシェル)の特徴1:無柱の大空間ができる

シェル屋根は、小断面で支える構造となっているため、屋根にかかる「引っ張り力」や「圧縮力」が安定しており、支柱を建てる必要なく広い空間をつくることができます。

内部から見たHPシェル構造の弥生講堂アネックス

シェル屋根(HPシェル)の特徴2:シェル屋根が柱の役割を兼ねている

また、シェル屋根が柱の役目も兼ねているため、柱を立てる必要のない広い空間を作ることができます。

シェル屋根(HPシェル)の特徴2:外と内が有機的につながる空間が生まれる

シェル屋根(HPシェル)の曲線的な外観が、そのまま内部空間にも反映されるため、非常に美しい曲線的な空間を演出することができます。

9:ヴォールト屋根

かまぼこのような形をしたヴォールト屋根

ヴォールトとは、アーチ型の、「かまぼこ」のような形をしている曲面天井のことを言います。

ヴォールトは穹窿(きゅうりゅう)と訳され、半球状の天井、ドーム形の天井の総称のことを指します。

本来の意味では、アーチ断面を水平に押し出し、かまぼこ形にアーチを描くもののことを「ヴォールト」と言いますが、近代以降は弓形を基にして構成される「曲面天井一般」を「ヴォールト」と呼ぶのが一般的です。

木造の場合は、アーチ状に曲げる(アールを付ける)のが困難であることから、一般的には集成材(米松など)を使ってアーチ状に形作っていきます。

※もともとの意味は、石かレンガ製で、天井や屋根によって空間を張り渡し支える「自立アーチ形態」のことを「ヴォールト」と言います。

ヴォールトの種類

注文住宅に使われる屋根の形としては、「かまぼこ形の天井のこと」という解釈のみで十分で、ヴォールトの種類までは必要ないかもしれませんが、一応補足しておきます。

ヴォールトにはロマネスク様式の「1:円筒ヴォールト」「2:交差ヴォールト」「3:リブヴォールト」3つのヴォールトがあります。

【ヴォールトには3種類の形がある】

1:筒形ヴォールト

最も単純な形で半円のアーチを水平方向に連続した形。

2:交差ヴォールト

直角に2つのヴォールトを配置した形。

3:リブヴォールト

イラスト:ミカオ建築館

リブという骨材をヴォールトの稜線にかけて、安定化した交差ヴォールト。

このうえに、さらにゴシック様式の「尖頭アーチ形のリブヴォールト」が加わります。

【ゴシック様式のヴォールト】

4:尖頭アーチ型のリブヴォールト

イラスト:ミカオ建築館

 

先端が尖った形のアーチのリブヴォールト。

ヴォールトは、中世のキリスト教教会の建築に多用されていますが、イスラム建築のモスクでも三面を囲い、トンネル状にした「イワーン」と呼ばれる空間に、ヴォールトが採用されています。

