注文住宅を購入するには、本体の家の価格以外にも土地購入のための費用が必要となります。
家を建てる為の建設費は、条件が同じであれば全国でそれほど大きく変わりませんが、土地については場所によって数倍の差が生まれることがあります。
そのため家を建てる場所によって、総費用が大きく変わってきます。
今回は、注文住宅を建てる目安となるように注文住宅と土地費用の総額の相場をグラフにしてまとめてみましたので、是非、土地購入の際の参考にしてみてください。
表は住宅金融支援機構2015年度集計表:土地付注文住宅を参考にして作成した最新のものです。つまり、「注文住宅と土地を同時購入したひと」を対象にしてつくられたものです。
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土地付注文住宅の相場
以下の表を読み解いていくと、どれくらいの費用をかけて家づくりをしているのか、各都道府県によってかなりの開きがあることがわかります。
表は各都道府県ごとに、延べ床面積、敷地面積、建設費、土地取得費を平均してだし、すべての費用合計相場を算出したものです。土地取得費だけで見ると青森県と東京都では2,658万円もの差があることが確認できます。
都道府県 | 延床面積 (㎡) |
敷地面積 (㎡) |
建設費 (万円) |
土地取得費 (万円) |
費用合計相場 (万円) |
北海道 | 115.6 | 261.6 | 2,560 | 665 | 3,226 |
青森 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 |
115.6 115.1 119.9 109.9 121.8 123.0 |
303.6 254.1 274.9 247.7 290.2 290.8 |
2,579 2,481 2,759 2,355 2,683 2,982 |
577 672 1,021 548 773 870 |
3,156 3,154 3,780 2,902 3,456 3,852 |
茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 |
116.8 115.8 116.1 110.8 114.1 98.8 105.4 |
278.2 263.6 288.4 184.4 210.8 113.4 145.9 |
2,632 2,634 2,573 2,525 2,693 2,306 2,451 |
848 839 783 1,628 1,363 3,235 2,313 |
3,480 3,472 3,356 4,154 4,056 5,541 4,764 |
新潟県 富山県 石川県 福井県 山梨県 長野県 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県 |
116.5 125.8 123.9 121.2 116.4 115.9 116.4 114.3 117.2 120.0 |
208.1 240.1 205.5 224.1 281.5 304.7 254.4 212.2 187.6 239.5 |
2,502 2,589 2,619 2,478 2,552 2,617 2,664 2,742 2,845 2,752 |
827 740 957 733 800 915 896 1,233 1,589 904 |
3,329 3,329 3,576 3,211 3,352 3,533 3,560 3,975 4,434 3,656 |
滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 |
114.4 111.2 110.3 113.3 117.1 115.3 |
202.3 181.2 133.4 178.5 193.6 200.0 |
2,618 2,583 2,359 2,552 2,543 2,585 |
1,070 1,374 1,863 1,492 1,410 920 |
3,688 3,957 4,222 4,044 3,953 3,505 |
鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 |
114.0 109.3 116.1 114.4 113.3 |
256.8 248.5 222.9 201.9 266.1 |
2,591 2,465 2,735 2,680 2,633 |
581 700 968 1,197 782 |
