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吹き抜けは寒い?寒い吹き抜けにしないために抑えておきたい6つの対策

吹き抜けの家は寒いと良く聞きます。

これに対するプロの考えを言うと「つくり方」によると答えられます。

つくり方・・・つまり、「間取り」のとり方、家の「設備や仕様」、それにエアコンなどの「空調の取り付けかた」などです。

つまり、家全体として一度温まった熱を外に逃さない魔法瓶のような状態にし、天井に溜まりやすい暖気を循環させるような状態にすれば寒さを感じない吹き抜けをつくることはできます。

今回の記事では、そんな寒い吹き抜けにしないために事前にしっかりと抑えておきたい吹き抜けの間取りで取り入れたい6つの寒さ対策について解説していきます。



吹き抜けの寒さを軽減する6つの寒さ対策

吹き抜けが寒い場合、以下の寒さ対策が十分でないか、もしくは寒さ対策がされていないことが原因で吹き抜けが寒くなると思ってください。

【吹き抜けの寒さ対策は6つ】

1:家を高気密・高断熱にする
2:内断熱ではなく外断熱にする
3:全館空調システムを取り付ける
4:床暖房を備え付ける
5:シーリングファンで空気を動かす
6:ロールカーテンを取り付ける

もちろん、寒冷地などでは寒さ対策に限界がありますし、ここで上げた対策では十分ではない場合もあります。

ただ、日本の一般的な環境のエリアで家を建てる場合は、上記の5つの対策をしっかりと施せば吹き抜けの寒さは十分軽減できる家になります。

吹き抜けはなぜ寒い?

吹き抜けが寒くなるのは壁がない空間が広くなるからです。

わかりやすく説明すると、同じ暖房器具を使用していても学校の教室はすぐ部屋があたたまるけれども、広い体育館はなかなか暖まらない。

それと同じようなことが吹き抜けでは起こっていると思ってください。

吹き抜けの間取りでは多くの場合、縦方向の広がりだけではなく、リビング・ダイニング・キッチンを一緒にすると言ったように、横方向にも広がりを持たせていきますからそれだけ冬場は部屋をあたためるのにも時間がかかりますし、夏場は冷やすのにも時間がかかることになります。

この時、「気密性」や「断熱性」が悪い家だと、温められた熱はすぐに外部に漏れてしまうため、なかなか暖まらない、寒いと言う状態が起きてしまうのです。

逆を言えば、一度温まった暖気を逃さないようにしたり、暖まりやすくする工夫を家全体に施してあげれば、寒い冬場でもいつでもポカポカな部屋になると思ってください。

吹き抜けの寒さ対策1:家を高気密・高断熱にする

寒さを感じさせない吹き抜けにするには、必ず高気密・高断熱にすることが大前提にあるものだと思ってください。

吹き抜けをつくるなら「高気密」、「高断熱」が基本であり、この2つの性能をあげることで初めて、それ以外の対策がいきてきます。

ちなみに「断熱性」を高めるだけでは効果はありません。「断熱性」と同時に「気密性」も高めなければあたためられた空気が外に逃げてしまうからです。

「気密性」のレベルが低いとどんなに部屋を暖めたとしても隙間から熱が逃げてしまうのです。

吹き抜け特有の冬の寒さを防ぐためには、必ず「断熱性」と「気密性」はセットで対策をすると考えてください。

吹き抜けでも寒さを感じさせない、または寒さを軽減するためには、暖房能力を高めるだけではなく、一度あたためられた空気を外に逃さない工夫をとることが大前提にあるのです。

壁・窓・サッシ・建具に至るまで熱を逃さないものにし性能を高める

ダブル断熱とは良く聞きますが、最近ではトリプル断熱、なかにはクワトロ断熱と呼ばれるものもあります。

言葉だけに惑わされてはいけませんが、トリプル断熱、クワトロ断熱にもなるとかなり断熱性能が高いものが多いです。

また断熱材としてセルロースファイバーを使い断熱性能と同時に防音効果も期待できる素材もあります。

セルロースファイバーは新聞紙素材のエコな断熱材で一般的に断熱材として使われるグラスウールなどと比べて素材としての価格は高くなりますが高い断熱効果を期待できます。

ただし、ひとえにセルロースファイバーと言っても、大変多くの種類があり、安価で粗悪、断熱材としての効果が薄いセルロースファイバーもありますので、そうした安価な素材は選ばないようにしてください。

吹き抜けにするなら、必ず性能の高い素材を使って熱を逃さないように性能を高めてください。

窓も複層ガラスや断熱性の高いサッシを使う

また窓も同様で、単層ガラスではなく最低でも複層ガラス、できればトリプルガラスなどの断熱性が高い窓を選び、サッシもアルミなどを使うと熱伝導率が高いため熱が外に逃げやすいので、最低でも樹脂製のサッシを使うようにすれば十分な性能は確保できると思います。

実は吹き抜けが寒くなる少なからぬ要因の一つがこの窓にあり、なぜなら、窓には断熱材が含まれていないからです。

窓によっては、窓を通して冬場にあたためられた暖気の5割以上が外に逃げることもあるので、吹き抜けにするなら窓選びも慎重に行ってください。

吹き抜けにした部屋には大きな窓を取り付けることが多いため、この窓選びを間違ってしまうといくら他の部分で断熱性能を高めたとしても十分な効果が期待できなくなってしまい寒くなってしまうため注意してください。

