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注文住宅のキッチンで抑えておきたい6種類のキッチンとレイアウトのコツ

注文住宅の間取りの中でも、キッチンの間取りは誰もが一度は思い悩む間取りの一つです。

間取りを提案し、設計をする設計のプロでもキッチンの間取りをつくることは難しく、キッチンの計画は注文住宅の間取りの中でも頭を抱える間取りの一つでもあります。

キッチンにはそれだけ、プランニングの幅があり、それぞれのご家族の思いも強く、またキッチンのタイプやスタイル、種類も多いため、納得のいく間取り計画をするのは本当に困難なものとなります。

そこで、この記事では、より理想のキッチンを計画していただくために、まず、そもそもキッチンとは何なのか、目的と役割から「キッチンとはどのような場所なのか」というお話をし、その後に調理の流れを意識したキッチンにするコツの話や、キッチンの基本的な寸法の話、キッチンの種類と選び方などの話をしていきます。

そのお話の中で、キッチンにはどのような形があり、また、どのようなタイプのキッチンがあり、どのようにレイアウトをしていくのか「キッチンのレイアウトの基本」から、それぞれのキッチンの特徴をはじめメリットやデメリット、より利便性を高めるための「キッチンのレイアウトのコツ」などについても言及していきます。

キッチンの決め方やキッチン内の調理動線だけではなく、広く家事動線を意識したキッチンのつくり方についても触れていきますので、キッチンを検討されていて、どのタイプのキッチンを選べばいいのかわからない、レイアウトをどうすればいいのか困っている、うまく決まらない、より使いやすいキッチンにしたいという方まで参考にしていただけるかと思います。

今回の記事は、使いやすさとデザインセンスの両立を兼ね備えたキッチンを求めている全ての方にご覧頂きたい内容にまとめました。




Contents

1:キッチンとは

オープン型スタイルのアイランドキッチン

そもそもキッチンとは、注文住宅の間取りの中でどのような場所のことを言うのでしょうか。

先に答えを言ってしまえば、キッチンとは家の間取りの中でも「調理をするための場所」のことを言います。

そもそも、キッチンとは「コンロ」「シンク」「作業台」それに冷蔵庫を含む「収納スペース」で構成されている場所のことで、それらが使いやすくひとつの空間にまとめられた場所のことを総称して「キッチン」と呼んでいます。

それぞれの家庭でのキッチンの使い方次第で、「キッチンのスタイル」は異なり、調理をするための「独立型のキッチン」から、ダイニングやリビングに対して開けている「オープン型のアイランドキッチン」に至るまで、幅広いスタイルや様々な形、レイアウトから用途や好みに応じて選ぶ事ができます。

2:キッチンの目的と役割、それに機能

開放的なコ型(U型)キッチン 出典:321house

注文住宅での家づくりにおいてキッチンを検討し、設置する目的は単なる調理をするための空間だけではありません。

家族の希望や要望に合わせて料理を「より快適」に「より効率よく」つくることを検討し、「家族が楽しめる空間にする」ことに意味があります。

家族の要望に叶ったキッチンをつくるためには、注文住宅全体の間取りからキッチンの役割を再確認し、家全体のバランスを見て設置する場所を決め、要望を細かく検討する必要があります。

つまり、キッチンには4つの場所が必要で、下記の4つの要素が求められます。

キッチンに求められる要素1:収納する場所(冷蔵庫を含む)

キッチンの収納 出典:クイ~ズ

キッチンには食器はもちろん調理器具などを「収納する場所」が必要です。

食材などのストックを保管しておく冷蔵庫も必要になります。

キッチンに求められる要素2:水を使う場所(洗う場所)

キッチンには調理前の食べ物を綺麗にするための「洗い場所」の設置が必要になります。

またキッチンの洗い場は食べ終わった後の食器を洗うスペースとしても活用されます。

キッチンに求められる要素3:包丁を使う場所(素材を整える場所)

キッチンには包丁を使い、「食材を下ごしらえする作業場」も必要になります。

シンクやコンロとの距離を考えた適切な距離に設置する事が大事なポイントとなります

キッチンに求められる要素4:火を使う場所(調理する場所)

キッチンには、下ごしらえした食材を炒めるための場所として、ガスコンロはもちろんIHなどの熱源が必要になります。

基本的に食材を包丁で下ごしらえしたものが使われるため、作業場との連携を考えた場所に設置する必要があります。

・・・

ここで見たように、キッチンには最低限「収納する場所」「水を使う場所」「包丁を使う場所」「火を使う場所」の4つの場所が必要になります。

この「4つの機能と役割」を持つ「作業場所」が、お互いに近い場所に設置され、一つの空間にまとめられれば、それだけでキッチンとして成立します。

それではキッチンには具体的にどのような設備機器が設置される必要があるのでしょうか。

3:キッチンに必要な4つのもの

キッチンとしての役割と機能を果たすために必要なものは下記の4つです。

キッチンに必要なもの1:コンロ(ガスまたはIHを含む)

キッチンには食材を炒めるためのコンロが必要になります。ここでいうコンロとは熱源のことを指していますので、ガスはもちろんIHなども含まれています。

キッチンに必要なもの2:シンク

キッチンには食材や食器を綺麗に洗うためのシンクが必要になります。

キッチンに必要なもの3:作業台

キッチンにはまな板を置き、食材を包丁で切り刻み下ごしらをするための場所が必要になります。

・・・

キッチンの機能として考えた場合、以上の3つの機能を持つ設備がまとめられていればキッチンとして成立しますが、現実的には下記のような役割を持つ収納スペースが必要になります。

キッチンに必要なもの4:収納スペース(冷蔵庫を含む)

キッチンの使い勝手をよくするためには、食材や食器、それにキッチン家具や、キッチン家電などを収納するスペースが必要になります。

最近ではキッチンの脇にパントリーを設けることで、収納の機能を分けたキッチンも多く見受けられます。

注文住宅のキッチンで、より使いやすいキッチンにするために求められるもの

キッチンの間取りを考える場合、基本的には上記の3つの設備機能+収納スペースのことを検討してプランを作成していきます。

つまり、冷蔵庫から食材を取り出して、シンクで洗い、切ったり刻んだりし、鍋で火にかける、それらの動線を意識してキッチンを検討していきます。

ですから、ここから一歩踏み込んで、より使い勝手の良いキッチンをプランニングする場合、それぞれの機能を持つ設備の設置場所をよく検討する必要があります。

ではどのような場所にそれぞれの機能を持つ設備を設置すると、より使い勝手の良いキッチンにする事ができるのでしょうか。

続いてキッチンの並べ方の6つの基本についてお話ししていきます。

※使いやすいキッチンの間取りを考える上で、調理の手順を意識して設計することが非常に大事なポイントとなります。

4:キッチン作業場の6つの並べ方

これまでお話ししてきたように、キッチンは「シンク」「コンロ」を天板で囲み「作業台」を兼ねたものを一つの空間に設置すれば、それだけで成立します。

利便性を考えれば「収納スペース」は必要ですが、語弊を恐れずに言えばキッチンとしての機能を成立させることだけを考えた場合、キッチンに収納スペースは必要ありません。

キッチンの横にパントリーをつくり、冷蔵庫はもちろん、食器、調理器具、炊飯器、電子レンジなどの収納スペースをまとめてしまえばいいのです。

ですから「キッチン」と言う言葉にとらわれてしまい、難しく考えるのではなく、もっと自由な発想で楽しく「キッチン」を考え直すことが、注文住宅の家づくりでキッチンの計画を成功させるためには必要になります。

そして、キッチンの基本的な機能を集約したものを並べた場合、「シンク」「作業場」「コンロ」「市冷蔵庫」の位置は基本的には6つの並べ方しか存在しません。

※冷蔵庫は通常、端に置くので冷蔵庫の位置は固定して考えています。

・キッチン作業場の並べ方1:冷蔵庫 コンロ 作業台 シンク

・キッチン作業場の並べ方2:冷蔵庫 コンロ シンク 作業台

・キッチン作業場の並べ方3:冷蔵庫 シンク コンロ 作業台

・キッチン作業場の並べ方4:冷蔵庫 シンク 作業台 コンロ

・キッチン作業場の並べ方5:冷蔵庫 作業台 コンロ シンク

・キッチン作業場の並べ方6:冷蔵庫 作業台 シンク コンロ

ここでは一列に並べた場合のキッチンの並べ方について話したので、この他にも、「キッチンの形」や「レイアウトの仕方」によっては、いくつかのバリエーションが考えられますが、基本的にはキッチンは、この6つの並べ方しかないと認識してもらって問題ありません。

つまり、キッチンの形が「L字型」であろうと「コの字型(U字型)」であろうと、キッチンのレイアウトが「アイランド型」であろうと「ペニンシュラ型」であろうと、料理の手順を意識して検討することに変わりはありません。

キッチンの間取りを検討する際は、必ず料理がしやすい間取りになっているのかを、まず第一に考えることが大事です。その上で、次のようにキッチンを快適に使用するための工夫を検討していきます。

5:調理の流れを意識したキッチンのつくり方(ポイント)

使いやすいキッチンは調理時の作業動線がよく考えられたキッチンです。

調理時の作業動線は工程ごとに下記の5つに別れています。

【キッチンでの調理の流れ】

調理時の作業1:冷蔵庫から食材を取り出す

調理時の作業2:食材を洗う

調理時の作業3:食材を切る、刻む

調理時の作業4:食材を火にかける

調理時の作業5:盛り付ける

つまり、使いやすいキッチンを計画するポイントとしては、以上の5つの調理の工程を、いかに「順序よく」動く距離を少なくした「最小ステップ」で、スムーズに行う事ができるのかを考えていく必要があります。

ですから、調理時の手順を意識してキッチンの動線を考えた場合、「キッチンの並べ方4:冷蔵庫 シンク 作業台 コンロ」が一番理想的なキッチンの並べ方になります。

・調理動線から考えたキッチンでの動き1:冷蔵庫

「冷蔵庫」から「食材」を取り出す。

・調理動線から考えたキッチンでの動き2:シンク

「食材」を「洗う」。

・調理動線から考えたキッチンでの動き3:作業台

洗った「食材」を「切ったり」、「刻んだり」する。

・調理動線から考えたキッチンでの動き4:コンロ

「食材」を鍋やフライパンに入れ「火にかける」。

・調理動線から考えたキッチンでの動き5:作業台

調理された料理を皿に盛り付ける。

・・・

冷蔵庫の位置が「左端」ではなく「右端」であろうと、「II型のキッチン」で後ろに冷蔵庫があったとしても、「横に長いI型のキッチン」であろうと、「コの字型」や「L字型」であろうと、「シンク」と「作業台」、「冷蔵庫」と「コンロ」に分けられた「アイランド型」や「ペニンシュラ型」であろうと、使いやすさを意識した場合料理の手順を無視して設置することはできません。

つまり、まとめると、キッチンは人の動きを優先してプランを検討する必要があります。

※補足ですが、厳密には図のように右利きか左利きかによって使いやすいレイアウトも変わってきます。

利き腕によるキッチンのレイアウトの違い

キッチンに設置する冷蔵庫はできるだけ手前側に置くようにする

キッチンの冷蔵庫の位置(Fが冷蔵庫の位置)

また、キッチンの使い勝手を考えた場合、冷蔵庫はできるだけキッチンの手前側に設置するのが理想的です。

キッチンの奥に冷蔵庫を設置してしまうと、調理の最中に、冷蔵庫を使いたい家族がいた場合、調理中でもキッチンの奥に入り、冷蔵庫までとりに行かなくてはならなくなるため、調理の妨げになってしまいます。

特に、油を使っているときは注意が必要で、油が飛び跳ねるなど危険なこともあります。

例えば、「II型」のキッチンで、作業台と冷蔵庫がコンロの後ろ側に設置されていた場合は、振り向きざまにフライパンや鍋が人に当たってしまうことも考えられます。

ダイニングからキッチンへ両方向から入れるダブルアクセスにする

キッチンのダブルアクセス 画像:コンフォート建築設計工房

特に、アイランドキッチンを設置する場合によく見られますが、左右両方向からキッチンに入れるように動線を計画することで、キッチンの動線が増え、使い勝手の良い動線になります。

ワークトライアングルを意識した配列のキッチンにする

キッチンのワークトライアングル 出典:リフォームコンタクト

ワークトライアングルとは、キッチンの作業の効率化を考えた「調理時の作業動線」のことを言います。

ワークトライングルを意識したキッチンではコンロ、冷蔵庫、シンクの位置をバランスよく保つように設置されるようになり、無駄のないキッチンの調理動線を確保できます。

ワークトライアングルを意識したキッチンは、それぞれの距離が長すぎると動きに無駄が多くなり、逆に短すぎると作業スペースなどや収納スペースなど他の機能を圧迫し使いづらくなるので注意が必要となります。

理想的なワークトライアングルの長さは「シンクの中心」「冷蔵庫の中心」「コンロの中心」を結ぶ三角形の三辺の長さの合計が3600mmから6600mmが適当とされています。

(ワークトライアングルの理想的な長さの合計は人によっては3600mmから6000mmだという方もいます。)

ワークトライアングルの距離は3600mmから6600mmと幅がありますが、中でも三辺の長さの合計が5100mm程度の距離が、一番使い勝手が良い長さであると言われています。

【キッチン調理動線を考える上で理想的なワークトライアングルの長さ】

・シンク〜冷蔵庫の距離 1200mmから1800mm
・冷蔵庫〜コンロの距離 1200mmから2700mm
・コンロ〜シンクの距離 1200mmから2100mm

また、キッチンには「I型」「II型」「L型」「コの字型(U型)」「ペニンシュラ型」「アイランド型」など様々なレイアウトがありますが、ワークトライアングルから見た場合、このうちキッチンの調理動線を考えたレイアウトは「II型」もしくは「コの字型(U型)」だと言われています。

キッチンの形については、この後、具体的にそれぞれの形の特徴をはじめメリットやデメリットをお話ししていきます。ここまでの段階でよくわからなくても、このまま読み進めてください。

ワークトライアングルを考えた場合の「II型」のキッチン

II型キッチン 出典:タカラスタンダード

「II型」のキッチンではキッチン台が平行に2列配置されます。一つは壁側、一つは対面型を意識した場所にキッチンの作業台が配置されます。

そのため、「シンク」、「コンロ」、「冷蔵庫」を2列に分け、三角の形に設置することができるため、自ずと距離が近くなり、理想的なワークトライアングルを作りやすいレイアウトになります。

ワークトライングルを考えた場合の「コの字型(U型)」のキッチン

「コの字型(U型)」のキッチンでは、「II型」のキッチンのように平行に天板が並べられ、それに加えてそれぞれの端と端をつなぐ天板が設置されます。

冷蔵庫をシンクの近くに設置すると、調理効率を高めたキッチンにすることができます。

その他のレイアウトのキッチンでワークトライアングルを取り入れるポイント

その他のキッチンのレイアウトでワークトライアングルを意識した動線を確保する場合は下記の点に注意して取り入れてください。

・「I型」「ペニンシュラ型」のキッチンの場合

ペニンシュラ型キッチン 画像:パナソニック

「I型」キッチンは、横に長いタイプのキッチンなので、作業動線が長くなりすぎないように注意してください。

調理の際の作業効率を考えた場合、冷蔵庫、シンク、作業台、コンロの順番に並べ、目安としては移動距離が3600mm以内に収まるように設計すると無駄な動きをしないで調理をすることができます。

「ペニンシュラ型」キッチンも作業動線に注意してください。

・「L型」のキッチンの場合

L型キッチンとパントリー 出典:タイコーアーキテクト

「L型」のキッチンの場合、動線が自然とワークトライアングルに沿った動きになりますが、設置には「I型」よりも広いスペースが必要となります。

また、「L型」キッチンの場合、「I型」のキッチンよりも作業動線が短くなりますが、「Lの字」の角にあたるコーナーの部分がデッドスペースになってしまう恐れがありますので、注意してください。

L型の場合、通常、端に置く冷蔵庫の近くに冷蔵庫やパントリーを設置すると使いやすくなります。

・「アイランド型」のキッチンの場合

アイランド型キッチンの場合もワークトライアングルに沿ったキッチン動線を確保しやすい特徴がありますが、キッチンの設置にはある程度の広さが必要なので、他のキッチンのレイアウトよりも、キッチンのスペースを広く確保する必要があります。

アイランドキッチン(コンロ壁側配置) 出典:ハンズデザイン一級建築士事務所

またアイランドキッチンの場合は、コンロの位置を「島」の部分に持ってきてしまうと、調理時の油はねを抑える工夫を施すことが必要になります。

掃除のしやすさや換気を考えた場合は、キッチン正面に立った時の背面の壁側のスペースも使い、壁側に冷蔵庫とコンロ、島側にシンクと作業台(またはシンクか作業台を一つ設置し残りは壁側に残す)の設置が望ましいですが、その場合、火を使うときは壁側を向く形になってしまいますのでアイランド型キッチン特有の開放的な調理感を得られなくなる恐れがあります。

繰り返しになりますが、キッチンをプランニングするコツや、その他の家事動線を考えたキッチンを作る方法については記事後半でお話ししていますのでこのまま読み進めてください。

6:キッチンの基本寸法

キッチンの寸法 出典:リフォームガイド

キッチンには様々な形があり、様々なレイアウトの方法があります。

組み合わせは多いですが、基本は「シンク」、「作業台」、「コンロ」に加え「冷蔵庫」を含めた収納スペースを、どのような位置に、どの程度のスペースを確保するのかで決まります。

