注文住宅で家を建てる際の依頼先は3つあります。
1:ハウスメーカー
2:工務店
3:設計事務所(建築家)
注文住宅で家づくりをするには、以上であげた3つの依頼先のいずれかの住宅会社にコンタクトをとり、家づくりをすすめる必要があります。
ただし、注意点があります。
このうちハウスメーカーに依頼する場合は、ハウスメーカーの「2つの経営の仕方による違い」を事前に知っておく必要があり、また、ハウスメーカーで家を建てる場合の住宅会社選びでは「経営の仕方に注意を払う必要」があります。
例えば、ハウスメーカーには大きく分けて「2つの経営の仕方による違い」があることを十分に理解せずに家づくりを進めてしまうと、家を建てた後に十分な保証やアフターが受けられないと言ったことが起きてしまう恐れがあります。
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ハウスメーカーの経営の仕方には「直販型」と「FC型(フランチャイズ型)」の2つの形がある
一般の方には、あまり馴染みがありませんが、実はハウスメーカーの経営の仕方には2種類あります。
ハウスメーカーの「2種類の経営の仕方」には
1:直販型の経営(直販直施工方式)
2:FC型の経営(代理店方式)
といった、2つの経営方式(経営の仕方)があり、どちらの方式をとっている会社で契約するのかによって、契約後、特に家を建てた後に大きな違いが生まれてきます。
ハウスメーカーで注文住宅の家づくりを依頼する前に、2つの経営方式の違いをよく理解して家づくりを依頼しないと、後で必ず痛い目を見ますので注意してください。
○○ホームズの家なのに、○○ホームズのアフターが受けられない・・・
例えば、これからお話しするハウスメーカーの「2つの経営の仕方」を理解せずに家づくりを進めてしまうと、こんなことが起こり得ます。
「確かに私の家は○○ホームズの家だ・・・なのに、建物に不具合が起きているにも関わらず、○○ホームズに問い合わせてみてもアフターや保証について対応してもらえない・・・」
以上のように、ハウスメーカーの経営の仕方による違いを十分に理解せずに、「○○ホームズ」という名前(ブランド名)だけを見て、注文住宅の依頼先を選んでしまった場合、このようなことが起きてしまう可能性があります。
なぜ○○ホームズの家なのに○○ホームズのアフターが受けられないのか?
では、○○ホームズといったようにブランド名はもちろん、建てられる家が全く同じなのに、なぜ十分なアフターを受けることができなかったり、同じブランドの家なのに保証に違いがうまれるのでしょうか。
それは、経営の仕方の違いからくる、契約上の問題に原因があります。
つまり「1:直販型」の場合は、直接ブランドのメーカーと契約を結ぶことになり、本部の社員と打ち合わせをし、家づくりを進めていく形になりますが、「2:FC型」の場合、代理店(工務店)が、あくまでブランドの名前を借りているだけなので、家づくりを担当する社員は全く別の住宅会社(工務店)となります。
もちろん、直販型、FC型のどちらに依頼しても、○○ホームズの家であるということには変わりありませんし、住宅に使われている資材も基本的に同じものになります。
ハウスメーカーでの家づくりを失敗しないためには、直販型とFC型の依頼先の違いを十分に理解することが大事
では、ハウスメーカーの、この「2つの経営の仕方の違い」によって、具体的に建てられる家にどのような違いが生まれてくるのでしょうか?
