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注文住宅で地下室をつくる8つの目的と地下室の11のメリット・デメリット

憧れの注文住宅で、地下室をつくろうと検討している方もいらっしゃると思います。

地下室は趣味や収納など様々な使い方ができるため家づくりでは人気の高い間取りの一つです。もちろん敷地の関係で建物の高さを確保することが出来ず、地階をつくることで居住空間を広げるという考え方もあるでしょう。

一方で、地下室をつくるにはコストもかかりますし、押さえておかなければならないメリットなどもあります

そこで今回は地下室の魅力や代表的な使い方、地下室をつくるメリットとデメリットを解説していこうと思います。



Contents

地下室の使い方と目的

地下室は壁にコンクリートを使うため防音効果を高めることができたり、室温を一定の温度に保った空間をつくれるため、地上の部屋と違い下記のような使い方ができます。

【地下室の代表的な使い方】

1:シアタールームとして利用する
2:音楽スタジオや創作活動の場として利用する
3:食料の貯蔵庫として利用する
4:ワインセラーとして利用する
5:収納部屋として利用する
6:シェルターとして利用する
7:予備部屋として利用する
8:寝室やリビングなどの生活空間として利用する

地下室の使い方の詳細については下記に書き記していきますので地下室は一体何を目的として作っているのだろうかと気になる方も間取りを検討される際の参考にしていただければと思います。

1:【趣味】シアタールームとして利用する

地下室は地面の下につくられる空間のため、音漏れを気にすることのない防音効果を高めた部屋をつくることが出来ます。

そのためシアタールームなど大きな音が出る部屋をつくることにむいており、実際シアタールームを作る目的で地下室をつくる方もたくさんいらっしゃいます。

2:【趣味・仕事】音楽スタジオや創作活動の場として利用する

地下は遮音性が高く音漏れの影響が少ないため、地下室を音楽スタジオとして利用する方もいらっしゃいます。

趣味で音楽スタジオを作られる方もいらっしゃいますし、音楽を仕事にしている人は地下を音楽スタジオとして開放したり、周囲の建物に音漏れしないように配慮した空間とすることもあります。

また地下室は遮音性が高い空間をつくることが出来ますから、作家さんなどは一切の音を排除して創作活動に専念する場所として地下室をつくることもあります。

ただ、無音にしてしまうとかえって集中できないという方もいらっしゃいますので、この辺りは人によって使い分ける必要があると思います。

3:【実用】食料の貯蔵庫として利用する

地下室は湿度が高くなるものの、温度の変化が1年を通して少ない空間にできるため、食糧などの貯蔵庫として利用する方もいらっしゃいます。

あまりスポットが当てられることが少ないように感じますが、地下室は外気の影響を受けにくく、夏は涼しく、冬は暖かい部屋になりますので食料の保存庫としては最適なのです。

特に保存食の貯蔵庫に向いています。

4:【趣味・実用】ワインセラーとして利用する

地下室は温度変化が少なく、直射日光による影響を受けない、さらに湿度が高いという3拍子が揃うため、実はワインセラーとして最適な空間です。

ワインが好きな方やワインを趣味としている方は自宅の地下室にワインセラーとして設けている方々はたくさんいらっしゃいます。

5:【実用】収納部屋として利用する

湿度の面には気をつける必要はありますが、地下を収納部屋として利用している方もいらっしゃいます。

例えば湿気対策を十分にした上で衣類などをまとめて地下に収納する方もいらっしゃいます。洋服関係の仕事をされている方や洋服を趣味としている方で、地下室にまとめて洋服を保管している方も少なくありません。

