今回は家の建て替えとリフォーム(リノベーション)で迷っている方に対して、どちらを選ぶべきなのかおすすめなケース、どちらを選んだ方がいいのかの判断基準を解説していきます。
家の建て替えとリフォーム(リノベーション)どちらで対応しようか悩んでいる方は、判断基準の目安としてこの記事を参考にしていただければと思います。
【いい家を安く建てるために知っておきたいこと】
注文住宅を予算内で建てるために、住宅会社に依頼する前に知っておいて欲しいことが3つあります。
依頼前に家の価格を抑えるための基本やコツを知っておくことで、いい家を安く建てることができるようになりますので参考にしてください。
1:家を安く建てるための基本とコツ
注文住宅を予算内で建てるにはコツがいります。それには家の価格の決まり方や、どのように対処すれば家の価格を抑えることができるのかを把握しておかなければなりません。
予算内でいい家を建てるための7つの基本は下記リンク先の記事をご覧ください。
2:家の形と家の価格の大きな関係
家にはお金のかかる形の家と、お金がかからない形の家があります。
家の形は家の価格を大きく左右する要素の1つですので、家の形と家の価格の関係はしっかりと抑えておくべきです。
どのような家の形はお金がかかり、どのような形にすればお金がかからないのか、またそれぞれの家の形の特徴については下記リンク先の記事をご覧ください。
>>>家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い
3:無料でカタログを請求し理想の家を建てる方法
注文住宅は依頼先で決まります。だからこそ、依頼先は慎重に検討したいところですが、検討するにはまずはどんな家を建てたいのかを知らなくてはなりません。
無料で住宅会社から請求できる住宅カタログを請求して、理想の家を建てる方法については下記リンク先の記事を参考にしてください。
Contents
家の建て替えかリフォームかの判断基準1:家の状態と築年数
家の建て替えか、それともリフォームまたはリノベーションかを悩んだら、まずは築年数はどれくらいか、そして家の状態に目を向けて見て下さい。
日本の住環境は高温多湿なこともあり、結露や内部結露によって構造体(家を支える骨組み)を腐らせてしまうことがあり、リフォームやリノベーションでの対応が難しいケースもあります。
その際は思い切って家を建て替えるか、もしくは大幅な構造体の改築を含めたリノベーションが必要になります。
リフォームとリノベーションの違いについては「建て替えとリフォーム、リノベーションってどう違うの?違いについて徹底解説」を参考にして下さい。
そもそもリフォームやリノベーションに対応していないこともある
また築年数がそれほど経っていなくても、家の状態によってはリフォームやリノベーションが難しいケースもあります。
さらに、ハウスメーカーに依頼して建てた家となると、ハウスメーカーが指定したグループ企業に依頼しないとリフォームやリノベーションが対応できないケースもあります。
また建売住宅で住宅を取得していた場合、そもそも大掛かりなリフォームや、リノベーションに対応しておらず、間取りを変更したい場合は家を建て替えるか、もしくは壁紙や床板を張り替えるなど軽度のリフォームでしか対応できない場合もあります。
築年数30年が家の建て替えを選ぶ目安
土地や環境によっても家の状態は大きく左右されますが、日本の住環境では一般的に築年数が30年を超えていると、家の至る所のダメージが目立ってくるので家を建て替えたほうがいいケースもあります。
また築年数によっては今と比べて耐震基準に問題があるケースもあり、耐震補強をするのに大掛かりな工事が必要となる場合があります。
ですから、長く住むことを考えた場合は、コスト的に建て替えを選んだ方がいいケースがあったり、後どれくらい住み続けるのかによってもこの辺りの判断基準は大きく異なってきます。
家の状態と築年数はもちろん大事ですが、この後の費用の問題、家族構成の問題、今後どれくらい住み続ける予定なのか総合的に見て家を建て替えるのか、リフォームまたはリノベーションで対応するのか判断することが大事になります。
検討している家が築25年未満のケース
一般的な日本の住環境では築25年も経つと、家のあらゆるところにダメージが出てきてしまい、リフォームやリノベーションを検討する時期に差し掛かります。
