インスタレーションとは、絵画・彫刻・映像・写真などと並ぶ現代美術における表現手法やジャンルの一つで、ある特定の室内や屋外などにオブジェや装置を置いて、作家の意向に沿って空間を構成し変化・異化させ、場所や空間全体を作品として体験させる芸術のことを言います。
インスタレーションは空間自体が芸術作品であり作品であるため、作品に全身を囲まれて空間全体を「体験」することができます。
今回紹介する「世界で最も細く狭い家」は、オーストリアのアーティストErwin Wurm氏が子供時代に住んでいた家から着想を得てつくり出したインスタレーション作品で、圧縮、制限、侵略された私たちの個人的な空間からもたらされる恐怖に対する質問を投げかけています。
「世界で最も細く狭い家」の外観
上の写真が実際にインスタレーションとして残された作品「Most Narrow House in the World(世界で最も細く狭い家)」です。
建物の中に設置されていますが、外観からしてみても非常に狭い家だということがわかります。一体世界で最も細く狭い家の中はどうなっているのでしょうか。
「世界で最も細く狭い家」の内観
世界で最も細く狭い家に近寄ってみると、想像以上に細く狭い家だということが分かります。これは、狭小住宅の枠を超え、人が住むことができない実際には存在し得ない家だということがはっきりとわかる細さです。
それでは早速、世界で最も細く狭い家の中をご紹介します。
こちらが世界で最も細く狭い家の中です。驚くことに私たちの生活に必要なものである「ひとつひとつのもの」はしっかりと存在しています。ただ私たちの常識で思っているものよりも形が圧縮され存在しています。
まずこちらはソファーと本棚。おそらく3〜4人用のソファーだと思われますが、この世界で最も細く狭い家の中では一人用のソファーとして存在しています。
空間が圧縮されているため本来吸われるはずのスペースが削られており実際には座ることは出来なくなっています。
さらにソファーの上にあるクッションも圧縮されかわいいミニサイズに。本棚に立てかけてある本も非常に縦長、加えて壁にかけられている絵画も縦長サイズです。
続いてこちらはバスルーム。洗面台がもはや原型をとどめていません。お風呂は入れないレベルではないものの非常に窮屈なバスタイムとなりそうです。
そしてそんなバスルームの隣の空間にあるのは・・・
なんとトイレ。これはもはや、用をたせるレベルではありません。用をたそうと思っても大なり小なり老若男女全ての方においてピンポイントで発射技術が必要となります。
こちらは据え置きの固定電話。使えないレベルではないですが、電話をかけるのにも、電話をとるのにも一苦労、非常に困るレベルではあります。
そしてこちらがベッド。片方の型を下にして寝返りをうたずにすることでようやく寝ることができそうです。
続いてクローゼット。せ・・・狭い。
こちらはリビングダイニングですが、非常に狭いテーブルと椅子。ゆっくりと食事すらできません。
窓際に設置されたテーブルと椅子。よくみると椅子の座面があるようでないことに気がつきます。これなら立っていた方がいいレベル。
普段何気なく利用している空間が圧縮され、狭小の空間となるとこんなことが起こる・・・そんな恐怖を世界で最も細く狭い家では体験することができそうです。
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▼参考:(外部サイト)
Artist Builds Most Narrow House in the World – My Modern Metropolis