ヴォールト屋根の特徴

ヴォールト屋根の特徴は下記の通りです。

【ヴォールト屋根の特徴】

1:狭小地でも斜線制限の影響を受けづらい
2:曲線的な優しい表情になる
3:少ない柱で広い空間をつくれる

ヴォールト屋根の特徴1:狭小地でも斜線制限の影響を受けづらい

ヴォールト型の屋根は、斜線制限の影響を受けづらく、狭小地などに家を建てる場合でも、天井を高く取ることができます。

ヴォールト屋根の特徴2:曲線的な優しい表情になる

ヴォールト屋根の家の天井 写真:キトレペ 建築設計事務所

外観はもちろん内観も、曲線の形状が映える優しい表情の空間になります。

ヴォールト屋根の特徴3:少ない柱で広い空間をつくれる

ヴォールトは、小さな部材同士の圧縮軸力で成り立つので、少ない柱で広い空間を取ることができます。

切妻屋根を応用した発展系の屋根の4パターン

切妻屋根は、シンプルな屋根の形をしていますが、今回お話した屋根の形以外でも、一工夫を加えることで、様々な形にアレンジが可能です。

具体的には、下記の方法により、様々なバリエーションの切妻屋根を生み出すことができます。

【切妻屋根を発展させる4つのパターン】

1:屋根をずらす
2:複数の屋根を連ねる
3:屋根の形を変える
4:屋根の軒の出をなくす

切妻屋根を発展させる方法1:ずらす

への字型の切妻屋根 写真:pinterest

屋根をずらす目的は、主に採光を取るためや、斜線制限を回避するためです。

例えば、「差し掛け屋根」のように、屋根の頂部から屋根の高さを二段階にずらした屋根が「屋根をずらす」方法にあたります。

また、広さの限られた敷地を有効的に使う手段として、建物の中央の「棟木のラインの位置」をずらし、「2つの切妻屋根」を互い違いにかけることで、敷地内のスペースを有効的に使う方法も考えられます。

屋根をずらす目的は、主に採光を取るためや斜線制限を回避するため

切妻屋根を発展させる方法2:複数の屋根を連ねる

屋根を複数に連ねる主な目的は、「熱」を逃がしたり「採光」を取るためです。

また、屋根のボリュームを下げて角度を緩やかにしたり、「高度斜線を回避する」ためにも使用されます。

・下屋を使って斜線制限を交わす

下屋(げや)をかけた切妻屋根 写真:pinterest

「複数の屋根を連ねる」方法としては、下屋(げや)と呼ばれる、母屋の外壁に接して片流れ屋根をかけて斜線をかわし、母屋と下屋で天井高を変えて変化をつける方法などがあります。

住宅のデザインを検討する上で、意匠上、切妻屋根という形を取りたくても、斜線制限などに引っかかってしまう場合で、切妻屋根の下に下屋を設けることで斜線制限の問題を回避しながら、意匠を変形させることなく法規をかわすことができます。

この場合、「下屋」の部分では「天井高が低く」なり、「母屋」と「下屋」では天井高に動きが生まれる内部空間になります。

・越屋根にして、屋根の向きを互い違いにかける方法も

七光台の住宅 設計:アンブレアーキテクツ

また、変わった例としては、1階の「棟方向」を「東西方向」にした切妻屋根の上に、2階の「棟」の方向を「南北方向」にした切妻屋根を載せる方法なども考えられます。

上記のケースでは、一階の屋根の「棟方向」と、2階の屋根の「棟方向」を互い違いにすることで、より効率的に採光を取れるメリットがあります。

さらに、複数の切妻屋根を連ねるように配置することで、1枚の大きな屋根をかけるよりも「軒高を低く抑える」方法などもあり、この場合、存在感のある外観にすることができます。

・越屋根をつくり、あかりとりと採光を同時に行う

越屋根は喚起を促す写真:pinterest

切妻屋根は、小屋裏に熱気がたまりやすい特徴があります。

これを解決するためには、「越屋根(こしやね)」をつくり、「棟」の上部に「小屋」を設けて「通気」を取り、室内の環境を快適にする方法が一般的です。

越屋根をあらわし仕上げにすれば、屋内空間が開放的で、明るい空間に仕上げることもできます。

複数の屋根を連ねる目的は、熱を逃がしたり採光を取るため。また屋根のボリュームを下げ角度を緩やかにしたり高度斜線を回避するためにも使用される。

切妻屋根を発展させる方法3:形をかえる

屋根の形を変える目的は、主に「斜線制限を回避する」ためです。

中野M邸 写真:アイプラスアイ設計事務所

屋根の形を変える方法としては、切妻屋根の頂部を切り取り「台形の屋根」にする方法をはじめ、片側の屋根の軒を水平に延長させる方法、左右非対称の長さの招き屋根にする方法、対角線に屋根をかける方法などが検討できます。

