昨今、建売住宅の購入を検討されている方が増えている気がします。
(おそらく、様々な事情を抱えているためでしょう)
そこで今回は、建売住宅の購入で失敗しないために知っておきたい、建売住宅に関わる3つの会社と、建売住宅の販売会社が取る2種類の仲介の仕方についてお話ししていきます。
建売住宅を実際に購入する際に知っておきたいお金の流れの話になるので、購入を検討している方は一度目を通しておくことをお勧めします。
Contents
建売住宅とはどんな家?
建売住宅とは、不動産会社などの売主が土地を仕入れて加工(既存家屋の解体、道路整備など)し、土地と建物をセットで販売する住宅のことを言います。
建物完成後に住宅購入希望者に建物を見て触って確かめてもらい販売をする建売住宅が一般的ですが、現在では建物の建築中、または着工前に販売を開始するケースもあります。
また、建売住宅は、分譲一戸建て住宅とよばれることもあります。
※注文住宅との違いについては下記リンク先の記事を参考にしてください。
建売住宅を購入する前におさえておきたい建売住宅に関わる3つの会社
一般的な建売住宅には3つの会社が関わっています。
【建売住宅に関わる3つの会社】
1:売主(事業主)
2:販売会社
3:建築業者
建売住宅に関わる会社1:売主(事業主)って何?
ここでいう「売主」とは建売住宅を建てるための土地を購入して、建物を建築して販売をすることで利益を得る会社のことを言います。
一般的に「売主」は、大きな土地を購入し、既存の建物を解体、道路を整備、土地の分割などを行い、最終的に建物を建築して販売します。
建売住宅に関わる会社2:販売会社って何?
ここでいう「販売会社」とは、「売主」から依頼を受けて購入者を探す会社のことです。
一般的な「販売会社」は、「売主」と「購入者」の仲介することで仲介手数料をとることで成り立っています。
建売住宅に関わる会社3:建築業者って何?
ここでいう「建築業者」とは、「売主」から建築工事の発注を請ける会社のことです。
一般的な「建築業者」は、建物を建てることで利益を得ています。
建売住宅に関わる会社の全てが別の会社とは限らない
ここで注意したいのは、以上の3つの建売住宅に関わる会社が全て別会社だとは限らないということです。
つまり、全て同じグループの会社で行うこともあれば「売主」と「建築業者」は同じ会社で、「販売会社」だけを外部に委託しているケースがあったり、「売主」と「販売会社」は同じものの、「建築業者」は外部の会社であることもあります。
下記からはそれぞれの会社でどのような部分に注意する必要があるのかについて解説していこうと思います。
建売住宅に関わる売主(事業主)について
建売住宅に関わる会社の一つである「売主」は大別すると「大規模開発の売主」と「中小規模の売主」に分けることができます。
【建売住宅に関わる売主の2つのタイプ】
1:大規模開発の売主
2:中小規模の売主
2つのタイプの売主について下記で詳しく説明していきます。
1:大規模開発の売主とは
大規模開発の売主は資金力のある商社や旧財閥系の売主のことです。
開発面積は1,000m2以上と大規模な土地開発を行い、都市計画法で定められた申請をした上で、敷地内に道路を新設し、建売住宅を建てていきます。
土地を購入し工事に着手してから、数年がかりでの大規模な開発となることが一般的で、建築される建売住宅も数十棟からの販売になる特徴があります。
また、都市計画法に則って建築確認申請が行われるため、違反となる工事ができず、中小規模の売主よりも比較的、質の安定した建売住宅を建てていることが多いです。
2:中小規模の売主とは
中小規模の売主は、土地を買って加工し(整備して区画分けを行い)、1棟から場合によっては数棟の規模で建売住宅を手掛けている売主のことを言います。
大規模開発の売主と違い、もともと家を建てることや不動産を専門としていない業者も中小規模の売主に含まれており、さらにはもともと土地を持っていた大地主などの売主も含まれています。
中小規模の売主では工務店などが、建築業者として建築を請負うだけではなく、事業を拡大するために売主として建売住宅に関わることもあります。
中小規模の建売住宅事業主は注意が必要
ただし、大規模開発以外の売主という大きな括りになるので、中小規模の売主が建売住宅に関わっている場合は注意が必要となります。
端的に言えば、もともと住宅の販売を専門としていない会社が関わっている場合は特に注意が必要で警戒する必要があると思ってください。
なぜなら、住宅に関する深い洞察や知識がなくても「土地」と「資金」さえあれば商品として建売住宅を販売できるからです。
そうした住宅は購入してから問題となることが多くなるように思いますし、実際にトラブルが多発しています。
なぜ建売住宅を商品としてしかみていない会社では、トラブルが多発してしまうのか?