ここではキッチンの動線を踏まえたキッチンの基本寸法をお話しし、同時に使い勝手の良いキッチンの広さやサイズ感についてお話ししていきます。

キッチンのワークトップ面での高さの基本

身長に合わせたキッチンの寸法 出典:リクシル

日本工業規格(JIS)ではシンクと作業台の高さの寸法を800mm、850mm、900mm、950mmの4種類に分類しています。

>>>日本工業標準調査会:データベース-JIS規格詳細画面

ただしあくまで規格上の数字となり、身長の高い低いによってキッチンの使い勝手が変わってきます。

実際の使いやすさを考えた場合のキッチンのワークトップ面での高さは次の通りとなっています。

【使いやすいキッチンのワークトップ面での高さ】
・使いやすいキッチンの高さ=「身長」÷「2」+「5」cm

つまり身長が150㎝の場合は・・・

150÷2+5=80㎝ということになります。

ただし、高齢者の方が使うことを想定した場合、高齢者の方は前かがみの姿勢でキッチンを利用されることが想定されるため、少し低めに設定しておくと使いやすくなります。

高齢者の方がキッチンを使うことを想定した場合、ワークトップ面の高さはだいたい650mmから750mm程度が適当であるとされています。

キッチンの作業スペースの広さの基本

一般的なキッチンの作業スペースは下記の寸法を目安に設計されています。

キッチン作業の流れと基本的な寸法

・準備スペース 300mm〜750mm
・シンクのはば 600mm〜1200mm
・調理スペース 600mm〜900mm
・配膳スペース 300mm〜900mm

※キッチンを作業スペースごとで分けた場合、キッチンは「準備スペース」「調理スペース」「配膳スペース」の3つのスペースに分けられます。

これらはあくまで基本であり、実際にはそこで作業する人数や動作などにより必要な長さを計算し、使い勝手の良いキッチンに設計を加えていきます。

ただしそれぞれの作業スペースの寸法を広く取った場合、キッチン全体の幅も広がってしまうため、使い勝手の悪いキッチンになってしまう恐れがあります。

例えば壁付け「I型」のキッチンの場合、キッチンの寸法の長さの合計が3600mmを越えると使い勝手が悪くなる場合が多いとされています。

キッチンの寸法の長さが長くなってしまう場合キッチンの形やレイアウトを工夫する必要があります。

・「II型」や「L字型」、「コの字型」のキッチンで寸法を短くする

6種類のキッチンの形と作業動線 出典:kurashiba

「II型」のキッチンの場合、シンクとコンロ、作業台と冷蔵庫のように、設置場所を2つに分けることができるので寸法の長さの合計を短くすることができます。

また「L字型」のキッチンの場合も、同じようにコーナーを利用して作業場所を配置すれば寸法の長さの合計を短くすることができます。「コの字型」のキッチンも同様です。

ただし「L字型」や「コの字型」のキッチンを採用した場合はコーナー部分の使い勝手が悪く、コーナー部分がデッドスペースになってしまうことが多いので注意が必要です。

7:キッチンの種類と選びかた

キッチンの形 出典:ひかリノベ

ここまででキッチンの目的と役割を含めたキッチンの基本についてお話ししました。

ここからはキッチンについて、キッチンの形やスタイル、レイアウトの特徴など、より細かい内容についてお話しして行きます。

まず、キッチンには大きく分けて「壁付けキッチン」と「対面型キッチン」の2つのタイプのキッチンがあります。

またキッチンには3つのスタイルがあり「オープン型キッチン」「セミオープン型キッチン」「独立型キッチン」があります。

さらには、キッチンの形にも種類があり「I型」「II型」「L型」「コ型(U型)」とあります。

キッチンのレイアウトも検討する必要があり「アイランドキッチン」「ペニンシュラキッチン」「L字型キッチン」「外L字型キッチン」「キッチンとダイニングが一体化したタイプ」など様々なレイアウトの仕方があります。

それぞれのキッチンにはメリットがあれば必ずデメリットがあり、事前に注意しておかなければならない点などがあります。

ここからは、キッチンのそれぞれの違いや特徴についてこれからお話しして行きます。

壁付けキッチンと対面型キッチン

キッチンには「壁付けキッチン」と「対面型キッチン」があります。

「壁付けキッチン」とは、壁に向かって設置されているキッチンのことで、「対面型キッチン」とは、キッチンに立った時に身体がダイニングやリビングの方向を向くように設計されたタイプのキッチンのことを言います。

以前は調理をする場所が明確に区切られていたため「壁付けキッチン」が主流でしたが、現在はキッチンで調理をしながら家族と会話できる「対面型キッチン」の人気が高くなっています。

どちらのタイプのキッチンがいいのかについては一概にいうことはできず、それぞれのタイプのキッチンのメリットとデメリットをよく把握した上で、好みや使用状況に合わせて選ぶ事が大事です。

壁付けキッチンとは

I型の壁付けキッチン

壁付けキッチンとは、壁側にキッチンをつくったタイプのキッチンのことで、キッチンに立った時、正面が壁に向かって設置されているタイプのキッチンのことを言います。

壁付けキッチンでは、壁に沿った形でキッチンをつくる事ができ、壁の形に合わせてキッチンを計画する事ができます。

そのため、自ずとキッチンに使うスペースが壁側にコンパクトにまとめられる形となり、キッチン以外の間取りを有効活用する事ができます。

ただし、キッチンで調理をしている最中は壁に向かって調理をすることになるので、家族とのコミュニケーションが取りづらく、リビングやダイニングとつなげワンルームとなる「オープンキッチン」を採用した場合は、収納スペースも少なくなる恐れがあり、収納場所にも注意する必要があります。

※オープンキッチンとは、キッチンとダイニングの間の仕切りがないタイプのキッチンで、セミオープンキッチンとはオープンキッチンにカウンターなどを設置し、空間を緩やかに仕切ったタイプのキッチンのことを言います(カウンターを設けた場合カウンターキッチンなどとも呼ばれます)。

※オープンキッチンを含めた「キッチンの3つのスタイル」については次の項目でお話しするのでこのまま読み進めてください。

壁付けキッチンの背面にカウンターを設けた例 出典:パナソニック

ただし、オープン型の壁付けキッチンであっても、上の写真のようにダイニングテーブルとの間に一定の高さのカウンターを設ければ、キッチン内部を目隠しをすることもでき、リビングやダイニングから見た時のキッチン用品などを隠す事ができます。

壁付けキッチンのメリット

まずは壁付けキッチンのメリットについてお話ししていきます。

主なメリットは下記の6点です。

1:空間を広く使える
2:間取りの自由度が高い
3:調理に集中できる
4:掃除が楽
5:配膳が楽
6:一体感のあるデザインにすることが可能

下記から詳しく説明してきます。

壁付けキッチンのメリット1:空間が広くなり他の間取りを圧迫しない

スタンドードなタイプの壁付けキッチン

壁付けキッチンは壁に向かってキッチンが備え付けられるため、オープン式の対面型キッチンよりも空間を無駄なく使用する事ができます。

特に、ダイニングやリビングをつなげたタイプの間取りで、広い空間をなかなか確保する事ができない場合も壁付けキッチンにすれば空間を広く取る事ができるため、空間を有効活用する事ができます。

壁付けキッチンのメリット2:間取りの自由度が高い

壁に沿って配置されたキッチン 出典:住宅デザイン

壁付けキッチンは、壁に沿ってキッチンが設置されるため、壁の形に合わせて設置する事ができ、間取りの自由度が高くなります。

壁に向かってキッチンを設置する事ができるため、キッチンのスペースを広く取れない場合や、限られたスペースを有効活用したい場合など壁の形に合わせてキッチンを設置する事ができます。

壁付けキッチンは、デザイナーズ住宅によく見られる、変形した特徴のある形の建物でも基本的には対応可能です。

L字型の壁付けキッチンにすれば、作業場所とキッチン収納を多く取る事ができたり、DK(ダイニングキッチン)+ L(リビング)など用途に合わせて空間を分けたい場合も有効です。

壁付けキッチンのメリット3:調理に集中できる

対面型キッチンの場合は、家族の方を向きながら調理を行いますが、壁付けキッチンの場合は、壁に向かって調理をします。

そのため、他のことに意識を奪われることなく、調理に集中することができます。

独立型キッチン以外のキッチンスタイルでは、振り返ればダイニングやリビングとコミュニケーションを取る事ができるので、調理に集中しながらも緩やかに家族とつながる事ができます。

※キッチンの正面に圧迫感がある場合は小窓を設置すれば解消する事ができます。

壁付けキッチンのメリット4:油はねや水はねなどの汚れを最小限に抑えられ掃除が楽になる

壁付けキッチンでは、汚れが必要以上に飛び散らないため調理に際しての汚れを最小範囲に抑えられます。

また、キッチンの壁はタイルなど拭けば綺麗になる素材が多く、調理後の掃除も非常に楽で、また汚れがついても目立ちづらくなります。

壁付けキッチンのメリット5:配膳が楽になる

間取りに依存しますが、キッチンの後ろにダイニングテーブルをおいた場合、調理後の料理をスムーズに配膳する事ができます。

食事後の片付けも楽に行う事ができるので家事効率が良くなります。

壁付けキッチンのメリット6:キッチンをあえて見せるプランニングができる

ダイニングと一体感のある壁付けキッチン

キッチンが見えることは、デメリットに思われがちですが、デザインや設計次第ではキッチンを見せることを意識したプランニングをする事が可能です。

つまり、プランニング次第では、ダイニングやリビングと一体感のある間取りにすることも可能となります。

壁付けキッチンのデメリット

続いて壁付けキッチンのデメリットについても触れていきます。

主なデメリットは下記の7点です

1:キッチンが丸見え
2:常に掃除をする必要がある
3:家電や家具の配置が難しい
4:別に収納スペースが必要
5:間取りの難易度が高い
6:調理に集中できなくなる可能性がある
7:匂いや音が伝わりやすい

下記から詳しく説明していきます。

壁付けキッチンのデメリット1:キッチンが丸見えになる

壁付けキッチンは、キッチンが壁にそのままの状態で備え付けられています。

ですから、「オープン型キッチン」を採用した場合は、基本的にキッチンが丸見えになってしまいます。(独立型キッチンは別です)

統一感のない調理器具やキッチン用品を常備している場合、雑多な印象になってしまったり、汚く見えてしまうこともあるので注意が必要となります。

壁付けキッチンのデメリット2:キッチンをこまめに掃除をする必要がある

独立型以外の壁付けキッチンは、キッチンが丸見えになるため、調理時などの汚れが目立つようになります。

そのためキッチンが散らかっていると生活感が出過ぎてしまったり汚れが目立ってしまうことがあります。

あまりにも乱雑だと、ダイニングやリビングにも影響を及ぼし、落ち着かない空間になってしまう恐れがあります。

壁付けキッチンのデメリット3:キッチン家電やキッチン家具の配置が難しい

間取りやキッチンのタイプにもよりますが、壁付けキッチンは、キッチン家電やキッチン家具の配置が難しいケースが多いです。

横移動が多く調理の際の動線が長くなるケースもあるので、配置場所をよく検討する必要があります。

頻繁に利用するキッチン家電を利用しやすい場所に設置すると、今度は見栄えが悪くなることもあるため、キッチン家電やキッチン家具の配置はプランニングの段階から十分に検討する必要があります。

壁付けキッチンのデメリット4:キッチンの収納スペースをよく検討する必要がある

壁付けキッチンは、収納スペースが少なくなりがちなのでキッチンの収納スペースを十分に検討する必要があります。

特に調理時によく使う食器類などを取り出しやすい場所にしまっておくことが必要で、間取りに合わせて収納スペースをよく検討する必要があります。

デザイン面はもちろん使い勝手を考えた場合、例えば、キッチンの脇にパントリーを設けるなど間取りを工夫すればいいと思います。

※キッチンに面してパントリー(食料庫)を設置し、引き戸を設置し普段は見えなくすることで、キッチンで使用される家電を隠す設計は、よく利用される間取り設計の一つです。

キッチン脇のパントリーの設置 出典:Von Fitz Design

例えば上の写真のようにキッチンの脇にパントリーを設けるケースです。

キッチン脇のパントリーの設置2 出典:Von Fitz Design

この場合、引き戸に組み込まれたガラス越しにパントリー内部が見えるデザインになっています。

壁付けキッチンのデメリット5:キッチンの使い勝手を考えた間取りの難易度が高い

壁付けキッチンは、間取りの自由度は高いですが、使い勝手を含めたトータルでの間取りの難易度は高い傾向があります。

壁に沿って一直線にキッチンが配置されるため、収納スペースの問題はもちろん、どうしても使い勝手に問題が出てきます。

例えば通常のタイプの作業場が横並びの配置の場合、調理時に頻繁に利用する冷蔵庫やコンロまでの距離が遠いと非常に使い勝手が悪くなります。

ただし人によっては使い勝手が、気にならない方もいるため一概にデメリットとは言い切れないところもあります。

※壁付けキッチンを使いやすくするポイント

壁付けキッチンの最大の問題点は、横移動の多さにあります。

壁付けキッチンでは、調理中の移動は全て横移動になるため、対面型キッチンよりも調理時の移動距離が長くなります。例えば、冷蔵庫、シンク、作業台、コンロという一般的な順番で配置した場合、コンロから冷蔵庫までの距離が長くなってしまいます。

I型とL型のキッチン動線の違い

これを解消する方法としては、例えば「L字型の壁付けキッチン」にする方法などがありL字型にすると、コンロと冷蔵庫までの距離が近くなり作業効率を考えたキッチンにする事ができます。

壁付けキッチンのデメリット6:キッチンの間取りの取り方によっては調理に集中できなくなる可能性がある

壁付けキッチンを、生活の中心となる場所に持ってくると、キッチンへアクセスしやすくなりますが、動線が便利になりすぎてしまい、不便が生じてしまう恐れがあるので注意してください。

例えば、料理の最中にキッチンに侵入されてしまったり調理の際の動線が非常に悪くなる恐れがあります。

壁付けキッチンでは、壁に向かい調理をするため料理に集中しやすくなりますが、その一方で、周りに目を配る事ができなくなるので、調理の最中にキッチンに侵入された場合、使い勝手が非常に悪くなる可能性があります。

例えば、目線は壁を向いており、後方を確認する事ができないので、熱い鍋を持っている時に後ろに人が通った場合、非常に危険な状態になってしまいます。キッチンの設置場所によっては不都合の方が優ってしまい、調理に集中できるという壁付けキッチンのメリットがデメリットになってしまう可能性もあるので、動線をしっかりと検討した上でキッチンの設置場所を決める必要があります。

壁付けキッチンのデメリット7:キッチンの匂いや音が伝わりやすい

独立型以外の壁付けキッチンは、匂いや音が他の部屋に伝わりやすく、調理中に材料を刻む音や調理中の香ばしい匂いがダイニングはもちろん、リビングなど他の部屋にも伝わって行きやすくなる特徴があります。

また壁付けキッチンは調理時に出た生ゴミなどの匂いも室内に充満しやすいため、対策を施す事が必要です。

対面型キッチンとは

ペニンシュラ型の対面型キッチン

対面型キッチンとは、調理をするときにダイニングやリビングに向かって作業をする事が考えられ、設置されているキッチンのことをいいます。

つまり対面型キッチンとは、キッチンとダイニングが完全に仕切られておらず、ダイニングやリビングと対面して設置してあるタイプのキッチンのことを言います。

対面型キッチンの最大の特徴は、リビングやダイニングに向かって作業をする事ができるので、調理をしながら家族とコミュニケーションを取れたり、間取りによってはテレビを見ながら調理できる点にあります。

対面型キッチンのメリット

ここからは対面型キッチンのメリットについてお話ししていきます。

対面型キッチンのメリットは下記の6点です。

1:調理がしやすくなる
2:「ながら」調理ができる
3:キッチン周りの整理整頓が楽
4:配膳や片付けが楽
5:ダイニング側から見えないよう目隠しができる
6:開放感がある

下記から詳しく説明していきます。

対面型キッチンのメリット1:調理がしやすくなる

対面型キッチンでは、キッチン家電やキッチン家具が作業場の背面壁側に設置される事が多くあります。

キッチン家電やキッチン家具を背面壁側に設置した場合、作業中の移動は振り向くだけで済ませられる事が多いので、調理の際の移動距離が短くなり、結果使いやすいキッチンを設計する事ができます。

対面型キッチンのメリット2:何かをしながら調理をする事ができる

対面型キッチンでは、調理以外の何かを同時にしながら調理をする事ができます。

例えば、リビングに設置されたテレビを見ながら調理をしたり、子供や家族とコミュニケーションを取りながら調理をする事もできます。

小さなお子様がいる場合は、一緒にテレビを見ながら調理をするなど、常に目の行き届いた環境で同時に調理をすることができます。

調理時の匂いや音はどうしても空間全体に広がってしまいますが、調理をしながらも他のことを同時に行えるメリットは大きいと言えます。

対面型キッチンのメリット3:壁に溶け込んだデザインの収納を設置する事でキッチン周りが整理整頓できる

背面の壁側にキッチン周りの調理器具を隠せる収納を設置すれば、整理整頓する事ができます。

その際、キッチン壁側の収納扉を開き戸ではなく、引き戸タイプなどに工夫すれば調理をするときにだけ、扉を開いておきオープンに、普段は扉を閉じておくなどすれば、キッチン周りの収納を整理整頓する事ができます。

キッチン収納に引き戸の扉を設置した例 出典:無印良品

写真は無印良品の家のキッチンですが、キッチンを使用しない時は、収納スペースの扉を閉めてしまうことでキッチン周りをスッキリさせることができます。

半透明の引き戸を使用したキッチン収納の例 出典:無印良品

対面型キッチンのメリット4:配膳や後片付けが楽になる

対面型キッチンを採用すると、配膳や後片付けの動線が短縮されるため食前食後の家事動線が楽になります。

対面型キッチンのメリット5:カウンターを設置すればダイニングやリビングからキッチンがあまり見えなくなる

キッチン内部の目隠しカウンター 画像:オウチーノ

ダイニング側に目隠しカウンターを設置するセミオープンキッチンを採用した場合、調理時に手元を見えにくくすることができます。

一方で、キッチン側からはダイニングやリビングを見渡す事ができます。

※ただし、作業場の配置の仕方によってはダイニングやリビングからキッチン内部が見える事があります。

対面型キッチンのメリット6:開放感があるデザインにする事ができる

対面型キッチンの設計デザインにもよりますが、設置の仕方によっては非常に開放感のあるキッチンにする事ができます。

また照明デザインを含めインテリアなどのデザインを統一する事で存在感のある「魅せるキッチン」にすることもできます。

対面型キッチンのデメリット

続いて対面型キッチンのデメリットについてもお話ししていきます。

対面型キッチンのデメリットは主に下記の5点です。

1:匂いや音が伝わりやすい
2:汚れやすい
3:部屋が狭くなる
4:収納スペースを検討する必要がある
5:雑多な印象が強くなりやすい

下記から詳しく説明していきます。

対面型キッチンのデメリット1:キッチンからの匂いや音が伝わりやすい

対面型キッチンの場合、カウンターやリビングに対面して調理作業場が設置されるため、間取り上どうしても匂いや音が伝わりやすい設計となっています。

調理時の匂いは換気扇を設置する事である程度緩和させる事ができますが、音の問題は、構造上防ぐことはできません。

対面型キッチンの場合は家族とコミュニケーションが取りやすくなる一方で匂いや音の問題と常に向き合う必要があります。

対面型キッチンのデメリット2:キッチンからの汚れ対策が必要

対面型キッチンでは、調理時の汚れなどをしっかりと対策する必要があります。

素材や食器を洗う際の水の飛び散りはもちろん、特に調理時の油はねなどには気をつける必要があります。

人気の高いアイランド型キッチンやペニンシュラ型キッチンの場合は特に注意が必要で、対策をしっかりと施した設計にしておかないと、非常に使い勝手の悪いキッチンが出来上がってしまいます。