6:【実用】シェルターとして利用する

実用目的としてはシェルターとして地下室をつくる方もいらっしゃいます。

日本ではシェルターとして地下室をつくる方はあまり見かけませんが、欧米では防空壕として地下室をつくる方も珍しくありません。

もちろん日本でシェルターをつくる場合は、欧米などと環境が違いますから、生活空間としても利用できるように食糧庫などと兼用してつくるといいと思います。

7:【実用】予備部屋として利用する

ゲストルームなどの代わりの部屋として使ったり、プラスアルファの機能をもたせた予備の部屋として地下室をつくる方もいらっしゃいます。

地下室は作っても生活の邪魔にはなりませんから、余裕があればプラスアルファの部屋として作っておくと何かと重宝すると思います。

8:寝室やリビングなどの生活空間として利用する

中には地下室を寝室にしたり、リビングなどで利用する方もいらっしゃいます。

湿気対策などは必要になりますが、地下の寝室やリビングは意外と心地よいと評判ですので、検討してみるといいと思います。

※ただし地下室は「サービスルーム」の扱いになるため、寝室やリビングなどの居室とするにはドライエリアを設けるなど一定の条件を満たす必要があります。

地下室は居室として使えるのか?

ただ地下室を生活空間として利用する場合は、建築基準法により法的な縛りがあるため、地下室を居室として使う場合は以下の条件をクリアする必要があります。

【地下室を居室として使う条件】

・からぼり(ドリエリア)などの開口部を設ける
・建築基準法で定める換気設備を設置する
・湿度を調節する設備を設置する
・外壁や床に適切な防水処理を施す

この記事をご覧いただいている方は設計士ではないと思うので、地下室の条件や詳細について確認する必要はないかと思いますが、気になる方は「建築基準法施行令」に記載されていますので確認しておくといいと思います。

ちなみに現行の建築基準法では地下室を居室にする場合、一般的な居室と違い、最高のための窓を設ける必要はありません。

建築基準法でいう地下室の定義は?

また、建築基準法では地階(地下室)の定義として下記のように定められています。

・床が地盤面よりも下にある
・天井高の3分の1以上が地面の下に埋まっている空間である

上記の条件が揃った時、地下室と定義されます。

地下室をつくるメリットとデメリットについて

地下室は様々な目的や用途で使われているのがわかっていただけたところで、ここからは地下室をつくるメリットや、地下室をつくることで生じるデメリットなどについて詳しく解説していきたいと思います。

まずは地下室をつくることのメリットから順番に解説していきます。

地下室をつくるメリット

地下室をつくるメリットをまとめると下記のとおりです。

【地下室をつくるメリット】

1:建物の床面積の1/3までは容積率に算入しなくてよい
2:遮音性が高い部屋を作れる
3:振動が伝わりにくい
4:耐震性が高く地震による影響を受けにくい
5:年間を通しての温度が一定

1:建物の床面積の1/3までは容積率に算入しなくてよい

建築基準法では、住宅等の地下室は、建物の床面積の3分の1までは容積率に算入しなくて良いことになっています。

例えば総2階建ての家を建てて、1階と2階部分の床面積が同じ場合で地下室をつくる場合は、建物の床面積の3分の1までは容積率に参入しなくても良いということになりますので、地下室がそのまま容積率として参入しなくても良いことになります。

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つまり容積率の厳しい地域でも地下室をつくることで土地を有効活用でき、通常の1.5倍家を立てることができるようになるメリットがあります。

特に都市部では地下室をつくることで狭い敷地を有効活用できます。

2:遮音性が高い部屋を作れる

地下室の周りは土に囲まれた空間であり、さらに地下室は通常コンクリートの壁(鉄筋コンクリート造)で覆われているため大きな声を出しても外に伝わりづらくなるメリットがあります。

3:振動が伝わりにくい

地下室は地上の部屋と比べて振動が伝わりづらく、ドタバタと走り回ったり、振動を伴う運動をしても他の部屋に伝わりづらい特徴があります。

4:耐震性が高く地震による影響を受けにくい

一般的な地下室は圧力がかかることを前提にして作られていますから、耐震性が高い空間になります。

地下室をつくるにはコストもかかりますが耐震性に優れた部屋をつくることが出来るメリットがあります。

5:年間を通しての温度が一定

年間を通して温度の変化が少ないことも地下室の特徴です。

外部の影響を受けづらいため、冬は暖かく、夏は涼しい部屋になります。

地下室をつくるデメリット

続いて地下室をつくるデメリットについてまとめていきます。

地下室をつくるデメリットは下記のとおりです。

【地下室をつくるデメリット】

1:建築コストが高く割高になる
2:湿気や結露が起こりやすい
3:雨や水に対して対策をする必要がある
4:メンテナンスなど維持コストがかかる
5:土地によっては地下室が作れない
6:固定資産税が高くなる

