これはまた面白いデザインだと思う。
砂時計と言えば、その中央が小さくくびれたガラス瓶の中で流れ落ちる砂がとても印象的。その砂時計の中を流れる砂がそのまま静止したまま取り出されたかのような非常に面白いデザインのコーヒーテーブルがあります。
この砂時計の砂をモチーフにしたコーヒーテーブルは、人々にもたらされる様々な「体験」をデザインすることをテーマに、空間、家具、プロダクトなどの提案を行なう小泉忍氏の作品です。
上の写真がその噂のコーヒーテーブル。
ピンク色の点線はもともとあったと思われる砂時計の瓶の形を縁取っています。今、まさに砂が少量ずつくびれを通過し、重力により管の下部へと落下していっています。
このピンク色の線がなくなるとどうなるのか・・・
こうなります。本当に砂時計の中身の砂だけがそっと取り出され、固まり、時間が静止してしまったかのような雰囲気の作品となっています。
ちなみに砂時計は、ヨーロッパにおいては死の象徴的シンボルであり墓石の図柄として用いられることがよくあるそうです。
砂時計の上から下に落ちる砂は、命の刻限が次第に減っていくことへの暗示とされているようです。
斜め上からよく見ると、なんとコーヒーテーブルの中央部分がくぼんでいることがわかります。本物の砂時計も、上から下に流れ落ちる時に中央部分にへこみがあらわれますがそれを見事に表現していると言ってもよいでしょう。
写真をアップするとこんな感じです。中央部分がかすかにへこんでいることがよくわかります。この中央部分から下に砂が流れ落ちている・・・ということをここで表現しています。
それにしても、ここまで詳細に表現するとは・・・驚きです。
こちらはくびれを流れ落ちる管の部分をアップした写真。
公式ホームページをみると、素材は砂・エポキシ樹脂・ポリスチレン・アクリル・木工とあります。
このコーヒーテーブルの上にコーヒーカップを置くとこんな感じに。これはこれで面白いと思いませんか。
少し遠くからみた砂時計のコーヒーテーブル。
こうして改めてみてみても、本当に流れ落ちる砂をそのままぱっくり取り出したかのようにみえるデザインとなっています。
中央部分のへこみに代表されるよう、その形自体は実用的とは思えず普段使いには向かないかもしれませんが、デザインとしては非常に面白いデザインのひとつだと思います。
▼参考:
moment, Works, Shinobu Koizumi(http://www.shinobu-koizumi.com/japanese/works/moment.html)