新しい生活様式の影響からなのか、注文住宅で書斎やワークスペースが欲しいという要望を持つ方が多くなったように思います。
家を建てる際に書斎に憧れるのもわかります。
ただちょっと待ってください。本当にその生活はこれからもずっと続くのでしょうか。注文住宅で「住まい」を考える時、今という「点」で考えるのは非常に危険です。
そこで今回は、できるだけ中立的な立場でまず書斎やワークスペースをつくるメリットやデメリットをお話しし、書斎は必要なのかプロの見地からお話しし、さらに書斎をつくるなら取り入れたい工夫やテクニックなどについてもお話ししていこうと思います。
どうせ書斎をつくるならおしゃれな書斎にしたいという我が儘にもお答えしておしゃれな書斎にするコツやテクニックなどについてもあわせてお話ししていきますので、家づくりで書斎をつくることを検討している方は参考にしてみてください。
【いい家を安く建てるために知っておきたい3つのこと】
注文住宅は予算との戦いです。
理想の家づくりを予算内で行うためには依頼する前に抑えておきたいポイントがあります。
下記リンク先の記事では、家を安く建てるために知っておきたい3つのポイントをまとめておきましたので、あなたの家づくりの参考にしてください。
1:いい家を安く建てるための基本とコツ
注文住宅を予算内で建てるためには、家を安く建てるための基本やコツを抑えておかなければなりません。
予算内でいい家を建てるための7つの基本は下記リンク先の記事をご覧ください。
2:家の形の話
家にはお金のかかる形の家と、お金がかからない形の家がありますが、どのような家の形はお金がかかり、どのような形にすればお金がかからないのか、またそれぞれの家の形の特徴については、下記リンク先の記事をご覧ください。
>>>家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い
3:無料でカタログを請求し理想の家を建てる方法
注文住宅は依頼先で決まります。だからこそ、依頼先は慎重に検討したいところですが、検討するにはまずはどんな家を建てたいのかを知らなくてはなりません。
無料で住宅会社から請求できる住宅カタログを請求して理想の家を建てる方法については下記リンク先の記事を参考にしてください。
Contents
書斎とは、そもそも書斎って何?
書斎とは、仕事や勉強をするための個室のことを言います。
一般的には書斎は個室として独立させますが、現在の家づくりでは生活の多様化や暮らしの変化に伴い、部屋として独立させずにリビングや廊下などの一角などを利用してワークスペースとして活用する簡易的な書斎も増えてきています。
※広辞苑で書斎の意味をひくと「(個人の家で)読書や書き物をするための部屋」と出てきますが、現在の生活様式では読書や書き物をするための用途にとどまらず、主に仕事や勉強をするための部屋、つまりワークスペースとしての使い方が一般的となっています。
書斎には個室タイプとオープンスペースタイプがある
基本的には仕事や勉強をするための「個室」のことを「書斎」と言いますが、現在の書斎はそれだけにとどまりません。
「書斎とは、そもそも書斎って何?」でも触れましたが、空間の一部を間借りし、1畳から2畳ほどのスペースにカウンターと椅子、書棚を設け、ちょっとした時間に椅子に座って書き物をしたり、パソコンで仕事をしたりと隙間時間を利用する使い方の書斎も増えてきています。
つまり、現在の書斎は部屋として独立させた個室だけではなく、廊下や階段の踊り場などのスペースの一部に設けたオープンスペースタイプ(コーナータイプ)の書斎もあると思ってください。
【書斎には2つのタイプがある】
1:個室タイプ
(個室として完全に独立させたタイプの書斎で「洋室タイプ」と「和室タイプ」がある)
2:オープンスペースタイプ
(リビングや廊下、吹き抜けなどの部屋の一部を間借りするタイプの書斎)
家には家族の「共有スペース」と個人の「専有スペース」がありますが、「個室タイプ」の書斎は「専有タイプ」の書斎で、「オープンスペースタイプ」の書斎は「共有タイプ」の書斎になります。
1:個室タイプの書斎とは
個室タイプの書斎とは部屋として独立させたタイプの書斎のことを言います。
書斎と聞いて誰もが思い浮かべる、壁があり空間として仕切られたタイプの書斎をイメージしてもらえればわかりやすいかと思います。