特にアイランドキッチンは周りが壁に面していないため、調理時の油の飛び散りに注意した設計をする事が必要です。

対面型キッチンを採用したものの、汚れを気にされる方は例えばコンロだけを壁側に設置するなどの対策を施せば問題ありません。

対面型キッチンのデメリット3:部屋が狭くなる

壁付けキッチンの場合、壁に沿ってキッチンがつくられるため、キッチンを広く使用する事ができますが対面型キッチンでは、キッチンを設置するスペースが必要となるため、間取りによってはダイニングやリビングが圧迫され狭くなってしまいます。

対面型キッチンのデメリット4:収納スペースが狭くなる

限られた間取りで、対面型キッチンを採用すると、思うように収納スペースを取る事ができない場合があります。

キッチンのスペースを広く取れる場合は問題は生じませんが、例えば、対面型キッチンを採用し、背面の壁側に収納スペースを設ける余裕がない場合、収納スペースに困る事があります。

対面型キッチンのデメリット5:キッチン特有の雑多な印象が強くなる恐れがある

キッチンの調味料は、個性の強いパッケージのものが多く、そのままにしておくと雑多な印象が強くなってしまいます。

調味料を他のケースに入れ替えて統一したり、普段は収納棚などに収納しておき、使用時だけ出すなどの工夫を施さないとスタイリッシュな見た目のキッチンが野暮ったく見えてしまいます。

対面型キッチンを採用する際の注意点

対面型キッチンを採用する場合は特に下記の点に注意してください。

対面型キッチンの注意点1:音の問題

キッチンからの音は意外と曲者(くせもの)です。

キッチンからはシンクから流れる水の音や、食器が擦れる音、コンロで調理をする際に火にかける時に出る音など様々な音が生じます。

対面型キッチンを採用する際は音を軽減する工夫を施す事が必要になります。

※キッチンのスタイルによっては音の問題は解消できないこともあります。

特にアイランド型やペニンシュラ型などは間仕切りがない開放感がウリになっているため、音の問題の対策を施すことは不可能に近く、音と向き合っていく必要があります。

写真のように、キッチンとダイニングを透明なガラスの引き戸で仕切り、独立型キッチンに近いスタイルを採用することで音や匂いを軽減する措置を取ることもできます。

上の写真のような間取りにした場合は、配膳時の時にだけガラス扉を開閉することになります。

ただし、音や匂いは伝わりづらくなる一方、動線には不便が生じることがあるので、十分に検討して設置する必要があります。

対面型キッチンの注意点2:匂いの問題

匂いを抑える工夫としては換気扇はもちろん、生ゴミなどから生じる腐敗臭にも対策を施す必要があります。

調理時の匂いは換気扇である程度緩和することはできますが、生ゴミから生じる匂いに対しては、例えばディスポーザー(生ゴミ粉砕機)などを利用し衛生面を高める工夫をしなくてはなりません。

対面型キッチンの注意点3:油はねの問題

アイランドキッチンの油飛び散り防止ガラス

対面型キッチンの場合、キッチンの形やレイアウトによっては、調理時の油はねの問題が生じます。

その場合は、壁側にコンロを設置し油はねを防ぐか、コンロの前に全面ガラスパネルを用いることで、開放感を維持しながらも調理時の匂いはもちろん、煙や油はねなどを最小限に抑える事ができます。

 

対面型キッチンの注意点4:見え方の問題

対面型キッチンを採用した場合、ダイニングやリビングからの見え方にも気を配る必要があります。

例えばキッチンのスタイルや、キッチンのレイアウトによっては、手元が丸見えになってしまう事があります。対面型キッチンでは使い勝手はもちろん、見え方を意識したプランを検討する事が必要になります。

また水栓や換気扇なども丸見えになるため、全体的に統一されたデザインにする工夫が必要になります。

キッチンの3つのスタイル

キッチンの3つのスタイル

キッチンにはオープン型、セミオープン型、独立型の3つのスタイルがあります。

それぞれのキッチンスタイルに特徴があり、メリットがあれば、必ずデメリットが存在します。

ここでは簡単にそれぞれのキッチンスタイルの特徴とメリットとデメリットをあげていきます。

キッチンのスタイル1:オープン型キッチン

オープン型キッチン 出典:SUUMO

オープン型キッチンとは、キッチンとダイニングとの間に仕切りをなくしたタイプのキッチンのことを言います。

つまり、一般的にはリビング、ダイニング、キッチンが一体化されているタイプのキッチンのことをオープンキッチンと呼んでいます。

オープンキッチンには大きく分けてアイランド型キッチン(島型キッチン)とペニンシュラ型キッチン(半島型キッチン)、II型キッチン(セパレート型キッチン)、外L字型キッチンがありますが、なかでもアイランドキッチンは人気の高い間取りで、キッチンとダイニングが連続した空間となり、間取り配置を考えることで、広く開放的な空間をつくることができます。

オープン型キッチンの特徴

オープン型キッチンは間仕切りを設けずにリビングやダイニングを一括りにしたスタイルで、3つの間取りをまとめてワンルームに収めるスタイルのキッチンです。

狭小住宅など、一部屋あたりの広さを取れない場合や、キッチンが暗くなりがちな場合、オープン型キッチンを採用すると視線が抜けるため奥行きがうまれる他、空間が広く見えるためキッチンを明るい場所にする事ができます。

ただし、本来は別々の役割や目的を持つ部屋が一つになる間取りのため、換気や音の問題をよく検討したプランにする必要があります。

パーティーなど友人を家に招く機会が多い方や、夫婦はもちろん子供と一緒に楽しみながら料理をしたいキッチンを希望されている場合はオープンキッチンが適しています。

オープン型キッチンのメリットとデメリット

オープン型キッチンにするメリットは下記の通りです。

1:開放的な空間になる
2:コミュニケーションが取れる
3:キッチンを明るくできる
4:配膳や片付けが楽になる

下記から詳しく説明していきます。

オープン型キッチンのメリット1:キッチンはもちろんダイニングやリビングも開放的な空間になる

オープンキッチンにする一番のメリットは開放感です。

オープンキッチンでは、キッチンをつくるために独立した空間を設ける必要がなく、間仕切りなどの壁をつくる必要がないため、リビングやダイニングの空間と繋げることで、より開放的な空間にすることができます。

オープン型キッチンのメリット2:キッチンで料理をしながらコミュニケーションが取れる

オープンキッチンを採用すると、リビングやダイニングがひと続きの空間になり、料理をしながらリビングにいる家族とコミュニケーションをとることができるようになります。

キッチンのレイアウト次第で、小さなお子様を遊ばせながら料理をすることができるので、安心して調理をすることができます。

オープン型キッチンのメリット3:キッチンを明るくできる

オープンキッチンはダイニングやリビングとの間に壁などの間仕切りがないため、ダイニングやリビングから直接採光を取る事ができます。

そのため暗くなりがちなキッチンを明るい空間にする事ができます。

オープン型キッチンのメリット4:配膳や片付けが楽になる

オープンキッチンでは、ダイニングやリビングとの間に、間仕切りとなる壁が存在しません。

そのため調理後の配膳も非常に楽になります。また食べ終わった後の食器の片付けも楽になります。

オープン型キッチンのデメリット

続いてオープン型キッチンのデメリットについてお話しします。

オープン型キッチンのデメリットは主に4点です。

1:匂いや音の問題
2:整理整頓の問題
3:生活感が目につきやすくなる
4:配置次第では使い勝手が悪くなる

下記から詳しく説明していきます。

オープン型キッチンのデメリット1:キッチンからの料理の匂いや音が気になる

オープンキッチンは間取りが明確に区切られていません。

ダイニングやリビングがキッチンそばに併設している場合、リビングでくつろいでいても料理の音が聞こえてきますし、匂いもキッチンを超えて室内にこもりやすくなります。

特に夏場は生ゴミの腐敗臭が風に乗ってリビングまで運ばれてくることもあるので、ディスポーサーを設置するなどの対策を取ることが必要です。

また、オープンキッチンは、食べ終わった後に食器を洗う音なども室内に響きやすく、リビングでテレビなどをくつろいでみている場合でも気になってしまう場合もあります。

オープン型キッチンのデメリット2:キッチンの汚れが目立ちやすく整理整頓が必要になる

オープンキッチンを採用するとキッチンがオープンとなり、ダイニングはもちろん、リビングとひと続きの空間になります。

本来別々の役割を持つ空間が一つになるわけですから、それに伴い様々な問題も生まれてきます。

例えば、LDKを一つの空間にまとめた場合、キッチンが整理整頓されており、綺麗にされている場合は問題ないですが、キッチンが汚れていると汚れが目立ちやすく、リビングやダイニングが非常に居心地の悪い空間になってしまいます。

またオープンキッチンを採用した場合は、清掃はもちろん、普段から整理整頓をするなど、収納の問題を工夫しないと、見た目が悪く雑多な空間になってしまう恐れがあります。

さらには、油はねや水はねなどにより汚れがキッチン周りに飛散するため、キッチンの周りに汚れもつきやすくなります。

オープン型キッチンのデメリット3:生活感が目につきやすくなる

オープンキッチンを採用した場合、生活感が目につきやすくなります。

食べ終わった後に皿洗いをせずに放置していると生活感が出てしまい汚く見えますし、キッチン周りに置く調味料などの細かい部分まで常に整理整頓し美しい状態を保つことが必要になります。

前の晩に洗い残したお皿が溜まっていた場合、朝から気分が落ち込むこともあったり、また急な来客が来た場合、洗い物を隠す事ができないので、キッチンが汚れていると恥ずかしい思いをすることもあります。

オープン型キッチンのデメリット4:キッチンの形状や配置次第では使い勝手が悪くなる

オープンキッチンにはアイランド型をはじめ、ペニンシュラ型、I型、II型、L型、U型など様々な形があります。

形状や配置、コンロやシンク、作業台の場所を間違えてしまうと非常に使い勝手が悪いキッチンとなってしまう恐れがあるため注意が必要です。

また、オープンキッチンにした場合、壁に収納できるスペースがなくなるため、収納のスペースをどこにするのかも非常に大事なポイントとなります。

キッチンのスタイル2:セミオープン型キッチン

セミオープン型キッチン 出典:SUUMO

セミオープン型キッチンとは、カウンターや吊戸棚などによりキッチンと他の居室を部分的に仕切ることで、他の居室との間に緩やかなつながりを持たせたタイプのキッチンのことを言います。

キッチンとダイニングを緩やかに分けることでダイニングやリビングと距離を置きながらも、連続した緩やかな空間にすることが出来ます。

対面式キッチンを採用した場合、キッチンからはダイニングやリビングを見渡すことが出来ますが、ダイニングやリビングからはキッチン内部が見えづらくなるため、調理器具などが多少乱雑になっていても、オープンキッチンよりも、気にならないなどのメリットがあります。

セミオープン型キッチンは、カウンターで部分的に仕切られていることから「カウンター式対面キッチン」などと呼ばれることもあります。

セミオープン型キッチンの特徴

セミオープン型キッチン 出典:一般社団法人リビングアメニティ協会

セミオープン型キッチンは、キッチンからリビングとダイニングを緩やかに切り離し、別々の場所として機能させるタイプのキッチンです。

キッチンからはカウンター越しに、ダイニングやリビングを眺めることができ、家族と程よい距離で触れ合いながら調理をすることができます。

セミオープン型のキッチンは、キッチンの機能を明確に切り離したくはなく、程よくダイニングやリビングとつなげたい方に向いています。

また、急な来客があった場合もキッチン内部をみられることなく調理をすることができる間取りのため、会話をしながらおもてなしをすることができます。

※カウンターのみ設置の場合は、キッチンからダイニングに向けての開口部が広くなるので「セミオープン型キッチン」と呼ばれますが、カウンターの上部に吊り戸棚を設置しダイニングに向けての開口部を狭くした場合「セミクローズド型キッチン」と呼ばれることもあります。

セミオープン型キッチン 出典:TRY家コラム
セミクローズド型キッチン 出典:TRY家コラム

セミオープン型キッチンのメリットとデメリット

まずはセミオープン型キッチンのメリットからお話しします。

セミオープン型キッチンのメリットは下記の3点です。

1:緩やかに空間を仕切ることができる
2:調理時の手元が隠せる
3:キッチンを適度に隠せる

下記から詳しく解説していきます。

セミオープン型キッチンのメリット1:緩やかに空間を仕切ることができる

セミオープン型のキッチンでは、緩やかに空間を分けることが出来ます。

オープン型キッチンの場合は、キッチンが丸見えとなってしまいますが、セミオープン型キッチンでは、壁や吊り戸棚、カウンターなどにより緩やかに空間を仕切ることができ、程よい距離で空間を分けることが出来ます。

つまり、セミオープン型キッチンでは、ダイニングやリビングと適度な距離を保ちつつも、キッチンの機能を分け緩やかに独立した間取りにすることができるようになります。

セミオープン型キッチンのメリット2:調理をする時に手元を見られない

セミオープン型キッチン 出典:ミサワホーム

対面式のセミオープン型キッチンでは、キッチン側からは家族のいる風景を見渡すことが出来ますが、ダイニングやリビング側からは手元を見ることが出来ません。

来客時などは、手元をみれらることなく調理をすることができるため、緩やかにコミュニケーションを取りながらも、調理に集中することが出来ます。

セミオープン型キッチンのメリット3:キッチンを適度に隠すことができる

セミオープン型キッチンでは、キッチンが程よい距離で独立しているため、キッチン内部を適度に隠すことが出来ます。

そのため、オープンキッチンのように常に整理整頓をしておかないと見栄えが悪くなるということは少なく、調理器具などを出しっぱなしにしていたり、多少洗い物が溜まっていてもそれほど目立つことがなく、適度に隠すことが出来ます。

セミオープン型キッチンのデメリット

続いてセミオープン型キッチンのデメリットについてお話ししていきます。

セミオープン型キッチンのデメリットは主に下記の3点です。

1:匂いや音の問題
2:開放感が少ない
3:動線を検討する必要がある

下記から詳しく解説していきます。

セミオープン型キッチンのデメリット1:キッチンからの匂いや音が気になる

セミオープン型のキッチンでは、オープン型のキッチンよりは多少音や匂いを防ぐことが出来ますが、音や匂いを完全に防ぐことはできません。

そのため、洗い物をしているときはダイニングやリビングに音が響いてしまいますし、調理をしているときも匂いや音が部屋にこもってしまいがちになります。

セミオープン型キッチンのデメリット2:オープンキッチンよりも開放感がない

セミオープン型のキッチンを採用すると、オープン型キッチンと比べ開放感はなくなります。

適度に隠すことができる一方で、オープン型キッチンのように解放的な空間にすることは出来ず、リビングやダイニングからの視界の抜けも悪く部屋が狭く見えてしまいます。

セミオープン型キッチンのデメリット3:キッチンの動線を考える必要がある

セミオープン型キッチンは、オープン型キッチンのように開放的な空間にすることが出来ないので、自ずとキッチンの動線も制限されます。

特に冷蔵庫の位置には注意する必要があります。

キッチンの調理作業効率を考えた場合、冷蔵庫の位置が変わると、コンロや作業台、シンクなどの位置も変わってくるため、きちんと動線を考えたつくりにする必要があります。

冷蔵庫や収納の位置に幅をきかせたい場合は、一方向からだけではなく、両方向からキッチンに入れるタイプのキッチンが検討されると思いますが、その場合、収納スペースが減ってしまうので注意が必要です。

オープン型キッチンやセミオープン型キッチンを採用する上での注意点

オープン型タイプのキッチンでは、特にコンロの油はねや排気に注意する必要があります。

なかでも、アイランドタイプのキッチンは、アイランド部分にコンロを持ってきてしまうと、3方向がオープンになっているため、匂いはもちろん、調理時の油が上昇気流に乗り思わぬ場所に飛び散ってしまうこともあります。

火力や油の使い方などにもよりますが一般的には2〜3mは油はねがあると言われており、特に揚げ物をするときに注意する必要があります。

アイランドキッチン用の油はねガードガラス

コンロ部分をガラスで覆うことで、デザインを損なわずに調理時の油はねを防ぐことはできますが、匂いの問題はどうにもなりません。

対策としては、コンロ部分を壁側に持ってくるなどが検討されますが、排気を考えた場合は、やはりアイランド部分にはシンクや作業台程度に止めて置くことが理想的だと思います。

 

 

キッチンのスタイル3:独立型のキッチン

独立型キッチン 出典:SUUMO

独立型キッチンとは、キッチンがダイニングから独立した空間に設置されたキッチンのことを言います。

つまり他の居室と明確にキッチンの機能が分けられているタイプのキッチンを独立型キッチンと言います。

ダイニングやキッチンとの間に壁がある場合、キッチンそのものが独立した空間となっているため、調理をする場所という色が濃くなり、より使い勝手の良いキッチンのプランを練ることができるほか、調理に集中できる空間をつくることができます。

独立型キッチンの特徴

独立型キッチン 出典:株式会社SWITCH

独立型キッチンは、キッチンが他の部屋と切り離されているため、調理する姿をみられたくない場合や、フォーマルなお客様が多い家に向いています。

間取りにのとり方にもよりますが、独立型のキッチンにすることで来客をされた方の配慮も最小限にとどめる事ができ、より手の込んだ料理を集中してつくる事ができるようになります。

