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土間のある家の11のメリットとデメリットと、土間がある家をつくる3つのポイント

おしゃれな家でよく見かける土間ですが、土間にはメリットもあればデメリットもあります。

今回の記事では家づくりで土間の空間を作ることのメリットやデメリットを中心に解説していきたいと思います。

土間をつくろうと検討しているけれども、土間をつくることでどんなメリットがあり、逆にどんなデメリットが生じてくるのだろうと検討されている方や、土間をつくる時にはどんなことに注意してつくればいいのだろうといった方まで参考にしていただける記事になっていると思います。

ちなみに本記事でいう土間とは、昔ながらの「三和土仕上げ」のタイプの土間ではなく、現代風にアレンジされた土間について解説していきます。



住まいに土間をつくるメリットと魅力

まずは家づくりで土間をつくることのメリットと魅力について解説していきたいと思います。

土間のある家にするメリットは下記の通りです。

【土間のある家にするメリットと魅力】

1:多目的スペースとして使える
2:泥などの汚れに強い収納空間になる
3:汚れに強く傷がつきにくい上にメンテナンスが楽
4:家が涼しくなる
5:異素材の素材がアクセントになり空間がおしゃれになる
6:空間が広く感じられるようになる
7:外部空間と一体感が生まれる

下記から土間をつくるメリットについて、一つ一つ解説していきます。

1:多目的スペースとして使える

土間は多目的スペースとして様々な用途で使うことができます。

例えばリビングに面した土間をつくれば土間リビングとなり一つのリビング内に土足で使えるスペースと靴を脱いで使うスペースを共存させるといった使い方もできます。

なかには、土間に観葉植物をおき、土間を趣味として利用するガーデニングスペースとして活用する方もいらっしゃいます。

また土間の一角を利用してワークスペースとして活用されている方もいらっしゃり、靴を履くことで気持ちの切り替えができていいと言われることもあります。

犬を飼われている方は散歩から帰ったらまず、土間スペースで足を拭いてから家にあげるといった使い方もできますし、油汚れが気になる自転車やバイクの整備をする場所として土間を活用したり、土間の一角に砂場を作って子供の遊び場とする方もいらっしゃいます。

こうした家族のライフスタイルにあわせた多様な使い方ができるのも土間の魅力の一つだと思います。

土間は、半屋外の空間として使うことができるので土足のまま使うことができるのが土間の大きなメリットだと思います。

2:泥などの汚れに強い収納空間になる

土間は収納空間にもなります。

例えば玄関脇に土間のシュークロークをつくれば自転車やベビーカーはもちろん、屋外で使うボールや野球道具などのスポーツ用品、キャンプやバーベーキューなどのアウトドア用品をまとめて収納することができます。

汚れに強い床のため、雨の日に濡れた傘はもちろん灯油なども収納することができます。

家の外で使うものを家の中に置きたくないといった時に土間をつくれば、床が汚れてもそれほど問題のない収納スペースとすることができます。

3:汚れに強く傷がつきにくい上にメンテナンスが楽

また土間スペースは汚れに強い空間になります。

現代の土間はコンクリートやタイル、天然石などでつくることが多いですが、どれも汚れをはじくため汚れに強くなり掃除が楽になります。

汚れが付いたらブラシやホウキを使って掃除をすれば簡単にきれいになりますし、汚れが付いたら水で洗い流すこともできます。

さらに、何か物を落としてしまっても、フローリングと比べて床へのダメージが少ない、とても強い床とすることができます。

4:家が涼しくなる

土間の空間はひんやりとしていて気持ち良くなります。

土間に使われる素材は熱伝導率が高い素材が多く、特に夏場は熱を吸収する素材のため家全体が涼しく感じられるようになります。

風通しをよくすれば、エアコンに頼らなくても自然の風が気持ちの良い家をつくることができます。

5:異素材のデザインがアクセントになり空間がおしゃれになる

また土間をつくると空間がおしゃれに見えます。

居住空間の床の素材はフローリングで、土間の部分に使われる素材はコンクリートやタイルなどに変えることで視覚的な変化が生まれ、おしゃれに見えるようになりますし土間のある空間では開口部も広く取られることが多いため、自然と空間がおしゃれに見えるようになることも土間をつくる大きなメリットだと思います。

