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建築家や設計事務所に注文住宅の家づくりを依頼する注意点と2つのポイント

注文住宅にはデザインコンセプト型の注文住宅と、完全オーダーメイド型の注文住宅の2つの注文住宅があります。

どちらも自由設計の注文住宅に間違いはありませんが、この2つの注文住宅の違いについて、きちんと理解されている方は、意外と少ないのではないでしょうか。

この2つの注文住宅は、名称こそ同じく自由設計の注文住宅ですが、デザインコンセプト型の注文住宅と、完全オーダーメイド型の注文住宅では、家づくりの方向性は全く違うものになります。

つまり、2つの自由設計の注文住宅は次の2つの通りに分けることができます。

1つ目の方法は、ある程度デザインやコンセプトが決まっており、好みに合わせてパーツを組み合わせていく家づくりです。

2つ目の方法は、完全オーダーメイドのゼロからつくり上げる自由設計の家づくりです。

この記事では上の2つの注文住宅の違いと、建築家や設計事務所に依頼する場合に気をつけたい点や、メリットやデメリットを交え、注意点をお話ししながら家づくりをする流れについてお伝えしていきます。

今回の記事の狙いは、どちらの注文住宅が優れているという優劣をつけたいわけではなく、両者の自由設計の注文住宅の違いを知ることで、より納得のいく家づくりをして頂くことにあります。

※下記の写真は全てイメージとなります。



Contents

2種類の注文住宅での家づくり(2つの方向性)

冒頭でもお話ししましたが、注文住宅での家づくりは大きく言って2種類の方向性に分けられます。

・注文住宅の種類1:デザインやコンセプトなどが制約された中でつくりあげる家づくり(自由設計の注文住宅)

・注文住宅の種類2:完全オーダーメイドのゼロからつくり上げる自由設計の家づくり(自由設計の注文住宅または完全自由設計の注文住宅)

注文住宅と聞くと、建築家や設計事務所によって設計される完全自由設計の住宅と思われる方も多いようですが、実際には注文住宅の方向性は上記のように2つに別れています。

2つの注文住宅の細かい違いは次の通りです。

1:デザインやコンセプトなどが制約された中でつくりあげる家づくり(自由設計の注文住宅)

「1:デザインコンセプト型の注文住宅」はどちらかというと「家選び」の志向が強いものとなっています。

なぜなら、細かい間取りなどは変更できるものの、あらかじめ家のデザインコンセプトが決まっており、そのコンセプトに暮らしをあてはめて家づくりを進める方法になるからです。

このタイプの注文住宅は、大手中堅ハウスメーカーで多く見られる注文住宅の家づくりです。

家づくりの進め方についていえば、「1:デザインコンセプト型」の注文住宅は、用意されたコンセプトの中で、それぞれの住宅コンセプトに合わせて自分達の暮らしを合わせて行く進め方になります。

家づくりを検討する際も、多くの場合完成したモデルハウスなどを見学し、実物を見て触って確かめながら決めていきます。

例えが正しいのかどうかはわかりませんが、デザインコンセプト型の注文住宅は、ブランド物の洋服を購入し細かい仕様については、直しを入れるなどをし自分の体型にサイズが合うよう調整していくような進め方です。

完全にゼロからではなく、デザインコンセプトとパーツが用意されている中で家づくりを検討していくので、完全自由設計の注文住宅よりも手間がかかりません。

デザインコンセプト型の注文住宅では、主に検討するのは各パーツの選択になるので、家づくりを容易に運ぶことができるメリットがあります。

※もともと用意されたデザインの家に、家族の暮らし方に合わせ、用意されたパーツを組み合わせていくイメージです。

2:完全オーダーメイドのゼロからつくり上げる自由設計の家づくり(自由設計の注文住宅または完全自由設計の注文住宅)

一方で「2:完全オーダーメイド型の自由設計の注文住宅」の場合は、法律や予算の許す限り完全に自由に設計することができるため「家選び」ではなく、「家づくり」の志向が強いものとなります。

細かい間取りはもちろん、家のデザインコンセプトを決める段階から、家に使われる素材に至るまで、法律と予算、それに時間の許す限り細かく調整していき「家づくり」を進めていきます。

このタイプの住宅は、建築家や設計事務所に多く見られる注文住宅の家づくりです。

家づくりの進め方についていえば、「2:オーダーメイド型の注文住宅」は、全く何もないゼロの状態から家のデザインコンセプトについて話し合いが進められ、それぞれの家族の暮らしに合わせて家づくりを進めて行きます。

ただし、家づくりを検討する際は、頭の中で思い描く形になるので、実物は完成してからのお楽しみとなり、住み始めるまで実際の使用感などはわからず想像するしかありません。

言葉が正しいのかどうかはわかりませんが、法に触れない限りは、自由にこだわり抜いた家づくりを行うことが出来ます。

完全自由設計の注文住宅は、完全にゼロから、家づくりが進められるため、非常に労力と手間がかかります。最短でも完成までに1年は見たほうが良いでしょう。

※家族の暮らしから家を想起し、デザインコンセプト型住宅のように家に暮らしを合わせていくのではなく、暮らしから家を発想し、家そのものを家族の暮らしに合わせていくイメージです。

また少々ややこしいですが、注文住宅のことを「自由設計の注文住宅」とか「完全自由設計の注文住宅」と言ったりします。

「自由設計の注文住宅」と言った場合は、両者を含みますが、「完全自由設計の注文住宅」と言った場合は、「2:オーダーメイド型の注文住宅」をさします。

ここであげた2つの自由設計の注文住宅は、同じ注文住宅という言葉で定義付けされていますが、家づくりの方向性や家が完成するまでの家づくりの進め方(手順)は全くの別物になります。

もちろんどちらの注文住宅にも一長一短があり、どちらが住宅として優れているというわけではありません。

・2つの家づくりの進め方の違い

1:デザインコンセプト型の注文住宅の場合:家に暮らしを合わせていく進め方
2:オーダーメイド型の注文住宅の場合:暮らしから家を想起し、家を暮らしに合わせていく進め方

この記事でお話しする完全自由設計の注文住宅について

この記事でこれからお話しするのは、注文住宅での家づくりの2つの方向性のうち「2:オーダーメイド型の注文住宅(完全自由設計の注文住宅)」についてです。

つまり建築家や設計事務所に家づくりを依頼し、家づくりを進めるためのポイントや流れ、細かい注意点について細かくお話しして行きます。

建築家や設計事務所に依頼することでのメリットやデメリットはもちろん、建築家や設計事務所に依頼した場合どれくらいの予算を見ておけば良いのか、数ある設計事務所の中で選び方のポイントはどこにあるのか、引き渡し時の注意点などについてまで詳しくお話しして行きます。

