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新築の注文住宅の外壁で失敗しない3種の塗り壁の特徴とメリットとデメリット

外観に大きな影響を与える要素のひとつとして外壁の問題があります。注文住宅で家づくりをする際、外壁の素材で何を使用するのか、またどのような色の素材を使用するのかで住宅の印象は大幅に変わります。

注文住宅で家づくりをする際の、外壁選びで注意して頂きたいのは、外壁を選ぶ際によく耳にする言葉のひとつに「メンテナンスフリー」という謳い文句があります。・・・が、基本的にメンテナンスフリーの外壁は存在しません。ただし、メンテナンスの手間がかからない外壁材はあります(恐ろしいことに設計士も、よく理解していないことがあります)。

例えば、前回書いた注文住宅で家づくりをする際に気をつけてほしいサイディングについての記事「新築の注文住宅の外観で失敗しないために抑えておきたい4種のサイディングの特徴」で、お話した樹脂系サイディングは手間のかからない外壁の最もたる例です

もちろん住まうことに重点をおいた住宅は、住宅環境によってどの素材が適しているのかが大きく変わりますから、一概にこの外壁材が適しているとは言えません。ですが、注文住宅で家づくりをする際、それぞれの外壁材の特徴や、外壁材のメリットとデメリットなどを知っておき理解をしておくことは家づくりをするうえで非常に大事な要素です。

注文住宅は、建てて終わりではありません。注文住宅で家づくりを進め、住宅を建ててからも、建物と長く付き合っていくためには、定期的なメンテナンスをする必要があります。

それぞれの外壁にはメリットとデメリットが必ずあります。ですので、「好みの外観」「メンテナンスの条件」「価格」などを基準にして、家づくりでどの外壁を選ぶかを決めると良いと思います。

この記事では注文住宅の外壁として代表的な塗り壁である土壁、漆喰、モルタルについて、それぞれの塗り壁の特徴や工法、メリット、デメリットなどを見ていきます。

※壁材は、施工の善し悪しにより性能は大幅に変わってきますので一般的に言われていることをもとにお話をさせてもらいます。また塗り壁は、地域によって細かい施工方法などが異なりますのであくまで一般的なことについてお話させて頂きます。




注文住宅の外壁:塗り壁

塗り壁とは・・・塗り壁の定義

塗り壁とは、竹や葦(あし)で編まれた木舞(こまい)や石膏ボードなどの下地の上に、土などの素材を、荒塗り、中塗り、上塗りと何層にも塗って仕上げた壁のことをいいます。

最後の上塗りで仕上げる素材で名称が変わり、仕上げを漆喰で行なえば「漆喰壁」、土で仕上げれば「土壁」とよばれます。

左官職人の手作業で仕上げられる工法は「左官工法」とよばれたり、サイディングなどに使われる乾式工法(かんしきこうほう)に対して「湿式工法(しっしきこうほう)」とよばれたりもします。

住宅の外壁に使われる塗り壁の仕上げ工程には、漆喰や土を使用したものやモルタルを使用したものがあります。また現在の塗り壁の下地はほとんどが木舞(こまい)をはる方法ではなく、代わりに石膏ボード(プラスターボード)が使われています。

※乾式工法と湿式工法の違いについては、次の項目「塗り壁の工法」でお話します。

※石膏ボードとは・・・
石膏ボードとは石膏をしん材に、両面を石膏ボード用の特殊な紙で覆い板状に成形したものです。家づくりで使う石膏ボードは、基本的には、2枚の紙の間に水で練った焼き石膏を流し込み、板状に固めて建築材料として使われます(石膏とは、硫酸カルシウムを主成分とした物質です)。

塗り壁の工法

家づくりにおいて、外壁を形成する方法は「湿式工法」と「乾式工法」がありますが、塗り壁では「湿式工法」が使用されます。

湿式工法とは

湿式工法(しっしきこうほう)とは、モルタルや土壁などの材料を、作業現場で水を混ぜ、材料が乾かないうちに壁をつくっていく方法です。湿式工法は天候に左右されるほか、塗りつけてから乾燥させたり落ち着かせるための養生期間が必要となるので、工期が長くなるという特徴があります。

また湿式工法は、サイディングのように、予め成形されたボードをはり付けていく方法ではないため、職人の知識や経験などによる技量に左右されやすい特徴があります。

乾式工法とは

乾式工法(かんしきこうほう)とは、工場であらかじめ生産されたパネルや合板などを作業現場に運び、現場で壁に取り付ける工法です。乾式工法の現場では、主に予め生産されたパネルを張り付ける方法をとるので、天候に左右されづらく湿式工法のように塗ってから、乾燥させたり落ち着かせるための長期的な養生期間が必要ないため工期を短くできる特徴があります。

また乾式工法は、塗り壁のように、職人の技術に左右されることが少なく、マニュアル通りに施工すれば一定の品質を確保できる特徴があります。

※コラム:住宅業界における「湿式工法」と「乾式工法」の傾向

住宅業界では現在、予め工場で生産されたパネルを外壁にはっていく乾式工法が主流となっています。こうした外壁が主流となっている理由のひとつとしては、天候に左右されやすい現場作業を極力減らすことで工期を短縮できるメリットがあるからです。
また、工場で予め生産されたパネルを使うことで品質を安定させることができるほか、マニュアル通りに施工すれば、そこまで大きく職人の技量の差があらわれないことによります。

何故、塗り壁なのか

塗り壁を選ぶ理由は人それぞれですし、様々な理由があるかと思いますが、塗り壁の中でも特に自然素材を使った左官職人による塗り壁を選ぶ方は、経済性や利便性よりも、そのずっと奥にあるものをみて選択される方が多いように感じます。

例えば、自然素材を使った暖かみのある壁に価値を感じていたり、健康志向であったり、それぞれが持つ機能性の面で言えば広い意味での耐火性や、素材が持つ作用である吸放湿性からくる調湿性だったり、塗り壁ならではの人の手作業による意匠性に価値を感じたりと、本当に理由は様々だと思います。

現代の日本人の5%が建物に使われる石油を使った建材や、化学素材によるシックハウス症候群、もしくはシックハウス症候群予備軍とも呼ばれていますから、健康面を気にして塗り壁を選ぶ人もいるでしょう。

シックハウス症候群は、花粉症のように突然発症されるものと言われており、人によってはそこにいるだけで頭痛を引き起こしたり、吐き気、せき、めまいやイライラ、ぜんそくやアトピーを引き起こしたりするといわれており、住まいにおいて健康を左右する重大なことです。

自然素材を使った塗り壁には、これらの原因となる物質を吸収し分解する作用がありますから、これらの症状を防ぐ、またはやわらげることが出来るとされています。特に内装に使われる場合その影響を直接受けることになるので、自然素材の塗り壁を選ぶということは、住宅の外壁として塗り壁を選ぶのとは、また意味と理由が違ってくるかと思います。

塩化ビニールクロス、ならびに塩化ビニールクロスを張る為の接着剤にもホルムアルデヒドなどのVOC数百種類が含まれており、部屋の中に常に揮発して漏れだしていると言われていますし、今現在主流の住宅には経済性を追求するあまりに様々な問題があらわれてきています。

また化学建材などの化学物質を使っていると火事などの際にも有毒な物質を発生させます。最悪のケースでは、火事で家が燃えた時にこれらの化学物質から漏れ出る有毒な物質により意識が奪われ、本来逃げられるはずの場所から逃げることが出来ずに亡くなってしまうこともあります。

一方で、多くの自然素材による塗り壁には調湿性があるため、部屋の空気や室内を快適に保ってくれます。人間に取って有害な菌も壁の呼吸により、吸着し取り除いてくれますから、快適に過ごすことが出来るようになります。

またそうした機能性だけではなく、塗り壁でしか味わうことの出来ない意匠性も、注文住宅で家づくりを進める際、塗り壁を選択する理由のひとつとなるのでしょう。例えば、そこにはサイディングなど他の外壁材では表現できない、ぬくもりと凛とした趣があります。

そして、不思議なことに、それらはみているだけで私たちの心を落ち着かせてくれる不思議な作用があります。

※シックハウス症候群については厚生労働省の「健康な日常生活をおくるために:シックハウス症候群の予防と対策」をご覧頂くと内容を良く理解して頂けると思います。

塗り壁の選び方

ひとことで塗り壁と言っても、実に様々な種類の塗り壁があります。

例えば、これからお話する、土壁による塗り壁、漆喰による塗り壁、モルタルによる塗り壁からはじまり、それぞれの工法で色を変えたり、磨きをかけたり、質感を変えたりと言った、それぞれに表情豊かな塗り壁を表現することが可能です。

また、今回話す塗り壁は外壁材としての塗り壁が主ですが、内壁に使う塗り壁を加えると、それこそ数えきれないほど無数のパターンがあります。

そうして塗り壁をみていると、いざ注文住宅で家づくりをする際、どんな塗り壁にしようか迷ってしまいそうですが、塗り壁を選ぶ際には何を基準にして、塗り壁に何を求めて選ぶのかを知ることが、塗り壁を選ぶ際のひとつの目安になると思います。

具体的に言うと、塗り壁を選ぶ際には、5つの事項が価値判断基準となります。1つは見た目としての「意匠性」、2つ目は「機能性」、3つ目は「価格面」、4つ目は「健康面」、そして最後の5つ目は「心理性」にあたります。

それぞれの価値観弾基準を下記に詳しくお話していきます。

塗り壁の選び方1:意匠性

塗り壁は、素材により、様々な質感や、表情、また模様を作ることが出来ます。細かく見ていくと、塗り壁に使用する素材を何にするかによって、模様の付け方、意匠の凝らし方は違い、どのような表情の壁に仕上げたいのかによって、塗り壁として使用する素材が、ある程度決まって来ます。

土の暖かみをダイレクトに表現した土壁にしたいのか、つるっとした仕上げの漆喰壁がいいのか、凹凸を残して、自然な壁の表情を好むのか、それとも、大津磨きにみられるように、顔が映るくらいピカピカな表情の磨き壁に仕上げたいのか・・・など。

塗り壁に使用される素材によっては、壁に表情を付けるなどのパターン仕上げできないものもあるので、それぞれの好みで判断し選択することが塗り壁のひとつの価値判断基準となります。

塗り壁の選び方2:機能性

塗り壁は、意匠性だけではなく、機能性も選択する際の判断基準になります。

つまり、多少は寒くても、できるだけ自然素材に囲まれてやわらかくもあたたかい居心地の良い住宅環境が良いのか、それとも、そうはいうものの、断熱性や気熱性などできるだけ優れたものが良いのか。

また調湿機能がある素材が良いのか、それとも出来るだけ耐久性の高い壁を最優先したいのか、自然に朽ちていくように経年変化により汚れていくような味がある壁がいいのか、はたまた台風が多い地方なので雨風に強い外壁が良いのかなど、それぞれの住宅環境や好みによって判断し、選択することが大事です。

塗り壁の選び方3:価格面

塗り壁は、素材やパターンの付け方により大幅に価格が変わります。一般的には、伝統的な工法にこだわればこだわるほど、高くなり、さらに手間をかける工法を選択すればするほど、それに応じて金額は高くなります。理由としては手間がかかる分、材料代や人件費などを含む工事費が高くなるからです。

現代は、なんでも誰でも簡単に手軽に、安全かつ安定して、安く施工できる素材や施工方法を求めますが、塗り壁は本来の伝統的な方法に立ち返りこだわるほど、左官職人としての技術が要求され、また施工できる職人が限られたり、自然の力に任せるので時間がかかったり、素材が手に入りづらかったりするので、それに応じて価格は高くなります(逆を言えば、それがこだわりとなり味になります)。

対してこだわりがないのならば、比較的安価にすることも可能ですが、それに伴い耐久性や機能性などは悪くなる傾向にあります(塗り壁として使用される素材にもよります)。

塗り壁の選び方4:健康面

塗り壁は、呼吸をする素材です。それぞれの素材により違いはあるものの、塗り壁には無数の穴や隙間があり、それにより吸放湿しています。しかし、壁の呼吸をふさぐ樹脂製の糊などを使うとその穴が塞がれ、本来の機能を著しく損なってしまいます。

塗り壁には、調湿性能によって健康を維持してくれるのはもちろん、多孔質素材ならではの自然な消臭効果など、あくまで自然に寄り添うように私たちの体を健康に保ってくれる作用があります。

近年の家の構造は、断熱性や気密性を重視する傾向にありますが、通気性が悪くなり、空気がうまく循環せずに室内に滞留し、結果、湿気による結露が生じたり、カビが発生したりしてしまいますが、自然素材を使った塗り壁はあくまで自然に住まいの環境を保ってくれます。

また、化学的な物質や不用意に性能を高めた家は、シックハウス症候群により、目や喉の痛みを訴えることがありますが、多くの塗り壁は「シックハウス症候群」の原因となるホルムアルデヒドやアンモニアなどの有害物質を吸収し、空気を浄化する自浄作用もあります。

健康面の価値観を重視するのであれば、化学物質や接着剤が使われている素材よりも、自然素材を使う塗り壁にするという判断になると思います。

塗り壁の選び方5:心理性

塗り壁を語る上で心理性を外すことはできません。塗り壁の心理性とは、例えばそれは数値で表すことの出来ない、塗り壁ならではの快適性です。例えば、何故か塗り壁の部屋にいるとホッとするとか、安心できるとか、暖かい感じがするとか、やわらかい気持ちがするとか、そうした心理的な要素のことです。

塗り壁特有の味わい深い表情や、伝統的素材である天然の土や砂、そして歴史を紡いできた職人の手作業など、様々な要因が織りなす世界にひとつだけの壁が出来るというのも、塗り壁ならではの味わいだと言えます。加えて、自然素材ならではの機能性も忘れてはいけません。

また味わい深く古びていく特性や、伝統美溢れる壁をつくることが出来る点も心理性のひとつと言えると思います。

注文住宅で快適な間取りにするコツについては「家族が快適に暮らせる、心地いい間取りの家をつくる11のポイント」をご覧下さい。

塗り壁のメリット

まず一般的に言われる塗り壁のメリットからお話します。

塗り壁のメリット1:表面に自由な模様をつくることができ意匠性が高い

塗り壁は職人さんの腕次第で自由に模様をつくることが出来ます。また左官鏝(さかんごて)を使い、表情豊かな壁をつくることが出来るため、文字通り、世界にひとつだけの壁にすることが可能です。

