勾配天井は平屋と相性がいいと「勾配天井で失敗・後悔しないためにおさえておきたい13のメリットやデメリット」でお伝えしましたが具体的にはどのような点が平屋と相性がいいのか気になっている方も多いと思います。
そこで、今回は平屋を勾配天井にするメリットとデメリットについて解説していきます。
合わせて平屋の勾配天井で後悔しないためのポイントについても触れていきますので、平屋で勾配天井を検討している方は一度目を通していただき、家づくりの参考にしてください。
Contents
平屋が抱える問題点
平屋は下記の問題点を抱えています。
【平屋が抱える問題点】
1:日当たりが悪くて暗くなりがち
2:風通しが悪くてジメジメとする
3:プライバシーを確保しづらい
4:床面積を確保しにくい
平屋に勾配天井を取り入れるとここで挙げた問題が解決できるようになります。
勾配天井がある平屋のメリットと魅力
平屋を勾配天井にするメリットは下記の通りです。
【平屋を勾配天井にするメリット】
1:生活空間に広がりが生まれる
2:部屋の中が明るくなる
3:風通しの良い平屋を建てられる
4:梁が見えておしゃれになる
5:プライバシー性と視認性を高められる
1:生活空間に広がりが生まれる
平屋を勾配天井にすると縦の空間に広がりが生まれ、平屋が開放的になります。
平屋を勾配天井にすると縦の空間を生かすことが出来ますので、多目的に使うロフトをつくることも検討できたりと、生活空間に広がりを持たせられるメリットがあるのです。
2:部屋の中が明るくなる
また平天井の平屋は室内の奥まで採光できず、家の中が暗くなりがちです。
そして、間取りにもよりますが、特に平屋の廊下は暗くてジメジメとした空間になりがちな傾向にあります。
平屋を勾配天井にすると、勾配になった天井そばの壁を使って高い位置に窓を設けることができ、高い位置から採光できるので、部屋の隅々まで明るく照らし出すことができるメリットが生まれます。
また高い位置にある窓からは長時間日差しを取り込むことができるので、太陽の低くなる冬場でも十分な日差しを室内に取り入れることができるようになります。
3:風通しの良い平屋を建てられる
平屋は風通しが悪くなりがちな特徴がありますが、平屋を勾配天井にし天井高をあげ、風の通り道をつくると風通しが良い平屋にすることができます。
勾配天井を活かして空気の流れをつくり、高い位置と低い位置に開閉式の窓を設けると風の通り道が生まれ、気持ちの良い空間になるのです。
窓が対面同士で同じ高さにあるよりも、窓の位置に高低差をつけ、風の通り道を作ってあげることで室内に取り込める風の量は大きく変わってくるのです。
これにより風の流れをつくり換気がよく快適な室温を維持しやすい平屋にすることができるのです。
4:梁が見えておしゃれになる
さらに梁が見えるタイプの平屋は、空間デザイン的な印象も良くなります。
梁を利用して効果的に照明をつけたり、間接照明などを設置すれば、室内の雰囲気を柔らかい印象に演出することもできます。
針にダクトレールを取り付けてスポットライトやペンダントライトを効果的に配置すれば、より一層夜間の照明が華やかなものとなります。
ダクトレールは梁の側面に設置するタイプと梁の下部や上部に設置するタイプがあり、それぞれのプラン次第で幻想的な空間を演出することができます。
例えば梁の上部に照明を配置し、天井に向けて照射すれば天井に反射したライトが空間全体にグラデーションを生み出します。
側面に配置し壁にライトを照射すれば室内を明るくなりますし、下部につければスポット的に空間を照らし出すことができます。
このように梁があることで様々な空間演出をすることができるようになり、おしゃれな空間とすることができるのです。
それに、梁を見せると、無垢材の美しさが際立ち、それだけでおしゃれな空間とすることができます。
5:プライバシー性と視認性を高められる
平屋は外部からの視線が気になる問題を常に抱えています。
採光のために大きな窓を設けると行動や隣家の視線が気になりますし、逆に小さな窓にしてしまうと室内に入る自然光が足らずに暗くジメジメした空間になってしまいます。
また、風の抜けも悪くなったり、平屋の良さである外とのつながりが感じられる空間にできなくなってしまったりします。