建築家や設計事務所に家づくりを依頼する理由と完全自由設計の注文住宅に向いている人

様々な家づくりが検討される中、建築家や設計事務所に家づくりを依頼する理由は一つです。

それは完全にオリジナルの、それぞれのライフスタイルや価値観に合わせた家づくりをするためです。住宅会社の提供するデザインコンセプト型の注文住宅とは違う、個性的な何かを求める方に向いています。

家に対する思いが強く、デザインコンセプト型の注文住宅では満足できない方が完全自由設計の注文住宅を選ばれます。

完全自由設計の注文住宅は、完成までに時間はかかるものの、家に使われる素材はもちろん、間取り、外観の形、住宅設備機器に至るまで、全てゼロから建築家と話し合いのもと、一緒に家づくりを進めて行きます。

もちろん中には、細かい法律などの制約により実現できないプランもありますが、条件さえクリアすれば、基本的にはどんな家でも実現することができます。

つまり、どんな無謀とも思える家づくりのプランであっても建築家は、それを乗りこえ実現させるための解決策をアドバイスし、建て主の要望を叶えるために、建て主とともに悩み考え家づくりのプランを練っていきます。

むしろ、建て主の希望する無理難題こそが建築家を熱くさせる要素の一つとなり、建築家の腕のみせどころとなります。

ですから、どのような要望であっても一度は建築家に投げて見て、実現に向けて話し合っていくのが理想の家づくりを実現するための近道です。

むしろ、そうした普通の住宅では満足できない、こだわりぬきたい要望を持っているからこそ、建築家と一緒に家づくりを進める「完全自由設計の注文住宅」を選ばれるのだと私は理解しています。

建築家や設計事務所で家づくりをする違い

完全自由設計の注文住宅では、デザインコンセプト型の注文住宅と違い、より住む人のライフスタイルや価値観が現れる家づくりをすることが可能です。

そうした個人の生き方に合わせた家づくりを具現化するのが建築家や設計事務所の役割であり、デザインはもちろん建て主の要望を汲み取り、一歩踏み込んで、より住みやすくするための提案もしながら一緒に一つの家をつくりあげていきます。

完全自由設計の注文住宅では、土地の良し悪しに関係なく、法律と予算の兼ね合いがつけば、デザインコンセプト型の注文住宅では実現できない「地形を活かした家づくり」をすることも可能です。

個人事務所ではなく、大勢の建築家が所属している設計事務所の場合は、設計事務所の方針により、ある程度家づくりの方向性は定められますが、それでもデザインコンセプト型の注文住宅よりも自由に設計をして、価値観がしっかりと反映された家づくりをすることが可能です。

ハウスメーカーで建てる場合と建築家や設計事務所に依頼した場合の3つの具体的な違い

ハウスメーカーで家づくりを進める場合と、建築家や設計事務所と組んで家づくりを進める場合、大まかな家づくりの流れは同じですが、内容が違ったものになります。

建築家や設計事務所に依頼した場合との主な違いは下記の3点です

1:法律や予算が許す限り自由に家づくりができる
2:地形を活かした家づくりができる
3:ライフスタイルや価値観が現れた家づくりができる

繰り返しになりますが、建築家や設計事務所に依頼した場合は、法律や予算の許す限り自由に家づくりを行うことができます。

例えば一般的には木造建築が多いですが、RC造の家づくりをすることもできますし、魅力的な外観の家を建てたり、個性的で複雑な間取りの家を建てることもできます。

好みに合わせて家づくりができるので、例えばアントニガウディの建築が好きな方は、ガウディ建築のようなユニークさを保った家を建てていただくこともできます。

また、地形にあわせた家づくりをすることもできますので、たとえ変則的な土地であっても、逆に土地を活かした家づくりを進めることもできます。

さらに、住む人のライフスタイルや価値観を如実にあらわした家づくりをすることもできます。

つまり、建築家や設計事務所に依頼してつくられた家は、家そのもの自体が独自性の溢れるものになるので、住む土地の相性と、自然環境などを活かした土地に調和する家づくりをすることができます。

建築家や設計事務所の選び方のポイント

建築家や設計事務所を選ぶ際に気をつけたいのは、「家の個性(感性)」と「相性」です。

いくら完全自由設計の注文住宅といえども、依頼する建築家や設計事務所によってそれぞれのカラーがあります。そして家づくりを依頼して完成した注文住宅は、それらの住宅を依頼された建築家や設計事務所のカラーが色濃く現れます。

つまりいくら完全自由設計の注文住宅といっても、建築家や設計事務所の「家の個性(感性)」があなたの好みに合っていないと、心から納得した思い通りの住宅を建てることは難しいと思います。

もちろん建築家や設計事務所も、クライアントの意見を第一に考え、各クライアントごとにオリジナルの家になるように考え、検討し、設計しますが、ほとんどの場合、それぞれの建築家のカラーをベースとして、クライアントの意見を汲み取ります。

また建築家にも個性があり、万能ではないため、全く建築家の個性(感性)が活かされない住宅を建てようと思った場合、建築家によっては思い通りに設計できない場合もあります。

過去に手がけた住宅を参考にし、その作品に共通して流れる何かを気に言っていただいた上で依頼した場合、あなたの感性と合っていると考えられます。

ですから、そうした建築家や設計事務所に家づくりを依頼するといい家が建てられる可能性は高いでしょう。

また、依頼する際は建築家や設計事務所との「相性」もすごく大事です。広くいえば「感性」の中に「相性」も含まれるのでしょうが、ここではもっと深い部分のあなたと気が合うかどうかです。

建築家や設計事務所に家づくりを依頼した場合は、デザインコンセプト型の自由設計の注文住宅よりも、何度も何度も打ち合わせをし、話し合い、長い時間を共有しながら、家づくりが進められます。

家は建てて終わりではなく、建物を維持管理するためのメンテナンスも必要になります。その度に設計を手がけた建築家に相談することになります。

つまり、家づくりを依頼した建築家とは、一生ものの付き合いになることも多くあります。いくら「家の個性(感性)」が気に入ったとしても、「相性」が悪く、なかなか家のことを相談しづらい関係だった場合、長い期間で見た場合、あまりふさわしくない相手と言えると思います。

感性(家の個性)の合う建築家の見つけ方

建築家との相性については実際に会い、話をしてみるしか方法はありませんが、感性(家の個性)については、住宅雑誌やWEBサイト、住宅カタログなどで知ることができます。

住宅情報誌や住宅雑誌には、必ずどこの設計事務所や、どの建築家によって設計されたのかが記載されています。ですから住宅情報誌や住宅雑誌に掲載されている実例写真を参考に判断し、感性のあう建築家を探す方法もあります。

