柔らかく包み込むようなふわふわとした形状のオブジェクト。
本来は農作物を風害や獣害から守ることを目的に使用される「農業用ネット」をひとつの作品として昇華させた見事なデザインです。
この作品は「farming-net collection」と名付けられ、日本人デザイナーの佐藤オオキ氏を代表とするnendoによってデザインされました。
ふわふわと風に漂うよう雲のように、空中に浮遊するこの作品。まるで何かを包み込むように柔らかな印象を持っています。
電球を中に入れれば、その隙間からこぼれ落ちるあかりが、室内を幻想的に染上げることでしょう。
写真のようにいくつかの電球、いくつかのオブジェクトを天井から吊るすことによって、今までみたこともない照明をつくりあげ、部屋全体を優しい空間に包み込むことができるかもしれません。
農作業用のネットは、ドレスなどによく使われる薄い半透明な素材のオーガンジーよりも強度があり、金属メッシュよりも柔軟なため、独立した薄い皮膜だけがふわふわと風に漂う表現が可能になったとのこと。
上の写真がオーガンジーです。女性の方なら洋服などでよくみかける素材だと思います。ふわっと肌を包み込むような素材ですね。
アップしてみるとこのような形状に。プリーツ加工を施しているため波をうったような柔らかい印象を見事に表現しています。
こちらは四角い形状のもの。凹凸のある、でこぼことした素材がみるものの眼を魅了します。
遠くからみると、農作業用ネットを使用したとは思えないほど暖かく優しい印象を持つデザインとなっていると思いませんか。絞り染めの布や漉いた和紙を彷彿とさせる表面となっています。
柔らかい印象の為、本来の花をさす花瓶としてではなく、花を包み込む花瓶として使用すると、まるで花が服をまとったかのように、花の持つ華やかさを増幅させています。
ちょこんと小さな植物を端の方におくとまた、雅(みやび)です。
こちらは農作業用のネットを、本来の花瓶のように表現したもの。今まさに花が開かんばかりの印象を強く持ちます。
こんな風に綺麗に形を整えたものも。花を優しくそっと包み込む花瓶です。
一連の作品は、どことなく懐かしさを感じる作品となっていると思いませんか。farming-net collectionは日本古来の伝統を違う形に昇華し、表現した、何か不思議な魅力を持つ作品です。
その他の写真は以下からご覧頂けます。
・nendo | サクヒン:farming-net collection(http://www.nendo.jp/en/works/farming-net-collection-2/?erelease)
▼参考:(外部サイト)
Gallery: Farming-net Collection by Nendo
Nendo, diseño de muebles con red agrícola. Farming-net | Revista de arquitectura | Experimenta