1:建築コストが高く割高になる

地下室は土地を有効活用できるメリットがある一方で、地上に部屋をつくるのとは違う特殊な工事が必要になるため地下室をつくるためのコストは高く、建築コストは割高になると思ってください。

地下室の安全性を保つために地盤補強をしたり、防水工事を徹底したり、換気や調湿工事などの設備投資も必要となるため地下室をつくるためのコストは自ずと高くなります。

例えば、地下室の安全性を担保するために構造体は鉄筋コンクリート造にする必要もありますし、構造計算も必要になります。

さらに地上に家を建てるのとは違う特殊な資材を用いる必要があり材料費がかかりますし、人件費はもちろん、土を掘った後の処理や運搬費なども加わり、湿気対策や防水処理なども必要になります。

地下室をつくるための大体の目安としては地下室のみで坪単価60万円以上を見ておく必要があります。

2:湿気や結露が起こりやすい

地下室は土の中につくるため高温多湿な日本の住環境において湿度がこもりやすくジメジメとした環境になりやすい特徴があります。

特に湿気の多い梅雨の時期から夏場は、地下室は湿度がこもりやすくカビやすくなりますので注意が必要です。

湿気を含んだ空気は重たく下に溜まりやすい性質があるため、地下室では、結露も起こりやすく換気などの対策は必須となります。

特に夏場は外気との温度差で結露しやすくなるため換気や除湿、防湿対策は必要となります。

また地下室を作ってから数年間(およそ3年くらい)は、コンクリートが十分に乾ききらないため、コンクリートから出る水分で湿度が高くなりやすくなるのでその期間は換気を徹底する必要があります。

特に新築から1年程度はコンクリートから自然に水が出てくるので十分な対策をとり手入れをすることは必須となります。

3:雨や水に対して対策をする必要がある

地下室は地中にあるためゲリラ豪雨はもちろん台風などの際に浸水してしまうリスクも高くなります。

家を建てる場所や環境によっては地下水の水位が上がって地下室に浸水してくることもあるため、雨や水に対して十分な対策をとって地下室をつくる必要があります。

また地下室は一度浸水すると内装はもちろん設備を取り替える必要があったりとおおがかりな修繕工事をする必要が出てくるため、維持するためのコストもかかると思ってください。

4:メンテナンスなど維持コストがかかる

地下室は湿気がたまりやすい環境にあります。

この湿気は悪さをしやすく、内部結露などを起こすことで住宅の寿命を著しく縮めます。

日本の住宅は平均寿命30年程度と、海外の建物と比べて建物の寿命が短い特徴がありますが、これは日本は高温多湿な住環境のため、構造体の耐久力が持たないことが原因の一つとしてあるのです。

もちろん定期的に点検をしメンテナンスをするなど手入れをすれば、住宅の寿命をのばす事もできます。

湿気対策の設備を強化すればメンテナンスにかかる手間を軽くする事もできるでしょう。

ただ、その場合コストがかかることは言うまでもありません。

5:土地によっては地下室が作れない

実は土地によっては地下室が作れないケースもあります。

例えば近くに水脈があったり、新しく埋め立てた土地など、土を掘り進めることで問題が生じやすい土地では地下室は作れないと思ってください。

建築基準法の規定で地下室にできないと言う事もあります。

地下室を検討する際は、地下室がつくれる土地を探し、家を建てる必要があります。

6:固定資産税が高くなる

地下室をつくると固定資産税が高くなります。

同じ面積の住宅であっても、地下室のあるなしで固定資産税に違いが生まれ、地下室がある家の方が高くなると思ってください。

例えば一般的な同じ条件で「3階建住宅」と「2階建+地下室」の家を建てた場合だと、「2階建+地下室」の方が固定資産税が高くなります。

どれくらい高くなるのかは建物の構造、地域、面積などの条件によってかわるので一概には言えませんが、地下室をつくると固定資産税が高くなるといったデメリットがあることは覚えておいた方がいいと思います。

家を建てた後から地下室をつくることはできる?