住宅情報誌や住宅雑誌には、建て主のこだわった点についても細かく記載されていることが多く、さらにどのようなテーマで家づくりがされたのかがわかるような内容になっているため、建築家探しだけではなく、家づくりの参考にもしていただけるかと思います。

WEBサイトで探す方法もいいかと思います。現在では実例写真を交えた実例カタログに近いような、建築家の建てた家を紹介する企業のWEBサイトも増えてきているので、様々と眺めて感性のあう建築家を探して見るのもいいと思います。

住宅カタログを見る場合は、「総合カタログ」「実例カタログ」「住宅商品カタログ」「技術カタログ」の4種類の住宅カタログのうち、実例カタログを見ていただくと実際に施工した住宅の写真やプランの特徴などが掲載されているので役に立つと思います。

設計事務所を含めた、住宅カタログは下記のリンクから一括して請求できるので、家づくりの参考にしてください。

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「木の家など自然素材にこだわった家にしたい」「趣味を兼ねた家づくりがしたい」「平屋住宅にしたい」など、家づくりに対するこだわりで住宅カタログを請求できるのが特徴です。また予算・テーマ・住宅会社で分けて住宅カタログを請求することもできます。

特に、カタログを請求することで、もれなくついてくる特典のはじめての家づくりノートは、家づくりを進める上で非常に参考になるかと思います。

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また、住宅カタログを利用した家づくりの方法については「無料で貰える住宅カタログを使いこなし賢く家を建てる6つのステップ」も合わせて参考にしてもらえば、より理想的な、納得のいく家づくりを進めてもらえると思います。

そのほか、家づくりの情報収集の方法については「家づくりで失敗しないための新築一戸建て注文住宅の情報を収集する6つの方法」も参考にしてください。

建築家や設計事務所に依頼する4つのメリット

それでは家づくりを建築家や設計事務所に依頼するメリットは一体どんなものがあるのでしょうか。

建築家や設計事務所に依頼するメリット1:家の設計以外も任せられる

建築家や設計事務所に家づくりを依頼する場合、一般的には設計依頼と同時に設計監理契約をします。

建築家や設計事務所によっては、契約の前にファーストプランを作成し、納得の行くものであった場合、設計・監理契約をし、具体的に細かく打ち合わせをし家づくりを進めていく場合もあります。

建築家や設計事務所と設計・監理契約を結ぶことで、建物が完成し引き渡しをするまで代理人として責任を持って家づくりの調整をしてくれます。

具体的な内容としては、土地探しの段階から設計、工事の施工を依頼する工務店の選定、見積もりの調整、工事の監理、建物が完成した後のメンテナンスに至るまで長期的に家づくりをサポートしてくれます。

※建築家や設計事務所は、あくまで設計をすることがメインの仕事となるので、工事については別途工務店と工事請負契約を結ぶ必要があります。ただし設計・監理契約をすることで、建物が完成するまで責任を持って工務店や不動産業者と細かい打ち合わせをし、折衝を繰り返しながら家づくりを進めていきます。

建築家や設計事務所に依頼するメリット2:完全自由設計の家づくりができる

家づくりを建築家や設計事務所に依頼する最大のメリットはやはり、法律と予算の許す限り、完全自由設計の家づくりができることでしょう。

建築家や設計事務所に依頼していただくと、細かな間取りから、素材、デザイン、インテリア、エクステリア(外構)に至るまで思い通りに設計し、家づくりを進めていただくことができます。

ですから、ただ住まう為だけの家じゃ物足りない、家に対して人一倍特別なこだわりを持つ方にとって、これ以上ないオリジナルの家づくりをすることができると思います。

建築家や設計事務所に依頼するメリット3:条件の悪い癖のある土地でも対応できる

建築家や設計事務所に依頼した場合、悪条件のクセのある土地においても柔軟な発想で家づくりを進めて頂くことができます。

つまり、大手中堅ハウスメーカーが手がけるデザインコンセプト型の注文住宅では建てられないような狭小地や、癖のある変形地においても柔軟に対応し悪条件を覆し家を建てることができます。

余談ですが、むしろそうした制約がある方が、設計のしがいがあり燃えるという一風変わった建築家もいます(私の知り合いです)。

※建築家は変わり者が多いです・・・私を含めてですが。

建築家や設計事務所に依頼するメリット4:予算のメリハリが可能

デザインコンセプト型の注文住宅の場合は、部分的にランクを落とすことでしか、予算の都合がつけられませんが、建築家や設計事務所に依頼した場合は、あらゆる面から予算の都合をつけることができます。

調和を保った素材を調達することができるため、予算内で抑えても部分的に安っぽい印象にはならず、きちんと全体的に統一されたデザインで落とし込むことができます。

つまり建築家や設計事務所に依頼すると、自由なデザインや要望を叶えられるのはもちろん、統一感をたもちながらもコストを抑えた家づくりを実現することができます。

建築家や設計事務所に依頼する6つのデメリット

続いて建築家や設計事務所に依頼する場合のデメリットについて話していきます。

建築家や設計事務所に依頼するデメリット1:お金がかかる

建築家や設計事務所に依頼した場合、デザインコンセプト型の注文住宅よりもお金がかかります。

理由としては、デザインコンセプト型の注文住宅の場合は、ある程度形が決まっているため、大量に資材を購入することで価格を安く抑えることができますが、完全自由設計の注文住宅の場合は、個別対応せざるをえず、大量に資材を仕入れることが出来ずスケールメリットを活かすことが出来ないからです。

建築家や設計事務所に依頼する場合の予算の目安としては最低ラインで見ても、2,500万円〜3,000万円程度は見込んでおいたほうが良いと思います。

ただし、建築家や設計事務所によっては低い価格帯でも十分に対応してもらえる場合もあり、建築家や設計事務所に依頼したからといって一概にお金がかかるとは言い切れないところもあります。

また、完全自由設計の注文住宅の場合、要望次第で自由に家づくりが進められるため、コストがかかりやすい傾向にあります。一般的に、設計の途中で家に対する要望はどんどん膨れ上がっていくため、結果的に最終的な金額が高くなってしまうことが多くあります。

デザインコンセプト型の注文住宅の場合は、広告宣伝費や人件費に多くの資金が投入され、それを回収するために各資材の価格に上乗せしたり、諸費用に含めることでコストのバランスを保っています。結果的にどちらに頼んでも変わらないか、もしくは建築家や設計事務所に依頼した方が安い場合もあります。