またキッチンを独立させる事で「料理をする」という本来の目的にかなった空間をつくる事ができます。

独立型キッチンのメリットとデメリット

まず独立型キッチンのメリットについて触れていきます。

独立型キッチンのメリットは主に下記の5点です。

1:調理に特化したキッチンができる
2:DKと切り離して設計できる
3:収納スペースを確保できる
4:音や匂いが伝わりづらい
5:掃除が楽

下記から詳しく説明していきます。

独立型キッチンのメリット1:調理に特化した空間をつくることができる

独立型キッチンでは、調理をするためだけに特化した調理場をつくることができるため、調理時の使い勝手を意識した空間をつくることができます。

つまり、独立型キッチンを採用した場合、他の居室とキッチンを切り離して間取りを考えることができます。

そのため、オープンキッチンやセミオープンキッチンのようにみせるための工夫を施す必要はなく、収納スペースはもちろん、炊飯器、電子レンジ、調理器具などを好みに合わせて設置することができるようになります。

独立型キッチンのメリット2:独自性の高いキッチンをつくることができる

独立型キッチンは、他のキッチンタイプと違い、他の部屋との相性やバランスを考える必要がありません。

そのため、好みに合わせたキッチンをつくることができ、料理のしやすさや機能性にこだわったデザイン性の高いキッチンにすることができます。

独立型キッチンのメリット3:キッチン周りの収納スペースを広く取ることができる

独立型キッチンは壁に囲まれた空間にすることができるため、収納スペースも多く確保することができ、見せる収納も、隠す収納も思いのままに選択することができます。

独立型キッチンのメリット4:キッチンから音や匂いが広がりづらい

独立型キッチンは、キッチンが独立した空間として存在しています。

そのため音や匂いが他の部屋に伝わりづらい特徴があります。

ただしキッチンの配置の仕方によってはキッチンから匂いが広がることも考えられるので、風の流れなどをしっかりと読んだ設計に工夫する必要があります

独立型キッチンのメリット5:キッチンからの油はねや水はねにより汚れる心配がなく掃除が楽になる

独立型キッチンでは、調理中の油はねや水はねなどの汚れが他の居室に広がることがないので、掃除が楽になります。

特に油をよく使う家庭の場合は、見えないところに油が飛び散り、後になって床や壁がべとつくことがありますが、キッチンを独立させた場合、そうした心配をする必要がなくなります。

独立型キッチンのデメリット

続いて独立型キッチンのデメリットについて見ていきます。

独立型キッチンのデメリットは主に下記の5点です。

1:配膳の動線の確保が必要
2:暗くなりがち
3:換気が必要
4:調理時は孤独
5:間取りによっては閉塞的な空間になる

下記から詳しく説明してきます。

独立型キッチンのデメリット1:配膳の動線を考える必要がある

独立型キッチンではオープン型キッチンや、セミオープン型キッチンのようにカウンター越しに調理を終えた料理を提供する事ができません。

独立型キッチンでは料理を運ぶ手間もかかるため、配膳の動線をきちんと検討し計画する必要があります。

※例えば、使い勝手を意識した場合、間取りにもよりますが、写真のような配膳用の開口部があると便利になる場合もあります。

配膳専用の開口部 出典:建築家 中川龍吾

独立型キッチンのデメリット2:キッチンの採光に気をつける必要がある

独立型キッチンは壁によって空間が仕切られるため、間取りによっては暗いキッチンになってしまいます。

そのため、適所に窓などを設けるなどして採光をよく検討した間取りにしないと暗くジメジメとした空間になりがちになってしまいます。

※間取りにもよりますが、キッチンにトップライトや天窓を作ると明るいキッチンになります。

天窓によるキッチンの明るさの違い 出典:All About

注文住宅の窓については「注文住宅の窓で失敗しないために抑えておきたい21種類の窓と配置のコツ」にそれぞれの窓の形のメリットやデメリットがまとめられていますので参考にしてください。

特に「絶対に窓を設置した方が良い、家の中で暗くなりがちな場所」の章の「3:キッチン」でキッチンでの窓のプランニングについてお話しさせていただいています。

独立型キッチンのデメリット3:キッチン内の通風や換気を検討する必要がある

独立型キッチンでは、換気はもちろん、風の抜けなどの風通しも良く検討する必要があります。

換気をよく検討しないと匂いがこもりやすい空間になってしまったり、キッチンだけが湿気の多い空間になってしまいます。

独立型キッチンのデメリット4:料理中は家族とのコミュニケーションが取れない

独立型キッチンは、料理をする部屋として間取りが明確に区切られているため、料理を作っている最中はリビングにいる家族と会話を楽しむ事ができなくなります。

そのため人によっては料理中は孤独に感じることもあります。

独立型キッチンのデメリット5:間取りによっては閉塞的なキッチンになる

独立型キッチンを設置する場所や間取りによっては、閉塞的なキッチンになってしまいます。

開口部や窓を設けると圧迫感がなくなることも多いので、工夫を施す事が必要となります。

キッチンを料理をする人専用のスペースと考えるのか、家族の共有スペースと考えるのか

つまりキッチンのスタイルは、キッチンを料理をする人専用スペースとするのか、それともオープンにし家族全員の共有スペースにするのかでキッチンのスタイルは変わってきます。

専用スペース:独立型キッチン
共有スペース:オープン型キッチン・セミオープン型キッチン実際にはここであげたこと以上に、様々な要素を検討してキッチンをつくって行く必要があります。

キッチンの形

キッチンの形には「I型」「II型」「L型」「コ型(U型)」など様々な形があります。

どのキッチンの形を選ぶのかは、使い勝手はもちろん、好みや家族の状況など、キッチンに求めているものによって変わってきます。

キッチンの形の基本は4つのタイプですが、対面型キッチン専用の形を入れるとキッチンの形は下記の6つのタイプに分けることができます。

キッチンの4つの形の基本

下記の4つのキッチンでは対面型キッチンや壁付けキッチンはもちろん、オープン型キッチン、セミオープン型キッチン、独立型キッチンなど全てのキッチンのタイプに対応しています。

ここではまず、それぞれのキッチンの形の簡単な特徴を記していきます。

I型キッチン

I型キッチン

I型のキッチンとはシンク、作業台、コンロを一列に並べた形のキッチンのことを言います。

II型(セパレート型)キッチン

II型(セパレート型)キッチン

II型のキッチンとは、シンク、作業台、コンロを二列に平行に並べて設置した形のキッチンことを言います。

キッチンの中央にスペースが生まれるのでキッチンの中央を動き回ることができます。

L型キッチン

L型キッチン

L型キッチンとは、キッチンをL字型に並べた形のキッチンのことを言います。

コーナー部分がデッドスペースになりやすく、収納スペースが少なくなりがちなので工夫が必要になります。

コ型(U型)キッチン

コ型(U型)キッチン

コ型キッチンとは、キッチンをカタカナの「コ」の字型に並べた形のキッチンのことを言います。

コーナー部分はL型キッチンと同じようにデッドスペースとなりがちですが、作業スペースはもちろん収納スペースを多く取ることができ、調理や配膳スペースなども確保しやすい特徴があります。

対面型キッチン専用のキッチンの形

対面型キッチン専用のキッチンの形には、アイランド型キッチンとペニンシュラ型キッチンの2つのタイプがあります。

アイランド型キッチン

アイランド型キッチン 出典:キッチンリフォーム見積もりネット

アイランド型キッチンとは、シンクや作業台を含むキッチンが壁に接することなく「島」のように独立して設置された形のキッチンのことを言います。

キッチンの機能を島のように独立させているため「アイランド(島)」型キッチンと言います。

ペニンシュラ型キッチン

ペニンシュラ型キッチン  出典:キッチンリフォーム見積もりネット

ペニンシュラ型キッチンとは、キッチンの左右端のどちらか一方が壁に接しており、壁から半島のように突き出して見える対面式の形のキッチンのことを言います。

壁から半島のように突きだしてい見えるため「ペニンシュラ(半島)」型キッチンと呼ばれています。

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この他にも円卓にしたものや、キッチンの形を複雑な形にしたものまで様々なキッチンの形がありますが、キッチンの形の基本は以上であげた6つのキッチンの形の組み合わせになります。

半円形のキッチン「サークルステージ」出典:キッチンハウス

写真は半円形のキッチンです。

緩やかにL字型に曲げることで、コーナー部分に立った時の調理動線を短くすることができます。

この他にもここであげた「キッチンの6つの形を基本」をベースに、様々な形のキッチンがあります。

キッチンの基本的なレイアウト

続いてキッチンの基本的なレイアウトについて見ていきます。

先ほどのキッチンの形を組み合わせることで様々なレイアウトを生み出すことができます。

それぞれのレイアウトの特徴はもちろん、それぞれのキッチンの形にするメリットやデメリットについても触れていきますので、キッチンで悩まれている際の参考にしてください。

I型キッチン

I型キッチン 出典:TRY家コラム

I型キッチンとは、調理スペースを一列に配置したタイプのキッチンで、最もベーシックな形のキッチンのことを言います。

キッチン作業場が一列に配置されるため、非常にシンプルな形になり、目にする機会も多いキッチンのレイアウトです。

I型キッチンは、壁付けキッチンに加え、対面型のキッチンにも対応しており、様々なキッチンのレイアウトに対応しています。

例えば、壁付けのI型キッチンの場合は、壁に沿ってキッチンが設置されるため、背面に壁を作らなければ、オープン型キッチンとなります。

また、壁付け型のI型キッチンで背面に壁を作った場合は、好みに応じてダイニングとの間を緩やかにつなげる、「セミオープン型キッチン」にするか、壁で見えなくしてしまうことで「独立型のキッチン」にすることもできます。

ただし対面型のI型キッチンの場合は、アイランド型キッチンのように完全に「オープンキッチン」とはならず、ダイニングとの間に緩やかな高さのカウンター(壁)ができるため、セミオープン型のキッチンとなります。

I型キッチンの基本的なレイアウト2パターン

すでにお話ししたようにI型キッチンには基本的なレイアウトが2パターンあります。

壁付け型I型キッチン 出典:住むプロ

まず一つ目のパターンが壁付けにするタイプのキッチンです。

壁付けにするレイアウトのI型キッチンを選んだ場合は、調理をする人が壁に立って料理をすることになります。

対面型I型キッチン 出典:住むプロ

二つ目のパターンが対面型にするタイプのキッチンです。

対面型にするタイプのキッチンを選んだ場合は、調理をする人がリビングやダイニングの方向をみて調理をすることになります。

この場合、通常、キッチンの背面壁側には食器棚などを設置します。

I型キッチンのメリット

続いてI型キッチンのメリットについてお話ししていきます。

I型キッチンにする主なメリットは下記の6点です。

1:形がシンプル
2:低価格
3:豊富な選択肢
4:対面型でも手元が隠れる
5:対面型でも汚れが目立たない
6:汚れにくい

下記より具体的に解説していきます。

I型キッチンのメリット1:形がシンプルで使い勝手が良い

I型キッチンは非常にシンプルで使い勝手が良く、壁付けキッチン、対面型キッチンはもちろん、オープンキッチンやセミオープンキッチン、独立型キッチンなど様々なキッチンスタイルに応用できます。

I型キッチンのメリット2:低価格で設置できる

I型キッチンは他のキッチンの同グレードのタイプと比べると価格を抑えて設置できます。

I型キッチンのメリット3:デザインバリエーションが豊富

I型キッチンは、色はもちろんデザインや素材が豊富で、使い勝手や好みに合わせて様々な色、素材、デザインの種類から選ぶことができます。

※ただし、住宅会社により選択できる範囲は違いますので、予算に対してどの程度のグレードのキッチンを設置できるのか必ず事前に確認するようにしてください。確認しておかないと後で後悔することもあります。

I型キッチンのメリット4:対面型キッチンでも手元を隠すことができる

I型キッチンでは対面型キッチンを採用した場合でも、正面のカウンターで手元を隠すことができます。

また手元のカウンターの高さを調整し、カウンターにコンセントを設置すれば手元でキッチン家電を使用することもできます。

キッチンカウンターに設置されたコンセント

I型キッチンのメリット5:対面型キッチンでもキッチン周りがスッキリ見える

対面型キッチンの場合、キッチン周りの汚れが目立つケースが多いですが、I型キッチンでは、キッチン周りの手元のごちゃごちゃした部分をカウンターで隠すことができるので、スッキリしたキッチンに見せることができます。

ダイニングから見たI型カウンター 出典:りゅう建築設計

I型キッチンのメリット6:対面型キッチンでも調理時の油はねを防ぐことができる

対面型キッチンを採用した場合、調理時の油はねの問題が生じますが、I型キッチンの対面型キッチンでは、コンロ周りが壁で囲まれるように設置されることが多いので、揚げ物などで使用した際の油はねを防ぐことができます。

セミオープン型のI型キッチン 出典:SUUMO

I型キッチンのデメリット

続いてI型キッチンのデメリットについてお話しします。

I型キッチンのデメリットは主に下記の4点です。

1:開放感が少ない
2:作業動線が長くなる
3:タイプによってはキッチン内部が見えやすくなる
4:見た目がスタイリッシュ

下記から詳しく解説していきます。

I型キッチンのデメリット1:開放感が少ない

I型キッチンは使い勝手をよくする工夫がしやすく、様々なキッチンのスタイルに対応していますが、オープン型キッチン以外のキッチンスタイルを採用すると、開放感が生まれにくくなってしまいます。

I型キッチンのデメリット2:作業動線が長くなる

I型キッチンは横に広いタイプのキッチンのため、どうしても作業動線が長くなってしまいます。

ワークトライアングルにのっとった作業動線を第一に考えた場合は、「II型」キッチンや「コ型」キッチン、「L型」キッチンの方が優れています。

キッチンの形による調理動線の違い画像:リフォームコンタクト

I型キッチンのデメリット3:オープン型スタイルやセミオープン型スタイルの場合、キッチン内部が見えやすくなる

I型キッチンでは独立型キッチン以外のキッチンスタイルを採用した場合、キッチンの内部が見えやすくなるデメリットがあります。

そのためキッチン用品が乱雑におかれていると汚く見えてしまうことがあります。

I型キッチンのデメリット4:見た目がスタイリッシュではなく野暮ったくなる

I型キッチンでは、アイランド型キッチンやペニンシュラ型キッチンと違い、インテリアとして室内に溶け込ませるのが難しく、キッチンの印象が強く出てしまいます。

※I型キッチンでは、いわゆるキッチンっぽさを隠すことは難しいですが、キッチン周りの素材を工夫することである程度スタイリッシュに仕上げることはできます。ただし限界はあります。

素材の工夫でおしゃれなI型キッチン 出典:キナリノ

I型キッチンのレイアウトのコツ

I型キッチンでもレイアウトを工夫することで見た目をスタイリッシュにすることができます。

・I型キッチンのヴィラ風のレイアウト

I型キッチンのヴィラ風のレイアウト 出典:パナソニック

例えば上記のように壁付けキッチンのタイプにし、背面に程よい高さのカウンターを設置すれば、キッチンとダイニングの境にゆるい壁ができ、いわゆるキッチンぽさを隠すことができます。

程よい高さのカウンターは調理時の目隠しにもなり、壁付けキッチンの野暮ったさを隠すことができるので、非常にスタイリッシュな印象に仕上げることが可能です。

また、カウンターを設けることで、左右両方向からキッチンに入れる、ダブルアクセスの動線となっているため、オープンで利用しやすくなっています。

キッチンを利用する人と家族が積極的に料理に参加することも考えられて設計されていることがわかります。

・I型キッチンの目隠し型のレイアウト

ハイカウンタープラン 出典:パナソニック

目隠しを重視したい場合はダイニングとの間に、写真のようなハイカウンターを設けたレイアウトを検討すると、I型キッチンでありながらも生活感を程よく隠すことができます。

キッチン内部を程よく隠すことで、食器や家電はもちろん、ゴミ箱などの収納スペースが気にならなくなります。

ヴィラ風レイアウトよりも野暮ったさは残ってしまうものの、ハイカウンターで緩やかに間仕切り行うことで、使いやすさを意識しながらもスタイリッシュな空間に仕上げています。

I型キッチンが向いている人

I型キッチンは一般的によく目にするタイプのキッチンなので、使い慣れている方が多い印象を受けます。そのためキッチンは使い慣れているキッチンの方がいいという方にはI型キッチンが向いていると思います。

壁付けI型オープンキッチン

また壁付け型のオープンキッチンを採用した場合は、間取りにおけるキッチンの占有面積を抑える事ができるので、その分キッチン以外の間取りに面積を割く事ができるので、キッチン以外の間取りをを生かした間取りプランを設計する事ができます。

また、キッチンの選択肢も多いので、キッチンを選ぶ際の幅が広がるのも大きなメリットになると思います。

ただし、インテリアに溶け込ませるのは難しく、キッチン感はどうしても出てしまいますし、キッチン周りの印象を左右する収納の問題もクリアする必要があります。

II型(セパレート型)キッチン

II型キッチンとはシンク、作業台、コンロを二列に並べたキッチンのことで、通常はシンクとコンロが別々のキッチン台に取り付けられ、通路を挟んだ位置に設置されるタイプのキッチンのことを言います。

別々のキッチン台にシンクとコンロが設置されることからセパレート型(分離型)キッチンとも呼ばれています。

II型キッチンでは、通常一列のキッチンが二列に分かれる形になるので、それだけ余裕が生まれキッチンの間取りの自由度は広がって行くのが大きな特徴です。

II型キッチンの基本的なレイアウト

II型のキッチンの場合、基本的なレイアウトは次の通りとなります。

II型キッチン 出典:住むプロ

二つの作業台が壁に接しているパターンです。

通常はシンクとコンロが別々のワークトップに設置され、コンロは壁側に設置する事が多くなります。

II型キッチンは、オープン型キッチンでも、セミオープン型キッチンでも、独立型キッチンでも採用する事ができます。

また詳しくはこの後の「II型キッチンのレイアウトのコツ」でお話ししますが、II型の一方の作業台を壁から切り離してアイランド型にしたタイプのものもあります。

II型(セパレート型)キッチンのメリット

ここからはII型(セパレート型)キッチンのメリットについて解説していきます。

II型(セパレート型)キッチンのメリットは主に下記の7点です。

1:作業動線を効率化できる
2:作業スペースが広くなる
3:収納スペースが多くなる
4:会話を楽しむことができる
5:油はねや匂いの問題が生じにくい
6:複数人で使用しやすい
7:「ながら」調理ができる