・切妻屋根の頂部を切り取り台形の屋根にする

切妻屋根の頂部を切り取り、「台形屋根」にする方法は、複数の方向から斜線制限がかかった場合に有効な屋根の形です。

屋根を台形の形にすることで、外観に安定感を持たせることもでき、内部空間も屋根の一部が水平になるため、落ち着きのある室内空間に仕上げることができます。

・切妻屋根の片側の屋根の軒を緩勾配にして水平に延長させる

軒の出で縁側をつくる 写真:pinterest

切妻屋根の「片側の軒」を、水平に近い「緩やかな勾配」にして「延長させる」ことで、「縁側空間」をつくることができます。

軒を伸ばし軒下をつくることで、「内」と「外」の中間層が生まれるので、内と外が緩やかにつながる空間を作ることができます。

また、延長させた軒が庇(ひさし)の役割も兼ねたり、外壁面との取り合いが生じないため、雨仕舞いなどが有利になる効果もあります。

・招き屋根にする

招き屋根 写真:pinterest

切妻屋根は左右対称の長さですが、片側の屋根を長くして「招き屋根」にし、左右非対称の長さとすることで、ボリュームを調整し斜線制限のギリギリまで建築できるようになります。

・対角線に屋根をかける

葉山一色の家 写真:スタジオプラナ

「屋根の形」と「部材のかけ方」を工夫することで、「無柱の空間」を作ることができます。

例えば、屋根を三角形のトラス構造にし水平構面をとれば、圧縮力と引っ張り力がバランスよく生じ、全体として力が釣り合うため、無柱の開放的な空間構造にすることも検討できます。

屋根の形を変える、屋根をずらす目的は、主に斜線制限を回避するため

切妻屋根を発展させる方法4:軒の出をなくす

軒の出をなくした切妻屋根 写真:Select工房

軒の出をなくす目的は、主に斜線制限を回避するためですが、意匠(外観デザイン)の関係で軒の出をなくしたデザインにする事も検討できます。

・統一感のあるモダンな意匠になる

切妻屋根の「軒の出」をなくすことで、切妻屋根特有の野暮ったいデザインから、モダンな洗練されたデザインに外観を仕上げることができます。

またその際に、「外壁材」と「屋根の仕上げ」を「揃える」と、さらに全体が統一されたモダンな外観にすることができます。

・敷地いっぱいに家を建てることができる

軒の出をなくす分、敷地目一杯を使って建物を建てることもできます。

軒の出をなくす目的は、主に斜線制限を回避するため。ただし、意匠(外観デザイン)の関係で軒の出をなくしたデザインにする事も検討される。

屋根の形を選ぶ際に注意したい点

モダンな雰囲気の切妻屋根の家 写真:Pinterest

屋根の形を選ぶ際には、下記の点を留意する必要があります。

【屋根の形を選ぶ際に注意したい点】

1:デザイン性と実用性
2:将来的にかかるコスト

いい家を建てるためには、デザインと実用性のバランスを取ることはもちろん、将来的にかかるコストも考慮して屋根の形を選ぶ必要があります。

上にあげた注意点のどちらか一方に偏るのではなく、必ず2点のバランスを考慮し、十分に検討するようにしてください。

屋根選びの注意点1:屋根はデザイン性を重視するほど本質的な機能を保つことが難しくなる

屋根の形で、最も価格が安いのは、単純な形の切妻屋根ですが、デザイン性を重視するあまりに、「軒の出」を無くしてしてしまうことを検討することがあります。

単調になりがちな切妻屋根において、「軒の出」をなくすと、どこかモダンでスタイリッシュな佇まいの外観にすることができるからです。

けれども、実用的な観点から見れば、雨の多い日本の住環境において軒の出をなくすことは好ましくありません。

特に、軒先部分の雨仕舞いには注意が必要で、処理が甘いと軒先が原因の雨漏りが発生するリスクが高くなります。

また、軒の出をなくすと、直接雨風が壁に叩きつけられるため、雨水を受ける量が多くなり外壁も傷みやすくなります。

屋根選びの注意点2:将来的に発生するコストを必ず見込んで屋根を選ぶ

トップライト周りは雨漏りに注意

屋根の形を選ぶときは、将来的に発生する費用を見込んで選ぶ必要があります。

例えば、屋根材にもよりますが、屋根はおよそ10年ごとに部分補修や取り替え、また履き替えが必要となります。

屋根の形は複雑になるほどに傷みやすい箇所が発生しやすくなりますし、特に壁やトップライト(天窓)などの立ち上がり部分は、雨漏りがしやすい箇所となりますので、工事の手間がかかり、コストがかさんでいきます。

