まるで都会のオアシスのような建物が東京にあります。
建物全体の幅は4メートルという狭小住宅。しかも立地も悪く、日当りも良くないという条件つき。これを解消する為に、建物全体がガラスで覆われており、通りに面したバルコニーやテラスにはプライバシーを守る役割も兼ねた植物が植えられる工夫が施されています。
「Garden & House(ガーデン・アンド・ハウス)」というこの建物は建築家 西沢立衛氏によって設計されました。
Garden & Houseの特徴
縦方向から見た建物の完成予想模型図です。建物全体が透明なガラスで覆われることにより、幅4メートルという狭小な空間を広くみせることに成功しています。
さらに、狭小住宅の狭い空間をより広く利用できるよう、上の階への昇り降りは、中央にある螺旋階段のみ。床面には垂直な荷重を支える板である床スラブ(厚いコンクリート)が用いられています。
また内部空間にあるはずの一切の壁も排除することで、より空間を広くみせる工夫を施しています。
東京に実際に建てられた「Garden & House」です。建物と建物の狭い空間を巧みに利用し建てられていることがわかります。周囲の建物の隙間に建てられている為立地条件は良くないということもこの写真を見れば明らか。
そして周囲の建物と比べても「Garden & House」が如何に狭小住宅であるかが用意に理解できます。
Garden & Houseの外観
角度をかえてみてみると、建物と建物の間にすっきりとおさまっている様子をみてとることができます。バルコニーやテラスからは植物が顔をのぞかせ、建物全体が緑で満たされています。
西沢立衛氏によって設計された「Garden & House」は4階建ての建物。ガラス張りの構造ということもあり、プライバシーを守る為の工夫として、カーテンを使用しています。
これにより、必要な時はカーテンを開けることで、より自然光を取り入れることを可能とし、それ以外の時はカーテンによって遮断することにより、プライバシーを守れる仕組みになっています。
外観がとても特徴的で、まるで突如としてあらわれた都会のオアシスのようです。中はどうなっているのでしょうか。
Garden & Houseの内観
1F and 2F
1.リビング
2.キッチン
3.ダイニング
4.ベッドルーム
5.ミーティングルーム
1階と2階の見取り図です。1階は主に、食事のスペース。二階はベッドルームやミーティングルームとなっています。
一階の写真です。透明なガラス壁で建物全体を覆うことで、幅四メートルの狭小住宅であることを感じさせない開放的なつくりとなっています。4階建て建物の1階部分にキッチンを持ってくることで、買い物をしたあと、余計な階段の昇り降りをすることなくそのまま支度に取りかかることができるようです。
こちらは2階。
2階はベッドルームとなっています。建物全体を通して、壁などの敷居がないため、螺旋階段をのぼった先にそのまま空間が広がっています。またベッドルームをプライベートな空間として使用したい時にはカーテンで空間を敷居、閉じられた空間にすることも出来るようです。
ベッドルームから2階を見渡すと上のような光景が広がります。バルコニーには植物も植えられており、コンクリートで出来た空間全体に彩りを与えています。
写真手前の収納スペースであるハンガーは洋服をかけることにより空間を仕切る為の敷居として機能します。
螺旋階段手前の様子です。手前にある緑のカーテンが空間をしきるためのカーテンです。奥のスペースはミーティングルームとして使用しています。
ベッドルーム横のドアからは、このようにバルコニーにでることもできます。
ミーテティングスペースの写真です。「Garden & House」は二人の作家が住まう建物。今まさにMacBookAirにて執筆中と言ったところでしょうか。
このミーヒティングスペースは通りに面しています。そのため集中して何かにのぞみたい場合は、建物を包み込むようにカーテンで覆い外との敷居を設けることで、ひとつの空間として使用することが可能になります。
ベッドルームにはプライバシーやエアコンを設置する為に壁がありますが、基本的には建物四方向に渡り、ガラスで覆われているようです。
2階から螺旋階段を見上げるとこんな素敵な光景が広がります。それでは次に建物3階部分にいってみましょう。
3F
6.バスルーム
3階部分は庭とバスルームによって構成されています。バスルームをのぞく、ワンフロア全体を庭スペースとして使用してしまっています。
2階からの螺旋階段をのぼると生活スペースからガラリと姿をかえガーデンスペースに。螺旋階段部分はガラス窓で覆われていますが、それ以外のスペースは、ほとんどが庭として機能しています。すぐ横に庭への入り口がありますね(写真右側)。
こちらがガーデンスペースの出入り口部分。バスルームもこの庭を歩いていった先にあります。
フロアの床全体に土が植えられており、本格的な庭として機能しているようです。
ベンチも設けられており、天気のいい日にはベンチに座りながら談笑・・・なんていい感じですね。
ガーデンスペース奥にはバスルームが。プライバシーを守る為にカーテンのようなものが敷かれています。
こちらがバスルーム内部からの写真。植物を目線の高さで感じながら湯船につかることが出来るようです。まるでジャングルの一画に素敵なバスルームが用意されているようですね。
バスルームの扉から螺旋階段をみるとこんな感じに。庭に植えられた植物達も嬉しそうですね。
4F
7.エクストラルーム
4階部分はエクストラルームとして機能しています。奥には屋上へ続く階段もみえますね。
4階部分全体をみるとこんな感じに。左側部分はテラス。右側部分は屋上へと続く階段が用意されているエリアへとつながっています。
先ほどの写真右奥からテラス席全体をみるとこんなに素敵な光景が広がります。
テラス席には吹き抜けの天窓も用意されており、出来る限り自然光を取り込み、自然光を逃がさない仕組みになっています。
屋上
屋上の見取り図です。もう説明は不要ですね。屋上部分も簡易的な庭として機能しています。
天窓から4階部分を覗くとこんな感じ。天気がいい日はここでひなたぼっこなんていいかもしれません。
Garden & Houseの平面見取図
全体の見取り図をまとめてみました。クリックすると拡大します。
こちらは断面図。左側が正面から。右側が側面からの断面図ということになります。
「Garden & House」は幅4メートルの狭小住宅とは思えない素敵な空間をもっている狭小住宅だと思いませんか。
決して立地条件はよくない、悪条件の建物でありながら、それを建物全体でカバーする不思議な魅力を持った狭小住宅、それが西沢立衛によって設計された「Garden & House」です。
建築設計事務所:Office of Ryue Nishizawa 西沢立衛建築設計事務所(http://www.ryuenishizawa.com)
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▼参考:
・Garden and House by Ryue Nishizawa
・Ryue Nishizawa’s vertical garden house in Tokyo | Spoon & Tamago(http://www.spoon-tamago.com/2011/12/19/ryue-nishizawas-vertical-garden-house-in-tokyo/)
・ryue nishizawa: house & garden