ダイヤモンドという素材は緻密で均質な分子配列をしており、力や光を効率的に分散させることで特有の硬さと輝きを産み出すのだそうです。
そんなダイヤモンドの配列をモチーフにし、柔らかいけど強い構造体のデザインをしたのが今回紹介する椅子「diamond chair」。「diamond chair」は、外からの力に対して、衝撃し吸収するという人間の身体の筋肉組織や器官のようなしなやかなイスをつくりたいという思いからうまれたイスです。
なんでも「diamond chair」は、粉末焼結ラピッドプロトタイピング(RP)機を使い、3次元CADデータをもとにナイロンの粉体をレーザーによって硬化させる方法で実現したのだそう。こうし多雨法でつくることにより、イスとして強度が求められる箇所の部材は断面を厚くすることができ、座り心地に影響する部分は徐々に薄くしていくという、単一素材ながら部分ごとに異なる機能を担わせることが可能となったそうです。
またRP機が一回で出力できる最大サイズが決まっているため、様々な工夫が施されており、イスを上下で2分割し、パズルのように組み合わせて制限サイズぎりぎりに収まるようにし、硬化後に接着することにしたのだそう。これにより製造時間とコストを抑えることができ、上下パーツが一緒に硬化することで熱による収縮やひずみが同期し、接着時のズレの問題も解消されたそうです。
このイスがデザインされた2008年時点では商品かは想定していなかったそうで、約5日間という短い製造期間によって在庫リスクがなくなり、また、海外からの受注であってもメールによるデータ納品で、現地のRP機で出力ができるため、配送の時間とコストとも無縁のデザインだそうで、これまで家具産業が抱え続けた諸問題が近い将来解決される可能性を示唆してくれるプロジェクトであったのだそう。
こちらは後ろから見たdiamond chair。
いったいどんな座り心地を実現しているのでしょうか。気になります。
ダイヤモンドの分子配列を参考にしているだけあってとても面白いデザインに仕上がっています。
こうしてみてみると、まるで生命体のようでもあります。
実際にdiamond chairに座るとこんな感じ。以外とリラックスできそうです。
片手で持てるくらいdiamond chairは非常に軽いようです。
diamond chairが成形されていく瞬間です。
もしも、こうした3Dプリンターによる家具が一般に出回っていくと、IKEAやニトリなどを代表とする家具屋さんのビジネスモデルがガラッと変わってしまいます。
もちろんいいこともあれば、悪いこともあり、今後3Dプリンターがどのように発展を遂げるのか楽しみでもあり、怖くもあります。
このdiamond chairのデザインは佐藤オオキ氏率いるnendoによってデザインされたものです。
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▼参考:
diamond chair | nendo(http://www.nendo.jp/jp/works/diamond-chair/?release)