屋根の勾配は、3寸から6寸程度におさめると良い

また、切妻屋根でも勾配によっては、点検を行うだけでも足場を組む必要があり、それに伴い点検をするためのコストがかさむこともあります(目安として6寸勾配以上になると、屋根の勾配がきつくなるので点検やメンテナンスの際のコストが高くなる可能性が高くなります)。

さらに、切妻屋根でも「デザイン性」を重視するばかりに「軒の出」を極端に短くしたものなどは外壁が傷みやすくなるので、屋根以外にかかる点検やメンテナンスコストは必然的に高くなっていきます。

スタイリッシュな外観にすることも住まいを形作る上で、大事な要素ではありますが、個性を象徴する「デザイン性」ばかりに気をとられるのではなく、そうした将来的に発生するコストを見込んで屋根の形を選ぶことが大切です。

屋根の弱点とは

雨仕舞いには注意が必要 写真:写真蔵

屋根は、特に「屋根」と「壁」が交差している際(きわ)の「軒天井(ケラバ)」に当たる部分が防水の弱点となります。

台風などで雨が降り、風が強い場合は、屋根と壁の際(きわ)の部分から雨が内部に入りやすくなってしまいますので、如何にして雨に弱い部分の雨仕舞いをするかが、一つのポイントとなります。

雨が建物の内部に侵入することで、木造住宅ではカビや腐り、内部結露が生じ、鉄骨住宅では錆が生じるなどをし、建物の寿命を著しく縮めてしまう要因になります。

デザイン性と実用性はトレードオフの関係にある

家づくりの現場では、軒を深くとったり、庇(ひさし)を設けることで、雨仕舞いをよくする方法が取られます。

ただし、軒を深くとったり庇を設けると、外観にシャープさがなくなり、スタイリッシュな外観とはかけ離れた野暮ったい印象の外観になってしまいます。

しかし、軒や庇がないと雨漏れする確率が増えるので、外的要因から建物を守るという住まいの安全性を確保するという「本質的な意味」で設計上大切な視点になります。

繰り返しになりますが、屋根の役割と機能は、雨や風、熱や日差しから建物を守ることにあります。

デザイン一辺倒に陥るのではなく、この辺りは設計者と十分に話し合いの元、検討していくことをお勧めします。

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平入り(ひらいり)と妻入り(つまいり)の違い

妻側と平側の違い 図:All about

切妻屋根は、正面から見れば三角形の家型の整った屋根の形になりますが、出入り口を「平入」と「妻入り」の2方向から検討することができ、それに伴い、外観の雰囲気も変わってきます。

建物の平側から入る「平入り」か、建物の妻側から入る「妻入り」かは、外観の印象を決める大きな要因の一つとなりますので、土地との相性はもちろんありますが、外観をどのように印象付けたいかによって十分に検討して選ぶ必要があります。

平入り(ひらいり)

三角形の妻が見えない側(妻のない側の面)のことを「平側(平面)」といい、平側から建物に入ることを「平入り(ひらいり)」といいます。

平入りは、入り口の軒高が下がるため、人を招き入れる優しく落ち着いた雰囲気をつくり出せるので、京都の町家などの建物によく見られます。

妻入り(つまいり)

妻が見える側、つまり壁の三角形が見える側が「妻側(妻面)」といい、妻側から建物に入ることを「妻入り(つまいり)」といいます。

妻入りは、建物の中心軸が意識され、象徴的なファサードとなるため、荘厳な雰囲気の建物と相性が良く、ヨーロッパの教会では必ず「妻入り」が選ばれています。

設置コストが一番安い屋根の形は切妻屋根

切妻屋根

切妻屋根は、屋根の中で最もコストがかからず実用性を兼ね備えた、経済的で合理的な屋根の形です。

一般的な住宅に使われる屋根の形は、基本的な形でいうと4種類にまとめられます。

【注文住宅で使われる基本的な屋根の形】

1:切妻屋根(きりづまやね)
2:片流れ屋根(かたながれやね)
3:寄棟屋根(よせむねやね)
4:方形屋根(ほうぎょうやね)

(この内、寄棟屋根と方形屋根は一緒にされ「寄棟・方形系の屋根」とされることが多いです)

