注文住宅を依頼する前に、それぞれの依頼先で、できること、できないことをしっかりと把握した上で、依頼する必要があります。
注文住宅の依頼先候補は、大きく分けると「ハウスメーカー」「工務店」「設計事務所(建築家)」に分類することができますが、注文住宅で、失敗しない家づくりをするためには、それぞれの依頼先における家づくりの特徴を、依頼前に理解しておかなければなりません。
今回は、設計事務所(建築家)に依頼するケースでの、家づくりの特徴をお話ししていきます。
一括りに「設計事務所(建築家)」といっても、「設計事務所の3つのタイプ」をはじめ、「家づくりの方向性」も千差万別で様々です。
そのため、設計事務所(建築家)に、注文住宅の依頼を検討中の方は、特に今回の記事を参考にして頂き、依頼先を決めていくことをお勧めします。
関連記事:
工務店の家づくりの特徴についてはこちら>>>工務店に注文住宅を依頼する前に知っておきたい特徴と、いい工務店を見分ける18のチェックポイント
ハウスメーカーの家づくりの特徴についてはこちら>>>ハウスメーカーに注文住宅を依頼する前に知っておきたい特徴と5つのポイント
Contents
設計事務所(建築家)とは
設計事務所とは、一般的には、一級建築士や二級建築士、木造建築士などの有資格者が運営する事務所のことを言います。
設計事務所に注文住宅を依頼する場合、設計事務所は、あくまで「設計」を主業務としているため、家を建てることはできず、「工事」は別の会社(設計事務所が指定する地域の工務店)と契約を結ぶ必要があります。
また、ハウスメーカーや工務店では、設計費用は見積もり上、資材などに上乗せされ見えない形になっていることが多いですが、設計事務所に依頼した場合は「設計費用」として、決められた金額を設計事務所(建築家)に対して支払う必要があります。
設計事務所(建築家)が建てる注文住宅の特徴
設計事務所の最大の特徴は「設計の自由度」の高さにあります。
設計士と打ち合わせを重ね、白紙の状態からオリジナルの設計を行うため、建主の要望を反映させた100%オーダーメイドの注文住宅を建てることができます。
敷地条件や予算などに合わせて柔軟に家を設計できる
設計事務所では、基本的に、法律の許す範囲内であれば、敷地条件や予算に合わせて臨機応変に自由に設計を行うことが可能です。
例えば、ハウスメーカーでは建てられないような癖のある「変形地」や、条件の厳しい「狭小地」などであっても、家を建てることができます。
ただし、予算が少ない場合は、希望を叶えられないこともありますので、ある程度の予算感は必要になります。
少ない予算でも、家を安く建てる方法については下記の記事を参考にして頂くと、品質を保ちながらも、家を安く建てることができますので参考にしてください。
「設計」と「施工」が、別々の契約のもとに行われる
設計事務所に依頼した場合、「設計」と「工事」は別々の契約となり、別々の業者と契約を結ぶ必要があります。
つまり、設計事務所に注文住宅を依頼する場合は、「設計」と「施工」が完全に分離して行われ、別々の契約が結ばれ、家づくりが進められていく特徴があります。
設計事務所とは「設計業務委託契約」や「工事管理業務委託契約」を結び、設計事務所が設計を行い、工事は、別で、設計事務所が指定した、工務店と「工事請負契約」を結ぶ必要があります。
ただし、きちんと工事が進められているのかなどの進捗に対しては、設計事務所が責任を持つことになります。
設計事務所は工期が長い
設計事務所では、基本的に、要望を一から聞き、オーダーメイドの注文住宅を設計していきます。
そのため、ハウスメーカーや工務店と比べると、工期が長く、家が完成するまで、初回の打ち合わせから、家の完成まで、最低でも1年はかかると思ってください。
ただし、設計事務所の中にはハウスメーカーに近い形で営業している事務所もあり、その場合は工期を短くすることもできます。
設計管理料として10%から15%を支払う必要がある
繰り返しになりますが、設計事務所は「設計」を主業務としています。
そのため、設計事務所に依頼して家を建てる場合は、工事費以外に、「工事費」に10%を加算した「設計管理料」を支払う必要があります。