3,172 3,165 3,703 3,877 3,416 |
徳島県 香川県 愛媛県 高知県 |
114.5 119.8 110.4 109.8 |
224.3 245.7 199.1 202.3 |
2,482 2,623 2,389 2,458 |
910 823 971 1,031 |
3,391 3,446 3,360 3,489 |
福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 |
114.8 116.9 115.4 114.2 115.2 109.2 108.0 |
234.0 262.9 222.0 341.3 265.3 292.4 278.7 |
2,694 2,657 2,614 2,560 2,641 2,372 2,420 |
1,063 773 910 873 859 793 810 |
3,758 3,431 3,525 3,434 3,500 3,166 3,230 |
沖縄県 | 107.5 | 260.3 | 2,613 | 1,350 | 3,963 |
全国平均 | 113.4 | 215.3 | 2,583 | 1,315 | 3,898 |
※「住宅金融支援機構2015年度集計表:土地付注文住宅」より作成。
同一予算で家を建てても家と土地にかけられる費用は大幅に変わる
作成した表でも分かる通り、家を建てる地域や場所によって、家本体にかけられる価格と、土地にかかる価格が大幅に違います。
特に都心部になればなるほど、土地の価格が建物の価格と逆転する現象が起きており、なかでも東京都は、建物の価格よりも土地の価格が1,000万円以上高くなってしまっています。
このことから分かる通り、例えば同じ予算で家を建てるにしても、家を建てる場所によって建物本体にかけられる費用が大きく変わってくるため、それだけ家のグレードが変わってきてしまうことを意味します。
またあわせて、それぞれの地域での自己資金の相場については「注文住宅の自己費用の相場と家づくりにかかるお金について 」をご覧下さい。
いつどのタイミングで、どれくらいのお金を支払う必要があるのかを知りたい方は「注文住宅のお金の支払い時期と予算の相場について」で確認して頂くことが出来ます。
家づくりで役に立つ坪単価の計算方法
家づくりをしていると必ず目にする「坪単価」。ここでは坪単価とはなにか、坪単価の計算方法はどうするのかなどについて書き記していきたいと思います。
坪単価とは
坪単価とは、簡単に言ってしまえば1坪「3.3㎡」あたりの建築費がどれくらいかかっているのかを示すものです。
家を建てる時の「坪」の「単価」だから坪単価というわけです。
坪単価の計算方法
坪単価の計算式は次の通りです。
本体価格 ÷ 延べ床面積(坪) = 坪単価
つまり、本体価格が1,000万円の家で20坪の広さだとしたら
1,000万円 ÷ 20坪 = 50万円/坪
としてはじき出すことが出来ます。
坪面積の計算方法(平方メートルから坪への計算方法)
上の計算式ですと、坪がわからなければ坪単価を知ることが出来ません。
そのため、「○○㎡」と表記されている場合、坪として計算しなおす必要があります。「○○㎡」から坪に換算する為の公式は次の2通りです。
「○○㎡ ÷ 3.305785 = 坪」
「○○㎡ × 0.3025 = 坪」
例えば東京都をこの公式に当てはめてみましょう。東京都で見ると延べ床面積が98.8とありますから、「㎡(平方メートル)」にこれを当てはめれば、おおよその坪数に換算することが出来ます。
98.8 ÷ 3.305785 = 29.887
つまり、東京都に建てられる住宅の延べ床面積は平均すると約30坪ということになります。
坪数がわかれば坪単価は簡単にはじき出すことが出来ます。試しに東京都の坪単価を計算してみます。
2,306(万円) ÷ 30(坪) = 約76(万円)
つまり東京都で家を建てる場合一坪当たり約76万円の建設費がかかるということになります。
坪単価で住宅価格を判断してはいけない
住宅の広告を見ると、A社よりもB社の方が安いといったことが頻繁にあります。「A社よりもB社の方が坪単価が安い・・・よし!B社にしよう」というように、家づくりを依頼するひとつの判断材料として利用しているひとも実際は多いはず。
それだけ、坪単価を家づくりのひとつの目安としているひとは意外と多いもの。しかし坪単価で判断するには注意が必要です。
