今回の記事では、注文住宅にどれくらいの費用をかけているのかなど、お金のデータを載せていこうと思います。
「注文住宅を選択した理由」から、「注文住宅を建てるためにどれくらいの費用が必要となったのか」、そのうち「自己資金はどれくらい用意したのか」、「資金はどのように調達したのか」、「借入金や返済期間はどれくらいか」などを、データとしてまとめたものを載せていきたいと思います。
実際に、注文住宅で家を建てた方の実態を知ることで、より鮮明に家を建てるイメージができると思いますので、ぜひ、あなたの注文住宅を検討する際の参考にしていただければと思います。
Contents
1:注文住宅選択の理由
まずは、注文住宅を選択した理由について見ていきます。
「住まい」という観点から見ると、注文住宅は一つの選択肢に過ぎず、そのほかにも「分譲戸建て」、「中古戸建て」、「分譲マンション」、「中古マンション」、「民間賃貸住宅入居」などの幅広い選択肢があります。
その中でなぜ、注文住宅を選んだのか、その多くの理由は下記の通りとなっています。
アンケートでは、複数回答可となっていますが「信頼できる住宅メーカーだったから」という理由が全体の46.2パーセントと最も多く、続いて「一戸建てだから」という理由が38.5%と続いています。
上記のように、「住宅のデザインや広さ、設備等が良かったから」という理由で選んだ方は、意外と少なく、全体の26.2%となっていることがわかります。
ちなみに、今回作成したグラフには記していませんが、「分譲戸建て」住宅の場合は「新築住宅だから」が56.3%、「住宅の立地環境が良かったから」が55.0%、「価格が適切だ買ったから」が40.8%、「住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから」が37.9%と続いています。
2:世帯主の年齢
続いて、注文住宅を建てた方の、世帯主の年齢について見ていきます。
国土交通省 住宅局の「平成29年度の住宅市場動向調査報告書」調べでは、注文住宅を取得した年齢のうち、「30歳代」が最も多く、全国平均で39.2%の方が「30歳代」で、注文住宅を建てていることがわかります(はじめて家を建てた方を対象とした統計です)。
「30代」に続いて、「40歳代」が多く24.6%、「60歳以上」の16.2%と続いています。
また、この表には、記していませんが、新築の「分譲戸建て」、新築の「分譲マンション」の購入においても、同じような傾向が見られ、「新築の分譲戸建て」では、「30歳代」が49.5%、「40歳代」が25.3%と続いており、新築の「分譲マンション」では、「30歳代」が38.6%、「40歳代」が26.4%と続いています。
ただし、注文住宅取得世帯の世帯主の年齢を平均年齢でみると「43.6歳」という結果になっています。
中古住宅市場になると、これらが逆転し、「中古戸建て」や「中古マンション」では、「40代」の購入者が最も多く、続いて、「30代」と続いている傾向が見られます。
3:世帯主の職業
注文住宅取得世帯の、世帯主の職業を見ると面白い結果が表れています。
注文住宅取得世帯の、世帯主の職業を見てみると「会社・団体職員」が46.9%と、全体のおよそ半数を占めていることがわかります。
会社・団体職員の次に多いのが「会社・団体役員」の19.2%です。
「30歳代」の注文住宅取得世帯が最も多いので、注文住宅取得世帯における「会社・団体役員」の割合が、意外と少なくなっているように思います。
表からは「会社・団体役員」に続いて「公務員」、「自営業」と職業が続いていることを見て取ることができます。
4:世帯年収
注文住宅取得世帯の世帯年収は最も多い世帯が「400万円から600万円未満」の29.8%で、最も大きな値を占めています。
次に多いのが、世帯年収「600万円から800万円未満」で、全体の24.9%の割合を占めています。
ただし、少しさかのぼり、平成25年度の統計から見ると、徐々に「400万円から600万円未満」の割合が徐々に低くなっている傾向にあります。
例えば、平成25年度では「400万円から600万円未満」の割合が「33.7%」、平成26年度では「33.1%」、平成27年度では「30.8%」、平成28年度では「31%」、平成29年度で29.8%と推移していっています。
それに対して「世帯年収が600万円から800万円未満」の割合が伸びており、平成25年度では「19.6%」、平成26年度では「22.3%」、平成27年度では「19.3%」、平成28年度では「21.9%」、平成29年度では「24.9%」と推移していっています。