工事終了後のアフターは工務店になる
設計事務所に依頼した場合の注意点としては、工事完了後のアフター対応は、工事を手がけた工務店が担当することになります。
設計事務所は、住まいの相談にはのってはくれますが、アフターの対応は工事をした工務店が担当しますので、もしも、工務店が倒産してしまった場合、満足のいくアフター対応が受けられなくなることがあるので十分に注意してください。
設計事務所の3つのタイプ
あまり知られていませんが、実は、設計事務所には3つのタイプがあります。
【設計事務所の3つのタイプ】
1:アトリエ系設計事務所
2:非アトリエ系設計事務所
3:下請け設計事務所
3つのタイプのうち、どのようなタイプの設計事務所に依頼するかによって、設計の傾向や、出来上がる家の特徴が大きく変わってきます。
ですから、設計事務所に依頼する場合は、事前に依頼先候補となる設計事務所は、どのようなタイプの設計事務所であるのかを把握しておかなければなりません。
1:アトリエ系設計事務所
アトリエ系設計事務所では、住宅の「デザイン性(見た目)」を重視します。
おそらく、一般的に、設計事務所と聞いてイメージするのは、このアトリエ系の設計事務所で、雑誌などでもよく紹介されているタイプの設計事務所が、アトリエ系の設計事務所となります。
2:非アトリエ系設計事務所
非アトリエ系設計事務所とは、「デザイン性(見た目)」よりも、「住まいの快適性」や「機能性」などを重視します。
アトリエ系設計事務所よりも、「デザイン性」には劣りますが、隅々まで住む人のことが考えられた、機能性の高い、快適な住まいの家を建てることができます。
3:下請け設計事務所
下請け設計事務所とは、ハウスメーカーや大手ゼネコンの「下請けを専門」とする設計事務所のことです。
大手ハウスメーカーや、大手ゼネコンの依頼を専門として引き受けている設計事務所のため、窓口は大手ハウスメーカーや、大手ゼネコンとなり、一般には開かれていません。
設計事務所(建築家)に注文住宅を依頼する前に知っておきたい注意点
設計事務所(建築家)に依頼すると、完全オーダーメイドの家を建てることができます。
しかし、設計事務所によって能力には差があり、必ずしも建主が希望する家を建てられる訳ではありません。
そのため、依頼前にどのような設計を得意とする事務所なのかは、最低限調べておく必要があります。
1:依頼先の設計事務所の「作風」や「住まいに対する考え方」に影響される
設計事務所によって「作風」や「住まいに対する考え方」は千差万別です。
そして、依頼先の設計事務所の「作風」や「住まいに対する考え方」によって、建主が希望とする家が建てられるかどうかが、はっきりと分かれます。
ですから、依頼前に、ホームページやカタログなどをしっかりと確認し、設計事務所が過去手がけてきた家の実績と照らし合わせてから依頼する必要があります。
設計事務所に依頼する場合は、大前提として「作風」や「住まいに対する考え方」の相性が悪いと思い通りにならずに苦しむ可能性が高くなります。
依頼先選びは、くれぐれも慎重に行ってください。
家を建てるにあたっての、依頼先の選び方や、無料でもらえるカタログを利用して、家づくりを進めていく方法については下記の記事を参考にしてください。
2:設計事務所によって技術力に大きく差がある
設計事務所と一括りにしても、個々の設計事務所の技術力には、かなりの差があります。
例えば、建主が希望とする家を設計できる「設計能力」や、予算内に収まるように「コストを調整する能力」、工事を管理する「工事管理の能力」などは、設計事務所によって大きく異なります。
家は、「設計」と「施工」がバランスよくかみ合うことで、はじめて希望する家や性能の高い家を実現させることができます。
そのため、設計の意図通りに、工事がきちんと行われているのかを管理する能力も、設計事務所を選ぶ上で非常に大事な視点となります。
3:構造計算が苦手な設計事務所が多い
設計事務所の中でも目立つのは、アトリエ系のいわば、デザインを売りにしている設計事務所です。
アトリエ系の色が濃い設計事務所に依頼すると「デザイン性」に優れた家を建てることができます・・・が、構造計算が甘い場合が多く、住宅の品質を確保することができないこともあります。