結論から言えば、家を建てた後から地下室をつくることはできます。

ですが土地の環境や条件にもよりますので、できる場合とできない場合があると言った方が正確かと思います。

ただし一般的にいって家を建てた後から地下室をつくることは対応が難しいケースが多いので「つくろうとすればつくれるケースもあるけれども、基本的にはつくれない」と言った認識でいた方がいいと思います。

いずれにせよ地下室が欲しいなら家を建てるときにプランを組んでおく必要があります。

地下室をつくるのにかかる施工期間は?

土地の状況、地下室のこだわり具合、施工業者などによって大きく違いますが、新築時に地下室をつくるのであれば、大体1〜2ヶ月程度工期が伸びるといった認識でいていただければいいと思います。

地下室は広くつくるほど安くなるの?

家づくりと同じで、広くなるほど単価あたりのコストは下がりますから安くはなります。

ただ、坪単価で換算すると安く見えるだけで、実際にはコストがかかっていますので、地下室を広くつくれば単価あたりのコストが下がるといった認識で捉えてください。

地下室は部屋として認められているの?

地下室は基本的には「居室」として認められておらず人が常にいることを想定されていない「サービスルーム」の扱いになりますが、建築基準法でいうドライエリアをつくることで「居室」とすることができます。

この記事は地下室のメリットとデメリットについて解説する記事になるので、ここでは詳しくお話ししませんが地下室には「全地下タイプ」「半地下タイプ」「ドライエリアがあるタイプ」の3つのタイプがあり、このうち地下に外部空間を設けるドライエリアがあるタイプの地下室にすることで通風と採光を確保し、リビングや寝室などの「居室」として地下室をつくる事もできるようになります。

地下室の結露は防ぐことができないの?

換気や除湿を十分に検討すれば結露そのものは抑えることができます。

ただ、湿った空気は下降する性質を持ちますから、地上に構えた部屋と違い、地下の部屋は湿気がたまりやすい環境であることは違いありません。

これを緩和するために環境に合わせた換気や除湿対策を設計プランに組み込んでおく必要があります。

定期的な点検やメンテナンスは必須

ネットにあふれる情報を見ていると「地下室はノーメンテ、定期的な点検やメンテナンスが必要ない」といった情報が出てくることがありますが、とんでもありません。

地下室は定期的な点検やメンテナンスが必ず必要になります。

点検やメンテナンスを怠っていると、大掛かりな修繕工事が必要になり、莫大なコストがかかる事もありますので注意してください。

まとめ

今回の記事では注文住宅で地下室のメリットとデメリットについてまとめてお伝えしました。

地下室をつくるメリットは下記のとおりです。

【地下室をつくるメリット】

1:建物の床面積の1/3までは容積率に算入しなくてよい
2:遮音性が高い部屋を作れる
3:振動が伝わりにくい
4:耐震性が高く地震による影響を受けにくい
5:年間を通しての温度が一定

対して地下室をつくるデメリットは下記のとおりです。

【地下室をつくるデメリット】

1:建築コストが高く割高になる
2:湿気や結露が起こりやすい
3:雨や水に対して対策をする必要がある
4:メンテナンスなど維持コストがかかる
5:土地によっては地下室が作れない

それぞれの項目の詳細については本文に記載してありますので本文を読んでください。

また、地下室をつくる際に気をつけたい地下室をつくる上でのちょっとした疑問についてもまとめて記載させていただきましたのでメリットやデメリットと合わせて確認していただければと思います。




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