下記から詳しくお話ししていきます。

II型(セパレート型)キッチンのメリット1:キッチンの作業動線を効率化できる

II型キッチンを採用した場合、ワークトライアングルを意識したコンパクトで使いやすい調理動線を確保する事ができます。

I型キッチンと比べると、作業動線が短く調理時に効率的にキッチンを動き回る事ができます。

II型(セパレート型)キッチンのメリット2:キッチンの作業スペースを広く確保できる

II型キッチンでは、作業台が二列に分かれるため、キッチンの作業スペースを広く確保する事ができます。

シンク側の調理台で下ごしらえをし、コンロ側の調理台で配膳をするなど、一定の作業スペースを確保する事ができるので作業効率を考えたキッチンを計画する事ができます。

II型(セパレート型)キッチンのメリット3:キッチンの収納スペースを多く確保できる

さらにII型キッチンでは作業スペースが広がった分、ワークトップ下部の収納スペースも広く確保する事ができます。

程よい開放感を保ちながらも、収納スペースが広いため多くの食器類を収納する事ができます。

II型(セパレート型)キッチンのメリット4:キッチンでコミュニケーションを取りながら調理ができる

II型キッチンでは、作業台の片側が対面型のキッチンとなります。

そのためダイニングやリビングにいる家族や友人と話しながら食材の下ごしらえや洗い物、場合によっては調理を行う事ができます。

II型(セパレート型)キッチンのメリット5:油はねや匂いの問題が起こりにくい

II型キッチンでは、壁側にコンロを持ってくる事が多いため、対面型キッチンで問題となる油はねや匂いの問題が起こりにくくなります。

II型(セパレート型)キッチンのメリット6:複数人でキッチンを利用しやすい

II型キッチンは、作業スペースが広いので複数人で調理をするときもストレスなく調理を行う事ができます。

II型(セパレート型)キッチンのメリット7:何かをしながらキッチンで調理ができる

II型キッチンでは、例えばテレビをみながら、家族と話しながらなど、何かをしながらキッチンで調理をする事ができます。

ダイニングやリビング側にシンクを持って来れば、食材を洗い下ごしらえをしたり、食器などを洗いながら家族と話したり、テレビをみる事ができます。

II型(セパレート型)キッチンのデメリット

続いてII型(セパレート型)キッチンのデメリットについて解説していきます。

II型(セパレート型)キッチンのデメリットは主に下記の3点です。

1:移動時に水が垂れる
2:振り返る動作が多くなる
3:設置には広いスペースが必要

II型(セパレート型)キッチンのデメリット1:シンクとコンロ間の移動時に水が垂れる

II型キッチンでは、シンクとコンロを移動するときに食材から水が垂れてしまいます。

おしゃれな部屋を作りたい場合、床を合板ではなく無垢フローリングにする事が多いですが、無垢フローリングを採用した場合、床が濡れたことに気がつくのが遅くなり、何も処理をしないとフローリングに水シミが残ってしまう事があります。

II型(セパレート型)キッチンのデメリット2:振り返りの動作が面倒

II型のキッチンの場合、正面と背面の二つの作業場を行き来することになります。

移動距離や動線自体は短いものの、振り返る動作が多い作業が続く場合、人によってはとても使いづらく感じる事があります。

例えばシンクの真後ろにコンロを持ってきた場合、人によっては振り返るのが面倒だという方もいます。

一方で、火にかける前の下ごしらえは事前に行い、コンロ脇の作業台に下ごしらえを終えた食材を移動させ、あとは火にかけるだけなのでそれほど面倒にならないという方もいます。

つまり、料理や、調理時の癖やキッチンの使い方は人によって違うため、個々の使い方に合わせたキッチンを設計すれば、それほど気にする必要はありません。

ですが、一般的にII型キッチンでよく言われるデメリットの一つです。

いずれにせよII型キッチンを選択するときはコンロとシンクの位置を意識して設計する事が大事です。

II型(セパレート型)キッチンのデメリット3:広いスペースが必要になる

II型キッチンでは、キッチンの作業スペースを広く確保する事ができるものの、その分他の間取りが圧迫されダイニングやリビングのスペースを圧迫してしまいます。

全体のバランスを考えて間取りを計画しないと、キッチンは便利なものの、ダイニングやリビングが狭くなってしまうことになりかねませんので注意が必要です。

II型キッチンのレイアウトのコツ

II型キッチンのレイアウトのコツについても触れていきます。

・一方を壁から切り離しアイランド型にしたII型キッチン

II型キッチンの一方の作業台をアイランド型にしたレイアウト 出典:パナソニック

例えば上記のII型キッチンのように、一方を壁から切り離しシンクを備え付けたアイランド型キッチンにすれば非常にスタイリッシュにキッチンを見せる事ができます。

II型キッチンの一方の作業台をアイランド型にしたレイアウト(ダイニング側からの視点) 出典:パナソニック

アイランド型キッチンのため、どうしてもキッチンの内部が丸見えになってしまうので、普段の清掃や整理整頓の問題が生じてきますが、インテリアとして非常にスタイリッシュなキッチンとする事ができます。

・対面側にカウンターを設けたII型キッチン

対面側にカウンターを設けたII型キッチン

上記のII型キッチンのように、対面側にカウンターを設ければ、キッチンをバーカウンターのように使用することもできます。

後片付けも楽になりますし、家でお酒を飲む機会が多い方や、夫婦で軽くつまみながらお酒を飲みたい方に最適なプランだと思います。

また上記のレイアウトですとコンロが壁側に設置されているため、調理時の油の飛び散りが少なくて済む設計に工夫されています。

・II型キッチンの中央を通路として採用しパントリーを設けたプラン

II型キッチンとパントリーを併設し中央を通路としたキッチン 出典:パナソニック

少し趣向を変えてII型の中央を通路として利用し、その奥にパントリーを設けても非常に面白い空間になると思います。

II型キッチンとパントリーを併設し中央を通路としたキッチン2 出典:パナソニック

キッチン脇にパントリーを設けることで、使いやすいパントリーになると思います。ただしこの場合、一定の広さを確保する事が必要なことや、間取りも限定されるので注意が必要です。

リビングとダイニングの中央にキッチンを中央にキッチンを配置したプラン

上記のプランでは、キッチンをリビングとダイニングで挟んだ間取りとなっており、空間につながりを持たせながらも、それぞれの役割を明確に分けています。

ただし、ダイニング側の作業台にコンロが設置されているため、油はね防止などの工夫を施す必要はあります。

II型キッチンが向いている人

II型キッチンは調理の際の調理動線を重視している方に向いているキッチンだと思います。

中央に通路を挟むため、調理の際の「食材を冷蔵庫から取り出す」、「食材を洗う」、「食材を切る」「食材を火にかける」一連の動作が、コンパクトにまとめられた調理動線をつくる事ができます。

ただし作業スペースが2つに分かれるため、I型キッチンよりも広いスペースが必要になるので他の間取りを圧迫しないように設計をする事が大事です。

L型キッチン

L型キッチン 出典:TRY家コラム

L型キッチンとは、シンク、作業台、コンロをL字型に並べたキッチンのことです。

キッチンがL字型に配列されるため、シンクとコンロの間の距離が近くなり調理の際の作業効率が良いキッチンです。

L型キッチンはコーナー部分がデッドスペースになりやすく、工夫が必要な少しだけ癖のあるキッチンになります。

 

 

▼L型キッチンの基本的なレイアウト2パターン+1パターン

L型キッチンには基本的なレイアウトが2パターンあります。

壁付け型L型キッチン 出典:住むプロ

まず一つ目のL型キッチンのレイアウトが壁付け型のタイプで、壁に沿って「L」の字を配置したパターンです。

この場合壁に沿って「L」の字を配置することになるので「L」の字の両方が壁付けとなっているレイアウトになります。

一部分壁付け型L型キッチン 出典:住むプロ

二つ目のL型キッチンのレイアウトの方法は、「L」の字の一方を壁付けにするパターンです。

「外L字型キッチン」とも呼ばれ、外L字型のレイアウトの場合、壁に付かない方の「L」の字は図のようにダイニングに接して設置する事が多くなり調理後の配膳がスムーズになるメリットがあります。

L型キッチン+アイランドキッチン 出典:キッチン見積もりリフォームネット

さらにL字型のキッチンはアイランドキッチンとの併用も可能で「壁付けL型+アイランド型キッチン」のレイアウトにすることもできます。

「壁付けL型+アイランド型キッチン」のレイアウトの場合は、通常、アイランド部分にはシンク、または作業台を持ってくるレイアウトになります。

L型キッチンのメリット

続いてL型キッチンのメリットについて解説していきます。

L型キッチンのメリットは主に下記の4点です。

1:シンクとコンロの距離が近い
2:振り返る作業がない
3:対応可能なキッチンのスタイルが多い
4:広いスペースで料理ができる

下記から詳しく説明していきます。

L型キッチンのメリット1:シンクとコンロの距離が近い

L型キッチンでは、通常シンクとコンロの位置が丁度「Lの字の対角」に位置するため距離が近くなります。

L型キッチンではシンクとコンロは対角線上に位置する

移動距離が少ないため効率よく調理を行う事ができます。

L型キッチンのメリット2:II型キッチンのように振り返る作業がない

L型キッチンではII型キッチンのように、背面にキッチンのワークスペースがくることがないので体を回転させることなく調理を行う事ができます。

例えば火加減を横目で確認しながら、冷蔵庫からモノを取り出したり、作業台で包丁を使う事ができます。

L型キッチンのメリット3:3つのキッチンのスタイルに対応している

L型キッチンでは、オープン型、セミオープン型、独立型のキッチン全てに対応しており、様々なスタイルの中でレイアウトをする事ができ、キッチンのデザインを楽しむ事ができます。

ただしオープン型は間取りが限定されます。

L型キッチンのメリット4:広いスペースで料理ができる

L型キッチンは本体サイズが大きいので、それぞれの作業スペースにゆとりを持たせる事ができます。

L型キッチンのデメリット

続いてL型キッチンのデメリットについても触れていきます。

L型キッチンのデメリットは主に下記の5点です。

1:設置には広さが必要
2:価格が高い
3:コーナー部分に癖がある
4:収納力が不足しがち
5:コーナーの収納に難がある

それでは下記から詳しく解説していきます。

L型キッチンのデメリット1:設置には大きな面積が必要となる

L型キッチンは本体サイズが大きいため、作業スペースは広くなりますが、設置にも大きな面積が必要となります。

L型キッチンのデメリット2:I型キッチンよりも価格が高くなる

L型キッチンは同グレードのI型キッチンと比較すると価格が高くなります。

L型キッチンのデメリット3:コーナー部分の使用に工夫が必要となる

L型キッチンでは「L」の字の丁度角にあたる部分の使い勝手が悪くなる特徴があるのでコーナー部分の使用には特に注意を払う必要があります。

L型キッチンのコーナースペースは、奥行きによっては手を伸ばしづらく無駄なスペースとなってしまいがちなので、L型キッチンを採用する場合は、事前にコーナー部分をどのように使うのかアイディアを練っておく必要があります。

L型キッチンのデメリット4:収納力が不足しがちになる

L型キッチンは、本体の占有面積が広いので収納スペースが圧迫されてしまい、キッチンの間取りによっては収納力が不足してしまう事があります。

L型キッチンのデメリット5:コーナー部分の収納に多少難がある

L型キッチンは左右の収納力には問題ありませんが、コーナー部分の使い勝手が悪く、奥に収納したものが取り出しにくいのがデメリットとしてあげられます。

L型キッチン 使いやすいように工夫されたコーナー 出典:ABCハウジング

ただし写真のようにコーナー部分に改良が加えられ、使いやすくされたタイプのL型キッチンもあります。

L字型のコーナー収納部分が工夫されたキッチン「クラッソ」 出典:TOTO

上の写真はA型と呼ばれることもあるL型キッチンです。

L型キッチンのレイアウトのコツ

L型キッチンは他のキッチンと組み合わせる事ができるので、レイアウトの自由度が高くユニークなキッチンを作る事ができます。

・外L字型キッチン

外L字型キッチン 出典:キッチンリフォームプラザ

L型キッチンは、通常壁付け型のキッチンとなる場合が多いですが、片側だけを壁付けにする事でカウンターを設けたようなタイプのキッチンにする事ができます。

ダイニングとの関係を検討する事で様々なレイアウトを実現できます。

・L型+アイランド型キッチン

L型+アイランド型の組み合わせキッチン 出典:パナソニック

またL型キッチンのタイプにアイランド型を組み合わせれば、写真のようなキッチンにすることもできます。

写真ではアイランド部分が作業台兼配膳台になっていますが、シンクなどに変更しても面白いと思います。

また壁つけタイプではなく、一方が壁付きタイプの外L字型とアイランド型を組み合わせれば、さらにバリエーション豊かなキッチンにする事ができます。

L型キッチンが向いている人

L型キッチンもII型キッチンと同じように調理動線を重視する方に向いています。

大きな違いとしては、II型キッチンではシンクとコンロの間を振り返る必要がありますが、L型キッチンでは振り返るという動作をする必要がなく、調理をする事ができます。

またシンクとコンロ間を行き交う時に天板が途切れずに「L字型」に続いているため、水を床に落とす事なく天板上で食材を移動する事ができます。

調理の際の「洗って」「刻んで」「火にかける」一連の作業もスムーズに行う事ができるので調理しやすい作業動線を確保する事ができます。

ただし収納スペースに特徴があるため、収納スペースをきちんと検討した間取り作りが大切となります。

コの字型キッチン(U字型キッチン)

U型キッチン 出典:TRY家コラム

コの字型キッチンとはシンク、作業台、コンロをカタカナの「コ」の字、またはアルファベットの「U」の字に配列されたキッチンのことを言います。

コの字型キッチンは、別名、「U型キッチン」とも呼ばれます。

三方向がコックピットのようにカウンタートップで並んでいるため、最近では「コックピッド型キッチン」と呼ばれることもあります。

調理はもちろん配膳スペースも確保しやすく、オープン型、セミオープン型、独立型のキッチンに対応しています。

コの字型キッチンの基本的なレイアウト

コ型(U型)キッチンの基本レイアウト

コの字型キッチンの基本的なレイアウトは図のようにシンクとコンロを対角線状に設置し、コの字型の一方の端に冷蔵庫をおくレイアウトです。

図のように冷蔵庫、シンク、作業台、コンロと配置する事でキッチンのワークトライアングルが叶えられ、調理効率の高いキッチンにする事ができます。

コの字型キッチン(U型キッチン)のメリット

続いてコの字型キッチンのメリットについて触れていきます。

この字型キッチンのメリットは主に下記の5点です。

1:作業スペースが広い
2:作業効率がいい
3:収納量が多い
4:程よくこもれて、程よく開放的
5:カウンターをテーブルとして併用可能

下記から詳しく解説していきます。

コの字型キッチン(U型キッチン)のメリット1:作業スペースが広く取れる

コの字型キッチンでは作業スペースがコの字型になっているため、L字型キッチンやII型キッチンよりも作業スペースを広く取る事ができます。

コの字型キッチン(U型キッチン)のメリット2:キッチン作業効率がいい

コの字型キッチンはコンロとシンク、作業台、それに冷蔵庫が三方向に設置されているため、それぞれのワークスペースとの距離が近く、調理時の移動距離が少ない状態で調理を行う事ができます。

キッチンの調理動線が非常にコンパクトにまとまるので、効率良く作業する事ができます。

コの字型キッチン(U型キッチン)のメリット3:収納スペースを三方向に取れるため収納量が多い

コの字型キッチンでは、ワークトップ下部の収納スペースを三方向から取れるので、より広く収納スペースを取る事ができます。

また収納スペースに囲まれた状態で調理を行うことになるため、キッチン家具や食器に手が届きやすく、余計なストレスをかける事なく調理をすすめる事ができます。

コの字型キッチン(U型キッチン)のメリット4:開放的でありながら程よくこもれる

コの字型キッチンでは、基本的にキッチンへの出入りを一方向からしか行う事ができません。

U型キッチンは一方向からしか出入りできない

程よく閉じられていながら、程よく開放的なキッチンのつくりとなり、セミオープン型のキッチンやセミクローズド型のキッチンにすれば、こだわりの調理スペースを構える事ができます。

コの字型キッチン(U型キッチン)のメリット5:カウンターをテーブルとして使用できる

コの字型キッチンでは、ダイニング側のカウンターに椅子を設置すれば、簡易的なテーブルとして使用することもできます。

それ以外にも工夫次第では様々な用途に使用する事ができます。

コの字型キッチンのデメリット

ここからはコの字型キッチン(U型キッチン)のデメリットについて話していきます。

コの字型キッチン(U型キッチン)のデメリットは主に下記の5点です。

1:設置には広さが必要
2:一方向からしか出入りできない
3:コーナー部分の収納に難がある
4:キッチンに圧迫感が出る
5:価格が高い

下記に詳しく解説していきます。

コの字型キッチン(U型キッチン)のデメリット1:コの字型キッチンを設置する広さが必要

コの字型キッチンを設置するにはそれなりのスペースが必要となります。

もちろん狭い家でも設置することはできますが、他の間取りが圧迫されてしまい使い勝手が悪くなってしまう恐れがあります。

コの字型キッチン(U型キッチン)のデメリット2:基本的に一方向からしかキッチンに出入りする事ができない

コの字型キッチンでは基本的には一方向からしかキッチンに出入りする事ができません。

飲食店などで見られる厨房との境にある、自動開閉式の「スウィングドア」を設置すれば他所からもキッチンに入る事は可能ですが、基本的にコの字型キッチンは一方向からしか入れないという認識をし、キッチンの間取り設計をおこなった方がおさまりがいいと思います。