建築家や設計事務所に依頼するデメリット2:設計料が建物の10%から15%程度かかる

建築家や設計事務所に家づくりを依頼する場合は、「設計料」が建物工事費用の10%から15%程度発生します。

「設計料」とは、設計と工事管理を合わせた、建築家や設計事務所に依頼する場合にかかる家づくりの必要経費のことです。

つまり設計料には設計図書の作成、工事を依頼する工務店の選定、見積調整、建物の構造計算、工事の管理などの家づくりを行うための作業費用が含まれています。

そのため、建物の規模が大きく、複雑になればなるほどに設計料がそれに準じて変わり高くなります。

※もちろんデザインコンセプト型の注文住宅の場合も設計料が発生していますが、デザインコンセプト型の注文住宅の場合は「設計料」という名目ではなく、それぞれの資材費用に上乗せされていたり、諸費用に含まれたりしており積算をした本人にしかわかりづらくなっています。

建築家や設計事務所に依頼するデメリット3:家が完成するまでの期間が長い

建築家や設計事務所に依頼した場合、家が完成するまでの期間が長く、ほとんどの場合、最低でも1年程度はかかります。

理由としては、間取りはもちろん家の隅々に至るまで検討をして家づくりが進められるため、設計から始まり、竣工までの期間が長くなるからです。

さらに、建築家と工務店の相性が悪い場合は特に注意が必要で、なかなか思う通りに工事が進まない場合もあります。

建築家や設計事務所に依頼するデメリット4:家の個性(感性)や相性次第で納得のいく家づくりができるかが決まる

建築家は良くも悪くも個性が強い方が多く、それぞれが家づくりに対する強いこだわりを持っています。

そのため感性や建築家との相性次第で家づくりの方向性が決まってしまうこともあります。

家づくりにこだわりたいから、完全自由設計の注文住宅を選んだのにもかかわらず、建築家の勢いにおされてしまい、現実にはなかなか思い通りに家づくりが進まないこともあります。

それぞれの建築家や設計事務所はプロであるがゆえに、様々なこだわりを持っています。プロであるがゆえに様々な提案をしますが、それを最終的に採用するのか判断するのはあくまで建て主です。

ただ、相性が悪いとなかなかうまく話がまとまらないこともあります。そうした場合は注意が必要です。

建築家や設計事務所との家づくりは相性に左右されてしまうため、相性の悪い建築家だった場合、お互いが納得するまで話し合う時間を持つことができるかが大きなポイントとなります。

建築家や設計事務所に依頼するデメリット5:事前知識が必要になる

家づくりは知識がなくても建てられると言われていますが、私はそうは思いません。

矛盾しているようですが、確かに家づくりは知識のない状態でも建てることができます。ですが、それが本当に納得のいく家であるかどうかは別です。

本当にこだわり抜いた、オリジナルの家づくりをされたい場合は、やはり事前に最低限の家づくりの知識が必要になると思います。

理由としては、家づくりについて密にコミュニケーションを取るためです。経験上、やはり内容が理解できない相手と話している場合と、内容が理解できる相手と話している場合は、同じことを言っていても意見交換の質が違うと感じます。

例えば、普段の仕事でも、全く業界のことを知らない人に説明するのと、同じ業界で働いている人に説明するのとでは、同じことでも話す内容はもちろん、中身が違ってくると思います。

それと全く同じことが言え、やはり本当に納得のいく家づくりをするためには他人任せにせず、自らも進んで働きかけないとならないと感じます。

またある程度家づくりに関しての事前知識がないと、建て主が建てたい家ではなく、建築家が建てたい家になってしまう可能性もあります。

建築家や設計事務所に依頼するデメリット6:コスト管理が難しい

建築家や設計事務所に依頼した場合でも、予算を聞いたうえで予算内に収められるように家づくりは進められますが、完全自由設計であるがゆえに、打ち合わせの中で、こだわりたい部分がどんどん増えていき、結果的にはほとんどの場合で当初の予算をオーバーしてしまいます。

なかには、建築家に予算オーバーの原因を求める方がいらっしゃいますが、ほとんどの場合は建て主の要望が増えたことに原因があります。

もちろん建築家や設計事務所の中には、コスト管理が上手ではない方もいますが、全ての原因を建築家に求めるのはやはり間違っていると思います。

建築家や設計事務所と家づくりを進める場合は、予算は組むけれども、オーバーするだろうくらいの気構えで家づくりにのぞむことが大事です。

建築家や設計事務所に依頼するときの予算の注意点

建築家や設計事務所に依頼した際は、設計料を支払う必要があります。設計料については家の10%から15%程度の費用が相場で、一般的にはこれには作業代をはじめ、給料など、建築家や設計事務所が設計監理するために使われる経費が含まれています。

そのため、あまりに予算が足らず、割りに合わない報酬ですと建築家や設計事務所によっては断られることもあります。

建築家や設計事務所によりますが、坪でいうとおよそ70万円くらいからが相場となると思います。もちろん条件によっては、それより安くても依頼が可能な場合もありますが、おおよそそれくらいの金額を見ておくと良いと思います。

※坪単価はあくまで結果としての目安数字にしかならないのでその点はご了承下さい。坪単価について詳しくは「注文住宅の家づくりで坪単価があてにならない5つの理由と3つの注意点」や「注文住宅を安く建てる見積もりの取り方と、いい家を安く建てる4つの条件」を参考にされてください。

また、設計段階での工事金額は曖昧なものとなり、建築家のこだわりと家づくりを希望される方の家づくりのこだわり次第でコストがアップします。

どうしても予算内で抑えたい場合は下記の記事を読んで頂き家づくりの参考にされてください。

家を安く建てるコツ1:「家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い

家を安く建てるコツ2:「家を安く建てる方法とコストダウンの7つの基本

家を安く建てるコツ3:「住宅の値引き相場額と、注文住宅を300万円安く建てる方法

建築家や設計事務所に依頼するときの家づくりにかかる費用

家づくりにかかる費用の内訳は「1:本体工事費」「2:付帯工事費」「3:諸費用」に分けられますが、建築家や設計事務所に依頼した場合、これにプラス10%から15%程度の「設計料」が加算されます。

例えば仮に設計料を10%とした場合、3,000万円の住宅を建てる場合は、300万円が設計料としてかかる形になり、4,000万円の住宅であれば400万円の設計料がプラスされる計算になります。

依頼する建築家や設計事務所によって、設計料には幅があり、経験や建てる家の構造などの複雑さによって設計料の割合が変わってきます。

家づくりにかかるそれぞれの費用とは

家づくりには、本体工事費、付帯工事費、諸費用がかかりますが、それぞれの内容と費用の割合は次の通りです。

本体工事費とは、建物本体にかかる費用のことを指します。本体工事費は総費用の70%から80%ほどかかる費用です。建物本体にかかる費用なので庭や駐車場を始めアプローチ部分は本体工事費に含まれません。