難しいことなのですが、大事なのは「デザイン」と「性能」を両立させた家を建てることです。
一方に偏っては、長持ちのする本当の意味で「いい家」を建てることはできません。
デザインに偏りすぎると、性能の良い家を建てることが難しくなるので、注意してください。
4:設計士との相性に左右される
実際に、設計事務所に依頼してみるとわかりますが、設計士によっては、非常に細かい提案を持ちかけてくることがあります。
住まいに関する様々な提案を持ちかけてくれるのが、設計事務所に依頼する大きなメリットでもありますが、時にそれがデメリットにもなることがあります。
設計事務所での家づくりは、担当となる設計士との相性の良し悪しによって、家づくりの方向性が大きく変わってきますので注意してください。
5:設計事務所と工務店の意思疎通がカギを握る
家は「設計」と「施工」がバランスよく組み合わさることで、はじめて品質の良い家を建てることができます。
実は、設計事務所との仕事を、工務店側から見た場合、設計事務所との仕事は細かい要望が多く、また、施工が難しいケースもあり「利益の出にくい仕事」として扱われている傾向があります。
設計事務所との仕事は、個々のケースで細かい仕様が変わってくるため、設計図面ではわからないことも多く、実際に工事をしてみないと、判断できないこともあるため、現場の進行がどうしても滞りがちになってしまうからです。
そのため、事前にしっかりと工務店との関係を良好に築くための努力であったり、情報のすり合わせをする必要がありますが、設計事務所の中にはコミュニケーション能力が低い会社もあるので、そうしたケースにおいては注意が必要となります。
6:品質の良い家を建てるためには、必ず知識や経験が豊富な設計事務所に依頼する
設計事務所に依頼をし、家を建ててみるとわかりますが、家の品質は、設計事務所の知識や経験に大きく左右されます。
特に、細かい部分での設計は、経験がものをいう側面があります。
そのため、必ず知識と十分な経験をもつ、設計事務所、または設計士に依頼してください。
7:有名な建築家やメディアで紹介されているからといって優秀な建築家とは限らない
注文住宅での家づくりにおいて、雑誌をはじめ、テレビなどのメディアでよく紹介されている建築家だから安心だ、ということはありません。
実際、有名な建築家であっても、すべての有名人が品質の良い、素晴らしい家を建てているわけではありません。
依頼するにあたって、その建築家が有名であるか、無名であるかは一つの目安に過ぎない・・・ということを肝に命じておく必要があります。
大事なのは、「住まいに対する考え方」や、「デザイン」、それに建築家との「相性」があうか、「要望を叶えることができるのかどうか」で判断することです。
8:受賞歴はあてにならないことが多い
建築業界では、受賞歴で「名声」と「実績」を得て、差別化をはかっていることがほとんどです。
ただし、賞をとったからといって、あなたが建てたい家を建ててくれるとは限りません。
大事なことなので、何度も言いますが、建主が建てたい家を建てられるかどうかの一択で判断するべきで、過去、建てられた家の実績を見て判断することです。
9:予算オーバーするケースが多い
設計事務所(建築家)に依頼した場合、必ずと言っていいほど、予算をオーバーします。
理由としては、工事の手間や材料の値段を把握していないこと、設計事務所(建築家)判断での思い込みなどから生じます。
設計が一段落し、実際に工務店に見積りを取ってみると、予想以上に、工事自体が大変で、多くの手間がかかってしまうため、予算オーバーになるケースは多いです。
設計事務所と仕事をする場合は、予算を多めに確保しておくことが必要です。
建築予算をオーバーしないためには、依頼する側があらかじめ家を安く建てる基本を知っておき必要があります。
家を安く建てるための基本については下記の2つの記事を参考にしてください。
設計事務所(建築家)で家づくりをする際の最大のポイント
設計事務所に注文住宅を依頼する場合は、必ず過去の実績を見て依頼先候補を絞ってください。
過去、依頼先候補の設計事務所は、どんな家を建ててきたのか、その家はあなたが建てたい家に近い家かなどで判断してください。