築25年も経つと外壁なんかは一度や二度くらいは塗り替えをしていることも多いでしょうし、屋根の補修や修繕なども何度か行っていることも多いと思います。
定期的なメンテナンスをしていて、管理が行き届いていれば、わざわざ建て替えることをしなくてもまだまだ住み続けることもできるでしょう。
家を支えるために必要な基礎もまだ十分であることも多く、家が傷んできたから新しくしたいと言う程度であればリフォームやリノベーションで対応するといいと思います。
検討している家が築30年から40年未満のケース
築30年も過ぎてくるとリフォームが必要になることも多くなります。
この時期になると外壁の塗り替えはもちろん屋根の修繕、設備の入れ替えを伴う部分的なリフォームを真剣に検討してもいいと思います。
ただ、一般的な日本の住環境においても、築年数を考えれば家の建て替えにはまだ余裕があるようには感じます。
定期的なメンテナンスをして、管理がゆき届いている状態がいい家であれば、建て替えにはまだ問題はないと思われるので、大幅な改築をしたくてもリノベーションで対応すると良いと思います。
もちろん生活環境の変化によって、建て替えをすると言うのであれば、それはそれで問題ありません。
また改築を伴うリノベーションをせずとも、耐震補強や断熱対策程度などの軽度のリフォームでも問題ないことも多いです。
検討している家が築40年以上のケース
築40年以上経っている家はリノベーション、または家の建て替えが必要となるケースも多くなります。
古い時代の耐震基準で建てられている家のため耐震面も不安視されることが多くなるからです。
ただし今後、同じくらいの築年数住み続けるわけではない、いずれは取り壊し、家の建て替えを検討していると言うのであれば、耐震補強や、断熱対策などのリフォームだけで対応できる場合もあります。
ただし、基礎や地盤がしっかりしている状態であればの話なので、この辺りは、住宅の状態を確認してくれる専門家の判断を仰ぐといいと思います。
>>>家の建て替えとリフォームどちらを選ぶ?それぞれのメリットとデメリットを解説
家の建て替えかリフォームかの判断基準2:費用の問題
家の建て替えか、それともリフォームまたはリノベーションかを悩んだら、家の状態と合わせてそれぞれにかかる費用面も比較してみるといい判断ができると思います。
例えば一番コストが安く済むのはリフォームで、次に建物はそのままにスケルトン状態にする必要のあるリノベーション、最もコストがかかるのが、家の建て替えという選択になります。
特に家の建て替えでは、造成工事も必要となることもあり、造成工事が必要になった場合は非常にコストが高くなります。
ただしリノベーションであっても、工事に特殊な技術が必要となる場合は建て替えよりもコストが高くつくケースもあります。
>>>家の建て替えとリフォームどちらを選ぶ?それぞれのメリットとデメリットを解説
家を建て替えると修繕費用を少なくできる
ただ、家の建て替えをすると家が新しくなりますから、今後メンテナンスや修繕にかかる費用を、リフォームやリノベーションよりもおさえることができるようになります。
例えば傷んできた箇所を部分的なリフォームで対応した場合、リフォーム後に他の部分が傷んでいることが発覚し、さらにリフォームが必要になったり、状態の悪い家ではそれが頻繁に繰り返されることもあります。
ですから、家の状態によって建て替えるのか、リフォームで対応するのか、リノベーションにするのかを判断する必要があります。
家の建て替えかリフォームかの判断基準3:そこに住む家族構成
建て替えか、それともリフォームまたはリノベーションかを悩んだら、工事後にどんな家族構成になるのかについても目を向けて下さい。
例えば、単世帯から二世帯住宅にする場合は、リフォーム、またはリノベーションでは対応できないこともあり、家の建て替えを選んだ方が住みやすくなる場合もあります。
>>>二世帯住宅を建てる7つのメリットと二世帯住宅に向いている家族の4つの条件
家の建て替えでは家の形から間取りを検討できる
家の建て替えでは家の形から自由に間取り(空間のとり方)を検討できます。
家の建て替えでは、いったん今ある家を解体して、更地にして、新たにその土地に家を建てることになりますから、建築基準法に定められた範囲内であれば自由に間取りを検討することができます。