それは、中小規模の売主の中には土地と資金だけ用意し、あとは仲介会社に任せて販売している会社もあ流からです。
つまり、売れれば良い、儲かればいいというスタンスで、いい家を建てるなどの気概がなく、さらには現場には興味がないケースも散見されます。
その結果として、建売住宅市場では家をお金を儲けるためだけの道具(商品)として扱われてしまっていると言う残念なことが起こっています。
そして、そうした金儲けの道具として使われている住宅は欠陥住宅となってしまっているケースが多いように思います。
※この手の売主は、まず土地を仕入れ、土地を売るために、建物を建てて販売しているケースも多く、売れれば良いという考えのもと、より安い価格で建ててくれる建築業者に発注し家を建てていることも多く、実際私がたくさんの建売住宅を見る中で、欠陥住宅(または欠陥住宅予備軍の建売住宅)が多く見られたのも、この手の中小規模の売主が関わっていたケースです。
価格重視(安さ重視)で建築されることも多く、そうしたケースではどこかしらに価格を抑えるための手抜き工事が見られました。
建売住宅に関わる販売会社(不動産会社)について
建売住宅は売主から直接購入することもありますが、一般的には仲介業者である販売会社を通して販売されることが多い住宅になります。
こうした販売の仕方は、建売住宅に限りませんが、いわゆる不動産を売却する際は、売主が直接買い手を見つけるよりも、販売会社に任せてしまった方が効率よく買い手を探すことができるからです。
その物件が、売主から直接販売されるものなのか、それとも仲介業者を通すものであるのかを確認するためには「取引態様」という項目から確認できます。
取引態様とは
取引態様とは、「不動産取引をする際の立場」のことを指します。
つまり、「物件を販売するもの」が「どの立場」でその「建物に関わっているのか」を示すものです。
例えば「取引態様」に「売主」と書かれていれば、その物件は業者を間に挟むことなく「売主」から直接購入するものになりますし、「仲介」や「媒介」と書かれているものは仲介業者である販売会社を通して出ないと売主から購入できない物件ということになり、仲介手数料が発生する物件だと言うことがわかります。
なお、取引態様が「売主」となっているケースでは、仲介手数料がかかることがないので、「仲介料不要」と書かれています。
建売住宅の販売会社が取る2種類の仲介の仕方
建売住宅の販売会社の仲介の仕方には「専任媒介」または「専属専任媒介」と「一般媒介」の2種類の形態があります。
・専任媒介とは
専任媒介は「専任」を受けている仲介業者を間に挟み、建売住宅を購入する取引形態のことを言います。
・一般媒介とは
一般媒介は、どの仲介業者(販売会社)からでも売主から購入できる仲介の仕方のことを言います。
多くの建売住宅ではこちらの一般媒介で取引されています。
あれ?案内してくれた販売会社と現地の登りに記載されている販売会社が違う
完成した建物の内見をする際、いざ現地へ向かってみると、案内してくれた販売会社と、現地ののぼりなどに記載されている販売会社の名前が違うことがあります。
このようなケースでは「専任媒介」を受けている会社が、現地ののぼりに記されている販売会社で、案内してくれた販売会社が一般媒介の仲介業者ということになります。
この場合、住宅を購入する際は2社で仲介手数料を分け合う形になります。
<売主直(仲介料なし)>
建売事業主 ←→ 購入者
<専任媒介(仲介料あり)>
建売事業主 ←→ 専任仲介会社 ←→ 購入者
一般仲介会社
<一般媒介(紹介料あり)>
建売事業主 ←→ 一般仲介会社 ←→ 購入者
まとめ
今回の記事は昨今の経済的な事情から人気が出ている、建売住宅(分譲一戸建て住宅)についてお話ししました。
建売住宅は一般的に注文住宅よりも安く、さらに購入後すぐに住み始めることができるため少なくとも短期的に見れば経済的な面では得となることが多いです。
しかし、工事事業者も誰が住むかわからない住宅を建てることになるため、工事事業者のモラルもかけることが多く、工事で手を抜いたりする現場も多く存在します。
また、特に格安の建売住宅では、ここでは書くことができないほど、あの手この手を使ってコストを抑えているため、欠陥住宅となってしまう割合も高くなっているように思います。
そうした欠陥は建ててからすぐにわかるものもあれば、購入直後は問題なくても、数年後から徐々に進行し、少なくとも10年も経つと欠陥が表に生じてくることが多くなります。
最悪、建て替えなければ住めなくなるほどひどくなるケースもあるので、購入前は、事業者がどのような事業者なのかを見極めて建売住宅の購入に踏み切るようにしてください。