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ハウスメーカーが注文住宅で採用している6つの工法のメリットとデメリット

注文住宅での家づくりをすすめるには様々な特徴を持つ工法の中からいずれか一つを選んで建てていく形になります。

どの工法がいいのか、どの工法が自分たち家族に適しているのかを悩まれている方は意外と多く、それぞれの特徴を始め、メリット、デメリットをきちんと把握して採用する必要があります。

いずれの工法にもメリットがあれば、必ずデメリットがあります。工法を選択していく過程でこちらを立てればあちらが立たず、なんていうこともあるでしょう。

例えば将来的に増改築を考えているのにもかかわらず、ユニット系のプレハブ工法など増改築に対応していない工法を選んでしまったら将来的に後悔することになるでしょう。

注文住宅で家の構造をつくるのは、文字通り工法な訳ですから、将来的なことも踏まえてしっかりと工法を選択していく必要があります。

この記事では注文住宅で使用される6つの工法の特徴やメリットとデメリットを合わせて記しました。

ハウスメーカーで使用される工法というタイトルにはなっていますが、ハウスメーカーに限らず設計事務所や工務店を含む他の住宅会社でも同様のことが言えるので、ハウスメーカーで注文住宅を建てる予定の無い方も是非一読し、家づくりの参考にされてください。

住宅は工法だけではなく、設計や工事により性能が左右されるため、ここでは一般論をお話ししています。各工法のメリットやデメリットをお伝えしていますが、設計や施工次第では必ずしも当てはまる訳ではありませんのでご注意ください。

工法や構造のメリットをはじめデメリットは、専門家により様々な見解が別れるところですので、ここでは広く一般的な見解をお話ししています。

この記事を読んでいただいた後に「家づくりで知っておきたい3つの構造と6つの工法のメリットとデメリット」を合わせて読んでいただくと、より理解が深まると思いますので合わせてご一読ください。




Contents

木造住宅とは

木造住宅とは、家の骨組みに木材を使った住宅のことを言います。

木造住宅の主な工法としては、主に柱、梁、筋交いで構成されている「木造軸組工法」のほか、床、壁、天井などの面で支える「ツーバイフォー工法」、工場で生産されたパネルを現場に運び、現場で組み立てる「プレハブ工法」などがあげられます。

現在でも新築一戸建て住宅の半数以上の住宅が木造住宅で建てられていることからもわかるように、木造住宅は普及率が高い他、施工できる住宅会社も多く、より幅広い選択肢の中から住宅会社を選ぶことができます。

新築一戸建ての注文住宅で人気の高い木造住宅ですが、木造住宅の人気の理由は、設計においての自由度が高いことにあります。

ただし、構造上、柱や壁で家を支える形になるので、一定の間隔で柱や壁などが必要になり、鉄骨住宅のように柱や壁を挟まずに大胆に広い空間にすることはできません(ただし、綿密な構造計算をすることで大きな空間のある建物を立てることは可能です)。

また、木材はジメジメとした環境では湿気を吸い、冬場の乾燥した時期には水分を放出する性質があるので、日本の高温多湿な住環境においては非常に適した建材として使われています。

ですから注文住宅の家づくりで木造住宅を選んだ場合、吸放湿性に優れているほか、断熱性にも優れているので夏は涼しく、冬は暖かい快適な部屋にすることができます。

木造住宅の注意点

木造住宅のデメリットとしては、品質にばらつきが生まれやすいことや、音が伝わりやすいこと、シロアリ対策が必要なことなどが挙げられます。

木造住宅の基本的な注意点としては、木材は湿潤と乾燥を繰り返すことにより割れが生じる他、反りや曲がれが生じる場合もあるので、定期的にメンテナンスをする必要があります。

さらに、施工数職人の腕によって住宅の品質も左右されやすく、それに応じて完成後の性能が大きく左右されるのが木造住宅の特徴です。

ハウスメーカーが提示している住宅性能は、一定の環境のもと、きちんとした管理に基づいてハウスメーカーのマニュアル通りに施行された場合の性能を示していますが、実際に工事を施工する下請け工務店によっては、実際にその通りに工事がされないこともあり、そのような場合はハウスメーカーの提示する住宅性能通りにならないことがあります。

▲木造住宅は屋上に向かない!?

木造住宅は屋上には向いていないため、木造住宅を検討されている場合は屋上の設置はプランから外すようにしてください。なぜ木造住宅は屋上に向いていないのかについては「屋上のある家ってどう?家づくりで屋上のある家のメリットとデメリット」に詳しく書かせていただいておりますのでご覧ください。

注文住宅で木造住宅を建てる際の一般的な価格設定

注文住宅の家づくりで木造住宅を選んだ場合の価格についてですが、木造住宅を選んだ場合、住宅会社によって価格は幅広く、使用されている材料(木材の種類や品質、またその為住宅設備機器など)や、工法(木造軸組、ツーバイフォー、プレハブ)により価格は大きく変わってきます。

木造住宅の一般的な価格を坪単価で見てみても坪単価30万円程度で建てられるローコスト住宅から坪単価80万円以上の高い価格帯の住宅まで様々です。

坪単価で家の価格を決める際の注意点については「注文住宅の家づくりで坪単価があてにならない5つの理由と3つの注意点」にまとめさせていただいておりますので一度目を通しておいてください。

ローコスト住宅については別途「ローコスト住宅が安い4つの理由とローコスト住宅で注意すべき12のデメリット」の記事をご覧ください。なぜローコストで家づくりが可能なのかについてお話しさせていただくとともに、ローコスト住宅の注意点などについても触れさせていただいています。

注文住宅で使用するハウスメーカーの工法1:木造軸組工法(在来工法)

木造軸組工法 出典:SUUMO

木造軸組工法とは、柱、梁、筋交いで構成されている日本では昔から用いられている住宅を建てるための工法のことをいいます。

木造軸組工法は、一般的に「在来工法」とも呼ばれ日本では古くから用いられている伝統的な工法の「伝統構法」を現代風にアレンジした工法で、伝統構法とは違い、釘や金物を使い建てられています。

木造軸組工法は、様々な立地や敷地条件に対応することができるほか、和風、洋風など様々な建築様式で使用されています。

木造軸組工法は他の工法と比べ、柱で支える構造のため、壁(面)で支える構造よりも構造的に、間取りの制約を受けにくく、将来的にリフォームが必要になった時も、間取りの変更を伴う増改築ができたり、リフォームに対応しやすい特徴があります。

