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家づくりで知っておきたい3つの構造と6つの工法のメリットとデメリット

家づくりで抑えておかなくてはならないことはたくさんありますが、その中のひとつに「工法」と「構造」の問題があります。

「工法」とは、「家を建てる方法(構造体のつくり方)」のことで、それに対して「構造」とは、「家の造り(骨格【柱と梁】と平面【壁や耐力壁】のつくり)」のことを指します。当然、家は必ずいずれかの「工法(在来工法、2×4工法など)」によって建てられ、「構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)」化されています。

ですから、家づくりにおいてはよく「工法」と「構造」はセットで話をされます。

(簡潔に言えば「構造」とは「建物を支える仕組み」のことを指し、「工法」とは「構造をつくる方法(組み立て方)」のことを指します)

しかし、ひと言で「工法」といっても、現在は実に様々な「工法」があり、全ての「工法」を把握することは不可能ですし、ましてや、一般的な住居として構える家づくりでは、すべての「工法」を知る必要はありません。そこで今回は、家づくりで基本となる3つの構造と6つの工法に絞り、「一般的な家づくりにおいて抑えておきたい工法と構造」についてお伝えしていこうと思います。

今回の記事をよんで頂ければ、注文住宅における「家づくりに関して必要な基本的な工法と構造」を、ご理解頂けるかと思います。

家を安く建てる基本やコツ、また家の価格に影響を与える家の形については下記の記事をご覧ください。

>>>家を安く建てる方法とコストダウンの7つの基本

>>>家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い

また、はじめに断っておきますが、それぞれの工法や構造にはメリットとデメリットがあり、一概にどれが良いというのは言えませんので、あなたの生活環境にあった選択をすることが必要です。

例えば、後で詳しくお話しますが、木造を例に挙げると、「在来工法」や「壁式工法」は、平屋建てまたは2階建ての場合コストを抑えられる一方で、3階建てになると途端にコストが跳ね上がります。これにみられるように、建物の大きさや何階建てなのかによってどの工法が適しているのかは違います。

家づくりで失敗しないために、今回の記事を読み理解することで、家がどんな「工法」によって建てられ、どのような「構造」になっているのか、またそれぞれの工法や構造にはどんな特徴があるのかを知っておきましょう。

それでは、次の項より、まず、全体像として家づくりにおいて3つの住宅の「構造」を説明し、その後家づくりで知っておきたい6つの工法とそれぞれの工法のメリットとデメリットをお話していきます。

(繰り返しますが「構造」とは、建物を地震や風などから守り支える仕組みのことを指し、工法とは「構造化する方法(組み立て方)」のことを指します)




Contents

注文住宅で抑えておきたい3つの住宅の構造

注文住宅の構造は、骨組みに使われる材料によって「木造」「鉄骨造」「RC造」の3つに分けられます。

ここで言う材料とは、柱(縦)や、梁(横)などに使われる部材のことを指します。つまり縦方向にのびる「柱」や柱と柱をつなぎ横方向にかける「梁」などの骨組みに何が使われているかによって、その住宅は「木造」であるのか、「鉄骨」であるのか、はたまた「RC造」であるのかに分けられます。

木造住宅は構造部分において「木材」が使われており、鉄骨造は「スチール(鉄)」が使われ、RC造は「鉄筋コンクリート(鉄筋+コンクリート)」が使われています。

それでは次から、各住宅の構造の特徴と性能、並びに、それぞれに使われる工法についてお話していきます。

(性能や機能を説明される時、それぞれの住宅会社の担当者次第で言うことが違い、何も知らないと非常に混乱するかと思います。例えば平気で「現在の木造は鉄筋コンクリートと同じくらい遮音性が高く音漏れが少ない」という担当者がいたりします。もちろんそういうこともあるのかもしれませんが、基本的にはそんなことはありません。厳密に言えば木造であろうと、鉄骨であろうと、鉄筋コンクリートであろうと、建物に使用される部材の質により大きく異なります。要するに使用される部材(防音性の場合素材の「密度」など)と工法(構造)次第で大きく変わります)

木造住宅

木造住宅の特徴と性能

木造住宅とは、その名の通り骨組みに木材を使った住宅のことをいいます。木造住宅は、日本で一番よく見られる住宅で、日本で最もなじみ深く、さらに日本の風土にあっているため、日本で伝統的に用いられている住居形式です。(現在でも新規着工の住宅の半数以上は木造住宅です)

木造住宅は新築時、リフォームや増改築時においても設計の自由度が高く、家づくりにおいて様々な要望を叶えることが出来ます。

なかでも、木造住宅の一番の魅力と特徴はやはり設計の自由度の高さでしょう。

しかし木造住宅は鉄と比べると加工が容易なため設計の自由度は高い一方、難点として建物を支えるための柱と梁の数が多くなってしまうので、構造の関係で、途中で柱や壁を挟まなければならず、スッキリとした大広間をつくることは難しくなります。(構造上、柱を立てなければ大空間をつくることができず、柱なしの大空間をつくることは出来ません)

また、例えば一面を窓にするなど、広い窓をつけるような間取りにも弱く、間取りに制約がうまれてしまいます。

ただし、木造住宅は、鉄骨造やRC造の家に比べて、手がけられる施工会社が多いので、施工会社の範囲も広がり、より幅広い選択肢の中から住宅会社を選ぶことが出来ます。

さらに、木造住宅はコストを抑えようと思えば、材料費などのコストを抑えることも可能で、比較的安価に家を建てることが出来ます。

そして何よりも木造住宅は木の持つ暖かみ、温もり、香りなど他のつくりの家にはみられない、また鉄骨やRCには比較できないほどのメリットがあります。

例えば、木は、鉄やコンクリートと比べると熱伝導率が低く、熱を伝えにくい性質があるので断熱性が高くなります。つまり一般的には、暑い夏場や寒い冬場でも快適な温度を保つとされています(もちろん木の材質などに依存します)。

木には湿度を快適に保つ特徴もあります。湿度の多い時期には吸湿し、乾燥した時は空気中に水分を放出し、放湿するなど湿度を調整する湿度調整機能があるので、高温多湿の日本の風土に非常に適しており、湿気の多い時期でも快適に暮らせます(暑い夏場には程よく湿気を吸ってくれ、冬には乾燥をさせすぎない効果があります)。

ただし木は、湿潤と乾燥を何度も繰り返すと木材に割れが生じたり、反ったり、曲がったりしてしまうので特に建設中は雨対策がきちんとなされているのか注意が必要です(現在主流の在来工法では、1日で屋根をかけるので問題ありませんが、壁式工法だと日数がかかるため天候や季節の影響に注意する必要があります)。

日本は昔から木と共に生きる文化でしたが、以上で見られるように木には様々に人間に寄り添う効果が存在します。

住宅カタログを請求して、住宅会社を比較し、賢く家づくりを進めていく方法については下記の記事をご覧ください。

>>>無料で貰える住宅カタログを使いこなし賢く家を建てる6つのステップ

木造住宅のメリット

それでは木造住宅の代表的なメリットについて下記に記していきます。

・木造住宅のメリット1:木造住宅はコストを抑えて建てられる

木造住宅は鉄骨造や鉄筋コンクリートの家と比べると、基本的には材料費が安く、工期も短くすませることが出来るため、結果的にコストを抑えて住宅を建てることが出来ます。

※工期は工法により変動します。おおよその目安ですが、鉄筋コンクリートの工期が8ヶ月程度なのに対して、木造住宅の工期は4ヶ月〜6ヶ月程度です。

材料や工法などにより変動しますが、一般的な住宅の場合、坪単価であらわすと、おおよそ木造が30万円〜80万円、鉄骨が50万円〜90万円、鉄筋コンクリートが60万円〜100万円以上とみてください。

※繰り返しになりますが、家を安く建てる方法については下記の記事を参考にして頂くと基本を押さえられると思いますので、ぜひご一読ください。

>>>「家を安く建てる方法とコストダウンの7つの基本

>>>「家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い

・木造住宅のメリット2:修繕費用を安く済ませることが出来る

住宅は完成して終わりではなく、住みはじめてからも建物に傷みが生じるため、修繕などのメンテナンスが必要となります。木造住宅の場合、他の構造に比べて修繕費用を抑えることが出来ます。

一般的な木造住宅では、屋根や外壁、ベランダ、床、構造躯体のシロアリ駆除などのメンテナンス費用を含めると30年間に修繕費用として600万円前後かかります。

お金にまつわる話については下記の記事にまとめておりますので家づくりの参考にしてください。

>>>注文住宅の賢い資金計画の立て方と家づくりのお金の参考データ

・木造住宅のメリット3:吸放湿性があるほか、断熱性にもすぐれ、夏は涼しく、冬は暖かい家を建てられる

木は夏場の湿度が高い時には吸湿し、冬場の湿度が低い時には放湿する機能的特徴をもっています。また、もちろん材質によりますが、一般的に木は鉄骨よりも断熱性に優れています。そのため、夏は涼しく、冬は暖かく、快適に過ごすことが出来ます。

