インドネシアのバリ島に、すべてが竹で出来ている建築物があります。すべてが竹で出来ている建築物はひとつではなく、「自然と人との共生」を柱としたひとつのコミュニティとしての村となっており、そのコミュニティは「会社」「学校」「図書館」「食堂」「寄宿舎」「ゲストハウス」からなっています。
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グリーンビレッジの場所はどこ?
グリーンヴィレッジ(Green village)はアユン川(Ayung River)沿いにあり、西側は教室、図書館、トイレ、食堂、東側にはカルチャーセンター、寄宿舎、ゲストハウスがあります。
その東と西をつなぐのがクルクル橋と呼ばれる巨大な竹の橋です。
環境問題に配慮したグリーンヴィレッジ
グリーンヴィレッジ(Green village)は、環境問題にも配慮しており、教室は、竹やバリの伝統的な泥壁など環境に配慮した資材で建てられ、運動施設にも可能な限り環境負荷の低いものを使用し、キャンパス内の建物は水力、バイオディーゼルなど、再生可能なエネルギーで自給自足をしているとのことです。また、広大なキャンパス(校内)には池、野菜畑、庭園があり、米、野菜、果物からサトウキビ、チョコレートまで栽培され、魚や家畜が飼育されています。
グリーンヴィレッジ(Green village)全体図です。その広さは全体で10万㎡、なんと東京ドーム2個分にもなるそうです。
グリーンビレッジが素材として竹を採用する意味
建物から家具にいたるまで考えられるありとあらゆるすべてのものが竹で出来ています。
これらの椅子ももちろん竹。素材を生かしたつくりがバリという土地にあいますね。
建物を竹にすることには主に8つのメリットがあるようです。そのメリットとは
- 竹は、生長が早く簡単に栽培できる。熱帯のバリ島では、3~5年で25m~35mほどに成長し、建材として利用できる
- 同じ重さの鉄や鉛よりも強度がある
- 弾力性、耐久性に優れ、日本の原爆投下後、最初に蘇生した植物と言われている、
- 抗菌作用があり、悪臭防止になる
- コットンと比べて倍の吸水性がある
- アジアでは、竹は神秘的な植物として考えられている
- 窒素固定能力により、土壌の肥沃度を増進させ、排水の浄化も行う
- 繊維、紙、燃料としてもつかえ、余すところなく活用できる
とのこと。
細部にわたって竹の素材が生きるコミュニティ施設
素晴らしいですね。
こちらは洗面所でしょうか。
全体的に開放的なつくりとなっています。
これも竹。おしゃれなバンブーチェアーです。
竹の素材をアップするとこんな感じです。
ベッドルームです。目覚めの良い朝を迎えられそうだと思いませんか。
座布団が綺麗に敷かれていますね。
竹という素材を使うことによって建物全体が神秘的に輝いています。
階段の手すりの部分も竹の素材を使い、見事に自然との調和をとることに成功しています。
滑らかな曲線ですね。
風通しが良さそうな建物ですね。
本がたくさん置かれています。
スクールの机ももちろん竹。オールバンブーです。
竹という素材を知り尽くしたものだからこそ出来る、デザインです。竹のしなやかさと強靭な魅力が垣間見える建築物です。
こちらの建物もすべて竹。竹づくしです。
グリーンビレッジ内には世界最大の竹でできた学校もある
こちらの建物は、世界最大の竹で出来た建築物”Heart Of School”です。
将来的には、図書館、コンピュータールーム、カンファレンスセンター、アートミュージアムなどの多目的ホールとして利用する予定だそうです。
3階まですべて吹き抜けの建物です。
子供たちの学び場はここだけではなく、校舎のまわりの自然豊かな場所にもあります。そこでは、地元農民によって、米、茄子、トマト、豆、チリ、きゅうり、ホウレンソウ、バジル、レタス、パイナップル、バナナ、ココナッツ、パパイヤ、カカオ・・・・など、たくさんの種類のオーガニック野菜、穀物が栽培されており、子供たちは大自然に囲まれ田植えや、種まき、収穫を行うことですべてが循環する仕組みを学ぶことができます。
今現在、足りない食物は近隣の農家から買うなどをしているそうで、自給率は100%ではないとのことですが、素晴らしい体験や経験ができることは間違いなしです。
校舎には窓も、扉もほとんどなく基本的にはオープンエアという開放的な空間が広がっています。もちろんエアコンの設置はありません。
再生可能エネルギーで自給自足な暮らし
教室やオフィスなどの主要電力は牛と人間の糞尿を使ったバイオガシステムによってまかなっており、お湯や調理をするためのガスのかわりに、竹を加工した際に廃材となるチップを利用しているとのこと。
今後は小水力発電、ソーラーシステムの導入などによって、キャンパス全体の電力を再生可能エネルギーでまかなっていきたいという壮大なるプランも用意されているようです。