木造軸組工法(在来工法)のメリット

・木造軸組工法(在来工法)のメリット1:設計の自由度が高い

在来工法の構造 a=梁 b=柱 c=筋交い d=土台 e=基礎 出典:オスカーホーム

木造軸組工法(在来工法)は、柱と梁、それに筋交いで建物が支えられている構造となっています。

そのため、面で支える構造よりも間取りの自由度が高く、構造上問題がなければ、間取りなど比較的自由に設計して頂く事ができます。

ただし3階建以上になるとしっかりとした構造計算が必要となり、ある程度制限がかかってきます。

また木造軸組工法(在来工法)の木造住宅では、もちろん屋根の形状も自由に選択することが出来ますし、外壁に使われる材料も幅広く選択して頂くことが出来ます。

※注文住宅で使われる一般的な屋根の形と特徴や、それぞれの屋根の形のメリット、デメリットについては「家づくりで知らないと損する8種類の屋根の形とそれぞれの特徴」を参考にしてください。

・木造軸組工法(在来工法)のメリット2:狭小地や変形地にも対応しやすい

木造軸組工法は、狭小地や変形地などの特殊な土地にも対応しやすい工法となっています。

例えば、柱の位置を変更し、しっかりとした構造計算を行い問題がなければ、特殊な条件の土地にも対応することが出来ます。

※構造計算は建物の壁の重量・屋根の重量・内装の天井・壁の重量の計算、その他、構造体である梁等の適切な高さや幅などをもとに導き出します。

・木造軸組工法(在来工法)のメリット3:増改築がしやすくリフォームに対応している

木造軸組工法(在来工法)は、間取りの変更を伴う、大幅な増改築などのリフォームにも対応しています。

そのため大幅な改修など、将来的にリフォームを計画している場合は、木造軸組工法を選択すると、より幅広い選択肢の中から間取りをリフォームしていただくことが出来ます。

・木造軸組工法(在来工法)のメリット4:価格幅が広い

木造軸組工法(在来工法)を採用している住宅会社は、ハウスメーカーをはじめ工務店、設計事務所に至るまで幅広く、また、価格帯も様々でローコストで建てられるものから、高価格帯の住宅まで選択することが出来ます。

木造軸組工法といっても幅広い方法が用いられ、特に旧式の在来工法(伝統構法)を採用している水澤工務店は非常に高価で、坪単価にしておよそ150万円ほどからと設定されています。

一方で、木造軸組工法は構造体のつくりかたによってコストを削減することもできるため、家の価格を安価に抑えることも可能となっています。(詳しくはこの後お話ししますが、「壁式工法」と「木質パネル工法」では、構造体における一定の基準が定められているため、コストを抑えた構造にすることは非常に難しくなっています)

※ローコスト住宅については「ローコスト住宅が安い4つの理由とローコスト住宅で注意すべき12のデメリット」を参考にしてください。

木造軸組工法(在来工法)のデメリット

・木造軸組工法(在来工法)のデメリット1:職人の技術の差が出やすい

木造軸組工法のデメリットとしては、施工する工務店(職人)により技術力に違いが生まれやすいところがあります。

単純に工事の品質が悪いと、住宅の品質も悪くなるため、性能面はもちろん住み始めてしばらくしてから不具合がどんどん出てくるため耐久性も低い家になってしまいます。

例えば、建ててしばらくしてからの、床の軋みなども不具合の一つです(材料の劣化によるものは除きます。ただし施工状況により材料の劣化の進度は違います)。

住宅の口コミサイトによる声は、同じハウスメーカーのものであろうと実際には施工する下請け工務店の技術力の差によるものも大きく、評価の高いハウスメーカーだから安心、評価の悪いハウスメーカーだからやめた方がいいなど、一概に口コミサイトに当てはまるわけとは言い切れないのが実情です。

※現在では、工場で生産された資材を使い組み立てる方式で家が建てられているため、技術力の差がないという方もいますが、それでもやはり品質にバラツキがあるように思います。

・木造軸組工法(在来工法)のデメリット2:構造的な知識が必要

木造軸組工法(在来工法)は、建物の横からの力に耐える「耐力壁」の量や配置をしっかりと考えて構造計算を行わないと地震時の揺れや、台風の強風に弱い家ができてしまいます。

耐力壁は住宅の重さを支えるために必要なので、2階よりも1階に多く必要となります。

※補足
耐力壁については「家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い」の「家づくりで覚えておきたい家の形」を参考にしてください。

・木造軸組工法(在来工法)のデメリット3:柱が必要になる

木造軸組工法(在来工法)では、柱、梁、筋交いで建物を支えているため、適切な場所に、建物を支えるための柱の配置が必要となります。

そのため広い空間を作る場合、どうしても構造上、柱を抜けない空間ができてしまうこともあります。

・木造軸組工法(在来工法)のデメリット4:木材の性質に合わせた処理が必要

シロアリの被害 出典:PIXTA

木材の特徴として一定の環境において「腐りやすい」ことと「白蟻の被害」にあいやすいことがあげられます。

そうした被害にあわないためにも防腐・防蟻処理がきちんとされていることが非常に重要となります。

また木材の品質は乾燥にも大きく依存するため、使用される木材がきちんと乾燥されているのかも重要になります。木材がきちんと乾燥していない場合、木材が安定せず、施工後に反りや曲がりが生じてしまう恐れがあります。

日本の環境下では木材の含水率は12%程度が理想とされています。

木材の乾燥による影響や木材の性質については「新築の注文住宅で知らないと損する15種の無垢フローリングの特徴とメリット、デメリット」をご覧ください。

さらに木材を使う場合、施工中に雨が降って濡れてしまった後の処理も非常に大事です。乾燥させないまま工事を進めてしまった場合、最悪の場合ですと、湿気が壁内にたまり、壁内結露を起こし、住宅の寿命を著しく縮めてしまうこともあります。

注文住宅で使用するハウスメーカーの工法2:ツーバイフォー工法

ツーバイフォー工法 出典:一般社団法人日本ツーバイフォー建築協会

ツーバイフォー工法(2×4工法)は「壁式工法」、または「枠組壁工法」とも呼ばれる工法で、もともとは北米からはじまり日本に輸入された工法です。

軸組工法(在来工法)が柱や梁、筋交いなどの軸(線)で建物を支えるのに対して、ツーバイフォー工法は、床、壁、天井などの面で支える特徴があります。

ツーバイフォー工法(2×4工法)では、面がそのまま耐力壁となるので構造上、大きな窓などの、大きな開口部を作ることが出来ず、木造軸組工法よりも間取りに制約が生まれますが、開口部がない分、耐震性が高い建物となります。