・木造住宅のメリット4:地盤改良の必要がない

軟弱地盤の場合は地盤改良が必要となりますが、木は軽いため、鉄骨や、鉄筋コンクリートのような大掛かりな地盤改良をすることなく住宅を建てることが出来ます。

万が一、杭などの地盤改良が必要な場合でも、鉄骨造やRC造(鉄筋コンクリート)に比べるとコストを抑えて基礎をつくることが出来ます。

※土地については「家づくりで後悔しない為に抑えておきたい土地購入で役立つ5つの言葉」を参考にしてください。

・木造住宅のメリット5:リフォームしやすく家族構成の変化に柔軟に対応できる

木造住宅は鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べて、リフォームや増改築がしやすいのが大きな特徴です(木造住宅をメインに手がけている住宅会社が多いため会社選びも幅が広がります)。

家族構成の変化に柔軟に対応し、リフォームにより間取りを変更したり、増改築を施せるのも木造住宅の大きな特徴です。

木造住宅のデメリット

続いて木造住宅の代表的なデメリットについて下記に記していきます。

・木造住宅のデメリット1:音が伝わりやすい

使用される木材はもちろん、壁や床に使用される部材にもよりますが、一般的に音がしやすいのが木造住宅の大きな特徴です。木は振動を伝えやすい性質をもっています。

・木造住宅のデメリット2:住宅会社により品質が異なる

木造住宅を取り扱っている住宅会社が多く選択肢がある一方で、住宅会社により取り扱う材質はもちろん、住宅会社や住宅会社が提携する工務店の大工や職人により完成度に非常にばらつきが生まれます。

一般的に木材は素人がみても品質を見分けることが困難なので、きちんとした信頼の置ける業者に依頼することが大前提となります。

※住宅会社の選び方については「家づくりで注文住宅を建てる時に会社を選ぶ5つのステップ」を参考にして下さい。

・木造住宅のデメリット3:屋上には向いていない

屋上を検討している人は、木造住宅は避けた方が良いでしょう。木造住宅は、屋上には不向きです。屋上については「屋上のある家ってどう?家づくりで屋上のある家のメリットとデメリット」を一読されることをお勧めします。

・木造住宅のデメリット4:木は放っておくと腐る

木は湿気に強いですが、湿気を帯びた状態が長く続くと腐ります。特に湿気の影響を受けやすい、床下部分などには換気をよくする工夫が必要になります。

・木造住宅のデメリット5:シロアリ対策が必要

シロアリは湿気を含んだ木材を好むため、湿気やすい場所を、こまめに点検することが必要となります。

・木造住宅のデメリット6:木は燃えやすい

一般的に木は燃えやすく、火が回りやすい特徴があります。そのため火災時には他のものに火が移りやすくなります。

ただし、木造は火事に弱いと考えられていますが、柱や梁に使われる木材は太いため、火で焼かれても柱の表面のみが炭化し、内部まで完全に燃えるには非常に時間がかかるため、短時間のうちに建物全体が倒壊することは稀であると言われています(普通は、倒壊前に消防車が到着し火を消します)。

ただし、柱や梁以外の薄い木はよく燃えます。

木造住宅の工法

それでは、次に木造住宅の工法はどんなものがあるのかについて記していきます。

※木造住宅に限らず、基本的な工法は、柱や梁などで骨組みや枠を作り「線」で支えるのか、それとも壁や床などで建物の骨組みをつくり「面」でささえるのかのいずれかです。

1:木造軸組工法(在来工法)

木造軸組工法(在来工法)とは、柱や梁などの軸材を組んで骨組みをつくり、建物を支える工法のことを言います。一般的には、柱や梁だけでは耐震性に不安が生じるため、柱と柱の間に「筋交い」と呼ばれる斜めがけの部材で補強します。

木造軸組工法(在来工法)は、ななめがけの筋交いで補強することで、地震などの横からの衝撃や揺れに耐える構造となっています。

簡単に言えば、木造軸組工法(在来工法)は、柱、梁という部材を組み立てていき(軸組)、地震や台風などに耐える構造をいいます。

木造軸組工法(在来工法)は日本で古くから手がけている工法のため、木造住宅を手がける住宅会社のほとんどで対応しており、住宅会社に困ることはありません。

また、木造軸組工法(在来工法)は、様々な立地や敷地条件に対応することが出来、和洋関係なく幅広い様式にも対応しています。

さらに、木造軸組工法(在来工法)は、柱や梁などで支える仕組みのため、開口部を広くとることが出来ます。

基本的な構造として、リフォームや増改築などにも対応しており、将来家族構成が変わった場合に備えた設計プランが可能なことも木造軸組工法(在来工法)の大きな魅力のひとつと言えます。

真壁づくりにすることで、木の温もりが溢れる家にすることが出来る他、木の機能的特徴である調湿効果を最大限に発揮することが出来ます。

ただし施工者により完成度にばらつきがうまれるのも木造軸組工法(在来工法)の大きな特徴と言えるでしょう。

木造軸組工法(在来工法)の特徴やメリットとデメリットをまとめると、おおよそ以下の通りになります。

・木造軸組工法(在来工法)の特徴

木造軸組工法(在来工法)は、柱と梁と筋交いで建物を支える仕組みのため、間取りの制限は受けにくいですが、立体的で複雑な構造にするとプランや施工が難しくなります(構造的な問題とは別に、法律の問題も生じてきます)。

しかし、木造軸組工法(在来工法)は、将来的なリフォームを考えたプランを組むことが出来るので長期的に考えて住み続けることが出来ます。

・木造軸組工法(在来工法)のメリット

木造軸組工法(在来工法)のメリット1:設計の自由度が高い他、間取りの制約が少ない。

木造軸組工法(在来工法)は柱と梁を組み合わせた骨組みで支える構造のため、壁などの面で支える構造と比べて構造的な制約が少ないのが特徴です。

設計における自由度や間取りの制約が少ないため、例えば大きな窓やドアをつけるなど開口部を大きく取ることもできますし、比較的自由に設計プランを組むことが出来ます。(開口部を大きく取った場合当然強度は落ちます)

ただし木造軸組工法(在来工法)は、3階建て以上になると法律的な制限がかかってきます。

家の形と、家の価格の関係については下記の記事を参考にしてください。

>>>家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い

木造軸組工法(在来工法)のメリット2:増改築やリフォームがしやすい。

木造軸組工法(在来工法)では、間取り変更を伴う大規模なリフォームや増改築にもしっかりと対応しています。

家族構成の変化に対応できるため、結果的に修繕やリフォームなどを繰り返し長く住むことが出来ます。

木造軸組工法(在来工法)のメリット3:外壁材料は基本的にはどんなものでも可能

例外はありますが、外壁材料はほとんどのものを使用することが出来ます。

木造軸組工法(在来工法)のメリット4:屋根の形状を自由に選択できる

他の工法と比べると、屋根の形も限定することなく自由に選択することが出来ます。

屋根については「家づくりで知らないと損する8種類の屋根の形とそれぞれの特徴」をご覧下さい

木造軸組工法(在来工法)のメリット5:きちんとした構造解析を行なえばホールなど大きな空間のある建物を建てることも出来る

構造上、どうしても柱は多く必要となりますが、ホールなどの大きな空間のある建物にも対応することは可能です。

・木造軸組工法(在来工法)のデメリット

木造軸組工法(在来工法)のデメリット1:施工者(大工などの職人)の技量により完成度にばらつきがある。

木造軸組工法(在来工法)は構造指針があいまいなところがあり、大工などの職人、または工務店などの住宅会社に完成度が依存されやすいのが木造軸組工法(在来工法)のデメリットです。

例えば、接合部の施工が悪いと、住みはじめた時は問題がなくとも、将来的に家が傾いてきたり、床などがきしんできたりと、欠陥が浮き彫りになってきます。

※現在は、職人の熟練度による差を埋めるために、プレカット工法により、工場で予め加工された木材加工を現場で使用することが主流になっています。

木造軸組工法(在来工法)のデメリット2:柱を立てずに大きな空間のある建物を建てることは出来ない

在来工法では、構造上、建物を支えるために、ある一定の間隔で柱が必要となります。そのためどうしても柱の多い建物が出来上がります。

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【コラム1 〜伝統構法について〜】

木造軸組工法は「在来工法」と呼ばれる「柱」「梁」「筋交い」によりつくられた骨組みに耐力壁で支える構造と、「伝統構法」と呼ばれる「柱」と「梁」のみで支える構法があります。「在来工法」は上記で述べた通りですが、「伝統構法」では、壁に力を求めることなく、壁を単なる間仕切りと考えており、太く大きな木を柱や梁として組み合わせ耐力を生み出す工法です。

地震に対しての考え方も違っており在来工法は耐震(地震に耐える)性を高める一方、伝統構法は免震(地震の揺れを少なくする)により力を逃がすという違いがあります。

また、「伝統構法」は出来るだけ釘を使わずに木組でつくる方法です(宮大工がつくっている神社や寺をイメージして下さい)。

「伝統構法」の歴史は古いですが、木造住宅の主流である木造軸組工法の99%が在来工法により建てられ、「伝統構法」は全体のわずか1%にも満たないと言われています。(現在は在来工法が主流ですが、戦前より使われてきたのは「伝統構法」です)

なぜ在来工法が普及したのかと言えば、それは戦後に原因を求めることが出来ます。

戦後「モノ」がない時代、太い木材を得ることが難しい時代がありました。そこでどうにかして細い木でも強度を高められるようにしようと、筋交いと呼ばれるたすきがけの材料を挿入したのです。

