非常にユニークなパビリオンが京都造形芸術大学の敷地内にあります。
植物がうっそうと茂る急傾斜面に建てられたこの小さな休憩所「森の屋根ときのこ」は建築家・西沢立衛とデザインオフィスnendoの協業により誕生しました。
この急斜面にそっとかけられた小さな休憩所「森の屋根ときのこ」は天気の良い日には東山三十六峰の峰々が一望できるように設計されています。
この小さな休憩所の近くには梅が植えられる予定となっているようで梅が生長する数年後にはまた違った風景として存在することになりそうです。
上の写真は「森の屋根ときのこ」のラフスケッチ。斜面を覆うように屋根がかけられ、さらに斜面の要所要所にキノコの形をした椅子が設置される予定であったことが見受けられます。
実際に建てられた小さな休憩所「森の屋根ときのこ」でも、きのこの形をしたスツールが設置されています。これらのきのこの形をしたスツールはそれぞれ違うサイズであるようで椅子ひとつとってもバリエーションに富んでいることがわかります。
傾斜に柔らかく沿う屋根の下の薄暗い空間には、野花よりもきのこが合いそうだということできのこのスツールをデザインしたそうです。
これまでの建築家、西沢立衛氏の建築空間は明るい「野原」や「庭」のようであることを考えると非常に異質な建物であり、ひとつの挑戦であったことが随所に見受けられます。
「きのこ」の形をしたスツールは、職人の手仕事によって作られており、ひとつひとつのサイズや形状がわずかに異っているようです。
「きのこ」の形をしたスツールは、木柱の根もと、石垣や階段の隅っこなど、「いかにもきのこが生えそう」な場所を探しながらレイアウトしていったそうで、これにより自然に感じられるものとして空間をより印象づけることに成功しています。
さらに、手すりの一部がそのままきのこへと変質しているようなディテールも加えられています。これにより「そこに置かれた家具」ではなく、「どこからともなく生えてきた建築の一部」となることを目指したそうです。
「森の屋根ときのこ」は、こうしてみてみてもかなりの傾斜をもつ斜面だということがわかります。
柔らかい曲線を描く屋根のカーブが斜面と一体化しより味わい深いパビリオンとしてその存在感を印象づけています。
こちらが階段下の風景です。
上から見ると屋根が斜面を這っているかのような、生きた建造物として感じることができます。
手すりの部分と一体化したきのこのスツールが見えます。
森の屋根ときのこは、全体的に曲線をいかした優しい空間作りのデザインとなっています。
斜面を覆うようにそっと、それでもなお生命力をもった力強い建築物。「森の屋根ときのこ」は、その言葉が非常によく似合います。
木の柱を巻くように存在するスツールも非常にいい味を出しており、薄暗い空間の下で育つきのこを強く印象づけることに成功しています。
くるくるっと巻き付けられたスツール。随所に遊び心が垣間見えます。
どうやら建物下の、この空間にはきのこがびっしりと生い茂っているようです。所々きのこのスツールのはえ具合が違うところも大きなポイントであると言えます。
大きさが違うことによりそれがいいコントラストとして空間全体を強く印象づけることに成功しています。
こうしてみると新しい新種のキノコのようにさえ見えてくるから不思議なものです。
最後にnendoの佐藤オオキ氏と建築家・西沢立衛氏の写真をぱちり。森の屋根ときのこは京都造形芸術大学の敷地内でみることができますので興味のある方は足を運んでみても良いかもしれませんね。
森の屋根ときのこのある大学の場所
森の屋根ときのこのある京都造形芸術大学の場所は以下から確認することが出来ます。
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▼参考:(外部サイト)
ryue nishizawa + nendo collaborate on small pavilion in kyoto