リフォームの時も同様で、ツーバイフォー工法(2×4工法)では構造上、大きな穴を開けることが出来ないので、大幅な間取りの変更などは出来ず、将来的な増改築には向いていない工法となります。

ツーバイフォー工法(2×4工法)は雨対策が特に重要

またツーバイフォー工法(2×4工法)は、軸組み工法と違い屋根ができるまでに時間がかかるので、雨の多い季節などの施工には向かず、雨が降った場合は、建物を雨から守るための工夫がどれだけされているかによって、完成後の品質が左右されるので注意が必要です。

ただし、施工時期に雨が降っていたとしても、きちんと養生されていたり、木材が雨に濡れてしまった場合も内部まできちんと乾かす事ができていれば問題ありません。

ただし、ほとんどの施工業者は雨に濡れてしまった場合も工期の関係で、十分に乾ききる前に次の工程に入ってしまっている現実があります。

雨に濡れてしまった場合は、含水計で含水率を内部の奥深くまできちんと計って十分に乾燥させてから次の工程に移る事が大事な事となります。

業者の中には表面の含水率だけを計って、問題ないと判断されることもありますが、表面が乾いていてもなかが乾いているとは限りません。

必ず内部まで十分に乾燥させてから次の工程に入るようにしてください。

特に合板(集成材)の場合は一枚の板に使われる層が何層にも重なっているので、含水計で表面が十分に乾いていても、内部の含水率を計ってみると十分に乾いていない場合がほとんどですので注意してください。

ツーバイフォー工法(2×4工法)のメリット

・ツーバイフォー工法(2×4工法)のメリット1:耐震性が高い

ツーバイフォー工法(2×4工法)は、床、壁、天井といった面で建物を支える構造のため、地震に強い構造となり、耐震性が高くなります。

・ツーバイフォー工法(2×4工法)のメリット2:断熱性・気密性に優れた構造

耐震性はもちろん、構造上隙間ができにくく、断熱性や気密性に優れた構造となっており、性能の高い家を建てやすい特徴があります。

・ツーバイフォー工法(2×4工法)のメリット3:耐火性が高い

ツーバイフォー工法(2×4工法)でつくられるツーバイフォー構造は、火に強い耐火性のある石膏ボードを壁に張り巡らせている構造となっており、耐火性も高い構造となっています。

※一般的な木造住宅では、軸組工法でも、石膏ボードを内部に貼り付けます。

・ツーバイフォー工法(2×4工法)のメリット4:広い空間が作れる

ツーバイフォー工法(2×4工法)では、軸組工法と違い、建物を面で支える構造のため、柱の出ない広い空間を作ることが出来ます。

ツーバイフォー工法のデメリット

2×4 出典:国土建設株式会社

・ツーバイフォー工法(2×4工法)のデメリット1:開口部の位置に制限がある

ツーバイフォー工法(2×4工法)では、構造上、開口部の位置に制限が生まれます。

軸組工法(在来工法)の場合は、建物を「線」で支える構造のため、開口部の位置を比較的自由に決めることが出来ますが、ツーバイフォー工法の場合は、床はもちろん壁、天井と「面」で支える構造のため、自ずと開口部の位置に制限がうまれます。

・ツーバイフォー工法(2×4工法)のデメリット2:増改築が制限される

ツーバイフォー工法(2×4工法)は、床、壁、天井と面で支える構造のため増改築も制限されます。

つまり増改築をしたい場合でも、構造上どうしても抜けない壁があったり、大きな窓を設置したくても設置できないと言うようなことがあります。

将来的に増改築を検討されている方にはツーバイフォー工法(2×4工法)での家づくりは向きません。

・ツーバイフォー工法(2×4工法)のデメリット3:上棟までに時間がかかる

木造軸組み工法の場合は1日で、1階柱、1階梁、2階床板、2階柱、2階梁、小屋組み、屋根の野地板まで上棟していきますが、ツーバイフォー工法は、1階の床、1階の壁、1階の天井、2階の床、2階の壁、2階の天井、屋根というように屋根がかかるまでに時間がかかります。

その間天候が悪い場合、住宅の品質に影響することもあるので、上棟までの天候をきちんと選ぶことが必要となります。雨に濡れてしまった場合は、きちんと木材を乾かすなどをせずに工事を進めてしまうと後に壁内結露を起こし、建物にダメージを与えることもあるので注意が必要です。

・ツーバイフォー工法(2×4工法)のデメリット4:間取りに制限がかかる

ツーバイフォー工法はツーバイ材と呼ばれる2×4材や2×8材、2×12材、4×4材を使い木材で枠組みを作ります。

そこに構造用合板を張ることで建物を支える仕組みとなっており、施工が簡単で効率的ではあるものの、規格化されているため間取りの自由度は低くなります。

ツーバイフォー工法(2×4工法)の注意点

ネットなどでたまに、ツーバイフォー工法(2×4工法)は、手順に従って施工すればいいだけなので、現場で施工する職人の能力に全く関係なく、誰でも簡単に施工できるといったようなことをおっしゃられている方がいますが、そんなことはありません。

そのようなことを書かれる方は、間違いなく、現場を知らない方です。そうした間違ったことを主張する人のなかには業界の方もいらっしゃるようですが、そのような記事は信じない方がいいでしょう。

また、ツーバイフォー工法で家を建てる職人に対しても失礼です。

2×4の斜め打ち 出典:キットガレージ

現実をお話しすると、ツーバイフォー工法(2×4工法)は意外と不具合が多く、特に2つ以上の部分が合わさる箇所では、ツーバイ材と呼ばれる2インチ×8インチの板に斜めに釘を差し込むことになります。

経験が浅く職人としての能力にたけていないときちんと打ち込む事ができず、施工不良となってしまいます。

そうした現場を多く見てきましたし、実際に釘を打ち込む際に芯に当たると釘が曲がってしまったり、うまくハマらないこともあります。

マニュアル通りに施工すれば確かに誰でもできるかと思いますが、机上の空論に過ぎず、現実はとても複雑なものとなっています。

住宅業界は様々な利権が絡みブラックボックスに包まれた中身の見えない産業で、情報隠蔽が日常的に行われているので、家づくりについて正確な情報を得ることは難しいですが、例えば「家づくりで失敗しないための新築一戸建て注文住宅の情報を収集する6つの方法」で紹介したような方法で、注文住宅の情報収集を行っていただくと失敗しない家づくりができる可能性が高くなると思います。