付帯工事費とは、建物本体以外にかかる費用のことを言います。付帯工事費は家づくりの総費用の15%から20%程度かかります。外構部分にあたる庭やフェンスアプローチを含み、また屋外給排水工事などが含まれます。

諸費用とは、住宅ローン手数料をはじめ登記費用、火災保険をはじめとした各種保険費用、不動産取得税や固定資産税などが含まれます。諸費用は基本的には現金払いとなりますのできちんと予算を確保しておくことが必要となります。

また諸費用には新築に導入するカーテンや家電などの家財道具も含まれます。さらに引っ越し費用や、家が完成するまでに住む費用が含まれることもあり、はっきりと金額を示すことができず、人によって幅があります。

諸費用は総費用のおよそ5%から10%程度必要になりますが、家財道具などのこだわりによってはそれ以上になる場合もあります。

その他、家づくりに関する費用の内訳について詳しくは「注文住宅にかかる総費用の内訳について、どこよりも詳しく教えます」を参考にしてください。

造作棚を希望している場合や、キャットウォークや薪ストーブなど、家の各所にこだわりたい場合の費用については「こだわりの家づくりの26のオプションとそれにかかる費用と特徴」を参考にしてください。

設計料を払うタイミング

建築家や設計事務所に家づくりを依頼すると、設計料を支払う必要がありますが、設計料を支払うタイミングや支払い回数、それぞれの回数で支払う設計料の割合は違います。

それぞれに違いはあるものの通常は3回から5回に分けて設計料を支払うケースがほとんどです。

一般的には、契約時に20%の設計料を支払い、基本設計完了時の段階で20%、実施設計後の確認申請時に20%、工務店に依頼し着工後に20%、引き渡し時に20%と分けて支払います。

ただし、建築家や設計事務所によっては、支払い条件や支払い回数は違うのでどのタイミングで支払いが必要になるのかを確認する必要があります。

1回目の設計料を支払うタイミング:設計契約時

一般的に設計契約時に設計料の20パーセント程度を支払います。

2回目の設計料を支払うタイミング:基本設計完了時

基本設計とは、家づくりの設計コンセプトや間取りを決めることで、家づくりの方向性を決めていく設計のことを言います。

基本設計は初回打ち合わせやヒアリングで聞いた家づくりの要望(基本計画)をもとにつくられ、建主の家づくりのこだわりを設計図に落とし込んでいきます。

基本設計が完了した時点でおよそ20パーセント程度の設計料を支払う必要があります。

3回目の設計料を支払うタイミング:実施設計後の確認申請時

実施設計とは、工務店に依頼し、施工業社である工務店が工事をするために必要な設計図を作成することを言います。

実施設計は基本設計をもとにつくられ、床や壁、建具の仕様、キッチンなどの住宅設備機器を決めていきます。

実施設計後に、実施設計された家が建築基準法をはじめとした関連法きに適合しているのか、役所や指定検査機関に確認申請書を提出し審査をしてもらう必要がありますが、この時点で設計料の20%程度を支払う必要があります。

4回目の設計料を支払うタイミング:工事着工後

実施設計後は、工務店に工事を依頼し、着工します。

建築家や設計事務所は、きちんと図面通りに工事が進んでいるのかを確認しながら工事を進めていき、問題があれば建て主に確認し、連携を取りながら、問題解決にあたりますが、工事の進み具合を見て設計料の20パーセント程度を支払います。

5回目の設計料を支払うタイミング:引き渡し時

全ての工事が完了し、竣工検査やそれに関連する手直しが完了した時点で引き渡しとなりますが、この時点で最後の20%を支払う必要があります。

設計料は現金で支払う必要があるのか?

設計料は必ずしも現金で支払う必要はありません。

住宅ローンに設計料を組み込むこともできます。ただし、契約の内容次第では、住宅ローンが実行される前に現金を支払う必要があることもあります。

また、金融機関によっては住宅ローンに組み込むことができない場合もあるので、設計料を住宅ローンに組み込むことができるのか、必ず事前に確認してください。

設計料を住宅ローンに組み込むことができない場合は現金で支払う必要があります。

※住宅ローンの注意点

住宅ローンは、通常、建物引き渡し時に降ります。住宅ローンの分割実行により、引き渡し前に融資を実行することも可能ですが、住宅ローンの分割実行を選んだ場合は、住宅ローンが融資された時点から支払う必要がある上、金利が高くなります。住宅ローンの分割実行について、詳しくは「つなぎ融資など土地の売買に関する疑問点」をご覧ください。

※建築家や設計事務所に家づくりを依頼した場合は、デザインコンセプト型の注文住宅よりも建物が完成するまでの期間が長くかかります。融資実行のタイミングについては十分注意していください。

建築家や設計事務所に依頼し、家づくりの途中で設計を中止する場合

もしなんらかのトラブルなどが起きて、建て主の都合で設計を中止する場合は、契約に基づき、中止以前の設計・管理に対する作業量を支払うことになっています。

建築家や設計事務所に依頼し、家づくりをする際のお金の注意点

建築家や設計事務所に依頼した際のお金のトラブルを防ぐためには、必ず設計依頼時の設計管理委託契約書の内容を確認してから契約するようにしてください。

重要事項説明書の中で、作業内容をはじめ、作業期間、報酬額、支払いの方法が明記してあり、説明の上、書面を渡す必要があります。

契約書の内容を確認せずに話を進めると、後にトラブルになることも考えられますので少しでも疑問点があれば、しっかりと確認をするようにしてください。

建築家や設計事務所の仕事は「設計」と「管理」

建築家や設計事務所の仕事を大雑把に表すとすると、建築家や設計事務所の仕事は、「設計」と「管理」に分けられており、通して行われますが、それぞれが別々の業務となっています。

「設計」の仕事とは設計図書が完成するまでの仕事のことで、仕様書、見積書、確認申請書副本が含まれます。

通常は建築確認申請取得までが「設計」に含まれ、どの業者に工事を依頼(発注)しても着工できる状態まで、設計図書が揃った時点で「設計」の仕事が完了します。

「管理」の仕事とは、着工し竣工(家が完成)するまで、図面通りに工事が進んでいるのかを管理する業務のことです。

工事に取り掛かる際には、設計の段階ではわからなかった細かい調整をする必要があり、図面通りに工事が進んでいるのかを確認する必要があります。

工事をする際に、なかには施工業社である工務店との折衝を繰り返さなければならない場面も出てきます。その際、代理人として建て主と工務店の間に立って問題が解決するよう、解決に導くことが「管理」の仕事です。

