レジア湖という湖がイタリアの南チロルにあります。
この湖には、不思議な言い伝えがあります。この湖には尖塔があるのですが、冬になると、その尖塔からあるはずのない鐘の音が聴こえてくるというのです。
レジア湖にある、あるはずのない鐘の音が聴こえる尖塔の場所はどこ?
地図を見て頂ければわかりますが、湖の規模は約6.6キロ。随分と大きな湖です。地図上でみても、随分と広い湖であることがわかります。
圧倒的に美しいレジア湖にある尖塔の写真
これが噂の尖塔です。ものかなしげにそびえ立っています。
南チロルにあるこの尖塔は、なにを思い、レジア湖にひっそりとたたずんでいるのでしょうか。
この尖塔は、レジア湖のシンボルとなっています。一塔だけ湖にそびえ立つその姿は神秘的にさえ映ります。
周りの山々の風景もかなり美しいです。
素晴らしい景観ですね。
景色が水面に反射してその姿を映し出しています。
なぜ湖の中に尖塔があるのか?
実はレジア湖は、かつては村でした。それもひとつの村ではありません。周辺には163もの家屋があり、それに伴いくつかの村が連なり、さらに二つの湖がそこにはありました。
163もの家屋が軒を連ね、村人は慎ましくも平和な日々を過ごしていました。しかし、その平和な暮らしは1939年の7月に一変します。電力会社のMontecatini(モンテカーニ)社(現 Edison Energia(エジソンエネルギア))が周辺の村々を含む2つの湖を統一し22メートルのダムを建設する計画をたてたのです。
それ以前にも1920年代に、深さ5メートル規模の人工ダム建設の計画はありましたが、1939年のそれと比べるとずいぶんと規模が違います。
もちろん村人は反対しました。しかしその声はとどかずレジア湖のダムの計画は遂行されました。建物は取り壊され、その時に残ったのが、あの湖の塔だったのです。つまりその時の名残なのです。
もちろん、その尖塔につけられた鐘は1950年の7月18日の最終工事の時に取り除かれました。しかし、取り除いてもなお、その鐘の音は冬になると響き渡るというのです。
1940年の4月にダム化の工事が進められましたが、戦争や、地元民の反対により結局この計画は1950年7月までつづきました。
結局は163もの家屋と1290エーカー(523へクタール)が水の中に沈められたそうです。
すべては安定電力供給のため・・・村人たちは村から追いやられてしまいました。
冬のレジア湖です。当時の面影を残すのは尖塔だけとなってしまいました。まるで忘れないでくれと村人たちの叫び声が聴こえてくるようです。
レジア湖は冬になると、水面が凍り付きます。人が歩いて渡れるほどに凍り付くので尖塔に近づくことも出来るようです。
最後まで戦った村人たちのシンボルにさえみえます。
冬になると、鐘の音が響き渡る・・・それはかつてそこに住んでいた村人達の心の叫びなのでしょうか。それとも、塔が人知れず、嘆いているのでしょうか。
それは誰にもわかりません。
▼参考(外部リンク)
Wikipedia:Reschensee – Wikipedia, the free encyclopedia