プレハブ工法とは

プレハブ工法 出典:建築ナビ

プレハブ工法とは、建築部材の生産、加工、組み立てまで工場で行い、工場である程度形にして現場に運び、現場で組み立てていく方式の工法のことを言います。

建物の一部や、部分部分において工場で生産されるものなどがありますが、プレハブ工法と呼ばれる工法では共通して「工場生産」「現場組み立て」になります。

プレハブ工法では、工場で溶接まで済ませ、資材を現場に運び、現場ではボルトやナットなどを使って固定して組み立てていきます。

プレハブ工法では、家づくりが効率化されており、工場でできるものは工場生産にし、現場で作業する工程をできるだけ省くことで家づくりが進められ、工期を短く抑えることができます。

また、現場にかかる負担が少ないため施工精度を高めることができ、さらに費用を抑えられてコストも削減することができます。

つまり、プレハブ工法は大量生産を行うための工業化の波によって生まれた、効率化を元に考え抜かれた、住宅工業化製品と言えます。

プレハブ工法の住宅の特徴と種類、注意点

プレハブ工法で建てられるプレハブ住宅の最大の特徴は、品質管理が行き届いた工場で生産される部分が多いため、品質のばらつきがほとんどなく、現場での作業も短縮できるため、後期を短くできる所にあります。

さらに大量生産によってコストも削減できるので、住宅を安価に供給することができます。

プレハブ工法によって建てられたプレハブ住宅には、木質系、鉄骨系、コンクリート系、ユニット系のタイプがあり、プレハブ工法で建てられた家は、増改築やリフォームの際に構造上、メーカー仕様の制約を受けることがあります。

メーカー仕様の制約を受けると言うことは、つまりリフォームや増改築を行う場合は、あらかじめ指定されたリフォーム会社でないと、リフォームができない、または難しいと言うことでもあり、注意が必要です。

※プレハブ(prefabricated)とは「あらかじめ工場で生産されたもの」と言う意味です。プレハブと聞くと、簡易的な作りのプレハブ小屋を連想される方が多いようですが違います。

プレハブ工法のメリット

プレハブ工法の主なメリットをまとめると次の通りです。

・プレハブ工法のメリット1:品質が安定している

プレハブ工法で使われる部材は、基本的に工場で生産されています。

プレハブ工法では、工場で生産された建築部材を、現場で接合し組み立てることで工事が進められて行きます。

家づくりに使用される資材は、できる限り工場で生産されるため、作り手の技術や経験に左右される要素が少なく、比較的安定した住宅を建てることができます。

・プレハブ工法のメリット2:価格が安い

プレハブ工法では、規格化された建築部材を工場で大量生産します。

家づくりに使われる資材を工場で大量に生産するため、原価管理が行き届くなどの理由で1つの部材あたりの単価を抑えることができ、また規格化されているため、価格を抑えた家づくりをすることができます。

※ただしあくまで単価の話ですので、実際にハウスメーカーで家づくりをする場合は、見積もり単価に「広告宣伝費」などの「各種経費」が乗っかる形になります。また「諸費用」などにも形を変えて住宅会社の儲けの部分を乗せて行きますので、家を建てる本体自体の費用は抑えることができますが、施主側としては、家が安い実感はわきずらいのが現実です。ハウスメーカーではどのような経費がかかっているのかに関しては「ハウスメーカーで最も家を安く建てるために値引きをする6つの方法」内の「大手ハウスメーカーの建築価格の内訳」の項目を参考にしてください。

・プレハブ工法のメリット3:工期が短い

プレハブ工法では、建物の部材が完成に近い形まで工場で生産され、残りの部分は現場で組み立てられて行きます。

プレハブ工法は、家づくりの効率化をおし進めた結果生まれた工法で、現場では基本的に組み立て接合をされるだけなので、後期を短くすることができます。

また軸組工法(在来工法)よりも職人の技能に依存する事が少なく、工事がたやすいことや天候に左右されづらいことも工期を短くできる理由の一つです。

プレハブ工法のデメリット

プレハブ工法の主なデメリットは下記の通りです。

・プレハブ工法のデメリット1:デザイン(設計)が限定される

プレハブ工法は規格化(パッケージ化)することにより、コストの削減を実現できています。

そのため、規格から外れた建築資材やデザイン(設計)を行うと、規格外となり、価格が高くなります。

家具の寸法に合わせた家づくりはしづらい、またはできないこともありますので注意してください。

設計デザインによっては採用できないこともあります。

・プレハブ工法のデメリット2:間取りが限定される

プレハブ工法では、間取りにも制約がうまれます。

つまり、基本的にはある一定の形からしか間取りを選択することができません。

住宅タイプの特徴については「家づくりで知ってトクする4種類の住宅タイプとそれぞれの特徴」も参考にしてください。

・プレハブ工法のデメリット3:増改築が難しい

プレハブ工法で建てられた住宅は、リフォームが困難となる場合が多いです。

住宅会社独自に開発している機能も多いため、メーカー仕様の制約はもちろん、建てた住宅会社の関連リフォーム会社に依頼することでしか対応できない場合もあります。

・プレハブ工法のデメリット4:土地によっては施工が困難な場合がある

プレハブ住宅は、工場でできるだけ組み立ててから現場に運ぶことで、現場での施工にかかる手間をできるだけ省いた工法です。

一般論としてプレハブ工法を選択した場合、パネル単位かユニット単位で工場で生産され、できるだけ完成した形で現場に運ばれるため、土地によっては施工が困難になる場合もあります。

詳しくは、この後のそれぞれのプレハブ住宅のメリットやデメリットを参考にしてください。

注文住宅で使用するハウスメーカーの工法3:鉄骨系プレハブ住宅

鉄骨系プレハブ住宅は、いわゆる工業化住宅の代表格で、基本は工場で生産された軽量鉄骨を骨組みに使用し、軸組工法によって建てられた住宅のことを言います。

鉄骨系プレハブ住宅で使用される骨組資材は、工場で、鋼材を切断、穴あけ、防サビ塗装まで済ませた上で現場に運び込まれます。

基本は、木造軸組構法と同じで軸組工法なので、躯体は柱、梁、さらにブレース(筋交い)と呼ばれる斜めがけの部材を使用した「ブレース構造」により構成された鉄骨住宅となっています。

つまり、基本的には木造軸組工法で使う部材を鉄骨に置き換えたものと思ってもらって差し支えありません。

ただし鉄骨系プレハブ住宅の中には、外壁パネルを使用して構造耐力をつけた「パネル工法」によるものもあります。

▼これって「重量鉄骨」?それって「軽量鉄骨」?違いは何?