また、注文住宅取得世帯の世帯年収を、全国平均でみると698万円と算出されています。
5:住宅建築資金
では、注文住宅の建築資金はどれくらいが多いのでしょうか。
住宅建築資金のうち、建物だけのみ、つまり、土地購入資金を除いた場合の住宅建築資金は、全国平均で「3073万円」となっています。
このうち、自己資金は全国平均で「907万円」、借入金が「2166万円」となっており、自己資金比率は「29.5%」と、平均してみると建築資金の3割程度を自己資金でまかなっていることがわかります。
なお、こちらの統計は、「新築時」と「建て替え時」を含んだ数値となります。
5−2:自己資金の内訳
自己資金の内訳はどうなっているのかというと、最も多い比率をしめているのが「預貯金・有価証券売却代金・退職金」となり、全国平均で「649万円」、比率で言うと「71%」をしめています。
続いて贈与の「100万円」で全体比率の「11%」と続いています。
5ー3:借入金の内訳
借入金の内訳を見てみると、民間の金融機関(フラット35以外のもの)が最も多く「1248万円」と借入金全体の「58%」をしめています。
住宅金融支援機構のフラット35の利用者は、2番目の割合を占めており「852万円」と全体の「39%」を占めている形になります。
6:新築住宅建築資金
注文住宅には、「建て替え」で工事を行うケースと、「新築」で工事を行うケースがあります。
続いて、「新築住宅」で見た場合の、注文住宅建築資金の平均値について見ていきます。
新築世帯に限定してみた場合、建築資金合計が「3061万円」、自己資金で見ると「778万円」、借入金は「2283万円」と公表されており、自己資金比率はおよそ「25.4%」という数値になっています。
ちなみに、ここでの数値はあくまで「建物の価格」であり、「土地の価格」は含みませんので、注意してください。
土地の価格については、次の「7:土地購入資金について」の項目をご覧ください。
7:土地購入資金
土地購入資金の全国平均を見てみると、土地購入資金合計の全国の平均値は「1374万円」と報告されています。
「1374万円」の土地購入費用のうち、自己資金は「606万円」、借入金は「768万円」と土地購入資金のおよそ「44.1%」の資金を、自己資金でまかなっているという統計結果になっています。
7−2:土地購入資金の自己資金の内訳
土地購入資金のうち、自己資金の内訳の全国平均をみると、「預貯金・有価証券売却代・退職金」の割合が最も多く「73%」、続いて贈与の「14%」、不動産売却の「4%」と続いていきます。
住宅建築資金と土地購入資金を比べても、比率は同程度だということがわかります。
7ー3:土地購入資金の借入金の内訳
土地購入資金のうち借入金の内訳は下記の通りです。
全国平均で見ると借入金のうち、全体の「69%」ほどが民間の金融機関から借り入れており、残りの「29%」が、住宅金融支援機構のフラット35を利用していることがわかります。
親・兄弟から「借入金」という形で借金をしているケースは全国平均で「1%」程度と、非常に低い割合だということもわかります。
8:住宅建築資金と土地購入資金の合計
下記の表は、注文住宅の住宅建築で、土地を購入した世帯について、住宅建築資金と土地購入資金を合わせた総額です。
土地購入資金と住宅建築資金の合計は、全国平均で「4334万円」、そのうち自己資金は「1250万円」、借入金は「3084万円」となり、自己資金比率は「28.8%」となっていることがわかります。
8−2:土地購入資金と住宅建築資金の自己資金の内訳 全国平均
注文住宅を建てる際に、土地と建物を購入した世帯の、自己資金の内訳は下記の通りとなっています。
全体のおよそ「73%」が「預貯金・有価証券売却代金・退職金」を占めており、続いて贈与の「13%」、不動産売却の「9%」と続いていきます。
8−3:土地購入資金と住宅建築資金の借入金の内訳 全国平均
注文住宅を建てる際に、土地を購入した世帯の、借入金の内訳は下記の通りとなっています。
統計では、民間の金融機関からの借り入れが「64%」、フラット35を利用した借り入れが「33%」と続いています。
9:一次取得、二次取得別の購入資金
国土交通省の住宅市場動向調査では、はじめて持ち家として住宅を取得する者を「一次取得者」といい、2回目以上の世帯を「二次取得者」と定義づけています。