将来的にどんな家族構成になるのか
また、今はまだ同居していなくても、将来的に、しかも近い将来に同居し二世帯住宅になる予定の場合は、リフォームやリノベーションだと対応できないケースもあります。
その辺りは、それぞれの家族の状況によって変わってくると思いますので、そうした将来的な変化にも目を向けて建て替えか、リフォーム、またはリノベーションにするのかを判断することが大切です。
>>>二世帯住宅でのトラブルを避けるための間取りのポイントと依頼時の注意点
家の建て替えかリフォームかの判断基準4:住宅ローンや補助金、減税制度
家を建て替える場合は、自己資金で賄えない分は住宅ローンを利用することになります。
リフォームにおいても、住宅ローンまたはリフォームローンを利用することができますが、金利を比較すると住宅ローンの方が低い傾向にあります。
もちろん住宅ローンを組む場合は、金額が高額になるので、支払う必要のある利子が高くなりますが、長期間で高額の借入をすることが難しい、そもそも高額なローンは組みたくないといった方はリフォームまたはリノベーションで対応した方がいいケースもあります。
>>>家の建て替えっていくらかかるの?建て替え時にかかる費用相場について徹底解説
補助金を使う
ただ家の建て替えかリフォームまたはリノベーションかで税制の優遇や補助金額は大きく変わってきますし家の建て替えの方がそういった制度は充実している傾向があります。
ですからその土地を今後も受け継いでいくことを考えて二世帯住宅として家を建て直すのであれば、家の建て替えをすると税金の優遇措置であったり補助金の制度を利用することができます。
>>>二世帯住宅がかかえる10のデメリットと二世帯住宅で使える補助金制度について
リフォームでも一部補助金の利用は可能
もちろんリフォームでも補助金や減税措置を利用できることもありますが(バリアフリー化など)、制度を利用するための条件などもあるため、詳細については確認しておく必要があります。
家の建て替えかリフォームかの判断基準5:今後どれくらいその土地に住み続けるか
家の建て替えか、それともリフォームまたはリノベーションかを悩んだら、今後どれくらいその土地に住み続ける予定なのかを判断基準にしてもいいと思います。
今後もずっと住み続ける予定があるのであれば家の建て替えや、リノベーションが検討されるでしょうし、そこまで長くその土地に住み続ける予定がないのであればリフォームで対応すると言う選択肢も生まれます。
また子供が一時的に仮住まいをしているだけで、将来的に別居する可能性が高いのであればリフォームで済ませて対応すると言う選択肢も生まれます。
この辺りは家族の置かれている状況によって大きく変わってくると思いますので、それぞれの家族に合わせて検討するようにして下さい。
>>>家の建て替えとリフォームどちらを選ぶ?それぞれのメリットとデメリットを解説
二世帯住宅にすれば税制も有利になる
先ほども少しお話ししましたが、その土地を受け継いでいきたい場合は、二世帯住宅として建てた方が税制は優遇されることがあります。
具体的に言うと相続税対策としてはかなり有利になります。
>>>二世帯住宅で気をつけたい失敗しがちな間取りの話と税金などのお金の話
二世帯住宅にして登記方法を「区分登記」を選べば「小規模宅地等の特例」において、被相続人(亡くなった人)の所有する部分だけが特例の対象となり、被相続人(亡くなった人)が住んでいた土地は相続税評価額が80%減額されるようになります。
亡くなった人と相続する人が同居している事実が必要になりますが、相続税対策としてはかなり有効な手段となります。
詳しくは「二世帯住宅でのトラブルを避けるための間取りのポイントと依頼時の注意点」にもまとめておきましたので参考にして下さい。
家の建て替えがおすすめな人、リフォーム(リノベーション)がおすすめな人
以上のことをまとめると家の建て替えがおすすめな人と、リフォームやリノベーションがおすすめな人は下記のように分けることができます。
判断基準の目安として参考にしていただけたらと思います。
家の建て替えがおすすめなケース【目安としての傾向】
家の建て替えをお勧めするケースは下記のようなケースです。
家の状態と築年数
家の状態が著しく悪い場合は、築30年〜40年以上で、大幅な間取りの変更をしたい場合は家の建て替えを検討するといいと思います。