個室タイプの書斎は、さらに「洋室」タイプの書斎と「和室」タイプの書斎に分類できますが、現在の生活様式では「洋室」タイプの書斎が一般的な間取りとなります。
もちろん、個室タイプの書斎で「和室」タイプの書斎もないわけではないですが、全体的な母数を見ると非常に少なくなってきているように思います。
【個室タイプの書斎】
四方に壁があり個室として仕切られているタイプの書斎のこと
2:オープンスペースタイプの書斎とは
オープンスペースタイプの書斎とは、リビングや寝室などの個室はもちろん、廊下や階段、吹き抜けの一部を利用して簡易的に設けた「書斎コーナー」のことで、その多くは壁がなく空間として仕切られていないオープンスペースタイプの書斎になります。
本来別の役割や目的の間取りの一部を間借りし隅に置く形で簡易的に設ける書斎のため、コーナータイプの書斎と呼ばれたり書斎コーナーと呼ばれることもあります。
オープンスペースタイプと言いますが、セミオープン仕様の書斎も多く、例えば寝室の一角を間借りし簡易的な仕切りをするタイプの書斎などもあります。
【オープンスペースタイプの書斎】
壁がなく個室として特別に仕切られていないタイプの書斎のこと
さらに厳密にいうとオープンスペースタイプの書斎は、廊下や階段などの「移動空間」につくるタイプの書斎と、「部屋の一部を間借りする」タイプの書斎に別れます。
【オープンスペースタイプの書斎の種類は2つ】
1:廊下や階段など「移動空間」につくるタイプ
2:リビングや寝室など「部屋の一部を間借り」するタイプ
注文住宅で書斎をつくるメリットとデメリット
書斎にはメリットもありますが、デメリットもありますので十分に検討してからプランに組み込まないと納屋(物置部屋)になってしまう可能性がありますので注意してください。
ここからは書斎にはどんなメリットがあり、一方でどんなデメリットがあるのかをわかりやすくお伝えしていきますので家づくりで書斎を検討する際の参考にしてください。
書斎をつくる5つのメリット
書斎をつくるメリットは下記の通りです。
【書斎をつくるメリット】
1:プライベートな空間を確保できる
2:特定の作業に集中できる
3:仕事や勉強のメリハリがつく
4:常に片付ける必要がなくなる
5:大切なものをしまっておける
それぞれのメリットについての詳細は下記を参考にしてください。
1:プライベートな空間を確保できる
書斎をつくれば自分だけのプライベートな空間を確保できるようになります。
現在は在宅ワークやテレワークも増えてきていますから、書斎に一人こもって仕事をすれば生産性アップにもつながることでしょう。
また、特に男性に多い気がしますが、家族との時間は大事なものの、やはり一人きりになって思いふける時間も欲しい時があります。
そんな時に書斎があることでひとり部屋にこもり、家の中であっても反省会をしたり思いふける時間が確保できるようになります。
さらには、仕事部屋や勉強部屋としての使い方だけではなく、音響機材を充実させるなどをし家の中のリラックスできる空間として書斎を活用している方もいらっしゃいます。
2:特定の作業に集中できる
書斎を個室にすれば自宅に仕事部屋や勉強部屋など特定の作業に集中できる空間を確保できるようになります。
ダイニングなどの共有スペースをワークスペースとして利用すると、テレビの音や子供の遊び声などが気になり作業に集中できない問題が起こりますが、書斎をつくることで特定の作業に集中できる空間を確保できるようになります。
個室タイプの書斎をつくれば一旦書斎に入れば誰からも邪魔されなくなるので特定の作業に一人没頭できるようになります。
また、転じて趣味部屋として使うこともでき、家族と離れて趣味にのめり込むこともできると言った使い方もできます。
3:仕事や勉強のメリハリがつく
書斎を持つことで、仕事や勉強に対する気持ちの切り替えができるようになります。
書斎で仕事に集中し疲れたら部屋を出てリビングダイニングのテーブルまで歩いて行くなど、仕事と一定の距離を置くことでゆっくりと体を休めてオンオフの切り替えが自然としやすくなります。
いわゆる会社で言う執務室と休憩室のような使いわけ方です。
例えば書斎として個室を構えず、ダイニングルームを仕事場として使うケースもありますがダイニングをワークスペースとして使っていると、気持ちの面でのオンオフの切り替えが難しいとよく聞きます。