以上でみられるように「在来工法」は、「伝統構法」から派生して出来た工法です。

※「在来工法」と「伝統構法」の明確な違いは専門家でも意見が分かれるためここでは割愛します。

【コラム2 〜プレカット工法とは〜】

厳密に言えばプレカット工法は、工法(組み立て方)ではありません。

プレカットとはその言葉の通り「前もって(pre)切断する(cut)」することで、住宅の材料を建築現場に持ち込む前に、工場で切断や加工しておくことを指します(コンクリートの場合はプレキャスト工法と呼ばれます)

従来であれば、現場の職人や大工が手作業で建材の加工をしてきましたが、そのような現場作業は天候などに大きく左右されるためどうしても工期が長くなってしまいます。

そこで、効率を考え、木材の加工や切断を工場で一括して受け持つことで、現場では組み立てることに集中し、工期の短縮、ならびに、人件費の削減を行なうことにしたのです。

プレカット工法のメリット

・プレカット工法のメリット1:工期が短い

現場作業は天候により作業が滞ってしまったり、やむを得ない理由で遅れを生じますが、予め工場で部材をカットしておくことで、天気や天候など予期せぬ理由による遅れを防ぐことができ、工期を短く済ませることが出来ます。

・プレカット工法のメリット2:人件費を削減できる

プレカット工法では、予め材料がカットされた状態で現場に運ばれるので、工期が短く済み、結果的に人件費を削減することが出来ます。

・プレカット工法のメリット3:品質が安定している

現場で職人の手作業で木材の切断や加工を施した場合、担当する職人の技術や天気・天候が品質に大きな影響を与えます。

しかしプレカット工法では、一括してコンピューターによる機械加工をしているため、職人の技量や天候などに左右されることなく、また安定した品質の材料を現場に運び込むことが出来るとされています。

・プレカット工法のメリット4:コストが削減できる

工期が短縮でき、結果的に人件費も削減できるのでコストを安く済ませることが出来ます。さらに工場でカットされるため現場に廃材が残らず廃材を撤去する手間を省くことが出来ます。

プレカット工法のデメリット

つづいてプレカット工法のデメリットについてもみていきます。

・プレカット工法のデメリット1:機械加工のため、熟練の職人(大工)よりも精度が劣る

プレカット工法では、現場に運び込まれたとき再加工が必要というケースを未然に防ぐため、ある程度ゆとりを持たせた加工となっています。安定した品質の部材を現場へ提供できる一方で、やはり熟練した職人の現場での手作業にはかないません。

・プレカット工法のデメリット2:それぞれの木材の個性を活かすことが出来ず全ての部材が均一化されてしまう

それぞれの木材には一見同じように見える木材でも細かな特徴や性質が異なります。

プレカット工法では、それぞれの部材の特徴を均一化し材料として切断、加工しているため、本当の意味で、それぞれの木材の特性を考えてつくることは出来ません。

・プレカット工法のデメリット3:複雑な加工ができない

プレカット工法の場合、出来る限りの部材を工場で効率よく生産していくという、生産の効率性を目指した工法になるので、熟練工のような精密な加工はできません。

※ちなみに現在、ほとんどの住宅会社が以上で述べたようなプレカット工法を採用しています。特にハウスメーカーは、ほぼプレカットです。

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【コラム3 〜金物工法(SE工法)とは〜】

金物工法(SE工法)と言いますが、工法自体は軸組工法(在来工法)とほとんど変わりありません(構造はラーメン構造に近いです)。

ではどこが違うのかというと、金物工法には大きく言って3つの違いがあり、

1:木材の接合部(仕口)に金物を使い強度を高めている(SE金物を使用)
2:品質の安定しない構造材を使うのではなく、強度の確かめられた構造用集成材を利用している(集成材の使用)
3:実験に基づいた構造計計算がされている(全棟において構造計算)

以上の3つの違いがあります。

以下から、さらに具体的にお話していきます。

1:木材の接合部(仕口)に金物を使い強度を高めている(SE金物を使用)

在来工法では部材が重なる接合部分に、「継手(土台や梁などの長さが1本の材で足りない場合、材を途中で繋ぐ接合部)・仕口(土台と柱、柱と梁など、交わる部材の接合部)」などに「ほぞ・ほぞ穴」を刻み接合しますが、SE工法(金物工法)では、プレートとドリフトピンで結合する方法をとっています(断面欠損を小さくできるため)

図:在来工法の通し柱

まず、「図:在来工法の通し柱」を見てほしいのですが、一般的な在来工法による木造の通し柱は、何方向からも梁が入り込むため、接合部分の柱が「ほぞ穴」によって大きくくり抜かれています。

図:SE工法の通し柱

つづいて、SE工法の場合です。「図:SE工法の通し柱」を見てください。金物を取り付ける部分が少し丸く削られるだけで、柱が大きくくり抜かれることなく全体として残っています。

SE工法では、この穴に、ドリフトピンと呼ばれる金物を使い、梁と柱を半剛接します(鉄骨造やRC増の接合の仕組みに似ています)。

さらに木造住宅の弱点である柱脚(ちゅうきゃく)も、柱の直下で、直接建物の基礎部分に金物接合し止めつけています。

こうした施策により、SE工法では木造と、鉄骨造、しいてはRC造の両方の性能を兼ね備えた強い構造を実現させています。

2:品質の安定しない構造材を使うのではなく、強度の確かめられた構造用集成材を利用している(集成材の使用)

天然の無垢材の最大の欠点は、品質にばらつきがあるところです。

目の届かない内部に、節や腐れなどが潜んでいる可能性があり、天然であるがゆえにそれぞれの木材に個性があり「割れ」「反り」「曲がり」「ねじれ」「乾燥による収縮」が起こる恐れがあります。

集成材は、理屈の上では無垢材の良質な部分を厳選した上で再構成し、精度と強度を高めてつくられるため、無垢材の欠点をカバーできるので、これらの心配がありません。寸法変化も少なく安定した品質を保っています。

実験により強度が確認された、構造用集成材を使用しているので、SE工法では裏付けのある強度を示すことが可能で、数値に対して信頼性が高いのがSE工法の特徴とされています。

集成材は、木材ならではの調湿性など機能性は兼ね備えたまま、木材の良い部分を切り取り、木材を再構成しているため強度が高く、例えば「この部材は300キロに耐えられる部材である」など、どれほどの耐力を持つ部材なのかが数値としてわかりやすいのが特徴です。

3:実験に基づいた構造計計算がされている(全棟において構造計算)

通常、構造計算が義務づけられているのは「3階建て以上の木造建物」と「2階建て以上の鉄骨造、鉄筋コンクリート造の建物」ですが、SE工法では全ての家で構造計算を行ないます。

通常の木造建築でも、壁量計算による簡易的な構造チェックを行ないますが、SE工法では、材料強度の確認をはじめ、実物大実験での検証結果を元に解析されたデータで、必ず全棟において構造計算を行ない安全性の確認をします。

地震をはじめ、台風による自然災害などもしっかりとシュミレーションし、安全性を確認します。さらに構造に対して最長20年の保証もついています。

SE工法のメリット

・SE工法のメリット1:構造強度に裏付けがある

先述したように、SE工法は全棟において構造計算をしっかりと行なった上で建てます。構造計算し、構造強度がしっかりと裏付けられた上で建てられるので、構造上問題がある間取りにすることは出来ません。

また、SE工法は、在来工法と違い、建物の接合部分に均一化された金物を使うので、木材のように扱いが難しくなく、施工者によって完成度が左右される可能性が小さいのも大きな特徴です。

・SE工法のメリット2:間取りの自由度が高い

構造強度に裏付けがあるので、在来工法に比べて大空間をつくれたりと、自由度の高いプランを設計することが出来ます。

例えば、在来工法では窓の配置が難しい場所でも、SE工法では窓を取り付けることが出来ます。

また、室内の空間を広く使いたい場合は、天井を高くすることも出来ます。

さらに構造上、在来工法では間仕切りが必要な場所でも、SE工法では間仕切りの必要なく建てられたりもします。

くわえて、SE工法は在来工法と比べ、柱や梁を細くすることが可能だったり、在来工法では必要になる梁の下の一定間隔の柱も、在来工法ほど必要ありません(在来工法では間隔をあけすぎると耐震性に不安が生じたり、建物に歪みが生じます)。

・SE工法のメリット3:特殊な形状に耐えられる

SE工法では、従来の木造建築では実現困難だったプランにも対応できます。

例えば勾配がある登り梁も金物で接合することで、一定勾配以上は構造に加味できない部分を計算に加えることができるので、横の力に対して強度を高めるために、部屋の角に取り付ける「火打ち梁」や部材がなくても耐震性の高い安全な設計を行なうことが出来ます。

(ただし、建築家の工夫次第で、SE工法でなくとも、従来からある在来工法で希望の間取りが建てられることもあります。ですので、工法ありきではなく、間取りづくりからはじめ、結果的にその間取りを実現するならSE工法を選択する、といった方が望ましいと言えます)

・SE工法のメリット4:品質が高く保証体勢もしっかりしている

在来工法で使う木材と違い、SE工法で使う構造用集成材は工業化されているためしっかりとした品質が保たれている他、在来工法ほど現場で扱う職人の特別な技量を必要としません。