塗り壁のメリット2:時間が経つにつれて味のある壁になる

塗り壁は、工法や素材によりますが、時間が経つにつれて、塗られた当初にはみられないように味わい深く朽ちていきます。数ある壁の中でも塗り壁を選択するひとつの理由として、時間が経つにつれて、趣のある壁に変化する、経年変化がひとつの楽しみ方です。

塗り壁のメリット3:外壁が錆びる心配がない

塗り壁は、金属製品と違い錆びることはありません。またメンテナンスをし続けることで、サイディングのような張り替えの必要がなく快適に過ごすことが出来ます(外壁の塗り替えは必要です)。

塗り壁のメリット4:繋ぎ目がなくシーリングのメンテナンスが不用

塗り壁はサイディングやタイルのように壁に張り付けていくタイプの外壁ではなく、壁に塗っていくタイプの外壁なので繋ぎ目がなく全体がシームレスにつながっています。

また塗り壁には繋ぎ目が必要ないので、多くの場合は、シーリング材を使う必要がなくシーリングの塗り替えなどのメンテナンスが必要ありません。

※ただしシーリングを使う塗り壁や、それに伴いシーリングのメンテナンスが必要な塗り壁もあります。また、繋ぎ目がある塗り壁もあります。

塗り壁のメリット5:和風の外観でも洋風の外観でも相性がよい

塗り壁は和風でも、洋風でも住宅を選びません。和風であろうが、洋風であろうが、おさまりのよい外壁に仕上げることが可能です。

塗り壁のデメリット

続いて、一般的に言われる塗り壁のデメリットの話をします。

塗り壁のデメリット1:工期が長くなる

塗り壁は、現場塗装のため、仕上がりは現場の天候に大きく左右されます。また多くの外壁材で用いられるように工場で部材を完成させるものではなく、ほとんどが現場作業なので、その都度対応は変わるため、工業規格のように品質も一定ではありません。

塗り壁のデメリット2:コストが高い

塗り壁は工賃のほか、素材にこだわればこだわるほど、総じてコストが高くなります。

塗り壁のデメリット3:職人の技術に左右される

塗り壁は、一般的に手がける職人の経験や知識などを含めた技量に大きく左右されます。また施工会社によって、こだわりも違い、素材の選び方から、塗り付け方なども違い細かく言えばキリがありません。

塗り壁は、相性の良い職人さんに出会えるかが問題のひとつとなります。

塗り壁のデメリット4:地震などの衝撃でひび割れが起きることがある

塗り壁は一般的に衝撃に弱いです。ただ、壁が崩れることによって、衝撃をやわらげ建物が崩れるのを防いでくれる役割も果たしています。また塗り壁の欠点は、ひび割れだけではなく、表面が剥離することで耐久性を著しく損なってしまうこともあります。

塗り壁のデメリット5:ひび割れから劣化がすすみやすい

塗り壁だけに限りませんが、塗り壁は特に、外壁のひび割れから雨水などが侵入することで劣化が進行しやすい壁です。外壁の点検やメンテナンスを怠っていると、ひび割れに気がつかず、気がついた時には建物に甚大なダメージを与えていることも多いので、外壁の定期的なメンテナンスをする必要があります。

塗り壁のデメリット6:窓の縁など一定の場所において汚れやすい

塗り壁は特に、外壁の窓の縁など一定の場所に置いて汚れやすくなります。特に外壁に樹脂系の塗料を使った塗り壁ですと、外壁の汚れ方は汚くなってしまいます。

注文住宅の窓については「注文住宅の窓で失敗しないために抑えておきたい21種の窓と配置のコツ」を合わせてお読みください。

外壁としての塗り壁の種類1:土壁

土壁とは

塗り壁の最後の上塗りを「水」と「藁(わら)」を混ぜた「土」で塗り、仕上げた壁を「土壁」といいます。

土壁の原料

土壁の原料は主に、土、水、スサ(藁や葦、麻など)それに砂です。

土壁の特徴

土壁は日本古来から外壁や内壁の材料として使われてきた伝統的な壁です。土壁は自然な温熱環境をつくることに適していて、日本の気候風土にあった家をつくることが可能です。

その中でも一番の特徴は土壁の持つ、調湿機能です。土壁には夏場のジメジメと湿った状態の時は、水分を壁の中に取り入れ、逆に冬場のカラッと乾燥した時には、水分を吐き出す湿度調整機能があります。(人間が快適に感じる湿度は40%から70%といわれています)

古民家ではよく土壁の外壁がみられますが、現在では新築の住宅で土塗りの外壁が使われることはほとんどなくなっています。ただし、土壁の持つ独特な雰囲気は、他の壁とは比較にならないほど味わいがあります。

※調湿性があるとは・・・

調湿とは簡単に言うと水分を吸い込む吸湿と水分を放出する放湿をバランスよく行なう機能のことです。湿気があるときは吸湿し、乾燥しすぎるときは放湿してくれる機能があることを調湿性があるといいます。

理想の調湿性機能のある塗り壁とは、人間が快適に感じる湿度が40%から70%だということを考えると、湿度が80%など高い時ほど多く吸湿し、50%近くになると吸湿を抑え、40%を切ったら放湿してくれる塗り壁のことです。

土壁の伝統的工法の工程

1:小舞掻きと荒壁つけ

壁の間の空いているスペース(穴が空いている部分)には土は乗らないので、まず、柱と柱の間、貫と貫の間に、竹を細かく格子状に編みつけた竹小舞(たけこまい)を柱の間に編みつけます。

その上で、外側から藁や麻スサなどを混ぜた練り土を、小舞に馴染むように塗っていき(荒塗り)荒壁をつくります。

そうして荒壁をつくったら、次に充分に乾燥させひび割れを起こさせます(片側だけ塗って乾燥させずに、そのまま追っかけて裏側を塗ってから乾燥させる方法もあります)。

乾燥させたら裏側からも先ほどと同じ練った土を、通し貫を土壁で挟み込むように塗っていき、同じように乾燥させます(裏返し塗り)。壁の表も裏も、土が薄くなる貫周辺部分は、藁やシュロ、麻布などを当てて粘土で伏せ込む「貫伏せ」という作業をします。裏面も塗ったら、この段階で土壁が初めて耐力壁となります。

2:大直し

土は乾くと収縮を起こし表面がひび割れるので、この後の中塗りと仕上げ塗りに支障が出ないように、先ほどの荒壁土に砂を混ぜて、ひび割れや柱と梁とのチリ切れに塗り込んでいきます。(この工程は省略されることもあります)

3:中塗り

続いて地域によって差はありますが、土にさらに砂を混ぜて粘土質を和らげ、粘性度を調整した土に、荒塗りのときと比べて細かいスサと水を加え、良く練り中塗り土をつくっていきます。

そうして出来た中塗り用の土を、乾燥してひび割れた荒壁の上からヒビを埋めながら塗っていきます(大直しをしている場合はその上から塗ります)。この工程では、先ほどの荒壁付けで荒壁を作った時に塗られた土の乾燥状態で、土の付着具合が変化します。

4:仕上げ塗り

さらに中塗り面が乾いてから、表面を仕上げるための仕上げ塗りとして通常は「上塗り」を行い表面を仕上げていきます。

仕上げ塗りでは漆喰や色土などを塗り仕上げていきます。仕上げの工程ではあえて荒壁のようにみせる荒壁仕上げや、中塗り仕上げから磨きをかけて光沢を出す方法もあったりと方法は様々あります。

中塗りが終わった段階で仕上げることも可能で、中塗りだけで終えた場合、中塗り仕上げと言います。中塗りで仕上げた場合でも、充分に土の持つ雰囲気を味わうことの出来る土壁をつくることが出来ます。中塗り仕上げの場合、将来的に仕上げ塗りをすることも可能です。

小舞(こまい)で編み込まれた土壁を使わずに、下地に石膏ボードをはり下地を作った上に漆喰などを塗ったり、表面を土壁風にみせる左官仕上げの内装もありますが、本来の土壁は以上のような工程でつくられます。

※土壁のさらに外に壁をつくることで土壁を保護したり、土壁と外壁との間に断熱材を入れ、断熱性を高める方法もあります。

中塗り仕上げについて

中塗りとは、仕上げ工程である上塗りの前の工程ですが、ここで仕上げる塗り壁の仕上げ方を「中塗り仕上げ」と言います。仕上げ前の工程でとめるということもあり、中塗り仕上げを行なうには、しっかり施工することが必要となります。

中塗り仕上げは、普通の上塗りをすることが前提とする中塗りとは違い、見せる為の中塗りが必要となるので、中塗り仕上げに使う原料である「土」「砂」「藁」を普通の中塗りよりもバランスよく配合し、塗り壁として美しく見せることが必要になります。

ただ、中塗り仕上げで仕上げておいて、数十年経った後に仕上げ塗りをすることも可能なので、そのように土壁を楽しむことも、土壁の持つ魅力のひとつだと思います。

ただ、中塗り仕上げは、外壁にはあまり向かないと思います。理由としては、外壁は天候など自然の雨風を耐える強度をたもつことが出来なければ朽ちていってしまいまうので、外壁は絶えずそうした過酷な環境に置かれるため、一般的には耐えることができないと考えられるからです。

ちなみに昔は中塗りをしてから2・3年乾かし、木舞として使われる竹や木と、土の収縮が落ち着いてから仕上げ塗りがされていたそうです。

土壁撫で物仕上げについて

撫で物仕上げ(なでものしあげ)とは聚楽(じゅらく)土を含む色土を使って、鏝(こて)で撫で上げる仕上げの総称をいいます。

ここでは簡単に撫で物仕上げについて説明していきます。

1:切り返し仕上げ

切り返し仕上げとは中塗りをした後に、完全に乾燥させずに水分を少し含んでいる状態で上塗りをする仕上げ方です。切り返し仕上げは、壁の表情としては中塗り仕上げほど荒っぽい印象は受けませんが、土と藁と砂の表情が、壁にしっかりあらわれるので豊かな仕上がりになります。

2:糊捏ね仕上げ(のりごね しあげ)

糊捏ね仕上げとは、海藻糊を炊いて糊の成分を抽出し、色土と細かい藁スサ(微塵スサ)、微塵砂を練りまぜた材料を使い、薄く壁の表面を仕上げる仕上げ方のことをいいます。※材料に糊を混入しているため外壁に使用することはできません。

糊捏ね仕上げは、壁の表情としては薄塗りなので施工性も高く静かな雰囲気になるものの、耐用年数は短くなります。

3:水捏ね仕上げ(みずごね しあげ)

水捏ね仕上げとは、土と砂(微塵砂)とスサ(微塵スサ)、それに水を加え練っただけで作られたシンプルな材料の土壁ですが、土壁の中でも最高級の仕上げと言われています。(本来の水捏ね仕上げでは糊は使いません)

水捏ね仕上げで仕上げた壁の表情は、上品で繊細でありつつも、独特な風格がうまれ、高級料亭をはじめ、数寄屋造りの家や茶室などでも使用されています。

※本聚楽(ほんじゅらく)とは・・・

京都にある聚楽第(じゅらくだい)で採取された本聚楽土(ほんじゅらくつち)を使用して、糊捏ねや水捏ねで仕上げる左官工法のことをいい、いわゆる本来の伝統的な原料を使い、糊捏ねや水捏ねなどの工法で仕上げた塗り壁の総称を言います。

4:糊差し仕上げ

糊差し仕上げとは、水捏ね仕上げの材料にちょっとだけ海藻糊を足した材料を使った仕上げ方です。

糊差し仕上げの壁の表情としては、水捏ね仕上げに近くなります。

5:砂壁

砂壁とは、本来は砂を多く、藁スサを少なめにした材料で壁に塗り付け、撫で上げ仕上げをした塗り壁の仕上げ方を言いますが、現在は樹脂と砂を混ぜ合わせた材料のことをさすことが多くなっています。

砂壁の表情としては、砂のざらざらとした質感が壁に浮き上がり、凹凸のある優しい表情に仕上がります。

6:引き摺り仕上げ(ひきずり しあげ)

引き摺り仕上げとは、主に茶室や、数寄屋造の家に使われ、引き摺り鏝という舟形の特殊な形状の鏝を使い、鏝を引摺ることで表面に繊細で微妙な凹凸を付けていく仕上げ方を言います。

引き摺り仕上げの壁の表情としては、ぽつぽつと壁から滲み出る凹凸のある表情が、柔らかな質感を生み出し、深みのある壁に仕上がります。

7:長スサ散らし

糊捏ねと水捏ねを壁に塗り付けたすぐ後に、長いスサを壁に投げつけることでわらの表情を壁に浮き出させ、撫で上げて仕上げる塗り壁の仕上げ方です。

壁の表情としては、投げつけられた長いスサがそれぞれに、表情を浮かび上がらせ、動きのある壁に仕上げることが出来ます。

大津壁について

大津磨き:黒大津

大津壁とは土に少しの石灰とスサを混ぜ合わせた材料を壁に塗り、鏝で押さえて表面の高度を高くし硬く堅牢に仕上げる工法、もしくはそうしてできた壁のことを言います。

もともと大津壁は滋賀県でうまれたものとされており、江州白土と呼ばれる滋賀で採れる良質の土を採取し、原料がつくられていました。

江州白土は粘りが強すぎるため、土壁の撫で物仕上げには不向きでしたが、白土の強度を活かして壁に塗ることで強い大津壁として全国に広がり、いわゆる大津壁の仕上げとして好んで使用されるようになっていきました。

泥大津壁

泥大津壁

大津壁にはグレードがあり、下から順に泥色をした土を使った泥大津、色土に石灰を混ぜた並大津、鏡面に仕上げた大津磨きがあります。

泥大津とは、田んぼの土などの泥色の土と石灰を混ぜ合わせた材料で壁に塗り付け、鏝で押さえ仕上げた壁のことを言います。泥大津は、もともとは通常の土壁よりも強度が求められる壁に使用されていた土壁です。

並大津とは、黄土や赤土、浅黄土、黒土、白土などの色のついた土(色土)と石灰を混ぜ合わせた材料で壁に塗り付け、鏝で押さえ仕上げをした壁のことを言います。色土を使用しているため、見た目が鮮やかで泥大津よりも高級な仕上げです。