※骨組みに使用される部材が重量鉄骨の場合もあります。軽量鉄骨と重量鉄骨の違いは、鋼材の厚さが「6mm以下」か、「6mm以上」かで決まります。つまり鋼材の厚さが6mm以上の場合は重量鉄骨になります。

鉄骨系プレハブ住宅のメリット

・鉄骨系プレハブ住宅のメリット1:耐震性が高い

鉄骨系プレハブ住宅は鉄骨を使った強固な構造となるため、耐震性が高くなります。

ただし構造的には耐震性が高くなったとしても、建物の揺れに対する強さは、建てる土地や基礎に依存するので注意してください。

・鉄骨系プレハブ住宅のメリット2:火事の際、燃え広がることが少ない

鉄骨系プレハブ住宅はパネルに不燃物を使用しているため木材のように燃え広がることが少ない傾向にあります。

また、鉄骨はある一定の温度に達するまで強度を保つため、耐火性が高くなります。

※ただし鉄はある一定の温度を超えると耐久性が著しく落ち、ぐにゃりと折れ曲がります。

・鉄骨系プレハブ住宅のメリット3:木材よりも軽く強度が高い

軽量鉄骨の場合、木材よりも軽く強度が高い性質を持っています。

特に木材と軽量鉄骨を同じ強度で比較した場合、軽量鉄骨の方が軽く木材よりも建物にかかる負担が少ないので、建物本体への負担を軽減することができます。

・鉄骨系プレハブ住宅のメリット4:工期が短い

鉄骨系プレハブ住宅は、建築部材が工場で生産され、現場で組み立てる方式のため、木造軸組工法(在来工法)などよりも工期が短くなるメリットがあります。

・鉄骨系プレハブ住宅のメリット5:コストが抑えられる

鉄骨系プレハブ住宅では、規格化された建築部材が工場で大量に生産されるので、資材あたりの生産コストを抑えることができます。

また、品質の安定した資材を現場に供給できるため、現場で組み立てる工期が短くなり、結果的にコストを削減することができます。

鉄骨系プレハブ住宅のデメリット

・鉄骨系プレハブ住宅のデメリット1:自由度が低い

鉄骨系プレハブ住宅は、部品や部材をはじめ規格化されている商品が多く、間取りや寸法が限定されます。

ある程度自由に選択をすることはできますが、基本的には、制限のかかった範囲でしか選ぶことができず、自由度が低い場合が多い傾向にあります。

ハウスメーカーで鉄骨を選ぶ際の注意点ですが、契約前の営業段階では、どんな要望でも叶えるそぶりを見せるものの実際に設計に移すと社内的な設計基準などにより設計上、間取りの変更がきかないといったこともあります。

※ただし場合によっては自由度に幅を利かせている住宅もあります。

・鉄骨系プレハブ住宅のデメリット2:プランに制限がある

鉄骨系プレハブ住宅に限らず、プレハブ住宅全般に言えることですが、様々な事情によりプランが限定されている事が多い傾向にあります。

多くの場合、間取りなどのプランを応用することが難しく、要望に近いプランを選ぶことで家づくりを進めていく選択型の方式で進められて行きます。

・鉄骨系プレハブ住宅のデメリット3:規格から外れると高額になる

鉄骨系プレハブ住宅に限らず、プレハブ住宅は工業化された住宅なので、大量生産、大量消費により品質や価格が保たれています。

そのため規格から外れたプランの場合、価格に反映することができず、高額になる傾向にあります。

・鉄骨系プレハブ住宅のデメリット4:リフォームが難しい

リフォームが難しいことは、プレハブ住宅全般に言えることですが、鉄骨系プレハブ住宅の場合は、斜めに筋交いが入り邪魔をするため、さらにリフォームをすることが難しくなります。

つまりプレハブ住宅では間取りはもちろん、構造に影響を与える場合が多いので、リフォームをすることが難しくなります。

また細かい仕様などは、住宅会社が独自に開発していることが多いため、リフォームの際は依頼した住宅会社の関連会社でないとリフォームをすることができず、リフォームの際も会社が限定される傾向にあります。

・鉄骨系プレハブ住宅のデメリット5:一定の温度に達すると火に弱くなる

鉄骨は耐火性がありますが、鉄はある一定の温度で一気に強度がなくなり、ぐにゃりと曲がる性質を併せ持っています。

火災時は、木材のように大きく燃えることは避けられますが、強度がなくなり躯体を維持するのが難しくなります。

※壁には石膏ボードが入るため、木材を選ぼうが鉄骨を選ぼうが火事の際は、結果的にあまり大差はないと言う主張もあります。

・鉄骨系プレハブ住宅のデメリット6:木造よりも価格が高くなる

使用される資材の質や、その他の要素が複雑にからみあうことで家の価格は決まりますが、軽量鉄骨を使用した場合、基本的には木材を使用するよりも価格は高くなります。

・鉄骨系プレハブ住宅のデメリット7:鉄の性質に依存する

鉄は熱伝導率が高いので、そのままの状態だと断熱性が期待できません。また鉄は音を伝える性質もあり軽量鉄骨のような薄い鉄を使用している場合は、遮音性が期待できず防音性を高める工夫が必要になります。

また鉄は錆びるため、酸化を防ぐための工夫が必要となるほか、海に近い土地に建てる場合には向きません。

※遮音性は骨組みだけの問題ではなく、壁に使われている素材にも依存します。また一般的に、密度が素材ほど、音は伝わりづらいとされています。

注文住宅で使用するハウスメーカーの工法4:木質系プレハブ住宅

木質系プレハブ住宅は断熱材が入った木質パネルを工場で生産し、現場に運び、床、壁、天井を組み立てていく「壁式工法」の一種で建てられた「プレハブ住宅」のことを言います。

この時、特に外部や水回りに使用される部材については、防腐処理をはじめ「シロアリ防止の処理」を施し、建物外周に使用される木質パネルには断熱材が組み込まれます。

現場に運び込まれた木質パネル同士は接着剤や釘によって接合、固定され、「壁式工法」で建てられます。

「壁式工法」では外侮からかかる力が面で受け止められるため、耐震性や耐風性に優れ、また現場では工場で生産された精度が安定しているパネルを組み立てるだけのため、完成後の住宅性能にばらつきが少なく、工期を短くすることができるとされています。

※「されている」と表現するのは、あくまで一般論であると言う意味合いを含めています。

木質系プレハブ住宅のメリット

・木質系プレハブ住宅のメリット1:精度が安定している

木質系プレハブ住宅では、断熱材まで組み込まれたパネルを工場で生産されるため安定した品質の家を建てることができます。

一般的に軸組工法による木造住宅の場合は、現場で作業する職人の腕に大きく左右されますが、プレハブ工法の場合は、職人の腕に左右されにくく、住宅精度の安定した品質の家づくりを行う事ができます。