建築家や設計事務所に依頼する場合の家づくりの流れ

建築家や設計事務所に依頼して家づくりをする場合と、デザインコンセプト型の住宅で家づくりをする場合は家づくりの流れ(内容)が違います。

建築家や設計事務所に家づくりを依頼した場合、設計を書き起こす「設計期間」と、工務店に依頼し家づくりを管理する「施工期間」に分けられます。

こだわりや家の規模により家が完成するまでの期間は変わりますが、全体を通しての期間はおよそ1年程度を見ておくと良いでしょう。

建築家や設計事務所に家づくりを依頼するとおよそ次のような流れで話が進みます。

▼設計期間(約半年)

建築家や設計事務所に依頼した場合の家づくりの流れ1:基本計画(打ち合わせとファーストプランの作成)

まず、初回打ち合わせを行います。打ち合わせでは建主の要望を会話の中から汲み取り(ヒアリング)、基本設計前のプランを作成します。

この段階の作業は「基本計画」とも呼ばれ、家づくりに関して共通の認識を持ち同じ方向性で進めるための、簡単な骨格を作っていく大事な作業となります。

基本計画では敷地の条件や家づくりの要望、予算などを確認しながら丁寧にプランを練り、理想とする形に近づけるよう進められていきます。

建設予定地が決まっている場合は、現地に赴き、周辺環境のチェックを必ずしてから役所調査をし、ファーストプランを作成します。地盤調査をはじめ測量が必要な場合はこの段階で行います。

ファーストプランの提示については無料で行う建築家や設計事務所もありますが、ファーストプランの提示が無料でも、2回目以降のプランの提示は有料となる場合がほとんどで、何度も何度も打ち合わせを重ね話し合いズレを修正していきます。

※プラン契約の場合は概ね10万円程度が相場です。

またこの時、ファーストプラン以降は設計委託契約をしなければ、それ以上は話を進められない建築家や設計事務所もあります。

納得のいくプランが出来たら、次の基本設計に移ります。

※基本計画から基本設計の段階で家づくりは決まるので、この工程はとても大切な工程になります。また、厳密にいえばファーストプランの作成も、基本設計には含まれます。

建築家や設計事務所に依頼した場合の家づくりの流れ2:基本設計

基本設計とは、建物の平面計画をはじめ、建物の構造などを含めた家づくりの設計を進めて行くための作業のことを言います。

基本設計では基本計画で建てたプランをもとに、より具体的なプランについて話し合って行きます。配置図、平面図、立面図、断面図などでしっかりと確認し、より中身のある具体的なプランに練り上げて行きます。

住宅設備機器や内外装などについて選定するタイミングは、建築家や設計事務所によって違い、基本設計の段階で決める場合もあれば、次の実施設計の段階で決める場合もあります。

そのため、この時に初回見積もりとして概算予算が求められる場合もあれば、そうでない場合もあります。

また、基本設計の段階まで進むと、ほとんどの場合、設計管理委託契約をしなければ話を進めることができません。

初回見積もりをもらったら確認べきこと

基本設計後の初回見積もりでは主に以下の点に着目して確認してください。

1:見積書

繰り返しになりますが、家づくりの見積書に描かれる項目として「1:本体工事費」「2:付帯工事費」「3:諸費用」の項目があります。

本体工事費とは建物本体にかかる費用で、建物の基礎をはじめ、骨組み、内外装、屋根、設備などにかかる費用で全体の70%から80%ほどの費用をしめる費用のことです。

付帯工事費とは建物本体以外にかかる費用で、外構工事にかかる費用のことを言います。庭をはじめ駐車場や玄関アプローチなどは付帯工事費に含まれ、おおよそ総費用の15%から20%を占める費用です。

諸費用とは上記2つの項目以外にかかる諸費用のことで、基本的に現金払いする費用のことを指します。諸費用には住宅ローン手数料をはじめとした建物登記費用、不動産取得税、地盤調査費、建築確認申請費などがあり、家づくりの総費用のおよそ5%から10%ほどを占める費用になります。

気をつけたいのは初回見積もりはあくまで概算費用となるので、実際に工事をする場合は費用が膨らむことが多いということです。

ただし、初回見積もりで提示された金額がのちにいきてくるので不明点などがあった場合は、確認するようにしてください。

2:プラン

プランの内容もしっかり確認してください。

打ち合わせのプラン通りになっているのかどうかは特にチェックしてください。

完全自由設計の注文住宅は要望次第で予算がすぐに跳ね上がるため、予算オーバーしてしまうことが多いですが、その場合は建築家や設計事務所としっかりと話し合い、予算を削るプランを練ってください。

3:仕様書(仕上げ表)

仕様書(仕上げ表)には、建物に使われる内外装材や住宅設備機器などの内容が一覧で記載されています。

指定した建材や設備機器がしっかりと記載されていることを確認してください。仕様書で指定されている資材や設備機器を後で変更した場合、費用に大きく影響してくるからです。

建築家や設計事務所に依頼した場合の家づくりの流れ3:実施設計(確認申請・本見積もり・工事請負契約)

実施設計とは、基本設計をもとに施工業社である工務店が実際に工事を行うための設計図面を作成する設計段階のことを言います。

実施設計では、さらに細かく構造計画を行い、住宅設備機器に至ってはショールームに足を運ぶなどをし、具体的な住宅設備計画を練り上げて行きます。

建築家や設計事務所によっては、実施設計の段階でパース(建物完成予想図)の作成や建物模型を作成します。

実施設計は着工前の最終確認にあたるので、漏れがないか徹底的に洗い出し、より具体的に建物の形状をはじめ、間取りや住宅設備機器、素材や色などの具体的な仕上げを決定し、着工前まで細かく調整して行きます。

実施設計後に確認申請をし、実施設計された図面が、建築基準法をはじめとした関連法規に適合しているのかを指定検査機関に確認申請書を提出し審査をしてもらいます。

審査を通過すると「確認済証」が発行されるので、この段階まで来てようやく着工できる準備が整う形になります。

この時、確認申請と並行して、設計事務所や建築家が指定する複数の業者に競争入札という形式で見積もり依頼を投げます。

予算がオーバーした場合、建築家や設計事務所が建て主と工務店の間に入り、予算と工事費の調整を行い予算内にきちんと収まるように調整します。

ここで最終的に提示された金額が「本見積もり」となり、実際の家づくりに必要となる金額です。

納得できる金額だった場合、今度は建て主と実際に工事を請け負う工務店との間に工事請負契約を結び工事を進めて行く形になります。

施工業社の工務店と契約を結ぶ際の注意点と確認すべきこと(施工者)

建築家や設計事務所に家づくりを依頼した場合、設計事務所とは設計管理委託契約を結ぶ必要がありますが、それとは別に工事を請け負う工務店との間に、工事請負契約を結ぶ必要があります。

工事請負契約は、間に建築家や建築設計事務所が介在しているものの、契約自体は建て主と工事を請け負う工務店が直接結ぶ契約となるため契約の際はいくつか注意が必要となります。

