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地下室の種類はどんなものがある?5種類のタイプと地下室で失敗しないための基礎知識

今回は一戸建て住宅の地下室で失敗しないための基礎知識について徹底的に解説していきます。

一戸建て住宅の地下室の種類とそれぞれの地下室のタイプの特徴や、地下室の費用をやすく抑えるコツ、地下室をつくるための土地探しのヒント、地下室で失敗しないための注意点に至るまで地下室のある家を建てるための基礎知識について余すところなく詰め込んでいきます。

この記事を読んでいただければ一戸建て住宅の地下室の基礎についてご理解いただけるかと思いますのであなたの家づくりにお役立てください。



家(一般住宅)の地下室の種類は3タイプ

地下室には3つのタイプがあります。

【地下室の3つのタイプ】

1:全地下
2:ドライエリア(空堀)つき
3:半地下

地下室は土地の形状や施工方法(工事の仕方)によって以上のタイプに分けることができます。

この内「半地下」タイプではさらに下記の2つに分類することができます。

【半地下タイプは2つのタイプの地下室に分けられる】

半地下のタイプ1:傾斜地利用タイプ
半地下のタイプ2:ひな壇・宅地タイプ

地下室のタイプによって地下室をつくるためにかかる費用はもちろん、工期なども違ってきますので、地下室で失敗しないためにはそれぞれの地下室のタイプの違いは必ず押さえておいてください。

地下室のタイプ1:全地下

名前の通り「地下室の全部」が地下に埋まっているタイプの地下室のことです。

全地下タイプのメリットとしては防音性能や断熱性能を高めることができる点にあります。

ただし全地下タイプの地下室では、窓を設置し採光をとり視線の抜けをつくることができないため間取りによっては窮屈で息苦しく感じてしまうこともあります。

また全地下タイプは窓がないため風の通りを良くすることができないため、湿気に弱く換気や防湿処理を徹底しないと湿気でジメジメしてしまいますので注意してください。

地下室をつくるためにかかる施工費用は、3つの地下室のタイプの中で最も高くなる傾向にあります。

【全地下タイプの地下室の特徴】

・防音性能や断熱性能に優れている
・窓を設けることができない
・採光を取ることができない
・狭く圧迫感を感じることがある
・湿気に弱い

地下室のタイプ2:ドライエリア(空堀)つき

ドライエリアとは空堀(からぼり)と呼ばれるスペースのことで採光や換気を目的として、地下室の外を元の地面より低い位置まで掘り下げて、わざと地下に埋まっていない場所を作り小さな中庭などをつくる場所のことをさします。

地下にベランダをつくるようなイメージに近いと思います。

このドライエリアをつくる地下室が二番目のタイプの地下室です。

全地下タイプの地下室では周りが土に囲まれているため、窓を設置することができませんが、ドライエリア(空堀)をつくる地下室の場合、窓を設けることができるので、地下室に採光をとったり換気をよくしたりできるので、工夫次第では地上のような明るく快適な地下室をつくることができます。

例えばドライエリア(空堀)の深さを地下室の床面と同じ高さに揃え、目一杯の掃き出し窓を設ければ、非常に気持ちの良い地下室とすることができます。

ただ一方で全地下タイプよりは防音性能には劣り、また断熱性能も下がってしまうデメリットも生じます。

【ドライエリアタイプの地下室の特徴】

・窓を設けることができる
・採光をとり明るい地下室にできる
・換気が良くなり調湿できる
・視線の抜けを作り広く見せることができる
・中庭をつくることができる
・防音性能や断熱性能には劣る

地下室のタイプ3:半地下

地下室の大体3分の1程度が地下に埋まっているタイプの地下室を半地下タイプの地下室といいます。

半地下タイプの地下室では地上部分に面している部分があり、建築基準法で「居室」として認められるギリギリの範囲で施工をしていくことが一般的です。

地下室を半地下タイプにするメリットとしては、窓を設置することで採光、湿気の対策がしやすいことや、視線の抜けをつくることができるため部屋を広く見せることができるなどがあります。

ただし全地下タイプの地下室のように部屋が地中に全てが埋まっているわけではないため、防音性能や断熱性能は低下してしまうデメリットがあります。

半地下タイプは3つの地下室のタイプの中で最も地下室をつくるための建築コストをおさえられるのも大きなポイントです。

【半地下タイプの地下室の特徴】

・窓を設けることができる
・採光をとり明るい地下室にできる
・視線の抜けを作り広く見せることができる
・地下室をつくるための費用がおさ得られる
・防音性能や断熱性能には劣る