ダイニングをワークスペースとして兼用してしまうと休憩時間も仕事から離れることができず、結果として作業効率も下がってしまう可能性が生じてきます。
4:常に片付ける必要がなくなる(やりかけの作業をそのままにしておける)
やりかけの作業を開いたままそのままにしておけるのも書斎を持つ大きなメリットだと思います。
ダイニングなどを作業場(書斎)として使用していると、オンオフの切り替えができないだけではなく、食事時には一度開いた書類をたたまなくてはならなくなります。
出したり戻したりは無駄な動きで面倒ですので、それだけで時間をロスしてしまいます。
その上、一旦書類をしまってしまうと、あれ?どこで中断したんだっけ?どこから手をつければいいんだっけ?と言ったように途中経過がわからなくなり、再び取り組むまでに時間がかかってしまう場面も増えてきます。
常にやりかけの作業をそのままにして仕事を中断できるというのは書斎を持つ大きなメリットになります。
5:大切なものをしまっておける
また大切なものやプライバシー性の高いものをしまっておけるのも書斎の大きなメリットだと思います。
自分だけのプライベートなものまでをしまっておくことができるので、内緒で購入した高価なものを家族に見つかることなくしまっておくこともできます。
書斎をつくるデメリット
書斎をつくるデメリットは下記の通りです。
【書斎をつくる4つのデメリット】
1:たいして活用しない可能性がある
2:物置部屋になる可能性がある
3:他の部屋が狭くなる
4:家族と過ごす時間が少なくなる
1:たいして活用しない可能性がある
書斎をつくってみたものの実際たいして活用していないと言う方は多いです。
普段の生活に照らし合わせてみれば、会社から帰ってくるのは夜遅く、子供も寝ているのでリビングやダイニングでやりかけの仕事を片付けると言う方も多いですし、憧れで書斎を構えてみたものの実際は書斎を活用しないと言う方は案外多いです。
また人がいない空間は冬場は寒く、夏場は暑くなりますから、冬場はわざわざ寒くなった部屋を暖めるよりも暖かさの残る快適なリビングやダイニングで仕事をする方が光熱費もかかりませんし楽だと言う方も多いです。
書斎はリビングから離れた静かな場所に設置するケースが大半だと思いますが、リビングから遠くなると自然と足も遠のいてしまうのです。
2:物置部屋になる可能性がある
書斎をたいして活用しなくなるとどうなるか。
これは家の七不思議の一つと言ってもいいくらいなのですが、使わなくなった部屋は必ず物置部屋として代用されます。
あいた空間には、どんどん使わなくなったものが押し込まれていってしまうのです。
つまり書斎が生活して増えた物の置き場所になってしまう可能性が高くなります。
リビングにおけないから「とりあえず置いておこう」が全ての始まりで、気がつくと色とりどりのモノであふれていた・・・と言う話は家を建てた人から本当によく聞く話です。
一方で物置部屋とはならないまでも、子供部屋として代用するケースもありますが、本来の目的として使わないことは一緒です。
また書斎は生活から切り離すことを役割の一つとしていることも多くリビングから離れた位置に設けることも多いので、子供部屋として代用した場合、家族の目が行き届きづらくなると言う問題も発生しますので注意が必要です。
3:他の部屋が狭くなる
書斎をつくった分だけ他の部屋が狭くなります。
多くの場合は、土地や資金などの問題で制限がかかった限られた空間で個室をつくることになりますから、書斎をつくると他の部屋が狭くなります。
また間仕切り(壁)が多いほど家づくりにかかる費用も嵩みますので、部屋を一つ多く作るとコストもかかります。
たいして活用しない部屋をお金をかけてつくり、他の部屋の間取りまで圧迫してしまうと言うことも実際に起こりうりますので注意が必要です。
4:家族と過ごす時間が少なくなる
書斎をつくって活用してみたもの、書斎にばかりこもっていると家族と過ごす時間が少なくなり家族間のコミュニケーションが少希薄になります。
家には家族で時間を共有すると言う大事な役割がありますが、書斎にばかりこもってしまい、家族間のコミュニケーションが希薄になってしまい、家族からあまり良い目でみられなくなってしまうこともあります。
家づくりに書斎は必要か?
果たして書斎は家に必要なのでしょうか?