直販型とFC型で家づくりを進めることの違いについて下記から詳しくお話ししていきます。
直販型とFC型で家を建てることの違い
繰り返しになりますが、ハウスメーカーの経営の仕方には2種類あり、ブランドを掲げる住宅会社本部で「直接販売し直接施工する直販型の経営の仕方」と、他社が「ブランドを借りて販売する代理店方式をとるFC型の経営の仕方」があります。
つまり、大事なことなので繰り返しになりますが、ハウスメーカーの経営の仕方には下記の2通りの経営の仕方があることになります。
1:直販型(直販直施工型)
自社で、直接販売し直接施工する経営の仕方。つまり「直営」方式をとっているハウスメーカー。
2:FC型(フランチャイズ型)
他社が、ブランドの名前を借りて販売し同じ資材を使って家を建てる経営の仕方。つまり「代理店」方式をとっているハウスメーカー。
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それぞれの方式によるハウスメーカーの特徴や違いは下記の通りとなります。
直販型のハウスメーカーの特徴
直販型のハウスメーカーは、営業からアフターまでハウスメーカーの社員が直接担当します。
基本的には、営業からアフターまで本部が一括して管理し、家を建てた後の保証やフォロー(メンテナンスや点検)なども本部が管理し行なっていきます。
直販型のハウスメーカーでの契約までの流れ
直販型のハウスメーカーでは、営業、設計、工事、アフターと一貫して本部の社員が担当していきます。
家を建てるための打ち合わせや設計など、いずれの工程においても直接的、または間接的に本部の社員が関わる形で家づくりが進められていきます。
直販型のハウスメーカーでは設計と工事は外部に委託するタイプもある
誤解している方が多いですが、厳密に言えばハウスメーカーは家をつくってはいません。
住宅を研究開発し「住宅商品として販売しているだけ」です。
つまり、あくまで「メーカー」の立ち位置になります。
ではハウスメーカーに依頼した場合、どこが家を建てているのかというと、実際に家を建てているのは、下請けの施工会社(工務店)になります。
また、ややこしいようですが、ハウスメーカーで家を建てる場合の工事を担当する施工会社には、ハウスメーカーの子会社が担当する場合と、地域の工務店が担当する場合の2通りがあります。
▼ここまでの話の2つのポイント
1:実は、ハウスメーカーは家を建てていない。
2:ハウスメーカーは商品を企画開発し注文を受け販売しているだけで、実際に家を建てているのは下請けの施工会社(グループの子会社や地域の工務店など)。
住宅の設計に関しても同様のことが言え、自社の社員が設計するハウスメーカーと、外部の設計事務所に委託し設計するハウスメーカーの2通りがあります。
▼ハウスメーカーの設計の仕方は2通り
1:自社の社員が設計する
2:外部の設計事務所に依頼する
以上の2通りの方法があります。
直販型のハウスメーカーの家づくりの体制
ただし、直販型のハウスメーカーで、注文住宅を依頼する場合、いずれの場合であっても営業からアフターまで一貫して本部の社員が対応します。
そのため、FC型よりも管理が行き届いていることが多く、スキルのばらつきはFC型よりも少ない特徴があり、ハウスメーカーにより違いはあるものの、建てられる家の品質も一定の水準を保っている傾向があります。
直販型では契約する相手はブランド本部
直販型の場合、契約は本部と行います。
直販型では保証やアフターもブランド本部
保証は本部の保証となります。
FC型のハウスメーカーの特徴
FC型のハウスメーカーでは、営業、設計、工事、アフターは本部社員が行わず、代理店となる工務店の社員が担当していきます。
住宅(住宅商品)については、本部が提供する建築資材や建築部材を使って同じように家を建てていきますが、家を建てた後のアフターや保証は代理店となる工務店が一括して引き受けるところに大きな違いがあります。
FC型のハウスメーカーで建てる場合は本部は関与しない
FC型のハウスメーカーでは、住宅商品の開発や建築資材は、本部が一括して行い、それを代理店(工務店)が販売する形で家が建てられていきます。
つまり、ハウスメーカーのブランド力を借りて、代理店(工務店)の社員が担当し、打ち合わせを行い営業から設計、工事、アフターを担当する形で家づくりが進められていきます。
FC型のハウスメーカーでの契約までの流れ
FC型のハウスメーカーでは営業、設計、工事、は代理店となる工務店、またはFCの下請けの会社が担当し、アフターは代理店となる工務店が担当します。
つまり、ブランド名が一緒であっても、家づくりに本部の社員が関わることはありません。
FC型のハウスメーカーの家づくりの体制
あくまで担当するのは代理店となり、依頼する代理店によって対応の仕方が違ったり、家を建てるスキルなどにばらつきがあります。
また本部の社員が担当しているわけではないため、いわゆる「ブランド本部」のような対応を期待することはできません。
ハウスメーカーによっては「直販」と「FC」の2つの方式で住宅を販売していることもあり、その場合は、依頼先が「直営」なのか、「代理店」なのかをしっかりと確認してから契約しないと、判断を間違ってしまうこともありますので注意してください。
