スイス生まれ、中国在住のプロダクトデザイナーQiyun Deng氏がデザインしたのは、野菜の形をした可愛らしい使い捨ての食器。
この食器の原料には生分解性プラスチックであるバイオプラスチックが使われています。バイオプラスチックの多くは循環性があり、主にデンプンや糖の含有量の多いトウモロコシやサトウキビなどから製造され、微生物によって水と二酸化炭素に分解されるため、土に還る性質をもっています。
そして、その二酸化炭素を元に植物が光合成によってデンプンを作り出し、デンプンからまた生分解性プラスチックの原料を作り出すため環境にも優しいプラスチックとして注目されています。
もともと大気中に存在する二酸化炭素が植物に取り込まれデンプンとなり、そしてそのデンプンからまた生分解性プラスチックの原料をつくりだすため、燃焼し焼却にあたっても大気中の二酸化炭素は増えることなく、また環境にも優しく収支はゼロ、地球温暖化を防ぐことができるプラスチックと言われています。
ただ分解されやすいがゆえに、プラスチックの利点である耐久性や機能性には劣り、使用中や保管中に分解が進み、使用不能となる可能性があるというデメリットもあり使い捨て前提のものに使用するのには適していますがリサイクル製品、またはリユース製品には向かないとされています。
そして上の写真が、そんな特性をもつバイオプラスチックを使いつくられた使い捨ての卓上食器「Graft」です。
セロリの茎の形をしていますがその役割はフォーク。非常に面白い使い捨て食器のデザインですね。
バイオプラスチックで出来た、セロリの食器を横にしてみるとこんな感じ。左の部分だけみると本物のセロリのよう。
つづいてアーティチョークの花びらの形をしたスプーン。色合いが絶妙でまるで本物のそれのようです。
セロリの茎の形をした使い捨て食器と同じように横にしてみました。こちらも見事に再現されています。
こちらはネギの形をしたナイフ。こちらも色合いが絶妙。よくみるとネギの青い方の部分の先にギザギザがあることがわかります。
同じようにネギのナイフも横にしてみました。実際に使う時は上の写真のように横にして使います。
続いてニンジンに見立てた小スプーン。ニンジンのでこぼこ具合が非常に良くデザインされています。また小さいニンジンということもあり、それがまたいい味を出しています。
同じように横にしてみました。このニンジンのスプーンで食べればニンジン嫌いのお子様でも食べることが出来るようになるかもしれません。
続いてレモンの形をしたバイオプラスチックで出来たグラス。透明感がとても美しい出来映えですね。
最後にオレンジの皮を使って出来たかのようなボール。植物の一部を使ってつくり、それがまた土に還り、同じ製品としてよみがえる。
その循環性により環境にも優しい食器と言えます。
「Will you throw them away easily?(そんなに簡単に捨てちゃっていいの?)」というメッセージを投げかける為にこの作品が制作されたようですが、この作品は今後環境問題と真剣に向き合っていかなければいかない私たちにとって、デザインの力を利用したユニークな問いかけと言えましょう。
デザイナーホームページ:About – Qiyun Deng
▼参考:(外部サイト)
Graft: Disposable Tableware That Looks Like Vegetables – Design Milk