平屋を勾配天井にすれば、高い位置に窓を設け流ことができるため、日差しと風を取り込みながらも外部からの視線が入らないような家づくりができます。
また高い位置にある窓は空に視線が抜けるため、採光と同時に空間に広がりをもたらしますし、低い位置の地窓と併用することで風の通り道はもちろん、暗くなりがちな平屋の室内に淡い自然光をもたらすこともできるようになります。
>>>注文住宅の窓で失敗しないために抑えておきたい21種類の窓と配置のコツ
勾配天井がある平屋のデメリット
ただ、勾配天井がある平屋にすると、下記のようなデメリットも生じてきます。
【勾配天井がある平屋のデメリット】
1:コストが高くなる
2:夏場は暑く冬場は寒い
3:冷暖房効率が悪くなる
4:メンテナンスが大変
1:平天井よりもコストが高くなる
勾配天井にすると平天井よりも壁の面積が増えるため勾配天井をつくるにあたってのイニシャルコストは高くなります。
もちろんケースによっては安く抑えることもできますが一般的には勾配天井にするとコストアップすると思ってください。
【勾配天井のコストが高くなる理由】
・壁の面積が増え内装の工程が複雑になり作業効率が下がる
・高所での作業は足場を設置する必要がある
・工期が長くなり人件費がかかる
その他の理由としては屋根断熱をする必要が出てくるため、それに伴いコストが上がるなどがコストアップにつながる要因としてあります。
設計次第ではコストを抑えて勾配天井をつくることもできますが、設計の難易度は上がるので勾配天井の設計に慣れた設計士に依頼する必要があります。
※例えば屋根裏の空間は天井裏に断熱材を入れて天井断熱を行い、夏場の太陽光から生じる高熱を防ぐ役割がありますが、勾配天井は屋根裏の空間をなくしてしまうので効果は期待できなくなります。
そのため勾配天井では、屋根断熱をする必要が生まれてきますが、屋根断熱は通常の天井断熱と比べて工事範囲が広範囲にわたることや断熱材の厚みにも制限があるため、より断熱性能が高い建材を使う必要が出てきます。
そうしたことから勾配天井ではどうしてもコスト高となってしまうことが多いのです。
2:夏場は暑く冬場は寒い
勾配天井と家の性能を上げることはセットで考えることが大事ですが、家の性能を上げずに勾配天井にすると極端に夏は暑く冬場は寒い空間になってしまいます。
天井高が上がることで冷暖房効率が悪くなり、部屋を一定の温度にキープするのが難しくなり、夏場は暑く、冬場は寒くなってしまうのです。
平屋はワンフロアの間取りのため、外部の影響を受けやすく、勾配天井にすることでよりデメリットが際立ってしまうと思ってください。
3:冷暖房効率が悪くなる
勾配天井にすると冷暖房効率が悪くなります。
暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下降する性質があるからです。
もちろん断熱性の高い建材を使ったり、家の気密性を高めて家の性能を上げたり、天井にシーリングファンを設置して室内の空気を循環させるようにしたり、大型のエアコンを設置したりすることで、影響を緩和することができますが、それでも一般的な平天井の家と比べてランニングコストはかかる家になると思ってください。
平屋は室温を均一に保つことが難しく、エネルギー消費量も増えるため、どうしても冷暖房効率が悪くなってしまう問題を抱えてしまうのです。
4:メンテナンスが大変
平屋を勾配天井にすると縦に高さが生まれるので高い場所の掃除はもちろん、照明器具の交換も大変になります。
勾配天井では、平天井のように簡単に照明の交換を行うことができなくなります。もちろんLED電球は持ちがいいですから、そこまで頻繁に照明を交換することはないかと思いますが、LED電球は突然切れますので注意は必要になるかと思います。
また梁があるタイプの勾配天井では梁の上部にはホコリが溜まりやすいので注意が必要になります。
平天井のように簡単には掃除ができませんから、室内に脚立を持ち込むか、それができなければ全問の業者に掃除を依頼する必要があります。
この辺りについては家の間取り計画時に十分検討しておくといいでしょう。
勾配天井の平屋で後悔しないための注意点
勾配天井の平屋で失敗しないためには土地探しからきちんと計画的に行う必要があります。
勾配天井の平屋にするなら後悔しないためにも下記のポイントを必ず抑えてください。
【勾配天井の平屋で後悔しないためのポイント】