・木質系プレハブ住宅のメリット2:耐震性・耐風性・耐火性が高い

木質系プレハブ住宅ではパネルにより面で支えていく工法のため、耐震性や耐風性が高められた構造になっています。

また、あらかじめ品質管理が行き届いた工場で床、壁、天井のパネルが生産されているため、品質の安定した耐火性の高いパネルを生産しています。

・木質系プレハブ住宅のメリット3:断熱性・気密性が高い

一般的にプレハブ工法は、軸組工法よりも隙間ができにくい工法と言われているため、断熱性や気密性が高い住宅を建てる事ができます。

・木質系プレハブ住宅のメリット4:工期が短い

木質系プレハブ住宅は、工場で断熱材が入った木質パネルを生産し、現場に持ち込まれ現場で組み立てられて行きます。

木質系プレハブ住宅は、効率化が進められうまれた木造住宅のため、現場ではある程度完成された木質パネルを組み立てる作業が主として行われ、現場作業の負担が軽減されています。

そのため、工期を短くすることができます。

木質系プレハブ住宅のデメリット

・木質系プレハブ住宅のデメリット1:着工後の変更が難しい

デメリットというよりかは注意点に近いですが、木質系プレハブ住宅は、現場にはあらかじめ完成された木製のパネルが運ばれ組み立てられて行きます。

木質パネルはあらかじめ工場で生産され持ち込まれるため、着工後にプランを変更する事が非常に難しくなります。

・木質系プレハブ住宅のデメリット2:デザイン(設計)に制限がかかる

木質系プレハブ住宅でも、一般的なプレハブ住宅同様にデザイン(設計)に制限がかかるので、間取りなど家づくりのプランの自由度はそれほど高くありません。

プレハブ住宅は部材を規格化(統一化)する事が前提の住宅であるため、いわゆる一般的な注文住宅のような自由度はありません。

具体的には寸法があらかじめ決められているため、ほとんどの場合細かい指定はできません。

家づくりで知ってトクする4種類の住宅タイプとそれぞれの特徴」で話した住宅タイプの特徴でいうと、ほとんどの場合「規格型住宅」の部類に入ります。

また、いわゆる自由設計の注文住宅には2種類ありますが、2種類の注文住宅の違いや、完全オーダーメイドの自由設計の注文住宅を検討されている場合は「建築家や設計事務所に注文住宅の家づくりを依頼する注意点と2つのポイント」を別途参考にしてください。

・木質系プレハブ住宅のデメリット3:増改築は難しい

プレハブ住宅全般に言える事ですが、増改築は難しくリフォームには制限がかかりますので、将来的に大幅な増改築を予定している場合はプレハブ住宅は向いていません。

注文住宅で使用するハウスメーカーの工法5:コンクリート系プレハブ住宅

コンクリート系プレハブ住宅とは、コンクリートパネルを工場で生産し、養生した鉄筋コンクリートのパネルを現場に運び床、壁、天井を組み立てていく「壁式工法」で建てられたプレハブ住宅のことを言います。

工場ではあらかじめ鉄筋の入ったコンクリートが生産され、現場では工場で生産されたプレキャストコンクリートパネルと呼ばれる鉄筋コンクリートのパネルを接合しながら組み立てて行きます。

通常、コンクリートを住宅に使用する場合、現場で型枠を作りコンクリートを打設(流し込み)することにより作られますが、現場での施工は、天候に左右され、さらに養生期間を要するため、品質が不安定になるデメリットがあります。

一方で、コンクリート系プレハブ住宅に使われえるコンクリートパネル工法(またはプレキャストコンクリートパネル工法(PCa工法))では、工場で型枠に配筋を行い、配線、配管用部品を組み込み、コンクリートを打設し養生までしっかりと管理され行うため、安定した品質と精度を保つことができるとされています。

※プレキャストコンクリートとは、現場での生コン打設によりつくられるコンクリートではなく、工場で現場で使用できる形に整形までしたコンクリートのことを言います。

工場生産だからといって必ずしも品質が安定していて安心というわけではなく、工期が迫っている場合などは養生が中途半端な状態でも出荷される事があるようです。そのためやはり注意が必要であることには変わりありません。

※使用されている部材はコンクリートとなりますが、構造的には木質系プレハブ住宅と同じ構造になります。

コンクリート系プレハブ住宅のメリット

・コンクリート系プレハブ住宅のメリット1:耐久性・耐火性が高い

コンクリート系プレハブ住宅では、コンクリートが使われているため、コンクリートの性質を受け継ぎます。

コンクリートの性質としては、一般的には耐久性が高く、耐火性にも優れている特徴があり、耐久性、耐火性ともに高い住宅を建てる事ができます。

・コンクリート系プレハブ住宅のメリット2:防火地域に対応している

木造住宅は防火基準をクリアした地域にしか建てる事ができませんが、コンクリート系プレハブ住宅の場合は、素材がコンクリートのため、燃えにくく、防火地域に対応しており、防火基準に関係なく建てる事ができます。

・コンクリート系プレハブ住宅のメリット3:遮音性が高い

コンクリートは密度が高いため、一般的には遮音性に優れた住宅を建てる事ができます。

・コンクリート系プレハブ住宅のメリット4:品質が安定している(現場施工よりも)

コンクリートを現場で打設し養生する場合、天候はもちろん気温などのあらゆる条件により品質が左右されます。またそれに加えて職人の技能にも左右されます。

コンクリート系プレハブ住宅では、工場で品質管理のもと、養生まで行われるため、安定した品質の住宅を建てる事ができるとされています。

※ただし工場での品質管理を徹底する必要があります。

コンクリート系プレハブ住宅のデメリット

・コンクリート系プレハブ住宅のデメリット1:地盤改良が必要になる

コンクリートは重いため、通常の地盤では建てる事ができず多くの場合、地盤改良が必要になります。

・コンクリート系プレハブ住宅のデメリット2:間取りに制限がある

コンクリート系プレハブ住宅は間取りに制限がかかるため、設計(デザイン)の自由度はそんなに高くありません。

・コンクリート系プレハブ住宅のデメリット3:増改築は難しい

コンクリート系プレハブ住宅は特に増改築は難しい(できない)と考えてください。

注文住宅で使用するハウスメーカーの工法6:ユニット系プレハブ住宅

ユニット系プレハブ住宅は、プレハブ工法の一種であるユニット工法でつくられた住宅のことを言います。

ユニット工法は、プレハブ工法の中でも際立って工場で生産する比率を高めているため、8割型の作業を工場で済ませる事ができ、現場作業の手順も標準化されているためもっとも工期が短く注文住宅を建てることができます。