コの字型キッチン(U型キッチン)のデメリット3:コーナー部分の収納が不便

コの字型キッチンでは収納が広く取れる反面、L字型キッチンのように使いにくいコーナー収納の部分が2つになるので、コーナー部分の収納には工夫をする事が必要です。

コの字型キッチン(U型キッチン)のデメリット4:キッチンに圧迫感が出てしまう

コの字型キッチンは大きなキッチンです。そのため、キッチン自体に迫力が生まれるので想像以上にキッチンに圧迫感が出てしまうこともあります。

コの字型キッチン(U型キッチン)のデメリット5:価格が高い

コの字型キッチンは設置するための費用が高くなります。

コの字型キッチンのレイアウトのコツ

コの字型キッチンは、レイアウト次第では非常にスタイリッシュでおしゃれな雰囲気の空間を作り出す事ができます。

コの字型キッチン 出典:東洋ホーム

コの字型キッチンを採用する場合、カウンター部分をいかに上手に利用する事ができるのかが一つの重要なポイントとなってきます。

コの字型キッチン:建和住宅株式会社

天板に使われる素材を選び、カウンター越しに椅子を設置するとキッチンがインテリアとして非常にスタイリッシュな印象に仕上がります。

またキッチンから見える景色を工夫することによって、気持ちがよく視線の抜け感のあるキッチンにすることもできます。

抜け感のあるキッチン 出典:(株)SORAデザイン

こちらの住宅ではキッチン正面の景色に庭が見えるように設計されています。

正面の庭を楽しめるキッチン 出典:株式会社SORA

また見せ方によっては下記のような間取りでレイアウトすると、カフェやレストランのような雰囲気に仕上げることもできます。

カフェ風のコの字型キッチン 出典:Pinterest
レストラン風レイアウトのコの字型キッチン 出典:山内住建

コの字型キッチンが向いている人

コの字型キッチンは、調理に集中したいけれども、独立型のようなスペースではなくキッチンを程よく解放した空間にしたいという方に向いています。

レイアウト次第では、コの字型キッチンの一方の天板をカウンターとして利用でき、奥様が調理をし、旦那様やお子様がカウンター越しに椅子に座り、奥様が調理している姿を眺めながら料理をするようなこともできます。

さらに、素材やデザイン次第ではカフェのような雰囲気をつくり出すこともでき、おしゃれな空間を持ちたいという方に向いています。

バランスを考えた設計にする事は必要となりますが、家族と程よい距離を取りながら料理をしたい方に向いているキッチンと言えるでしょう。

アイランド型キッチン

アイランド型キッチン 出典:TRY家コラム

アイランド型キッチンとは、シンク、コンロなどのキッチン作業台が壁に接しておらず、間取りの中に島のようにキッチンを設置したタイプのキッチンのことを言います。

アイランド型キッチンでは対面型のキッチンとなり、通常、3方が開放的なオープン型スタイルのキッチンとなります。

そのため、インテリアの中にキッチンを溶け込ませる事ができるので見た目がモダンでスタイリッシュな印象になります。

ただしアイランド型キッチンは、設置し使用始めてからわかる問題も多く、よく検討して設置しないとアイランドキッチンの採用を後悔をされる方もいます。

アイランド型キッチンの基本的なレイアウト

アイランド型キッチンの基本レイアウト

アイランド型キッチンの基本的なレイアウトは、島の部分にシンクやコンロを配置したタイプのキッチンとなります。

アイランド型キッチンは、他の「キッチンの形」と組み合わせることもでき、L型キッチンと組み合わせれば、左右両方向からダブルアクセス可能でさらに収納力も兼ね備えた広々としたオープン型キッチンとなりますし、外L字型のタイプにすれば、レストランの厨房さながらのキッチンを作ることもできます。

さらに、コの字型キッチンの通路中央にアイランド型のカウンターを設置し、シンクなどを設置することも検討したり、様々なアレンジをすることを検討できます。

アイランド型キッチンのメリット

アイランド型キッチンのメリットは下記のとおりです。

アイランド型キッチンのメリットは主に5点あります

1:開放感がある
2:360度使用できる
3:インテリアとして溶け込ませられる
4:家事動線が確保しやすい
5:配膳や片付けが楽

詳しくは下記に記していきます。

アイランド型キッチンのメリット1:開放感がある

アイランド型キッチンは、通常、オープン型キッチンとして採用され、キッチン台の四方に一切壁が設置される事がないため、非常に開放感のあるキッチンをつくる事ができます。

キッチンまでの視界がオープンで、ダイニングやリビングからの視線にも抜けがあるため、非常にすっきりとした印象にする事ができます。

アイランド型キッチンのメリット2:360度からキッチンを使用でき、キッチンへのアクセスが良い

アイランドキッチンは三方向から使用可能 出典:パナソニック

アイランド型キッチンでは、左右両方向からのアクセスはもちろん、カウンターなどの間仕切りなどが存在しないため、キッチン周りの3方向からキッチンを使う事ができます。

アイランド型キッチンのメリット3:キッチンをインテリアとして溶け込ませる事ができる

アイランド型キッチンは見た目が非常にスタイリッシュです。

ダイニングやリビングとの境もなく、インテリアとして空間に溶け込ませる事ができます。

アイランド型キッチンのメリット4:家事動線が確保しやすい

アイランド型キッチンはダイニングやリビングとの境目がなく、調理時の動線はもちろん家事動線が確保しやすくなっています。

アイランド型キッチンのメリット5:配膳や片付けが楽

アイランド型キッチンでは、ダイニングからでもキッチンを使う事が簡単にできるので、非常に効率よく調理後の配膳や食べ終わった後の後片付けができます。

アイランド型キッチンのデメリット

続いてアイランド型キッチンのデメリットについてお話しします。

アイランド型キッチンの主なデメリットは下記の10点です。

1:汚れやすい
2:汚れが目立ちやすい
3:手元が丸見え
4:コンロがIHに限定される
5:匂いや音が気になる
6:排気ダクトに迫力がある
7:個性が強い
8:広いスペースが必要
9:収納スペースが少なくなる
10:価格が高い

下記から詳しく説明していきます。

アイランド型キッチンのデメリット1:汚れやすい

アイランド型キッチンでは、調理時の油汚れなどを防ぐための壁が設置されておらずオープンになっています。

そのため、揚げ物はもちろん油を使う調理をする時は、周辺に油が飛び散りやすく、また洗い物をする時には水はねがしやすくなります。

アイランド型キッチンのデメリット2:汚れが目立ちやすい

アイランド型キッチンは、I型キッチンのようにダイニングを仕切るためのカウンターがありません。

開放的な雰囲気を作り出せる一方で、汚れが目立ちやすく、また常にキッチン周りが整理整頓されていないとキッチンが汚く見えてしまう恐れがあります。

アイランド型キッチンのデメリット3:手元が丸見えになる

アイランド型キッチンは完全にオープンスタイルになるので、通常手元を隠すためのカウンターの設置がありません。

そのため、調理時には手元が丸見えとなり、手元が見えることに対して抵抗感を抱く方には向きません。

アイランド型キッチンのデメリット4:コンロがIHに限定される

アイランド型キッチンは、防火制限によりガスコンロをアイランド部分に設置する事ができません。

そのためアイランドキッチンを採用する場合は、必然的にIH対応のコンロになります。

※コンロの機能を壁側に持ってきた場合はガスコンロも対応可となります。

アイランド型キッチンのデメリット5:においや音の問題が気になる

アイランド型キッチンの場合、調理時のにおいと音の問題は防ぎようがありません。軽減することはできますが、完全に防ぐことはできません。

アイランド型キッチンを選択した場合は、においと音の問題は常につきまとう形になります。

アイランド型キッチンのデメリット6:天井から大きなダクトがぶら下がる

アイランド型キッチン 出典:アルファジャーナル

アイランド型キッチンでは、壁から離れた位置にキッチン作業台が設置されます。

そのため、本来壁沿いに設置する排気ダクトを設置する事ができず、キッチンのの天井からぶら下げる形で設置されます。

調理時の匂いが部屋に充満するのを防ぐためには、大きなダクトを設置する必要がありますが、大きなダクトの場合、キッチン作業台はスタイリッシュでもダクトは迫力があり、存在感のあるダクトになります。

アイランド型キッチンのデメリット7:個性が強く好みが分かれる

アイランド型キッチンは個性が強いキッチンです。

スタイリッシュな形のため空間になじませる事ができない場合は、キッチンが主張し過ぎてしまい、デザイン上、アンバランスになってしまうので統一感のあるキッチンを設計する必要があります。

アイランド型キッチンのデメリット8:キッチンの設置に広いスペースが必要になる

アイランド型キッチンは、本来壁に接して設置するキッチンを、部屋の間取りの中に独立させて設置させる方法をとります。

そのため設置にはある程度広いスペースが必要になります。

設置場所が中途半端な広さの場合、設置こそはできるもののキッチンが主張し過ぎてしまいアンバランスになってしまう恐れがあるので注意が必要です。

アイランド型キッチンのデメリット9:収納スペースが少なくなる

アイランド型キッチンではオープン型キッチンのキッチンスタイルになるため、壁が少なくなり、それに準じて、収納スペースも少なくなる傾向があります。

ですから収納スペースをしっかりと確保する工夫が大事になります。

アイランド型キッチンのデメリット10:キッチンの価格が高価になる

アイランド型キッチンは、設置費用を含めると他のキッチンに比べ、高価になります。

キッチンの本体も高額ですが、換気扇も従来のタイプではなく、排気ダクトのような、天井につけるタイプのものとなり、それなりの機能性を確保できないと、においや音が気になってしまうため高額なものを選ぶ必要があります。

また余談ですが、建築家が設計するデザイナーズ住宅以外、アイランド型キッチンが標準工事となっていることはほとんどありません。

アイランド型キッチンのレイアウトのコツ

アイランドキッチンは、他のキッチンの形と組み合わせやすいキッチンの形です。

・カウンターとしても利用する

アイランドキッチン+カウンター

アイランドキッチンの奥行きを広げてカウンターとして使用する方法も非常にスタイリッシュでまとまりやすいデザインです。

ただその場合、キッチンとカウンターの高さの違いには、くれぐれも注意する必要があります。

・L字型+アイランドキッチン

L字型+アイランドキッチン

アイランドキッチンにL字型キッチンをプラスすれば収納の問題も解決しやすくなります。

家事動線も良くなりますし、作業台も増えるので使い勝手の良いキッチンにすることができます。

・外L字型+アイランドキッチン

煙樹の家 出典:株式会社スタジオパートスリー

あまり見ないタイプですが、外L字型の中心にアイランドキッチンを配置する方法もありです。

この場合オープンキッチンでありながら、L字型の部分でキッチンとの境を緩やかに区切る形になりますので、本来の意味でのアイランドキッチンの機能性は体感しにくくなりますが、キッチンの性能としての利便性は高くなります。

設計士の腕の見せ所となるキッチンの一つです。

・コの字型+アイランドキッチン

その他にもスペースは必要ですが、コの字型のキッチンを採用する方法もあります。

ただしコの字型キッチンの中央にアイランドキッチンを採用する方法はかなりの広さが必要になりますので、日本の一般的な住環境では現実的ではありません。

ほとんど見かけないタイプのキッチンです。

アイランドキッチンで後悔をしないための注意点

アイランドキッチンはデザインに特徴があるため、見た目がスタイリッシュになりますが、デザイン性とは裏腹に、他のキッチンと違い注意しなければならない点が多くなります。

事前にアイランド型キッチンの設置に際しての注意点を把握しておき、きちんと対策を練っておかないと、使い始めてから後悔をする可能性が高くなります。

アイランドキッチンで後悔しないための注意点1:換気には細心の注意を払う必要がある

アイランドキッチンで「島」の部分にコンロを持ってきた場合、部屋の中に調理時の匂いが充満しやすくなります。

そのため、大きな排気ダクトを設置するなどの工夫を施す必要があります。ただし大きな排気ダクトを設置したとしても完全に匂いの問題を防げるわけではありません。

アイランドキッチンで後悔しないための注意点2:ダイニングやリビングとの相性が大事になる

アイランド型のキッチンを選んだ場合、ダイニングやリビングとひと続きの空間になるため、周りとの調和が非常に重要になります。

アイランド型キッチンは、デザイン上どうしても個性が強く出てしまい隠す事ができないので、キッチンに調和したデザイン性のある間取りづくりが必要になります。

アイランドキッチンで後悔しないための注意点3:収納スペースを確保する必要がある

アイランド型キッチンを設置した場合、ダイニングやリビングとひと続きの空間になるので、インテリアとの相性はもちろんですが、設置をするためにはそれなりに広いスペースを確保することも大事になります。

また、キッチンを設置するときは、通常キッチン作業台下部の収納はもちろん、壁を有効活用しますが、アイランドキッチンではデザイン性を重視しているため収納が少なくなりがちな傾向があります。

また意匠性を高めるために、通常天井からぶら下げる形の吊り戸棚を使用しません。

ですから、食器類はもちろん冷蔵庫を含めた収納場所を検討する必要があります。収納の問題は、アイランドキッチンにすることで後悔する大きな理由の一つとなっています。

アイランドキッチンで後悔しないための注意点4:開放的過ぎる事が逆にデメリットになることもある

アイランド型キッチンでは動線が多すぎる 出典:All About

アイランドキッチンの最大の魅力は開放感にありますが、どこからでもキッチンに入れるということは逆をいえば調理時の危険な場所への動線を増やす形になります。

例えば調理時には包丁を使います。

また油を使えば火にも注意する必要があります。

ですから調理時はもちろん、できたての熱い鍋などを運ぶ際にも注意を払う必要があります。

小さなお子様や家族と一緒にキッチンを使用したいからという理由で、アイランドキッチンを選ばれる方も少なくはありませんが「キッチンは調理場である」という当たり前のリスクをきちんと検討しておかないと非常に使いづらいキッチンになってしまいます。

アイランドキッチンで後悔しないための注意点5:キッチンに合わせて間取りを変更する必要がある場合がある

アイランドキッチンは設置には広いスペースを必要とします。

形状はもちろんキッチン自体が特殊であるため、他の間取りとのバランスを考えて配置する必要があります。

またアイランドキッチンは収納の問題も検討する必要があるので、配置の仕方次第では家事動線がうまく決まらないこともあります。

さらにダイニングスペースもキッチンに合わせて配置し直す必要もあり、窓の配置も再検討する必要もあり、使いやすさを失わないためにも作業台の広さも考慮する必要があります。

つまり、広さやスペース次第ではキッチンに合わせて、間取りを工夫する必要があります。

アイランドキッチンで後悔しないための注意点6:設置スペースが狭いとイメージとのギャップが生まれる

間取りが取れる広い家の場合、比較的ダイニングやリビングと調和した空間をつくることができますが、狭い家の場合、ぎゅっと凝縮されるような間取りになってしまい、実際に設置してみると思い描いていたイメージとのギャップが生まれやすい傾向があります。

アイランドキッチンの派手でスタイリッシュなイメージにひかれて採用するのではなく、きちんと自分の家に合うかどうかを検討した上で採用する必要があります。

アイランドキッチンで後悔しないための注意点7:コンセントの設置に注意する

アイランドキッチンは、見た目のスタイリッシュさや、使いやすさやばかりに目が行きますが、実際に使用してみると、キッチン周りに必要なコンセントが足りない場合があります。

使い勝手の良いキッチンにするためには、キッチン周辺の収納はもちろんのこと、キッチン家電を使用するためのコンセントの計画もきちんと検討しておかなければなりません。

またコンセントを配置するときは、将来的なことも考えて余裕をもって配置しておくといいでしょう。

アイランドキッチンで後悔しないための注意点8:アイランドキッチンにした意味をあまり体感できない事が多い

アイランドキッチンは見た目は非常にスタイリッシュで、第一印象は非常に良い印象を持たれる方が多いです。

一方で、実際に使い続けてみると、逆に使いにくさが目立つキッチンだということを忘れてはなりません。

実際に設置し、長期間使ってみた方の感想を聞くとオープンであるがゆえの問題や、費用対効果にそぐわないという意見まで多く聞かれ、不満を聞きやすいのがアイランドキッチンを採用する上での一番の注意点です。

アイランドキッチンはダイニングとの高さにも注意する必要がある

美しさと使いやすさを両立させるためには、ダイニングとの高さにも気を配る必要があります。

特にカウンター続きのダイニングにする場合に注意が必要です。

例えば一般的なキッチンの高さは800mmに設定されていますが、それに対して一般的なダイニングテーブルの高さは640mmから720mmに設定されていることがほとんどです。

この高さの差を埋めるには3つの方法がありいずれかの方法を選ぶ必要があります。

アイランドキッチンでダイニングとの高さを埋める方法1:そのままの高さで設置する

段差を考慮したアイランドキッチン

まず一つ目の方法は、そのままの高さで設置する方法です。

この場合、キッチンとダイニングの間に段差は生じますが、素材で変化を加えることでアイランドキッチンのスタイリッシュさを保ちながらも使い勝手を兼ね備えた関係にすることができます。

アイランドキッチンでダイニングとの高さを埋める方法2:ハイチェアを使用する

ハイチェアを使用したアイランドキッチン 出典:リブコンテンツ

ハイチェアを使用し、ダイニングテーブルをアイランドキッチンの高さに合わせる方法です。

この場合、アイランドキッチンのスタイリッシュをそのままに使用することはできますが、食事の際の高さが上がるため、食事をする際に足が浮いてしまい落ち着かなくなることもあります。

ただ写真のようにバーカウンターのような形で使用する方法は面白いと思います。

アイランドキッチンでダイニングとの高さを埋める方法3:床のレベルを下げる

床のレベルを下げたアイランドキッチン 出典:木村工務店

ダイニングとつなげる場合床のレベルを100㎜から200㎜ほど下げる方法もあります。

バリアフリーの観点から言えば問題がある設計になりますが、床のレベルを下げることでオープンでありながらキッチンとの境を作ることもできますし、調理の際にダイニングに座っている家族と目線を合わせることができます。

ただし段差ができるため熱い鍋を運ぶときなど配膳や片付けをする際には注意が必要で床のレベルを下げることによるリスクを計算して間取りを作らなければなりません。

アイランド型キッチンが向いている人

アイランド型キッチンは、キッチンが壁から独立し、設置されています。

コンロの部分にはガラス版が配置されることはあるものの、一般的にカウンターのような囲いも設置しません。

キッチンの周りを自由に使えるようになるため、島の部分のあらゆる場所からキッチンに入る事ができるような設計となっており、キッチンをオープンな形にし、家族や複数人で使用する機会が多い方に向いています。

ただしキッチンが丸見えの状態になるので、整理整頓された状態でキッチンを保つ事ができない方には向いておらず、汚れや匂いの問題もきちんとクリアする必要があったりと、面倒な作業が嫌いな方には向いていません。