並大津壁

大津磨きとは、大津壁を磨き顔が映るくらい鏡面に仕上げた磨き壁のことをいいます。基本的に色のついた土で壁に塗り付け色を楽しむ仕上げで、弁柄(べんがら)を混ぜ合わせた赤大津や、油煙(ゆえん)をを混ぜ合わせた黒大津などがあり、南部鉄器(なんぶてっき)のように凹凸をつけた大津磨きの鉄壁と呼ばれる磨き壁もあります。

近年では大津磨きによって、表面に顔が映るほどピカピカになる壁の美しさが見直され、高級ではあるものの、大津壁の大津磨きの壁を、家の一部(居間の一部や玄関など)に使用する方も増えてきたと言われています。

土壁の注意点

土壁は、都心部では防火や耐震の面で、建築確認申請を通すことが難しくなっていますので、土壁を外壁に採用したくても採用できないこともありますので事前に確認することが必要です。

土壁のメリット

土壁のメリット1:土壁は日本の気候に適している

土壁は高温多湿な日本の気候に大変適した素材です。湿度が低いと放湿し、湿度が高いと吸湿する機能が土壁にはあり、室内に使われる場合は特に、室内を快適に保ってくれます。

土壁のメリット2:体感として夏は涼しく冬は暖かく快適に感じる。

土壁には断熱性は期待できませんが、不思議なことに土壁は体感として、夏は涼しく冬は暖かく感じます。同じ温度でも土壁で出来た室内にいると、居心地がいいことに気がつきます。

これは体感としての快適さは室温等の数値で表すことが難しく、様々な要素が絡んでいるためだと思われます。例えば、同じ温度であっても湿度が高ければ、それだけ蒸し暑く感じますし、カラッと乾燥していればそれほど暑く感じない、そのようなところに自然素材ならではのぬくもりや居心地、それに優しさが現れるのだと思います。

ただし気密性や断熱性は期待できないので、冬は寒く感じることも多いです。

土壁のメリット3:土壁には自然な調湿性能がある

土壁には、空気を調湿する機能があります。空気中の湿気が多いときは、壁内に水分を取り込み室内の湿気を吸い取り、乾燥しているときは壁内の水分を放出し放湿する機能があります。

ただし湿気を吸い込む量や、水分を放出する量には限界があるので、夏は適度に乾かすことが要求され、冬場の乾燥した時には加湿器などで適度に加湿をすることが大事です。

また、土の種類や壁に使われる素材によっても調湿性能は大幅にかわるので注意が必要です。

土壁のメリット4:存在感のある外観をつくることができる

土壁は意匠性に富んでいます。左官職人しだいで様々な模様に仕上げる事ができ、手仕事ならではの唯一無二の表情豊かな外観を作ることが出来ます。

左官職人次第で個性があらわれるのも土壁の大きな魅力のひとつです。

土壁のデメリット

土壁のデメリット1:断熱性は期待できない

土壁の大きなデメリットとして断熱性が期待できないことがあげられます。熱伝導率λ(ラムダ)で比較すると(値が小さいほど熱が伝わりやすく断熱性能が高い)、コンクリートが1.6に対し、土壁が0.69、天然木材が0.12、一般的な石膏ボードが0.22、断熱材が0.05〜0.02と言われていますから、いかに熱が伝わりやすいかがよくわかります。

熱伝導率が高いということは、つまり暖まった熱が外に逃げやすいことを意味します。※天然木材で比較すると土壁は5.75倍も熱伝導率が高いということになります。

また材料の厚さも評価する熱貫流率(U値)でみても土壁の断熱性は低い数値を示していることから、土壁に断熱性能は期待できないと言えます。

ですから寒さの厳しい場所では土壁は向きません。ただし断熱材を入れる土壁もありますので、断熱性能を高めることも可能です。

※熱伝導率と熱貫流率の違い
熱伝導率とは材料そのものの断熱性能を評価した数値のことで、
熱貫流率とは熱の逃げやすさをあらわす数値で、仕様(厚さなど)の断熱性能を評価した数値のことです。

土壁のデメリット2:耐震性能は期待できない

土壁には耐震性能がありません。もちろん全くないわけではなく、ある程度の揺れには耐えることが出来ますが、強い揺れだと壁自体が崩壊し、振動のエネルギーを吸収する作用があります。

ただし多くの場合は土壁が振動を吸収するので土の部分だけが崩れるだけで構造自体には問題がなく済みます。また、一度土壁についた土を取り除き、再度練り直し、剥き出しになった木舞(コマイ)に土壁を塗り込めば再利用できます。

それに対してコンクリート造などの場合は簡単には補修できず、コストはもちろん費用もかかります。そウ言った意味では、土壁は、再利用できますから、言い方を変えれば、土壁は再生できる耐力壁としての機能を合わせもちます。

土壁のデメリット3:気密性が低い

土壁はどんなに腕のいい職人が仕上げたとしても時間の経過と共に構造材の収縮や割れに耐えることが出来ず隙間がうまれます。隙間がうまれると気密性が悪くなりますから、すきま風が入り、冬場は特に寒く感じます。

外壁として土壁を使用するならば、これを補う方法としては、室内側に断熱工事を行なう「内貼り工法」があります。

※外側に断熱材と外壁を貼る方法は「外貼り工法」とよばれます。

土壁のデメリット4:工期が長くなり初期費用が高くなる

土壁だけでなく、塗り壁全体に言える話ですが、土壁をはじめ塗り壁は、塗ってから乾燥させる工程が含まれますから、壁に張り付けていくタイプの外壁(塗り壁)と比べ、必然的に工期が長くなります。

それに伴いコストも高くなる傾向にあります。

外壁としての塗り壁の種類2:漆喰(しっくい)

漆喰壁とは

漆喰壁とは、日本独自の壁で、消石灰と糊、またひび割れを防ぐために繊維くずの麻スサを混ぜて水で練り上げた原料を使って、塗り壁の最終工程を仕上げた、塗り壁仕上げの壁をいいます。

漆喰の原料

漆喰の原料は主に、消石灰、海藻糊(ツノマタ)、スサ(藁や麻)、水です。消石灰に糊材を混ぜ、水で練り合わせたものが日本古来から左官材料として使用されている漆喰です。消石灰の替わりに貝灰が使用されたものは貝灰漆喰とよばれます。また砂を混ぜれば砂漆喰となります。

※貝灰漆喰は姫路城の平成の大修理で使われた漆喰です。姫路城にはアカガイの貝灰漆喰が使われています。
※ただし現在は粘りを出す為の海藻糊の代わりに化学的な糊が使われていますし、スサも天然のものではなく化学繊維が使われたりしています。またメーカー製の既調合品である漆喰製品には粉末海藻糊、合成樹脂、メチルセルロース、ガラス繊維、ナイロン繊維、炭酸カルシウムなどが混入されていることがほとんどです。

漆喰と本漆喰

本漆喰とは本来の伝統的な方法で塗られる漆喰のことをいい、「炊き糊漆喰」とも呼ばれます。地方により様々ありますが、本漆喰の定義は「海藻糊を炊いて篩(ふるい)に掛け、液体に消石灰と麻スサを混入したもの」です。

本漆喰の原料

本漆喰の原料は3種類のみで「1:消石灰」「2:スサ(麻スサなど)」それに「3:海藻糊(角叉、布海苔、銀杏草)を炊いて抽出した液体」です。

本漆喰の原料であるスサについて

本漆喰で使用される原料のひとつであるスサは、主にマニラ、サイザル、ジュート、ケナフといった植物の繊維を使用します。昔は大麻(おおあさ)や苧麻(ちょま)、亜麻(あま)などが使われていましたが、現在では生産業者が限られており、漆喰の原料として使用することが難しい状況にあります(日本では手に入らなくなりつつあります)。

良質な強いスサを使えば、強い漆喰ができ、強い漆喰壁ができると言われていますが、現在では強いスサを作っている業者は、日本全国探しても少なくなってしまっています。

本漆喰の原料である海藻糊について

本漆喰の原料:角叉(ツノマタ)

本漆喰に使われる海藻糊は3種類で、地域によって使用されるものは異なりますが、主に角叉(ツノマタ)、布海苔(フノリ)、銀杏草(ギンナンソウ)です。

左官材料として使う為には醗酵させ寝かし熟成させることが必要で、角叉や布海苔だと1年、銀杏草だと三年の間倉庫で保管することが必要です。

長い期間をかけ、倉庫で保管することで醗酵を促し、繊維が破れることで糊の成分がでやすくなります。

粉末海藻糊について

粉末海藻糊とは、海藻糊を過熱処理した後に、乾燥させて粉砕処理した海藻糊のことをいいます。粉末海藻糊には化学的な薬品を多く混入したものが出回っており、扱う場合は、しっかりと見極める必要があります。

また海藻糊の代替品として、メチルセルロースという糊材がありますが化学糊のため、本漆喰では使いません。

漆喰と本漆喰の違いについて

施工後の見た目は素人目ではあまり変わらないかもしれませんが、長い期間を要すると一般的な漆喰には汚れが目立ってきたりと差がうまれてきます。

また、既調合品の漆喰製品と本漆喰のわかりやすい違いをいうのであれば、単純に強度が違います。本漆喰の方が価格は高くつきますが、その分壁としての強度が強くなります。

漆喰の原料である消石灰について

漆喰は消石灰(しょうせっかい)を主な原料にした塗り壁です。そのため、漆喰は、もともとは石灰岩や貝殻が原料です。

石灰岩が原料の消石灰の場合

1:石灰とは

石灰岩のおおもとは、珊瑚礁で、地殻変動などの影響で長い時間をかけ地表にあらわれ、岩石化したものが石灰岩と言われています。

石灰岩からは消石灰を作るには、まず生石灰(せいせっかい・きせっかい)をつくる必要があります。

2:生石灰とは

石灰岩の主成分は炭酸カルシウム(CaCO3)です。石灰岩を900度以上の高温で焼くと二酸化炭素(Co2)が放出され、酸化カルシウム(CaO)になりますがこれが生石灰です。

3:消石灰とは

最後に生石灰を水に反応させると、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)となり、漆喰の原料となる消石灰(しょうせっかい)となります。

ここまでの流れを簡単にまとめると、地表から採取された石灰岩を高温で焼くと生石灰になり、生石灰に少量の水を加えると消石灰になります。

貝殻が原料の消石灰の場合

1:貝灰とは(貝殻が原料の場合)

貝殻を原料とする貝灰の場合は石灰岩の代わりに貝殻(アカガイ、帆立、牡蠣など)を使用します。

2:生貝灰とは(貝殻が原料の場合)

貝殻を使う場合は、貝殻をしっかりと天日で乾燥させ800度以上の高温で焼きます。

3:消石灰とは(貝殻が原料の場合)

貝殻を原料とする貝灰の場合は水をかけて消化し、細かな篩(ふるい)をかけ不純物を取り除きます。不純物が取り除かれることで綺麗な白い貝灰が出来上がります。

おおまかな、工程は同じで「おおもとの原料を焼く▶︎生貝灰になる▶︎水を加える▶︎粉末消石灰になるです。

※貝殻を高温で焼いて作る貝灰の業者は、現在、日本全国で数えるほどしかいません。

油焼き消石灰と塩焼き消石灰

もともとは石灰岩の消石灰には、重油などの燃料で作った「油焼き消石灰」と、昔ながらの製法で作った「塩焼き消石灰」があります。ただし、貝殻を使った消石灰である貝灰の場合は、海の塩を含んでいるためそのまま焼き上げます。

油焼き消石灰

油焼き消石灰とは、重油を使って石灰岩を高温で焼き上げ、自動機械の使用で大量生産をした消石灰のことをいいます。特徴としては粒子が細かく均一であるため、左官材料としては不適切で、漆喰の原料を作って壁に塗った時にクラックが出やすくなってしまいます。

※左官材料に使う漆喰の場合は、粒子が不均一の方が扱いやすくなります。

塩焼き消石灰

塩焼き消石灰とは、石炭と少量の塩を使って石灰岩を低温でじっくりと焼き上げ出来た消石灰のことを言います。特徴としては粒子が不意均一なので、左官材料としては適切で、漆喰の原料を他の材料と混ぜて作り壁に塗った時にクラックが出にくくなります。

貝灰について(貝灰の特徴)

アカガイや牡蠣などの貝殻からつくった貝灰は、特徴として不純物が多く粒子が不均一です。そのため、左官材料としては、非常に優れていますが、石灰石を原料とする消石灰と比較すると価格が非常に高価です(生産に非常に手間がかかるため)。

価格が高い理由などにより売れず、そのため、貝殻を原料とした消石灰である貝灰をつくる業者は減少し、現在手に入りづらくなってしまっています。

漆喰壁の歴史

漆喰壁の大きな特徴は白く滑らかな仕上がりです。漆喰壁の表面は硬質で鏡のように滑らかなで、その意匠性の高さから神社仏閣や町民の土蔵などに使われるようになっていったと言われています。

また、現在の日本での漆喰工法が確立され、一般的な住居で使用されはじめたのは、江戸時代に建物の防火対策として裕福な商人屋敷や土蔵、神社仏閣の土壁の表面に、仕上げ材として塗られたことがはじまりと言われています。戦国時代には、漆喰は優れた防火性と耐久性からお城の壁などに塗られ、重宝されていました。(漆喰自体は、古くは飛鳥時代の壁画に使われていたと言われています。)

世界的に見ると、今から5千年前のエジプトのピラミッドの壁に使われたのが漆喰の起源だと言われています。古代ギリシャやローマ時代の建築物、アクロポリスの神殿やポンペイの遺跡などでも漆喰が使われていましたが、絵の具を石灰に染み込ませて壁を装飾する手法として使われていたようです。

中国の万里の長城では壁を繋ぎ合わせる為の接着剤として漆喰が使われていたとも言われています。

漆喰壁の特徴

もともとの日本での漆喰壁は、木舞によって編まれた下地に、下塗り、中塗りと土壁を塗っていき、最後の仕上げとして、土で塗られた土壁の表面に薄く漆喰が塗られていました。

そのため壁全体で調湿していた為、吸湿性にすぐれ、湿度調整機能も持ち合わせていたと言われています。つまり昔の漆喰は土壁とセットであったため湿度調整機能があるとされてきました。

しかし現在の漆喰は、上記のような方法で出来た土壁の上に塗るわけではなく、吸湿性のない石膏ボードを下地に、下地処理をし、仕上げ材として漆喰を塗っていますから、言われているほど調湿機能は期待できないと思います(石膏ボードを使うと厚く塗れません。せいぜい1mmから2mmが限度です)。