半地下タイプの地下室は2タイプ

また半地下タイプの地下室は土地の形状により次の2つの地下室に分類することができます。

半地下のタイプ1:傾斜地利用タイプ

傾斜地利用タイプの地下室は、勾配のある土地に建てられた家でつくる半地下タイプの地下室です。

斜めに傾いた傾斜地に地下室をつくる際は自然と傾斜地タイプの地下室になります。

傾斜地利用の半地下タイプの地下室では、傾斜をうまく利用することで、土を掘る量が少なくなり、また土留の方法が楽になるので施工コストを大幅に削減することができる場合もあります。

また、片側部分に窓を設けて、採光や換気をとったり、片側のみが外と接している半地下タイプの地下室をつくることができます。

空堀(ドライエリア)を設けなくても部屋の高い位置に窓が取れるため居住環境を高めやすいメリットもあります。

【傾斜地利用の地下室の特徴】

・居住環境を高めやすい
・建築コストをおさえられる

>>>一般的な住宅で地下室をつくるのにかかる費用についてどこよりも詳しく徹底的に解説します

半地下のタイプ2:ひな壇・宅地タイプ

ひな壇・宅地タイプの地下室は、階段上に彫り込まれた土地の家でつくる半地下タイプの地下室です。

もともとある敷地の段差を利用したタイプの地下室と言い換えても良いともいます。

ひな壇・宅地タイプよく見かける地下室としては、段差を利用して地下の部分をビルトインガレージにしてしまい、その上に居住空間を確保すると言った地下室です。

ひな壇・宅地タイプの地下室は土地の条件次第では一般的な地下室よりも地下室がつくりやすく、日当たりや風通しの良い住み心地の良い地下室にすることができます。

ただ条件に完全に合致する土地はなかなかありませんので、適合する土地を取得するための根気強さや辛抱強さが必要になり、実際に施工できるかどうかは状況によって変わってきます。

【ひな壇・宅地タイプの地下室の特徴】

・ビルトインガレージと相性が良い
・建築・施工コストをおさえられる

収納庫タイプの地下室って何?

注文住宅で地下室をつくる8つの目的と地下室の11のメリット・デメリット」でも解説しましたが、地下室をは耐震性に優れているため「趣味」「仕事」「実用」目的など様々な用途で使われます。

なかには地下室を丸々と収納スペースに当てる方もいらっしゃいます。

実は一定の条件を満たす地下室は延べ床面積に含まなくても良いことになっているため、収納庫タイプの地下室を作り、簡易的な部屋として使う方もいらっしゃいます。

地下に洗面室やトイレなどを設置し地上階を広く使う方法も

地下室はうまくつくれば居住スペースを広げることができます。

例えば、よくある話ですが、地下のスペースを洗面室やトイレなどの水まわり設備を集中させ、地上階はリビングやダイニングなどの居住空間にあてればそれだけ居住スペースを広く伝うことができます。

特に半地下タイプの「2:ひな壇・宅地タイプ」では、こうした地下室をつくることでまるで3階建てのような家を建てることが検討できますので、おすすめです。

もちろん土地の形や条件には左右されますが、土地が適合すれば、また予算が許せば地下室を有効活用し居住スペースを広げると言った考え方もあります。

地下室を居室として使うための法的な条件

居室とは、生活や作業をする部屋のことを言いますが、地下室を居室(リビング、キッチン、寝室など)として使うためには建築基準法でいう「居室」の規定に適合させる必要があります。

例えば居室とするには「適切な大きさの窓を配置すること」「自然の採光や通風が確保できること」などがあります。

※ただし「地下室」には採光のための窓を設ける必要はありません。

地下室を居室として使うためには、具体的には下記の条件を満たす必要があります。

【地下室を居室として使うための条件】

・ドライエリアなどの開口部がある
・建築基準法が定める換気設備が設置されている
・湿度を調節する設備が設置されている
・外壁や床に適切な方法で防水処理が施されている

このほか、地下室を居室として使う場合の条件については「建築基準法施行令」に記載されていますので確認すると良いと思います。

ただし専門家に相談すれば、難しいことを考えなくても地下室を居室として作れるように設計してくれるので、あくまで参考程度におさえておく程度で構いません(内容が複雑で難しいので)。

建築基準法が定める「地下室」の定義について

地下室を設計するのは専門家ですし、これを読んでいる方hにはあまり難しいことは必要ないかもしれませんが一応、建築基準法が定める「地下室」の定義についても触れておこうかと思います。