さらに、SE工法では、建築基準法よりも、さらに細かい規定が設けられているほか、工務店に対して研修制度などを用意しています。

また工務店側の検査・検査機関の検査・設計者の検査など重ねて行なうため検査耐性もしっかりと整っています。

そうしたことから、SE工法により建てられた建物は、結果として保証会社の保険料も安くなっています。

さらに、もしもの時の保証に備え、構造に対してですが最長20年の保証もついています。

・SE工法のメリット5:あらわし仕上げに適している

柱や梁を剥き出しで露出して見せる工法を「あらわし仕上げ」といいます。

SE工法では柱や梁から飛び出た金物がみえず、接合部分をスッキリと見せることが可能です。

そのため、接合部分をあえてみせる「あらわし仕上げ」をおこなうと美しい空間に仕上げることができます。

SE工法のデメリット

・SE工法のデメリット1:トータルコストが高い

様々な条件により変わってきますが、一般的にSE工法を用いると、坪単価が高くなります。

また坪単価だけではなく工場で金物をとりつけるので、金物が邪魔してしまい荷台に効率よく並べることが出来ず、運搬用のトラックに積む際の荷姿が悪くなります。

それにより運搬時の嵩が増えるため、一度に多くの材料を運ぶことが出来ません。そのため在来工法よりも現場へ運ぶ回数が増えるので運搬費も高くなります。

また、SE工法では、基礎と一体感を持った構造計算を行なう必要があるため、柱脚(ちゅうきゃく)に信頼性を持たせるために基礎をベタ基礎にして、強固な基礎にしなければなりません。

さらに、SE構造の特徴としてスッキリした構造で建てることが出来る半面、在来工法よりも建物の外周などに、外壁の下地を止めつけるための間柱(まばしら)等が多く必要になり、それに伴いコストは高くなります。

加えて、SE工法では全棟を構造計算しますが、構造計算するために費用が必要になります(2000円~3000円/㎡ほど)。

また、SE工法は登録施工店制度をとっています。そのため、工務店は販売元に対して固定費を払う義務が生じます。もちろんこの制度は、SE工法に限った話しではありませんが、その分コストは上乗せされます。

・SE工法のデメリット2:歴史が浅く実績が不確かなところがある

SE工法は阪神淡路大震災以降に出来た歴史の浅い工法です。ですから、まだ実績が不確かなところもあります。

SE工法では構造計算のために、構造用集成材を使用します。構造用集成材は「ラミナ」と呼ばれる薄い木材を接着剤で接ぎ合わせ強度を高めていますが、それぞれのラミナを組み合わせる接着剤の強度は不確かなところがあります。

特に、紫外線などによる経年劣化に本当に耐えることが出来るのかは、少し疑問が残ります。

現に、平成17年には集成材が剥離した事故が起きています。もちろん、条件が重なったために、たまたま起きた事故かもしれませんが、接着剤の劣化などにより剥離する可能性があることを見過ごすことはできません。

>>>構造用集成材の剥離について(国土交通省 H17.3.4)

しかし、こうした事故が起こった一方で、工法としてではなく、部材としての集成材だけでみれば1911年に竣工したデンマークのコペンハーゲン中央駅で天井を支えるために使われ、現在も、同じような姿で使用されているるなどの実例もあります。

・・・集成材について

集成材は品質が安定した太く長い柱や梁をつくるために、1893年にヨーロッパで発明された部材です。

木材の品質は乾燥に大きく依存するとされていますが、無垢材などの天然木は、工業製品と違い品質にばらつきが出てしまいます。

集成材は、まず板に製材し、一枚一枚を人工的に乾燥させ、ノコギリの歯のようなギザギザの形状(フィンガージョイント)同士を接合し、長い板にした後に角材を成形します。

集成材は、木材を工業化した製品であり、品質が一定の水準にあるため、構造計算を正確に行なうことが出来るのが大きな特徴です。

・SE工法のデメリット3:計画段階で構造計算の費用が発生し、途中で変更がきかない

SE工法は特殊な工法のため、計画段階から構造計算の費用などが発生します。SE工法に限った話ではありませんが、途中から他の工法に変更しようと思っても容易には変更出来ず、図面を全て書き換える必要があります。

・SE工法のデメリット4:工務店をしっかりと選ぶ必要がある

SE工法は部材や工法は均一化されていますが、実際に組み立てるのは工務店です。

SE工法自体の歴史が浅いため、SE工法を熟知した間取りに出来ているのか、また、例え工業化されているとは言え、そうして出来た建物の完成度はそれぞれの工務店により違います。

歴史の浅いSE工法は保証がしっかりとついていますが、施工を手がけた工務店が倒産すると保証を受けることが出来ないため、安心して任せることの出来る工務店かどうかを見極める必要があります。

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2:壁式工法(ツーバイフォー工法)

壁式工法とは壁(面)によって建物を支える工法のことを言います。木造住宅の壁式工法は、北米で発達した工法であるツーバイフォー工法が多く見られます。

また在来工法の次に多い工法が、ツーバイフォー工法(2×4工法)です。

ツーバイフォー工法(2×4工法)とは、規格化されたツーバイ材と呼ばれる断面サイズが2×4インチのサイズの木材で枠組みを作り、それに構造用合板を張ってパネルで壁を構成する工法です。

パネル自体が耐力壁となるため「枠組壁式工法(枠組壁工法)」と呼ばれたりします。

ツーバイフォー工法(2×4工法)は、枠組部材が2×4材の他、2×8材、2×12材、4×4材など少ないため構造がシンプルで、施工が簡単で効率的な工法です。

さらにツーバイフォー工法(2×4工法)は、施工が簡単で効率的かつ合理的な工法のため、コストを削減でき、ハウスメーカーで多く見られる工法のひとつです。しかしデメリットとして規格化されているため、間取りの自由度は低くなります。

ツーバイフォー工法(2×4工法)は建物全体を、面で支えるため在来工法と比べると、およそ1.5〜2倍の耐震性があると言われています。床・壁・天井といった「面」で構成されるつくりのため、横揺れに強い特徴があり上手に力を分散するつくりとなっています。

ただし、柱や梁などの「線」ではなく壁という「面」で支えるツーバイフォー工法(2×4工法)では、建物のコーナー部分は構造耐力上非常に大事な部分にあたり、壁を抜くことが出来ず壁が必要となる場合が多くなります。

これは、リフォーム時も一緒で、ツーバイフォー工法(2×4工法)では、例えば大きな部屋をつくるために壁に大きな穴をあけるなど、完成後のリフォームは難しくなります。

以上のことから、ツーバイフォー工法(2×4工法)は増改築には向いていない工法です。

また、ツーバイフォー工法(2×4工法)では、大工など現場で働く職人の技量はそれほど問われません(しかし、ツーバイフォー工法(2×4工法)の扱いに慣れている業者に頼むことは大前提です)。

ただしツーバイフォー工法(2×4工法)は建築時の雨に弱いため、雨対策をしっかりと施さなければなりません。先にあげた在来工法の場合は、1日で上棟し、屋根組をし、野地板を張り雨から建物の骨格を守りますが、ツーバイフォー工法(2×4工法)の場合、1階の床▶︎1階の壁▶︎2階の床▶︎2階の壁▶︎屋根というように屋根が出来るまで工法上、非常に時間がかかります。

ツーバイフォー工法(2×4工法)の特徴やメリットとデメリットをまとめると、おおよそ以下の通りになります。

ツーバイフォー工法(2×4工法)の特徴

ツーバイフォー工法(2×4工法)は、規格材で組んだ枠組みに構造用合板を打ち付けたパネルを組み合わせ、床、壁、天井を面で構成する工法です。

ツーバイフォー工法(2×4工法)のメリット

1:柱のない空間がつくれる。

2:材料の品質と供給が安定している。

3:施工者の技術に左右されることが少ない。

4:耐火性や断熱性、気密性が高い家を建てやすい。

ツーバイフォー工法(2×4工法)のデメリット

1:壁に穴をあけるなどのリフォームには不向き。

2:柱や梁をあえてみせるデザインはできない。

3:間取りの自由度が少ない。

4:音が振動しやすく、構造上音が室内に響きやすい。

コストを抑えた家づくりの基本については下記の記事をご覧ください。

>>>家を安く建てる方法とコストダウンの7つの基本

鉄骨住宅

鉄骨住宅とは

鉄骨住宅の鉄骨とは「steel(鋼鉄)」のことです。その名の通り、骨組みに鉄骨を使用している住宅を鉄骨住宅と言います。鉄骨住宅は鉄筋コンクリート造の「RC造」に対し「S造」とも呼ばれています。

鉄骨住宅の特徴と性能

鉄骨住宅は、基本的には木造住宅よりも、耐火性、耐震性、耐久性などに優れ、比較的、自由なデザインに対応することが出来ます(もちろん使用される部材の材質により結果は大幅に違ってきます)。鉄骨住宅は木造のように燃えることはありませんが、鉄は熱を加えると曲がる性質を持っているため、鉄骨だけでは耐火性が低いのが特徴です。(鉄はある一定の温度を超えるとぐにゃりと折れ曲がります)

ただし、熱に強いセラミックをなどを外壁、屋根に使用すると熱に弱いという弱点を補うことが出来ます。

また、鉄骨住宅は、雨にさらされ酸化することで錆びてしまい素材が著しく劣化してしまう恐れがあります。ただし、防錆処理や耐火被覆材をした鉄骨を使用すれば、錆を防ぎ耐火性を保つことが出来ます。