※ただしここでいう漆喰は純粋な漆喰、つまり本漆喰のことをいっています。今は調湿成分が混ぜ込まれた漆喰もありますから、調湿性能のある漆喰もあると思います。ですから、ここで話している漆喰は、それとはまた別の漆喰と考えてください。建材の調湿性能の基準については下記の赤枠で囲った注意点を参考にしてください。

※JIS規格により調湿する建材には決まりがあります。
JIS規格ではJIS A6909という試験方法が定められています。JIS A6909を簡単に説明すると、1㎡の大きさの試験体が湿度90%、温度23度の湿った空気の部屋の中で24時間の間に、何gの水蒸気を吸収する力があるのかを測定します。測定後に試験体が何g増えたかによって、どれくらいの水分を吸い込んだのかを計ります。

また次に、1㎡の大きさの試験体が湿度45%、温度23度の乾いた空気の部屋で24時間の間に、何gの水蒸気を放湿する力があるのかを測定します。測定後試験体が何g減ったかによってどれくらいの水分を吐き出したのかを計ります。

これを何度か繰り返すことで建材の調湿性能をはかり、JIS規格では調湿量が70g以上の性能がないと調湿建材としては認めないことになっています。詳しい試験方法などについては「JIS A 6909:2014 建築用仕上塗材」をご確認ください。

漆喰が塗られた、漆喰壁は長い時間をかけて空気中の二酸化炭素(炭酸ガス)を吸収して年々硬くなり長期間をかけゆっくりと元の石灰岩に戻ります。つまり施工してから時間が経つほど漆喰は強度を増し、強く頑丈な素材になっていきます。

日本では意匠性の高さと、耐火性、耐久性にすぐれていることから、建物の土壁の表面に漆喰という組み合わせが広く使用されてきました。昔は土壁と一緒に壁に塗ることで、湿度を適度に調節し、湿気を室内に溜め込まず、室内を一定の湿度と気温にたもつことができたとされています。また、それだけではなく、漆喰特有の表面のつるっとした質感と肌に馴染む色合いが、住む人の気持ちを落ち着かせ、快適に過ごすことが出来たようです。

漆喰には色土や顔料を混ぜ込み色を付けたものもありますが、白色が基本です。白色以外の「色漆喰」は、漆喰の原料に顔料などの色粉を混ぜてつくるのですが、施工が難しく、色むら等があらわれやすいため、塗れる職人が限られます。「色漆喰」を綺麗に仕上げる為には、天候など様々な条件が揃わなければ綺麗に塗ることは出来ません。また「色漆喰」は色のバリエーションがそれほど多くはありません。

色漆喰は左官職人の熟練した技術が必要で、それに伴い価格が高くなるため、一般の住宅に使われることはほとんどありません。

漆喰壁の誤解

以上のことからもわかるように、本漆喰はもともと、防火性や耐久性、意匠性の高さから人気が出て発展していったもので、調湿性などの利便性から広がっていったものではありません。

もちろん調湿性がまったくないわけではなく、あくまでJIS規格に定められた方法で測定した結果としての基準に達していないだけで、ある程度は調湿します。ただそれが実感として感じられるかはまた別問題です。

また漆喰の原料である消石灰は目に入ると失明の恐れがあるほど危険性の高いものです。施工段階の漆喰は水と反応することで、強アルカリ性になるので素手で作業すると皮膚を著しく傷めてしまう恐れがあるので注意が必要です。

また漆喰は自然素材であり、空気中の二酸化炭素と結びつくことで強く頑丈になることから、エコな素材であるということをたまに耳にしますが、これは一方で見れば正しく、ただし見方を変えれば間違った考えです。なぜなら漆喰の原料となる石灰岩を生石灰にする際に900度以上の高温で焼く必要があるからです。

高温で焼くにはそれなりの燃料が必要になります。そして、焼いた時には当然、大量の二酸化炭素が排出されます。ですから漆喰自体はエコな素材であろうとも、一概に漆喰はエコな素材とは言い切れない現実があります。

また漆喰は壁に塗るときは水と反応し強アルカリ性になるので黴びない素材であるとか、だから空気中のウイルスを退治する抗菌作用があるといいますが、これも誤解のひとつです。

確かに施工直後の漆喰壁は強アルカリ性で、抗菌作用があるかもしれませんが、空気中の二酸化炭素と結びつくことで徐々に中性化していきます。

漆喰壁のカビ

さらに漆喰壁はカビないと言われる方もいますがこれも大きな誤解です。漆喰壁の原料は消石灰で、消石灰にはカビは生えませんが土ぼこりと雨水があれば、それがカビの温床となりカビが発生します。(もちろんカビないと言われている金属系サイディングでも、条件が揃えばカビます)

漆喰は自然ならではのやさしい白が特徴の壁であり、壁の質感がつるっとしており見るものを和ませる効果があり、さらに気硬性があるため時間が経つほどに強く頑丈になり、火にも強く燃えにくい防火性があり、ちょっとした湿度調整機能がある壁なのです。

※もちろん漆喰でも、仕上げの工程で模様などのパターン仕上げをすることも可能です。

外壁に使われる漆喰壁の仕上げの種類

外壁に使われる漆喰壁の仕上げ1:漆喰押さえ仕上げ(漆喰 硬押さえ)

漆喰壁と言えば、まず連想されるのが漆喰押さえ仕上げ(漆喰 硬押さえ)により塗られた壁と感じられるほど、最もスタンダードな漆喰左官仕上げの一つです。

表面がつるっとした、静謐ながらも、どっしりと構えた迫力のある壁が漆喰押さえ仕上げ(漆喰 硬押さえ)による壁です。左官仕上げの方法として言えば、漆喰押さえ仕上げ(漆喰 硬押さえ)とは、漆喰を壁に塗り、鏝で何度も押さえ艶消しをして仕上げます。

鏝で何度もおさえることで壁面に塗られた漆喰に含まれる空気をぬき密度を上げることで表面の高度が非常に硬くなり強い壁にすることが出来ます。

漆喰押さえ仕上げは簡単なように見えて高度な技術が必要な左官仕上げのひとつで、技術を持ち合わせていないと、平面に塗ることが出来ず、すぐに凹凸が出来てしまいます。さらに技術だけではなくて、道具、材料も大事です。しっかりとした左官の腕、塗りに適した鏝、そして適切な材料が揃ってはじめて綺麗に壁に塗ることが出来ます。

また下塗りだからといって手を抜けば、いくら丁寧に上塗りを塗っても乾くとムラが出来てしまい、綺麗に塗れず部分的にテカりやムラが生じてしまったり、鏝を通すタイミングが悪いとムラになってしまったり、シンプルであるがゆえに非常に難しい左官仕上げです。

外壁に使われる漆喰壁の仕上げ2:漆喰磨き仕上げ

漆喰磨きとは、漆喰を硬度のある磨き鏝を使い磨き続けることで、顔が映り込むくらい鏡面に仕上げる左官工法のことを言います。漆喰磨きは伝統的な左官技法のひとつでそのほとんどが秘伝とされてきました。そのため、漆喰磨きのほとんどの技法が後生に伝えられず消えていったと言われています。

漆喰磨きは全国各地の文化財に施工されており、漆喰磨きによって磨かれた壁は表面硬度が非常に強くなり、雨風に対して強い壁が出来上がります。

漆喰磨きには白漆喰はもちろん、油煙を混入させた壁(黒磨き)、弁柄を混入させた壁(赤磨き)、壁と出隅が色分けされた磨き壁もあり、(壁の出隅の面部分だけを白く磨く面白(めんじろ)や、面部分だけを黒く磨く面黒(めんぐろ)と呼ばれるものもあります)共通して高い技術力と手間が必要な左官仕上げのひとつです。

外壁に使われる漆喰壁の仕上げ3:漆喰パラリ仕上げ

漆喰パラリ仕上げとは、漆喰仕上げの一つ手法で、漆喰の中に石灰の固まりの粒を混入させて壁に塗りつける手法で、乾燥後にその粒が壁の表面にポツポツと浮き上がってくることから、パラリ仕上げと呼ばれています。

漆喰壁ときいて一般的に連想されるつるっとした漆喰壁ではなく、パラリ仕上げによるパラリ壁では、粗い仕上げ方に独特の趣があり味わいのある漆喰壁に仕上がります。

現在は様々な原料を使用したパラリ仕上げがありますが、本来の伝統的技法で塗られるパラリ仕上げは、漆喰壁の中でも高級な仕上げと言われており、表面を平滑にしない、昔ながらの原始的な漆喰壁だとも言われています。

パラリ仕上げによるパラリ壁は、京都御所や桂離宮にも使われており、本来の伝統的なパラリ仕上げは非常に難しい左官技法のひとつであるとされています。

外壁に使われる漆喰壁の仕上げ4:漆喰引摺り仕上げ

漆喰引摺り仕上げとは、引き摺り鏝という舟形の鏝を使用して、引摺ることで表面に微妙な凹凸を表現する伝統的な左官仕上げのひとつです。

漆喰が持つ冷たくも柔らかな質感に、表面に微妙な凹凸を表現することで、深みのある壁に仕上がります。

・漆喰撫で切り仕上げとパターン仕上げ

漆喰撫で切り仕上げとは、漆喰を壁に塗った後、適度な水分がたもった状態で鏝を通して仕上げる左官仕上げのことを言います。またパターン仕上げとは表面に模様付けをする仕上げのことで、漆喰パラリ仕上げや漆喰引摺り仕上げもパターン仕上げのひとつです。

パターン仕上げは左官職人のセンスや技術に依存することが多く、左官職人次第で様々な模様を描き出すことが可能です。

ただしパターン仕上げの場合は、庇を出来るだけ大きくすることが必要です。理由としてはパターン仕上げの凹凸にホコリが溜まり、そこに土ぼこりが溜まり、土ぼこりが雨を吸い込むことでカビの原因になることがあるからです。それを防ぐ為にできるだけ雨が当たらないように庇を大きくする必要があります。

また凹凸があるためホコリがたまりやすく、汚れやすいのもパターン仕上げの特徴です。

外壁に使われる漆喰壁の仕上げ5:海鼠壁(なまこかべ)

海鼠壁(なまこかべ)とは、漆喰による塗り壁の仕上げのひとつで平らな瓦を壁に貼り付け、繋ぎ目である目地にかまぼこ型に漆喰を盛り上げて塗ってつくられた左官工法による壁を指します。

海鼠壁という名前の由来は、盛り上がった漆喰の形が海に住む海鼠(なまこ)に似ていることから名付けられたとされています。

もともと日本の家屋の壁は土壁で出来ていた為、雨風に弱くもろいものでしたが、雨に弱い土壁の上に、強度や防湿を高めるため平瓦を貼り、目地を漆喰で海鼠状に盛り上げて塗装することで耐久性を高めていました。

海鼠壁の元々の目的は、雨風などから建物を守る点にありましたが、それ以外にも防火性にすぐれ、火災時にも延年を防ぐことが出来るという目的もありました。

海鼠壁は江戸時代の武家屋敷からはじまったとされ、次第に土蔵、城郭、築地塀などに広がっていったとされています。地域によって海鼠壁のデザインやパターンは様々ありますが、海鼠壁ときいて一番に連想される四半張り、縦と横が一直線になった芋張り、横方向は一直線に配置し垂直方向の目地がお互いに違っている馬張りなどと様々あります。

海鼠壁は主に土蔵の腰壁(こしかべ)などに用いられており、美しさと機能性を兼ね備え、独特な模様が何かを思い起こさせるような趣のある壁です。

土佐漆喰について

土佐漆喰は、一般的に知れ渡っている漆喰と違い少し黄色みがかっており、初期の仕上がりが薄いベージュのような優しい色合いになるのが特徴の漆喰です。土佐漆喰は初期の仕上がりは黄色がかった薄いベージュの色合いですが、紫外線が当たることで反応し、色が飛び、次第に薄く、約10年ほどかけて白くなっていきます。

土佐漆喰は紫外線に反応するので、同じ時期に仕上げた壁でも、日が当たる部分と、日が当たらない部分の、日のあたり方では色の抜け方が大きく変わります。それをしっかりと理解した上で選択する事が大事ですが、逆を言えば、そう言った味のある色の変化を楽しめるのも、土佐漆喰の大きな魅力のひとつです。

また日が当たることで白になると行っても、一般的にみられる漆喰のような真っ白のいわゆる「純白」状態ではなく、ほんのりと黄色がかった目に優しい白になっていきます。

土佐漆喰の歴史と特徴

土佐漆喰はその名の通り17~18世紀頃から高知(土佐)で使用されてきた漆喰で、昭和後期まで高知県内のみで使用されてきた漆喰です。土佐は台風の影響を受け続けてきたため、台風にも負けない漆喰を作る為に、独特の進化を遂げてきた漆喰だと言われています。

そのため土佐漆喰は雨に対して非常に強く、一般的な漆喰よりも耐久性があるのが大きな特徴です。

土佐漆喰が雨に強い理由としては、海藻糊を使わないことが第一にあげられます。土佐漆喰では海藻糊のかわりに、醗酵した藁から溶け出した糖類の一種の成分(リグニン)が糊の代わりとなり、保水の役割をします(一般的な漆喰と土佐漆喰の違いのひとつはここにもあります)。

土佐漆喰の歴史はまだ浅く、今の土佐漆喰の技術が確立されたのは幕末から明治にかけてと言われています。

一般的な漆喰と土佐漆喰:図 田中石灰工業

土佐漆喰の製法

土佐漆喰は漆喰原料の製法も独自のもので、一般的な漆喰とは違い、土佐漆喰では自然醗酵という方法をとり、一定期間熟成させることで漆喰の原料がつくられます。つまり醗酵という、手間をかけ微生物の力を借りることで非常に堅牢な塗り壁が出来上がります。

土佐漆喰の製法としては、稲藁を選別し、室(むろ)に入れ、水をかけ3ヶ月以上醗酵させた稲藁(藁スサ)と、土佐で古くから生産されてきた「土佐灰」といわれる塩焼き石灰(消石灰)を合わせ、水で混ぜ練り、今度は数ヶ月間寝かせることで土佐灰と藁を充分に馴染ませ落ち着かせます。

