戸建てとマンションどちらが得なのかは、昔からある論争の一つです。
今回の記事ではよくある戸建てとマンション論争に終止符を打つべく、それぞれの特徴について解説していきたいと思います。
Contents
戸建てとマンションの違いは何?
戸建ては、独立した一棟の建物に住まいを構えるタイプの住居形式のことを言います。
それに対して、マンションとは集合住宅を指し一棟の建物内に複数の世帯が居住空間を棲み分けて暮らし、マンションに住む複数の世帯で共同で管理する住宅のことを言います。
戸建てとマンションはこの違いがあり、この2つの違いがそのまま特徴やメリット・デメリットに関係してきます。
戸建ての特徴
戸建ての特徴をまとめると下記の通りです。
【戸建ての特徴】
1:管理費の支払いが必要ない
2:修繕費用は計画的に蓄えておく必要がある
3:間取りを自由に決められる
4:自由に改修できる
5:音を気にせず暮らせる
6:通風をよくしやすく換気しやすい
7:明るい家にしやすい
8:中古住宅は安く購入できる
9:土地が個人の資産になる
10:ゴミ出しの時間が決められている
戸建てでは、以上で挙げた特徴がそのまま購入する上でのメリットとデメリットに関係してきます。
戸建てのメリットとデメリットについて
ここからは戸建てのそれぞれの特徴について詳しく解説していきます。
1:管理費の支払いが必要ない
まず、戸建てではマンションのような「管理費」の支払いは必要ありません。
マンションは、共同住宅となるのでマンションに住む者同士で毎月一定のお金を出しあい積み立てていく「修繕積立金」が必要になりますが、そうした管理費の支払いが戸建てでは必要ありません。
マンションではそれぞれのマンションの管理組合で決められたルールを守る必要があったり、大規模なメンテナンスや修繕に備えて住宅取得金とは別に「修繕積立金」を支払う必要があります。
つまりマンションに住む人みんなでお金を出し合って、マンションを守っていく必要があります。
マンションは1つの建物の中に何世帯もの家族が住まう「共同住宅」ですから、住宅をそこに住むもの同士が維持管理していく必要があり、そのために必要となるお金を毎月積み立てていく必要があるのです。
一方で戸建ては、マンションのように区分ごとに分けて住居スペースを所有しているわけではありませんから、管理組合もなく「修繕積立金」といった毎月一定の金額を支払う必要がありません。
2:修繕費用は計画的に蓄えておく必要がある
もちろん、戸建てでもメンテナンスに備えて修繕費用を確保しておく必要があります。
一般的な戸建てでは、およそ30年で600万円ほどの修繕費用が必要になると言われています。
内訳としては「屋根」や「外壁塗装」、その他建物の傷んできた箇所を直すための費用です。
ただマンションと違い戸建てでは、独自の判断で見積もりを取り、好きな会社を選びメンテナンスをしてもらうことができるため、工夫次第で費用を安くおさえることが出来ます。
※ただし、ハウスメーカーなどに依頼していいると、ハウスメーカーの傘下にある会社でしかメンテナンスができないという縛りが発生するケースもありますので注意が必要です。
3:間取りを自由に決められる
新築の場合で戸建てを建てる場合は、自由に間取りを決めることが出来ます。
土地探しから始まり、住宅会社、間取り、設備仕様に至るまで自分の好きなようにこだわりを持って家づくりを進めることができるのが戸建ての大きな特徴の一つです。
戸建てでは採光のとり方、壁の種類、床材の種類、住宅設備機器に何を使うのか、それぞれの部屋の広さをどれくらいに取るのかまで、自由に好きなように選んでいくことができるので、家づくりをする楽しみがあります。
もちろん、それぞれの住宅会社の設計士と相談しながら家を建てていく必要があるので、家づくりに関する知識がない方でも多少面倒に感じることはあっても家を建てることが出来ます。
4:自由に改修できる
リフォームやリノベーション、さらには家の建て替えに至るまで、そこに住む人の意思で全てを決めることが出来ます。
マンションの場合は管理組合を通して決定していかなければならないため、スピード感はもちろん、1人や単世帯の意思だけでは決めることが出来ません。
5:音を気にせず暮らせる
戸建ては独立した棟になり部屋が隣り合っていないため、音が外に漏れにくく、また聞こえにくいという特徴があります。
もちろん立地や周辺の環境によっても変わってくることも多く、例えば、住宅密集地では、ある程度隣家を気にする必要はありますが、生活音はマンションで暮らすよりも聞こえてこないことが普通です。
マンションの場合は、どんなに防音性が高められていたとしても、完全に音や振動を塞ぐことが出来ないことも多く、他者の生活音が気になることが多いですが、戸建てでは他者の生活音が気にならないことが多い特徴があります。
6:通風をよくしやすく換気しやすい
戸建ては建物そのものが独立しているため、家の中の風通しが良い家にすることが出来ます。