ここまでで書斎をつくるメリットやデメリットをみてきましたが、実際、書斎は必要なのかどうかきかれた時は、多くの場合は必要ありませんとお答えしています。
もちろんこの辺りは家族のあり方やそれぞれのご家庭におけるライフスタイルによって変わりますので一概にどの家においても書斎は必要ないとは言えませんが、いずれにせよ、ほとんどのご家族のケースで個室タイプの書斎は必要ないのではないかと思います。
実際、家づくりの現場でもおよそ8割くらいの方が悩まれた末に書斎は必要ないという結論を下されます。
例えば廊下や吹き抜けの一部などを利用した1畳から2畳ほどのオープンスペースタイプの書斎であれば、それほど他の部屋の空間を圧迫することもないので書斎として構える価値はあるかと思いますが、個室として書斎を構えるのはあまりお勧めしていません。
一般の方には個室としてお金をかけて書斎をつくるよりも、リビングの一角にワークスペースを確保したり、ダイニングを広くとりワークスペースとしても機能するように工夫するとか、そうした使い方の方が賢く効率的な使い方になると思います。
土地と資金に十分に余裕があり、書斎がどうしても欲しいと言う方は個室として書斎をつくってみてもいいと思いますが、私がみてきた多くのケースでは、書斎をつくったとしても、利用するのはじめだけでそのうちたいして活用しなくなると思います。
やはり居心地の良い場所に人は集まるもので、リビングやダイニングが生活の中心の場所になります。
つまり書斎をつくるなら書斎にあてる分のスペースと資金をリビングに集中させてあげた方がより快適な暮らしを実現できると思います。
子供が家を出て行ったら子供部屋を書斎にする方法も
書斎の代わりに子供部屋をつくり、子供が家を出て行ったら子供部屋を書斎として活用する方法もあります。
特に、会社勤めの方は平日は仕事から帰ってきても夜遅いためリビングやダイニングで仕事を片付けることが多いでしょうし、休日は家族とお出かけする機会が多いライフスタイルになります。
だから子供が成長し家を出て行ってから子供部屋を書斎として使っても遅くはありません。
そのころは時間的なゆとりもできているでしょうから、はじめは子供部屋にしておいて、後から書斎にすると言う方法も一度検討して見てください。
大事なことはそうしたライフスタイルの変化に対応できるような間取りプランを考えることです。
(もちろん不安定な情勢の世の中において、ご家族の状況が変わることも考えられますが、そんなことを考えていたら家なんて建てられません。注文住宅で家を建てる時は、空間可変性を残しておきながら、ある種の思い切りの良さが必要になります)
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書斎はどんな人にお勧めか
書斎がお勧めな人の特徴
ただ、一方で家で(自宅で)仕事をする機会が多い人には書斎は必要だと思います。
つまり自宅で集中して仕事をする機会が多い人に書斎はおすすめですし、個室として書斎をつくる必要があると思います。
自宅では子供が大きな声をあげて遊んだり、ドタバタと走り回るのが世の常ですから、誰にも邪魔されない比較的静かな空間を確保すると言う意味では書斎の存在はかけがえのないものとなります。
書斎をつくることでうるさくて作業に集中できないなどの余計なストレスを抱えることも無くなりますし、家族間の仲もよくなると思います。
書斎が必要ない人の特徴
逆に普段から会社で仕事をする時間が多い人には書斎は必要ないかと思います。
会社から帰ってきてわざわざ書斎で残りの仕事を片付けると言う人は少ないでしょうし、子供がいれば休日は家にこもるのではなく家族で外にお出かけする機会も増えることでしょう。
つまり会社勤めの方は書斎をつくっても持て余してしまう可能性が高くなります。
実際、書斎をつくってみたものの、気がついたらあまり使わないものを余計に買い込んでしまったり書斎のデメリットにも挙げた通りいつの間にか物置部屋になってしまう人は多いものです。
もちろん一部業界の方で会社では処理し切れないほどの仕事量を抱えている方は、家に帰っても仕事をしなければならないことも多いと考えられるため、個室として書斎を構えることが必要なケースもありますが、それが家を建ててからずっと続くとは考えづらいところがあります。