つまり、土佐漆喰は土佐灰に醗酵した藁を混ぜ一定期間熟成させることで生成される非常に手間ひまをかけた漆喰です。土佐灰を使っていれば土佐漆喰と呼ばれるのではなく、以上のような製法でつくられたものが練られた状態の漆喰が土佐漆喰と呼ばれます。

※塩焼き消石灰とは、コークスか石炭に塩を加えることで時間をかけて、じっくりと焼いて作った消石灰のことで、粒子が不均一で不揃いの為、それが漆喰の原料には最適だといわれています。また、油焼き消石灰とは、工業化された製品で、重油を炊いて高温で焼き上げ、自動機械の使用で大量生産をした消石灰のことをいいます。粒子が均一であるため、漆喰の材料には向かないとされています。

さらに、一般的な漆喰では塗られたときの厚さが1mmから2mm程度で仕上げられますが、土佐漆喰では5mmから8mm程度まで厚く塗ることが出来ます。ただし土佐漆喰は逆に薄く塗ることができません。

土佐漆喰の仕上げ方法としては「押さえ仕上げ」と「磨き仕上げ」が代表的な漆喰仕上げです。なかでも、土佐漆喰を使った磨き仕上げは、表面が非常に堅牢で硬くなり、光をよく反射するようになり見とれるほどに美しい味わいがあります。

半田仕上げについて

半田(はんだ)仕上げとは、漆喰に土壁用の土を混ぜて仕上げる、仕上げ方のことをいいます。また、半田とは、もとを辿れば土佐漆喰を施工する際、下塗り、中塗り、上塗りの工程のうち、中塗りの工程に使う漆喰と土の割合を半々にした材料のことです。

もともとの半田に色土を配合して出来た塗り壁が「半田撫で切り仕上げ」です。

半田仕上げとは土佐漆喰に土を半分程度入れて仕上げた方法で、土を入れることで土の色を楽しめるほか、土の柔らかい表情がでてきます。また半田仕上げでは土壁のような素朴で優しい表情を維持しながら、土壁よりも表面の強度が高い壁に仕上げることができます。

半田仕上げでは、左官工法としてはざっくりと鏝で撫で上げるようにスッと仕上げる、「撫で切り仕上げ」が代表的な仕上げ方です。半田撫で切り仕上げは、水分が保持されている状態の時に追っかけて撫でるように仕上げる仕上げ方なので、押さえ仕上げと違い柔らかい表情に仕上がります。

ただし、汚れやすい他、表面が柔らかいため強度に劣り、爪を立てたり、ある程度強い力で衝撃を加えるとボロボロと崩れ落ちてしまうため、外壁で使用するには向いていません。

自然素材ならではの塗り壁を理解して、塗り壁ならではの質感を柔らかい表情のある部屋として仕上げたいのならば、半田撫で切り仕上げで優しくリラックスできる空間演出を、内装に施すことが出来ると思います。

※ちなみに施工にかかる費用は一般的に、磨き仕上げが一番高く(手間がかかるため)次に押さえ仕上げ、続いて半田仕上げとなります。
※大津壁と色土漆喰との違い
漆喰と土を混ぜた代表的な仕上げには、大津壁と色土漆喰がありますが、これらの違いは単純に石灰の割合です。大津壁では、土壁に「石灰を少量」加え材料を押さえ上げした壁で、色土漆喰は漆喰に少量の色のついた「土」で仕上げた壁のことです。

沖縄の漆喰ムーチー漆喰について

ムーチー漆喰とは琉球漆喰のことで13〜14世紀頃に沖縄で独自の発展を遂げてきた伝統的な漆喰のことを言います。ムーチー漆喰はもともと、壁ではなく、シーサーや屋根瓦のつなぎの部分で使用されていました。

昔は、ムーチー漆喰の原料である石灰を珊瑚を燃やして作っていたと言われています。現在は珊瑚を燃やすことが禁止されているので昔ながらの伝統的な製法でムーチー漆喰を作ることは出来なくなってしまっています。(さらに、珊瑚とワラを野積みし、雨風にさらしながら作ったとも言われています)

また、沖縄でも石灰岩は採掘されているものの、主にセメントとして加工されているので、ムーチー漆喰の原材料としては使われていません。現在は、主に大分県などの九州で採れた石灰を原料にムーチー漆喰が作られています。

ムーチー漆喰では土佐漆喰と同じように海藻糊を入れずに石灰に藁を混ぜ合わせてつくりますが、土佐漆喰が醗酵させた藁と消石灰を使うのに対して、ムーチー漆喰では生石灰と藁を使用して塗り材を作ります。

ムーチー漆喰の特徴としては、ムーチー漆喰も土佐漆喰と同じように紫外線と反応することで白く薄くなっていきます。

ムーチー漆喰は、沖縄でお祝いの時に食べられている沖縄独特の茶色味がかった餅に色や質感が似ていることから名付けられたとも言われています。

石灰クリームについて

つづいて、イタリアなどで使用されているヨーロッパの漆喰、西洋漆喰の石灰クリームについても触れていきたいと思います。

石灰クリームの原料

石灰クリームの原料は消石灰と同じく石灰石です。

石灰クリームの生成方法

石灰クリームを作る工程としては、消石灰の工程と途中まではほとんど同じで、まず石灰石を900度以上の高温で焼きます。そうしてできた生石灰を、粉末消石灰にするには少量の水を使いますが、石灰クリームをつくるには大量の水で消化させペースト状にします。

ですから、ものすごく大雑把にして言えば、生石灰に大量の水を加えることで石灰クリームが出来上がります。

西洋の歴史ある建築物では昔から、こうして出来た純粋な石灰クリームに骨材を混ぜ、石灰モルタルの塗り壁として使用されています。

※日本の西洋風建築でも石灰クリームを使って塗った塗り壁がありますが、樹脂系の塗り材を使っているため数年で汚く汚れがこびりついてしまいます。純粋な石灰クリームを使い、昔からの西洋建築のように骨材を混ぜ石灰モルタルとして壁に塗ることで塗り壁をつくれば、劣化ではなく、時間が経つほどに歴史ある西洋建築と同じようにゆっくりと経年変化していきます。ただし純粋なクリームを使用した場合は既調合品と違って、材料に関して全て保証外となります。

石灰クリームの特徴

石灰クリームのわかりやすい特徴としては、表面の強度が強いため、鏝押さえを続けると日本の粉末消石灰を使用した漆喰よりも簡単にツヤが出るところにあります。ただし石灰クリームはペースト状になってから寝かし、熟成させる期間によって粒子の安定度が違い、寝かせる期間が長いほど、なめらかで粘度が増していきます。

石灰クリームはしっかりと熟成させないと粒子が粗く安定せず、扱いが難しくなります。イタリアでは最低2年間寝かし熟成させるそうで、熟成期間が長いほど高価になってきます。

純粋な石灰クリームと市販されている石灰クリーム(既調合品)との違い

市販されている石灰クリームには、ほとんどの場合、糊材としてメチルセルロースや、骨材として炭酸カルシウムや樹脂が混入されています。なぜこれらのモノが入っているのかというと便利で扱いやすくする為です。

純粋な石灰クリームは自己調合しなければならず、自己調合して出来た石灰クリームはメーカーの保証外となっており調合した人の責任となっています。

漆喰のメリット

まとめると漆喰には以下のメリットがあります。

漆喰のメリット1:意匠性が高く独特な質感の壁を作れる

漆喰を好まれる方は、間違いなく、漆喰ならではの、あの独特なつるっとした質感にひかれます。また漆喰を熟知した熟練の職人が仕上げると、人の顔が映るほど艶を出すことも出来ます。もちろん、熟練の職人でなくても艶を出すことはできますが、その場合、原料に艶を出す為の樹脂をたくさん入れているか、何らかが原因で原料が反応して、結晶が出来て固まるタイプの原料を使っているためにテカテカと光る壁が出来ます。

もちろんパターン仕上げにより模様を作ることも出来ます。

漆喰のメリット2:多少の調湿性はある

漆喰に使われる素材にもよりますが、漆喰には多少の調湿性があります。

以前は竹木舞に下地として土壁を厚く塗り、その上に仕上げとして漆喰を壁に塗り付けていたため、土壁の吸放湿性の機能とセットで調湿性を発揮していましたが、現在は石膏ボードの上に塗り付けていくのが主流となっている為、調湿性はそこまで期待できないと思います。

漆喰のメリット3:防火性に優れている

もともと日本での漆喰は、防火性に優れている点が重宝され、城郭や神社仏閣、土蔵などで使用されるようになっていき次第に町民の間にも、広がりをみせていきました。漆喰の主成分である石灰には優れた防火性があるほか、化学建材のように燃えても有毒ガスが発生する危険性はありません。

漆喰のメリット4:安全で環境性能に優れている

漆喰の主成分は石灰なので、壁に塗る時は取扱いに注意する必要がありますが、空気中の二酸化炭素を吸い、時間と共にもとの石灰岩に戻っていきます。

漆喰を廃棄するときは元の自然に帰るだけなので、昔の建材に見られたようなダイオキシンを発生させる心配やアスベストなどの問題は起きません。

また伝統的な製法で製造され、伝統的な方法で壁に塗られた漆喰はシックハウスの原因となるホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物(VOC)も含まれないので安心して使用することが出来ます。

漆喰のメリット5:時間の経過と共に強い壁になる

漆喰は塗られてから時間の経過と共に、強い壁になっていきます。それは空気中の炭酸ガス(二酸化炭素)が漆喰に吸収されることにより、もとの石灰岩に戻っていくことに起因します。

漆喰のデメリット

漆喰のメリットと同じように、漆喰をデメリットでまとめると漆喰には以下のようなデメリットがあります。

漆喰のデメリット1:施工単価が高い

本漆喰は特にですが、熟練の左官職人の技術が必要であること、またしっかりとした施工には時間をかける必要がある為、工期が長くなりそれに伴い施工単価は高くなります。

漆喰のデメリット2:職人により施工の善し悪しがあらわれやすい

ひとことで漆喰と言っても現在は様々な漆喰があります。こと本漆喰と呼ばれる昔ながらの伝統的な製法による漆喰は現在、塗れる職人が少なくなってしまっている現実があります。

漆喰だけに限りませんが、昔ながらの製法による左官工法は壁に塗りはじめてから、塗り終わるまでに長い期間がかかるため、現在の工期を短く短期間で完成させる住宅業界の大きな流れに乗ることが出来ないことが大きな要因のひとつとしてあり、それに伴い塗れる職人が減ってきています。

また自然が相手にもなりますので、職人により、施工の善し悪しが大きくあらわれやすいのも大きなデメリットだと思います。その多くは、塗った直後は綺麗でも時間の経過と共に症状としてあらわれてきます。

きちんと下塗りをし、乾燥させてから漆喰を塗り付けないとクラックなどの症状が時間が経ってからあらわれてきます。

漆喰のデメリット3:色漆喰は塗れる職人が限られる

色漆喰になるとさらに、それが顕著で、塗れる職人がかなり限られます。色漆喰になれていない左官職人が壁に塗ると、色ムラなどがあらわれたりするので、色漆喰を壁に塗るには、それなりの技術を要します。

色漆喰は通常の白色の漆喰よりも天候など様々な条件が揃わなければ綺麗に塗ることが出来ない、施工の難しい漆喰で、一般の住宅に使われることはほとんどありません。

漆喰のデメリット4:調湿性は期待できない

何度も言いますが、漆喰自体にはそこまでの調湿性能はありません。JIS規格の「JIS A6909」という試験方法に基づいて試験をすれば結果は明らかで、JIS規格では調湿量が70g以上の性能がないと調湿建材としては認めないとされていますが、本漆喰自体はこれに達していません。

ただし今は色々な漆喰があり、調湿性能が期待できる漆喰もありますが、昔ながらの製法による本漆喰では調湿性はそこまで期待できないととらえてもらって問題ないと思います。※昔は土壁とセットで漆喰が塗られていたため、調湿性能がよく感じられたようです。

漆喰のデメリット5:施工直後はキズに弱い

漆喰は時間の経過と共に強くなりますが、施工直後の漆喰は引っ掻くとキズがつきやすいので注意が必要です。

5種類の漆喰とその特徴

漆喰の項目の最後に、漆喰の種類をまとめていきたいと思います。漆喰には5種類の漆喰があり、それぞれの特徴と簡単な成分について触れていきます。

外壁に使用される漆喰1:本漆喰

本漆喰とは、海藻糊を炊いて篩に掛け、液体に消石灰と麻スサを混入したものです。

・本漆喰の特徴や注意点

耐久性の高い漆喰が出来上がります。また時間が経つにつれてそれが顕著になり、メンテナンスを続けて行くことで長期間使用できる壁が出来上がります。

※壁が出来上がるまでに長期間必要なため、短期間で仕上げたい方には向きません。

外壁に使用される漆喰2:既調合漆喰

消石灰を主原料に、糊、繊維、無機質骨材、有機質添加剤などを製造工場で調合・加工した事前に調合された漆喰のことをいいます。

・既調合漆喰の特徴や注意点

既調合漆喰は、漆喰メーカーが製造した漆喰製品のことで、粉末状又はクリーム(練り物)状をしています。顔料を混ぜて着色した製品もあり、様々な既調合漆喰があります。

※メーカー調合品のため、混入されているものを見分けることが必要となり、自然素材を好む方には向きません。

外壁に使用される漆喰3:西洋漆喰

西洋漆喰は、石灰クリームに骨材などを混ぜて石灰モルタルにし、塗り壁として使うものです。

・西洋漆喰の特徴と注意点

純粋な石灰クリームを使った西洋漆喰の壁は、ヨーロッパの歴史ある西洋建築に見られる壁と同じように、時間の経過と共に味わいのある変化をしていきます。

※日本の西洋風建築でも石灰クリームを使った塗り壁はありますが、その多くは樹脂が混入されています。一部の左官屋では、純粋な石灰クリームを使った石灰モルタルをつくっていますが、非常に手間がかかる他、純粋なクリームを使ったものはメーカー保証外のためなかなかみることができません。既調合品の西洋漆喰は、西洋に見られるような綺麗な壁にならず時間の経過と共に数年で壁が汚く汚れてしまいます。

外壁に使用される漆喰4:土佐漆喰

土佐漆喰は一般的な漆喰とは違い、自然醗酵という方法をとります。製法としては、藁を室(むろ)に入れ、水をかけて3ヶ月以上醗酵させます。そうしてできた藁と、土佐で古くから生産されてきた「土佐灰」といわれる塩焼き石灰(消石灰)を混ぜ合わせて、水で混ぜ練り、今度は数ヶ月間寝かせることで土佐漆喰が作られます。