なぜ注意が必要かというと、それぞれの会社によって坪単価の計算方法はもちろん建てる家の条件によっても坪単価は大きく変わってくるからです。
広告に記載されている条件と全く同じであるならば広告の通りの価格で家を建てることは可能ですが、現実にはそうはいきません。
家を建てる場所も違えば、土地の条件をはじめとした、間取りプランや建築資材、設備機器なども変わってきます。
そこでここでは坪単価で判断する時にどんな点に注意する必要があるのか、坪単価を決定づける具体的な3つの要因についてお話していきます。
坪単価を決める要因1:延床面積の違い
広告に書かれているのは、あくまで同じ面積で家を建てた場合の価格です。例えば、50坪の家が坪単価30万円、1500万円で建てられると広告に記載されていても、「じゃあ半分の25坪にすれば、750万円で建てられる」というわけにはいきません。
当たり前ですが、延べ床面積が減ればそれだけ坪単価はあがります。広告に書かれている価格はあくまでひとつのケースとして理解する必要があります。
ではなぜ、こうしたことがおこるのか。それはキッチンやバス、トイレなどといった住宅設備費や家を建てる為の必要経費に原因があります。
一般的にキッチンやバス、トイレなどは床面積に応じて数が減るものではありません。そのため、それだけ延床面積が減るので、床材や壁材、建具代などは減ったとしてもキッチンやトイレ、バスなどの設備機器は減らないため、同じ仕様、同じ設備で、同じ間取りであるならば家が小さくなるほど坪単価は高くなります。
※キッチンやバス、トイレなどの設備機器は一般的に、家の本体価格の20~30%を占めてます
なので「坪単価○○万円」といった坪単価をうたっている広告には注意する必要があります。その数字が具体的に何を基準にはじき出されたものなのかを知らないと、損をしてしまう恐れがあります。
設備機器や建築資材の運搬費や仮設費用、養生費、人件費なども、延床面積と比例して減るわけではないのだ
坪単価を決める要因2:施工床面積の違い
一般的に坪単価は「本体価格」を「延床面積」で割る方法で算出しますが、会社によっては「本体価格」を「施工床面積」で割る会社もあります。
そのため、坪単価を見るだけではその住宅が本当に高いのか、安いのかを判断できないことがあります。
では、施工床面積で割るとどうなるのか。結論から言うと、価格を安く見せることが出来るようになります。
「延床面積」とは各階の床面積を合計した面積のことを指します。ベランダや吹き抜け部分、玄関ポーチなどは含まれません。
一方で「施工床面積」とは実際に施工した部分の面積となりますから「延床面積」に含まれない部分も含まれる形となります。どの部分までが施工した箇所に当たるのかも、各社基準が違うため、判断が難しくなります。
例えば本体価格が1500万円の家があるとします。「延床面積」で算出した場合は40坪、「施工床面積」の場合は50坪とした場合、坪単価でどれくらいの違いがうまれるのかを見ていきたいと思います。
まず延べ床面積で算出した場合ですが、
1500(本体価格) ÷ 40坪 = 37.5万円
となります。一方で施工床面積で算出した場合はというと
1500(本体価格) ÷ 50坪 = 30万円
つまり10坪違うだけで7.5万円もの差が生まれることになります。
坪単価を見る時はそれが「延床面積」で算出されたものなのか、それとも「施工床面積」で算出されたものなのか、注意を払う必要があります。
坪単価を決める要因3:家の「本体価格」以外を含めると2〜3割増しになる
広告に記載されている坪単価は、一般的に家の「本体価格」のみです。家を建てるには家の本体価格以外にもかかる費用はたくさんあります。
土地購入費をはじめとし、外構費、ガス工事代、などの「別途工事費」とよばれるもの、家の購入に際する税金、ローンの手数料、地鎮祭・上棟式費用など様々な「諸費用」がかかります。
それらを含めると、概算で2〜3割増しになることが一般的です。
まとめ:土地費用込の注文住宅の相場と坪単価の計算方法
少し話が複雑になってしまいましたのでまとめます。まず家を建てる際の総額は、家を建てる場所によって大きく異なります。これについては上の表をご覧下さい。
次に、覚えておきたいのが、坪単価を算出するには2通りのパターンがあります。
1:本体価格 ÷ 延べ床面積 = 坪単価
2:本体価格 ÷ 施工床面積 = 坪単価
坪単価は、一般的に玄関ポーチやクローゼットなどを含まない「延べ床面積」で算出しますが、会社によっては、施工床面積で算出している場合もあります。