鉄骨造は強度が高いうえ、品質も安定しており、RC造(鉄筋コンクリート)よりもコストを抑えて建てることが出来ます。さらにRC造より素材が軽いため、地盤の弱い土地にも、ちょっとした地盤改良を施せば家を建てることが出来ます。

また鉄骨は木造と違い湿気で腐ることはありません(錆により劣化する可能性はあります)。

さらに、鉄は、素材の特性として断熱性が低く熱を通しやすい性質のため、冬は室内で暖められた空気が外部に漏れやすく室内と外に温度差が生じ、結露がしやすくなります。

鉄骨住宅は、骨組みに使われる部材により、「軽量鉄骨」と「重量鉄骨」にわけることができますが、軽量鉄骨は特に振動を伝えやすいため、防音性にも劣り、内外部に音がもれやすい特徴があります。

物音など、防音性に対して視覚化すると何も防音対策を施してないならば「鉄筋コンクリート▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎重量鉄骨▶︎▶︎軽量鉄骨」くらいの差があります(右へ行くほど防音性は低くなります)。

軽量鉄骨と重量鉄骨

鉄骨住宅には「軽量鉄骨」と「重量鉄骨」があります。つづいて鉄骨住宅で抑えておきたい、鉄骨住宅における「軽量鉄骨」と「重量鉄骨」について簡単にお話していきます。

ひと言で言えば、軽量鉄骨と重量鉄骨の違いは、鋼材の厚さが「6mm以下」か、「6mm以上」かによります。

軽量鉄骨とは

軽量鉄骨とは、厚さが6mm未満の鋼材で、鉄板を曲げてつくった鉄骨材を言います。

軽量鉄骨は重量鉄骨と違い、支える地盤が特に強くなくても建てることが出来ます。

軽量鉄骨は工業化されているため、基本的には、部材の品質や精度は安定しており、施工者の腕の善し悪しに関わらず一定の品質を保った家を建てやすい特徴があります。

(例えば木材の場合、それが良い木材なのか、悪い木材なのかある一定の経験を積んだ職人でないとわかりづらく一般的に判別が難しいので性能や品質、精度がわかりづらく環境により取り扱い方も変わりますので、扱いも難しくなります)

さらに軽量鉄骨は規格化(パッケージ化)されており、あらかた出来上がった部材を現場で組み立てる方式のため、作業が天候により左右されることも少なく、他の工法や構造と比べると工期も短縮できるというメリットもあります。

この機能的特徴からもわかる通り、多くの大手ハウスメーカーでは軽量鉄骨を採用しています。つまり工場で設計通りに部材をある程度の形まで組み立て、現場で積み上げ組み立てて行くという方法です(後で詳しく解説しますが、プレハブ工法とも呼ばれます。ちなみに木造では同じような生産方法をプレカット方法と呼びます)。

しかし、軽量鉄骨にはもちろんデメリットもあります。

最大のデメリットはプランが限定されるということです。軽量鉄骨は部材が規格化(パッケージ化)されているため、どうしても寸法など間取りが限定されます(意外と盲点ですが天井の高さも限定されます)。

加えて、寸法(間取り)だけではなく、仕様も限定されます。ですから、家を建てる際の自由度はかなり低くなります。

さらに、軽量鉄骨の細かい違いは、それぞれ手がける住宅会社が独自に開発していることが多いため、リフォームや増改築の際も容易にいじることが難しく、後々、家のリフォームを考えている方には向きません。

例えば、リフォームが難しい理由のひとつとしては軸組工法の場合、強度を補強するために筋交い(ブレース)を斜めに挿入しますが、それが邪魔をし、壁を壊して新たに部屋をつくることが難しくなる理由があげられます。

また、一般的に軽量鉄骨は遮音性に弱いため話し声や、テレビの音などが異なる階であっても筒抜けになる可能性が高くなります。生活時間帯が異なる家族がいる場合、オプションなどで遮音性を高める工夫をすることは欠かせません。

さらに、軽量鉄骨では、錆などによる腐食を防ぐために、まめなメンテナンスが必要で建てる時はある程度、価格を抑えることが出来ますが、建ててからの維持管理にコストがかさむことがデメリットとしてあげられます。

ちなみに、軽量鉄骨の価格は木造よりも高めとなります。

家の形や間取りなどが家の価格にどれくらい影響するのかについては下記の記事を参考にしてください。

>>>家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い

※ブレースとは・・・

鉄骨造の建物に強度を持たせるために四辺の対角に斜めがけ(たすきがけ)に設置する鉄などでつくられた線上の補強材のことをいいます。

素材の性質や構造上、柱と梁に強度がない場合、ブレースを挿入することで、地震などの際に接合部が変形するのを防ぐ役割があります。

軽量鉄骨のメリットとデメリットのまとめ

おおよそ、軽量鉄骨のメリットとデメリットをまとめると以下のようになります。

軽量鉄骨のメリット

・軽量鉄骨のメリット1:天候に左右されず工期が短縮できる

部材はできるだけ工場で生産され現場に持ち込まれる為、基本的には現場では組み立てるだけになり、天候などに左右されづらいため工期を短く短縮できます。

・軽量鉄骨のメリット2:部材の精度や品質が安定しており一定の品質を保った家を建てやすい

規格化され、工場で生産されるため、技術と品質が一定であり、語弊を恐れずにいえば、他の工法や構造と比べ熟練した職人さんの技術が必要ありません。

・軽量鉄骨のメリット3:コストを抑えることが出来る

部材の質や用地により大きく変わりますが、比較的コストを抑えることが出来ます。

・軽量鉄骨のメリット4:建物を支える地盤が強くなくても建てることが出来る

重量鉄骨や、鉄筋コンクリートのように建物を支える地盤がかたく強固でなくても建てることが出来ます。

軽量鉄骨のデメリット

・軽量鉄骨のデメリット1:プランが限定される

工場生産で規格化(パッケージ化)されているため、間取りや寸法が限定されます。

・軽量鉄骨のデメリット2:まめなメンテナンスが必要

部材や施されている対策により、まちまちですが、基本的には、劣化を防ぐためにまめなメンテナンスが必要になります。

・軽量鉄骨のデメリット3:遮音性に弱く音が筒抜け

オプションで、ある程度遮音性を高めることは可能ですが、密度が薄いため遮音性の面では鉄筋コンクリートには遠く及びません。

・軽量鉄骨のデメリット4:熱伝導率が高く断熱性が低い

鉄は熱伝導率が高く、断熱性に劣るため、何も処理を施していなければ、冬は寒く、夏は暑くなります。

・軽量鉄骨のデメリット5:リフォームや増改築は難しい

住宅会社独自に開発している機能が多いため、リフォームの際は基本的には、同じメーカーに依頼する必要があり、さらにリフォームが難しい場合もあります。

・軽量鉄骨のデメリット6:木造よりも価格が高い

使われる部材の質によりますが、軽量鉄骨の価格は基本的には木造よりも高くなります。

ただし家を安く建てるための基本を抑えることでコストダウンをはかることができます。

コストダウンの基本については下記の記事をご覧ください。

>>>家を安く建てる方法とコストダウンの7つの基本

また家の形によっても家のコストは大きく変わってきます。家の価格に影響を与える家の形については下記の記事の内容を抑えておくと良いと思います。

>>>家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い

重量鉄骨とは

重量鉄骨とは、厚さが6mm以上の鋼材を使用した鉄骨を言います。

重量鉄骨では、鉄骨の重量が重いので、支える地盤が非常に硬く強くなければならず、それに伴い基礎工事のコストも必然的に高くなります(地盤次第で建築コストは大きく変わります)。

また、重量鉄骨造は施工会社が限られてくるため住宅会社を選ぶ際には注意しなければなりません。

重量鉄骨造の家は、一般的に耐震性に優れた構造となっていますが、耐震性は材質だけで決まるわけではなく構造設計や地盤、施工の状態、施工者の技術などによって変わるので一概に、重量鉄骨だから耐震性にすぐれているわけではないことを頭に入れておかなければなりません。

(つまりは、施工者をきちんと選ぶ必要があります)

重量鉄骨の家は、特に3階建て以上の建物に優れた耐震性を発揮します。

特に都市部で注文住宅を建てる際、敷地が極端に細長かったりする場合(狭小地)など、限られた用地で家を建てる場合は非常に相性が良いのが重量鉄骨の特徴です。

例えば狭小地の場合、駐車場の問題がありますが、重量鉄骨であれば建物の一階に駐車スペースをつくったり、3階建ての屋上庭園を採用したりなど間取りの自由度が広がります。

※狭小地などの特殊な土地や、3階建てを希望されている方はおそらく重量鉄骨で検討されることだと思います。重量鉄骨で家づくりをする場合重量鉄骨が得意な設計事務所や工務店またはハウスメーカーに依頼することが必要です。

重量鉄骨で検討されている方は下記のWEBサイトで「3階建てを希望」にチェックして頂くと良いでしょう。

>>>無料で提案書を依頼できるタウンライフ家づくりのページはこちらから。

重量鉄骨の最大の魅力は、重量鉄骨は柱と梁が太く丈夫なため筋交いが必要なく、壁のない大広間をつくることができたり、自由度の高いプランを設計することが可能な点にあります。