・土佐漆喰の特徴

土佐漆喰は台風にも負けない漆喰を作る為に、独特の進化を遂げてきた漆喰です。そのため、雨風に強く、耐久性も高く、本漆喰よりも強い壁が出来上がります。

土佐漆喰は初期の仕上がりは黄色がかった薄いベージュの色合いですが、紫外線が当たることで反応し、次第に薄く、約10年かけてほんのりと黄色がかった白になっていきます。

※同じ時期に仕上げた壁でも、日の当たる部分と、日の当たらない部分では、色の抜け方が大きく変わるので(日が当たる部分は白くなり、日のあたらない部分は黄色いままです)色の変化を楽しむことが出来る反面、注意が必要です。

外壁に使用される漆喰5:ムーチー漆喰(琉球漆喰)

ムーチー漆喰は、琉球漆喰とも呼ばれ、土佐漆喰と同じように、糊を使わずに材料を作りますが、土佐漆喰と違い、生石灰と醗酵させていない藁、それに水を使って塗り材を作ります。

・ムーチー漆喰の特徴

色合いは土佐漆喰よりも濃く、土佐漆喰に似てはいます。また土佐漆喰と同じように塗られた当初は黄色みがかった色をしていますが時間が経つにつれて、紫外線を浴びることで、色が抜けていきます。

塗り壁の種類3:モルタル

モルタルとは

モルタルとはセメントに水と砂を混ぜた素材のことを言います。

もっと詳しく言えば、モルタルとは、砂とセメントと水をペースト状の柔らかさに、練り混ぜた建材のことで、正式名称をセメントモルタルといいます(一般的にモルタルと言えばセメントモルタルのことを指しています)。

モルタルは材料の組み合わせをかえることで、耐久性や仕上がりを調整することが可能な素材です。

住宅の外壁材に使われるモルタルはラス(網状の金物)などの上から、水、細骨材、セメントを調合してつくられた耐火性の高い素材を左官で塗り、その上から塗装して仕上げていきます。

サイディングが今のように普及する前までは、モルタル外壁が日本の木造住宅の大半を占めていました。モルタルは1980年代以前の住宅に見られ、一般住宅の外壁に多く使われていました。

モルタルの原料

モルタルの原料は、砂、セメント、水、それに加え一般的には混和剤と呼ばれる添加剤をを入れることで施工性と耐久性を高めています。

また余談ですが一般的に砂は川砂を使用し、海砂は塩分が含まれる為に使用しません(塩分は鉄を錆びさせるため)。

様々なモルタル

モルタルには様々な種類があります。例えばモルタルに石灰を混ぜれば「石灰モルタル」と呼ばれます。アスファルトを混ぜれば「アスファルトモルタル」、合成樹脂を混ぜたものを「樹脂モルタル」、合成樹脂と細骨材を混ぜれば「ポリマーセメントモルタル」と呼ばれます。

石灰モルタルとは

石灰クリームに砂や寒水石などの骨材を混ぜた塗り壁材料は、石灰モルタルと呼ばれます。西洋版、砂漆喰のようなものだと考えてもらって差し支えありません。

漆喰材の、石灰クリームの項目でもいいましたが、石灰モルタルは昔から使用されている歴史のある塗り壁材料のひとつです。石灰モルタルは、古くはエジプトのピラミッド、ヨーロッパの外壁でも使われた壁材です。

セメントや水硬性石灰などの水に反応して固まる「水硬性材料」が発明されるまで、石灰モルタルが建築材料として使われてきたほど歴史のある材料です。

石灰には、水と反応して固まる水硬性の石灰と、空気中の二酸化炭素と結びつくことで硬くなる気硬性の2つの性質の石灰があります。水硬性の石灰を用いると、水と反応して固まるので一晩置いておくとカチカチに固まってしまいます。

NHL(水硬性石灰)について

NHLとはNatural Hydraulic Limeの略称で、天然水硬性石灰のことをいいます。NHLはセメントが開発されるまで西洋建築の中心となっていた材料です。

NHLの歴史は古く、西洋では、5000年以上前から使用されていたと言われています。

西洋(ヨーロッパやエジプトなど)では紀元前から消石灰に珪藻土や可溶性シリカ分の多い火山灰であるポゾランを入れて、水に反応して固まる水硬性の性質の材料を利用してきたといわれています(ポゾラン反応といいます)。

NHLの特徴は、水硬性と気硬性の性質を持ち合わせており、水と反応すると硬くなり、空気中の二酸化炭素を吸うことでさらに硬くなる性質にあります。

NHLは塗った次の日にはもう固まっているので、雨や風の心配をすることなく壁に塗ることができ、利便性の高いことも大きなポイントですが、NHLはさらに壁に厚塗りすることもでき、吸放湿性能は通常の気硬性石灰よりも優れています。

ただしNHLは、以上の利点がある反面、初期費用は高くなります(ただし耐久性ははるかにすぐれているので、メンテナンスを考えると、それほど高価なものではないと考えられます)

またNHLは、天然素材であるためホルムアルデヒドやアスベストなどの心配をすることなく使用できます。

石灰モルタルの特徴

石灰モルタルの特徴は、消臭効果、浄化作用、呼吸機能にあります。

また石灰モルタルは日本の漆喰に見られるように、長い時間をかけて空気中の二酸化炭素を吸い表面が硬化し石灰岩に戻っていく気硬性があるので時間が経つほどに、表面が硬くなり、強度が増し、耐久性が高まっていきます。

石灰モルタルの注意点

既調合品の西洋漆喰はほとんどが石灰モルタルです。つまり石灰クリームに骨材などが混ぜ合わさっています。先に述べたように市販されている石灰クリームにはほとんどの場合、メチルセルロースや、炭酸カルシウムや樹脂が含まれています。

特に、樹脂が含有されていると壁が不自然に汚れやすくなってしまうので注意が必要です。理由としては、樹脂により石灰モルタルの呼吸機能と自浄作用を妨げてしまうからです。

本来の昔からある方法で調合された石灰モルタルで塗られた壁は、自然素材によくみられるように味わいのある朽ちた風合いの壁になっていきます。

モルタル外壁の一般的な施工方法

モルタルで住宅の外壁を仕上げる場合は、まず、防水目的とモルタルが木などの下地の隙間から内部にこぼれ落ちるのを防ぐため防水シートをはり、メタルラスという菱形の金網を、タッカーを使って壁にはりつけていきます。

金網は土壁で言う、木舞(こまい)のような役割を果たし、金網(メタルラス)を張ることによって、モルタルが壁に塗り付けられるのを助ける役割があります。また金網がコンクリートで言う鉄筋の役割を果たし、単純に強度を高める働きもあります。

そのあと薄く下塗りをして、乾燥させ、中塗りをし、乾燥させ、上塗りをして、防水処理を施して仕上げます。

※モルタル外壁には、住宅保証機構による性能保証住宅標準仕様により下記のような細かな規定が定められています。

第11条 湿式の外壁仕上げ モルタル塗は、下地をラス張りとしなければならない。
2.塗り工程は、次の各号に適合するものでなければならない。
一、普通モルタルの場合は、下塗り、中塗り、上塗りの3回塗りとすること。
二、既調合軽量セメントモルタルの場合は、JASS 15 M-102(既調合軽量セメントモルタ ルの品質基準)に基づく各製造所の仕様によるものとし、塗り回数は2回以上とすること。

モルタル外壁を選択される方は、仕様を確認するようにしてください。

モルタル外壁の特徴

モルタルが住宅の外壁に使われる一番の理由は、防火性の為です。

またその他にも、外壁への厚塗り塗装の場合、左官工法でパターンなどの模様を付けられるため、バリエーションが豊富なところも人気のひとつでした。現在は住宅業界全体が、出来るだけ工期を短くする方向に動いている為、施工性の高さや経済性(初期費用が少なくて済む)などを理由に外壁に使われる素材にはサイディングが多くなりました。

モルタル外壁の特徴として、ひび割れがあります。モルタルは素材の性質上、どんなモルタルでも乾燥すると収縮を起こし、ヘアクラックと呼ばれる細い亀裂がおきます。

モルタルを外壁の下地として使用する場合には、一般的にひび割れたモルタルの上から、塗り付けます。そのためひび割れた箇所が重ねられた塗料により、覆われすぐには問題が生じません。

ただし、モルタル外壁は時間が経過するに従い、自然災害(雨や地震)などが原因で、劣化を起こし、次第に亀裂(クラック)が広がっていき、雨水が外壁から建物内部まで広がり建物を傷める恐れがあるので定期的に塗り替えやメンテナンスをすることが必要になります。

またモルタルで仕上げる場合にも、ひび割れが起きることは当たり前として考えられているので、一度に塗って仕上げることはせずに、まず薄く下塗りをし、充分に乾燥させてひび割れを生じさせ、次に中塗りをし、さらに乾燥させひび割れを生じさせます。

充分に乾燥させひび割れが落ち着いたところで、上塗りをし、さらに防水処理を施して完成します。ひび割れを完全に防ぐことは出来ませんが、そのようにして何層にもわたって塗り付けることで、ひび割れから雨が侵入することを防ぐ役割を果たします。またモルタル自体に防水機能はないので、表面を防水処理する必要があります。

モルタルは以上のような工程を設けているので、乾式工法のサイディングなどと違い、仕上げに至るまでに時間がかかるのが大きな特徴としてあります。

モルタルとコンクリートの違い

モルタルとコンクリートの違いを簡単に言えば、モルタルが砂を使うのに対して、コンクリートでは、それに加えて細骨材と呼ばれる砂利などの比較的粗めの素材を使うところにあります。

コンクリートでは、砂利を加えることで、モルタルよりも強度の高い素材が出来上がります。また一般的にコンクリートの中に含まれる粒が大きくなるほどそれが接着剤の役割を果たし、圧縮力に対して強くなるので強度は増します。

モルタルはコンクリートほど強度はありません。ただし特徴は似ていて、外から掛かる圧縮力には強いですが、引きちぎろうとする力である引張力には弱い性質を持っています。一般的には、この引張り力に対する力を高める為に鉄筋やラス網などを敷き強度を高めます。

モルタルは一般的に「セメント:砂:水」を「1:3:6」の割合で混ぜますが、セメント量が多いほど強度が強くなります。逆に水分量が多いほど強度は弱くなります(コンクリートも同じです)。ただし、単純に少なければ良いというわけではなく、適量が必要になります。

モルタルとコンクリートの違いは、砂利を加えるという素材としての違いと、それによって補強される強度の違いの2つです。またモルタルは壁に塗るなど単体で使うことがありますが、コンクリートは、それ単体で使うことはほとんどなく、鉄筋などの引張力を高めるものと一緒に使います。

※ノロについて
セメントに、砂などの骨材を入れずに水だけを加えてペースト状に練り込んだものをノロといいます。ノロの使用用途は、吹き付け塗装する際や,表面仕上げの際、表面を綺麗に仕上げるため、その他の用途としてはタイルなどの目地などを塗る際に使われます。

軽量モルタルについて

軽量モルタルとは、骨材に軽い素材を使ったモルタルのことを言います。軽量モルタルの特徴としてモルタルがは軽くなる為、建物への負担が軽くなる点にあります。

また耐震性や、防火性を高めることが出来ますが、入れるものによって強度が変わってきます。

モルタル外壁の日本での歴史

モルタルを含むセメント系の仕上げはもともと、ヨーロッパで建築物の表面を搔き落としたり、掃き落としたり、研ぎだしたりなどして、石造建築にみせるために発達した技法だと言われています。

日本でのモルタルは、もともとは明治以降の近代化により洋風建築に取り入れられたものといわれています。当時は意匠の理由から外壁をモルタルで塗り、その上にセメント系の仕上げを施していました。

諸説はありますが、日本でのモルタルは明治時代以降、西洋の建築方法を取り入れられることにより発展していったものと言われています。

またコンクリートを輸入して使われはじめたタイミングで、蛇腹引きや石膏彫刻の工法が確立されたり、モルタルをはじめ石膏プラスターやドロマイトプラスターも使われはじめたと言われています。当時は意匠の理由から外壁をモルタルで塗り、その上にセメント系の仕上げを施していたといわれています。

モルタルを塗り付けやすくする材料のラス(金網)は明治42年頃日本に取り入れられたと言われています。

普及した背景には、当時の日本の建築は燃えやすい素材を使っており、一旦火事になると瞬く間に火が燃え移り広がりをみせたという背景があります。

江戸時代には、火元から15町以上(1636m)焼けた大火事が96回あったともいわれており、明治時代になっても数千戸以上の火事が15回あったと記録されています。

そんな中モルタルをはじめとするセメント系の材料の不燃性に注目が集まり次第に広がりをみせていきました。

メタルラス(金網)

大正時代に関東大震災(1923年)で東京都心部が焼け野原になり、復旧に際し、モルタルが使用されたことでモルタル外壁は普及されていったと言われ、大正から昭和初期にかけ、一般的な木造住宅にも用いられるようになっていきました。

当時はパターンとして、スタッコ仕上げが好んで施工されていたと言います。つづいて搔き落とし仕上げ、洗いだし仕上げなど広く使われるようになっていきました。

昭和25年には建築基準法が制定され、木造住宅の外壁として金網(メタルラス)を用いたモルタルが規定されたことによって、モルタルは全国的に普及されることになったと言います。

外壁に使われる左官工法の主なモルタル仕上げの種類

塗り付け

モルタルには壁に塗り付けて仕上げる方法と、壁に吹き付けて仕上げる方法があります。ここではまず壁に塗り付けていく方法を見ていきます。

※一般的に壁への塗り付けは左官職人が手がけますが、壁への吹き付けは塗装屋でも手がけることが可能です。

モルタル外壁の種類1:モルタル金鏝仕上げ

モルタル金鏝仕上げとは、壁面にモルタルを塗った後、金鏝で押さえ均していき、平らにする仕上げ方を言います。モルタル金鏝仕上げによって仕上げられた壁や床は、目地などがなく均一で綺麗な面にすることが可能です。

