イギリス、ロンドン郊外の北西に位置する、世界でも屈指の高級住宅街セント・ジョンズ・ウッド(St John’s Wood)の家の、庭にある限られたスペースを使い大胆なオフィスをつくった人がいます。
セント・ジョンズ・ウッド(St John’s Wood)と言えば、ビートルズの4人が並んで横断歩道を歩いているジャケットで有名なアルバム、アビーロードの写真を撮影した場所、そして同アルバムを収録したアビーロードスタジオがある場所でも有名な街です。
また、ロンドンで歴史ある最も大きな公園リージェンツパーク(REGENT’S PARK)が所在することでも有名です。
そんななじみ深い、歴史のある由緒正しき高級住宅街、セント・ジョンズ・ウッド(St John’s Wood)。その家の庭の限られたスペースを利用しつくったオフィスが「Shoffice」です。
Shofficeはイギリスのロンドンにある建築設計事務所platform 5によって設計されました。
platform 5の公式ホームページによると、Shofficeとは「shed(納屋)」と「office(事務所)」 をあわせた造語(shed + office=Shoffice)だとのことです。
Shofficeの美しい外観写真
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ご覧頂いてもわかるように貝殻の形をしている木材を使用した暖かみのある建築物です。貝殻の形をしたシャープな形状はひとつの建物としての美しさを感じさせます。
ガラス窓が多いため自然光をふんだんに取り込むことができます。
空からみると、周りの景観を崩すことなく、周りの景観に溶け込んでいる建物だということがよくわかります。
Shofficeの庭をもつ建物から撮影した写真です。木の間から注ぐ木漏れ日が建物にうつりこみ、綺麗な木の葉模様を描きだしています。
オフィス家具なども設置してあり、きちんとしたオフィスであることがわかります。
Shofficeの隙間から撮影した写真です。庭に設置された貝殻のオフィスの中に木漏れ日がとりこまれていることがよくわかります。
2つの天窓からは自然光がオフィスを明るく照らします。
Shofficeの構造図
家の中からShofficeを撮影した写真です。庭にすっぽりとおさまっていることがわかります。柔らかな建物であるため、圧迫感を感じさせません。
計量構造にする為に、2つの環状の硬度な角材である、肋骨状の木材と合板を使用しています。また建築には主に家の中を通って材料を運ばなければならず、家の中を通れるようにバラバラに持ち運びできる組み立て式の建築物になったみたいです。
イギリスのロンドンの住宅事情は日本と違う
最後に予備知識として、イギリスのロンドンでは「セミ・デタッチ(=一件の家が二つに区切られている)」や、「テラス・ハウス(=三戸以上が繋がった連続住宅)に住むことが標準の住宅形式である為、一戸建ての家を持っている人は全体の20%だといわれています。
また、イギリスでは、都市の美しい景観を守るための都市計画法により住宅の増改築が自由に行えません。
日本での注文住宅のような形で売られるのではなく、既存の住宅を販売する建売販売がほとんどです。
日本の住宅事情とは違い、ロンドンの端から端まで立ち並ぶ同じような建物はそんな都市計画法の賜物なのです。
そんな住宅事情から生まれた、家の庭にオフィスを造るという発想は、イギリスならではだと思いませんか。
アイデアはいつも不便さの中に混在しているものですね。発明は必要の母とはよくいったものです。
建築事務所:Platform 5 Architects(外部リンク)
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▼参考:
リージェンツ・パーク – Wikipedia
platform 5 architects: shoffice (shed + office)