そんな生活をしていたら、体の方が先にダメになってしまいますから、考える必要はないかと思います。
家は、特に注文住宅においては長期的な視点で間取りを考える必要があり、短期的な視点でプランを設計すると確実に失敗します。
・人は空きスペースがあると何かを置きたくなる性質がある
家とは不思議なもので、多くのケースでは余ったスペースがあると、そこに何かを起きたくなります。
空間を埋めたくなってしまうのです。
一度何かを置いてしまうと、次々にものを置きたくなるので、そのうち余計なもので占拠されることになったり、もしくは無駄なものを余計に買い込んでしまい、必要ないものが増えて行ったりします。
そうした余計なものを増やしたり買い込まないためにも余計なスペースは極力作らないようにするのが家づくりのセオリーです。
(ただし、余白のスペースは必要です。余白のスペースがなく全てがギュウギュウのスペースだと居心地が悪くなるからです)
書斎を快適にする工夫
では快適な書斎をつくるためにはどうしたら良いのでしょうか。
ここからは快適な書斎にする工夫やテクニックについて触れていきます。
個室タイプの書斎かオープンスペースタイプの書斎か
繰り返しになりますが書斎には個室タイプの書斎からオープンスペースタイプの書斎があります。
【2種類の書斎】
1:個室タイプの書斎
2:オープンスペースタイプの書斎
個室タイプの書斎は「和室」タイプの書斎、「洋室」タイプの書斎があり、オープンスペースタイプの書斎は「リビング」や「廊下」、「階段の踊り場」、「寝室」に至るまで様々なスペースを間借りする形で構えることになります。
厳密に言えば書斎一つでは考えられず、全体的な間取りの取り方によって注意しなくてはならない点や、工夫した方がいい点は変わりますが、いずれにしても書斎と言うスペースをつくる場合は下記のことに気を付けていただくと快適な書斎になると思います。
【快適な書斎にするコツ】
1:造作収納をつくる
2:モノの定位置を決めておく
3:コンセントの数や位置を決めておく
4:造作収納や壁で死角をつくる
5:用途に合わせて書斎の配置を決める
1:造作収納をつくる
特にオープンスペースタイプの書斎に見られますが、書斎によっては収納スペースが十分でない場合もあります。
個室タイプ、オープンスペースタイプの書斎に限らず、書斎をつくるなら必ず造作で収納スペースをつくると書斎が快適な空間になるかと思います。
その際、どの場所に何をおくのかまでしっかりと考えてつくるとなお良いでしょう。
きちんと整理整頓された収納スペースをつくるだけで書斎が汚れなくなりますし書斎としての利便性も高まり、書斎の利用頻度が高くなります。
2:モノの定位置を決めておく
また快適な書斎をつくる工夫としては、何をどこに配置するのか、机の位置、椅子の位置に至るまで、書斎をつくる際に決めておくことです。
家づくりには可変性が求められる間取りが多いですが、書斎や寝室は家具の置き場所に至るまではじめから位置を固定してしまうのがポイントです。
いったん位置を決めてしまい、その位置からは動かさないようにする。そのためには書斎をつくる際に、入り口はどこにするのか、コンセントの位置、照明の位置に至るまでしっかりと検討してつくります。
机を壁側に向けるのか外側に向けるのかは完全に好みだと思いますが、いったん物の位置を固定したらそこから動かさないような書斎をつくることが快適な書斎かどうかを決めることになると思います。
書斎に設置した家具類は不必要に動かすことをしないほうが安定感があっていいのです。
3:コンセントの数や位置を決めておく
書斎をつくる際に見落としがちなのはコンセントの数、そしてコンセントの位置です。
書斎をつくる場合は、コンセントの数は必ず多めにしておくことをお勧めします。
家電製品は今後増えることが予想されるため、コンセントの数が多くて困ることはなくても少なくて困ることは往々にしてあるものです。
パソコンやプリンター、ヒーターや扇風機、人によってはテレビや音響機材などの設置も必要になるでしょう。
だからコンセントの数は必ず想定よりも多めに設置するようにしてください。
個室タイプの書斎であろうが、オープンスペースタイプの書斎であろうが関係ありません。コンセントは、必ず多めに設置しておくようにしてください。