施工床面積で算出している会社の場合、実際に家を建てるとなると、広告などで算出されている坪単価よりも割高になります。
また、今回お話した内容は、相場ですのであくまで参考程度としてとどめておいてください。相場よりも高いから、安いからといって良い家、悪い家とは一概にはいえません。
延べ床面積とは
各階の床合計のことです。玄関、クローゼット、屋外やベランダなどは含まれません。
施工床面積とは
施工する床面積の合計です。会社により基準が違いますが、延べ床面積で省かれる部分も含まれるため施工床面積で算出した方が広くなります。
建築面積とは
外壁で囲まれた部分を地面に投影した面積のことです。一般的には建坪と呼ばれます。建築面積について、詳しくは「家づくりで後悔しない為に抑えておきたい土地購入で役立つ5つの言葉 」の”建築面積とは”をご覧下さい。
予算内でいい家を安く建てるために知っておいて欲しいこと
予算内で、いい家を安く建てるために知っておいて欲しいことが、実は、3つあります。
ここでは、いい家を安く建てるために知っておきたい3つの記事をご紹介します。
1:予算内でいい家を建てるための7つの基本
注文住宅では、ほとんどの場合、当初の予算をオーバーします。
予算をオーバーする原因は様々ですが、打ち合わせを重ね、プランを進めてしまうと、一度プランを白紙に戻さないと引き返すことができなくなるなど、後戻りができなくなってしまうケースもあります。
もちろんプランを白紙に戻した際は、余計なコストがかかることは言うまでもありません
ですから、家を検討しはじめた、早い段階で依頼する側が、最低限の家を安く建てるための基本やコツを知っておき、しっかりとコストをコントロールをする必要があります。
また、何も知らずに依頼先の住宅会社と契約をかわしてしまうと、依頼先の住宅会社では希望している家が建てられないということが、家づくりのプランを進めてからはじめてわかり、納得しないままに家づくりを進めなくてはならないこともあるので、契約をする前にベースとして持っておきたい知識があります。
下記の記事では、家の価格の決まり方の話や、家のコストを決定づける要因やコストダウンの基本などについてお話ししていますので、参考にしていただき、予算内でいい家を安く建ててください。
2:注文住宅を予算内におさめるために知っておきたい家の形の話
家には、お金がかかる家の形と、お金がかからない家の形があります。
また家の形次第で、間取りに制限がかかるなど、暮らしやすさが大きく左右されたり、長期間住むことで建物がダメージを受ける部分が違うためメンテナンスにかかる費用(維持費用)が変わってきたり、家の形によるメリットやデメリットが少なからずあります。
特に角の多い家は、注意が必要で、角が一箇所増えるにつれて、見積もり金額に10万円から20万円の金額差が生まれます。
下記の記事では、お金のかかる家とお金のかからない家の形の違いについてお伝えすると同時に、どのような家の形はコストが上がるかなどの例も載せておきますので、注文住宅で家づくりを検討しはじめたら、長い目で、家の形にも注意して家づくりを進めていくことをお勧めします。
家の形については下記の記事を参考にしてください。
>>>家づくりで覚えておきたい家の形とお金のかかる家とかからない家の違い
3:無料でもらえる住宅カタログを使って家づくりを進める方法
注文住宅での、家づくりは情報を集めるところからスタートします。
そして、最終的に、いい家を建てられるかどうかの大きな分かれ目は、依頼先選びで決まると言っても過言ではありません。
実際、同じようなプランでも、依頼先によって見積もり金額に違いが生まれますし、予算の違いだけではなく、同じ要望でも依頼先次第で提案されるプランも違ったり、できることやできないことも違い、さらには工事の良し悪しも変わってきます。
だからこそ、失敗のない注文住宅を建てる上では、各社をしっかりと比較し、しっかりと検討してから依頼先を決める必要があります。
依頼先選びで、各社を比較検討をするためには、住宅カタログを利用すると便利ですが、各社のカタログを読み解く上で、押さえておきたいポイントなどがあります。
下記の記事では、無料で住宅カタログを取り寄せて、住宅カタログの見るべきポイントや、押さえたいポイント、住宅カタログを使いこなして賢く家を建てるポイントなどについて書いておりますのでぜひ、参考にして家づくりを進めていってください。
>>>無料で貰える住宅カタログを使いこなし賢く家を建てる6つのステップ
以上、参考にして家づくりを進めてください。