一般的に「屋根の形」も「家の形」と同じように複雑になればなるほど、コストが高くなっていく傾向にあります。

>>>家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い

また、屋根の形が複雑になるほど、工事内容も複雑になり、雨仕舞いなどを防ぐための工事も特熱な技術が要求されるため高額になっていく傾向にあります。

一般的に、屋根の形がシンプルな切妻屋根、または片流れ屋根がコストが一番安い屋根の形になり、さらに雨仕舞いにも優れ、実用的で優秀な屋根の形となります。

>>>家を安く建てる方法とコストダウンの7つの基本

片流れ屋根は形はシンプルなものの壁面が多くなるためコストがかかる

片流れ屋根

けれども、片流れ屋根は最もシンプルな屋根の形をしていますが、切妻屋根よりもコストが高くなることがほとんどです。

片流れ屋根が切妻屋根よりもコストがかかる理由としては、壁の量が多くなること、それにそれに準じて開口部の量が多くなることが挙げられます。

【片流れ屋根が切妻屋根よりもコストがかかる理由】

1:壁の面積が増える
2;開口部が増える

一般的な住宅では屋根よりも壁の方がコストがかかります。また壁の面積が多くなると、内部を明るいものとするために開口部をより多く設ける必要性が出てきます。

開口部が増えると、必要となる工事が増えていき、結果として片流れ屋根は切妻屋根よりもコストがかかる屋根になります。

※ローコスト住宅では、切妻屋根、開口部を極力減らし、建物の形も正方形の総二階建てにすることでコストを抑えています。

屋根の形はどうやって決めるの?

屋根の形は、主に下記3つの視点を検討することで決められます。

【屋根の形が決まる3つの要因】

1:敷地の特性
2:法的な規制
3:内部の空間性(開放性・採光・通風)

「1:敷地の特性」とは、家を建てる土地の敷地形状や、その周辺環境を考慮することです。

また、「2:法的な規制」とは道路斜線制限や、北側斜線制限などの法規に関わる規制を考慮することです。

「3:内部の空間性(開放性・採光・通風)」とは、効率よく採光、通風をとり、開放感のある家にするための工夫として行われます。

そして、これらの3つの視点に、建物の安全性能を高まるための構造計画が重なり、より建物として強固なものとする視点が加えられることで、屋根の形は決まっていきます。

屋根の形はいつ決めるの?

切妻屋根の家「鳥取の家」 設計:石川淳

一般的な木造住宅の場合は、基本的には「間取り」を決めてから屋根の形を決めます。

理由としては、木造住宅では、軸組工法も枠組工法でも、内部構造に大きく左右されることなく屋根をかけることができるからです。

もちろん構造によっては抜けない柱が出てきますが、一般住宅の場合は、構造計算をしっかりとすれば、代替する解決策はほとんどのケースで見つけることができます。

ただし、設計者は常に、下部構造や内部空間とのバランスを考えて設計していますから、はじめから終わりまで、屋根の形は意識しているというのが本音です。

屋根の形は、敷地形状や間取りの影響を大きく受け、それらが複雑であるほど屋根の形も複雑になっていきますが、単純な形ほど、機能的には優れた屋根になる点は覚えておいて損はないと思います。