6:空間が広く感じられるようになる

土間をつくる際、床の高さを合わせてつくることもありますが、一般的には家の中につくる床よりも高さを下げて作っていきます。

これにより高低差が生まれ立体的な空間になりますので、視線の抜けができて、自然と開放感が感じられる間取り(空間のとり方)になることで、部屋が広く見えるようになるのです。

7:外部空間と一体感が生まれる

土間は、内と外とをつなぐ曖昧な空間です。

土間をつくることで外部空間との間に緩やかな連続性が生まれ、内部の空間と外部の空間に一体感が生まれるメリットがあります。

土間をつくるデメリット

続いて、土間のある家にするデメリットは下記の通りです。

【土間のある家にするデメリット】

1:居住スペースが狭くなる
2:段差ができる
3:冬場は底冷えしやすい
3:暖房効率が悪くなり家が寒くなる
4:間取りによっては行き来が面倒になる

1:居住スペースが狭くなる

まず第一に土間をつくると、土間の分だけ居住空間が狭くなります。

特に1階部分のスペースが圧迫されますのでリビングやダイニングを広く使いたい場合や使える敷地が限られている時などはデメリットが際立ってきます。

もちろん土間リビングと言ったように、居住性のある土間にすることも検討できますが、土間は素足でいられるスペースではないため欧米などと違い日本の住環境における一般的な居住空間とは違います。

2:段差ができる

土間をつくると段差が生まれるのもデメリットと言えます。

もちろん段差をつけずに土間をつくる方法も検討できますが、段差をつけないと外からの埃やチリが家の中に上がってきやすくなるという新たな問題も生じてきます。

外部の汚れを家の中に吹き込ませないために、一般的には床の高さを一段下げて土間をつくるため、土間をつくると自然と段差が生まれてしまいます。

バリアフリーの観点から言うと土間はあまりよろしくありません。

3:冬場は底冷えしやすい

土間は普通の床よりもひんやり冷たく土間をつくると、冬場は底冷えしやすくなります。

冷気は地面に近い土間部分に蓄積され土間から上に上がってくる性質があるからです。

そして土間は基礎の上に設けるスペースであり、土間に使われる素材は熱伝導率が高く熱を吸収する性質があることから、部屋の中で暖められた熱も床に吸収されていってしまい部屋の中がなかなか暖まりにくくなってしまうのです。

4:暖房効率が悪くなり家が寒くなる

土間をつくると冬場は家が寒くなります。

土間の部分は一度冷えるとなかなか温まりにくい性質があるため、特に冬場の足元は想像以上に寒くなることを覚悟してください。

もちろん対策もあります。

【土間部分の底冷えに対処する方法】

・土間部分の基礎断熱をし断熱性を高める
・土間に断熱効果のある仕上げ材を使う
・土間に床暖房を設置する
・土間と居室の間に2重ガラスを設ける

以上のような方法で土間部分の断熱性を高める方法もありますが、やはりそれでも土間部分には空気の層がないため他の空間と比べるとどうしても寒さが蓄積されてしまいます。

ただし土間をつくると夏は涼しくなるため一長一短があると言ったところでしょうか。

温暖な気候の土地に土間をつくると生活が快適になるでしょうが、冬の寒さの厳しい場所に土間をつくるとランニングコストの高い家になってしまうと思います。

>>>ランニングコストのかからない家のつくりかた

5:間取りによっては行き来が面倒になる

土間をつくると自然と段差が生まれますし、土間との間を行き来する時、靴を脱いだり履いたりする必要が出てくるため、間取りによっては空間の行き来が非常に面倒な部屋になってしまいます。

これが世間一般によく言われる土間をつくると空間が分断されるというデメリットになります。

また、例え土間と居室との間に段差をつくらなかったとしても、土間をつくると緩やかに部屋が分断されてしまうため、どうしても人の往来に不便を生じることが多くなってしまうのです。

もちろん間取りの工夫によっては、部屋の行き来の面倒さを和らげることができたり気にならないような間取りにすることができますが、土間が欲しいからと何も考えずに、ただ土間だけを作ってしまうと生活が面倒な土間になってしまいますので注意してください。