例えば、南向きの玄関から風が入り、建物の北へ向けてするりと抜けていく風通しの良い住居環境とすることが出来ます。
ただ、この辺りは立地次第で変わってきますので注意してください。
7:明るい家にしやすい
戸建ては、マンションよりも明るい家になりやすい特徴があります。
特に土地探しから始める場合、建物の周辺環境をよく見て、計算された場所に家を建てると、周囲の目が気にならない明るい家にすることが出来ます。
ただし、建売住宅や中古住宅を取得する場合、住宅密集地などに家を建てる場合は、このケースに当てはまらないこともあるのでしっかりと建物周辺を含む土地の環境を見極めてから購入する必要がありますので注意してください。
8:中古住宅は安く購入できる
中古の戸建て住宅は比較的安く購入できます。
戸建て住宅はマンションと違い、土地と建物がセットになっており、土地の上に建つ建物そのものは築年数が経過するほどに価値を落としていきます。
一方で「土地の価値」は落ちづらく、同じエリア内で新築と中古の建物があった場合、土地の価格はそこまで変わらなかったとしても、中古の戸建て住宅の方が安く購入できます。
中古の戸建て住宅の中には建物の価値はほとんどなく、土地代だけで家を購入できる物件もありますが、耐久性が乏しいことも多く、家を建て替えるに伴い「解体費用」などが発生しますので、家を建て替える予定の方は、解体費用なども見込んで予算を組む必要があります。
ケースによっては、中古の戸建て住宅を購入しても、新築で一戸建てを建てた費用とあまり変わらないといったことも起こり得ますので注意してください。
>>>家を建て替える時の解体費用の相場と家の解体費用を安くおさえる3つのコツ
>>>【建て替え】鉄骨造住宅の家の解体費用と知らないだけで損をする解体費用が高くなるケース
9:土地が個人の資産になる
戸建てでは、土地が個人の資産になります。
戸建てはマンションと違い、土地と建物のどちらも所有する権利が発生しますが、土地は個人の資産にすることが出来ます。
分譲のマンションの場合は区分所有と言って住居スペースにあたる「専有部分」「共用部分の共有部分」「敷地利用権」などによって区分ごとに権利が分けられているのでマンション一棟そのものの土地を個人の資産とすることはできず、各住戸の住人が区分ごとに所有しています。
つまり土地そのものをそのままの形で売却することが出来ません。もちろん土地に対して一定の権利はあるため土地権利分を含めて住戸部分を売却することはできます。
一方で戸建ての場合は、借地権などが発生していない限り、土地も個人の資産とすることが出来ます。
10:ゴミ出しの時間が決められている
戸建てはそれぞれの自治体によってゴミ出しの時間が決められています。
マンションでは24時間いつでも好きな時間に専用のゴミ出し場にゴミを持っていくことが出来ますが、戸建ての場合は自治体が管理する場所にゴミを持っていく必要があり、さらに時間も朝の○時からと決められていることがほとんどで、マンションのように自由に好きな時間帯にゴミ出しを行うことが出来ません。
マンションの特徴
マンションの特徴をまとめると下記の通りです。
【マンションの特徴】
1:管理費の支払いが必要
2:建物の価値が下がりにくい
3:充実した共用施設を利用できる
4:高層マンションは駅近に住居を構えられる
5:低層マンションは静かな環境に住居を構えられる
6:セキュリティなどの安全性が高い
7:耐震性が高い
8:避難時の不安要素がある
9:自分でメンテナンスをする必要がない
10:ゴミ出しの時間を気にする必要がない
11:眺望がいい
マンションでも戸建てと同じようにこの特徴がそのまま購入する上でのメリットとデメリットに関係してきます。
マンションの特徴とメリットとデメリット
ここからはマンションを購入して住む上でのそれぞれの特徴について詳しく解説していきます。
1:管理費の支払いが必要
マンションではマンションの住宅取得費用とは別に毎月管理費や修繕積立金の支払いが必要になります。
そのため、戸建てと同じ金額でマンションを購入しても、基本的には毎月の負担金額はかかると思ってください。
そして修繕積立金はそこのマンションが老朽化していくほど(築年数が古くなるほど)高くなっていくのが一般的です。
例えばマンション購入当初は2万円の負担額であっても、建物の老朽化が進むほど高くなり3万円になったり、4万円になったりします。
この辺りは「均等積立方式」を採用しているのか「段階増額積立方式」を採用しているのかにもよります。
2:建物の価値が下がりにくい
マンションは戸建てと違い、建物の価値が下がりにくい大きなメリットがあります。
戸建ての場合は建物の価値は年々下がっていき、20年、30年もすれば建物としての資産価値はないに等しいものになってしまうことが一般的ですが、マンションの場合は建物の価値が下がりにくい特徴があります。
さらにそれだけではなく、マンションは資産価値があり駅近の人気のエリアなど土地によっては購入時よりも高く売れるケースもあります。