ユニット工法では、まず工場で、窓の取り付けから、床、壁、天井、キッチンや浴室に至るまでの設備部分、外壁、外部建具、電気配線、内装(間仕切り壁や内部建具を含む内部造作)に至るまでユニット単位(箱単位)で品質管理され生産し、ユニット単位(箱単位)で完成させます。

ユニット(箱)は、主に鉄骨の柱、梁を使い工場で組み立てられて行き、品質が安定した家を建てることができるとされています。

次に、工場で生産されたユニットをそのままの形で現場に運び込み積み上げたり重ねたりしつなぎ合わせていく方法で建てられます。

ユニット(箱)は部屋ごとに工場で生産され、専用のトラックに載せられ現場に運び、現場ではクレーンで持ち上げて組み立てられていきます。

ユニット系プレハブ住宅のメリット

・ユニット系プレハブ住宅のメリット1:品質が安定している

ユニット系プレハブ住宅では工場で8割型の作業が完了します。

現場での負担が少なく、工事も標準化されているため、一定の品質を保った住宅を建てる事ができます。

・ユニット系プレハブ住宅のメリット2:耐震性・耐風性・耐火性に優れている

徹底した管理のもと部屋ごとの単位で工場で生産されるため、現場での工事と比べ、工事の品質にばらつきがうまれづらく、一定基準を満たした耐震性、耐風性、耐火性に優れている住宅を建てる事ができます。

・ユニット系プレハブ住宅のメリット3:断熱性・気密性が高い

工場で一定の品質を保ちつつ生産されるため断熱性や気密性も同様に高く保つ事ができます。

・ユニット系プレハブ住宅のメリット4:工期が短い

工場で8割型の作業が終了しているため、現場では組み立てることや、接合する作業が主となるので合理化されており、他のどの工法よりも、工期が短くなります。

ユニット系プレハブ住宅は、非常に短期間で家を建てる事ができる住宅です。

ユニット系プレハブ住宅のデメリット

・ユニット系プレハブ住宅のデメリット1:間取りに制限がある

ユニット系プレハブ住宅は、立方体のユニットを工場で生産され現場で組み立てていく方式のため、間取り設計は、簡単にすませる事ができますが、それぞれのユニットのサイズには制限があり、間取りにも制限が生まれます。

・ユニット系プレハブ住宅のデメリット2:狭小地や変形地での建築が難しい

ユニット系のプレハブ住宅は、ユニット単位(箱単位)で工場で生産されるため、ユニットを搬入するための搬入経路が必要となります。

ユニットを運ぶ事ができない奥まった変形した土地や、狭い土地には搬入する事ができず、ユニット系プレハブ住宅を建てる事が不可能な場合もあります。

・ユニット系プレハブ住宅のデメリット3:発注後の変更が難しい

ユニット系プレハブ住宅は工事の8割型の工程が工場で完了します。

工場で、ほとんどの作業が完了し、現場ではユニット単位で家づくりが進められるので、発注後に現場で変更を行う事が難しくなります。

・ユニット系プレハブ住宅のデメリット4:リフォームは困難

ユニット工法で建てられたユニット系プレハブ住宅は、住宅をパッケージ化しているため価格を安くすることができますが、現場設置後に間取りを変更することが難しく、リフォームは非常に困難となります。

ハウスメーカーで使用される工法の留意点

一戸建て住宅の建築工法の種類 出典:ホームズ

ハウスメーカーでは様々な工法が使用されていますが、基本的にはここであげた工法が使用されていると思ってもらって差し支えありません。

なぜこのようなことを言うのかというと、特にハウスメーカーの場合に目につきますが、見たことも聞いたこともない様々な名称を持つ工法が使用されている事があります。

なぜ、こんなに新しい工法が次々と出てくるのだろうと不思議に思っていますが、実は、そんな見たことも聞いたこともない目新しい工法の中身を実際に見てみると、単なる木造軸組工法だったり、プレハブ工法だったり、単に名前を変えただけの場合がほとんどです。

つまり名称を変えて、少し仕様を変えるだけで、独自開発のものだと記されていることもあるので、その点は頭の片隅に入れておいたほうがいいと思います。

注文住宅で使用される工法の基本は、今回お話しした6つの工法だということを意識してハウスメーカーが言う工法を見ていくとまた違った見方ができると思います。

まとめ:注文住宅でハウスメーカーが使用する主な工法

注文住宅でハウスメーカーが使用する主な工法の特徴を要点でまとめると下記のようになります。

【ハウスメーカーで使用される主な工法】

・1:木造軸組工法:柱、梁、筋交いにより建物を支える工法

・2:ツーバイフォー工法(壁式工法):床、壁、天井を2×4パネルにより面で支える工法

プレハブ工法

・3:鉄骨系:柱や梁、筋交いに軽量鉄骨を使い軸組工法により建物を線で支える工法

・4:木質系:壁や床、天井を木質パネルにより支え、建物を面で支える工法

・5:コンクリート系:工場で生産された鉄筋の入ったコンクリートパネルを現場で組み立てていく工法

・6:ユニット系:ユニット(箱)単位で工場で生産し、現場で接合していく工法

※その他の工法や、より詳しい内容については、「家づくりで知っておきたい3つの構造と6つの工法のメリットとデメリット」にまとめられていますので、参考にしてください。

それぞれの工法にはメリットがあれば必ずデメリットが存在します。

将来的に増改築を検討している場合、工法によってはリフォームがそもそも難しいということもありますので将来的なことを考えて、しっかりと決めていく必要があります。

また選択する工法によっては間取り設計が容易な反面、間取りが制限されることもあるので、各工法のメリットとデメリットをしっかりと検討した上で選択する必要があります。

家を安く建てるためには、同じ工法を採用しているハウスメーカー同士で見積もりを取り比較検討する

代表的なハウスメーカーが採用している主な工法で比較検討したい場合は下記を参考にしてください。

家を安く建てるためには、相見積もりを取り、ハウスメーカー同士を競合させる事が大事ですが、下記を参考にして見積もりを取り、比較検討する際の役に立ててください。

【鉄骨系】
・ヘーベルハウス
・積水ハウス
・ダイワハウス
・パナホーム
・トヨタホーム

【軸組み系】
・住友林業
・一条工務店
・東日本ハウス

【2×4系】
・三井ホーム
・三菱ホーム
・東急ホームズ
・住友不動産
・新昭和

【木質パネル系】
・ミサワホーム
・ヤマダエスバイエルホーム
・スウェーデンハウス

【プレキャストコンクリート系】
・大成建設
・レスコハウス

同じ工法を採用しているハウスメーカー同士で相見積もりを取り、競合させることで結果的に家を安く建てる事ができます。

なぜハウスメーカー同士で競合させる事で家を安く建てる事ができるのかは「ハウスメーカーで最も家を安く建てるために値引きをする6つの方法」を参考にしてください。

また同じ工法のハウスメーカー同士で一括して見積もりを取り、競合させるには下記のサービスを使っていただくと便利です。

注文住宅の見積もりはもちろん、複数の大手ハウスメーカーから無料で間取りも提案してもらえるため、間取りで悩んでいる方も利用してみると案外いい答えをもらえるかもしれません。