場合によっては柱を数本立てるだけで、大広間をつくることが可能です。

ただし、柱が太くなった分デメリットとして柱型が出てしまい、部屋の中に柱の形が出てしまうという問題が生じます。

その場合、壁をふかすなどし、重量鉄骨で柱型を出さないことも可能ですが、柱の厚みの分壁をふかす必要があり、壁をふかした分だけ部屋の面積は狭くなってしまいます。

また、ハウスメーカーに依頼する場合ですが、たとえ重量鉄骨であろうと、基本的には規格化されているため、間取りに制限があることもあるので注意が必要です。

重量鉄骨の価格は軽量鉄骨や木造よりも高めとなります。

重量鉄骨のメリットとデメリットのまとめ

重量鉄骨のメリットとデメリットをまとめると以下のようになります。

重量鉄骨のメリット

・重量鉄骨のメリット1:自由度の高いプランが設計できる

重量鉄骨は建物を支える骨組みが丈夫なので基本的には、建物を支えるための筋交い(ブレース)が必要なく、非常に頑丈なつくりのため、その分軽量鉄骨よりも自由度の高いプランが実現できます。

・重量鉄骨のメリット2:3階建て以上の家の耐震性が良い

重量鉄骨は3階建て以上の家に非常に適した構造となります。

・重量鉄骨のメリット3:丈夫で長持ちな家を建てられる

重量鉄骨を建物の骨組みに使うことで、比較的丈夫で長く住む家を建てることが出来ます。

・重量鉄骨のメリット4:狭小住宅との相性が良い

重量鉄骨は、建物を支える仕組みがしっかりしているので、狭小地などでも自由度の高いプランを設計できます。

・重量鉄骨のメリット5:1階に駐車スペースをつくったり、複雑な形の家や屋上庭園などプランが自由。

重量鉄骨は、骨組みがしっかりしているので、ある程度複雑な間取りにも対応できます。

※インナーバルコニーについては「インナーバルコニーで抑えておきたい7つのメリットとデメリット」を、ビルトインガレージを検討されている方は「ビルトインガレージの家の11のメリットとデメリットと間取りの注意点」も合わせてご参考ください。

・重量鉄骨のメリット6:壁のない大広間をつくることができる

壁がない大広間をつくれるのも重量鉄骨の大きなメリットです。

※吹き抜けについては「吹き抜けの家にする12のメリットとデメリット」を一読ください。

重量鉄骨のデメリット

・重量鉄骨のデメリット1:施工会社が限られる

重量鉄骨は施工会社が限られるので注意が必要です。

・重量鉄骨のデメリット2:建築コストが高い

用地(建設地)により大きく異なりますが、地盤改良などが必要になるため重量鉄骨の建築コストは必然的に高くなります。

・重量鉄骨のデメリット3:構造計算の関係でリフォームがやや困難

建物の構造によりますが、重量鉄骨は基本的にはリフォーム可能です。ただし構造設計の関係でリフォームが困難となる場合もあります。

・重量鉄骨のデメリット4:住宅会社によってはプランに制限がかかる

重量鉄骨は、基本的には自由なプラン設計が可能ですが、住宅会社によっては様々な理由により制限がかかる場合があります。

・重量鉄骨のデメリット5:多くの場合、地盤改良が必要

重量鉄骨は素材自体が重いため、多くの場合それを支えるための地盤を改良する必要があります。

鉄骨住宅の価格

鉄骨住宅には「軽量鉄骨」と「重量鉄骨」がありますが、両者ともに価格は木造住宅よりも高くなります。

一般的に、「重量鉄骨▶︎軽量鉄骨▶︎木造」の順に建築コストは安くなります。

鉄骨住宅の工法

3:軽量鉄骨軸組工法(ブレース構造)

軽量鉄骨軸組法とは、木造住宅の工法である在来工法と同じような考え方に基づいてつくられる工法です。

具体的には、建物の骨組みである土台・柱・梁などに軽量鉄骨を使用して、強度を補うための斜めがけの筋交いの替わりに、鉄骨ブレースを挿入した構造となっています。

そのため別名を「ブレース構造」とも言います。

使用される、各部材は工場で生産され、現場で組み立てられるので、品質も安定しているのが大きな特徴で、耐震性や耐風性に優れています。

また、天候にも左右されづらく、工期も短く短期間で家を建てることが出来ます。

4:ラーメン工法

ラーメン工法とは、筋交い(ブレース)を使わずに柱(縦)と梁(横)を鉄骨で一体化した方法で作られる工法を指します。

もう少し具体的に言えば、壁や床を構成する「版」と、それを支える「柱(縦軸)」、柱を水平方向に繋ぐ「梁(横軸)」を繋ぎ合わせることで建物を支える構造のことを「ラーメン構造」と呼び、その構造をつくる方法のことを「ラーメン工法」と言います。

身近な例で言えば四本脚の椅子がラーメン構造に近いつくりにあたります。

ラーメン構造を椅子にあてはめると「版」にあたる座面部分を、「柱」にあたる四本の脚と、「梁」にあたる4本の柱を水平方向につなぐ「枠」で繋ぎ合わせることにより構成されている構造ということになります。

在来工法ではこれに強度を出すために「筋交い」、軽量鉄骨では「鉄骨(ブレース)」を斜めがけに挿入します。しかしラーメン工法ではこの斜めがけにあたる部材を使用することはありません。

もちろん、筋交いがない分、柱と梁の接合部分には、それに耐えうる高い強度が要求されます。だから、柱と梁の接合は、骨組みに外の力が加わって部材が変形することがあっても、接合部が変形しないように接合される剛接合で溶接されます。

(ほとんどの場合、柱と梁の溶接は工場で行なわれ、溶接された状態で現場に運ばれ、それらを剛接合することで柱と梁は一体化した状態に保たれます)

そして、ラーメン工法の目立った特徴としては、強度があり筋交い(ブレース)がない分、大きな間口をつくることができる点にあります。つまり間取りの自由度が違ってきます。

(軽量鉄骨では、この構造を支えることができないため、鉄骨造におけるラーメン工法は重量鉄骨に限定されます)

ラーメン構造は、結果的に、一般的に耐震性も高く、増改築や開口部の自由度が高いのが特徴です。

ただし構造上、鉄であるので音が響きやすいという特徴があります。ただし素材の厚みや、壁や床に使われる部材の質や厚みによって変わるので一概に音が響きやすいとは言えません。

ちなみにラーメン工法の「ラーメン」とはドイツ語で「額縁」「枠」の意味です。

・・・・耐震壁付きラーメン構造とは

耐震壁付きラーメン構造とは、ラーメン構造で、主に耐震性が足りない部分に「耐力壁(耐震壁)」と呼ばれる壁を設置することで強度を増す構造を指します。

耐力壁(耐震壁)により強度を増すことで柱や梁のサイズを小さくすることが出来るのが最大のメリットで、それだけ空間を有効利用することが出来ます。

ただしデメリットとして、耐震壁には開口部を設けることができません(耐力壁に穴をあけると建物が倒壊する恐れがあります)。

※耐力壁については「家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い」の「2:総2階建ての家は、地震など耐震性に優れている。(耐震性)」の項をご確認ください

5:プレハブ工法

プレハブ工法とは住宅の一部、または全ての部材を工場でつくり、ある程度形にした上で、建設現場に運び込み、現場で組み立てられる工法のことをいいます。

建築現場の作業をできるだけ減らすことを考えてつくられており、従来の建築工法よりも、工場で生産された部材が用いられる割合が多いのが特徴で、プレハブ工法は工場で溶接まで済ませ現場に運び込まれ、現場ではボルトやナットなどを使い固定をし、組み立てて行く作業をします。

規格化されており、大量生産が可能でトータルコストを抑えることができ、施工者の腕の善し悪しに関わらず品質も一定に保つことが出来るため、大手ハウスメーカーが好んで使用している工法です。

ただし、ある程度形になった状態で工場から家を建てる場所に運ばれるため、搬入が難しい狭い用地などではプレハブ工法を使用できない場合があります。

できるだけ工場で部材を生産、加工、組立を行い、ある程度形になった状態で工場から運ばれ現場で作業が進められるので、工期も短く短縮できるのが最大の特徴です。

ただし均一化、規格化されているため、間取りの自由度はありません。

補足:ユニット工法について・・・

プレハブ工法の一種でユニット工法があります。

ユニット工法の場合ユニット(箱)単位で製造され現場に運び込まれます。

ユニット工法では、8割型の作業を工場で済ませるため現場工期は非常に短くて済みます。

具体的に言えば、窓の取り付け、電気配線、内装をユニット(箱)単位で工場生産し、その後建築現場に運び込まれたユニット(箱)を積み上げて繋ぎ合わせていきます。

上記の理由により、ユニット工法はパッケージ化されている分価格は安くなりますが、リフォームが困難となります(安易にいじることが難しくなります)。

【コラム 〜耐震性について〜】

建物で「この工法は耐震性が良い」とか「この構造は地震に強い」と言われたりしますが、結局のところ工法よりも、地盤の強さに深く依存します。

地盤が強固であれば、大きな地震の際も、揺れは穏やかであり、耐震性を気にすることなく建物を建てることが出来ます。

また、同時に、建物の基礎がしっかりとしているのならば文句のつけようがありません。

基礎には大きく言って2種類あり、建物の外周と耐力壁に沿って鉄筋コンクリートで縁取りする「布基礎」と、床下全体を鉄筋コンクリートで固める「ベタ基礎」がありますが、当然、ベタ基礎の方が揺れの影響は受けにくくなります。

