木の質感を手で感じられるような器のコレクションを目指し、伝統工芸「山中漆器」の技術を脈々と受け継いできた、1909年創業の老舗「漆工房 大島」により、高い「ろくろ挽き」の技術によって実現した器があります。
数ある工程の中でも、特に「ろくろ挽き」を得意とする山中漆器。果たしてどんな形の器に仕上がったのか。
まずはラフスケッチデザインです。
高台部分を通常の「リング」の形から「カタマリ状」にすることで、器を手で「支える」のではなく「包み込む」ような独特の持ち心地が生まれたそうです。
そして出来たのが上の器「lump-bowl」 それに「 lump-cup 」そして「 lump-plate」です。
外側は木の質感を活かしナチュラルな仕上がりになっています。それに対し内側はマットな質感のウレタン塗装が施されています。
これにより厚みや質感のコントラストを通じて、木の魅力を存分に楽しめるデザインが産まれました。
横から見ると、高台部分が非常に可愛らしいデザインとして映えます。丸みを帯びた形状、そして木の質感を全面に活かした優しい素材感により、優しい器としてみるものの気持ちさえ暖かくしてくれます。
内側はマットな質感のウレタン塗装となっており、ナチュラルな素材感を全面に押し出している外側の木の質感とのコントラストが非常に面白いデザインとなっています。
近くから見ると、ナチュラルな木目調が非常に美しい出来ばえとなっています。
この優しい質感により、手触りはもちろん、みるものの視線さえも優しく包み込んでくれます。
そしてこちらは「lump-plate」高台はやはり「リング状」となっており内側もマットな質感のウレタン塗装となっています。
漆工房 大島の大島太郎氏は現在デザイナーとコラボレーションした漆器を企画して、職人とデザイナーとの橋渡し役として活躍しています。
「デザイナーの感性やアイデア、職人さんが持っている高い技術をうまく融合させて、日常でふだん使いできる、身近な漆器を創りたいんです」とインタビューに対し答えており、デザイナーとのコラボ商品として「たまごかけごはん専用の漆器」など今までの漆器の枠にとらわれない新しい漆器商品を提案し続けています。
今回は佐藤オオキ氏率いるデザイン会社nendoとのコラボレーションによってこのナチュラルな素材感の漆器商品がうまれました。
今後、日本一の技と称される山中漆器の「ろくろ挽き」の技術と、デザイナーがイメージした新しい漆器がどんな商品を生み出すのか目が離せません。
▼参考:(外部サイト)
・nendo highlights wood turning with urushi lacquerware lump collection
・漆工房 大島(http://crafts-oshima.co.jp)