ベトナムの住宅事情は近年深刻なものとなっています。
2013年8月2日のエキサイトニュースの記事によるとベトナム南部最大都市のホーチミン市において、15年前は200万円で購入できた土地が現在では2000万円になっているといいます。
インフラが整っていない土地で、一部の金持ちや成金が投機目的で土地の転売を繰り返してきた結果、日本のバブル期のように土地の価格が異常に高騰し価値のないものに値段がついてしまったとのこと。
ホーチミンの中心部では家を建てるのに必要な土地を確保するのに、4000万円から6000万円程度かかるようで、これは世界でも最も物価が高井と言われている東京都の中心部に匹敵する価格だそう。
ベトナム人の平均年収が60万円と考えるとこれはとても深刻な問題だといえるでしょう。
ベトナムの不動産事情。驚愕の現実に日本人もお手上げ(Excite Bit コネタ) – エキサイトニュース
日本で一般的に億ションといわれるような高級マンションはベトナムでは1000万円から1500万円程度だそうですが、数世帯が暮らすのが一般的であるベトナムにおいてマンションで暮らすことは難しいようです。
今回紹介する建物はそんなベトナムの住宅事情をふまえベトナム現地の建築事務所であるa21studioが低予算で建てることの出来る建物を提案した形になります。
れんがやコンクリートを扱うかわりに波上のパネルやスチール素材を建物表面に使用したり、もともと使える家具は再利用する等、細部において工夫を施し、低予算で建てることに成功した事例と言えます。
Contents
ベトナムに建てられた植物とツタが絡まる住宅「The Nest」の外観
こちらがその建物「The Nest」。限られた予算で構築され、隣の家にちょうどおさまるように建てられています。
メッシュ状のシースルーの玄関口がとても美しく、ツタがうまく絡まるように設計されています。
どうやら植物が成長すると建物全体を覆い隠すように植物が囲う家としてデザインされるようです。
植物と共に成長する家・・・といったところでしょうか。「The Nest(巣)」の名前にふさわしい建物になるには時間がかかるようです。
それでは建物の内部は一体どうなっているのか。
低予算で建てられた植物とツタが絡まる住宅「The Nest」の内観
セラミックで出来たカラフルな床に木製の家具、さらに奥には長いキッチンが備え付けられています。
古くなった家具を再利用することにより、独特な空間を演出することにも成功しています。
どこまでも続いていくカラフルな床。とても低予算で建てられたとは思えません。開放的なこの空間は、ベトナムの温暖な気候ならではの建物ですね。
奥にはちょっとした庭も備え付けられているようです。
庭から建物正面をのぞくとこんな感じ。写真右奥に見える階段は一枚のスチール板を階段のように折り曲げているとのこと。
庭から建物全体をみるとこんなに素敵な光景が。素晴らしい。
次に階段をのぼって二階へ行ってみましょう。
一枚のスチール板でつくられたとは思えないほど頑丈なつくり。てすりもしっかりと固定されており安心して二階へ上がることが出来ます。
二階には両側に寝室があるようです。奥には洗面所もあります。
ちなみに寝室はこちら。入り口付近の床に、すのこのようなものが敷かれています。
しかし、寝室の床はしっかりとつくられているようです。
夜になるときちんとアジアの雰囲気漂う建物にライトアップされます。
こちらは夜のプライベートガーデン。おそらくこの部分にもツタや植物で覆われることが予想されます。
植物とツタが絡まる住宅「The Nest」の配置図や断面図
場所:トゥアン市、ビンズオン省、ベトナム
プロジェクト面積:100平方メートル
建築面積:40平方メートル
材質:スチールバー、金属板
完了: 2013
ベトナムの住宅事情を考えられつくられた家 「The Nest」。ベトナムの住宅事情が良い方向へ改善されることを願います。
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▼参考:(外部サイト)