建物の構造や工法を気にする前に、地盤が強い場所にしっかりとした基礎を作る。地震対策はこの2点を抑えましょう。

RC造

RC造とは

RC造とは「鉄筋コンクリート造」のことを指し、構造として主に鉄筋(鉄の棒)とコンクリートによって構成されている建物のことをいいます。

RC造では、型枠を組み、その中に鉄筋(鉄の棒)を網目状に組み、コンクリートを流し込み柱や梁などの建物の骨組みをつくり上げ構成していきます。

ちなみに、RC造とは「鉄筋コンクリート構造(Reinforced Concrete Construction)」の略称です。

RC造(鉄筋コンクリート造)の特徴と性能

RC造は素材として使われる「鉄筋」と「コンクリート」のお互いの欠点を補い合い構造化されている仕組みです。

例えば、鉄筋は引っ張る力には強いけれども錆びやすい性質を持っており、耐火性もあまりよくありません。対してコンクリートは、引っ張る力には弱く、脆く割れやすいですが、耐火性に強く圧縮される力に強い性質を持っています。

また鉄筋は空気にふれることで酸性に傾き、酸化することで錆(さび)を発生し、それに伴い耐久性が低くなる性質をもっていますが、コンクリートはアルカリ性であるため、鉄筋が錆びにくくなり耐久性を守る役割を担っています。

さらに鉄とコンクリートは熱による膨張率がほとんど変わらず素材の特性上、非常に相性が良い組み合わせと言えます。

ひとことでいえば、鉄筋とコンクリートのお互いの欠点をカバーしながら、お互いの長所を引き立てあい、強さとしなやかさを出すように構造化された仕組み、それがRC造です。

ただし、RC造はほとんどが現場作業となります(※鉄筋コンクリートの素材が工場で生産されるプレハブ系工法のRC造もあり、木造の「プレカット工法」に対して「プレキャスト工法」と呼ばれます。)。

コンクリートの品質は天候や気温などの条件に左右されるので、しっかりとした施工業者に頼まなければ品質をたもつことが出来ません。

上述した通り、部材におけるお互いの欠点を補いあっているため、RC造は非常に高い耐火性と、耐久性を持っています。RC造は火に強いので、家に耐火性能が求められる都市部でよく見られる構造のひとつです。

一般的にRC造の家は、防音性能にも優れており、音が伝わりにくいのも特徴のひとつです(あくまで素材の特徴なので、同じRC造でも、床や壁に用いられる部材や密度などによって異なります)。

ただし、コンクリートの特性として熱を通しやすい他、熱を溜め込む特徴があります。つまり冬は寒く、夏は熱いという、生活をする上で、住まいの快適性はあまりよくありません。

また、RC造は、語弊を恐れずに言えば、型枠さえつくることができれば、どんな複雑なデザインにも対応するため、自由なプランをたてることが可能です。

(例えば、コンクリート打ちっぱなしの家にみられるような個性的な建物によく使われます。また、余談ですが、かなり自由な設計が可能なのでRC造を好む建築士は意外と多いです)

家の間取りや家の形が家の価格にどれくらい影響を与えるのかについては下記の記事を参考にしてください。

>>>家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い

ただし、RC造は建物自体の重量が非常に重くなるため、軟弱な地盤には建てることが出来ず、用地が限定されるというデメリットもあります。

地盤にかかる重さは、RC造、重量鉄骨、軽量鉄骨、木造の順に重いです。

また型枠を組んで行なう、壁式構造が主となりますので、後々壁に穴をあけることが難しく、リフォームも困難となります。

上述したように、RC造で建てる土地には、非常に強固な地盤を要するため、地盤改良が必要なことが多く、また建築に際する工程も多いので、建設には時間がかかり必然的にトータルの建築コストは高くなります(鉄筋を組み▶︎型枠を組み▶︎コンクリートを流し込み▶︎しっかりと固まるまで待ち(気温や天候など外部環境に左右されます)▶︎型枠を外す・・・という工程を繰り返します)。

さらに、コンクリートは雨に弱いため、雨水が浸透することによる鉄骨の錆を防ぐため、壁や屋根の防水処理が必要となります。

RC造の価格

RC造の価格は、注文住宅で建てるとおおよそ木造の2倍と、住宅では最も高価な構造です。ちなみに地下室をつくる場合、通常RC造が採用されますが、この場合、価格は木造の4倍と、さらにはね上がります。

・・・・SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)とは

SRC造とはRC造に「S」が加わったもの、つまり「鉄骨」が加わった構造のことを指します。

鉄骨(S)の周囲を鉄筋で覆い、さらにその上を、コンクリートで覆うという構造です。つまり鉄筋とコンクリートでつくられるRC造の内部に骨組みとして鉄骨を入れ、鉄骨のもつ「しなやかさ」をプラスした構造です。

RC造と同じく鉄筋と鉄骨は素材が「鉄」であるため、アルカリ性のコンクリートで包み込むことにより、錆(さび)から生じる劣化を防ぐ役割を担っています。

SRC造は、当然のように、建設コストは高くなりますが、RC造よりも柱や梁が小さくても耐震性の高い建物を建てることが出来ます。

ちなみに、SRC造とは「鉄骨鉄筋コンクリート構造(Steel Reinforced Concrete Construction)」の略称です。

RC造(鉄筋コンクリート造)のメリットとデメリット

RC造(鉄筋コンクリート造)のメリットとデメリットをまとめるとおおよそ以下の通りになります。

RC造(鉄筋コンクリート造)のメリット

・RC造(鉄筋コンクリート造)のメリット1:耐久性が高い

RC造は鉄筋とコンクリートのお互いの短所を補い、長所を引き立てているため、非常に耐久性が高い構造となっている他、木造などのようにシロアリの被害を免れることが出来るので、長期的に見ても耐久性の高い建物となっているのが大きな特徴です。

あくまで参考ですが、一般的な傾向については下記の表を参考にしてください。

構造による住宅性能の違い 図:住まいのお役立ち情報【LIFULL HOME’S】

・RC造(鉄筋コンクリート造)のメリット2:耐火性が高い

RC造の特徴として固まってしまえば材質そのものが燃えることがなく、火や熱に強くなります。

RC造は木造住宅で使われる木材のように、火により燃え移ることはないので防火に優れている建物と言えます。

・RC造(鉄筋コンクリート造)のメリット3:遮音性が高い

壁や床の厚みにより、遮音性は大きく変わってくるので、一概にRC造だからといって遮音性にすぐれているとは言えない部分もあるのですが、一般的には遮音性には優れています。

例えば、全体として家のつくりがRC造(鉄筋コンクリート)だとしても、部屋の壁に石膏ボードを使用していれば当然ですが遮音性は低くなります。(余談ですが、マンションなどでRC造だったとしても隣家との間に介在する壁が石膏ボードだった場合、遮音性は期待できません。安易にRC造だから、音の心配はないとするのは危険です)

一方で、コンクリートで壁がつくられている場合は他の素材や構造に比べて遮音性が高いため、音は外に漏れにくくなります。

しかし、注意したいのは上下間の音の問題です。上下世帯の仕切りはスラブと呼ばれる鉄骨プレート入りの層でつくられますが、このスラブが薄い場合、左右の音漏れは大丈夫であっても、上下間の音漏れが激しいことがあります。

・RC造(鉄筋コンクリート造)のメリット4:広い空間や間取りをつくれる

RC造では、型枠さえ組むことが出来れば、基本的には思い通りの広い空間や間取りをつくることができます。複雑なデザインに対応できるので個性的な建物を建てることが出来ます。

RC造(鉄筋コンクリート造)のデメリット

つづいてRC造(鉄筋コンクリート造)のデメリットをみていきます。

・RC造(鉄筋コンクリート造)のデメリット1:材料費と建築コストが高い

RC造は、一般的には木造住宅、鉄骨住宅よりも高価な建物となるので材料費をはじめ、トータルで見た建築コストが高くなります。

ただし、家はコストダウンの基本を抑えることで、できるだけ価格を抑えて建てることができます。家を安く建てる方法については下記の記事を参考にしてください。

>>>家を安く建てる方法とコストダウンの7つの基本

・RC造(鉄筋コンクリート造)のデメリット2:強固な地盤にしか建てることが出来ない。

RC造で建てる予定の土地が、軟弱地盤の場合、地盤改良が必要になり、それだけコストもかさみます。RC造の場合は地盤改良が必要という土地も多いです。

・RC造(鉄筋コンクリート造)のデメリット3:雨に弱いため防水処理が必要

コンクリートのデメリットとして雨による劣化や、ひび割れが原因で雨が内部の鉄筋までしみ渡り、内部の鉄が錆びてしまい劣化してしまう危険性があります。

コンクリートの劣化を防ぐために防水処理が必要です。

・RC造(鉄筋コンクリート造)のデメリット4:解体費用が高い

家を建てる時に解体時のことに気を止めている方は少ないかもしれませんが、RC造は木造や鉄骨の建物よりも解体費用が高くなります。

・RC造(鉄筋コンクリート造)のデメリット5:気密性が高いため結露やカビが発生しやすい

RC造の家は気密性が高いため結露やカビが発生しやすいというデメリットがあります。建物の中の空気を循環させるために、住宅を建てる時に換気のことを検討しなければならず、その分建築コストは高くなります。