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注文住宅で工法から家づくりを進めていく2つの方法

工法から選んで家づくりを進めていく場合、2つのアプローチの方法があります。

注文住宅の工法を選ぶ際に役立つ2つの進め方

1つ目の方法は初めから工法を選び家づくりを進めていく方法です。

例えば木造軸組工法で建てることを希望されているのなら、初めから木造軸組工法を採用している住宅会社、もしくは木造軸組工法が得意な住宅会社で探したほうが効率よく家づくりを進める事ができます。

その場合「家づくりを失敗する5つの理由と新築一戸建て注文住宅の購入を検討し始めたら利用したい2つのサービス」で紹介したサービスを利用すると便利でしょう。

上記サービスを利用した場合、「対応可能工法」から複数の住宅会社を同時に選択する事ができ、資金計画から土地探し、間取りの提案まで無料で一括して行う事ができるので、一気に家づくりを前進させる事ができます。

工法からだけではなく、希望する間取りからも住宅会社を選んでいただく事ができるので、家づくりを検討されている場合、まずは一度利用して見てください。

「対応可能工法」から住宅会社を選択するサービスは下記からも利用していただく事ができます。

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詳細はタウンライフ家づくりのページで確認いただけます。

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希望されているハウスメーカーがエリアに対応していない場合、そもそもそのエリアで家を建てる事ができません。どうしてもそのハウスメーカーで建てたい場合は、他のエリアで検討することなどが必要となる場合があります。

2つ目の方法としては、気に入った家の「スタイル」や「家のテーマ」や「予算」から選択していく方法です。

それぞれの工法のメリットやデメリット、特徴はなんとなくわかったけれども、どの工法が自分に適しているのかよくわからない場合などはこの方法を選択されると良いと思います。

その場合「無料で貰える住宅カタログを使いこなし賢く家を建てる6つのステップ」で伝えたように、まずはどんな家に住みたいのかテーマごとに絞り、住宅会社からもらえる住宅カタログを手にとって、どんな家が建てたいのか、建てたい家を比較検討するところから家づくりを検討していくといいと思います。

テーマごとに絞ったカタログ自体はこちらから無料で請求する事ができます。

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予算内でいい家を安く建てるために知っておいて欲しいこと

予算内で、いい家を安く建てるために知っておいて欲しいことが、実は、3つあります。

ここでは、いい家を安く建てるために知っておきたい3つの記事をご紹介します。

1:予算内でいい家を建てるための7つの基本

注文住宅では、ほとんどの場合、当初の予算をオーバーします。

予算をオーバーする原因は様々ですが、打ち合わせを重ね、プランを進めてしまうと、一度プランを白紙に戻さないと引き返すことができなくなるなど、後戻りができなくなってしまうケースもあります。

もちろんプランを白紙に戻した際は、余計なコストがかかることは言うまでもありません

ですから、家を検討しはじめた、早い段階で依頼する側が、最低限の家を安く建てるための基本やコツを知っておき、しっかりとコストをコントロールをする必要があります。

また、何も知らずに依頼先の住宅会社と契約をかわしてしまうと、依頼先の住宅会社では希望している家が建てられないということが、家づくりのプランを進めてからはじめてわかり、納得しないままに家づくりを進めなくてはならないこともあるので、契約をする前にベースとして持っておきたい知識があります。

下記の記事では、家の価格の決まり方の話や、家のコストを決定づける要因やコストダウンの基本などについてお話ししていますので、参考にしていただき、予算内でいい家を安く建ててください。

>>>家を安く建てる方法とコストダウンの7つの基本

2:注文住宅を予算内におさめるために知っておきたい家の形の話

家には、お金がかかる家の形と、お金がかからない家の形があります。

また家の形次第で、間取りに制限がかかるなど、暮らしやすさが大きく左右されたり、長期間住むことで建物がダメージを受ける部分が違うためメンテナンスにかかる費用(維持費用)が変わってきたり、家の形によるメリットやデメリットが少なからずあります。

特に角の多い家は、注意が必要で、角が一箇所増えるにつれて、見積もり金額に10万円から20万円の金額差が生まれます。

下記の記事では、お金のかかる家とお金のかからない家の形の違いについてお伝えすると同時に、どのような家の形はコストが上がるかなどの例も載せておきますので、注文住宅で家づくりを検討しはじめたら、長い目で、家の形にも注意して家づくりを進めていくことをお勧めします。

家の形については下記の記事を参考にしてください。

>>>家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い

3:無料でもらえる住宅カタログを使って理想の家を建てる方法

注文住宅での、家づくりは情報を集めるところからスタートします。

そして、最終的に、いい家を建てられるかどうかの大きな分かれ目は、依頼先選びで決まると言っても過言ではありません。

実際、同じようなプランでも、依頼先によって見積もり金額に違いが生まれますし、予算の違いだけではなく、同じ要望でも依頼先次第で提案されるプランも違ったり、できることやできないことも違い、さらには工事の良し悪しも変わってきます。

だからこそ、失敗のない注文住宅を建てる上では、各社をしっかりと比較し、しっかりと検討してから依頼先を決める必要があります。

依頼先選びで、各社を比較検討をするためには、住宅カタログを利用すると便利ですが、各社のカタログを読み解く上で、押さえておきたいポイントなどがあります。

下記の記事では、無料で住宅カタログを取り寄せて、住宅カタログの見るべきポイントや、押さえたいポイント、住宅カタログを使いこなして賢く家を建てるポイントなどについて書いておりますのでぜひ、参考にして家づくりを進めていってください。

>>>無料で貰える住宅カタログを使いこなし賢く家を建てる6つのステップ

以上、参考にして家づくりを進めてください。




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