ペニンシュラ型キッチン

ペニンシュラ型キッチン 出典:TRY家コラム

アイランドキッチンを左右どちらかの壁にくっつけたキッチンがペニンシュラ型(半島型)キッチンです。

キッチンの一部が壁から半島のように突き出した形をしているためペニンシュラ型(半島型)キッチンと言われており、キッチン台にシンク、コンロ、作業台のスペースが確保されているのが特徴です。

ペニンシュラ型キッチンの基本的なレイアウト

ペニンシュラ型キッチン

ペニンシュラ型キッチンの基本的なレイアウトは、左右どちらかの端を壁付けにし、シンクやコンロ、作業台を設置するレイアウトです。

形的には対面型のI型キッチンに近い形となり、I型キッチンと混同されることが多いですがペニンシュラ型キッチンでは、キッチン正面にカウンター壁を設けずに対面型のオープンキッチンとしており、一般的にコンロは壁側に配置する形となります。

ペニンシュラ型キッチンのメリット

ペニンシュラ型キッチンのメリットは主に下記の7点です。

1:デザインと機能性のバランスがいい
2:コミュニケーションが取りやすい
3:作業動線を短くできる
4:汚れに強い
5:間取りの制約が少ない
6:組み合わせが可能
7:換気扇を選びやすい

下記から詳しく解説していきます。

ペニンシュラ型キッチンのメリット1:デザインと機能性のバランスが良い

ペニンシュラ型キッチンでは、アイランドキッチンに見られるオープン型キッチンのスタイリッシュさをそのままに、オープンになりすぎないため使い勝手や機能面では充実したキッチンにすることができます。

対面型のオープンキッチンにしたいけれども、アイランド型キッチンではキッチンが主張しすぎるという方にペニンシュラ型キッチンは向いています。

ペニンシュラ型キッチンのメリット2:コミュニケーションが取りやすい

ペニンシュラ型キッチンは、対面型キッチンのため家族とコミュニケーションを取りながら、調理をすることができます。

アイランド型キッチンのようなスタイリッシュさをたもちながら、自宅でパーティーをするときも一人だけ会話に入れないということはなく、会話に混じりながら調理をすることができます。

ペニンシュラ型キッチンのメリット3:作業動線を短くできる

ペニンシュラ型キッチンではII型キッチンに近い配列の仕方も可能です。

そのため、シンク、コンロ、作業台、収納スペースの配置の仕方次第では、調理の際の作業動線もII型キッチンのように効率の良い動線を確保することができます。

ペニンシュラ型キッチンのメリット4:アイランド型キッチンよりも汚れに強い

ペニンシュラ型キッチンは、アイランドキッチンのような開放感を保ちながら、アイランドキッチンよりも、汚れに強いキッチンをつくることができるようになります。

通常の配置の仕方だと、コンロ側が壁に面しているため、透明なガラスの衝立を設置すれば、ダイニング側への汚れもカバーすることができます。

洗い物をする際の水跳ねによるシンク周辺の汚れが気になる場合は、同様の方法でカバーすることで水しぶきの飛散をある程度防ぐことができます。

ペニンシュラ型キッチンのメリット5:間取りの制約が少ない

ペニンシュラ型キッチンではアイランドキッチンのように、キッチンを壁から離す必要がないため間取りの制約があまりありません。

アイランド型キッチンの場合は左右の端を壁から離す必要があるため、ある程度のスペースを確保する必要があります。

ペニンシュラ型キッチンのメリット6:II型やL型と組み合わせることもできる

インテリアとなるペニンシュラ型キッチン

ペニンシュラ型キッチンは、II型キッチンやL型キッチンと組み合わせて使用することもできます。

そのため、キッチンの作業スペースも広がり自由度の高い間取りをつくることができます。

ペニンシュラ型キッチンのメリット7:換気扇が選びやすい

ペニンシュラ型キッチンでは、キッチンの片側が壁に面している設計になるため、アイランド型キッチンよりも換気扇の種類も増え、豊富な選択肢の中から選ぶことができます。

ペニンシュラ型キッチンのデメリット

ペニンシュラ型キッチンのデメリットは主に下記の5点です。

1:収納スペースが少ない
2:手元が丸見え
3:匂いや音が気になる
4:整理整頓が必要
5:油はねの問題がある

下記で詳しく解説していきます。

ペニンシュラ型キッチンのデメリット1:収納スペースが少ない

ペニンシュラ型キッチンでは、形はI型キッチンになりますが、オープンキッチンのため、収納の面では不便が生じることが多いキッチンです。

ペニンシュラ型キッチンを採用した場合は、別にパントリーを設けたり、壁つけタイプのL字型キッチンを一緒に採用したり、背面の壁側に収納スペースを設けたりするなどの工夫が必要になります。

ペニンシュラ型キッチンのデメリット2:手元が丸見えになる

ペニンシュラ型キッチンでは、料理の際の手元が丸見えになります。

手元を隠すとスタイリッシュさが失われ、I型キッチンのようにキッチン感が出てしまいます。

ペニンシュラ型キッチンのデメリット3:煙や匂い、調理時の音が部屋に充満する

オープンタイプの対面型キッチンの宿命とも言えますが、煙や匂いも完全に防ぐことはできません。

キッチンの開放感と同時に、煙や匂い、また調理時の音の問題も完全に防ぐことはできないので、実際の使用感などをよく見て、理解した上で設置する必要があります。

ペニンシュラ型キッチンのデメリット4:キッチンを常に綺麗にしておく必要がある

ペニンシュラ型キッチンは、対面型のオープン型キッチンなので、ダイニングやリビングからキッチン内部が丸見えになります。

そのため、整理整頓や清掃が行き届いていないとキッチンが汚い印象になってしまいます。

ペニンシュラ型キッチンのデメリット5:天板の奥行きや性能の良い換気扇を取り付けないとダイニング側に油はねが生じる

油はねの問題はオープン型キッチンの宿命とも言えるものですが、ペニンシュラ型キッチンでも同様に油はねには十分注意し対策を練っておく必要があります。

ダイニング側への油はね対策としては、透明なガラスで衝立をすることはもちろんですが、キッチン天板の奥行きを90センチ以上に広げるとある程度は防ぐことができます。

また油は調理時に起きる上昇気流により遠くまで飛んでいきますので、換気扇も高性能のものにするとなお良いと思います。

ペニンシュラ型キッチンのレイアウトのコツ

ペニンシュラ型キッチンはアイランドキッチンと同様にインテリア性の高いキッチンです。

レイアウトに工夫を加えることで様々なキッチンにすることができます。

・バーカウンターのように設置する

バーカウンターのように設置したペニンシュラ型キッチン 出典:スタイル工房

ペニンシュラ型キッチンに落ち着いた雰囲気の素材感のあるカウンターを設けて、椅子を設置して高さを合わせれば、バーカウンターの雰囲気のキッチンにすることができます。

ハイチェアを使用したペニンシュラキッチンのカウンター 出典:スタイル工房

カウンターを設けることで、子供が寝静まった後など、夫婦でお酒を飲みながら、ちょっとしたおつまみを作ったり、豊かな時間を過ごすことができます。

・回遊式にする

回遊式のペニンシュラ型キッチン

またペニンシュラ型キッチンを回遊式にすることで、アイランドキッチンに似たタイプのペニンシュラ型キッチンができます。

アイランドキッチンのようにキッチンの周りをぐるぐると回れるものの、キッチンの片側コンロ側が壁についているため、調理時に生じる油汚れなどをある程度防ぐことができるような設計になっています。

回遊式のペニンシュラ型キッチンの場合は、見た目もアイランドキッチンのようにスタイリッシュな印象に仕上げることができます。

ただしアイランドキッチンの注意点でも書きましたが、キッチンには包丁や熱い鍋など危険を伴うものが多いですからキッチンに入りやすくすると、それだけ侵入経路が増えるため、キッチン内での危険性が増すことを注意しなければなりません。

8:キッチンのつくりかた

ここからはおしゃれなキッチンにするコツについてお話しして行きます。

キッチンを決める際のコツは人によって違い、また方法もたくさんありますが、普通のキッチンでは満足しない、おしゃれなキッチンにするコツについてお話しします。

おしゃれなキッチンにする10のコツ

ここからは、おしゃれなキッチンにする10のコツについてお話しします。

なお、流れは順不同なので、ナンバーの順番で検討して行く必要はありません。

おしゃれなキッチンにするコツ1:「キッチンから見たい風景」から考える

キッチンを計画する際はLDKなどのレイアウトや「I型」「II型」「アイランド型」などのキッチンの形から入る方が多いですが、あえてキッチンから見たい風景をどのようなものにしたいのかを決めてから計画していきます。

例えば、キッチンから子供達が遊んでいる風景を眺めながら調理をしたいという方はダイニングやリビングの方を向くように計画していきますが、庭を見ながら調理をしたいという方は庭を向いたキッチンを計画していきます。

キッチンの形によっては、キッチンが庭に向いていようが、家族とコミュニケーションをとることはできますから、まずはキッチンからどんな風景を見たいのか、見たい風景を探すことからスタートします。

・プライバシーの関係で外庭が難しい場合は中庭を設置する

都心部などで外庭の設置が難しい場合は、コートハウスのタイプにしてキッチンから中庭を眺めるのもいいと思います。

キッチンから眺められる中庭 出典:arbol「西三国の家」

写真はarbol設計事務所が設計した「西三国の家」という住宅ですが、写真のようにキッチンから中庭が見えるように設計されています。

鳥瞰図 出典:arbol「西三国の家」

「西三国の家」では「S字」型に中庭が設置されており、一点だけではなく視野が広がって見えるように設計されている点が大きなポイントです。

また中庭をS字にすることで全ての部屋から中庭が眺められるように設計されています。これ以外にも要所要所に設計士の技が見え隠れする素晴らしいデザイン設計だと思います。

中庭については「家づくりで中庭のある家「コートハウス」にする15のメリットとデメリット」を別途参考にしてください。

おしゃれなキッチンにするコツ2:キッチンは主役か脇役か?

キッチンにインテリア性を求めるなど、存在感を与えた間取りにしたいのか、それとも周りに溶け込んだ間取りにしたいのかでキッチンの形やキッチンのタイプが決まってきます。

例えば、「L」「D」「K」の中でキッチンが脇役に徹するなら「独立型のキッチン」にすることが考えられるでしょうし、主役にしたいのなら対面型でオープン型タイプの「アイランドキッチン」が選択されると思います。

また「L」「D」「K」の中でキッチンを主役にしたい場合は「コの字型」にし、カウンターを設け、カフェのような雰囲気にすることなどが検討されます。

冒頭で話したようにシンクと作業台、コンロと冷蔵庫などを置く収納スペースがあればキッチンとして成立します。

ですから、形やスタイルにとらわれずにもっと自由な発想でキッチンの計画を進めていくことがポイントです。

・キッチンを主役にしながらもダイニングもたてる間取り

円形に配置したキッチン

例えば写真は「榎本弘之建築研究所」の「バリスタイル」の住宅ですが、キッチンを円形に囲みダイニングと庭を望むようにキッチンが配置され計画されています。

円形に配置したキッチンの視線の先には庭がある

キッチンやダイニングからは庭の東屋が見えるように設計されています。

庭から見た円形に配置したキッチン

庭から見ると上の写真のようになっています。

円形キッチンの内部

キッチンに近づくと上記のようになっており洗い場に立ったときに庭を眺められるように設計されていることがわかります。

おしゃれなキッチンにするコツ3:独立型かオープン型か?

壁で囲った独立型のタイプにするのか、それともオープンにするのかでキッチンに求めるものやキッチンの存在理由は変わってきます。

例えば脇役に徹するキッチンを採用し、調理に集中するために壁で囲まれた空間にする場合でも、様々な形を検討することができます。

例えば先ほどの「おしゃれなキッチンにするコツ2」で見た「榎本弘之建築研究所」の「バリスタイル」の住宅が一つの参考事例になると思います。

キッチンとダイニングの関係性が非常によく、お互いを引き立てあい緩やかにつながりを持たせた設計として成立しています。

お互いを緩やかにつなげたい場合は、ガラス張りの引き戸を設け、緩やかにダイニングやリビングとつながりを持たせることもできます。

この辺りの提案力は設計士の力によるものが大きいですが、キッチンは本来もっと自由であるべきだと思います。

おしゃれなキッチンにするコツ4:洗う?・切る?・火にかける?主役を決める

キッチンは、素材を洗うためのシンクがあり、包丁などを扱い下ごしらえをするための作業台があり、火にかけるためのコンロと収納スペースがあれば機能として成立します。

ですから、どの作業スペースを中心におきたいのかで配列の仕方が大きく変わってきます。

例えば、「洗う」作業を主役に持ってきた場合は調理後のホッと一息した時に顔を上げると見たい景色を見ることができます。

「切る」作業を主役にした場合は、包丁で切りながら、ふとした瞬間に顔を上げれば見たい景色を見ることができます。

「火にかける」作業を主役にした場合は、グツグツと鍋で食材を煮込みながら見たい景色を見ることができます。

調理時のどの瞬間に、見たい景色を見たいかは人によって違いますが、おしゃれなキッチンをつくるためにはキッチンで中心となる作業はどこなのか選ぶことが一つのポイントとなります。

・キッチンから眺める窓を絵画のように設計した家

例えば下記の住宅では、キッチンで作業をしながら、まるで旅館のような風景を見せることに成功しています。

キッチンで作業をしながら見たい風景を切り取る 出典:roomclip

こちらの住宅の、キッチンから見える正面の窓は低めに取り付けてあり、キッチンからは正面の田んぼだけが見えるように設計されています。

田んぼの奥には建物があるそうですが、キッチンからは田んぼだけが窓から切り取られるように見えるように工夫されているようです。

キッチンからは絵画のように切り取った風景を眺められる 出典:roomclip

キッチンからは窓越しに、四季折々に違った風景を見ることができます。

目隠しに使われている常緑樹 出典:roomclip

外からは目隠しとして風景を邪魔しないような常緑樹が植えられています。

おしゃれなキッチンにするコツ5:キッチンは必ず料理の手順を意識して設計する

ただし、どんな時も必ず料理の手順を意識して設置場所を検討してください。

「キッチンから見たい風景」からキッチンの主役を決めると言っても、本来のキッチンの役割はきちんと果たさなくてはなりませんから、調理の手順をきちんと意識する必要があります。

・キッチンは必ず調理の流れを意識して設計する

キッチン作業の流れ

食材を冷蔵庫から取り出し、水で洗い、まな板で切り、熱を加え、配膳するという手順を意識して設計する必要があります。

おしゃれなキッチンにするコツ6:キッチンの主役から配置を考える

キッチンの主役を、どの場所に配置するかによってキッチン全体のバランスを整えていきます。

今回はキッチンから見たい風景からキッチンをプランニングしていますので、「洗う作業」のシンクの位置から決めていくのがいいと思います。

洗う作業は手元を見ながらでなくても作業ができますし、ストレスのかからない作業であることが多く、また視線が自由なことが多いからです。

次に火を使う場所であるコンロの位置を決めて行きます。

火を使う場所は油はねや煙、匂いの問題などの問題が生じますのでできるだけ壁に近い位置に持っていくのがいいでしょう。できることなら三方向が囲まれた場所に設置するのがいいと思います。

そしてシンクとコンロの間に、作業台を設けます。

収納は近くに設置できればいいですが、デザインや設計の問題でできない場合は隣接する場所にパントリーを設ければカバーすることができます。

・作業場の配置を検討する

利き腕によるキッチンのレイアウトの違い

作業場の配置は右利き、左利きによっても使いやすいレイアウトは違います。

利き腕に合わせた調理場を作ることも使いやすいキッチン設計の重要なポイントとなります。

おしゃれなキッチンにするコツ7:ダイニングやリビングとの調和を考える

デザインが統一されたキッチン 出典:pinterest

ダイニングやリビングとの距離感を始め、キッチンの位置やインテリアを含めたバランスを考えて配置して行きます。

例えばキッチン天板の素材にステンレスを選ぶのか人工大理石を選ぶのか、水栓の色など、しっかりと調和を考えた上で決定していきます。

またキッチンの照明も作業をする場所によって変更を加えるなど工夫を加えて行きます。

例えば作業台では手元が良く見えるように角度を変えて照明を計画すると利便性も高まりますし、ダイニングから見ればまるでステージのように演出することができるので、おしゃれなキッチンにすることができます。

・キッチンの照明計画

作業場の手元を照らすキッチン照明 出典:シンクタウン

写真では、まな板部分と、配膳台をスポットで照らせるようにキッチンにスポットライトが使用されています。

おしゃれなキッチンにするコツ8:人の動きを優先して考える

キッチンとダイニングの関係を考えた場合は、見た目のスタイリッシュさや格好の良さも大事ですが、何よりも人の動きを優先して考える必要があります。

ダブルアクセスにするなど、キッチンの動線を増やす場合は動線に不便が生じないように工夫を施すことが大事です。

・人の動きを優先して考える

キッチン内は人の動きを優先して考える

キッチンに、アクセスしやすくすると作業の妨げになる場合もあるので人の動きを優先して検討することが大事です。

おしゃれなキッチンにするコツ9:収納を隠すのか見せるのか?