土間をつくるにはいくらかかる?土間の設置費用について

続いて、土間をつくるための費用の目安についても解説していきます。

土間を設置する場所、広さ、土間に使われる素材、施工方法、土間に設置する設備などの有無によっても費用は変わってきます。

モルタルやコンクリートを使った方法だと比較的安価に済みますが、タイルや自然石などを土間の床材として使用すると値段が高くなります。

【土間に使われる素材による価格の違い】

安:モルタルやコンクリート
高:タイルや自然石

土間をつくる場合は、この辺りは予算によって使い分けていけばいいと思います。

土間の設置費用の目安としては150万円〜200万円程度からを見ておけばいいと思います。

条件:約9m2の土間敷き空間、寒さを凌ぐための一般的な仕様の薪ストーブ、煙突を設置した際の費用

もちろんそれ以上に費用が必要になることもあれば、それ以下ですむこともあります。

この辺りはあくまで目安としての設置費用にとどめておいてください。

土間をつくる時に注意したいポイント

土間をつくる際に注意したいポイントは下記の通りです。

【土間をつくる際のポイントと注意点】

1:内と外が調和する床材を選ぶ
2:冬場の寒さ対策をしっかりする
3:居住空間との間に段差をつけすぎない

1:内と外が調和する床材を選ぶ

土間をつくる際は床材はしっかりと選んでください。

土間をつくる際はモルタルかコンクリート、タイルか自然石が使われると思いますが、内外部で必ず素材のテイストが統一したものを選んでください。

土間は、家の内外部に緩やかなつながりを持たせた空間になるため、できることなら内と外で素材は統一するとより外と中のつながりが生まれますし、よりおしゃれな土間に仕上がります。

さらに土間は、インテリアとして重要な要素になりますので、色、質感なども統一性があるように全体的に調和の取れたものになるよう検討して行ってください。

2:冬場の寒さ対策をしっかりとする

土間をつくる際は、冬場の寒さ対策は必須だと思ってください。

具体的な対策の例は下記の通りです。

【冬場の土間の寒さ対策の例】

(1)床暖房システムを入れる
(2)間仕切り引き戸を使って寒さ対策をする

(1)床暖房システムを入れる

冬場の寒さ対策としては土間の部分に床暖房を入れる対策が効果的です。

実は土間にも床暖房を入れることができます。モルタルやコンクリートを土間の床材として使う場合は直接配管を埋め込む「直埋式床暖房」を設置することができます。

デメリットにも書きましたが、土間部分は底冷えしますので床暖房を入れると寒さが軽減されます。

コンクリートは蓄熱性があるので一度あたたまると熱を溜め込む性質があるため、エアコンやストーブなどの他の暖房システムと併用することで効率的な暖房とすることができます。

特に居住スペースと隣り合わせのスペースに土間をつくる際は床暖房システムの設置は必須だと思ってください。

(2)間仕切り引き戸で寒さ対策をする

また土間と取り合った空間を隔てるための引き戸をつけておくと寒さを軽減できます。

例えば土間の隣にリビングが配置されているケースだと冬場の寒い時は引き戸で土間とリビングを仕切り、夏場には風通しを良くするために土間とリビングの引き戸を解放するなどすれば、寒い時と暑い時で使い分けることができます。

土間と隣り合った居住スペースの開放感を高めるために窓を設置する場合は最低でも2重ガラス、できればトリプルガラスなどにすれば、断熱効果を高めることができるので検討してみてください。

土間の特徴を生かすためには引き込みタイプの引き戸にすると、季節や気候に合わせて部屋と土間の開閉具合を調節できるのでより開放的な土間にすることができると思います。

3:居住空間との間に段差をつけすぎない

居住空間と隣合わせで土間をつくる場合は、段差をつけすぎないように注意してください。

段差をつけること自体は悪いことではありませんし、段差をつけるメリットは多いものの、土間との間に段差をつけすぎると空間が分断されてしまいますので、心地よさや快適性が感じられなくなってしまいます。

まとめ

土間の魅力が見直され、間取りに土間を取り入れることを検討される方が増えてきています。

昨今のアウトドアブームの影響もあるのでしょうが、土間はメリットもあればデメリットもあるクセのある間取りであると言うことは検討段階で押さえておくべきことだと思います。

土間は暑い夏は涼しい空間になりやすいですが、寒い冬場は一気に冷え込み、なかなか室内が暖かくならないなどのデメリットを引き起こします。

土間をつくる際は暖房対策は必須だと心得ておくことが大事で、人の行き来のしやすさはもちろん、生活動線や設備をきちんと考え、良い位置に土間をつくる工夫が大切です。

けれども、土間は魅力的で、土間があることで生活を豊かにすることができると思います。

ぜひ、あなたのライフスタイルの中に土間の空間を取り入れていただき、土間の魅力を存分に味っててみてはいかがでしょうか?



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