例えば、本部と契約をしたと思っていたのに、実は代理店だったということも起こり得ます。代理店と契約した場合は責任は本部にはなく、代理店にある形になります。
FC型では契約する相手は代理店
FC型の場合、契約は代理店と行います。
FC型では保証やアフター対応も代理店
FC型の場合、保証は代理店の保証となります。
直販型とFC型に依頼する「最大の違い」と「注意点」
直販型とFC型のどちらを選んだとしても、使っている建築資材や建築部材はもちろん、ブランドの住宅という意味では、出来上がる家に大きな違いはありません。
(ただし、家はどんなに良い設計だったとしても、設計図通りに抜かりなく建てられているかどうかが、大事なポイントになりますので、大なり小なり、工事を請け負う工務店によって建てられた家の品質に違いは生まれます)
では、決定的な違いはどこにあるのでしょうか。
直販型とFC型の依頼先の決定的な違いは、「契約」と「保証」の違いにあります。
FC型のハウスメーカーで契約する場合の5つの注意点
1:契約は代理店との間で結ぶ形になる
FC型の場合、契約はあくまで代理店との間で結ばれます。
そのため、契約上、何らかのトラブルが起きた際、本部であるハウスメーカーは一切関知することはありません。
つまりFC型のハウスメーカーでは、契約の内容にもよりますが、契約後に起こったトラブルについては、本部とは関係なくなり切り離されて進められることになります。
そのため、依頼する代理店によってはトラブルが多い上にアフターなど期待できない場合もあります。
2:FC型のハウスメーカーは、代理店により対応が変わってくることもある
本部のブランドがいくら安心できるものだと言っても、FC型の場合、契約はあくまで代理店との間で取り交わされます。
どんなに本部のブランドが安心だからと言っても、契約後の責任はすべて代理店となり、代理店によっては対応が変わってくるため注意してください。
3:FC型は契約書が代理店独自の場合もある
ほとんどの代理店では、契約書は住宅会社の本部が用意したものを使いますが、代理店のなかには代理店独自で契約書を用意し、代理店独自の契約書で契約が取り交わされる場合もあります。
この場合、契約の内容が代理店に有利なものになっていることもあるので十分に注意した上で、契約を結ぶ必要があります。
実際、FC型の住宅会社で契約をされた方の契約書を拝見させていただくと、契約上非常にややこしくなっていることも多く、責任の所在が不明確な場合もありますので、十分注意して契約を結ぶようにしてください。
4:設計事務所に設計してもらう場合も建設業法の責任はない
代理店によっては、直販型のように設計事務所に設計を依頼する場合もあります。
その場合は、設計事務所が工務店の工事を管理する場合もありますが、設計事務所はあくまで工事を管理することに責任があるのみで、引き渡し後の保証の義務を負いません。
つまり、アフター メンテナンスを含め、引き渡し後に何らかの問題が起きても、設計事務所に責任はなく、責任の所在が不明確になることもあるようですので注意してください。
5:保証の注意点
また引き渡し後の保証についても、代理店との間で結ぶ形になります。
つまりFC型のハウスメーカーでは、建てた後のアフター対応は、本部との間で結ばれるのではなく、あくまで代理店との間で結ばれているので、代理店が倒産した場合、十分なアフターを受けることができなくなります。
そのため、契約する前に、依頼先代理店の経営体制がしっかりしているかなど確認しておく必要があります。
まとめ:FC型のハウスメーカーに依頼する場合の注意点
繰り返しになりますが、ハウスメーカーに依頼する場合、同じブランドでも直販型とFC型の2つの依頼先がある場合があります。
かいつまんで言うと、直販型はメーカーが責任を持ちますが、FC型の場合、代理店が責任を持つ形になり、ブランドの本部は契約後のトラブルについては一切関知しません。
そのため、FC型のハウスメーカーに依頼する場合は、依頼する工務店の評判など、経営体制がしっかりしたものであるのかを見極める必要があります。
よく聞く話では、FC型のハウスメーカーは、依頼する工務店によって家の品質に大きくバラツキがあると聞きます。
ですから、家づくりで失敗しないためには、慎重になって家づくりを任せられる代理店を選ぶ必要があります。
今回の記事は読み方によってはFC型のハウスメーカーに手厳しい意見のように見られるかもしれませんが、良いか悪いかを議論したいのではありません。
本当のことを知っておかないと、家を建てた後で後悔するのは、大枚をはたく側の施主であるため、厳しい内容も含まれることを承知の上で、注意しなければいけない点について書いてきたつもりです。
ただ、FC型でも素晴らしい対応をする住宅会社もあることを、締めの言葉として一言付け加えさせていただきます。
【家づくりを失敗しないための住宅会社の選び方】
家づくりは依頼する住宅会社次第で成功するかそれとも失敗に終わるのかが大きく分かれてきます。
それでは、家づくりを失敗しないための住宅会社選びのポイントはどこにあるのでしょうか?
下記の記事では、3つのポイントに絞り失敗しない住宅会社の選び方をご紹介しています。