世にも不思議な時計があります。時針と分針、あわせて4つの針がついているこの不思議な時計。それぞれが独立しているのではなく、それぞれの線が繋がることで針が踊るように時刻をあらわしています。
この時計が今何時をさしているのか、あなたにはわかるでしょうか。
上の写真では形状は「X」となっています。ということは「10時」をさすのでしょうか・・・。いえ、違います。では一体何時をさしているのでしょうか。
今度はひし形を描いています。じっくりと観察してみると、従来の時計のように短針と長針にわかれていることがわかります。今、何時をさしているのか、何となくわかってきたのではないでしょうか。
続いて四角。こちらの写真だと短針と、長針の違いがはっきりとわかります。そう、実はこれは3時をさしています。
こちらは4時30分。時刻の読み方は簡単。時計本体に繋がった2つの針をみればいいだけ。見た目にだまされてしまいますが、本体に直接繋がっている2つの短針と長針をみればはっきりとその時刻を確認できます。
ではこちらはどうでしょう。そうです。「3時40分」です。非常にユニークな時計だと思いませんか。
こちらは少々読みづらいですがちょうど3時をさしています。
ということははじめに出てきた、この「X」の形の時刻は3時10分頃ですね。こうしてみると時計の針がダンスしているかのようにみえます。
この時計は、台湾人デザイナーのYen-Wen Tsengさんがストックホルムにあるデザイン学校Konstfackに在籍中に発表したもの。「時刻」と「分」の新しい関係を考えデザインされたようです。
「時刻」と「分」は互いに密接に影響しあっていることを、本来別々に表現されているそれぞれの針を繋げることによって見事に表現しています。
「時刻」と「分」の新しい関係を築くことで踊るように時間をさすこの作品は「Hand in Hand Clock」と名付けられ、デザイン性にも優れ、何故かみるものの心をくすぐるユニークなデザインとなっています。
考えてみれば、時間と分はそれぞれが独立したものではなく密接しており、影響しあい相互作用をおこしているものだということに気がつきます。
Yen-Wen Tsengさんのデザインした「Hand in Hand Clock」は、「時計というものは何か、どんな関係を築いているのか」ということをゼロベースで考え直したからこそ生まれたデザインです。
物事の本質としての機能を失わずに、それをベースにして、様々な現象を組み合わせることにより、より高いものへ昇華する作業。それがデザイナーの仕事なのかもしれません。
こうしてみると、Yen-Wen Tsengさんのデザインした「Hand in Hand Clock」のその独特な形状に驚かされます。
そのものの「本質は何か」を絶えず問いかけることでデザインの幅を広げていく。そうすることではじめて本物のデザインが生まれるものなのかもしれません。
デザイナー:yenwen tseng
▼参考:(外部サイト)
Difficult-To-Decipher Clocks – The ‘Hand in Hand’ Clock by Yen-Wen Tseng (GALLERY)
Hand in Hand Clock by Yen-Wen Tseng – Dezeen
Konstfack – Wikipedia, the free encyclopedia