1:利便性の良い土地ではなく平屋向きの土地を選ぶ
2:優先順位を決める
1:利便性の良い土地ではなく平屋向きの土地を選ぶ
駅近や商業地域などの利便性の良い土地は平屋には適していません。
平屋は外部の影響を受けやすいため、周辺にマンションやビルなどの高い建物があったり商業地域などの建ぺい率や容積率が十分でないことも多く、隣家との距離も近くなってしまうので平屋には向いていません。
必ず郊外の周りにマンションや商業ビルのない平屋向きの広めの土地を選ぶようにしてください。
建てた後もそうした建物が立たないかどうかも併せて確認して土地を選ぶようにしてください。
2:予算内で建てるために優先順位を決める
平屋は建築費用が高くなります。
基礎にかかる費用や外壁にかかる費用、さらには屋根をかけるための費用が2階建住宅よりも高くなるからです。
>>>新築で平屋を建てるにはいくらかかる?平屋の費用相場について徹底解説
>>>2階建て住宅と平屋の特長は?平屋か2階建てどちらで家を建てるか迷っているあなたへ
そして勾配天井にすると、壁面量がさらに増える形になるので、さらにコストがアップします。
室内の照明などもこだわりだすとさらにコストが上がってしまいますから、予算内で家を建てるためには優先順位を明確にしてから取り組む必要があります。
どこにお金をかけて、どこで削るのかは一般的な2階建住宅を建てる時よりも多くのケースでシビアになると思ってください。
>>>平屋を安く建てるための4つのコツと賢くコストをおさえる6つのポイント
勾配天井の平屋を快適にする間取りのポイント
最後に勾配天井の平屋を快適にするコツやポイントについて触れていきます。
【勾配天井の平屋を快適にする間取りのポイント】
1:中庭をつくる
2:縁側をつくる
3:エクステリアをおしゃれにする
1:中庭をつくる
平屋の家の形にはロの字型、コの字型など様々な形があります。
>>>平屋の間取りに差が出る、知っておきたい5つの平屋の形とメリット、デメリット
平屋の良さは外の空間とのつながりでもあるので、屋根の形を片流れ屋根にし、勾配の高い位置に中庭をつくると非常に開放的で明るい空間を生み出すことができます。
>>>片流れ系の屋根6種のメリットやデメリットについての解説と屋根選びの注意点
雨などが降った際に中庭に落ちないように傾斜の低い方を外向きに配置することがポイントで、高さのある方を庭側にすることで室内側への採光はもちろん風通しが非常に優れた家を建てることができます。
ただし中庭はデメリットもあるので中庭のメリットとデメリットをきちんとおさえた上でつくるようにしてください。
>>>中庭のある家の12のメリットやデメリットとおしゃれな中庭にする間取りのポイント
2:縁側をつくる
勾配天井の平屋と濡れ縁はとても相性が良い間取りです。
>>>おしゃれな濡れ縁をつくる7つのコツと濡れ縁にする10のメリット、デメリット
平屋の魅力は、暮らしの中で自然と地面との距離が近くなり内外部を緩やかにつなげられるところにありますが、縁側をつくるとより庭が身近に感じられるようになります。
縁側をつくると内(部屋)、半屋内(縁側)、半屋外(濡れ縁)、外(庭)と言ったような独特な「間」を生み出すこともできるので、暮らしに余裕を持たせた贅沢な間取りにすることができるのです。
縁側をつくる場合は、勾配天井にして天井高のある方は外側に向けるのではなく内側に向けるとより上品な雰囲気が出ます。
もちろん天井高のある方を縁側にした場合はアクティブ感が出ますので、それはそれでまた良い雰囲気になります。
3:エクステリアをおしゃれにする
勾配天井の窓を利用して、窓から見える景色をまるで絵画を切り取ったように見せる方法を取り入れるとより平屋での生活が豊かになります。
庭に植栽を植えると防犯対策にもなりますし、エクステリアを工夫してデザイン性を高めるとより快適な空間に仕上がります。
>>>家が驚くほど美しくなる!建物のデザインと調和したエクステリア(外構)のつくり方
まとめ
今回は勾配天井の平屋のメリットやデメリットはもちろん、平屋に勾配天井を取り入れる際の注意点、後悔しないために抑えておきたいポイント、勾配天井の平屋を快適にするコツなどについて解説してきました。
今回お話ししたメリットやデメリットを押さえていただき、あなたの家づくりの参考にしてください。