コンセントにはデザイン性の高いものだったり、使わない時は隠せるタイプのコンセントもありますので、見た目が気になるのであればデザイン性の高いコンセントにすると空間の邪魔になりません。
また快適な書斎にする上で、コンセントの位置もあらかじめ決めておくことが大事です。
机や椅子などの家具はあらかじめ位置が決まっているでしょうから必要な時だけ床からポンっと出るタイプのコンセントでも構いませんので、面倒であっても何をどこにおくのかしっかりと計算した上でコンセントを配置するようにしてください。
使い勝手の良いコンセントの位置については下記リンク先の記事にまとめてありますので参考にしてください。
>>>注文住宅のコンセントの位置で失敗しないコツと8つのポイント
また、あると便利なコンセントの配置の仕方については下記にまとめてありますのであわせて参考にすると良いと思います。
4:造作収納や壁で死角をつくる
特にオープンスペースタイプの書斎をつくる際に言えますが、家具やラックなどを使って目隠しとして簡易的に壁をつくり死角をつくると書斎が俄然快適になります。
オープンスペースタイプの書斎とはいえ、あまりに開かれ過ぎているとかえって落ち着かなくなり、作業に集中することが難しくなるのです。
オープンな場所につくる場合であっても書斎である以上程よくこもれる快適な空間にすることは必要です。
ですから、書棚でもパーテーションでもいいので簡易的な壁などで程よくこもれるように死角をつくってあげることがオープンタイプの書斎をつくる上での大きなポイントになると思います。
例えば階段の踊り場に書斎をつくる場合もあまりに開かれ過ぎているとかえって仕事に集中できなくなってしまうことがありますし、居心地の悪さを感じてしまう恐れがあります。
オープンスペースタイプの書斎を構える場合は、しっかりとした壁を設けなくても良いので程よくこもれるような目隠しをつくって、死角をつくるような工夫をしてあげると書斎の快適性がぐんとあがります。
5:用途に合わせて書斎の配置を決める
書斎と言っても、日常から離れたリラックススペースとして活用するのか、それとも仕事や勉強を中心に置いた空間にするのか、はたまた日常の延長戦で構えることなく使うことができるユーティリティスペースとするのかで目的や役割が大きく違ってきます。
例えばガッツリと仕事をするための書斎であれば、リビングから遠く離れた日常生活から離れた位置で静かな場所に配置する必要があるでしょうし、使い勝手を中心に考えるのであれば、玄関から近い場所に書斎をつくると利便性はより高まります。
また、ユーティリティスペースのように家事の合間の隙間時間に使いたい場合は、キッチンやダイニングから近い位置に書斎コーナーをつくると使い勝手の良い書斎とすることができます。
このように書斎と言っても様々な形がありますので、どのような用途を中心に利用する書斎なのかをあらかじめ十分検討してつくることが快適な書斎にするコツです。
おしゃれな書斎は1畳からつくれる
書斎と言うと広いスペースが必要だと思っている方も多いですが、実はそこまでスペースを割かなくても工夫次第で圧迫感を感じさせないおしゃれで快適な書斎にすることができます。
コンパクトな書斎であれば1畳からでもつくれる
1畳ほどのスペースの場合は、デスクと椅子だけという簡易的な書斎にはなってしまいますが、作業をするだけの簡易的な書斎でしたら1畳あれば十分可能です。
間取りによっては1畳ほどのスペースだと狭さが目立ちますが、扉なしのオープンスペースタイプの書斎であれば1畳もあれば立派な書斎を構えることができます。
もちろん、快適で使い勝手の良い書斎にするためにはそれなりの工夫やレイアウトを考える必要があります。
語弊を恐れずに言えば、書斎は仕事や勉強をするためのスペースですから机と椅子を設置するスペースがあればどこにでもつくることができます。
オープンスペースタイプの書斎をつくるポイント
オープンスペースタイプの書斎であっても、おしゃれな書斎をつくることはできます。
例えば階段の踊り場を間借りして設置するのもいい例でしょうし、廊下の幅を1500mm程度に広げ、書斎をつくる方法も検討するといいでしょう。
幅が1350mm程度では若干の狭さを感じてしまいますので、やはり1500mm程度は必要だと思ってください。
ここで大切なのは例えオープンスペースタイプの書斎であろうと死角をつくり程よく仕切られている空間にすることです。