ダムや大規模な水源を必要とせず、小さな水源で比較的簡単な工事で発電できるマイクロ水力発電によってキャンパス全体の電力エネルギーをまかなう考えだそうです。
トイレも用途事に分かれており、左が小、右が大となっています。このコンポストトイレによって集められた糞は、バイオガスとして、尿やその他の雑排水は、バイオジオフィルター(植物や微生物など自然の力で水を浄化すること)を通して、土に還り、畑で使われるそう。
飲料水は、井戸水をくみ上げ、BioSystemsという会社の逆浸透装置を通して不純物を除去し、環境負荷の低い形でキレイな水を供給、循環する仕組みだとのこと。
急なスコールや高温多湿のときはこちらのドームハウスを利用するとのこと。ドームは土壁でつくられており、ひんやりして快適だそうです。
スクールでの教育は、シュタイナー教育を主体とした独自のカリキュラムとなっていますが正式な学位となるインターナショナル・バカロレアの基準を満たしているため、世界中の高校・大学への進学にも支障はないそうです。
ちなみに授業はすべて英語でおこなわれるそうです。
壮大なる自然に抱かれての生活や授業は子供たちにとって一生忘れることの出来ない豊かな経験となると思いませんか。
グリーンビレッジ内にある宿泊施設
ベッドルームです。
枕元には、竹の素材を生かした小細工がほどこしてあり、眼鏡などを置いておくことも可能です。
奥にベッドルームがみえます。
圧巻ですね。
夜の光景です。
パソコンが設置してあります。自然の中で学び、自然と共に生きていく・・・この考えは今後大切な考えのひとつになっていくでしょう。
日本にもエコヴィレッジは存在しますが、これだけの規模のエコビレッジはみたことがありません。
陽の当たり方が最高です。
こちらもベッドルーム。
リビングです。
自然に抱かれてゆったりと過ごすことができそうです。
竹を使うことでここまでの建築物を建てることが出来るなんて驚きです。
扉も丸く縁取っており素敵ですね。
室内を照らす影が魅力的です。
なお学校については、グリーンキャンプと呼ばれるサマースクールも開催しているようなので興味がある方は参加してみるのも良いかもしれません。
フェイスブック公式ページ
>>>Green Village Bali(グリーンヴィレッジ バリ)
グリーンスクールについてはこちら
>>>Green School(グリーンスクール)
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▼参考:
・Green Village – Honestly WTF
【URL:https://honestlywtf.com/home/green-village/】
・Green Village
【URL:https://greenvillagebali.com】
・Ibuku
【URL:https://ibuku.com】
・Building with Bamboo – indesignlive.asia
【URL:https://www.indesignlive.asia/articles/people/Building-with-Bamboo】
・バリ島グリーンスクール視察レポート(1):百聞は一見にしかず!世界が注目するサステナブル教育の最前線へ潜入取材! | greenz.jp グリーンズ
【URL:https://greenz.jp/2009/07/04/bali_greenschool_report1/】
・バリ島グリーンスクール視察レポート(2):大自然に学べ!サバイバビリティ(生きる知恵)が集まったキャンパス | greenz.jp グリーンズ
【URL:https://greenz.jp/2009/07/05/bali_greenschool_report2/】
・バリ島グリーンスクール視察レポート(3):すべての人をハッピーにするコミュニティ | greenz.jp グリーンズ
【URL:https://greenz.jp/2009/07/08/bali_greenschool_report03/】
・PT bamboo pure: green school, bali
【URL:https://www.designboom.com/architecture/pt-bamboo-pure-green-school-bali/】
・bamboo houses shape ibuku’s green village community in indonesia
【URL:https://www.designboom.com/architecture/bamboo-houses-shape-ibukus-green-village-community-in-indonesia/】