先ほども話しましたが、依頼先候補の建築家が有名だからといって、あなたの建てたい家を建ててくれるわけではありませんし、「作風」や、「住まいに対する考え方」の方向性が一致していないと、建主にとって、本当に良い家を建てることは難しくなってしまいます。
「作風」や「住まいに対する考え方」は、それぞれの設計事務所(建築家)によって違いますので、自分の好みや考え方にあった建築家を選ぶことが大切です。
つまり、「デザイン」や「住まいに対する考え方」の「相性」、それに「設計力」や「工事管理能力」がバランスよく噛みあってこそ、はじめていい家を建てることができます。
設計事務所(建築家)を依頼先として注文住宅を検討する際の4つの情報源と情報収集のポイント
設計事務所で注文住宅を検討する際、基本的には下記の4つの情報源から情報を得る形になります。
【設計事務所の情報を得る4つの方法】
1:住宅雑誌や住宅情報誌
2:インターネット
3:住宅見学会
4:その他
それぞれの情報源からの、情報収集のポイントは下記の通りです。
1:「住宅雑誌」や「住宅情報誌」から情報を得る
住宅雑誌や住宅情報誌には必ずといっていいほど、設計事務所で建てられた家が掲載されています。
その家の「作風」や、細かい点を合わせて、「住まいに対する考え方」などが一致しているかどうかで情報を収集し、依頼先候補を絞るといいと思います。
2:インターネット
まずは、設計事務所のホームページをみてください。
設計事務所ごとに過去の作品や、家づくりに対する考え方をうかがい知ることができます。
得意とする「デザイン」、「間取り」、「住まいに対する思い」なども知ることができます。
そのほか、設計事務所や建築家をメインとして紹介するホームページもありますので、そうしたホームページも参考にして、「住まいに対する考え方」や、「デザイン趣向」があった設計事務所や建築家を探す方法もあります。
3:住宅見学会
設計事務所では、定期的に住宅見学会を開催しています。
住宅見学会に足を運び、実際にその設計事務所で建てられた方の話を聞くことでも、情報を得ることはできます。
4:その他
その他、建築家協会などに問い合わせてみる方法も、情報収集の方法としてあります。
下記のようなサービスを通じて住宅カタログなどを取り寄せる方法もあります。
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設計事務所に依頼した場合の家づくりの流れ
設計事務所に依頼した場合の家づくりの流れは、下記の通りです。
補足情報や工程ごとに必要となる費用も載せておきましたので合わせて参考にしてください。
まとめ:設計事務所(建築家)での家づくりのポイント
最後に、設計事務所(建築家)での家づくりのポイントを、まとめましたので参考にしてください。
デザインやプランの特徴
設計事務所で注文住宅を建てる場合、100%オリジナルの家づくりをすることができます。
ただし、設計事務所によって「作風」や「住まいの考え方」が異なるため、依頼先選びは慎重に行う必要があります。
工事の管理や施工管理
設計事務所に依頼した場合は、建主と設計事務所との間で「工事管理業務委託契約」が結ばれ、設計図面通りに工事が行われているのかを、建築家が厳しくチェックしてくれます。
また、設計事務所で注文住宅を建てる場合、家を建てるまでの工期が長くなり、最低でも1年以上はみておく必要があります。
家づくりにかかる費用
設計事務所に注文住宅を依頼した場合、工事費とは別に、10%から15%の設計管理料を支払う必要があります。
アフターサービス
設計事務所に注文住宅を依頼した場合、アフターサービスの担当は、工事を施工した工務店になります。
ただし、家の不具合が起きた時には相談に乗って問題を解決できるように動いてくれます。
===
以上、設計事務所(建築家)で注文住宅を建てる際の要点をまとめておきましたので、設計事務所(建築家)で家づくりを検討されている方は参考にしていただけると幸いです。
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