例えば将来的に戸建てへの住み替えを検討していて、時期が来たら売却し、売却して得たお金で戸建てに住み替えると言ったこともマンションでは可能となります。
3:充実した共用施設を利用できる
マンションは共用施設が充実していることが多いです。
例えば戸建ての玄関ポーチにあたるエントランス部分はマンションでは豪華な仕様となっていることも多いですし、高級マンションの中にはジムやプール、それに会議室が備えられているところもあったり、来客者専用の寝室などが割り当てられていることもあります。
戸建てに比べて共用施設は充実しており、また高級マンションやタワーマンションではそれに付随してマンションにお住まいの方のみが受けられるサービスを受けられることもあります。
4:高層マンションは駅近に住居を構えられる
高層マンションやタワーマンションは駅近に建てられることが多く、車を使うことなく徒歩で駅に向かうことが出来たりと、交通手段には不便を感じません。
高層マンションやタワーマンションは、第一種低層専用地域、または第二種低層専用地域などに建てることが出来ず、商業地域や準工業地域に建設されるため駅に近い場所の繁華街に建てられるので利便性が良くなるのです。
一方で戸建ての場合は、郊外やあまり立地のよくない駅から離れた場所に建てられることも多く、マンションの利便性にはかないません。
5:低層マンションは静かな環境に住居を構えられる
低層マンションは駅から離れた場所に建てられることが多いですが、第一種低層専用地域、または第二種低層専用地域など住居系用途地域に建設されるので静かな環境に住むことが出来ます。
高層マンションのように利便性はありませんが、繁華街のような騒がしい場所に建てるのではなく、周辺に戸建ての住宅が多い場所に住居を構えられるので戸建てのようにのんびりと暮らすことが出来ます。
6:セキュリティなどの安全性が高い
最近建てられた、築年数がそれほど経過していないマンションはセキュリティ面を重視していることも多く、住居スペースに至るまでに何度もセキュリティロックがかけられていたりと、住まいの安全性が高められていることが多いです、
戸建てタイプの住宅よりも泥棒などに侵入されるリスクは低く、安全面では圧倒的にマンションの方が有利になります。
7:耐震性が高い
法令に従って建てられているのであれば、マンションは耐震性も高く、地震が起きても倒壊してしまうリスクは低いと言えます。
戸建て住宅の場合は、耐震性の面で見ればマンションよりも耐震性は低くなります。
8:避難時の不安要素がある
ただし、マンションは耐震性は高いものの、災害時や避難時に問題が生じるケースが多いです。
例えば東日本大震災の時にはマンションのエレベーター内に閉じ込められてしまったり、エレベーターを使うことが出来ずにマンションの昇り降りを階段で行ったという事例もあります。
また災害時に限らず高層マンションやタワーマンションではエレベーターが故障してしまうと途端に不便なものになります。
平常時は非常に快適で便利な面が際立ちますが、災害時にはそうした不安要素が生じることはマンションのデメリットと言えるでしょう。
9:自分でメンテナンスをする必要がない
マンションは戸建てのように自分でメンテナンスをする必要がありません。
管理費などでお金を払っていれば、そこに住む人は何もせず、快適に暮らしていくことが出来ます。
ところが戸建てでは庭があれば庭の手入れはもちろん、メンテナンス、修繕などを計画的に行っていく必要があります。
この辺りにも戸建てとマンションに大きな違いがあると言えます。
10:ゴミ出しの時間を気にする必要がない
また、マンションではゴミ出しの時間を気にする必要はなく、基本的には24時間好きな時にゴミを出しにいくことが出来ます。
もちろん全てのマンションで24時間ゴミ出しが可能というわけではありませんが、時間が決められていないことも多いので、夜の時間帯にゴミ出しを済ませておくこともできます。
11:眺望がいい
高層マンションやタワーマンションに限りますが、日常的に高いところから素晴らしい眺めを見ることが出来ます。
これは戸建てでは絶対に味わえないメリットだと思います。
一戸建て住宅?それともマンション?のまとめ
以上が戸建てとマンションの特徴の違い、それぞれのメリットとデメリットの違いです。
どちらが適しているかは、それぞれのライフスタイルによって違うと思いますし、ライフプランニングによっても変わってくるかと思います。
大事なのは戸建て、マンションの「どちらが優れているのか」という視点で家の購入を検討するのではなく、自分たちの「家族のライフスタイル」にはどちらの住まいが適しているのか、で検討していくことだと思います。
立地の良い繁華街に建てられるマンションがいいという人もいれば、郊外の静かな環境でのびのびと暮らすことのできる戸建てがいいという人もいます。
人それぞれ考え方や暮らし方は違うと思いますので、ぜひ、あなたにあった、そしてあなたの暮らしにあった生活に合わせた住まいを手に入れて言ってください。