・RC造(鉄筋コンクリート造)のデメリット6:断熱性能が低く夏は暑く、冬は寒い

一般的にRC造の家は、断熱性能が低いです。熱伝導率が高い素材を使用しているため、夏は暑く、冬は寒くなる傾向があります。ただし外側を断熱材で覆う外断熱工法を使用することで断熱性が高くなります。

RC造(鉄筋コンクリート造)の工法

・ラーメン工法

RC造(鉄筋コンクリート造)でも、ラーメン工法としての仕組みは、鉄骨造の項で述べた、柱(縦)と梁(横)により。支えることで建物の骨格をつくっていく工法と同じです。

ただし、RC造のラーメン工法では、骨組みをつくる際の素材として、鉄筋コンクリートを使用します。

鉄筋コンクリートを使用するので、骨組みだけで考えれば非常に強固なつくりとなります。

6:壁式工法

壁式工法とは、床板と壁板を組み合わせて建物を支える工法のことを指します。壁式工法では、ラーメン構造と違い、柱や梁と言った骨組みはなく、壁、床、天井で建物を構成します。

簡潔に言えば、柱や梁がなく壁(面)の力で全体を支えている構造のこと壁式構造と言います。

壁式工法は床、壁、天井などの「面」で支える構造となっているので柱が必要なく、柱型や梁型がないため部屋がスッキリ開放的に見えます。

RC造の壁式工法 図:山川設計

構造上、壁式構造は面で支える構造のため、柱や梁などの線で支えるラーメン構造と違い、力が一個所に集中することがなく、うまく分散されるため耐震性が高く地震に強くなります。

また構造上、防音性も高いのが壁式工法の特徴です(特に鉄筋コンクリートでの壁式工法は素材そのものの密度が高いので防音性に優れています)。

さらに、建物を面で支えるため、大きな空間の設計が可能な点も壁式工法のメリットです。

ただし、壁式工法の場合は、壁を壊すような、大規模なリフォームは出来ない点に注意が必要となります(大幅な間取り変更は不可能です)。

例えばリフォームの際に、間仕切り壁を取っ払って広い空間にしたいという場合、間仕切り壁(耐力壁)自体が建物を支える壁となっている場合があるので、リフォームが出来ない場合があります。

・・・・混構造とは

建物の構造で混構造とよばれる構造の建物があります。

混構造とは、違う種類の構造が1つの建物の中に組み合わさって出来ている建物のことです。例えば、一階部分をRC造や鉄骨造でつくり、2階には木造を使用していたり、同じ階層でも部分的に木造が使われているなどのような構造を、混構造といいます。

リフォームや増改築の際に、耐震性を高めるために部分的に違う素材、つまり混構造が使われることも多いです。

+α(番外編):ログハウス

番外編として最後にログハウスについてお話します。

ログハウスの特徴と性能

ログハウスとは、ひと言で言えば丸太小屋のことです。その名の通り丸太を積み重ねた壁によって構成される家です。

ログハウスは基本的に丸太を積み上げていくだけの構造なため、増改築やリフォームは非常に難しくなります。

またログハウスは完成してからも、しばらくは木の収縮が起こるため、定期的なメンテナンスが必要になり、当然のことながら維持管理するためのコストはかかります。

ログハウスの工法

ログハウスは基本的には丸太を積み上げるだけの工法により建てられますが、現在主流の代表的な工法は3つです。

1:丸太組工法

丸太組工法とは、樹皮を剥いだだけの丸太を横に積み上げてつくっていく工法です。壁材が交差する部分はお互いの丸太を交互に組み合わせて積み上げていきます。

丸太が直角に交わる部分にはロッチと呼ばれる欠き込み部分を入れておき、実(さね)加工によって丸太を固定します。

丸太組工法と似た工法に、奈良の正倉院があり「校倉(あぜくら)つくり」と呼ばれています。(校倉つくりでは断面が三角形の横材を積み上げていきます)

総じて、丸太組工法は、丸太を交互に積み上げていき柱や壁をつくっていくというシンプルな構造です。

2:ポスト&ビーム工法

ポスト&ビーム工法とは、柱(ポスト)と梁(ビーム)に丸太を使用し、軸組工法で建てられる工法です。構造的には骨組みに丸太を使用している以外、在来工法とほとんどかわりはありません。(ポスト&ビーム工法は在来工法と同じように筋交いが必要です)

ログハウスは丸太を積み上げていくのが大きな特徴であり、ポスト&ビーム工法は、基本的な仕組みは軸組工法とほとんど同じのため、厳密に言えばポスト&ビーム工法はログハウスとはいえませんが、一般的にはログハウスのひとつとして認識されています。

3:ピース・エン・ピース工法

ピース・エン・ピース工法の基本的な仕組みはポスト&ビーム工法と同じです。違いは、双方の柱にキーウェイ(key way)と呼ばれる溝をつくり、柱と柱の間にフィラーログと呼ばれる短い丸太を水平に落とし込んでいき壁をつくっていく所にあります。

フランス語圏の、カナダの東海岸で盛んに用いられた工法で、ピース・エン・ピース(piece-en-piece)とはフランス語で、短い材の間に短い材を入れるといった意味らしいです。(「らしい」というのは、フランス語がわからないためです)

 

注文住宅の3つの構造と7つの工法のメリットとデメリット:まとめ

繰り返しますが注文住宅の3つの構造とは

1:木造

2:鉄骨(S造)

3:鉄筋コンクリート(RC造)

の3つです。そして建物を組み立てる工法には代表的な工法が6つあり

1:木造軸組工法(在来工法)

2:ツーバイフォー工法

3:軽量鉄骨軸組工法

4:プレハブ工法

5:ラーメン工法

6:壁式工法

とまとめることができます。それぞれの工法の特徴については、各項をご参照ください。

注文住宅で理想の住宅会社をみつけるにはどうすれば良いか

家は一生に一度の買い物ですが、各住宅会社の特徴を全て熟知した上で、家を建てることは不可能です。

そんな時にお勧めしたいのが複数の住宅会社から同じ条件でプランを提案してもらうという方法です。

例えば条件として予算が1500万円を考えているのならば、それぞれの住宅会社から1500万円以内でプランを提案してもらい、その他、家造りの要望に、一番希望に近い住宅会社に依頼するのが効率的です。

この方法の一番のメリットは、短期間で複数社から見積もりや提案書が届き、さらに価格などの条件が同じなので各住宅会社の特徴や力を入れている点など、細かなプランを比較しやすくなり、家づくりにおいて「こうしたかった」「ああすればよかった」などの失敗を未然に防げる点にあります。

どのように住宅会社に一括で提案してもらうのか?

それには「タウンライフ」というサービスを利用すると短期間で簡単に提案してもらえます。

タウンライフの特徴としては、住宅会社にあしを運ぶ手間をかけることなく、

・希望予算(まだわからない、2,000万円くらいなど)
・希望世帯(一世帯、二世帯、店舗併用住宅)
・何階建てなのか(平屋建て、2階建て、3階建て)
・住宅に住む予定人数、何LDK希望か(3LDK、4LDKなど)
・希望の家の広さ(坪数は?)
・LDKの広さ(12畳、15畳など)

などの項目を、あらかじめ伝えることで一気に複数社から提案書を受け取ることが出来ます。しかも、依頼に対するはじめの所要時間はおよそ3分程度で済みます。

依頼前に「重量鉄骨可能」など、対応可能な工法もきちんと明記されているので、希望の家に工法が対応していなかった・・・などの余計な手間も省くことが出来ます。

もちろん、資金計画の相談にも乗って貰うことも可能で、信頼性も高く、累計で112万人の方に利用されているサービスです。

また、「タウンライフ」を利用するメリットとしては

1:一括以来できるので、時間と労力を節約できる
2:ハウスメーカーや工務店を比較できる
3:見積書を作成してもらうことが出来る
4:各社の提案書を見比べることで、違いがわかりやすい
5:提案依頼ができるため、「売り込み」をかけられにくい
6:信頼性が高い情報で、住宅会社を選ぶことが出来る

などをあげることが出来ます。

実際に利用された方の意見をきいてみると「複数社から提案を受けることが出来たので、自分にあったプランを見つけやすく、結果、見つけることが出来た」という意見が多く寄せられます。

無料で利用できるので、住宅会社や資金計画やプランに悩んでいる方は是非一度利用してみると良いと思います。

 

>>>詳細はこちらから確認して頂けます。

「タウンライフ」利用の流れ

ステップ1:まず希望の間取りプラン、資金計画について入力します。土地探しが必要な場合、必要場所を入力します。

ステップ2:連絡先などのお客様情報を入力します。

ステップ3:依頼する会社を選択します。

ステップ4:内容を確認し、送信します。

以上の工程で、無料で複数社から一気に提案書を受け取ることが出来ます。

また毎月限定数はあるようですが、家づくりに役立つ小冊子「成功する家造り7つの法則(49P)」のプレゼントキャンペーンなども組んでいるようです。

家造りに悩んでいる方は、一度、依頼してみると良い結果が期待できるかもしれません。

 

>>>詳細はこちらから確認して頂けます。




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安くいい家を建てるには複数社への見積り依頼が基本です。タウンライフ家づくりは項目を選択するだけで、簡単にあなたの希望通りの間取りはもちろん見積り依頼まで簡単にできてしまいます。家づくりをお考えの際はまずは見積り依頼をしてみてください。