ひとつのデザインが世界を変えるというのも、もしかしたら嘘じゃないかもしれません。ひとつのデザインは世の中を変革できるほどの力をもっている・・・大げさにきこえるでしょうか。
あなたが今使っているiPhoneを代表とするスマートフォン。なぜあなたはそれを選んだのでしょう。機能性、デザイン性、または皆が持っているからという理由で選んだ人もいるかもしれません。しかし、その理由を突き詰めてみれば、デザインによって心を動かされたと表現できはしないでしょうか。
考えてみれば私たちの生活も、人それぞれ自分の頭の中の考えによりデザインされています。だからこそ、自分の今考えていることが、未来の自分を形作る。自分によってデザインされた一生をかけた作品、それがあなたでありわたし・・・そう思うとデザインがより身近に感じられませんか。
今回紹介する作品は、なんと日常に溢れるゴミを密閉された透明なプラスチックケースに詰めることによってデザインされたなんともユニークなゴミで出来た作品です。
これらの作品は主にニューヨークの路上に落ちている、ゴミを収集し、小さな密閉されたプラスチックケースの中に形を与え詰めただけ。日常に落ちている単なるゴミが、ひとつの壮大なるアートとして生まれ変わったという素晴らしいアイデアです。
しかもこのゴミを詰めただけの作品は実際に2001年から販売され、今では世界中の人々に行き渡り現在1300個ほど流通しているそうです。
コカコーラの瓶のかけらがみえます。またその他に紙コップやシールのようなものまですべてゴミで出来ています。
なんと、捨てられたマッチ棒まで詰め込まれています。ゴミだけれどもゴミではない。なんとも不思議な作品です。
誰かが使った綿棒までもが・・・。
これらの作品はニューヨークのソーホーを拠点に活動しているアーティスト兼起業家のJustin Gignac(ジャスティン・ジニャック)さんによってデザインされました。
なんでもJustin Gignac(ジャスティン・ジニャック)さんがこのゴミで出来た作品を販売するようになった経緯が非常に面白い。
パッケージデザインの重要性を感じていたJustin Gignac(ジャスティン・ジニャック)さんは、パッケージデザインの重要性を同僚に馬鹿にされ、良いパッケージデザインがどれだけ重要かを照明する為制作された・・・とのことです。
こちらのプラスチックケースの中には、誰かが使った赤いストローが・・・その下には「AMERICAN SPIRIT」と何とも意味ありげな文字が配置されています。
こちらは何かのチケットのようですね。
スターバックスの紙コップに、鳥の羽・・・。
鳥の羽や様々な色の紙など。
使い捨てライターにコカコーラの缶、それにストローのようなものまでもが巧みに配置されています。
ガラスのかけらや、使い捨てられた風船・・・。
スタバのプラスチックコップにリストバンド・・・。
こうしてみると、ゴミは私たちに本当にいろいろなメッセージを投げかけてくれます。ゴミは私たちの日常をあらわしている・・・と表現しても良いかもしれません。
人の手によってゴミはつくられ、人の手によって捨てられ、人の手によってひとつのアート作品によって生まれ変わる・・・ゴミは私たちに何を残し、何を私たちに語りかけてくれているのでしょうか。
私たちが無駄にしている日常に溢れているゴミ。ひとつのアイデア次第で、こんなにも美しくうまれかわるなんて・・・ゴミをゴミと思っているのはもしかしたら私たち自身の自惚れ(うぬぼれ)なのかもしれません。
これらのゴミで出来た作品は、現代という時代を象徴しているといってもいいかもしれません。
ゴミと言うのは時代の象徴であり、こうして残しておくことによって、後の世代を生きる人々に私たちが生きた時代の生活をほのめかす・・・ そんなことも感じることができます。
私たちが生み出し、捨てられたゴミを汚いとただ蔑(さげす)んでいる私たちは、もしかしたらとても愚かな生き物なのかも知れません。
時代の最先端を走り抜け、いろいろな人種が行き交い、アートや芸術が入り交じる混沌としたニューヨークという場所で捨てられたゴミだからこそ、その作品としての味わいをより一層深めています。いろいろなことを考えさせてくれる、深い意図の作品です。
捨てられたビールの缶が綺麗におさめられています。
サングラスと、造花でしょうか。
ぐしゃぐしゃにされたビールの空き缶です。
限られた場所、限られた日、特定の日に集められた限定品としてのゴミで出来た作品も非常に面白いです。
オバマ大統領の就任記念式典のゴミのようです。アメリカの国旗がオバマ大統領の後ろに配置されているのが印象的です。
2009年のヤンキース優勝パレードで取れたゴミです。
こちらも。2009年のヤンキース優勝パレード
こちらも2009年のヤンキース優勝パレード。
同上です。
ヤンキースタジアムでの開幕式のゴミ。
ニューヨークにあるスタジアム「Citi Field」でとれたゴミです。
2012年のジャイアンツのパレードで出たゴミ。
ニューヨークで行われた、同性間結婚が認められた日のゴミ。
こちらも同じです。
これらのアート作品の購入は以下から出来るようです。
・BUY — NYC Garbage
http://nycgarbage.com/order/
また、このNYC Garbageがどこに貰われて行ったのか(今までの購入者)は以下のマップで確認できるようになっています。
・Map — NYC Garbage
URL:http://nycgarbage.com/map/
よくみると、日本国内においても購入された方がいらっしゃるようですね。
・公式ページ:NYC Garbage
URL:http://nycgarbage.com
▼参考:
New York City Garbage by Justin Gignac
街のゴミをアート作品に!パッケージデザインの力を信じるアーティストのプロジェクト「NYC Garbage」 | greenz.jp グリーンズ
順番待ち! なぜニューヨークのゴミが売れるのか? | roomie(ルーミー)