しっかりとした施工をする

またどんなにいい素材を使おうが、施工がよくないと性能を維持することができませんので、しっかりとした工事業者に依頼することも忘れないでください。

吹き抜けの寒さ対策2:内断熱ではなく外断熱にする

断熱方法は「内断熱」と「外断熱」の2種類の方法があり、普通の住宅では、建物の内側を覆う「内断熱」とすることが一般的です。

けれども吹き抜けにするなら必ず「外断熱」にして性能を高めてください。「外断熱」にするだけで断熱性能に大きな差が生まれ、吹き抜けの快適性を大きく左右します。

この2つの断熱方法を簡単に説明すると一般的にみられる「内断熱」は家の内部に断熱を施すタイプの断熱方法で、安価に施工ができますが、隙間が起きやすく熱損失が起きやすい特徴があります。

一方で「外断熱」は建物を外側から覆うようにして断熱を施すタイプの断熱方法で、熱損失が少なく気密性も高くなりますが、コストは高くなる・・・と言った特徴があります。

寒さを感じさせない吹き抜けにするためには断熱性と気密性を高めることが大前提となりますから、「外断熱」にすることで断熱性、気密性が高まり、一度あたためられた熱を逃さない家になるのです。

つまり、素材を厳選して家を高気密・高断熱にし、外断熱にすることでその効果をより高めていくと吹き抜けの寒さが気にならない家になります。

内断熱と外断熱の違いについては「ランニングコストのかからない家のつくりかた」の「2種類の断熱のメリットとデメリット」にまとめてありますので合わせて読み進めていただくとより理解を深めていただけるかと思います。

吹き抜けの寒さ対策3:全館空調システムを取り付ける

吹き抜けの寒さ対策「1」と「2」で家の性能(断熱性能と気密性能)を高めて熱を逃さないようにしたら、今度は「部屋を暖める設備」を取り付けていきます。

様々な暖房器具がありますが、より室内を快適な状態に保ちたいのであれば全館空調システムを備え付けることをお勧めします。

全館空調システムとは、家全体で空調を管理するシステムのことで、家のどの部屋にいても一定の温度を保っていられるように機械的に管理する空調管理システムです。

全巻空調システムでは、リビングはもちろんトイレ、洗面室、浴室、玄関、諸室に至るまでどの部屋に行っても一定の温度で管理できるようになり、家全体であたためられた熱を逃さないようにします。

つまりここまでのステップで、家全体の熱を逃さないようにしたら、そこから家の内部の温度を常に一定に保っていられるように環境を整えていきます。

家全体で暖めることで、他の部屋の冷気によってせっかくあたためられた暖気が他の部屋に移動すると言ったことがなくなるので、かなり快適な寒さを感じることのない吹き抜けになります。

例えるなら、外断熱で魔法瓶のような状態を作り出し、全館空調システムで常に魔法瓶の中の温度を一定に保っていられるように手を加えていく。

この2つを組みわせることで寒さを感じさせない吹き抜けになります。

吹き抜けの寒さ対策4:床暖房を備え付ける

床が冷えると足元から寒さを感じてしまいますから、床暖房も取り付けていきます。

床暖房では足元から暖めていきます。暖められた空気は上昇する性質を持ちますから、床暖房で床を暖めてあげるとポカポカと快適な状態を保っていられるようになります。

全館空調システムの効果を床暖房で補助していくのです。

吹き抜けの寒さ対策5:シーリングファンで空気を動かす

次に吹き抜け内の空気を動かし熱を循環させ、部屋全体を満遍なく暖めていきます。

これにはシーリングファンを使うといいでしょう。

もちろんサーキュレーターでも構いませんが、シーリングファンは吹き抜けと相性が良く、シーリングファンを使った方が雰囲気が出ますのでより吹き抜けが快適に感じられると思います。

サーキュレーターでもシーリングファンでも空気を動かすことには変わりないので、どちらを使ってもいいですが、ポイントはなるべく部屋の中の高い位置で空気を回すようにすることです。

部屋の中で暖められた暖気は上にたまりますから、上に溜まった暖気を下に下ろし、部屋全体の温度をできるだけ均一な状態に保っていきます。

こうすることで空気の循環が起こり暖気のムラがなくなりますので、吹き抜けの寒さを感じさせない家になります。

吹き抜けの寒さ対策6:ロールカーテンを取り付ける

最後6つ目は、窓にはロールカーテンなどを取り付けて窓の断熱性能を高めていけばより吹き抜けの寒さ対策になると思います。

暖かい昼間はロールカーテンをしなくても問題ないかもしれませんが、特に冬場の夜は窓のあたりが寒くなってしまいますから、ロールカーテンなどで覆っておくとより寒くならない吹き抜けになります。

寒さを感じさせない吹き抜けにするポイントは3つ

まとめると、寒さを感じさせない吹き抜けにするポイントは3つです。

【寒さを感じさせない吹き抜けにする3つのポイント】

1:家の性能を高める
2:暖房能力を上げる
3:熱を循環させる

まず大前提として、断熱性や気密性を高めて家の性能をあげ、一度あたたまった熱を逃さない対策を施していきます。

これにより吹き抜けが寒くなる要因の一つである暖房能力が追いつかない原因に対して、対処できるようにしていきます。

次に全館空調システムによって暖房能力を上げて室内を均一なものに保っていきます。

そして最後に暖められた暖気が上部に偏らないようにシーリングファンを使い、熱を循環させていきます。

この3つのポイントで一般的に広く言われている吹き抜けの寒さ対策にアプローチしていけば、寒くない吹き抜けにすることはできます。

間取りは気に入っているけれども、冬場の寒さが気になって吹き抜けにできないと言う方がいらっしゃるのであれば、今回の記事であげたポイントに従って吹き抜けを作れば寒さを感じさせない吹き抜けにできますので、ぜひ、検討してみてください。



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