建築家や設計事務所の業務の内容は「設計」と「管理」ですが、管理業務の一部に施工業社選定に関する助言、見積もり徴収、工事請負契約への助言も含まれています。

そのため、工事請負契約は建築家や設計事務所主導で施工を手がける工務店を推薦し進められる場合が多いですが、トラブルを避けるためにも、全てを任せるのではなくご自身でしっかりとチェックをすることが必要となります。

建築家や設計事務所から施工者を進められた場合は、選定した明確な理由をしっかりと受けてから、あくまで建主が納得した業者を選ぶようにしてください。

主な注意点は下記の通りとなるので参考にしてください。

1:契約書についての注意点

工事を請け負う工務店との契約書で確認すべきことは、第一に請負金額の総額です。金額が合っているのかをしっかりと確認してください。

さらに税額、支払期限をはじめ、支払いのタイミングや、引き渡しの時期についてもきちんと確認してください。

しっかりと確認せずに契約してしまうとトラブルの原因となりますので注意してください。

2:契約約款(けいやくやっかん)についての注意点

契約約款とは契約に関する取り決めがまとめられた非常に大事な書類です。

契約約款には建物の保証期間をはじめ、引き渡しが遅れた際の違約金、工期が遅れた場合のアフターフォロー、さらには工事が中断した場合の完成保証などの取り決めに関して記載されています。

その中でもとりわけ重要なチェックすべき項目は、図面通りに施行されていない場合や、材料に生じた損害などのやり直し費用に関する項目です。

一般的にはこれらに関する事項は工事請負業社が負担する取り決めになっていますが、建主が負担を強いられる契約となっている場合は非常に注意が必要となります。

ここでは、施行会社に有利な条件になっていないかをしっかりとチェックしてください。契約約款の内容を理解するのが難しい場合は、第三者である専門家の意見を必ずもらうようにしてください。

3:見積書についての注意点

見積書がきちんと打ち合わせ通りの内容になっているのかをしっかりとチェックしてください。

一般的には見積書のはじめに総工事費用が記され、工事の内容と工事費の内訳、明細書と流れていきますが、それぞれの内訳の表記については、決まった形がなく、施工業社によって異なっています。

明細書には、壁や床などの部位ごとにどのような素材を使用するのかをはじめ、それぞれの資材の単価と総額が記載されていますが、間違いがないのか設計図書と照らし合わせながらチェックを行うようにしていってください。

実施設計後の見積もりは、実際に家を建てるのに必要となる費用「本見積もり」となるため、間違いがないよう、不明点があればできるだけ詳しく聞くようにしてください。

例えば「◯◯一式」のような表記の場合は「一式」の中身にはどのようなものが含まれているのかなど厳しくチェックしてください。

4:設計図書についての注意点

設計図書とは、工事をするために必要となる図書のことをさし、つまり設計の内容を示す書類のことを言います。

設計図書には、敷地図、外構図、平面図、立面図、断面図、展開図、仕様書(仕上表)などが含まれています。

施工業社である工務店は設計図書の内容をもとに工事を進めていく形になるので、設計図書の内容がきちんと打ち合わせ通りに記載されているのか最終チェックをしてください。

▼施工期間(約半年)

建築家や設計事務所に依頼した場合の家づくりの流れ4:工事(着工)(設計管理)

工務店との間で工事請負契約を結んだら、工事が始まります。

これまでの設計業務が終わり、ここからは、建築家や設計事務所が設計図面通りに工事が進んでいるのかをチェックしていく管理の工程に移ります。

建築家や設計事務所が設計した図面をきちんとつくり上げるためには管理業務が必ず必要となり、工事中は、建築家が現場に足を運び、図面通りにきちんと家づくりが進められているのか、間違いがないか厳しくチェックしていきます。

工事の段階で、図面ではわからなかった問題が生じた場合、建て主に確認の上、建築家自らが問題解決にあたります。

各工程ごとの検査にも建築家が必ず立会い、代理人として家が完成するまで施工者の管理にあたります。

この時、設計段階ではわからなかった工事をしなければわからない詳細箇所の打ち合わせを、建主と行いながら工事を進めていきます。

建築家や設計事務所に依頼した場合の家づくりの流れ5:引き渡し(竣工検査)

全ての工事が完了したら、引き渡し前に竣工検査を行い引き渡しとなります。

引き渡し時の注意点

引き渡し前の竣工検査では建築家立ち会いのもと以下の点に注意してください。

▼竣工検査で主にチェックする点

1:設計図面の通りに仕上がっているか
2:仕様書に記載されている通りに設備が備え付けられているか
3:工事の不具合をはじめ、内外装に傷や汚れがないか

上記の不具合が見つかった場合や、図面通りに施工できていない場合は、指摘事項の手直しを行い、手直しが完了した時点で建物が引き渡されることとなります。

工事請負契約時の契約約款に、施工不備が見つかった時の費用負担について書かれていますので、契約の時点できちんと確認してください。

また、引き渡し時には竣工引渡書類を受領します。

竣工引渡書類には、引き渡し書、建築確認申請書副本、中間合格証及び検査済証、下請け業社一覧表、各種取扱説明書、各種保証書、アフターサービス基準、工事管理報告書及び、工事管理写真、竣工図面などが含まれます。

家に問題が起きたことに関する書類も含まれているため、大切に保管しておいてください。

最後に、引き渡しの段階で工事の残金を支払う必要があります。一般的にはここで、住宅ローンが金融機関から振り込まれ精算される形になります。

ただし住宅ローンは建物の登記をしていないと降りないので、登記手続きが遅れてしまうと、竣工しても金融機関から住宅ローンが降りず、建物の引き渡しが遅れる場合もあるので注意してください。

各工程ごとの家づくりのお金を支払うタイミングについては「注文住宅のお金の支払い時期と予算の相場について」をご覧ください。

※住宅ローンについては「住宅ローンの選び方と知ってトクする住宅ローンの8つのポイントと種類」などをご覧ください。

完成後のメンテナンスについての注意点

建築家や設計事務所に依頼した家はどれも個性あふれる住宅になる反面、長年住んだ場合に建物により不具合が起きる箇所が違います。

住み始めてから不具合が起きる原因は大きく行って2つに分かれます。

1:そもそもの設計や建物に使われている素材の問題
2:建主が定期的なメンテナンスを怠ったことによる劣化

設計や建物に使われている素材により建物の劣化の進行具合は変わります。例えば漆喰は長い期間をかけて強度を増して行きますが、一般的な珪藻土の壁は使われている素材により20年も経たずに劣化しポロポロと崩れ落ちるものもあります。