一次取得者と二次取得者を比較してみると、二次取得者の方が、より購入資金が高く、自己資金比率も高いことがわかります。
自己資金比率で見ると一次取得者の場合は「22.5%」となっていますが、土地を購入した二次取得者のケースでは総費用のうち「52.4%」が自己資金に充てるなど、半分以上の金額を自己資金でまかなっていることがわかります。
10:住宅ローンの有無
続いて、新築世帯について住宅ローンの有無について見ていきます。
無回答も全体の3割と、わりと、高い結果になっていますが、注文住宅を購入する者のうち、6割の方が住宅ローンを利用していることがわかります。
11:住宅建築資金の返済期間
では、住宅ローンを借り入れた方で、住宅建築資金の返済期間はどれくらいで設定されることが多いのかを見てみると、非常に面白い統計が出ています。
平均返済期間で見ると「31.1年」となっていますが、返済期間が35年以上の方が意外にも多く全体の「65.6%」、20年〜35年未満の方は「27.3%」という調査結果が出ています。
12:土地購入資金の返済期間
続いて、土地購入資金の返済期間について見ていきます。
返済期間を平均すると「33.2年」となっていますが、こちらも同じように、35年以上が全体の「78.2%」、20年〜35年未満が「20.2%」ということになっています。
13:年間返済額
では、住宅建築資金の年間返済額はどれくらいなのでしょう。
平成25年度からの住宅建築資金の借入金の年間返済額は、下記の通りとなっています。
平成29年度の統計では、全国平均が「130.5万円」となっており、「分譲戸建て」、「分譲マンション」、「中古戸建住宅」、「中古マンション」の中で最も高い数値を示しています(注:注文住宅以外の返済額については表に載せていません)。
また、年収に対する住宅ローンの返済負担率は、平成25年度「20.5%」、平成26年度「20.8%」、平成27年度「21.8%」、平成28年度「22.7%」、29年度では「20.4%」と推移しています。
14:民間金融機関への融資申込みの有無
続いて、民間金融機関への融資申込の有無を見ていきます。
無回答も含んでいますが、民間の金融機関へ融資申込をした方は、全体のおよそ「62%」となっています。
15:民間金融機関の金利タイプ
民間の金融機関に融資を申し込んだ方のうち、民間金融機関で選んだ金利タイプは下記の通りです。
全体の半数以上が「変動金利型」を選んでおり、続いて「固定期間選択型の金利」タイプを選んでいる方が多く、「全期間固定金利型」を選んでいる方は、全体のおよそ1割程度という統計になっています。
16:希望融資を断られた経験
民間金融機関に融資を申し込んだ世帯のうち、希望融資を断られた経験があるかについては下記のような調査結果が出ています。
希望融資を断られた経験は全国で、全体のうち「13.4%」となっています。
16−2:希望額融資を断られた理由
続いて、希望融資を断られた理由について見ていきます。
民間の金融機関では「人」に対しての審査となるため、やはり年収がダントツの1位で「31%」を占めています。
そのほか、収入の安定性が厳しく見られていることがわかります。
16−3:希望額融資の可否
希望融資額の可否については下記の表の通りとなります。
16−4:融資を受けられなかった資金の調達方法
続いて、融資を受けられなかった場合の資金の調達方法について見ていきます。
不足分を自己資金でまかなった方が最も多く全体の「38.1%」、他の金融機関で融資を受けた方が「19%」という結果になっています。
17:住宅ローンの負担感
最後に住宅ローンの負担感について見ていきます。
住宅ローンの負担感について見ていくと「少し負担感がある」と感じる方が最も多く、全体の「6割」、続いて「あまり負担感を感じない」方が「2割」程度となっています。
ただし、全体の「1割」の方は、非常に負担感を感じているという結果も出ています。
まとめ:注文住宅のお金のデータ
今回は、注文住宅のお金のデータを見てきました。
全国で見た場合の統計となりますが、どれくらいの予算感で建てられた方が多いのかや、返済期間や返済負担率はどれくらいなのか、土地と建物にはどれくらいのコストをかけているのかなど参考にしていただける点は多いと思います。
もちろん土地と建物は家を建てる場所によって大きく必要となる予算は違ってきますが、家を建てる際の目安にしていただくことはできると思います。
ぜひ、今回のお金のデータを参考に賢い注文住宅の家づくりをされて見てください。