※床の場合は、「トンボ」や「木ゴテ」を使用します。

モルタル金鏝仕上げは、金鏝を使うことで表面がすべすべになるスタンダードな仕上げ方と言えます。

モルタル外壁の種類2:モルタル掻き落とし

モルタル搔き落としとは、白セメントや色が付けられた着色セメントに、消石灰と骨材を混ぜて作った材料を壁に塗り、完全に乾ききる前に剣山のような左官用具である「搔き落とし機」や「ワイヤーブラシ」で表面を搔き落としていき粗面に仕上げる左官工法です。

別名をリシン搔き落としとも言い、一般的にはリシン搔き落としの方がなじみ深いかもしれません。

モルタル搔き落としは、搔き落とし機やブラシで仕上げる単純な仕上げですが、手がける職人の個性が出やすい施工方法で、混ぜられたセメントペーストの色、骨材の種類や色や大きさ、搔き落とし方や、搔き落としのさじ加減、また使う道具によって荒々しくしたり、大人しくしたりと様々な表情を壁にうつし出すことが可能です。また自由度が高いので要望次第で多様な表情の壁を作ることが可能です。

モルタル搔き落としは、手間をかけ下地をしっかりと仕上げ、特に建具周りの防水をしっかりと施し、建物の構造として庇の大きささえ間違えなければメンテナンスの必要がないほど耐久性を高めることが出来ます(もちろん完全にメンテナンスフリーというわけではありません)。

またモルタル搔き落としによって作られた外壁は、時間が経つほどに味のある壁になっていきます。樹脂を使った時に見られる不自然な汚れではなく、あくまで自然に朽ちていき、建物と一緒に年をとることが出来る、味わい深く渋みのある変化の仕方をします。

モルタル搔き落とし仕上げの何よりもいいところは、経年変化で味が出てくる部分にあります。

モルタル外壁の種類3:モルタル掃き付け仕上げ

モルタル掃き付け仕上げは、大正末期に流行した塗り壁の仕上げ方と言われており、壁に浮き出た深い凹凸の表情が特徴の塗り壁仕上げです。モルタル掃き付け仕上げでは、まず鏝でモルタルを下塗りし、下塗りとして塗られたモルタルが乾く前に、その上から今度はササラで掃きつけて塗っていく仕上げ方です。※ササラとは細い竹を束ねた道具のことを指します

二葉館の堅瓦壁下地

ササラで掃きつけて塗っていくことで、荒っぽいでこぼこした表情の壁に仕上がります。またモルタルをササラで張り付ける際の力加減や掃きつける量を調整することで独特の味わいある壁に仕上がります。

明治から大正末期までは竪瓦壁(たてかわらかべ)という工法で出来た外壁下地上から、モルタル掃き付け仕上げを施していました。

表面に節目がある平瓦に麻を結びつけた釘で留め麻を四方に広げながら中塗りをし、その上からモルタルで下地を作り、最後にササラでモルタルを掃きつけていき仕上げていたようです。

モルタル掃き付け仕上げは、別名をドイツ壁(独逸壁)とも言います。

※竪瓦壁の下地とは
竪瓦壁とは、平瓦を麻を結びつけた釘で留め、麻を四方に広げながら漆喰などで壁を塗ったものです。

モルタル外壁の種類4:洗い出し仕上げ

洗い出し仕上げとは、玉石や砕石などの種石をセメントに混ぜて練り、壁に塗り付けた後、表面が乾き切る前に表面を洗う左官仕上げの工法です。文字通り「洗い出す」ので洗い出し仕上げと名前がつけられました。洗い出し仕上げの多くは土間などに使われますが、外壁の基礎巾木にも使われます。

一般的にセメント系の建材は骨材が大きくなるほど硬くなりますが、洗い出し仕上げは含有される骨材が大きいため、いわゆるモルタル仕上げよりも丈夫に仕上げることが出来ます。

また、洗い出し仕上げによる壁は、伝統的な工法によって手間を省かずに(化学の力で表面強度を弱める薬品を使わずに)しっかりと施工すれば丈夫に仕上がるので耐久性が高いのが大きな特徴です。

ガラスカレットの洗い出し仕上げ

洗い出し仕上げで使える種石は、ガラスを粉砕した欠片であるガラスカレットやビー玉、貝殻はじめ、蓄光石(夜光石)なども使用することもでき、多種多様で、顔料でセメントに色を付けることも出来るので、様々な外観で美しく見せることが出来ます。(骨材を入れずにそのまま洗い出しても砂目が出て綺麗になります)

洗い出し仕上げは、種石が入っているため、一般的なモルタルと比べるとゴワゴワしており壁に塗り付けるのに技術を要し、石が均一に詰まり、綺麗に仕上げるのには左官職人としての技術が必要です。また種石をしっかり詰めて塗る技術だけではなく、洗い出すタイミングが早いと、残す部分まで洗い流されてしまいますし、洗い出すタイミングが遅いと硬化してしまい洗い出すことが出来なくなってしまうため、表面のセメント分(アマ)を洗い出すタイミングも非常に重要です。

洗い出すタイミングは材料や季節によって変わってくる為、職人としての熟練の技術が必要となります。

※樹脂舗装とは

樹脂舗装とは、洗い出し仕上げに似せた工法で種石を樹脂で固める工法のことを言います。樹脂の寿命はセメントよりもはるかに短いことから、樹脂舗装により仕上げられた工法は寿命が圧倒的に短くなります。

施工後は綺麗で見た目もさほどかわりませんが、樹脂舗装は年数が経つほどに、自然な汚れ方ではなく、樹脂特有の汚れ方をしていく特徴があります。

モルタル外壁の種類5:モルタル小叩き仕上げ

モルタル小叩き仕上げは、モルタルが完全に乾き切る前に、先端がくさび状のハンマーで一方向に細かい線が入るように小さく叩いて仕上げる左官方法のことをいいます。

モルタル小叩き仕上げは、非常に手間のかかる左官工法ですが、細かい粒の刻み目が表情豊かな模様を形作ります。

基礎巾木に使われるモルタルを使った仕上げ方

基礎巾木(きそはばき)とは地面からでている基礎立ち上がりの部分のことを指しますが、基礎部分表面の基礎巾木にモルタルを塗って仕上げることを一般的に基礎巾木仕上げ(きそはばきしあげ)と呼んでいます。

以下に代表的な基礎巾木仕上げの工法を記していきます。

モルタル外壁の種類6:巾木ブラッシング仕上げ(ドライウォッシュ仕上げ)

巾木ブラッシング仕上げは、洗い出し仕上げと同様に、玉石などの種石をセメントに混ぜて壁に塗りますが、洗い出し仕上げとの違いは洗わないことにあります。つまり、ブラッシングによりドライに仕上げます。

ただしブラシをかけるタイミングや、道具によっても壁の表情は変化するので左官職人次第で様々な個性溢れる表情を壁に写し出すことが可能です。

巾木ブラッシング仕上げは、名前の通り建物の地面からでている基礎立ち上がり部分である基礎巾木(きそはばき)に使われる仕上げ方で、基礎立ち上がり部分に当たる巾木は、建物全体のバランスを崩さないように主張しすぎることのない仕上げ方を施す必要があります。

巾木ブラッシング仕上げは、石の美しさを前に出させすぎずに、砂利により暖かい印象を与える仕上げ方で、主張しすぎることのない砂利の存在感が風合いを魅せる仕上げ方法です。

モルタル外壁の種類7:モルタル刷毛引き仕上げ(もるたる はけびき しあげ)

モルタル刷毛引き仕上げとは、壁面にモルタルを塗った後、完全に乾き切る前(表面がやわらかいうちに)に刷毛(はけ)を引いて凹凸に仕上げる方法です。刷毛がそのまま模様になるので、細かい線が入りざらざらとした触り心地になります。

また使用する刷毛によって荒くしたり、大人しくしたり様々な表情をつくり出すことが可能です。

基礎巾木にこだわりがない方でない限りほとんどの方がモルタル刷毛引き仕上げを選択されます。

 

モルタル外壁の種類8:研ぎ出し仕上げ

研ぎだし仕上げは、主にセメントと種石を混ぜ合わせたものを壁に塗り、完全に乾き切る前の硬化のタイミングをみて、砥石(といし)や研磨機、グラインダーなどで研ぎ出して仕上げていく左官工法のことをいいます。

研ぎだし仕上げは、研ぐタイミングが大事で、中に入っている石の堅さや季節によって固まる早さが違うので、職人の技術が必要になります。

研ぎだし仕上げは、研ぐことでピカピカな石の肌を出し美しく仕上げることが可能で、セメントモルタルに種石が多く含まれるため、セメントモルタルよりも強度を高める事ができるほか、クラックなどもあらわれにくくなります。ただし種石と種石との間を鏝で隙間がでないようにしっかりと伏せ込んでから仕上げをしないと気泡が多く入ってしまい、綺麗な状態に仕上げることはできません。

研ぎだし仕上げは、意匠性はもちろん、しっかりと施工すれば耐久性、耐摩耗性、耐水性に優れ、美しい左官仕上げにすることが可能です。

ただし、一般的に、研ぎだし仕上げは石を研磨して仕上げるので、研ぐ工程で、ものすごいほこりが出ます。ただし現在はほこりがあまり出ない施工方法もあります。

また、研ぎ出し仕上げは、人造石研ぎだし仕上げ(人研ぎ)と現場テラゾー仕上げ(テラゾー)と呼ばれる2つの方法があります。この2つの仕上げの違いは種石の大きさにあります。

人造石研ぎだし仕上げが3〜12mm程度の種石を使った仕上げなのに対して、それ以上大きな種石を使った仕上げが現場テラゾー仕上げと呼ばれます(ただし種石の大きさが厳密に定められているのではなく、現在はこの区別は曖昧です)。大きな種石が使われるので現場テラゾー仕上げの方が高級感は出ますが大きい石が入っている方が、塗る作業が大変で研ぐ厚みも増すので費用も高くなります。

研ぎだし仕上げは、床や基礎巾木をはじめ、手すり、流し、カウンター天板などに主に用いられます。床に使われる場合は、季節により素材が収縮、膨張するため2〜3m程度で目地をとり、目地には柔らかな金属(真鍮製のもの)を使います。

吹き付け

つづいて、モルタルの壁への吹き付け塗りの工法についてみていきます。吹き付けの場合で鏝を使わずに仕上げる場合、ペンキなどを塗る塗装屋(ペンキ屋)に依頼することも可能です。

モルタル外壁の吹き付け仕上げ1:リシン吹き付け

リシン吹き付けとは、スプレーガンを用いてリシン材(一般的には骨材(細かく砕いた石や砂)にセメント(もしくは樹脂)、着色料などを混ぜたもの)を、モルタルなどの下地面に吹き付けることにより独特の凹凸がある表面に仕上げる方法です。

砂粒を混ぜて、壁に薄く吹き付けて仕上げていくため、表面はざらざらとした表情になります。リシン吹き付けによる壁は細かい骨材が表面にあらわれるため比較的落ち着いた表情の壁になります。

リシン仕上げは合成樹脂系(アクリル系やシリコン系)やセメント系の吹き付け材が使用され、スプレーガンで吹き付ける方法と塗った後に搔き落とす方法があります。

ただし、リシン吹き付けは、壁に素材を吹き付けるだけの安価な仕上げ方であるため割と人気が高いですが、耐久性は期待できない仕上げ方です。

加えて、リシン吹き付けは骨材と一緒に外壁に薄い膜をはるようなものなので、一般的にひび割れしやすく防水性にも疑問が残ります。

また、下地となるモルタルは収縮しますが、リシン吹き付けによる壁は、下地の収縮に対応できずにヘアークラックや、クラックなどのひび割れを起こしやすくなっています(横方向のクラックは雨水を受け止めて内部に雨水が侵入させることを許してしまうので特に注意が必要です)。

さらに、リシン吹き付けによる外壁は、凹凸により水垢や土埃などの汚れを受け止めてしまうので汚れがどうしても目立ってしまいます。大通りに面した場所や、日当りが悪く湿気の多い北面はカビの発生や雨による筋が出来てしまいがちになり、放っておくと、外観を損なうだけではなく耐久性も下げてしまうので注意が必要です。

塗り替えなど、再塗装をする際はリシン仕上げの上からさらに、下塗りをする必要がありますが、下地の吸い込みが激しいので吸い込みを押さえることが大事です(きちんとした下地処理をしないと剥がれや色むらが起こります)。

リシン吹き付けの仕上がりの特徴としては表面に凹凸ができるため、ツヤを押さえた表情の壁になります。

壁の表情が似たものとしては、左官職人が仕上げるモルタル搔き落とし(リシン搔き落とし)があります。モルタル搔き落としは、手がける職人にもよりますが、人の手による施行のため、単なるリシン吹き付けよりも、繊細でありながらも柔らかく深みのある壁に仕上がります。

モルタル外壁の吹き付け仕上げ2:スタッコ吹き付け

スタッコ吹き付けは、リシン吹き付けと同じ要領でスプレーガンを用いて壁の下地面に向かって吹き付けていく仕上げ方です。リシン吹き付けとの違いは吹き付ける厚さでスタッコ吹き付けでは5〜10mmとかなり厚めに吹き付けます。

スタッコ吹き付けは、リシン吹き付けの厚みをつけた壁のようなもので、リシン吹き付けよりも重厚感があります。スタッコ吹き付けは厚めに吹き付けられるのでリシン吹き付けよりも、より立体感が出て重厚感と高級感が増した仕上げになります。

ただし、スタッコ吹き付けはリシン吹き付けよりも溝が深いので、汚れはたまりやすくなります。

スタッコ吹き付けは、次の吹き付けタイルのような仕上げになるものの、吹き付けタイルと違い表面の質感はざらざらしています。

モルタル外壁の吹き付け仕上げ3:吹き付けタイル

吹き付けタイル仕上げとは、表面が凹凸になるように異なる種類の塗料で一般的には3層にして1〜5mm程度の厚さで壁に吹き付けていく複層仕上げのことを言います。

タイルという名前がついてますが磁器のタイルとは関係なく、機械を使ってスプレーガンでボンタイル模様を付けていきます。吹き付けタイルは別名、玉吹きやボンタイル仕上げとも呼ばれます。

吹き付けタイル仕上げは、表面がぽこぽこしていますが、手触りはツルツルとしています。

また仕上げの工程をどのように処理するのかによっても仕上げ名称が変わり、ローラーでコロコロと凹凸を抑える工法を「ヘッドカット仕上げ(ヘッド押さえ仕上げ)」と良い、スプレーガンだけで吹き付けて仕上げる方法は「吹き放し仕上げ」と呼ばれます。