また地盤や家の耐久性、耐震性能などに不安がある場合は、建て替えを検討する目安となると思います。
費用の問題
現状の家のまま住み続けると、将来的に修繕費用が大きくなる可能性があったり、住んでいる家が古くなったので、自己資金に余裕のあるうちに建て替えを検討したい場合は建て替えを検討するといいと思います。
例えば30年も住んでいると家のあちこちに傷みが現れるため、家を建て替えることで、修繕にかかる費用の負担を軽くできます。
そこに住む人の家族構成
例えば単世帯の住宅から、二世帯住宅にしたい場合は、リフォームやリノベーションだと対応が難しいケースもあるため、家の建て替えを検討するといいと思います。
さらにそこに住まう将来的な家族構成の変化がある程度はっきりしている場合で、現状の家だと対応が難しい場合は家の建て替えを検討するといいと思います。
>>>二世帯住宅を建てる7つのメリットと二世帯住宅に向いている家族の4つの条件
住宅ローンや補助金、減税制度
補助金や建て替えに伴う減税制度を利用したい方は建て替えを検討するといいと思います。
例えばリフォームやリノベーションで対応すると金額が膨らんでしまったり、借り入れる金額が大きくなる場合は、建て替えを検討してもいいと思います。
今後どれくらいその土地に住み続けるか
世代にわたり今ある土地を受け継いでいきたい場合は、二世帯住宅に建て替えることで「小規模宅地等の特例」が適用され相続税対策となります。
将来わたり先祖代々受け継がれてきた土地を守りたいと言う場合は、家を建て替えると言うことが一つの選択肢になると思います。
>>>二世帯住宅を建てる7つのメリットと二世帯住宅に向いている家族の4つの条件
リフォームまたはリノベーションがおすすめなケース【目安としての傾向】
リフォームまたはリノベーションをお勧めする人は下記のような方です。
家の状態と築年数
家の状態に特に問題がなく、築年数も25年未満と浅く、設備の入れ替えや、簡単な改築、増築工事で済ませることができる場合、リフォームを検討するといいと思います。
今ある家の形を残した状態でリフォームよりも大幅な間取りの変更がしたいのであれば、リノベーションで対応し、大きく変更することができます。
また耐震性能や断熱対策がリフォームなどの簡単な工事で済ませられる場合もお勧めです。
>>>家の建て替えとリフォームどちらを選ぶ?それぞれのメリットとデメリットを解説
費用の問題
現状のまま住み続けても、目安として20年くらい問題ない場合は大きな金額を出して家を建て替えるよりも、リフォームやリノベーションで済ませてしまった方が安くつくことがあります。
そのような方はリフォームやリノベーションで対応するといいと思います。
ただリフォームやリノベーションをした後に、家の中で傷んだ箇所が見つかり、さらに修繕が必要になるケースもあるので注意して下さい。
>>>家の建て替えとリフォーム、リノベーションってどう違うの?違いについて徹底解説
そこに住む人の家族構成
将来的にどのような家族構成になるのかわからない場合は、家を建て替えるよりもひとまずはリフォームやリノベーションで対応してしまった方がいいと思います。
そういったケースでは先に家を建て替えてしまうと、将来的な変化に対応することが難しくなるからです。
住宅ローンや補助金、減税制度
短期間で返済できる少額のローンで済ませたい方は、リフォームやリノベーションが候補に上がってくると思います。
今後どれくらいその土地に住み続けるか
先祖代々土地を受け継ぐ必要がなく、特に相続税対策も必要ない、家主が亡くなった後は土地を売却しようと考えている場合は、リフォームやリノベーションで済ませるといいと思います。
まとめ
今回は家の建て替えとリフォームで悩んでいる方に対して、どちらを選べばいいのかの判断基準についてお伝えしてきました。
本文でも触れましたが、家の建て替えか、リフォームまたはリノベーションかで悩んでいる場合は5つの視点で「家の状態と築年数」「費用の問題」「そこに住む家族構成」「住宅ローンや補助金、減税制度」「どれくらいその土地に住み続けるのか」を判断基準の目安にするといいと思います。
ただ、状況は人それぞれだと思いますので、あなたに合わせた選択をすることが一番だと言うことは必ず覚えておいて下さい。