また、屋根の形だけではなく建物の形も単純であるほど、機能性はもちろん経済的なメリットが生まれる点は覚えておくとよいと思います。

>>>家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い

切妻系屋根のまとめ

今回の記事では切妻系の屋根についてお話ししました。

以上でお話ししたように、一言で切妻屋根といっても様々な形の切妻屋根があります。

どんな屋根を選ぶのかによって外観上のシルエットはもちろん、屋根本来の機能性はもちろん、内部空間の効率性が大きく変わってきます。

また建てる土地によっては各種制限などの規制に少なからず影響を受ける場合があります。

そうしたことを全て含めて、屋根を検討し、ぜひ、あなただけの理想の家づくりをしていっていただけたらと切に願います。

【片流れ屋根や寄棟・方形屋根の特徴について教えて!】

片流れ屋根については下記リンク先の記事を参考にしてください

>>>片流れ系の屋根6種のメリットやデメリットについての解説と屋根選びの注意点

また寄棟・方形屋根については下記リンク先にまとめてありますので合わせて参考にしてください。

>>>もう、屋根の形で悩まない!寄棟・方形屋根の特徴と押さえておきたい5種の形

いい家を安く建てるために知っておいて欲しいこと

注文住宅を予算内におさめて、いい家を安く建てるためには、家づくりをはじめた当初の準備段階で知っておいて欲しいことが大きく言って3つあります。

プランを依頼する前に、「コストを抑えて家を安く建てるコツ」を知っておくことで無駄のない家づくりができるようになります。

下記に注文住宅を予算内におさめるために、知っておいて欲しい内容の記事を3つまとめておきましたので、参考にしていただき、無駄のない家づくりをしてください。

1:家のコストを大きくカットするコツと7つの基本

一度プランを依頼してみればわかりますが、注文住宅では、ほとんどの場合、当初の予算をオーバーしてしまいます。

当初の予算をオーバーする原因は人それぞれで違い様々ですが、打ち合わせを重ね、プランを進めてしまうと、一度プランを白紙に戻さないと引き返すことができなくなるなど、後戻りができなくなってしまうケースもあります。

もちろん、プランを一旦白紙に戻した場合は、それに伴って余計なコストがかかることは言うまでもありません。

こうしたトラブルを未然に防ぐためには、依頼する側が、家を安く建てるための基本やコツをしっかりと抑えておき、理想と現実の狭間で揺れながらも、予算内におさめられるようにコストを上手にコントロールする必要があります。

下記の記事では、家の価格の決まり方の話や、家のコストを決定づける要因や、コストダウンの基本などについてお話ししていますので、あなたの家づくりの参考にしていただき、予算内で納得のいく、いい家を安く建てることにお役立てください。

>>>家を安く建てる方法とコストダウンの7つの基本

2:家の形とコストの関係

家には、お金がかかる家の形と、お金がかからない家の形があります。

家を建てる際に必要となる初期費用はもちろん、建てた後に必要となるメンテナンスや点検を含む「修繕・維持費用」までも家の形で大きく変わってきます。

特に角(かど)の多い家は注意が必要で、実は角(かど)が一箇所増えるにつれて、見積もり金額に10万円から20万円の金額差が生まれます。

下記の記事では、そうした、お金のかかる家と、お金のかからない家の形の違いについてお伝えするとともに、どのような家の形であれば家のコストがかからず、逆にどのような形になった場合、家のコストが上がるかなどの例もまとめてありますので、あなたの家づくりの参考にしてください。

>>>家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い

3:無料でもらえる住宅カタログを使って家づくりを進める方法

家づくりは、今あなたが行なっているように、情報を集めるところからスタートします。

そして、最終的に、いい家を建てられるかどうかの大きな分かれ目は、依頼先選びで決まると言っても過言ではありません。

実際、同じようなプランでも、依頼先によって見積もり金額に大きく差が生まれますし、金額的な予算の違いだけではなく、同じ要望で依頼しても、依頼先次第で提案されるプランが違ったり、ひいては実現できることや実現できないことも依頼先によって違い、さらには工事の良し悪しも変わってきます。

だからこそ、失敗のない注文住宅を建てる上では、各社をしっかりと比較し、しっかりと検討してから依頼先を決めなければなりません。

依頼先選びで、各社を比較検討をするためには、住宅カタログを利用すると便利ですが、各社のカタログを読み解く上で、必ずおさえておきたいポイントなどがあります。

下記の記事では、無料で住宅カタログを取り寄せて、住宅カタログの見るべきポイントや、必ずおさえておきたいポイント、住宅カタログを使いこなして賢く家を建てるポイントなどについて書いておりますのでぜひ、参考にして家づくりを進めていってください。

>>>無料で貰える住宅カタログを使いこなし賢く家を建てる6つのステップ

以上、参考にして家づくりを進めてください。



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安くいい家を建てるには複数社への見積り依頼が基本です。タウンライフ家づくりは項目を選択するだけで、簡単にあなたの希望通りの間取りはもちろん見積り依頼まで簡単にできてしまいます。家づくりをお考えの際はまずは見積り依頼をしてみてください。