作業場感を隠したい場合、収納を隠すことが重要です。

すっきりと隠したい場合は壁側に収納感をなくした収納棚を配置するか、別にパントリーを設置する必要があります。

また普段使う食器や調理器具はメインの収納に入れておき、普段使わないようなキッチン用品は別の場所にしまっておくという方法もあります。

どのようなキッチンを作りたいのか十分に設計士と相談の上決めてください。

・キッチン収納を隠す例

キッチンの収納 出典:Kindesign

写真のように、使用時以外、普段は見えないように収納を隠す方法もあります。

おしゃれなキッチンにするコツ10:ゴミ箱は隠す

キッチンに設置するゴミ箱は、そのままの状態で置いておくと非常に見た目が悪くなります。

ゴミ箱があるだけで生活感が出てしまいますから、食器棚に隠しインテリアに馴染ませることのできるタイプのゴミ箱を選択する方がいいと思います。

・食器棚に隠されたゴミ箱

初期棚に隠されたゴミ箱 出典:pinterest

上記の写真ではインテリアになじみやすいようにゴミ箱の配置が工夫されています。

家事動線を考えたキッチンのつくり方7つのポイント

続いて家事動線を考えた場合のキッチンの作り方についてお話しして行きます。

家事動線を考えたキッチンのつくりかた1:キッチンからの動線を中心に考えた間取り

キッチンからの動線を中心に間取りを考えた場合、洗面所、浴室、トイレを含む水回り関係の間取りはもちろん、パントリー(収納スペース)やそれにつながる廊下、ダイニングなど通り抜けられるようなスペースに配置しておくと非常に便利です。

キッチンの近くにあると便利な間取りは、洗面室、脱衣室、浴室、勝手口、玄関などにあたります。

特にリビングを通らずに玄関までいける動線を確保すると使い勝手の良いキッチンの間取りになります。

リビングを通らずに玄関までいける動線の一例 出典:https://proof-t.doorblog.jp/

家事動線を考えたキッチンのつくりかた2:キッチンから他の家事への移りやすさを考えた間取り

また、キッチンから他の家事への移りやすさを考えた場合、他の作業と並行してキッチンを利用できるのかを検討しながらキッチンの間取りを考えて行きます。

この場合、水回り関係を一列にまとめて、間に家事室を設けるなどを工夫したり、キッチンの横に縦に浴室、洗面室、家事室などをまとめて、キッチンの横にサービスデッキなどを設け、洗濯物を干せるようにするなどの間取りにすると、家事をまとめやすくなります。

キッチンから他の家事への移りやすさを考えた間取り 出典:無印良品の家 熊谷店

回遊式にすることでキッチンからアクセスできる部屋も増えるので、より便利になります。

家事は日常的に行うものなので、家事動線が充実していると、毎日のルーティン作業が非常に楽になります。

家事動線を考えたキッチンのつくりかた3:2人以上で調理をすることを想定したキッチンを作る場合

ダブルアクセスの開放的なキッチン出典:la CASA

通常家庭でのキッチンは1人で使用しますが、料理好きのご家族の場合など2人以上で料理をすることもあります。

2人以上でキッチンを使用することが想定される場合は、回遊導線を検討し、キッチンへ左右両方向から出入りできるダブルアクセスの間取りを検討するといいと思います。

もちろん左右両方向から入れるようになると、家事動線は楽になるというメリットがありますが、その分デメリットも生じてきてしまうので注意が必要となります。

なお対面型ではなく、壁付け型のキッチンの場合は基本的に自由に出入りできる形になるのでダブルアクセスの動線を検討する必要はありません。

※ダブルアクセスのデメリットについては、この記事内のアイランドキッチンの項目の「▼アイランドキッチンで後悔をしないための注意点」をご覧ください。

・キッチン内ですれ違うのに必要な通路幅を取ることが必要

通路幅 出典:order-kitchen.com

例えばキッチンの背面に収納棚を設置した場合ですが2人で並んで調理をしていた時に、一方が作業をしている後ろから食器を取り出す際、キッチンの通路幅が狭いと不便を生じてしまいます。

一般的なキッチンの通路幅は900mmから1100mmですが、キッチンを2人で同時利用することを想定した場合、最低でも1200mm程度の通路幅は確保する必要があります。

人がすれ違うことを想定した場合、1200mmほど通路幅を確保すれば使いやすいキッチンの家事動線を確保することができます。

・ゴミ箱の位置にも注意する

またゴミ箱の位置にも気をつけてください。

それぞれの間取りや、ケースにより違い、一概にここだと指定することはできませんが、理想は両方の場所で作業をしていても、気兼ねなくゴミ箱を利用できる位置にすることです。

つまりキッチンの家事動線を考えた場合、見た目はもちろん大事ですが、人の動きをしっかりと考えた間取りを検討する必要があります。

家事動線を考えたキッチンのつくりかた4:作業効率を考えたパントリーの設置方法

パントリーとは一般的には食料庫と訳しますが、作業効率を考えた場合、食料以外のキッチン家電、キッチン家具を、収納して置くスペースを適切な場所に設置することで使いやすいキッチンにすることができます。

ここでは使いやすいキッチンにするためのパントリー設置の3つの工夫についてお話しします。

・1:パントリーに勝手口を設け、半分土間仕様にする

床が土間仕様になっているパントリー 出典:pinterest

間取りにもよりますが、パントリー内に勝手口を設け、パントリーの床半分を土間として使用すると買い物やゴミ出しの際に便利なパントリーを作ることができます。

その際はパントリーとキッチンを扉一枚でへだてることで、冷暖房効率も良い間取りを作ることができます。

・2:パントリーへの出入り口を複数用意する

通常、「キッチン」と「パントリー」間の位置関係や動線を重視しますが、玄関横にクローゼットを設け、パントリーとの中継地点にし、「玄関」→「クローゼット」→「パントリー」と設置すると使い勝手の良いパントリーを設置することができます。

勝手口からも入れるパントリー 出典:pinterest

この場合、「キッチン」から「パントリー」に入ることもできますし、キッチンから「クローゼット」を挟んで、「玄関」に出ることもできます。

・3:サービスバルコニーと併設してパントリーを設ける

2階キッチンを想定した場合サービスバルコニー横にパントリーを設けそのまま勝手口としてサービスバルコニーにへの動線があると便利です。

サービスバルコニーを併設することで、外部からは見えない収納が可能となり利便性も高まります。

家事動線を考えたキッチンのつくりかた5:キッチンに冷蔵庫を置く際の注意点

キッチンに冷蔵庫を置く場合、主に3つの位置が検討されます。

それぞれの場所にメリットとデメリットがあるので、メリットとデメリットをしっかりと把握した上で冷蔵庫の位置を決めることが重要になりますが、冷蔵庫の設置場所一つでキッチンの使い勝手はかなり左右されます。

・冷蔵庫の配置場所1:キッチンの手前に置く

キッチンの冷蔵庫の位置(Fが冷蔵庫の位置)出典:pinterest

まず一つ目の冷蔵庫の位置は、キッチンの手前に置くケースです。

キッチンの手前に冷蔵庫を置く考え方は最も基本的な考え方です。

一般的なキッチンの場合、キッチン手前の冷蔵庫が、最も使い勝手の良いキッチンになる間取りとされています。

冷蔵庫をキッチンの手前に設置する場合、調理時に冷蔵庫から食材を取り出す動線も短く確保できます。

また、キッチンを使用している最中に、リビングやダイニングから、冷蔵庫に飲み物を取りに来たとしても調理の作業を邪魔されることなく調理に集中することができます。

つまり調理中にキッチンに侵入されることがないので、混雑がない間取りとされています。

・冷蔵庫の配置場所2:キッチンの奥に置く

冷蔵庫をキッチンの奥に置く場合、一般的に2つの配置場所が検討されます。

冷蔵庫を奥に設置する方法は、冷蔵庫をあまり目立たせたくないときなどに検討されますが、奥側の見える位置に置くか、見えない位置に置いて冷蔵庫の存在を隠してしまうのか、二つの方法が検討されます。

ただし、キッチンの奥に冷蔵庫があると、デメリットとして冷蔵庫が使いづらくなるというデメリットもあります。

1:見える位置に置く

キッチンの冷蔵庫の位置(Fが冷蔵庫の位置)出典:pinterest

キッチン奥の見える位置に冷蔵庫を置く場合は冷蔵庫の存在を目立たさずに置くメリットがあります。

2:見えない位置に置く

キッチン奥の見えない位置の冷蔵庫(Fが冷蔵庫の位置)出典:pinterest

キッチンの奥の見えない位置に冷蔵庫を置く場合は、そもそも冷蔵庫の存在を消してしまい、キッチンに冷蔵庫があることが見えない配置になります。

・冷蔵庫の配置場所3:冷蔵庫専用のスペースを作る

冷蔵庫専用スペース 出典:ワンダーホーム

あらかじめ、冷蔵庫専用の置きスペースを間取りの中で確保する方法です。

壁を凹ませる方法が代表的な設置方法ですが設置場所によってはキッチンの作業を始め不便が生じてしまうこともあるので注意が必要です。

・冷蔵庫の扉の開閉の方向に気をつける

冷蔵庫の設置を検討する場合、冷蔵庫の扉の開閉方向にも注意してください。

両開きの冷蔵庫もありますが、冷蔵庫の開閉方向によっては非常に使いづらく、キッチン動線をさらに複雑にしてしまうことにもなりかねません。

また壁を凹ませた場合によく見られますが、冷蔵庫の扉の開閉が90度で扉が壁に当たってしまうと冷蔵庫と壁、両方にダメージを与える結果となり、建物を傷つけてしまうこともあるのでくれぐれも注意してください。

キッチンに冷蔵庫を置く際は、「ドアの開閉方向は適切であるか」「ドアの開閉に不都合はないか」を必ず検討して購入または設計してください。

家事動線を考えたキッチンのつくりかた6:食器棚の位置に注意する

食器棚は通常、「料理の盛り付けをするとき」と「洗い終わった食器を戻すとき」にしか使用しません。

つまり、コンロや作業台の近くに食器棚を設置すると盛り付け時のキッチンの動線が自然と確保されるので作業効率が高くなります。

もちろん理想はシンク、作業台、コンロの3つの位置と近い場所に設置することですが、なかなか難しい場合はコンロや作業台の近くに設置することを検討するといいと思います。

また先ほどの冷蔵庫の位置と食器棚の位置関係で迷った時は、食器棚の位置よりも冷蔵庫の位置を優先して選ぶと良いと思います。

これは単純に冷蔵庫の方が使用頻度が高いからです。

買い物から帰ってきたときも冷蔵庫を使いますし、冷たい飲み物を飲みたくなったときも冷蔵庫を使います。

使用頻度に応じて使いやすい位置を検討するとより作業効率を優先したキッチンを配置することができます。

家事動線を考えたキッチンのつくりかた7:コンセントの位置と数に注意する

コンセントの位置とコンセントの数は、キッチンの作業効率を高める上で非常に大事な検討材料の一つです。

キッチンのコンセントの位置と数のバランスはご家庭の状況により違い、一概に何個必要ということは言えませんが、一つ言えることは余裕を持った数を設置すると良いでしょう。

キッチンとダイニングの繋げ方

「調理の流れを意識したキッチンの作り方」の「ワークトライアングルを意識したキッチンにする」でもお伝えしましたが、キッチンとダイニングの関係を工夫することで、家事動線が便利な間取りはもちろん、キッチンとダイニングお互いの関係を尊重し合う間取りにすることができます。

1:対面型キッチン+ダイニングの例

対面型キッチンとダイニングの場合は、キッチンに立つ人が孤立せずに家族とコミュニケーションを取りながら調理作業を進められることができます。

完全なオープン型ではなく、セミクローズド型のキッチンにすれば調理作業時の手元を隠すこともできます。

この場合、キッチンを挟んで廊下を設置し、ダイニング側からと廊下側2つの方向からアクセスできるようにすると家事動線に広がりが生まれ便利になります。

廊下側からもアクセスできるキッチン 出典:株式会社夢工房

2:独立型キッチン+ダイニングの例

独立型のキッチンにすることでキッチンで調理をしている最中の油汚れや煙、水はねなどを防ぐことができ、キッチンとダイニングのお互いの関係を尊重して扉などで仕切ることができます。

家事動線を優先した間取り 出典:アイムの家

この場合、キッチンの横に家事室、洗面所、浴室などの水回り関係の間取りを集中させることで家事動線に優れた間取りになります。

3:並列型キッチン+ダイニングの例

家事動線がいい間取り 出典:リフォペディア

「並列型キッチン+ダイニング」は、縦に並べるタイプと横に並べるタイプの2パターンがありますが、配膳や片付けが楽なキッチンが出来上がります。

また調理時の手伝いもしやすいので、家族で調理をすることもできるようになります。

この場合も、キッチンの奥に廊下を作り回遊式にするとアクセスが増えるので家事効率を高めたキッチンの間取りにすることができます。

まとめ:キッチンの種類とレイアウトのコツ

今回の記事では、そもそも注文住宅における家の間取りにおいて、キッチンとはどのような役割と機能を持つ場所なのかについてお話しした後に、キッチンとは4つの機能を一箇所にまとめれば成立するというお話をしました。

その上で、調理の流れを意識したキッチンにするにはどのように配置すればいいのか、ワークトライアングルの関係やレイアウトの観点から調理動線を始め家事動線を意識したキッチンの作り方についてお話ししてきました。

基本となるキッチンの形には「I型」「II型」「L型」「コの字型」「アイランド型」「ペニンシュラ型」があり、それぞれの形の特徴とメリット、デメリット、レイアウトのコツなども合わせてお話ししてきました。

つまり、キッチンの種類と選び方についても網羅されています。

キッチンをプランニングするコツや、より家事動線を意識したキッチンをつくるコツについてもお話ししましたのでぜひ、注文住宅でのキッチンの間取りづくりの際の参考にしていただければと思います。

大事なのは何を優先とし、何を優先としないのかを決めることだと思いますが、それぞれの家庭の状況に合わせて設計士と相談の上プランニングしてください。

注文住宅のキッチンの間取りでお悩みの方へ

キッチンは家の中でも生活の中心となる場所です。

注文住宅のキッチンはプランニングの幅も広く、キッチンの要望次第では家全体の間取りが大きく変わってきます。

キッチンの間取りは生活動線を決める上で、それだけ大事な間取りですから、設計士によってキッチンの提案の内容も仕方も様々で、キッチンをどのような場所にしたいのか、その要望を正確に伝え、さらに想像を超えてくる提案を期待しなければなりません。

キッチンの間取りで悩んでいる場合、一度、冷静になり、違う角度から間取りを提案してもらうと、思わぬところでいい間取りを手に入れられる事があります。

その場合、複数社から一気に間取りを提案してもらう方法がいいでしょう。

様々な住宅会社から一気に間取りを提案してもらう事で比較もできますし、住宅会社によるプランの違いをより実感していただく事が出来ると思います。

どのようなキッチンの形が自分たち家族に適しているのかわからない場合でも、複数の住宅会社から提案をもらう事で理想の形が見えてくることもあります。

複数の住宅会社にキッチンを含む家全体の間取りを提案してもらい、住宅会社を決めて頂くには下記のサービスが便利ですので、ぜひ一度利用して見てください。

家づくりは、施主にとって一大事業ですから、使えるサービスはどんどん利用し、しっかりと比較検討し、慎重に進めて、理想の間取りを手に入れる事が大事です。

▼キッチンの間取りでお悩みなら、まずは提案内容で複数社を徹底比較▼

キッチンの間取り提案はもちろん、提案内容を比較して住宅会社を選びたい方はタウンライフ家づくりがお勧めです。

キッチンの間取りを含めた家全体の間取りの提案を、ひとりひとりの要望に合わせて複数社から一気に受け取ることができるので各社の強みがハッキリとわかり、住宅会社を比較した上で納得のいく家づくりをしていただくことが出来ます。

注文住宅の見積もりも、もらう事ができるので、トータルで理想の家づくりを計画していただく事ができます。

詳細はタウンライフ家づくりのページ
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予算内でいい家を安く建てるために知っておいて欲しいこと

予算内で、いい家を安く建てるために知っておいて欲しいことが、実は、3つあります。

ここでは、いい家を安く建てるために知っておきたい3つの記事をご紹介します。

1:予算内でいい家を建てるための7つの基本

注文住宅では、ほとんどの場合、当初の予算をオーバーします。

予算をオーバーする原因は様々ですが、打ち合わせを重ね、プランを進めてしまうと、一度プランを白紙に戻さないと引き返すことができなくなるなど、後戻りができなくなってしまうケースもあります。

もちろんプランを白紙に戻した際は、余計なコストがかかることは言うまでもありません

ですから、家を検討しはじめた、早い段階で依頼する側が、最低限の家を安く建てるための基本やコツを知っておき、しっかりとコストをコントロールをする必要があります。

また、何も知らずに依頼先の住宅会社と契約をかわしてしまうと、依頼先の住宅会社では希望している家が建てられないということが、家づくりのプランを進めてからはじめてわかり、納得しないままに家づくりを進めなくてはならないこともあるので、契約をする前にベースとして持っておきたい知識があります。

下記の記事では、家の価格の決まり方の話や、家のコストを決定づける要因やコストダウンの基本などについてお話ししていますので、参考にしていただき、予算内でいい家を安く建ててください。

>>>家を安く建てる方法とコストダウンの7つの基本

2:注文住宅を予算内におさめるために知っておきたい家の形の話

家には、お金がかかる家の形と、お金がかからない家の形があります。

また家の形次第で、間取りに制限がかかるなど、暮らしやすさが大きく左右されたり、長期間住むことで建物がダメージを受ける部分が違うためメンテナンスにかかる費用(維持費用)が変わってきたり、家の形によるメリットやデメリットが少なからずあります。

特に角の多い家は、注意が必要で、角が一箇所増えるにつれて、見積もり金額に10万円から20万円の金額差が生まれます。

下記の記事では、お金のかかる家とお金のかからない家の形の違いについてお伝えすると同時に、どのような家の形はコストが上がるかなどの例も載せておきますので、注文住宅で家づくりを検討しはじめたら、長い目で、家の形にも注意して家づくりを進めていくことをお勧めします。

家の形については下記の記事を参考にしてください。

>>>家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い

3:無料でもらえる住宅カタログを使って理想の家を建てる方法

注文住宅での、家づくりは情報を集めるところからスタートします。

そして、最終的に、いい家を建てられるかどうかの大きな分かれ目は、依頼先選びで決まると言っても過言ではありません。

実際、同じようなプランでも、依頼先によって見積もり金額に違いが生まれますし、予算の違いだけではなく、同じ要望でも依頼先次第で提案されるプランも違ったり、できることやできないことも違い、さらには工事の良し悪しも変わってきます。

だからこそ、失敗のない注文住宅を建てる上では、各社をしっかりと比較し、しっかりと検討してから依頼先を決める必要があります。

依頼先選びで、各社を比較検討をするためには、住宅カタログを利用すると便利ですが、各社のカタログを読み解く上で、押さえておきたいポイントなどがあります。

下記の記事では、無料で住宅カタログを取り寄せて、住宅カタログの見るべきポイントや、押さえたいポイント、住宅カタログを使いこなして賢く家を建てるポイントなどについて書いておりますのでぜひ、参考にして家づくりを進めていってください。

>>>無料で貰える住宅カタログを使いこなし賢く家を建てる6つのステップ

以上、参考にして家づくりを進めてください。




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