吹き付けタイルの粒の大きさは小粒から大粒まで選ぶ事ができ(けい砂、寒水石、軽量骨材など)スプレーガンの口径の大きさによって変更することが出来ます。吹き付けタイル仕上げは粘性の高い塗料を吹き付けることにより、様々な柄を作ることが出来ます。

吹き付けタイル仕上げは、塗料によって機能や性能が様々あるので、それぞれの特徴を良くきいて理解した上で塗装することが必要です。

ジョリパットとは

ジョリパットはフランスで生まれた外壁塗装素材でモルタルの上から塗装するアクリル系の壁仕上げ材です。

ジョリパットは、耐火性や防火性など安全性が高い塗料とされており、一般的にモルタルを下地とし、モルタル外壁の上からふきつけていきます。

ジョリパットは日本では1975年に発売が開始され、40年以上外壁に使用されている塗料で主な素材は水溶性のアクリル樹脂です。

またジョリパットは、素材の名前ではなく、厳密にはアイカ工業より発売されている塗装材の商品名です。

ジョリパット仕上げについて

ジョリパットの特性として既存の外壁の上から再塗装することが出来ます。ジョリパットには、粘性があり鏝やローラーで壁に塗り付けることはもちろん、水で薄めて壁に直接吹き付けることも可能で、様々な壁の表情を楽しむことが出来ます。

モルタルと砂を混ぜ、さらに顔料を混ぜ合わせることで色の違いも堪能できたりと、仕上がりは自然に仕上がりますし、仕上げのバリエーションも鏝を使ったもの、拭きつけたものと様々です。ただし砂と塗料を混ぜて作られる為、表面はざらざらとしています(ただしジョリパットは漆喰風に仕上げることも可能です)。

また、ジョリパットは、モルタルの弱点であるひび割れも少ない点も大事なポイントです。

ジョリパットの注意点

ジョリパットを外壁に使用すると、汚れ方が不自然になります。これはジョリパットだからという理由ではなく、ジョリパットに含まれている樹脂に問題があります。

多くの樹脂製品は、壁本来がもつ呼吸機能と自浄作用を妨げてしまいます。ですから樹脂が入った素材を外壁に使うと不自然に汚れやすくなります。もちろん現在は汚れにくい素材も販売されていますが、それで全てを防げるわけではありません。

一般的な見解から言って、以上の理由からジョリパットは汚れを蓄積しやすく、端的に言えば汚れやすいと認識してもらうことが大事です。

これがジョリパットで塗られた壁は、はじめは仕上がりが自然で綺麗だけれども、年月が経ち、土ぼこりなどが巻き上げられ汚れると黒くなり汚くなるといわれる所以です。

またジョリパットは、寒い時期に施行すると白樺現象により、水酸化ナトリウムの白い結晶が浮き出てくるので注意が必要です。

さらに、一般的にひび割れが起きた際は、伸縮系の塗料を使用しますが、ジョリパットの壁は、ひび割れがあるからといって伸縮系の塗料を使用しない方が良いとされています。

ジョリパットは劣化をするので、必ず再塗装するのが必要な素材です。メーカーでは10年から15年と言っていますが、私の感覚ですとそれよりも早く寿命が来るように感じています。再塗装をしないと最悪、クラックが生じてそこから水が浸入し、建物自体を傷めてしまい建物の寿命を大幅に短くしてしまいます。

また、ジョリパットで塗られた壁の汚れを、高圧洗浄機で洗うと、内部まで水がしみ込んでしまう恐れがあるので避けた方が良いでしょう。

ジョリパットを再塗装する際に気をつけなければいけない点は、シリコン系の塗料でも塗装は出来るものの、デザイン、質感ともに損なう為、ジョリパットフレッシュやアートフレッシュなどの塗装剤を使うのが良いでしょう。

モルタル外壁のメリット

モルタル外壁のメリット1:耐火性に優れる

モルタルは耐火性に優れています。モルタルはもともと、耐火性能に着目され、外壁に使用された経緯があります。モルタルは主な原料がセメント、砂、水なので燃えない素材であり、火災時にも延年を防ぐ役割を果たします。

ただし、外壁としてのモルタルが耐火性に優れていたとしても、それ以外の建材が燃えやすい素材で出来ていると、本来の力は発揮できなくなります。

モルタル外壁のメリット2:モルタルは火災になっても有毒ガスを発生しない

また、万が一火災が発生してもモルタル自体は人体にとって有害なガスを発生しません。ただし、火災時にモルタル以外の、他の化学物質が燃えることにより有毒ガスは発生しますので一概に安全とは言いきれません。

※一般的に火災は、火災似によって生じる炎によってではなく、化学物質が燃えた時に生じるガスによって意識を失い亡くなるケースが多いと言われています。

モルタル外壁のメリット3:一般的には目地がなく繋ぎ目がない

例えば前回の記事でお話したサイディングなどは、素材や工場から現場への運搬の問題で、どうしても繋ぎ目が出来てしまいます。一方でモルタルは塗り壁なので、繋ぎ合わせる必要がないので、コーキング処理などの目地が必要ありません。※ただし必要なモルタルもあります。

もちろんモルタルに目地を設ける意味はあって、簡単に言うと目地を設けることによって強度が強くなり、無駄なひび割れを防ぐことが出来ます。さらにモルタルに目地を作ることによってヒビ割れの位置をコントロールすることが出来ます。

モルタル外壁のメリット4:風情ある趣の外壁をつくることが出来る

波模様のモルタル壁

モルタルは左官仕上げにより表情のある壁をつくることが可能です。模様などのパターンはもちろん、色を加えることで様々な色の塗り壁にすることが可能です。

さらにサイディングボードなどでは不可能な、アールのついた壁(カーブした壁)にも対応できるので、比較的自由に意匠を凝らすことが出来ます。

また、伝統的な仕上げによるモルタルは趣のある汚れ方をします。ひび割れや劣化などはつきものですが、薄くなったり、剥がれたり、ひどいひび割れなど性能上に問題がない限りは、最低限のメンテナンスや点検をし、そのまま放っておくことで味のある壁になっていきます。

モルタル外壁のデメリット

モルタル外壁のデメリット1:モルタル外壁はひび割れしやすい

モルタルの最大の欠点はやはりひび割れでしょう。モルタルは素材の特性から、どんなにうまく壁に塗ったとしても、目に見える見えないは別として、どうしても壁面にヒビが生じます。

モルタルは乾燥し固まる工程で収縮します。その時に細かなひび割れが生じてしまうため完全に防ぐことはできません。ただし多くの場合は、ヘアクラックと呼ばれる細かいひび割れで、大きなクラックでない限り壁の性能には問題ないとされています。

モルタル外壁のデメリット2:モルタル外壁はコストが高い

モルタル仕上げは職人の数が少なくなっている他、材料費が高騰しているため、コストは高くなります。また腕の良い職人が減ってきていることもあり、出来上がりの品質にばらつきがうまれています。

モルタル外壁のデメリット3:モルタル外壁は汚れやすい

モルタル外壁は汚れやすいと言われますが、汚れやすいモルタル外壁と、汚れにくいモルタル外壁があります。ただしモルタル外壁の汚れ方は立地や表面の凹凸、建物への雨風の当たり具合、建物の形状、素材の問題などがあり、一概にモルタル外壁が理由だとは限りません。

また汚れを防止する為のコーティングを外壁に塗ることも出来ます。

モルタル外壁のデメリット4:モルタル外壁は職人の腕に左右されやすい

モルタル外壁を吹き付け塗装で行なう場合は、塗料メーカーの研修制度などが充実していたり、そこまで特別な技術を要しないため、出来上がりの差は出にくくなっていますが、左官工法により壁に塗り付ける形でモルタル外壁を作る場合は、人によって得意不得意のデザインがあったりと職人により大きな差があらわれます。

モルタル外壁のデメリット5:モルタル外壁は施工期間が長い

上記で説明したようにモルタル外壁は湿式工法のため、下塗り、中塗り、上塗りが必要で、さらにそれぞれの工程で壁を乾かす為の期間が必要になります。壁を乾かす作業は自然の力に任せる形になる為、必然的に施工期間が長くなります。

しっかりと壁を乾かしてから施工をしないと、壁にひび割れ(クラック)が起こりやすくなってしまうために、この工程を省略することはできません。

モルタル外壁のデメリット6:モルタル外壁は寒い土地に適さない

一概には言えず、全てのモルタル外壁が寒い土地に適さないわけではないのですが、モルタル外壁は水を吸い上げやすい仕上げ方もあり、そのような仕上げ方の場合は、壁内に水がしみ込み、凍結と、融解を繰り返すことで壁にひび割れが生じたりするなど、凍害による影響を受けやすくなります。

・・・などなど。

ここでお話したメリットでメリットはあくまで一般論であり、建物の工法や構造の問題もあります、建物の工法や構造については「家づくりで知っておきたい3つの構造と6つの工法のメリットとデメリット」をご覧下さい。

またモルタル外壁について、さらに詳しくお知りになりたい方は国土交通省の国土技術政策総合研究所が発行している「木造住宅モルタル外壁の設計・施工に関する技術資料」も合わせて読んで頂くと参考にして頂けることが多いかと思いますので、是非ご活用ください。

まとめ:何故、外壁に塗り壁なのか

塗り壁の多くは一般的に、面倒でメンテナンスも大変です。塗り壁の素材によっては、耐久性があまり期待できないものもあります。

だからこそ、何故外壁に塗り壁を選ぶのかという価値基準が大事になります。何故外壁に塗り壁なのかを知っておかないと、塗り壁にする意味がないと、個人的に私は思っています。

外壁に塗り壁を選択する際に、何を基準に選べばいいのかについては、「塗り壁の選び方」の項目を参考にしてほしいのですが、塗り壁には、意匠性や機能性をはじめ、健康面や心理面で人の体や心によいという理由があげられます。

また塗り壁にも自然素材を使った、伝統的な左官工法による塗り壁と、特別な技術の必要がない塗り壁、つまり現在主流の化学物質系の素材などを使った工期を短くできる塗り壁がありますが、ここで主にお話したのは伝統的な左官工法による塗り壁のことです。

住宅業界に限りませんが、とりわけ現在の住宅業界は、経済性を優先させ、出来るだけ工期を短く、安く仕上げ、特別な技術が必要のない、誰でも簡単に施工できる方向に傾いていっています。昔は大工が現場で木を切り、合わせ、調整して建物が建てられていましたが、今現在、ほとんどの家が大工を必要としない、予め工場で生産された建築部材を組み立てるだけの工業製品となっています。

つまり出来るだけ現場で行なう作業や負担を減らし、現場で行なうのは組み立てたり、壁ならば塗ったり、はり付けるだけの作業になっていってしまっています。別にそれが悪いと言っているわけではありません。そうして建てられた家は多くの場合、断熱性や気密性など、機能性の高い家が出来上がりますし、それを一概に否定することは出来ません。

ただし、広い意味で人の暮らしにとって本当に良いのかどうかはまた別問題だと思います。

昔建てられた住宅をみてみると、どこかしらに余裕が感じられますし、事実あらゆる意味で余裕があったのではないかと思います。今の家はというと、収まりが良いのですが、不用なものは取り除き機能性を高めている構造になっている為、どこかしらカチカチな印象を受けます。

昔建てられた住宅は、確かに、機能性には劣り不便だけれども、どこかしら柔らかな、不完全でありながら、余裕を感じさせるどっしりとした佇まいで凛としてそこに存在しています。それが不完全でありながら、完全を求める人間らしい私たちの心に合っており、どこかしらで調和を感じさせるのではないかと思います。

これはもちろん外壁に使われる、塗り壁にも言えることで機能性を追求していった結果、様々な問題が生じるようになってきています。例えば高断熱、高気密の家というと夏は涼しく、冬は暖かいという印象がつきまといますが、それと引き換えに通気性が悪く、湿気がたまりやすく、結露が発生しやすいなどの問題も発生してきています。

さらに、シックハウス症候群にみられるように、ホルムアルデヒドに起因するものやVOC(揮発性有機溶剤)に起因するもの、ハウスダストやカビなど、理由は様々あるかと思います。

また、構造上の問題があったり、そもそも家づくりを行なう土地に問題があったりなど細かく噛み砕いていくと様々な原因が考えられますが、一番の問題はその道のプロと呼ばれる人が少なくなってきているからだと思います。

つまり経済性が優先され、誰でも簡単に仕上げられることを追求していった結果、専門的な知識が必要なく出来るようになってしまった、その結果、その道のプロがいなくなってしまった。もっと端的に言うと、現場にあわせて、その時々、臨機応変に対応できる技術を持った職人がいなくなってしまっているということです。

職人仕事はマニュアル通りに対応できるほど簡単なものではありません。職人の勘と言われるような経験による感覚が必要な場面が多々あります。多くの場合は自然と対峙し語り合うことが必要になるため、できるだけ工期を短くする、現在主流の大きな動きに合いません。

外壁としての塗り壁を知り選ぶということは、そこから生まれてくる様々な問題に向き合い、不便さの中に余裕を持った便利さを見つける作業だとも思います。形だけではなく、真に余裕のある暮らしが求められているのではないかと思います。

そして大事なのは選択権を持つことだと思います。つまり双方の良さを知り、双方の問題点も理解しておきながら、それを選択するということです。

これから注文住宅で家を建てる予定の方へ

これから注文住宅で家を建てられる予定の方は、まず一度、注文住宅相談サービスを利用してみるとよいでしょう。

希望や要望を簡単に伝えれば、建てる土地にあった、間取り作成、資金計画、家づくりにかかる費用など、コスト面での相談に乗ってもらうことが可能です(家づくりをする為の土地がなければ、希望に添った土地探しの相談にも応じてくれます)。

下記の注文住宅相談サービスでは、建築予定地に合わせて住宅会社が表示されるので、いくつかの住宅会社から同時に間取りなどを提案してもらうことも可能ということもあり、住宅会社を比較できるのも大きな利点です(家づくりにおいて相見積もりは基本です)。

住宅会社によってアピールポイントは違いますので、それぞれの細かい特徴を比べられるのもこうしたサービスならではだと思います。

費用が発生するのはお互いが納得し、話が進んだ場合のみとなっていますので、家づくりをはじめようと思い立った時、少しだけ肩の力を抜いて、安心して利用してみると良いと思います。

>>>注文住宅相談サービスはこちらから




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