建築基準法が定める地下室は建築基準法施工令第一章第1節の第2上にある通り下記の通りです。

地階 床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの三分の一以上のものをいう。

簡単に言えば部屋の3分の1以上が地面の下にあれば地階=地下室と定義されます。

地下室をつくる際の注意点

地下室をつくると建物全体に影響する複雑な条件が絡んできます。

例えば地上にたてる建物とは別に地下室をつくるための構造計算が必要になったり、地上は木造で建て、地下室は鉄筋コンクリートとするなどの混構造の作りになったりします。

法規制なども複雑に絡んできたり、土地によっては地下室をつくることができないと言った場合もあります。

地下室をつくる場合は、事前に地下室を作れる土地がどうかをしっかりと確認して土地を購入し、必ず地下室をつくった実績のある信頼できる設計士に設計を依頼し家づくりを行ってください。

不安な点などは必ず確認してクリアにしてから地下室をつくるようにしてください。

【地下室をつくるときに注意すべきこと】

1:地下室をつくれない土地もある
2:土地の形状や性質によって金額が変わる
3:避難経路を確保することを忘れない
4:湿気がたまりやすく通風や採光が取りづらいことを理解する
5:除湿や換気、空調は良いものを選ぶ
6:地下室の設計に慣れた住宅会社、設計士に依頼する

地下室をつくれない土地もある

地下室は近くに水脈があったり、新しく埋め立てたれた土地では作れないケースもあります。

建築基準法の規定で地下室にできないケースもあるので地下室を作ろうと考えている場合は、土地を購入する前に、その土地で地下室が作れるかどうかは確認しておくようにしてください。

地下室は土地の形状や性質によっても金額が変わる

地下室作りで失敗しないためには、まず土地の形状や土の性質を見極めることが大事です。

いざ地下室を作ろうとしても、前述したように様々な条件が重なり、地下室をつくることができないと言ったこともおきますし、軟弱地盤であった場合地下室を作ろうとすると支持層まで杭を打ち込む必要が生じたりで、普通の土地に地下室をつくるよりも費用が高額になってしまうこともあります。

そうしたケースも起こりうることを頭の中に入れて土地を選ばなければなりません。

避難経路は必ずつくる

地下室をつくるときは、避難経路を確保する必要があります。

空堀がある場合はドライエリアに避難経路を確保することが一般的ですが、地下室に避難経路をつくることは義務付けられていますので経路を確保することを忘れないでください(地下室に慣れていない設計士ですと忘れることもあります)。

地下室は湿気がたまりやすく通風や採光がしづらい

地下室は憧れやイメージだけでつくることはあまりお勧めしません。

地下室を使う具体的なイメージがある場合は別ですが、特に地下室を居住スペースとする場合は注意が必要で、なぜなら地下室は非常に湿気がたまりやすい環境であり、居住スペースには不向きであることには変わりないからです。

注文住宅で地下室をつくる8つの目的と地下室の11のメリット・デメリット」では、地下室の使われ方や、有効活用の仕方などについて触れていますが、地下室のタイプにもよりますが通風や採光を取りづらいため、快適でいて気持ちの良い居室にすることは難しいからです。

もちろん土地やそこに住む人のライフスタイルによっては地下室を作って土地を有効活用した方が、より快適な生活を送れるケースもあります。

だから一概には言えないのですが、地下室は誰でも彼でも便利に利用できる、万人受けする部屋ではないことは確かです。

地下室の除湿や換気、空調はいいものを選ぶ

地下室の場合は、多少値がはったとしても除湿や換気、空調の設備機器はいいものを使うことをお勧めします。

特に周りが土で覆われている全地下タイプの地下室を選んだ場合は性能の良いものを選ぶようにしてください。

必ず地下室の設計に慣れた住宅会社や設計士に依頼する

地下室をつくるときは、必ず地下室を作った実績のある、地下室の設計に慣れた住宅会社や設計士に依頼するようにしてください。

同じ地下室でも、慣れていない設計士に依頼してしまうと、地下室をつくるための費用が高くなったり、その割にはあまり魅力が感じられない地下室になってしまうこともあります。

また、プロの目から見てなんとなく中途半端な設計になっていると感じられる設計も多々見受けられるので、地下室のある家を建てることを検討している場合この点は念を押しておきたいポイントの一つです。

まとめ

今回の記事では地下室の種類と地下室をつくるときのポイント、失敗しない地下室をつくるためのヒントについて解説しました。

これから家を建てる予定の方に向けて、初心者にも分かりやすいように地下室のポイントをまとめたつもりです。

地下室をつくるときは予算がかかることを前提とした上で、必ず地下室の設計に慣れた設計士、もしくは住宅会社に依頼するようにしてください。

下手なところに依頼すると、地下室をつくるための費用が高額な上に、あまり魅力的ではない地下室になってしまうこともあります。

ぜひ、今回の記事を参考にしていただいて、魅力的な地下室を作って行ってください。



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