人間とは不思議なもので何かに囲われていることでその作業に没頭することができるようになります。
ですから例えオープンスペースタイプの書斎であっても壁に向かって机を配置するとより快適で集中できる書斎とすることができるでしょう。
書斎に本や書類などを収納したい場合は2畳からがお勧め
さらに2畳もあれば本や書類なども簡易的に収納するスペースを兼ねた書斎をつくることができます。
机と椅子、それに書類と仕事に必要な参考図書を置く程度のスペースであれば2畳もあれば多少の圧迫感はあるかもしれませんが十分快適に過ごすことができます。
例えば2畳ほどのスペースで書斎をつくる場合はデスクの上に吊り戸棚を設置し、足元にプリンターを置いておけるスペースを確保すれば十分なことも多いです。
2畳ほどの広さを確保できれば個室であっても立派な書斎をつくることができますので書斎が欲しい方は設計士にその旨を伝え検討してみるといいと思います。
より快適に書斎を使いたいなら3畳以上の書斎を選ぶ
書斎としての機能を高め、よりゆったりとリラックスして快適に使いたい場合は3畳ほどのスペースをさけば程よい広さの書斎をつくることができます。
2畳タイプの書斎よりも収納できる量も増えますので、趣味部屋のような感覚で快適な書斎がつくれるようになります。
狭くてもおしゃれな書斎にする4つのコツ
ここからは狭くてもおしゃれで快適な書斎にするコツについて触れていきたいと思います。
書斎が狭くても下記の4つのコツを押さえていただければ、おしゃれで快適な空間になります。
【狭くてもおしゃれな書斎にする4つのコツ】
1:収納には吊り戸棚を使う
2:視線の先に横長の開口部を設ける
3:視線の先に「緑」が見えるようにする
4:開口部の方角を考える
1:収納には吊り戸棚を使う
収納には天井近くに吊り戸棚を設け、デスクの足元にはプリンター置くスペースを確保すると作業性が高められ能率の高い書斎にすることができます。
デスクに座った時、視線の先や目の見える位置に仕事とは関係のない本が置いてあると集中力を妨げる可能性がありますから、デスクに座った時できるだけ見えない位置に本や書類を置けるスペースを確保しておくことがポイントです。
デスクに向かった時に必要ないものを極力排除したり、気がちらないようにすることで快適に作業ができ、仕事に集中できるようになります。
・本棚はデスク正面の作業の邪魔にならない場所に設置する
デスク(カウンター)に本棚を設けるケースもありますが、デスクの上に本があると作業中に気になってしまいついつい手が伸びてしまうというようなことが起こります。
そのため、オープンスペースタイプの書斎であろうと能率を高めるために作業中目に入らない位置に本棚を置くようにすることが基本だと思ってください。
例えばデスクの下を使うとか、壁に本棚をつくるとか、作業中目に入らないけれども、手に撮りたいときはあまり無駄な動きをすることなく手を伸ばせる工夫が必要になります。
デスクに座っていても手の届きやすい位置に本棚を置いておくことで、何かを参考にしたいと思った時でも手を伸ばしデスクの上に広げることができますし、座ったままでも書類や本の出し入れができますので快適に作業をすることができます。
2:視線の先に横長の開口部を設ける
視線の先には横長の開口部(窓や吹き抜け)を設けてください。
壁に向かって横長の水平方向に長い開口部を設けて外部の風景を取り込むことで、実際の面積が狭くても狭さを感じさせない書斎になります。
開口部の高さはデスクに座った時にちょうど外が見える位置、つまりデスクからの立ち上がり200mm程度に設けるといいでしょう。
窓の高さは500mm程度あれば十分だと思いますが、この辺りは設計士と相談の上決めていくと良いと思います。
ポイントは外部とのつながりを感じさせるような工夫をすることです。
狭くても外部とのつながりを感じられるような工夫をすれば狭さを感じることはありませんし快適で心地よい書斎になります。
3:視線の先に「緑」が見えるようにする
横長の開口部を設けた際は、視線の先に自然の緑が見られるような間取りにするとより狭さを感じさせない快適な書斎になります。
パソコン作業などで疲れた時にふっと顔を上げ、視線の先に緑がうつれば自然とストレスも和らぎますし心身ともにリラックスすることができます。
書斎が狭い場合は視線の抜けを大事にすると空間をより広く見せる効果があるのです。