※珪藻土はそのままでは固まらないため、中に特殊な接着剤が混ぜられていることがほとんどで、それが原因でシックハウスの原因となったりもするので、どのような珪藻土が使われているのかをよく確認する必要があります。

建物の設計によっては、劣化しやすい場所、不具合が起こりそうな場所が変わります。例えばドーマーを採用した場合は凹凸部分に枯葉などのゴミがたまり、腐敗し劣化しやすくなるなどのデメリットがあります。

建て主が建物の定期的なメンテナンスを怠った時も、思わぬところから建物内部へ水が侵入し、劣化を招く原因ともなります。ですから建物お手入れ方法や保守点検作業はしっかりと確認するようにしてください。

※ドーマーをはじめ、建物の各部名称と間取りを採用する上での注意点については「注文住宅の間取りとマイホームプランで知っておきたい建物の各部名称と役割」も合わせて参考にしてください。

また、住宅設備機器については、機械が使用されている為いずれは壊れます。

しかし定期的にメンテナンスをすることで寿命を伸ばすことができます。ですから完成後もしっかりと家と向き合い、不具合がないかどうか定期的に確認し、不具合が出た箇所については、そのままにせずできるだけ早めに対処をするなどをしていってください。

住宅の保証期間について

建築家や設計事務所で建てた家でも、ハウスメーカーや工務店が建てた家でも、一般的な住宅には建物完成後の保証として瑕疵担保責任保証が定められています。

ただし、瑕疵担保責任保証は、「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」において責任を負うものであり、内装や外装などは瑕疵担保責任の対象外となっています。

保証期間は引き渡しから10年間となっており、その間の瑕疵(かし)については売主や請負主は修理しなければならないこととされています。

責任を追求できる期間は、瑕疵を発見した日から1年間と定められており、自然劣化等の不具合は保証されないなどいくつか注意が必要な保証内容となっています。

瑕疵担保保証については「瑕疵担保責任と住宅瑕疵担保履行法の内容、それに注意すべきこと」に詳しく書いておりますので参考にしてください。

まとめ:建築家や設計事務所で理想の家づくりをするポイント

今回の記事では、まず自由設計の注文住宅には2つあり、それぞれに違いがあることについてお話ししました。

それぞれのメリットやデメリットをお話しした上で、建築家や設計事務所に依頼し、家づくりをするメリットやデメリットをはじめ、予算の話や依頼する上での注意点、家づくりの流れ、引き渡し時の注意点、メンテナンスに関することなどをお伝えしてきました。

それらを総合して、建築家や設計事務所で家を建てる場合と、デザインコンセプト型の注文住宅で家を建てる場合の違いについて大方網羅できていると思います。

ですからどのような方向性で家づくりを進めていくのか迷われている方にとっては参考にしていただけるような内容となっていると思います。

もちろんどちらが良くてどちらが悪いというわけではありません。どちらの注文住宅で家づくりを選択されるのかは完全に好みであり、一概にどちらが優れた住宅だというわけではありません。

今回の記事の狙いは、違いを知ることで納得のいく家づくりをして頂くことにあります。

家はほとんどの方にとって一生に一度の高い買い物ですから、違いをはっきりと理解した上で納得のいく家づくりをされてください。

予算内でいい家を安く建てるために知っておいて欲しいこと

予算内で、いい家を安く建てるために知っておいて欲しいことが、実は、3つあります。

ここでは、いい家を安く建てるために知っておきたい3つの記事をご紹介します。

1:予算内でいい家を建てるための7つの基本

注文住宅では、ほとんどの場合、当初の予算をオーバーします。

予算をオーバーする原因は様々ですが、打ち合わせを重ね、プランを進めてしまうと、一度プランを白紙に戻さないと引き返すことができなくなるなど、後戻りができなくなってしまうケースもあります。

もちろんプランを白紙に戻した際は、余計なコストがかかることは言うまでもありません

ですから、家を検討しはじめた、早い段階で依頼する側が、最低限の家を安く建てるための基本やコツを知っておき、しっかりとコストをコントロールをする必要があります。

また、何も知らずに依頼先の住宅会社と契約をかわしてしまうと、依頼先の住宅会社では希望している家が建てられないということが、家づくりのプランを進めてからはじめてわかり、納得しないままに家づくりを進めなくてはならないこともあるので、契約をする前にベースとして持っておきたい知識があります。

下記の記事では、家の価格の決まり方の話や、家のコストを決定づける要因やコストダウンの基本などについてお話ししていますので、参考にしていただき、予算内でいい家を安く建ててください。

>>>家を安く建てる方法とコストダウンの7つの基本

2:注文住宅を予算内におさめるために知っておきたい家の形の話

家には、お金がかかる家の形と、お金がかからない家の形があります。

また家の形次第で、間取りに制限がかかるなど、暮らしやすさが大きく左右されたり、長期間住むことで建物がダメージを受ける部分が違うためメンテナンスにかかる費用(維持費用)が変わってきたり、家の形によるメリットやデメリットが少なからずあります。

特に角の多い家は、注意が必要で、角が一箇所増えるにつれて、見積もり金額に10万円から20万円の金額差が生まれます。

下記の記事では、お金のかかる家とお金のかからない家の形の違いについてお伝えすると同時に、どのような家の形はコストが上がるかなどの例も載せておきますので、注文住宅で家づくりを検討しはじめたら、長い目で、家の形にも注意して家づくりを進めていくことをお勧めします。

家の形については下記の記事を参考にしてください。

>>>家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い

3:無料でもらえる住宅カタログを使って理想の家を建てる方法

注文住宅での、家づくりは情報を集めるところからスタートします。

そして、最終的に、いい家を建てられるかどうかの大きな分かれ目は、依頼先選びで決まると言っても過言ではありません。

実際、同じようなプランでも、依頼先によって見積もり金額に違いが生まれますし、予算の違いだけではなく、同じ要望でも依頼先次第で提案されるプランも違ったり、できることやできないことも違い、さらには工事の良し悪しも変わってきます。

だからこそ、失敗のない注文住宅を建てる上では、各社をしっかりと比較し、しっかりと検討してから依頼先を決める必要があります。

依頼先選びで、各社を比較検討をするためには、住宅カタログを利用すると便利ですが、各社のカタログを読み解く上で、押さえておきたいポイントなどがあります。

下記の記事では、無料で住宅カタログを取り寄せて、住宅カタログの見るべきポイントや、押さえたいポイント、住宅カタログを使いこなして賢く家を建てるポイントなどについて書いておりますのでぜひ、参考にして家づくりを進めていってください。

>>>無料で貰える住宅カタログを使いこなし賢く家を建てる6つのステップ

以上、参考にして家づくりを進めてください。

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▼どちらの注文住宅にしようか悩んでいる場合

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