※空間を広く見せる工夫としては鏡を使う方法もありますが、書斎で鏡を使って空間を広く見せようとしてしまうとかえって落ち着かない空間になってしまう可能性が高いのであまりお勧めしません。
4:開口部の方角を考える
開口部をつくる時に気をつけたいのは方角です。
季節や時間帯によって太陽の位置は変わりますから、太陽の向きをきちんと計算して書斎をつくらないと時間帯によっては眩しくて作業に集中できない書斎になってしまいます。
ブラインドやカーテンを活用することで光量は調整できますが、季節によって、太陽の角度は変わりますのでその辺りをきちんと計算した上で開口部を設けるようにしてください。
和室タイプや洋室タイプ、移動空間を使っておしゃれな書斎にするコツ
和室タイプの書斎をおしゃれで快適にするコツ
和室タイプでは一般的には天井高を押さえた上で畳敷きにし座卓を使って書斎としますが、壁に向かって掘りごたつ風の足元を掘り込むタイプの書斎にするとより快適な書斎とすることができます。
掘りごたつ風にすることで足をぶらぶらさせられるようになりますし、カウンター部分で作業をしていても足元が楽に感じるようになります。
例えば冬場にコタツで作業をしているとどうしても足が痺れてきますが、掘りごたつ風にするとそうした痺れが無くなりますし、より作業に集中できる空間になります。
また、冬場は足元が寒くなりますのでホットカーペットを敷けるようにしておくと寒い冬場でも暖かく過ごすことができます。
足元部分にはコンセントを配置することも忘れないでください。
書斎を和室タイプにすると篭る感覚がより一層強くなり暗くなりがちなので、地窓などを設けることで採光すると良いと思います。
カウンターの近くに地窓を配置することで作業中でも程よく外の雰囲気を感じられるようになり空間をお洒落に彩ることができますので和室に地窓はお勧めです。
また和室タイプの書斎とする場合は天井高は必ず低くしてください。
天井高を低くすることで空間全体に落ち着きが生まれます。
具体的には2100mm程度の高さに押さえておくと良い空間になると思います。
洋室タイプの書斎をおしゃれで快適にするコツ
洋室タイプでは天井近くから吊り戸棚を設け余計なものが作業中視界に入らないようにすると良いでしょう。
プリンターは吊り戸棚に設置するか足元に設置すると良いと思います。
書斎に置くものは作業中に目につかず、邪魔にならない場所でありながら、手を伸ばせばすぐに届く場所に置いておくのがポイントです。
また、壁に向かってデスク(カウンター)を設置する場合は、庭などの外の景色が見えるように立ち上がり200mm程度のところに横長の窓を設けるとよりおしゃれで快適な書斎となりますので参考にしてください。
間取りによっては、まるで絵画を切り取ったような四季折々の景色を眺められるようになります。
吹き抜けを使っておしゃれな書斎をつくるコツ
吹き抜けの一部の移動空間を使って書斎をつくる際は腰壁の高さがポイントとなります。
腰壁は高すぎると開放的でなくなりますし、低いと椅子に座った時に視線が抜けるため開放的になる反面、腰壁が低すぎると何かの拍子に階下にモノを落下させてしまう危険性が高まります。
この両者のバランスを取ることが大事です。
ですから、カウンターの高さは700mm前後にして腰壁は1000mm程度で設定するとちょうど良いバランスになると思います。
市販の椅子はカウンターの高さ700mm程度に設定していることが多いため、この高さがベターと言えます。
廊下などの移動空間におしゃれな書斎を構える
廊下などの移動空間を使っておしゃれな書斎を演出する場合は、上記の写真のように書斎を構える方法もあります。
廊下などの移動空間に構え、掘りごたつ風に足をぶらぶらできるようにし、明かりとりを兼ねてスリット状に配置していきます。
ただものが落下しても階下の人に影響がないような工夫を施すことは大事です。
まとめ
今回は書斎とはどんな役割を持つ部屋なのかから始まり、書斎を構えることでのメリットやデメリットをはじめ、書斎が必要な人とそうでない人、書斎を快適にする工夫やコツ、注意したい点などについてお話ししてきました。
書斎として構えなくても十分に快適な空間を確保することもできますので、ぜひ参考にしていただいて、あなたの家族のライフスタイルにあった間取りで家を建てて行ってください。